(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
各種粉体や粒体等の流動性固体を一時的に貯蔵し、必要量を後工程の計量器や搬送手段或いは各種処理装置へ供給するためにホッパー装置が使用されている。ホッパー装置は、排出口へ向け漏斗状に窄まった形状のホッパーを有している。このため、流動性固体の種類によっては、流動性固体の一部が排出された後に、排出口の近傍にブリッジやラットホールが生じて流動が止まり、流動性固体の供給ができなくなることがあった。
【0003】
このような問題の対策としては、従来から多様な方法が試みられており、ホッパー内に収容された粉体や粒体等の流動性固体に生じたブリッジやラットホールを崩して、流動性固体を再度供給できるようにしたホッパー装置としては、例えば特許文献1ないし3に記載されたものがある。
【0004】
特許文献1に開示されたホッパ構造は、投入された被焼却物<W>を自重によって焼却炉<1>のロータリーキルン炉<2>の入口部<2a>に滑り落し供給させるシュート<7>が連設されているホッパ<6>の周壁<6b>の複数箇所に、該ホッパ<6>の外部に設置したシリンダ<9>を介して投入被焼却物<W>のブリッジを突き崩すように駆動摺動可能なブリッジブレーカー<8>を設けており、ホッパ内に充満された被焼却物に発生したブリッジを簡単な操作で効率よく、圧密を招くことなく突き崩し解消することができるようにするというものである。
【0005】
特許文献2に開示された処理物の分散投入装置は、破砕機<1>の上方に設けられているホッパ<21>の内部空間の下方寄りに水平な揺動板軸<22>を設けるとともに、揺動板軸<22)にバタフライ弁形の揺動板<23a>を取り付けて揺動板<23a>を往復傾動させるもので、ホッパ<21>内の廃棄物は撹拌されるためブリッジを生じることがなく、連続回転しないためロープ等が絡みつかないようになっており、ホッパ内の廃棄物を所定の割合で破砕機に投入できるというものである。
【0006】
また、特許文献3に開示された粉体供給装置は、ホッパー<14>の円錐壁<16B>を微多孔性の空気透過性隔膜で形成し、円錐壁<16B>の外側にプレナムチャンバ<26>を形成し、微多孔性隔膜の細孔を介して円錐壁<16B>の内周面に圧縮空気を流出させて粉体のエアレーションを行うと共にホッパー<14>の下には振動フィーダ<40>を配置し、振動フィーダ<40>の振動を利用してホッパー<14>を加振するものであり、エアレーションと振動フィーダ<40>の振動により粉体を流動化し、ブリッジを形成することなく流動性に乏しい粉体を安定して排出できるというものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記各特許文献1ないし3に開示された各装置には次のような課題があった。すなわち、特許文献1の装置は突き崩しによるものであり、特許文献2の装置は揺動によるものである。また、特許文献3の装置はエア吹き付け及び振動によるものである。前記何れの装置も、ホッパー内部の流動が止まっている流動性固体の一部に働きかけるものであり、流動性固体の全体を流動させて崩そうとするものではない。
このため、前記従来の各装置では、流動性固体の種類や残量等の状況によっては、ブリッジやラットホールを崩すことができない場合が生じていた。
【0011】
(本発明の目的)
本発明は、ホッパーの排出口の近傍にブリッジやラットホールが生じて流動性固体の流動が止まり、流動性固体の供給ができなくなった場合に、従来のように、ホッパー内部の流動が止まっている流動性固体の一部に働きかけるのではなく、流動性固体の全体を流動させることによって、より確実にブリッジやラットホールを崩すことができるようにしたホッパー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、
流動性固体を一時的に貯蔵し、排出口から必要量を後工程へ供給するホッパー装置であって、
ホッパー本体と、
該ホッパー本体の槽壁の内面に沿うように配置され、前記内面に沿う位置から離れる方向、及びもとの沿う位置に戻る方向へ動かすことができる一又は複数の可動壁と、
該可動壁を動かす駆動装置と、
を備えており、
前記可動壁は、前記内面に沿う位置から離れる方向の動きにより、収容されている流動性固体の一部又は全体に力を加えて流動させる、
ホッパー装置である。
【0013】
本発明は、
ホッパー本体の内部に上方又は斜め上方へ向けて配置された崩し部材を有し、該崩し部材は上部側が自由端となっており、前記崩し部材は長手方向に進退動する動きを含むように駆動されるのが好ましく、推奨される。
【0014】
本発明は、
ホッパー本体の排出口に繋がる排出コンベヤを有しており、崩し部材は、前記排出コンベヤの動力により駆動されるのが好ましく、推奨される。
【0015】
本発明は、
可動壁を動かす駆動装置は、
前記可動壁の上端に取り付けられており、ホッパー本体の槽壁内面側から前記ホッパー本体の中央方向に向かって移動する移動体と、
該移動体に移動に要する駆動力を伝達する駆動軸と、
該駆動軸を駆動する駆動手段と、
を備えており、
前記駆動軸は、前記移動体の動きに追従して動くのが好ましく、推奨される。
【0016】
本発明は、
可動壁を動かす駆動装置は、
ホッパー本体の槽壁の上縁に沿って形成され、長手方向へ伸びた噛み合い部材を有するガイドと、
前記ホッパー本体側に設置されている駆動手段と、
該駆動手段に、下端を中心に回動自在に取り付けられている一又は複数の伸縮自在な駆動軸と、
該駆動軸の上端に取り付けられ、前記駆動軸の駆動力により前記噛み合い部材と噛み合って従動する回転体を有する移動体と、
を備えており、
前記移動体には、前記可動壁の上端が取り付けられ、
前記駆動手段による前記駆動軸の駆動力で、前記移動体が移動することで前記可動壁を動かすのが好ましく、推奨される。
【0017】
本発明は、
可動壁の下部がホッパー本体の排出口の近傍に位置しており、前記可動壁の前記排出口寄りには、前記可動壁が前記ホッパー本体の槽壁内面から離れたときに開口して流動性固体を通す開口部が形成されているのが好ましく、推奨される。
【0018】
本発明は、
可動壁は、柔軟性を有するシートで形成されているのが好ましく、推奨される。
【0019】
本発明は、
駆動装置は、シートがホッパー本体の内面に沿う位置から離れる方向へ移動するときにシートを巻き取り、もとの位置に戻る方向へ移動するときにシートを繰り出す巻取機構を有するのが好ましく、推奨される。
【0020】
本発明は、
可動壁は、剛性又は準剛性を有する複数の板部材を繋いで形成され、該複数の板部材は繋ぎ目で折り曲げ自在であるのが好ましく、推奨される。
【0021】
本発明は、
可動壁は、ホッパー本体内に相対向して二箇所に設置されているのが好ましく、推奨される。
【0022】
本明細書及び特許請求の範囲にいう「自由端」の用語は、何等かの物理的な変異の拘束を受けない部材の端部の意味で使用している。
【0023】
(作用)
本発明に係るホッパー装置の作用を説明する。
ホッパー装置のホッパー本体内に収容されている粉体又は粒体等の流動性固体にブリッジ又はラットホールが生じた場合は、ホッパー本体の槽壁の内面に沿うように配置されている可動壁を駆動装置によってホッパー本体の内面に沿う位置から離れる方向へ動かすようにする。
【0024】
これにより、ホッパー本体の槽壁又は可動壁で構成される流動性固体を収容する部分の形状が変わるので、この形状に合わせるように流動性固体の一部又は全体が流動することとなる。流動性固体の流動によって、流動性固体に生じていたブリッジ又はラットホールは崩れ、流動性固体は再度流動性をもってホッパー本体の排出口まで降りるので、流動性固体を排出口から後工程へ供給できるようになる。
【0025】
ホッパー本体の内部に上方又は斜め上方へ向けて配置された崩し部材を有し、該崩し部材は上部側が自由端となっており、前記崩し部材は長手方向に進退動する動きを含むように駆動されるものは、可動壁を駆動装置によってホッパー本体の内面に沿う位置から離れる方向へ動かすことと相まって、流動性固体に生じていたブリッジ又はラットホールをより確実に崩すことができる。
【0026】
ホッパー本体の排出口に繋がる排出コンベヤを有しており、崩し部材は、前記排出コンベヤの動力により駆動されるものは、排出コンベヤを使用して流動性固体を排出する際には、常に崩し部材が進退動するので、流動性固体の排出側にブリッジ又はラットホールが生じることを防止する一助となる。これにより、可動壁を動かしてブリッジ又はラットホールを崩す作業を行う頻度を低くすることが期待できる。
【0027】
可動壁の下部がホッパー本体の排出口の近傍に位置しており、前記可動壁の前記排出口寄りには、前記可動壁が前記ホッパー本体の槽壁内面から離れたときに開口して流動性固体を通す開口部が形成されているものは、可動壁をホッパーの内方向へ動かしたときに、仮に可動壁の裏側、すなわち可動壁とホッパー壁の間に流動性固体が入った場合でも開口部まで落ちるので、可動壁を元の位置に戻したときに可動壁とホッパー壁の間に流動性固体が挟まって、流動性固体の不要な残留やこれに起因する可動壁の移動障害、或いは可動壁の変形等の支障が出ることを防止できる。
【0028】
可動壁は、柔軟性を有するシートで形成されているものは、例えば形状が決まっていて変形しないものとは相違して、可動部の移動線を単純な直線で構成できる等、駆動装置の構造に制約が少なく、比較的簡易な構造で済むと共に可動壁自体の構造も簡易であるので、装置の全体的なコストもより安価に抑えることができる。
【0029】
可動壁は、剛性又は準剛性を有する複数の板部材を繋いで形成され、該複数の板部材は繋ぎ目で折り曲げ自在であるものは、前記と同様に形状が決まっていて変形しないものとは相違して、駆動装置の構造に制約が少なく、比較的簡易な構造で済む。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、ホッパー装置のホッパー内に収容されている粉体又は粒体等の流動性固体にブリッジ又はラットホールが生じた場合に、可動壁を駆動装置によってホッパー本体の内面に沿う位置から離れる方向へ動かすことにより、ホッパー本体の槽壁又は可動壁で構成される流動性固体を収容する部分の形状が変わるので、この形状に合わせるように流動性固体の一部又は全体が流動することになり、流動性固体に生じていたブリッジ又はラットホールを崩すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明を図面に示した実施の形態に基づき詳細に説明する。
図1ないし
図4を参照して、ホッパー装置の第1の実施形態を説明する。なお、
図2は、便宜上、後記する側壁21c及び傾斜壁20bを透視した説明図としている。
【0034】
ホッパー装置H1は、山形鋼で枠組みされ、四本の支脚10を有する支持フレーム1を有している。支持フレーム1の上部には、ホッパー本体2が固定されている。ホッパー本体2は、鉛直方向の四枚の固定した側壁21、21a、21b、21cと、それらの下に連続して形成された四枚の固定した傾斜壁20、20a、20b、20cを有する。
【0035】
前記側壁21、21a、21b、21c、及び傾斜壁20、20a、20b、20cは、槽壁(符号省略)を構成し、全体形状は下部側が下方へ向け窄まった四角筒形状である。ホッパー本体2の下端には、口部形状が長方形状で、ホッパー本体2下部側の一方の傾斜壁20と同じ角度で傾斜した排出口22が形成されている。
【0036】
ホッパー本体2の下側には、傾斜壁20と平行に排出コンベヤ3が傾斜した状態で固定されている。排出コンベヤ3は、シリンダー30内部に搬送スクリュー31を内蔵したスクリューコンベヤであり、モーター32で駆動される。シリンダー30の下端部は、前記排出口22に接続されて連通している。また、シリンダー30の上端部には、排出管33が形成されている。
【0037】
ホッパー本体2の前記傾斜壁20と相対向する傾斜壁20bの下端には、鉛直方向に縦壁23が形成されている。縦壁23の上部には、軸受40を介し回転軸41が縦壁23を貫通して水平に軸支されている。回転軸41の外部側の端部寄りには、スプロケット42が取り付けられている。
【0038】
なお、前記排出コンベヤ3の下端には、搬送スクリュー31の軸(符号省略)でギヤ(符号省略)を介し駆動される回転軸34を有し、回転軸34にはスプロケット35が取り付けられている。スプロケット35と前記スプロケット42の間には、チェーン36が掛けられている。これにより、排出コンベヤ3が作動する際は、常に後記する崩し部材45が流動性固体の内部で進退動をするようになっている。
【0039】
また、回転軸41の内部側の端部には、偏心軸43を有するクランク44が固定されている。偏心軸43には、所要長さの崩し部材45の基部が縦方向に回動自在に取り付けられている。崩し部材45は細板状であり、その基部寄りには、
図3において左右両側に突出した張出部材450が形成されている。
【0040】
崩し部材45は、前記のように取り付けられることで上部が自由端となっており、回転軸41と共にクランク44が回転することにより、垂直方向に対する角度や進退する方向が定まっていない状態、すなわち拘束されない自由な状態で長手方向に進退動をする。この自由な動きにより、後記するように流動性固体の排出側にブリッジ又はラットホールが生じることを防止する一助となる。
【0041】
ホッパー本体2の内部には、可動壁である一対のシート24、24aの基端部の二箇所が傾斜壁20a、20cに回動自在に取り付けられている。シート24、24aは、ホッパー本体2の前記槽壁のうち、相対向する傾斜壁20と側壁21、及び傾斜壁20bと側壁21bの内面に沿うように配置され、互いに同様の構造又は形状を有している。
【0042】
シート24、24aは、テント生地のような強靱で柔軟性又は変形性を有する布地で作られており、全体形状はほぼ五角形状(下端形状を無視:
図3参照)である。これにより、シート24、24aの下方で前記排出口22近傍には、流動性固体が通ることができる開口部220(
図1参照)が形成されている。なお、シートを更に下方へ延長し、シートの下部に開口部を形成することもできる。
【0043】
また、一方のシート24は、前記傾斜壁20と、その上に連設され鉛直方向に形成された側壁21を合わせた形状とほぼ同じであり、シート24aは、前記傾斜壁20bと、その上に連設され鉛直方向に形成された側壁21bを合わせた形状とほぼ同じである。シート24、24aのそれぞれの同幅部分と窄まる部分の境界部には、シート24、24aの形状を拡げたまま維持するための棒状の拡張部材25、25aが水平方向に固定されている。シート24、24aは、変形性を利用して、それぞれ傾斜壁20、側壁21、及び傾斜壁20b、側壁21bに沿わせることができる。
【0044】
シート24、24aは、駆動装置5によって前記傾斜壁20、側壁21、及び傾斜壁20b、側壁21bに沿わせた状態から上部を巻き取られながら内方へ移動し、内方の適当な位置へ移動した状態から上部の巻き取られた部分が繰り出されながら、傾斜壁20、側壁21、及び傾斜壁20b、側壁21bに沿わせた状態に戻すことができる。
【0045】
駆動装置5は、ホッパー本体2の側壁21a、21cの上辺に沿って固定されている断面コ字状のチャンネルで形成されたガイド50、50aを有している。ガイド50、50aは、互いに同様の構造を有しており、開放側を互いに向かい合うようにホッパー本体2の内方へ向けて固定されている。正面側のガイド50の背板502には、長さ方向の両端部と中央部を除き長孔504、505が形成されている。ガイド50、50aの底板501上面の背板502寄りには、ほぼ全長にわたり噛み合い部材であるチェーン51、51aがそれぞれ直線状に伸ばした状態で固定されて敷設してある。
【0046】
また、ガイド50、50aの間には、移動体52、52aがそれぞれ回転自在に架け渡してある。移動体52、52aは、互いに同様の構造を有し、それぞれ所要長さの巻取軸520を有している。各巻取軸520には前記シート24、24aの上端辺部が取り付けられるが、詳細については後記する。
【0047】
各巻取軸520の正面側の先端側は前記ガイド50の長孔504、505を回転自在に貫通している。各巻取軸520の長孔504、505を貫通した正面側の先端(側壁21c側の先端)には、ギヤボックス53、53aに収まる傘歯車(図示省略)が取り付けられている。ギヤボックス53、53aについては後記する。
【0048】
移動体52、52aの巻取軸520の両端部(正面側の端部では、先端の傘歯車より内側)には、ガイド50、50a内の前記チェーン51、51aに噛み合う回転体であるスプロケット521、521aが取り付けられている。また、各巻取軸520の両端側には、スプロケット521、521aより内側に近接してローラ522、522aが回転自在に取り付けられている。
【0049】
なお、ローラ522、522aは、スプロケット521、521aがチェーン51、51aに噛み合った状態で底板501上面に接し、上板503で上方への脱落を防止しながらガイド50、50a内に収められている(
図4参照)。
【0050】
移動体52、52aは、それぞれの巻取軸520がホッパー本体2の側壁21、21bと平行になるように、且つ前記のようにスプロケット521、521aをチェーン51、51aに噛み合わせた状態で架け渡されている。そして、移動体52、52aの各巻取軸520の正面側の先端の前記傘歯車は、それぞれギヤボックス53、53aの内部に巻取軸520を水平方向に回転自在に軸支して収められている。
【0051】
また、ギヤボックス53、53aは、巻取軸520と直角方向に垂下した取付軸530を有している。取付軸530は、ギヤボックス53、53a内に収められ前記巻取軸520先端の傘歯車と噛み合う傘歯車(図示省略)を有しており、取付軸530と巻取軸520は連動するようになっている。ギヤボックス53、53aの各取付軸530には、駆動軸であるドライブシャフト54、54aの上端が自在継手531を介し取り付けられている。
【0052】
ドライブシャフト54、54aは、上側の径大部540と下側の径小部541からなる入れ子式のスプライン構造であり、所要の範囲内で伸縮自在である。ドライブシャフト54、54aの下端は、ギヤボックス55の駆動軸56、56aに自在継手560を介し取り付けられている。ギヤボックス55は、支持フレーム1の正面側の上部中央に固定されており、正面側に円形の操作ハンドル57を有している。駆動軸56、56aは、操作ハンドル57を回転操作することにより、互いに逆方向へ回転する。ギヤボックス55、駆動軸56、56a及び操作ハンドル57は、ドライブシャフト54、54aを駆動する駆動手段を構成する。
【0053】
すなわち、操作ハンドル57を一方向へ回転操作すると、ドライブシャフト54、54aが回転し、その駆動力は巻取軸520に伝達されて移動体52、52aは回転し、各巻取軸520が互いに平行な状態を維持したままで、互いに近付く方向へ移動する。また、操作ハンドル57を前記とは逆方向へ回転操作すると、移動体52、52aは、互いに離れる方向へ移動する。なお、ドライブシャフト54、54aは、伸縮し角度を変えながら、前記移動体52、52aの移動に追従することができる。
【0054】
なお、移動体52の巻取軸520には、ほぼ全長にわたり前記シート24の上端辺部が固定されており、移動体52aの巻取軸520にも同様に、ほぼ全長にわたり前記シート24aの上端辺部が固定されている。シート24、24aの各上端辺部は、移動体52、52aが
図2に実線で示す位置(両端位置)で巻き始め位置となるようにして巻取軸520に固定されている。また、この状態では、シート24、24aがホッパー本体2の傾斜壁20と側壁21、及び傾斜壁20bと側壁21bに沿うように被さる。
【0055】
(作用)
図1ないし
図4を参照して本実施の形態に係るホッパー装置H1の作用を説明する。
まず、移動体52、52aが
図2に実線で示すようにホッパー本体2の上端の両端位置にあり、一対のシート24、24aがホッパー本体2の傾斜壁20と側壁21、及び傾斜壁20bと側壁21bに沿うようにそれぞれ被さっている状態で、ホッパー本体2内に適量の流動性固体が収容される。
【0056】
ホッパー本体2から必要量の流動性固体を排出する際には、排出コンベヤ3を作動させる。排出コンベヤ3が作動している間は、排出コンベヤ3と連動する崩し部材45が、常に流動性固体内で拘束されない自由な状態で進退動をするので、流動性固体の排出側にブリッジ又はラットホールが生じることを防止する一助となる。この自由な動きにより、シート24、24aを動かしてブリッジ又はラットホールを崩す作業を行う頻度を低くすることが期待できる。
【0057】
崩し部材45の進退動によっても流動性固体内にブリッジ又はラットホールが生じて流動性固体の排出ができなくなった場合は、操作ハンドル57を回転操作し、移動体52、52aを互いに近付く方向(
図2で矢印方向)へ移動させる。移動体52、52aをこの方向に移動させると、各巻取軸520が互いに反対方向に回転し、シート24、24aが上部から巻き取られる。これによって、シート24、24aは、各巻取軸520に上部から巻き取られながら移動体52、52aは互いに近付く方向に移動する。
【0058】
シート24、24aは、互いに近付く方向へ移動しながら各巻取軸520で巻き取られることによって上方から引っ張られて張力が増し、ホッパー本体2の傾斜壁20と側壁21、及び傾斜壁20bと側壁21bから離れる。シート24、24aがこのように変形することにより、ホッパー本体2の内壁(シート24、24aと、各傾斜壁20a、20c、及び各側壁21a、21c)で構成される収容部分の形状が変わるので、この形状に合わせるように流動性固体の全体が流動することとなる。
【0059】
これにより、流動性固体に生じていたブリッジ又はラットホールは崩れ、流動性固体は再度当初のように流動性をもってホッパー内の排出口22まで降りるので、流動性固体を排出口22から後工程へ供給できるようになる。この後、操作ハンドル57を前記と逆方向に回せば、シート24、24aは、流動性固体の重みで元のように傾斜壁20、側壁21、及び傾斜壁20b、側壁21bに沿うように当接する。
【0060】
また、シート24、24aが動くことで、シート24、24aの裏側、すなわちシート24、24aと、傾斜壁20と側壁21、及び傾斜壁20bと側壁21bとの間に流動性固体が多少入った場合でも、シート24、24aの下方の開口部220まで落ちるので、シート24、24aを元の位置に戻したときにシート24、24aの裏側に流動性固体が挟まって、流動性固体の不要な残留やこれに起因するシート24、24aの移動障害等の支障が出ることを防止できる。
【0061】
なお、シート24、24aは、柔軟性を有するシートで形成されているので、例えば形状が決まっていて変形しないものとは相違して、可動部である移動体52、52aの移動線を単純な直線で構成できる等、駆動装置の構造に制約が少なく、比較的簡易な構造で済むと共にシート24、24a自体の構造も簡易であるので、装置の全体的なコストもより安価に抑えることができる。
【0062】
次に、
図5ないし
図7を参照して、ホッパー装置の第2の実施形態を説明する。なお、
図6は、便宜上、側壁21c及び傾斜壁20bを透視した説明図としている。
ホッパー装置H2は、可動壁が前記シート24、24aではなく、剛性又は準剛性を有する複数の板部材を折り曲げ自在に繋いだ構造であること以外は、前記ホッパー装置H1とほぼ同様の構造を有している。
なお、
図5ないし
図7において、ホッパー装置H1と同一または同等箇所には同一の符号を付して示し、構造について重複する説明は省略する。
【0063】
ホッパー装置H2において、ホッパー本体2の内部には、可動壁である一対の折れ板26、26aの基端部の二箇所が傾斜壁20a、20cに回動自在に取り付けられている。折れ板26、26aは、前記槽壁のうち、相対向する傾斜壁20と側壁21、及び傾斜壁20bと側壁21bの内面に沿うように配置され、互いに同様の構造又は形状を有している。
【0064】
折れ板26、26aは、それぞれ剛性又は準剛性を有する長方形の上板部材260と、下側が窄まった下板部材261で構成され、両板部材260、261は蝶番262で繋がれている。両板部材260、261は、繋ぎ目である蝶番262を中心として互いに回動することができ、角度を変えて折り曲げが自在である。
【0065】
折れ板26、26aの全体形状は、下端部が上方に向かって切り取られ、残部がほぼ逆五角形状(下端形状を無視:
図7参照)を呈している。これにより、折れ板26、26aの下板部材261の下方で排出口22近傍には、流動性固体が通ることができる開口部221(
図5参照)が形成されている。なお、折れ板の下部材を更に下方へ延長し、下部材の下部に開口部を形成することもできる。
【0066】
また、一方の折れ板26は、傾斜壁20と側壁21を合わせた形状とほぼ同じであり、折れ板26aは、傾斜壁20bと側壁21bを合わせた形状とほぼ同じである。そして、折れ板26、26aは、上板部材260と下板部材261が蝶番262を介し折り曲げ自在であることを利用して、それぞれ傾斜壁20、側壁21、及び傾斜壁20b、側壁21bに沿わせることができる。
【0067】
折れ板26、26aの各上板部材260の上端辺部は、円管形状の取付部材263を介して、各移動軸520a(前記巻取軸520と同じ構造)に軸周方向に回動自在に取り付けられている。そして、折れ板26、26aは、駆動装置5によって、傾斜壁20、側壁21、及び傾斜壁20b、側壁21bに沿わせた状態から、上板部材260の上端辺部を引っ張られながら内方へ移動し、内方の適当な位置まで移動した状態から、傾斜壁20、側壁21、及び傾斜壁20b、側壁21bに沿わせた状態に戻すことができる。
【0068】
ホッパー装置H2の作用は、折れ板26、26aの変形の仕方が前記シート24、24aと異なるだけで、前記ホッパー装置H1と同様であるので、説明を省略する。
なお、折れ板26、26aは、剛性又は準剛性を有する複数の板部材を折り曲げ自在に繋いだ構造であるので、例えば形状が決まっていて変形しないものとは相違して、可動部である移動体52、52aの移動線を単純な直線で構成できる等、駆動装置の構造に制約が少なく、比較的簡易な構造で済むと共に折れ板26、26a自体の構造も簡易であるので、装置の全体的なコストもより安価に抑えることができる。
【0069】
本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形が可能であるということは言うまでもない。