(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プリフォームの前記内面と異物の間の静電付着力を弱める静電気除去手段が前記エアリンス機構の上流側に設けられている請求項1から3のいずれか一項に記載の容器処理装置。
前記複数のエアノズルがプリフォームの開口部の中心から前記搬送手段による搬送方向と交差する方向に偏心した位置に沿って一直線状に配置されており、前記エアノズルは、前記搬送方向に沿って並置された複数のエア吐出口を備えている請求項5に記載の容器処理装置。
プリフォームは、前記搬送方向に沿って互いに隣接する2つの前記エアノズルの一方と対向する位置から前記2つのエアノズルの他方と対向する位置へと、前記除塵エアを前記内面に間断無く受け入れながら搬送される請求項5または6に記載の容器処理装置。
前記搬送手段と前記エアリンス機構の少なくとも前記エアノズルとを収納する筐体と、前記筐体から排出させたエアを濾過して前記筐体に戻すエア循環機構とを有する請求項5から7のいずれか一項に記載の容器処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記された容器処理装置では、ブロー成形後の比較的狭い口部から大きな本体が延設されたボトルの状態でエアリンスを行うので、エアリンスによって塵埃や毛髪などの微細な異物がボトルの内面から排出され難く、結果的にエアリンスに長い時間を掛ける必要が生じる場合があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上に例示した従来技術が与える課題に鑑み、ボトルまたはプリフォームの内面から微細な異物を比較的短時間で効率的に排除可能な容器処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による容器処理装置の特徴構成は、
樹脂製のプリフォームをその軸芯と垂直な方向に搬送する搬送手段
と、
前記搬送手段によって搬送されるプリフォームの内面に
除塵するための除塵エアを噴射する
エアノズルを有するエアリンス機構
と、
内部に前記エアノズルを収納し、上方が閉鎖された吸引フードとを備え、
前記エアリンス機構が
前記除塵エアをプリフォームの開口部の中心よりも径方向に偏心した位置からプリフォームの底面に向けて噴射する点にある。
【0007】
上記の特徴構成を備えた容器処理装置では、ボトル状にブロー成形される以前の、内面全体の形状や奥行き寸法に対して口部が十分に広いプリフォームの状態で除塵エアが容器の内面に噴射されるので、除塵エアによる異物除去の効率が高くなり、比較的短時間で除塵を完了できるため、高い処理効率が得られ好都合である。
【0008】
また、上記の特徴構成を備えた容器処理装置では、除塵エアがプリフォームの開口部の中心から偏心した位置に噴射されるので、噴射された除塵エアは、プリフォームの開口部の中心から一方に偏心した位置からプリフォームの内部に入って下降し、プリフォームの底面を経て、前記中心を挟んで前記偏心の位置と反対側の位置からプリフォーム外に排出されるという、プリフォームの内面全体をカバーする行程を経てプリフォームの外に排出されることとなり、塵埃などの異物がプリフォーム内のどの箇所にあっても確実に除去され易くなる。しかも、除塵エアがプリフォームの内面全体をカバーする行程を経てプリフォームの外に排出されるという所望の特徴を、エアノズルそのものをプリフォームの内面に進入させるなどの複雑な構成を用いることなく、簡単な構成で実現できる。
【0009】
本発明の他の特徴構成は、
前記プリフォームの開口部の中心よりも径方向に偏心した位置が、当該位置から最も近接したプリフォームの内面までの距離D1と前記位置から最も離間したプリフォームの内面までの距離D2との比率D1/D2が0.05〜0.09となる点にある。
【0010】
本構成であれば、
プリフォームの内面に付着した異物を効率的に除塵するために好都合な、プリフォームの内面全体をカバーする行程を経てプリフォームの外に排出される。
【0011】
本発明の他の特徴構成は、前
記エアノズルの先端が、プリフォームの軸芯方向に沿って前記開口部から離間して配置されている点にある。
【0012】
本構成であれば、エアノズルを固定したままプリフォームを移動させることができるので、エアノズルの先端をプリフォームの内面に進入させる構成に比べて、簡単な構成で実現でき、エアノズルの先端周辺からプリフォームの内側に異物が混入する虞も少なく、また、プリフォームの一部がエアノズルとの接触によって傷付く虞も少ない。
【0013】
本発明の他の特徴構成は、プリフォームの前記内面と異物の間の静電付着力を弱める静電気除去手段が前記エアリンス機構の上流側に設けられている点にある。
【0014】
本構成であれば、プリフォームの内面に対する異物の静電付着力が除去される又は弱められるので、エアノズルから吹き込まれる除塵エアによって異物をプリフォームの内面からより確実に除去できる。
【0015】
本発明の他の特徴構成は、前記エアリンス機構が、プリフォームの開口部に隣接配置されつつ前記搬送手段による搬送方向に沿って並置された複数の
前記エアノズルと、前記除塵エアとして新鮮な清浄エアを前記エアノズルに送り込むエア供給手段とを有する点にある。
【0016】
本構成であれば、除塵エアが複数のエアノズルから噴射される除塵エアを連続的に受け入れるので、エアノズルが単一の構成に比べて、質量の大きな異物やプリフォーム内面への付着力が強い異物でもより確実に除去できる。また、もしも、エア循環機構などによって筐体に戻されるエアが除塵エアとしてプリフォームに吹き込まれる構成であれば、濾過されなかった微細な異物がプリフォームに戻される虞があるが、本構成であれば、新鮮な清浄エアが吹き込まれるので、そのような微細な異物がプリフォームに吹き込まれる虞がない。
【0017】
本発明の他の特徴構成は、前記複数のエアノズルがプリフォームの開口部の中心から前記搬送手段による搬送方向と交差する方向に偏心した位置に沿って一直線状に配置されており、前記エアノズルは、前記搬送方向に沿って並置された複数のエア吐出口を備えている点にある。
【0018】
本構成であれば、噴射されてプリフォーム内の除塵を果たした後の除塵エアは、一貫してプリフォームから前記偏心方向と反対方向に排出されるので、複数のエアノズルがプリフォームの中心に沿って配置された構成や、左右の異なる偏心位置に互い違いに並置された構成などに比べて、異物を含む除塵エアを前記偏心方向と反対側などの一定位置に配置された排気ダクトなどからの回収が円滑に行われ易くなる。
【0019】
また、本構成であれば、搬送されるプリフォームが複数のエアノズルからの除塵エアを次々に受ける際に、プリフォーム内に噴射された除塵エアが一貫してプリフォーム内の一定の行程に沿って流れるので、複数のエアノズルがプリフォームの中心に沿って配置された構成や、複数のエアノズルが左右の異なる偏心位置に互い違いに並置された構成などに比べて、強い付着力で付着している異物や質量の大きな異物も除去され易い。
【0020】
さらに、本構成であれば、エアノズルが搬送方向に沿って並置された複数のエア吐出口を備えているので、個々の独立したエア吐出口から除塵エアが真下に噴射されることとなり、例えば搬送方向に沿って細長く延びた単一のエア吐出口を備えた構成などに比べて、異物を引き剥がす作用が優れている。
【0021】
また、本構成であれば複数のエアノズルが一直線状に配置されているので、複数のエアノズルが平面視で環状に配置されたロータリー式の容器処理装置などに比べて、構造が簡単なために設置費用も少なくて済み、メンテナンスも容易であり、さらに、必要に応じてエアノズルの数を増やすなどの修正も行い易い。
【0022】
本発明の他の特徴構成は、プリフォームは、前記搬送方向に沿って互いに隣接する2つの前記エアノズルの一方と対向する位置から前記2つのエアノズルの他方と対向する位置へと、前記除塵エアを前記内面に間断無く受け入れながら搬送される点にある。
【0023】
本構成であれば、プリフォームは、互いに隣接する2つのエアノズルの一方と対向する位置から他方のエアノズルと対向する位置へと搬送される間に除塵エアを間断無く受け入れるので、互いに隣接する2つのエアノズルの一方と対向する位置から他方と対向する位置へと搬送される間に除塵エアが一旦途切れる構成に比べて、質量の大きな異物やプリフォーム内面への付着力が強い異物でもより確実に除去できる。
【0024】
本発明の他の特徴構成は、前記搬送手段と前記エアリンス機構の少なくとも前記エアノズルとを収納する筐体と、前記筐体から排出させたエアを濾過して前記筐体に戻すエア循環機構とを有する点にある。
【0025】
本構成であれば、除塵エアによってプリフォームの内部から除去されプリフォームの上方空間に舞い上がった異物は、エア循環機構を介して筐体外に排出されて、濾過手段に捕獲され、清浄なエアのみが筐体に戻されるので、プリフォームの上方空間に舞い上がった後に再び別のプリフォームの内部などに戻るといった不都合が生じ難い。
【0026】
本発明の他の特徴構成は、前記清浄エアによって前記筐体の内部が陽圧化されている点にある。
【0027】
本構成であれば、清浄エアによって前記筐体の内部が陽圧化されているので、設備周辺のエアが異物を筐体内に連行する虞がない。
【0028】
本発明の他の特徴構成は、
前記吸引フードが前記筐体の内部に配置されており、前記エア循環機構は、前記吸引フードの側壁部の一端に接続された排気ダクトと、前記筐体の天井部に接続された給気ダクトとを備えている点にある。
【0029】
本構成であれば、プリフォームの内部から除去されて上方空間に舞い上がった異物は、吸引フードの内部に留まり、吸引フードの側壁部に接続された排気ダクトによって効率的に回収されるため、異物が不用意にプリフォームに戻される虞が抑制される。また、本構成であれば、前記エアノズルはエア循環機構によって戻されるエアから吸引フードによって保護されるため、エア循環機構によって戻されるエアに微細な塵埃が混入していても、微細な塵埃がプリフォームに戻される虞が抑制される。
【0030】
本発明の他の特徴構成は、ボトルに成形される前のプリフォームに殺菌用の紫外線を照射する殺菌装置の上流側に設けられている点にある。
【0031】
本構成であれば、プリフォームはエアリンス機構によって内面の異物が十分に除去された状態で殺菌装置に供給されるので、殺菌装置において、異物によって紫外線が遮蔽されて十分に殺菌されない箇所が生じたりする虞なく、プリフォームの内面全体が紫外線照射によって確実に殺菌作用を受けることになる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
(製造ラインの全体的構成)
図1は、樹脂製のプリフォーム1からボトルをブロー成形する製造ラインの一部を示している。
ここでは、プリフォーム1はポリエチレンテレフタレート樹脂によって形成されているが、これに限らず、ポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂などを用いてもよい。
図2に例示するように、プリフォーム1は、外周に雄ネジを備えた口部本体1Mと、口部本体1Mから下方に延びた本体部1Bとを備え、口部本体1Mの下端部には大径のネックリング1Rが設けられている。
【0034】
この製造ラインには、向きが不定のランダムな状態で供給された多量のプリフォーム1を一列状に整列させるアンスクランブラ2、プリフォーム1の内面から塵埃などの異物をエアジェットによって排除するための除塵装置3、プリフォーム1の内外面を紫外線照射によって殺菌処理する殺菌装置4、プリフォーム1から飲料用などのボトルをブロー成形する成形装置5、ブロー成形されたボトルに飲料などを充填する充填装置6、飲料などを充填されたボトルの口部をキャップで密閉する密栓装置7などが備えられている。
【0035】
プリフォーム1は、アンスクランブラ2から送り出されてからも、次工程に向かって下向きに傾斜した各スライダS1,S2,S3,S4,S5によって、基本姿勢を維持しながら概して連続的に次工程に供給される。ここでは、スライダS1を挟んでアンスクランブラ2の下流側に隣接する除塵装置3が本発明に係る容器処理装置を構成している。
【0036】
プリフォーム1は、口部本体1Mが上方を向き、本体部1Bが概して真下に向いた基本姿勢でアンスクランブラ2から排出され、スライダS1上を搬送される際も、大径のネックリング1Rの外周下端がスライダS1の左右のレール上に支持された基本姿勢でスライダS1上を下流側に滑り降りて、除塵装置3に供給される。
【0037】
(除塵装置の構成)
図3に示すように、除塵装置3(容器処理装置)は、多数のプリフォーム1を前述した基本姿勢のままで横向きに連続的に搬送する搬送手段8と、搬送手段8によって搬送されるプリフォーム1の内面に除塵操作を施すためのエアリンス機構9とを有する。
【0038】
図6に示すように、搬送手段8は、プリフォーム1を間に挟むように互いに対向配置された一対の無端ベルト10を有し、無端ベルト10の各部位は無端ベルト10の内側に配置された一対の案内レール(不図示)によって均一な高さに支持されている。一対の案内レールの上面は滑らかで全長に亘って概して水平に延びている。
【0039】
一対の無端ベルト10は、個々の無端ベルト10の両端に内装されたタイミングプーリ11を介してモータ(不図示)などで回転駆動される。一対の無端ベルト10によって下流側に搬送されるプリフォーム1は、ネックリング1Rが無端ベルト10の上端面によって支持されることで、プリフォーム1の高さが一定に保持される。
【0040】
エアリンス機構9は、エアジェットを噴射する手段として、搬送手段8の搬送方向に沿って並置された多数(例えば6〜10個などであり、図では8個の例を示す)のエアノズル14を有する。
図3及び
図5に示すように、全てのエアノズル14は、チューブ状などの気体流路41(エア供給手段の一例)によって、清浄な新鮮エアを供給するエア源40(エア供給手段の一例)と接続されている。
【0041】
また、エアリンス機構9は、プリフォーム1と異物の間の静電付着力を弱める静電気除去手段として、最も上流側のエアノズル14の上流側に隣接配置された1つの除電ノズル13Cと、徐電ノズル13Cよりも更に上流側の位置、すなわちスライダS1の下流側端部付近に配置された左右2つの予備徐電ノズル13A,13Bとを有する。
【0042】
徐電ノズル13Cと予備徐電ノズル13A,13Bとは、気体流路41の一部から分岐された補助気体流路41Dに接続されており、補助気体流路41Dの途中にはエア源40から供給される新鮮エアに電荷を印加させるイオナイザ42が介装されている。イオナイザ42としてはDC型、高周波型、プラズマ型のいずれかを用いることができる。
【0043】
予備徐電ノズル13A,13Bや徐電ノズル13Cから吹き付けられるイオン化されたエアは、少なくともプリフォーム1と異物とのいずれか一方の帯電状態を中和することで、異物の静電付着力が少なくとも弱められ、エアノズル14から吹き付けられる除塵エアによる異物の除去が容易になる。
【0044】
左右の予備徐電ノズル13A,13Bから噴射されるイオン化されたエアは主にプリフォーム1の外面に吹き付けられて、プリフォーム1の外面に位置する塵埃などの異物を除去し易くし、徐電ノズル13Cから噴射されるイオン化されたエアは主にプリフォーム1の内面に吹き込まれて、プリフォーム1の内面に位置する塵埃などの異物を除去し易くする。
【0045】
エアリンス機構9の全体と搬送手段8の一部とは、概して直方体状のチャンバ30の内部に収納されている。チャンバ30は内部を透視できるように透明な樹脂で構成されており、床面に支持された下部チャンバ30Aと、着脱自在な上部チャンバ30Bとを有する。
【0046】
尚、除塵装置3の前後に延びた搬送路、例えば除塵装置3の上流側に位置するスライダS1の周囲もまた、少なくともその上方と左右側方は、透明な樹脂で形成された補助筐体(不図示)によって囲まれており、予備徐電ノズル13A,13Bはこのような補助筐体の中に設置されており、予備徐電ノズル13A,13Bの下方には、予備徐電ノズル13A,13B付近で発生し得る異物を含むエアを吸引するための吸引ダクト12が配置されている。
【0047】
搬送手段8は、下部チャンバ30Aの前後に形成された入口28と出口29とを介してチャンバ30を貫通するように設置されている。
エアリンス機構9は、チャンバ30から排出させたエアを濾過してチャンバ30に戻すエア循環機構27として、ブロワ21及びHEPAフィルタ22を内蔵した集塵機20と、チャンバ30の一部を集塵機20の入力部に接続する2本の管状の排気ダクト31と、集塵機20の出力部を上部チャンバ30Bの上面に接続する1本の管状の給気ダクト32とを有する。2本の排気ダクト31及び吸引ダクト12から排出されたエアは気体流路23によって集塵機20の内部のHEPAフィルタ22に向かい、ブロワ21から送り出されたエアは気体流路24によって給気ダクト32を介してチャンバ30に送り込まれる。
【0048】
エアノズル14から噴射される除塵エアによってプリフォーム1から除去された異物は、エア循環機構27によるエアの流れに基づいて集塵機20内のHEPAフィルタ22によって捕獲され、HEPAフィルタ22で濾過されたエアがチャンバ30に戻される。
【0049】
集塵機20を含むエア循環機構27のみが駆動された状態では、チャンバ30の内圧は室内の気圧より僅かに低くなるが、複数のエアノズル14から噴射される除塵エアと徐電ノズル13Cなどから注入される静電エアとの作用によって、チャンバ30の内部は室内の気圧に対して幾分か陽圧化されている。
【0050】
その結果、搬送手段8とチャンバ30の入口28や出口29との間に形成された小さな間隙を介して、常に僅かな量のエアがチャンバ30の内部から外部へ流出するため、外部からチャンバ30内に塵埃などが吸入されることが阻止されている。
【0051】
全てのエアノズル14と徐電ノズル13Cとは、下部チャンバ30Aの内部に設置された吸引フード50の内部に設けられている。吸引フード50は、平面視で概してU字状のフード本体51と、フード本体51の両端を搬送方向に沿って接続する2枚の連結板52,53とを備え、フード本体51と連結板52,53とで形成される空間の上方は板状のカバー54によって閉鎖されている。
【0052】
全てのエアノズル14と徐電ノズル13Cとは下方の連結板52の内側に固定されており、エア循環機構27の2本の排気ダクト31の始点はフード本体51の側壁部に搬送手段8と平行に連設されている。
【0053】
その結果、吸引フード50の内部において、2本の排気ダクト31は多数のエアノズル14の側方に開口した状態が得られるため、除塵エアによってプリフォーム1の外に追い出された異物は直ぐに排気ダクト31によって吸引され易くなるため、集塵機20の能力を小さめに設定できる。上下の連結板52,53の間には搬送方向に沿って延びた帯状の間隙が形成されており、この間隙を介して吸引フード50の内外間でエアが流通可能とされている。
【0054】
図4に示すように、上部チャンバ30Bの上面に接続された給気ダクト32の端部は、吸引フード50のカバー54の上面と対向配置されているが、給気ダクト32の内径は排気ダクト31の内径よりも十分に大きく設定されており、また、上部チャンバ30Bの下面には緩衝部材60が配置されている。緩衝部材60は、上部チャンバ30Bの下面に固定された一対の矩形板状の取付け部60Aと、各取付け部60Aの内側の辺から下方に延びた一対の脚部60Bと、各脚部60Bの下端どうしを結ぶように概して水平に延びた緩衝板部60Cとを有し、一対の脚部60Bにのみ空気の流通を許す多数の小さな貫通孔が形成されている。
給気ダクト32によって集塵機20からチャンバ30に戻されるエアは、給気ダクト32の大径化と緩衝部材60の緩衝板部60Cによる作用とによって、その勢いが弱められて層流化され、吸引フード50の外周付近に沿って下向きに静かに流れる。
【0055】
エア源40から延びているチューブ状の気体流路41は8本に分岐されて個々のエアノズル14に至る。これらの分岐された気体流路41の途中には開閉弁41Vが介装されているが、これらの開閉弁41Vは吸引フード50のフード本体51の外周面に固定されている。
【0056】
図7に示すように、各エアノズル14の下端付近には、搬送方向に沿って長く延びた矩形の吐出端面14Fが設けられ、この吐出端面14Fには多数(10〜20個など)の吐出開口14Aが搬送方向に沿って一直線状に概して等間隔で連設されている。
搬送方向に沿って互いに最も離間した吐出開口14Aどうしの間隔はプリフォーム1の内径(例えば約25mm)の約1.4〜約2.0倍(例えば1.6倍)に達する。これらの吐出口14Aは平面視において下方の連結板52と平行になるように配置されている。
【0057】
また、吐出端面14Fの下面の吐出開口14Aどうしの境界付近からは、個々の吐出開口14Aから噴射される除塵エアを真下方向に案内するための案内板14Gが下向きに延びている。
案内板14Gの一部は吐出端面14Fから上方にフィン状に延設されることで、これらのフィンの間には、吐出開口14Aからエアノズル14の外表面に沿って上方に延びる縦溝14Dが形成されている。
【0058】
吐出開口14Aから概して真下に噴射される除塵エアは、周囲のエアをこれらの縦溝14Dに沿って連行されることで、プリフォーム1に向けて噴射される除塵エアの量が実質的に増量される。
【0059】
図8に示すように、全てのエアノズル14は吐出開口14Aがプリフォーム1の開口部1Aの上方に近接配置されるように設置されている。例えば、エアノズル14の下端からプリフォーム1の上端までの上下距離はプリフォーム1の内径の約0.1〜0.2倍(例えば0.15倍)に設定することができる。
【0060】
エアノズル14から噴射される除塵エアの圧力やエア量、エアノズル14の数量、吐出開口14Aの口径や数などは、塵埃などの異物を除去し、プリフォーム1の内部にある塵埃などの異物を適正にプリフォームの外部上方へ舞い上げ、かつ、搬送手段8によるプリフォームの搬送を妨げないように設定されている。
【0061】
図8に示すように、一対の無端ベルト10どうしの間に設けられている間隙の寸法は、プリフォーム1の本体部1Bの直径を僅かに(例えば約1〜2mm程度)上回っているので、プリフォーム1は一対の無端ベルト10の間で幅方向に僅かながら移動することができる。
【0062】
また、
図8に示すように、エアノズル14はプリフォーム1の開口部1Aの中心Cに対して搬送手段8の幅方向の一方側(ここでは右側)に、言い換えれば、平面視において搬送方向と垂直な方向に大きく偏心するように配置されている。
【0063】
この偏心によって、
図9に示すように、吐出口14Aの中心面Fから最も近接したプリフォーム1の内面までの距離D1の、吐出口14Aの中心面Fから最も離間したプリフォーム1の内面までの距離D2に対する比率:D1/D2は約0.05〜0.09となる。
【0064】
図9において、プリフォーム1が一対の無端ベルト10の間で最も左側に位置する状態ではD1/D2=0.09となり、プリフォーム1が最も左側に位置する状態ではD1/D2=0.05となる。尚、仮にエアノズル14が全く偏心しなければ比率:D1/D2は約1.0である。
【0065】
図8に示すように、上述したエアノズル14の偏心配置に関わらず、また、プリフォーム1の一対の無端ベルト10の間での位置の如何に関わらず、搬送手段8による搬送方向に沿って見た正面視では、エアノズル14から出射される除塵エアの軌跡14Sは基本的に全てプリフォーム1の内面側に位置しており、且つ、プリフォーム1の内面の中心に対して幅方向に変位した位置にある。
【0066】
すなわち、左側の
図8(a)に示すように、プリフォーム1が一対の無端ベルト10の間での最も右側に位置していても、エアノズル14から出射される除塵エアの軌跡14Sはプリフォーム1の内面の中心よりも大きく右側に変位した位置にある。
同時に、右側の
図8(b)示すように、プリフォーム1が一対の無端ベルト10の間での最も左側に位置していても、エアノズル14から出射される除塵エアの軌跡14Sは全てプリフォーム1の内面側に位置している。
【0067】
このようにエアノズル14がプリフォーム1及び搬送手段8に対して幅方向に大きく偏心配置されている結果、
図8(a)、
図8(b)に例示するように、プリフォーム1が一対の無端ベルト10の幅方向のどの位置にあっても、エアノズル14から噴射される除塵エアは、プリフォーム1の内面における搬送方向と垂直な内径に沿った一端T1に沿って下降し、プリフォーム1の底面T2を経て、同内径に沿った他端T3に沿って上昇するという、プリフォーム1の内面に付着した異物を効率的に除塵するために好都合な、プリフォーム1の内面全体をカバーする行程を経てプリフォーム1の外に排出される。
【0068】
尚、
図8(a)、
図8(b)に例示するように、除塵エアはプリフォーム1の底面T2における中心よりもエアノズル14がプリフォーム1に対して偏心配置された側寄りに噴射される。言い換えれば、除塵エアがプリフォーム1の底面T2に達したときに除塵エアが占める領域は、
図8(a)、
図8(b)において、プリフォーム1の底面T2付近における右半分以下をカバーするように構成されている。
また、
図8(a)、
図8(b)に示すように、搬送方向に沿った正面視(例えばチャンバ30の入口28付近からエアノズル14付近を見る)において除塵エアの通過軌跡14Sは角度:αが10°前後の僅かな広がりを示す。
【0069】
他方、
図10に示すように、除塵エアの通過軌跡14Sは、搬送方向と垂直な側面視においては、搬送方向に関する前後両方向においては殆ど角度的な広がりを示さず、概して真下に向かって延びている。
【0070】
図10に示すように、エアノズル14どうしは搬送方向に沿って殆ど隙間無く並置させることで、互いに隣接する2つのエアノズル14の互いに最も近接した吐出開口14Aどうしの間隙は約7mmと可及的に小さくされている。
【0071】
その結果、
図10から理解されるように、プリフォーム1が搬送手段8によって、1つのエアノズル14の真下の位置から隣接する次のエアノズル14の真下の位置まで搬送される間、プリフォーム1の内面には一定量を超える除塵エアが少しも途切れることなく連続的に噴射されることになる。この原則はプリフォーム1が一対の無端ベルト10の幅方向のどの位置にあっても変わらず守られる。
【0072】
他方、徐電ノズル13Cと最も上流側に位置するエアノズル14との間には比較的大きな間隔(例えば、一つのエアノズル14を追加可能な寸法の間隔)が設けられている。これは、徐電ノズル13Cからプリフォーム1の内面に吹き込まれたイオン化されたエアの作用でプリフォーム1と異物との間の静電付着力がよく弱められた段階で、プリフォーム1が最初のエアノズル14による除塵エアを受けるようにするためである。
【0073】
尚、エアノズル14から噴射される除塵エアの風量及び圧力の値は、同値が小さ過ぎて異物の除去に支障を及ぼさないように、また、同値が大き過ぎることによって、異物が集塵用ダクトで吸引に難いほどチャンバ30内で舞い上がったり、プリフォーム1を搬送手段8の無端ベルト10の上端面などに抑え付ける作用が強過ぎてプリフォーム1の搬送が円滑に行えなかったりすることのないように、除塵エアによる塵埃の動きの観察結果に基づいて設定されている。
【0074】
仮に、プリフォーム1の内外面の一部に塵埃や毛髪などの異物が付着していれば、これらの異物に付着している微生物によってプリフォーム1が汚染される虞があるが、本発明では、エアリンサ3によってプリフォーム1の内外面から異物が十分に除去されるので、これらの異物を介して持ち込まれる微生物による汚染を十分に抑制できる。また、その結果、次工程の殺菌装置4に対して要求される殺菌能力が比較的低くて済む。
【0075】
また、仮に、次工程の殺菌装置4に供給されたプリフォーム1の内外面の一部に塵埃や毛髪などの異物が付着していれば、これらの異物が紫外線を遮蔽することで、プリフォーム1の一部が十分に殺菌されない虞があるが、本発明では、エアリンサ3によって異物が十分に除去された状態で殺菌装置4に供給されるので、プリフォーム1の内面全体に対して紫外線照射の殺菌作用を付与できる。
【0076】
〔別実施形態〕
〈1〉エアリンス機構9は必ずしも複数のエアノズル14を備えている必要はなく、除塵エアがプリフォーム1の開口部1Aの中心Cから偏心した位置に向けて噴射されるならば、エアノズル14は単一でもよい。
【0077】
この場合、エアノズル14の吐出口14Aそのものが開口部1Aの中心Cから偏心した位置に存在する必要はなく、仮にエアノズル14の吐出口14Aそのものは開口部1Aの中心Cに存在しても、除塵エアがプリフォーム1の開口部1Aの中心Cから偏心した位置に向けて噴射されればよい。
【0078】
また、この場合、噴射される除塵エアの中心Cからの偏心方向は必ずしも搬送手段8による搬送方向と交差する方向への偏心である必要はなく、例えば搬送方向に沿った方向への偏心でもよい。
【0079】
〈2〉複数のエアノズル14を備えている構成において、必ずしも、プリフォーム1が搬送方向に沿って互いに隣接するエアノズル14の一方と対向する位置から2つのエアノズルの他方と対向する位置へと除塵エアを間断無く受け入れながら搬送される必要はない。すなわち、プリフォーム1が搬送方向に沿って互いに隣接するエアノズル14の一方と対向する位置から2つのエアノズルの他方と対向する位置へと搬送される間に除塵エアを受け入れない瞬間があっても、プリフォーム1の形状やエアノズル14から噴射されるエアジェットの強さ次第では、必要な除塵効果が得られる場合もある。
【0080】
〈3〉上記の実施形態とは異なり、エアリンサ3を構成する搬送手段8がプリフォーム1を基本姿勢とは異なる姿勢で搬送する形態で実施することも可能である。例えば、搬送機構がプリフォーム1を口部本体1Mが側方や下方を向いた一定の姿勢で搬送する構成でもよい。すなわち、プリフォーム1をその軸芯と概して垂直な方向に搬送するという基本が守られればよい。