(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の温度応答性シートは、温度25℃におけるポリエチレンナフタレートフィルムに対するピール粘着力(以下、「25℃におけるピール粘着力」ともいう)が、剥離角度180°、剥離速度300mm/minの条件下において0.1N/10mm以下であり、0.08N/10mm以下であることが好ましく、0.06N/10mm以下であることがより好ましい。また、前記25℃におけるピール粘着力は、小さいほど好ましいが、例えば、0.010N/10mm以上、0.005N/10mm以上、0.001N/10mm以上等とすることができる。
また、前記温度応答性シートは、温度120〜200℃の範囲内のいずれかの温度におけるポリエチレンナフタレートフィルムに対するピール粘着力(以下、「温度120〜200℃のいずれかの温度におけるピール粘着力」ともいう)が、剥離角度180°、剥離速度300mm/minの条件下において0.1N/10mm以上であり、0.15N/10mm以上であることが好ましく、0.2N/10mm以上であることがより好ましい。また、前記温度120〜200℃のいずれかの温度におけるピール粘着力は、大きいほど好ましいが、例えば、2N/10mm以下、5N/10mm以下、10N/10mm以下等とすることができる。
また、前記温度応答性シートは、ポリエチレンナフタレートフィルムに貼り付けて150℃で2時間加熱し、さらに、25℃で3時間放置した後の当該ポリエチレンナフタレートフィルムに対するピール粘着力(以下、「150℃で2時間加熱し、さらに、25℃で3時間放置した後のピール粘着力」ともいう)が、剥離角度180°、剥離速度300mm/minの条件下において0.5N/10mm以下であり、0.4N/10mm以下であることが好ましく、0.3N/10mm以下であることがより好ましい。また、前記150℃で2時間加熱し、さらに、25℃で3時間放置した後のピール粘着力は、小さいほど好ましいが、例えば、0.010N/10mm以上、0.005N/10mm以上、0.001N/10mm以上等とすることができる。
前記構成によれば、25℃におけるピール粘着力が0.1N/10mm以下であり、25℃における粘着力は低い。一方、温度120〜200℃のいずれかの温度におけるピール粘着力が0.1N/10mm以上であり、温度120〜200℃という比較的高温の状態にすると、ある程度の粘着力を発揮する。また、150℃で2時間加熱し、さらに、25℃で3時間放置した後のピール粘着力0.5N/10mm以下である。従って、150℃という比較的高温の状態に2時間という比較的長時間、曝されたとしても、25℃での粘着力が過度に増大することを抑制することができる。
【0020】
本発明の温度応答性シートとしては、ピール粘着力が上記数値範囲を満たす限り、構成材料は特に限定されない。
【0021】
前記温度応答性シートは、非晶性ポリマーを含有することが好ましい。非晶性ポリマーを含有させると、粘着力を制御しやすくなる。
【0022】
また、前記温度応答性シートは、側鎖結晶性ポリマーと非晶性ポリマーとを含有することが好ましい。側鎖結晶性ポリマーを含有させると、温度に応じて粘着、非粘着を転移させることが容易となる。また、非晶性ポリマーを含有させると、粘着力を制御することができる。
【0023】
前記側鎖結晶性ポリマーは、なかでも、水分散型ポリマーであることが好ましい。また、前記非晶性ポリマーは、なかでも、水分散型ポリマーであることが好ましい。前記側鎖結晶性ポリマーが水分散型ポリマーであると、温度に応じて粘着、非粘着を転移させることがより容易となる。また、前記非晶性ポリマーが水分散型ポリマーであると、粘着力をより容易に制御することができる。水分散型側鎖結晶性ポリマー、及び、水分散型非晶性ポリマーについては後に詳述する。
【0024】
以下、前記温度応答性シートの構成材料が、水分散型側鎖結晶性ポリマーと水分散型非晶性ポリマーとを含むポリマー組成物である場合について説明する。まず、前記水分散型側鎖結晶性ポリマーと、前記水分散型非結晶性ポリマーについて説明する。
【0025】
(水分散型側鎖結晶性ポリマー)
前記水分散型側鎖結晶性ポリマーとしては、側鎖が融点以下で配向し結晶化するポリマーであれば特に限定されないが、例えば、−COOR
1を有する(メタ)アクリル酸エステルを単量体成分として用いたポリマーを挙げることができる。前記R
1としては、炭素数10〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を挙げることができる。融点は、示差走査熱量計(DSC)で5℃/分の加熱速度で測定したときのピーク溶融温度T
mのことをいう。前記水分散型側鎖結晶性ポリマーの融点は、−30〜110℃の範囲内にあることが好ましく、−10〜90℃の範囲内にあることがより好ましい。
【0026】
また、前記水分散型側鎖結晶性ポリマーには、必要に応じ、前記単量体成分と共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。この様なモノマー成分としては、例えば、官能基含有ビニルモノマーが挙げられ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレートなどのカルボキシル基含有モノマー、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有ビニルモノマー、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−ビニルカルボン酸アミドなどのアミド基含有不飽和モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリルt−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有不飽和モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有不飽和モノマー、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有不飽和モノマー、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有不飽和モノマー、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有不飽和モノマー、例えば、N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー、例えば、N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー、例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマーなどが挙げられる。
【0027】
さらに、上記した官能基含有ビニルモノマーとしては、多官能性モノマーが挙げられる。前記多官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの他、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルモノマー、例えば、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。また、多官能性モノマーとして、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなども挙げられる。
【0028】
さらにまた、共重合可能なモノマーとしては、アルコキシシリル基含有ビニルモノマーが挙げられる。アルコキシシリル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、シリコーン系(メタ)アクリレートモノマーや、シリコーン系ビニルモノマーなどが挙げられる。
前記シリコーン系(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリブトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキル−トリアルコキシシラン、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジエトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキル−アルキルジアルコキシシランや、これらに対応する(メタ)アクリロイルオキシアルキル−ジアルキル(モノ)アルコキシシランなどが挙げられる。
また、前記シリコーン系ビニルモノマーとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシランなどのビニルトリアルコキシシランの他、これらに対応するビニルアルキルジアルコキシシランや、ビニルジアルキルアルコキシシラン、例えば、ビニルメチルトリメトキシシラン、ビニルメチルトリエトキシシラン、β−ビニルエチルトリメトキシシラン、β−ビニルエチルトリエトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリエトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルトリブトキシシランなどのビニルアルキルトリアルコキシシランの他、これらに対応する(ビニルアルキル)アルキルジアルコキシシランや、(ビニルアルキル)ジアルキル(モノ)アルコキシシランなどが挙げられる。
【0029】
前記水分散型側鎖結晶性ポリマーの具体的としては、例えば、J. Poly. Sci. 10:3347 (1972)、J. Poly.Sci. 10:1657 (1972)、J. Poly. Sci. 9:3367 (1971)、J. Poly. Sci. 9:3349(1971)、J.Poly. Sci. 9:1835 (1971)、J.A.C.S.76:6280 (1954)、J.Poly. Sci. 7:3053 (1969)、Polymer J.17:991 (1985)に記載のアクリレート、フルオロアクリレート、メタクリレート、およびビニルエステルポリマー、対応するアクリルアミド、置換アクリルアミドおよびマレイミドポリマー(J.Poly. Sci.: Poly. Physics Ed.18:2197 (1980))、J. Poly. Sci.: Macromol.Rev. 8:117-253 (1974)およびMacromolecules13:12 (1980)に記載のものなどのポリ(α−オレフィン)ポリマー、Macromolecules13:15(1980)に記載のものなどのポリアルキルビニルエーテル、ポリアルキルエチレンオキシド、Poly. Sci. USSR 21:241、Macromolecules18:2141記載のものなどのアルキルホスファゼンポリマー、ポリアミノ酸、Macromolecules12:94(1979)に記載のものなどのポリイソシアネート、Macromolecules19:611 (1986)に記載のものなどの、アミンまたはアルコール含有モノマーを長鎖アルキルイソシアネートと反応させることにより調製されるポリウレタン、ポリエステルおよびポリエーテル、ポリシロキサンおよびポリシラン、そしてJ.A.C.S.75:3326(1953)およびJ. Poly. Sci. 60:19 (1962)に記載のものなどのp−アルキルスチレンポリマーが挙げられる。
【0030】
(水分散型非晶性ポリマー)
前記水分散型非晶性ポリマーとしては、融点を有さずガラス転移点のみを有する無定型ポリマーであれば特に限定さないが、例えば、−COOR
2を有するアクリル酸エステルや、メタアクリル酸エステルを単量体成分として用いたポリマーを挙げることができる。前記R
2としては、炭素数1〜9の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を挙げることができる。ただし、アクリル酸メチルは用いないことが好ましい。前記水分散型非晶性ポリマーを構成するモノマーとしてアクリル酸メチルを用いないことにより、耐汚染性を向上させることができる。また、耐薬品性、耐水性を向上させることができる。
【0031】
また、前記水分散型非晶性ポリマーには、必要に応じ、前記単量体成分と共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。この様なモノマー成分として、例えば、官能基含有ビニルモノマーが挙げられ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレートなどのカルボキシル基含有モノマー、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有ビニルモノマー、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−ビニルカルボン酸アミドなどのアミド基含有不飽和モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリルt−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有不飽和モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有不飽和モノマー、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有不飽和モノマー、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有不飽和モノマー、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有不飽和モノマー、例えば、N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー、例えば、N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー、例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマーなどが挙げられる。
【0032】
さらに、上記した官能基含有ビニルモノマーとしては、多官能性モノマーが挙げられる。前記多官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの他、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルモノマー、例えば、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。また、多官能性モノマーとして、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなども挙げられる。
【0033】
さらにまた、共重合可能なモノマーとしては、アルコキシシリル基含有ビニルモノマーが挙げられる。アルコキシシリル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、シリコーン系(メタ)アクリレートモノマーや、シリコーン系ビニルモノマーなどが挙げられる。
前記シリコーン系(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリブトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキル−トリアルコキシシラン、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジエトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキル−アルキルジアルコキシシランや、これらに対応する(メタ)アクリロイルオキシアルキル−ジアルキル(モノ)アルコキシシランなどが挙げられる。
また、前記シリコーン系ビニルモノマーとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシランなどのビニルトリアルコキシシランの他、これらに対応するビニルアルキルジアルコキシシランや、ビニルジアルキルアルコキシシラン、例えば、ビニルメチルトリメトキシシラン、ビニルメチルトリエトキシシラン、β−ビニルエチルトリメトキシシラン、β−ビニルエチルトリエトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリエトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルトリブトキシシランなどのビニルアルキルトリアルコキシシランの他、これらに対応する(ビニルアルキル)アルキルジアルコキシシランや、(ビニルアルキル)ジアルキル(モノ)アルコキシシランなどが挙げられる。
【0034】
前記水分散型非晶性ポリマーのゲル分率は、架橋剤を配合しない状態で70重量%以上であることが好ましく、75重量%以上であることがより好ましい。また、前記水分散型非晶性ポリマーのゲル分率は、高いほど望ましいが、例えば、架橋剤を配合しない状態で90重量%以下、98重量%以下等とすることができる。非晶性ポリマーは、粘着性を付与する部分である。従って、前記水分散型非晶性ポリマーのゲル分率が、架橋剤を配合しない状態で70重量%以上であると、加温下でも非晶性ポリマーが動きにくい状態となる。その結果、粘着力の上昇を抑制することができる。架橋剤については後に説明する。
【0035】
前記水分散型非晶性ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、−200℃〜110℃の範囲内であることが好ましく、−150℃〜90℃の範囲内であることが好ましい。前記水分散型非晶性ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、なかでも、−10℃以上であることが好ましく、-5℃以上であることがより好ましい。前記水分散型非晶性ポリマーのガラス転移温度(Tg)が−10℃以上であると、加熱後に室温に冷却した際の軽剥離性をより確実に得ることができる。また、前記非晶性ポリマーのガラス転移温度が、−10℃以上であると、加熱による発泡を抑制でき、高温での粘着力を確保することが可能となる。
【0036】
前記水分散型非晶性ポリマーのガラス転移温度は、前記水分散型側鎖結晶性ポリマーのガラス転移温度以下であることが好ましい。前記水分散型非晶性ポリマーのガラス転移温度は、前記水分散型側鎖結晶性ポリマーのガラス転移温度と比較して、0℃〜180℃の範囲内で低いことがより好ましく、5℃〜150℃の範囲内で低いことがさらに好ましい。前記水分散型非晶性ポリマーのガラス転移温度が、前記水分散型側鎖結晶性ポリマーのガラス転移温度以下であると、製膜性が良好であり、比較的低温で容易に単独層からなるシートを得ることができる。本発明において、ガラス転移温度(Tg)は、下記Foxの式を用いて算出した値をいう。Fox式における各単量体のガラス転移温度は、Polymer Handbook Third Edition(Wiley−Interscience)に記載の値を用いることができる。
<Foxの式>
1/Tg=(W
1/Tg
1)+(W
2/Tg
2)+…+(W
m/Tg
m)
W
1+W
2+…+W
m=1
式中、Tgはポリマーのガラス転移温度を表わし、Tg
1,Tg
2,…,Tg
mは各単量体のガラス転移温度を表わす。また、W
1,W
2,…,W
mは各単量体の重量比率を表わす。
【0037】
(ポリマー組成物の製造方法)
前記ポリマー組成物は、前記水分散型側鎖結晶性ポリマーと前記水分散型非晶性ポリマーとを混合して得ることができる。前記水分散型側鎖結晶性ポリマーと、前記水分散型非晶性ポリマーは、それぞれ単独または2種以上を併用してもよい。
【0038】
前記ポリマー組成物の製造においては、前記水分散型側鎖結晶性ポリマーをそのまま用いてもよいが、前記水分散型側鎖結晶性ポリマーのエマルション、又は、前記水分散型側鎖結晶性ポリマーを分散した溶液としてから用いてもよい。
【0039】
前記水分散型側鎖結晶性ポリマーのエマルションは、例えば、前記水分散型側鎖結晶性ポリマーを製造するための単量体成分を含む油液相と、水及び乳化剤を含む水相とを調整し、これらを混合した後にホモミキサー等により乳化して、モノマープレエマルジョンを調整した後、このモノマープレエマルジョンを重合することにより得ることができる。本発明に使用される乳化装置としては特に制限されず、例えば、超音波ホモジナイザー、TKホモミキサー(プライミクス社製)、TKフィルミックス(プライミクス社製)、高圧ホモジナイザー(PANDA 2K、NIRO-SOAVI社製)、マイクロフルイダイザー(Microfluidics製)、ナノマイザー(吉田機械興業製)などが挙げられる。前記モノマープレエマルジョンの重合方法としては、一般的な一括重合、連続滴下重合、分割滴下重合などを採用でき、重合温度は、例えば20〜100℃程度である。また油相液は、油溶性開始剤や疎水性化合物を必要により任意成分として含んでいてもよい。
【0040】
また、前記ポリマー組成物の製造においては、前記水分散型非晶性ポリマーをそのまま用いてもよいが、前記水分散型非晶性ポリマーのエマルション、又は、前記水分散型非晶性ポリマーを分散した溶液としてから用いてもよい。
【0041】
前記水分散型非晶性ポリマーのエマルションは、例えば、前記水分散型非晶性ポリマーを製造するための単量体成分を含む油液相と、水及び乳化剤を含む水相とを調整し、これらを混合した後にホモミキサー等により乳化して、モノマープレエマルジョンを調整した後、このモノマープレエマルジョンを重合することにより得ることができる。前記モノマープレエマルジョンの重合方法としては、一般的な一括重合、連続滴下重合、分割滴下重合などを採用でき、重合温度は、例えば20〜100℃程度である。
【0042】
なお、前記ポリマー組成物には、必要に応じて他の添加剤を適宜に配合することができる。他の添加剤としては、架橋剤、粘着付与剤、防腐剤、pH調製剤、連鎖移動剤、充填剤、顔料、着色剤等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0043】
前記架橋剤としては、従来公知の架橋剤を使用することができ、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤などが挙げられる。前記架橋剤は、油溶性であってもよく、水溶性であってもよい。前記架橋剤の含有量としては、温度応答性シート製造用のエマルション(側鎖結晶性ポリマーを含有するエマルションと非晶性ポリマーを含有するエマルションとの混合物)の固形分100重量部に対して、0.001部〜5部が好ましい。前記架橋剤の含有量を前記数値範囲内とすることにより凝集力を向上させることができる。
【0044】
前記粘着付与剤としては、粘着付与成分として、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、キシレン樹脂、およびエラストマーなどを有するもの挙げることができる。
【0045】
(ポリマー組成物)
前記ポリマー組成物は、前記の通り、水分散型側鎖結晶性ポリマーと水分散型非晶性ポリマーとを別々に重合しておき、これらを混合して得られる。従って、前記ポリマー組成物は、安定かつ簡便に製造することができる。また、当該ポリマー組成物を用いてシート状物を製造すれば、温度応答性シートとすることができる。従って、前記ポリマー組成物によれば、安定かつ簡便に温度応答性シートを製造することができる。また、前記ポリマー組成物は、水系であるため、コストを比較的低減させ易い。
【0046】
前記ポリマー組成物に含まれる水分散型側鎖結晶性ポリマーの含有量は、1〜99.9重量%が好ましく、より好ましくは10〜90重量%である。また、前記ポリマー組成物に含まれる水分散型非晶性ポリマーの含有量は、0.1〜99重量%が好ましく、より好ましくは10〜90重量%である。
【0047】
また、前記ポリマー組成物を含む粘着剤組成物とする場合、前記粘着剤組成物に含まれる水分散型側鎖結晶性ポリマーの含有量は、5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましい。また、前記ポリマー組成物に含まれる水分散型非晶性ポリマーの含有量は、0重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましい。前記水分散型側鎖結晶性ポリマーの含有量、及び、前記水分散型非晶性ポリマーの含有量を、上記数値範囲内とすることにより、温度感応性の良好な粘着剤とすることができる。
【0048】
本発明の温度応答性シートは、温度によって物性を変化させることができる。特に、前記温度応答性シートを冷却剥離粘着シートとして使用する場合、前記冷却剥離粘着シートは、水分散型側鎖結晶性ポリマーを含むため、温度によって、粘着、非粘着を転移させることができ、水分散型非晶性ポリマーを含むため、粘着力を制御することができる。また、前記冷却剥離粘着シートは、水分散型ポリマー同士をブレンドしているため、結晶部と非晶部とを明確に相分離させることができ、温度感応性の鋭い冷却剥離粘着シートとすることができる。
【0049】
本発明の温度応答性シートは、単層のみからなるものであってもよく、多層であってもよい。
【0050】
前記温度応答性シートの厚さ(多層の場合は温度応答性シート全体の厚さ)は特に限定されないが加工性の観点より、1〜100μmが好ましく、3〜50μmがより好ましい。
【0051】
(温度応答性粘着テープ)
本発明の温度応答性粘着テープは、基材の少なくとも片面に前記温度応答性シートが設けられている。
【0052】
前記基材は温度応答性シートの強度母体となるものである。例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリフェニルスルフイド、アラミド(紙)、ガラス、ガラスクロス、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂、金属(箔)、紙等が挙げられる。
【0053】
前記基材の材料としては、前記樹脂の架橋体等のポリマーが挙げられる。前記プラスチックフィルムは、無延伸で用いてもよく、必要に応じて一軸又は二軸の延伸処理を施したものを用いてもよい。
【0054】
前記基材の表面は、隣接する層との密着性、保持性等を高める為、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的処理、下塗剤(例えば、後述する粘着物質)によるコーティング処理を施すことができる。前記基材は、同種又は異種のものを適宜に選択して使用することができ、必要に応じて数種をブレンドしたものを用いることができる。
【0055】
前記基材の厚さは、特に制限されず適宜に決定できるが、一般的には10〜200μm程度である。
【0056】
以下、基材上に温度応答性シートが形成された温度応答性粘着テープの製造方法について説明する。基材上に温度応答性シートが形成された温度応答性粘着テープは、前記ポリマー組成物を用い、例えば、以下のように製造される。
【0057】
まず、前記ポリマー組成物を作製する。次に、ポリマー組成物を基材上に所定厚みとなる様に塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を所定条件下で乾燥させ、温度応答性シートを形成する。塗布方法としては特に限定されず、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。また、乾燥条件としては、例えば乾燥温度50〜180℃で行われる。また、セパレータ上にポリマー組成物を塗布して塗布膜を形成した後、前記乾燥条件で塗布膜を乾燥させて温度応答性シートを形成してもよい。その後、基材上に温度応答性シートをセパレータと共に貼り合わせる。これより、基材上に温度応答性シートが形成された温度応答性粘着テープが得られる。
【0058】
前記ポリマー組成物は、結晶の溶融開始温度(T
0)と溶融終了温度(T
1)との幅が狭いことが好ましい。具体的には、溶融開始温度(T
0)と溶融終了温度(T
1)との幅が、ピーク溶融温度(Tm)から±15℃の範囲(示差走査熱量計(DSC)で5℃/分の加熱速度で測定)であることが好ましく、±10℃の範囲であることがより好ましい。前記ポリマー組成物は、Tmより低い温度では結晶化し、Tmより高い温度では側鎖結晶性ポリマーが融解する。前記ポリマー組成物は融解温度Tmの前後の温度で、種々の特性(例えば、粘着性、撥水性、柔軟性、透明性、熱伝導性、導電性、薬物放出性等の物性)が変化する。このような特性の変化は、可逆的に起こさせることができる。
【0059】
また、前記ポリマー組成物としては、当該ポリマー組成物を用いて製造される温度応答性シートを、示差走査熱量計(DSC)で5℃/分の加熱速度で測定したときに、溶融開始温度T
0とピーク溶融温度T
mとを有し、前記ピーク溶融温度T
mが、T
0〜(T
0+15)℃の範囲内に有するDSC曲線を生じるものを挙げることができる。
【0060】
本発明の温度応答性シート、及び、温度応答性粘着テープは、種々製造工程(たとえば電気・電子部品、半導体、セラミック電子部品、フレキシブル回路基板)の部材を固定する仮固定テープ、転写するための転写用テープ、保護するための保護テープとして活用することができる。仮固定テープとして使用する場合、固定する部材としては特に限定されないが、プラスチックフィルム、高機能カーボン系材料、金属、金属酸化物、ガラス、シリコンウェハ、布、木材、紙などがあげられる。転写用テープとして使用する場合、転写する部材としては特に限定されないが、プラスチックフィルム、高機能カーボン系材料、金属、金属酸化物、ガラス、シリコンウェハ、布、木材、紙や、それらの上に形成された基板(例えば、thin film transistor、TFT)があげられる。保護テープとして使用する場合、保護する部材としては特に限定されないが、プラスチックフィルム、高機能カーボン系材料、金属、金属酸化物、ガラス、シリコンウェハ、布、木材、紙や、それらの上に形成された基板(たとえばTFT)があげられ、保護テープとして用いることで、それらが使用される工程での、傷防止や薬剤(たとえば現像液、エッチング液、洗浄剤)、水によるダメージを防ぐことができる。
プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系ポリマーフィルム、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロースなどのセルロース系ポリマーフィルム、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系ポリマーフィルム、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系ポリマーフィルム、ポリカーボネート系ポリマーフィルムなど挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロまたはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体などのポリオレフィン系ポリマーフィルム、塩化ビニル系ポリマーフィルム、ナイロン、芳香族ポリアミドなどのアミド系ポリマーフィルム、イミド系ポリマーフィルム、スルホン系ポリマーフィルム、ポリエーテルスルホン系ポリマーフィルム、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマーフィルム、ポリフェニレンスルフィド系ポリマーフィルム、ビニルアルコール系ポリマーフィルム、塩化ビニリデン系ポリマーフィルム、ビニルブチラール系ポリマーフィルム、アリレート系ポリマーフィルム、ポリオキシメチレン系ポリマーフィルム、エポキシ系ポリマーフィルム、または上記したポリマーのブレンド物のフィルムなども挙げられる。
高機能カーボン系材料としては、例えば炭素ナノチューブ、グラファイト、グラフェン、グラフェン酸化物、金属が結合された炭素ナノチューブなどが挙げられる。
前記温度応答性シート、及び、前記温度応答性粘着テープは、例えば、表示装置(フレキシブルタイプ、小型タイプ、薄層タイプ)の製造工程に好適である。これらの表示装置の表示方式は特に限定されず、たとえば液晶方式、粒子移動方式、エレクトロクロミック方式、有機EL方式でもよい。また表示装置の使用用途は特に限定されず、たとえばテレビ用、PC用、携帯端末用、電子機器用、電子ペーパー用であってもよい。表示装置の製造工程において本粘着剤の使用工程は限定されず、たとえばTFT形成工程、カラーフィルタ形成工程、液晶注入工程、ITO形成工程などで使用することができる。
さらに前記温度応答性シート、及び、前記温度応答性粘着テープは、医療用、包装用などの使用に好適である。
【0061】
(柔軟性)
前記ポリマー組成物は、融点以上の温度にすると、融点以下の温度よりも柔軟性が向上することが好ましい。具体的には、融点以下の温度における初期弾性率と融点以上の温度における初期弾性率を比較したときに、融点以上の温度における初期弾性率が、融点以下の温度における初期弾性率よりも、1MPa以上低いことが好ましく、10MPa以上低いことがより好ましい。また、融点以下の温度における初期弾性率と融点以上の温度における初期弾性率との差は、大きいほど好ましいが、例えば、50MPa以内、40MPa以内である。また、融点以下の温度における破断伸びと融点以上の温度における破断伸びを比較したときに、融点以上の温度における破断伸びが、融点以下の温度における破断伸びよりも、100%以上大きいことが好ましい。また、融点以下の温度における破断伸びと融点以上の温度における破断伸びとの差は、大きいほど好ましいが、例えば、3000%以内、2000%以内である。初期弾性率、及び、破断伸びは、実施例記載の方法により得られる。
一般的なポリマー組成物(側鎖結晶成分を含まないもの)でも、高温にすると流動性が向上するため、柔軟になる。しかしながら、前記ポリマー組成物、及び、ポリマー組成物から得られる温度応答性シートは融点の前後で顕著にその柔軟性が変化する。
前記ポリマー組成物、及び、前記温度応答性シートが、温度に応じて、柔軟性が向上する場合、熱整形することが可能であるため、加温しながら型を転写し、冷やして離型するという手順で、成形用ポリマー組成物、及び、温度応答性シートとして使用できる。例えば、微細な凹凸のパターン形成や、採型、モールド、シーリング剤などとして使用することができる。
【0062】
(透明性)
前記ポリマー組成物は、融点以上の温度にすると、融点以下の温度よりも透明性が向上することが好ましい。具体的には、融点以上の温度としたときのヘイズが、5%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。また、融点以下の温度におけるヘイズと融点以上の温度におけるヘイズを比較したときに、融点以上の温度におけるヘイズが、融点以下の温度におけるヘイズよりも、その差として、3%以上向上することが好ましい。融点以上の温度にすると、融点以下の温度よりも透明性が向上する理由としては、融点以上の温度で結晶と非晶部が相溶状態となる一方、融点以下の温度では、結晶と非晶部とが分離状態となるためと推察される。
前記ポリマー組成物、及び、前記温度応答性シートが、温度によって透明性が変化する場合、電子機器用フィルム、表示装置用フィルム、遮光性フィルムとして使用することができる。遮光性フィルムとしては特に限定されることなく、窓ガラス、パーティション、手すりガラスなどの建築物、または乗り物等において利用できる。
【0063】
(表面形状)
前記ポリマー組成物を用いて製造された温度応答性シートは、融点以上の温度にすると、表面に凹凸が形成され、融点以下の温度にすると融点以上の温度のときよりも、表面が平滑となることが好ましい。これは、融点以上の温度にすることで、結晶が融解し膨張し、表面に突出するためと推察される。
【0064】
(表面張力)
前記ポリマー組成物を用いて製造された温度応答性シートは、融点以上の温度にすると、表面張力が低下して、水に対する接触角が増大し、融点以下の温度にすると表面張力が増加して、水に対する接触角低下する。具体的には、融点以上の温度としたときの水に対する接触角が、30〜130°であることが好ましい。また、融点以下の温度における水に対する接触角と融点以上の温度における水に対する接触角を比較したときに、融点以上の温度における水に対する接触角が、融点以下の温度における水に対する接触角よりも、3〜30°向上することが好ましく、5〜20°向上することがより好ましい。融点以上の温度にすると、融点以下の温度よりも水に対する接触角が向上する理由としては、上記のように融点以上で微細な表面凹凸を形成するためと推察される。また、凸部が側鎖結晶部であり、疎水性が高いため、表面張力が低下すると推察される。
前記ポリマー組成物、及び、前記温度応答性シートは、温度に応じて表面張力が変化する場合、防汚、防曇、防カビ、耐生物付着防止用のコーティング剤、及び、シートとして使用することができる。用途は特に限定されず、たとえば建材用(内装・外装)、自動車用、飛行機用、船舶用、太陽光パネル用、ガラス用、レンズ用、鏡用、水回り用などがあげられる。
【0065】
(熱伝導率)
前記ポリマー組成物を用いて製造された温度応答性シートは、融点以上の温度にすると、熱伝導率が向上することが好ましい。具体的には、融点以上の温度としたときの熱伝導率が、0.2W/mK以上であることが好ましい。また、融点以上の温度としたときの熱伝導率は、大きいほど好ましいが、例えば、1W/mK以下である。また、融点以下の温度における熱伝導率と融点以上の温度における熱伝導率を比較したときに、融点以上の温度における熱伝導率が、融点以下の温度における熱伝導率よりも、0.03W/mK以上向上することが好ましい。また、前記熱伝導率の向上は、大きいほど好ましいが、例えば、1W/mK以下とすることができる。融点以上の温度にすると、融点以下の温度よりも熱伝導率が向上する理由としては、融点以上の温度で流動性があがり被着体に密着するためと推察される。前記ポリマー組成物及び、前記温度応答性シートは、温度に応じて熱伝導率が変化する場合、熱伝導フェイズチェンジシートとして利用することができる。用途は特に限定されずたとえば電子・電気部品、通信機器、照明機器などの放熱や、CPU、メモリー、GPU、LEDなどの半導体チップの実装などに使用することができる。
【0066】
(導電性)
前記ポリマー組成物を用いて製造された温度応答性シートは、融点以上の温度にすると、導電性が向上することが好ましい(体積抵抗値が低下することが好ましい)。具体的には、融点以上の温度としたときの体積抵抗値が、1.0×10
12Ωcm以下であることが好ましい。また、融点以上の温度としたときの体積抵抗値は、小さいことが好ましいが、例えば、1.0×10
9Ωcm以上である。また、融点以下の温度における体積抵抗値と融点以上の温度における体積抵抗値を比較したときに、融点以上の温度における体積抵抗値が、融点以下の温度における体積抵抗値よりも、1桁以上低下する(例えば、融点以下の温度における体積抵抗値が1.0×10
12Ωcmの場合には、融点以上の温度における体積抵抗値が、1.0×10
11Ωcm以下となる)ことが好ましい。前記低下量は、大きいほど好ましいが、例えば、3桁以内である(例えば、融点以下の温度における体積抵抗値が1.0×10
12Ωcmの場合、融点以上の温度における体積抵抗値が、1.0×10
9Ωcm以上である)。融点以上の温度にすると、融点以下の温度よりも体積抵抗値が向上する理由としては、融点以上の温度で流動性があがり被着体に密着するためと推察される。
前記ポリマー組成物、及び、前記温度応答性シートは、温度に応じて導電性が変化する場合、その用途は特に限定されず、プリント基板、積層基盤、水晶振動子、電子部品、半導体などで使用することができる。
【0067】
(化合物の放出性)
前記ポリマー組成物を用いて製造された温度応答性シートは、化合物を添加した場合、融点以上の温度で内包した薬化合物放出する速度が向上することが好ましい。
前記ポリマー組成物及び温度応答性シートに内包する化合物は特に限定されない、有機化合物であっても、無機化合物であってもよい。たとえば薬物、生理活性物質、触媒、硬化剤、開始剤などがあげられる。前記ポリマー組成物、及び、前記温度応答性シートは、貼付剤のような医療用途、工業用途などで利用することができる。
【0068】
(ガス透過性)
前記ポリマー組成物を用いて製造された温度応答性シートは、融点以上の温度でガス(CO
2、O
2、H
2Oなど)の透過性が高く、融点以下の温度ではガスの透過性が低いことが好ましい。
温度応答性シートの使用用途は特に限定されないが、たとえば包装用、保存容器、医療用、センサー用、フィルター用に使用することができる。
【実施例】
【0069】
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の要旨をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、部とあるのは、重量部を意味する。
【0070】
(実施例1)
<側鎖結晶性ポリマー調製工程>
ステアリルアクリレート100部、アクリル酸2部を混合して油相液を調製した。純水410部と乳化剤(商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)を固形分で1部加え水相液を調製した。次いで、油相液と水相液とを混合し、TK−ホモミキサー(プライミクス社製)を用いて6000rpmで1分間撹拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを、高圧ホモジナイザー(ナノマイザーNM2−L200、吉田機械興業社製)を用いて、圧力100MPaで2パス処理し、モノマーエマルションを得た。
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、65℃に昇温し、開始剤(VA−057、和光純薬工業社製)0.7部添加した。その後5時間重合することにより固形分20%の側鎖結晶性ポリマー(ガラス転移温度:41℃)のエマルションA−1を得た。
【0071】
<非晶性ポリマー調製工程>
メチルメタクリレート48部、2-エチルへキシルアクリレート48部、アクリル酸4部を混合して油相液を調製した。純水43部と乳化剤(商品名:アクアロンHS−11025、第一工業製薬社製)を固形分で3部加え、水相液を調製した。次いで、油相液と水相液とを混合し、TK−ホモミキサー(プライミクス社製)を用いて2000rpmで2分間、6000rpmで1分間撹拌し乳化して、モノマーエマルションを調製した。
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に純水100部を加え、窒素置換した後、75℃に昇温し、開始剤(過硫酸アンモニウム)0.1部添加した。次いで上記モノマーエマルションを3時間かけて滴下し、その後5時間熟成させることにより固形分40%の非晶性ポリマー(ゲル分率:75重量%、ガラス転移温度:−6℃)のエマルションA−2を得た。
【0072】
<ブレンドフィルム作製工程>
側鎖結晶性ポリマーが固形分で15部、非晶性ポリマーが固形分で85部となるように、エマルションA−1とエマルションA−2とを混合し、さらに架橋剤(TETRAD/C、三菱ガス化学社製)0.4部、レベリング剤(サーフィノール420、日信化学工業製)1部を添加し、TKロボミックス(PRIMIX社製)を用いて500rpmで5分間撹拌し、ブレンドエマルションA−3を得た。次に、得られたブレンドエマルションA−3を、厚さ50μmのポリイミドフィルム(カプトン200V、東レ・デュポン製)上に、乾燥後の厚みが20μmとなるようにコーティングして、その後、熱風循環式オーブンで、120℃で3分間乾燥させて、実施例1に係る温度応答性シートを作製した。なお、ゲル分率は、下記にて説明する方法により測定した。また、ガラス転移温度(Tg)は、上記にて説明したFoxの式を用いて算出した値である。
【0073】
(実施例2)
<非晶性ポリマー調製工程>
実施例1の非晶性ポリマー調製工程における重合温度を50℃に変更した以外は実施例1と同様にして、固形分40%の実施例2に係る非晶性ポリマー(ゲル分率:86重量%、ガラス転移温度:−6℃)のエマルションB−2を得た。
【0074】
<ブレンドフィルム作製工程>
側鎖結晶性ポリマーが固形分で15部、非晶性ポリマーが固形分で85部となるように、エマルションA−1とエマルションB−2とを混合し、さらに架橋剤(TETRAD/C、三菱ガス化学社製)1部、レベリング剤(サーフィノール420、日信化学工業製)1部を添加し、TKロボミックス(PRIMIX社製)を用いて500rpmで5分間撹拌し、ブレンドエマルションB−3を得た。次に、得られたブレンドエマルションB−3を、厚さ50μmのポリイミドフィルム(カプトン200V、東レ・デュポン製)上に、乾燥後の厚みが20μmとなるようにコーティングして、その後、熱風循環式オーブンで、120℃で3分間乾燥させて、実施例2に係る温度応答性シートを作製した。
【0075】
(比較例1)
<水分散型側鎖結晶共重合ポリマー調整工程>
メチルメタクリレート40.5部、2−エチルへキシルアクリレート40.5部、ステアリルアクリレート15部、アクリル酸4部を混合して油相液を調製した。純水238部と乳化剤(アニオン性非反応性乳化剤、商品名:ハイテノールLA−16、第一工業製薬社製)を固形分で1部加え、水相液を調製した。次いで、油相液と水相液とを混合し、TK−ホモミキサー(プライミクス社製)を用いて6000rpmで1分間撹拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。次いで、このモノマープレエマルションを、高圧ホモジナイザー(ナノマイザーNM2−L200、吉田機械興業社製)を用いて、圧力100MPaで2パス処理し、モノマーエマルションを得た。
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、65℃に昇温し、開始剤(VA−057、和光純薬工業社製)0.7部添加した。その後5時間重合することにより固形分30%の水分散型側鎖結晶性共重合ポリマーのエマルションC−1を得た。
【0076】
<フィルム作製工程>
固形分が100部含まれる水分散型側鎖結晶性共重合ポリマーのエマルションC−1に対して、架橋剤(TETRAD/C、三菱ガス化学社製)0.4部、レベリング剤(サーフィノール420,日信化学工業製)1部を添加し、TKロボミックス(PRIMIX社製)を用いて500rpmで5分間撹拌し、エマルションC−3を得た。次に、得られたエマルションC−3を、厚さ50μmのポリイミドフィルム(カプトン200V、東レ・デュポン製)上に、乾燥後の厚みが20μmとなるようにコーティングして、その後、熱風循環式オーブンで、120℃で3分間乾燥させて、温度応答性シートを作製した。
【0077】
(比較例2)
<溶剤型側鎖結晶共重合ポリマー調整作製>
メチルメタクリレート40.5部、2−エチルへキシルアクリレート40.5部、ステアリルアクリレート15部、アクリル酸4部を混合し、酢酸エチル153部と開始剤AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.2部とともに冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に投入した。次いで、反応容器を窒素置換した後、60℃に昇温し7時間重合し固形分40%の溶剤型側鎖結晶共重合ポリマー溶液D−1を得た。
【0078】
<フィルム作製工程>
固形分が100部含まれる水分散型側鎖結晶性共重合ポリマーのエマルションD−1に対して、架橋剤(TETRAD/C、三菱ガス化学社製)0.4部を添加し、TKロボミックス(PRIMIX社製)を用いて500rpmで5分間撹拌した後、厚さ50μmのポリイミドフィルム(カプトン200V、東レ・デュポン製)上に、乾燥後の厚みが20μmとなるようにコーティングして、その後、熱風循環式オーブンで、120℃で3分間乾燥させて、温度応答性シートを作製した。
【0079】
(比較例3)
<フィルム作製工程>
固形分が100部含まれる非晶性ポリマーのエマルションA−2に対して、架橋剤(TETRAD/C、三菱ガス化学社製)0.4部、レベリング剤(サーフィノール420,日信化学工業製)1部を添加し、TKロボミックス(PRIMIX社製)を用いて500rpmで5分間撹拌し、ブレンドエマルションE−3を得た。次に、得られたブレンドエマルションE−3を、厚さ50μmのポリイミドフィルム(カプトン200V、東レ・デュポン製)上に、乾燥後の厚みが20μmとなるようにコーティングして、その後、熱風循環式オーブンで、120℃で3分間乾燥させて、温度応答性シートを作製した。
【0080】
(比較例4)
ブレンドフィルム作製工程において架橋剤を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして比較例4に係る温度応答性シートを作製した。
【0081】
(比較例5)
非晶性ポリマー調製工程において、メチルメタクリレートの配合量を42部、2-エチルへキシルアクリレートの配合量を54部とした以外は、実施例1と同様にして比較例5に係る温度応答性シート作製した。比較例5に係る非晶性ポリマー調製工程において得られた非晶性ポリマーは、固形分40%、ゲル分率:74重量%、ガラス転移温度:−15℃であった。
【0082】
(比較例6)
非晶性ポリマー調製工程において、開始剤の配合量を0.5部とした以外は実施例1と同様にして比較例6に係る温度応答性シート作製した。比較例6に係る非晶性ポリマー調製工程において得られた非晶性ポリマーは、固形分40%、ゲル分率:50重量%、ガラス転移温度:−6℃であった。
【0083】
(ゲル分率の測定)
実施例1〜2、及び、比較例3〜6に係る非晶性ポリマーを120℃で3分間乾燥させた後、約0.1gとり、これを秤量して重量(W1)を求めた。次に、秤量した非晶性ポリマーを約50mlの酢酸エチル中で室温(20〜25℃程度)で1週間浸漬したのち、溶剤(酢酸エチル)不溶分を取り出した。次に、取り出した溶剤不溶分を130℃で約1時間乾燥した後、重量(W2)を測定した。これらの測定値から、下記の式にしたがって、非晶性ポリマーのゲル分率(重量%)を求めた。
ゲル分率(重量%)=(W2/W1)×100
【0084】
(粘着力評価)
作製した実施例、及び、比較例係る温度応答性シートを幅10mmに切断し、これを60℃雰囲気下に30分静置した。次いで60℃雰囲気下で2kgのゴムローラーを1往復させて、SUS板に貼りつけられたポリエチレンナフタレート( PEN)フィルム(テオネックスQ51、厚さ125μm、帝人デュポンフィルム製)に圧着し、測定用サンプルを作製した。
【0085】
(25℃でのピール粘着力)
上記で作製した測定用サンプルを25℃雰囲気下に30分静置後、引張り試験機TG−1KN(ミネベア社製を)用いて180°ピール、剥離速度300mm/分、25℃雰囲気中で測定した。結果を表1に示す。
【0086】
(150℃でのピール粘着力)
上記で作製した測定用サンプルを150℃雰囲気下に30分静置後、引張り試験機TG−1KN(ミネベア社製を)用いて180°ピール、剥離速度300mm/分、150℃雰囲気中で測定した。結果を表1に示す。
【0087】
(150℃で2時間加熱し、さらに、25℃で3時間放置した後のピール粘着力)
上記で作製した測定用サンプルを150℃のオーブン内に2時間静置した後、25℃で3時間静置した。その後、引張り試験機TG−1KN(ミネベア社製を)用いて180°ピール、剥離速度300mm/分、25℃雰囲気中で測定した。結果を表1に示す。
【0088】
(耐汚染性)
上記の150℃で2時間加熱し、さらに、25℃で3時間放置した後のピール粘着力を測定した後のPENフィルム表面を目視にて観察した。その結果、温度応答シートが貼り付けられていた部分と、貼り付けていなかった部分とで差がなかった場合を〇、温度応答シートを貼り付けられていた部分に白化が見られた場合を△、温度応答シートが貼り付けていた部分に、糊残りが見られた場合を×として評価した。結果を表1に示す。なお、結果が×の場合は、シートが凝集破壊を起こしていると考えられる。
【0089】
【表1】