特許第6041662号(P6041662)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大阪瓦斯株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6041662-粉体燃焼装置 図000002
  • 特許6041662-粉体燃焼装置 図000003
  • 特許6041662-粉体燃焼装置 図000004
  • 特許6041662-粉体燃焼装置 図000005
  • 特許6041662-粉体燃焼装置 図000006
  • 特許6041662-粉体燃焼装置 図000007
  • 特許6041662-粉体燃焼装置 図000008
  • 特許6041662-粉体燃焼装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041662
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】粉体燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23C 1/12 20060101AFI20161206BHJP
   F23D 17/00 20060101ALI20161206BHJP
   F23D 1/00 20060101ALI20161206BHJP
   F23D 1/02 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   F23C1/12
   F23D17/00 103
   F23D1/00 Z
   F23D1/02 Z
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-278554(P2012-278554)
(22)【出願日】2012年12月20日
(65)【公開番号】特開2014-122743(P2014-122743A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2015年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100128901
【弁理士】
【氏名又は名称】東 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】坂口 宏睦
(72)【発明者】
【氏名】田中 康郎
(72)【発明者】
【氏名】小倉 啓宏
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−47390(JP,A)
【文献】 特開2011−75177(JP,A)
【文献】 特開平7−83405(JP,A)
【文献】 特開平7−280212(JP,A)
【文献】 特開2010−242999(JP,A)
【文献】 実開昭58−132314(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23C 1/12
F23D 17/00
F23D 1/00 − 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉状可燃物を燃焼させる粉体燃焼装置であって、
ガス燃料を噴出するガス燃料噴出部と、そのガス燃料噴出部から噴出されるガス燃料を燃焼させる空気を噴出するガス用空気噴出部とを備えたガス専焼バーナ、及び、粉状可燃物と搬送用空気とガス燃料とを元混合した粉体混合ガスを噴出する粉体混合ガス噴出部と、その粉体混合ガス噴出部から噴出される粉体混合ガスを燃焼させる空気を噴出する粉体用空気噴出部とを備えた粉体混焼バーナが隣接して設けられ、
前記ガス燃料噴出部の外周部に、環状の前記ガス用空気噴出部が設けられ、その環状のガス用空気噴出部の外周部に、環状の前記粉体混合ガス噴出部及び環状の前記粉体用空気噴出部が内側から外側に向けて並ぶ状態で設けられ、
前記ガス専焼バーナの燃焼量を調整する専焼燃焼量調整手段が設けられている粉体燃焼装置。
【請求項2】
粉状可燃物を燃焼させる粉体燃焼装置であって、
ガス燃料を噴出するガス燃料噴出部と、そのガス燃料噴出部から噴出されるガス燃料を燃焼させる空気を噴出するガス用空気噴出部とを備えたガス専焼バーナ、及び、粉状可燃物と搬送用空気とガス燃料とを元混合した粉体混合ガスを噴出する粉体混合ガス噴出部と、その粉体混合ガス噴出部から噴出される粉体混合ガスを燃焼させる空気を噴出する粉体用空気噴出部とを備えた粉体混焼バーナが隣接して設けられ、
前記粉体用空気噴出部として、前記粉体混合ガス噴出部から噴出される粉体混合ガスを燃焼させる一次空気を噴出する粉体用一次空気噴出部と、前記粉体混合ガス噴出部から噴出される粉体混合ガスを燃焼させる二次空気を噴出する粉体用二次空気噴出部とが備えられ、
前記ガス燃料噴出部の外周部に、環状の前記ガス用空気噴出部が設けられ、その環状のガス用空気噴出部の外周部に、前記粉体用一次空気噴出部としての環状の内側粉体用一次空気噴出部、環状の前記粉体混合ガス噴出部及び前記粉体用一次空気噴出部としての環状の外側粉体用一次空気噴出部が内側から外側に向けて並ぶ状態で設けられ、
前記粉体用一次空気噴出部が、前記粉体混合ガス噴出部の側方から一次空気を噴出するように備えられ、
前記粉体用二次空気噴出部が、二次空気を前記粉体用一次空気噴出部における前記粉体混合ガス噴出部側とは反対側の側方から噴出するように備えられ、
前記ガス専焼バーナの燃焼量を調整する専焼燃焼量調整手段が設けられている粉体燃焼装置。
【請求項3】
前記外側粉体用一次空気噴出部の外周部に、環状の前記粉体用二次空気噴出部が設けられ、
その粉体用二次空気噴出部から噴出する二次空気を旋回させる二次空気旋回手段が設けられている請求項2に記載の粉体燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉状可燃物を燃焼させる粉体燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる粉体燃焼装置は、有機性汚泥から揮発性成分と水分を除去して微粉状にした有機性汚泥粉、廃プラスチックを微粉状にした廃プラスチック粉、石炭を微粉状にした微粉炭等の粉状可燃物を燃焼させるものである。
このような粉体燃焼装置において、従来は、ガス燃料又は液体燃料(例えば、重油)等の燃料を噴出する燃料噴出ノズルの周囲に、環状の空気噴出口を設け、その環状の空気噴出口に、粉状可燃物と搬送用空気とを元混合した粉体混合空気を噴出する複数の粉体混合空気噴出口を周方向に分散して設けていた。
具体的には、円筒状の空気供給筒の内部に、先端に燃料噴出ノズルを備えた燃料噴出管を設けて、それら燃料噴出管と空気供給筒との間を空気供給路とすると共に、それら燃料噴出管と空気供給筒との間の環状の開口部を空気噴出口とし、空気供給路内に、先端に粉体混合空気噴出口を備えた複数の粉体混合空気噴出管を周方向に分散して設けていた。
【0003】
そして、このような従来の粉体燃焼装置では、以下のような運転方法で運転されていた。
即ち、先ず、空気噴出口から空気を噴出すると共に、燃料噴出ノズルからガス燃料又は液体燃料等の燃料を噴出して燃料を燃焼させ、その燃料の燃焼が安定した後に、複数の粉体混合空気噴出管から粉体混合空気を噴出する運転方法にて運転されていた(例えば、特許文献1参照。)。
つまり、ガス燃料又は液体燃料等の燃料が空気により燃焼して形成される火炎に向けて粉体混合空気を噴出することにより、粉体混合空気中の粉状可燃物を燃焼させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3038533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般に、粉状可燃物の易燃焼性(燃焼のし易さ)は、ガス燃料等の燃料に比べて低い。
しかしながら、従来の粉体燃焼装置では、ガス燃料又は液体燃料等の燃料が空気により燃焼して形成される火炎に向けて、粉状可燃物が混合された粉体混合空気を噴出することから、火炎中に粉体混合空気を拡散させるようにしても、粉体混合空気中の粉状可燃物に満遍なく火炎を接触させ難いため、粉体混合空気中の粉状可燃物を効率良く燃焼させ難く、粉体混合空気噴出管から噴出された粉体混合空気中の粉状可燃物の未燃率が高くなり易かった。
ちなみに、粉状可燃物の未燃率が高くなると、炉内に粉状可燃物の燃焼残滓が溜まり易くなるので、炉の加熱効率が低下すると共に、燃焼残滓を除去するための清掃作業の負担が重くなる。
そこで、従来では、粉状可燃物の未燃率を低下するために、ガス燃料又は液体燃料等の燃料の比率を高くしており、燃料混焼率(ガス燃料又は液体燃料等の燃料と粉状可燃物との混合比率(例えば、重量比))が高くなるので、燃料混焼率を低減して省エネルギ化を図る上で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料混燃率を低下しながら、未燃率を低下するように粉状可燃物を燃焼し得る粉体燃焼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る粉体燃焼装置は、粉状可燃物を燃焼させるものであって、
その特徴構成は、ガス燃料を噴出するガス燃料噴出部と、そのガス燃料噴出部から噴出されるガス燃料を燃焼させる空気を噴出するガス用空気噴出部とを備えたガス専焼バーナ、及び、粉状可燃物と搬送用空気とガス燃料とを元混合した粉体混合ガスを噴出する粉体混合ガス噴出部と、その粉体混合ガス噴出部から噴出される粉体混合ガスを燃焼させる空気を噴出する粉体用空気噴出部とを備えた粉体混焼バーナが隣接して設けられ、
前記ガス燃料噴出部の外周部に、環状の前記ガス用空気噴出部が設けられ、その環状のガス用空気噴出部の外周部に、環状の前記粉体混合ガス噴出部及び環状の前記粉体用空気噴出部が内側から外側に向けて並ぶ状態で設けられ、
前記ガス専焼バーナの燃焼量を調整する専焼燃焼量調整手段が設けられている点にある。
【0008】
上記特徴構成によれば、ガス専焼バーナのガス燃料噴出部から噴出されるガス燃料がガス用空気噴出部から噴出される空気により安定燃焼するので、ガス専焼バーナにより、ガス燃料による安定した火炎が形成される。
そして、そのようにガス専焼バーナにて形成される安定した火炎に対して、そのガス専焼バーナに隣接して設けられた粉体混焼バーナの粉体混合ガス噴出部から粉体混合ガスが噴出されると共に、粉体用空気噴出部から空気が噴出されるので、粉体混合ガス中のガス燃料及び粉状可燃物が、ガス専焼バーナの火炎により引火して燃焼する。
その際、粉体混合ガス中のガス燃料は粉状可燃物よりも易燃焼性が高いことから、粉体混合ガス中のガス燃料がガス専焼バーナの火炎により引火して、粉体混合ガス中の全体に拡がって燃焼するので、そのように粉体混合ガス中のガス燃料が燃焼して形成される火炎やガス専焼バーナの火炎に引火して、粉体混合ガス中の粉状可燃物が燃焼することになり、粉体混合ガス中のガス燃料の比率を低くしても、粉体混合ガス中の粉状可燃物を効率良く燃焼させることができる。
また、ガス専焼バーナにて形成される火炎の外周部に、粉体混合ガス噴出部から粉体混合ガスが環状に噴出されると共に、その環状に噴出される粉体混合ガスの外周部に、粉体用空気噴出部から空気が噴出されることから、粉体混合ガス噴出部から噴出される粉体混合ガスの広い範囲に、ガス専焼バーナにて形成される火炎を行きわたらせることができるので、粉体混合ガス噴出部から噴出される粉体混合ガスに対するガス専焼バーナにて形成される火炎からの引火作用を強くすることができる。
つまり、ガス専焼バーナによって粉体混焼バーナを安定燃焼させるのに要する時間(以下、起動時間と記載する場合がある)を短縮することができ、しかも、粉体混焼バーナの燃焼が安定した後に、専焼燃焼量調整手段によりガス専焼バーナの燃焼量を減少させるにしても、粉体混焼バーナの安定燃焼を維持しながら、ガス専焼バーナの燃焼量の減少量を一層大きくすることができる。
従って、燃料混焼率を一層低下することができ、しかも、起動時の省エネルギ化及び排ガス損失の低減を図ることができるので、エネルギ効率を一層向上することができる。
【0009】
又、専焼燃焼量調整手段が設けられているので、粉体混焼バーナでのガス燃料及び粉状可燃物の燃焼が安定すれば、その粉体混焼バーナの安定燃焼を継続させながら、ガス専焼バーナの燃焼量を減少させる、又は、ガス専焼バーナの燃焼作動を停止させることが可能となる。
つまり、粉体混焼バーナの粉体混合ガス噴出部から噴出される粉体混合ガス中にはガス燃料が含まれているため、そのガス燃料が粉体混合ガス中の全体に拡がって燃焼して、その火炎に引火する形態で粉体混合ガス中の粉状可燃物が燃焼するので、粉体混合ガス噴出部から噴出される粉体混合ガス中のガス燃料の比率を低くしながらも、未燃率を低下するように粉体混合ガス中の粉状可燃物を効率良く燃焼させることができるようになり、全体として燃料混焼率を低下することができる。
従って、燃料混焼率を低下しながら、未燃率を低下するように粉状可燃物を燃焼し得る粉体燃焼装置を提供することができる。
【0010】
本発明に係る粉体燃焼装置は、粉状可燃物を燃焼させるものであって、
その特徴構成は、ガス燃料を噴出するガス燃料噴出部と、そのガス燃料噴出部から噴出されるガス燃料を燃焼させる空気を噴出するガス用空気噴出部とを備えたガス専焼バーナ、及び、粉状可燃物と搬送用空気とガス燃料とを元混合した粉体混合ガスを噴出する粉体混合ガス噴出部と、その粉体混合ガス噴出部から噴出される粉体混合ガスを燃焼させる空気を噴出する粉体用空気噴出部とを備えた粉体混焼バーナが隣接して設けられ、
前記粉体用空気噴出部として、前記粉体混合ガス噴出部から噴出される粉体混合ガスを燃焼させる一次空気を噴出する粉体用一次空気噴出部と、前記粉体混合ガス噴出部から噴出される粉体混合ガスを燃焼させる二次空気を噴出する粉体用二次空気噴出部とが備えられ、
前記ガス燃料噴出部の外周部に、環状の前記ガス用空気噴出部が設けられ、その環状のガス用空気噴出部の外周部に、前記粉体用一次空気噴出部としての環状の内側粉体用一次空気噴出部、環状の前記粉体混合ガス噴出部及び前記粉体用一次空気噴出部としての環状の外側粉体用一次空気噴出部が内側から外側に向けて並ぶ状態で設けられ、
前記粉体用一次空気噴出部が、前記粉体混合ガス噴出部の側方から一次空気を噴出するように備えられ、
前記粉体用二次空気噴出部が、二次空気を前記粉体用一次空気噴出部における前記粉体混合ガス噴出部側とは反対側の側方から噴出するように備えられ、
前記ガス専焼バーナの燃焼量を調整する専焼燃焼量調整手段が設けられている点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、ガス専焼バーナのガス燃料噴出部から噴出されるガス燃料がガス用空気噴出部から噴出される空気により安定燃焼するので、ガス専焼バーナにより、ガス燃料による安定した火炎が形成される。
そして、そのようにガス専焼バーナにて形成される安定した火炎に対して、そのガス専焼バーナに隣接して設けられた粉体混焼バーナの粉体混合ガス噴出部から粉体混合ガスが噴出されると共に、粉体用空気噴出部から空気が噴出されるので、粉体混合ガス中のガス燃料及び粉状可燃物が、ガス専焼バーナの火炎により引火して燃焼する。
その際、粉体混合ガス中のガス燃料は粉状可燃物よりも易燃焼性が高いことから、粉体混合ガス中のガス燃料がガス専焼バーナの火炎により引火して、粉体混合ガス中の全体に拡がって燃焼するので、そのように粉体混合ガス中のガス燃料が燃焼して形成される火炎やガス専焼バーナの火炎に引火して、粉体混合ガス中の粉状可燃物が燃焼することになり、粉体混合ガス中のガス燃料の比率を低くしても、粉体混合ガス中の粉状可燃物を効率良く燃焼させることができる。
また、粉体混合ガス噴出部から噴出された粉体混合ガス中のガス燃料及び粉状可燃物は、粉体用一次空気噴出部から噴出された一次空気により燃焼し、更に、粉体混合ガス中のガス燃料及び粉状可燃物夫々の未燃分が、粉体用二次空気噴出部から噴出された二次空気により、粉体混合ガス噴出部からの粉体混合ガスの噴出方向の先方で燃焼する。
つまり、粉体混合ガス噴出部から噴出された粉体混合ガス中のガス燃料及び粉状可燃物を燃焼させる空気が、粉体混合ガスの噴出方向上流側での一次空気と下流側での二次空気との2段階で供給されるので、粉体混合ガス噴出部から噴出された粉体混合ガスの極力広い範囲に行きわたらせるように燃焼用空気を供給することができる。
従って、粉状可燃物の未燃率を一層低下することができる。
また、ガス専焼バーナにて形成される火炎の外周部に、一次空気と共に、粉体混合ガス噴出部から粉体混合ガスが環状に噴出されることから、粉体混合ガス噴出部から噴出される粉体混合ガスの極力広い範囲に、ガス専焼バーナにて形成される火炎を行きわたらせることができるので、粉体混合ガス噴出部から噴出される粉体混合ガスに対するガス専焼バーナにて形成される火炎からの引火作用を一層強くすることができる。
つまり、ガス専焼バーナによって粉体混焼バーナを安定燃焼させるのに要する起動時間を一層短縮することができ、しかも、粉体混焼バーナの燃焼が安定した後に、専焼燃焼量調整手段によりガス専焼バーナの燃焼量を減少させるにしても、粉体混焼バーナの安定燃焼を維持しながら、ガス専焼バーナの燃焼量の減少量を一層大きくすることができる。
又、環状に噴出される粉体混合ガスの内周部及び外周部夫々に一次空気が環状に噴出されることにより、粉体混合ガスに対して効率良く一次空気が供給されるので、粉体混焼バーナの安定燃焼を維持しながら、一次空気の供給量を低減することができて、排ガス損失を低減することができる。
従って、燃料混焼率を更に低下することができ、しかも、起動時の省エネルギ化及び排ガス損失の低減を図ることができるので、エネルギ効率を一層向上することができる。
又、専焼燃焼量調整手段が設けられているので、粉体混焼バーナでのガス燃料及び粉状可燃物の燃焼が安定すれば、その粉体混焼バーナの安定燃焼を継続させながら、ガス専焼バーナの燃焼量を減少させる、又は、ガス専焼バーナの燃焼作動を停止させることが可能となる。
つまり、粉体混焼バーナの粉体混合ガス噴出部から噴出される粉体混合ガス中にはガス燃料が含まれているため、そのガス燃料が粉体混合ガス中の全体に拡がって燃焼して、その火炎に引火する形態で粉体混合ガス中の粉状可燃物が燃焼するので、粉体混合ガス噴出部から噴出される粉体混合ガス中のガス燃料の比率を低くしながらも、未燃率を低下するように粉体混合ガス中の粉状可燃物を効率良く燃焼させることができるようになり、全体として燃料混焼率を低下することができる。
従って、燃料混焼率を低下しながら、未燃率を低下するように粉状可燃物を燃焼し得る粉体燃焼装置を提供することができる。
【0016】
本発明に係る粉体燃焼装置の更なる特徴構成は、前記外側粉体用一次空気噴出部の外周部に、環状の前記粉体用二次空気噴出部が設けられ、
その粉体用二次空気噴出部から噴出する二次空気を旋回させる二次空気旋回手段が設けられている点にある。
【0017】
即ち、外側粉体用一次空気噴出部から環状に噴出された一次空気の外周部を旋回する状態で、二次空気が流動することにより、一次空気並びに二次空気の拡散が抑制されるので、粉体混合ガス噴出部から噴出された粉体混合ガスに対して一次空気及び二次空気が効率良く供給される。
従って、粉体混焼バーナの安定燃焼を維持しながら、一次空気及び二次空気の供給量を低減して、排ガス損失を更に低減することができるので、エネルギ効率を更に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係る粉体燃焼装置の縦断側面図
図2】第1実施形態に係る粉体燃焼装置の正面図
図3】第2実施形態に係る粉体燃焼装置の縦断側面図
図4】第2実施形態に係る粉体燃焼装置の正面図
図5】第3実施形態に係る粉体燃焼装置の縦断側面図
図6】第3実施形態に係る粉体燃焼装置の要部の縦断側面図
図7】第3実施形態に係る粉体燃焼装置の正面図
図8】第3実施形態に係る粉体燃焼装置の一部切り欠き平面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
〔第1実施形態〕
先ず、図1及び図2に基づいて、第1実施形態を説明する。
粉体燃焼装置には、ガス燃料Gを噴出するガス燃料噴出部1と、そのガス燃料噴出部1から噴出されるガス燃料Gを燃焼させる空気Aを噴出するガス用空気噴出部2とを備えたガス専焼バーナBg、及び、粉状可燃物Fと搬送用空気Aとガス燃料Gとを元混合した粉体混合ガスMを噴出する粉体混合ガス噴出部3と、その粉体混合ガス噴出部3から噴出される粉体混合ガスMを燃焼させる空気Aを噴出する粉体用空気噴出部4とを備えた粉体混焼バーナBmが密接状態で隣接して設けられ、ガス専焼バーナBgの燃焼量を調整する専焼燃焼量調整手段V、及び、この粉体燃焼装置の運転を制御する制御部5が設けられている。ちなみに、ガス燃料Gとしては、13A等、メタンを主成分とする都市ガスが用いられる。
【0025】
この第1実施形態では、ガス燃料噴出部1の外周部に、環状のガス用空気噴出部2が設けられ、その環状のガス用空気噴出部2の外周部に、環状の粉体混合ガス噴出部3及び環状の粉体用空気噴出部4が内側から外側に向けて並ぶ状態で設けられている。
【0026】
以下、この第1実施形態の粉体燃焼装置の各部について、説明を加える。
基端が閉塞された円筒状の装置本体81内に、装置本体81よりも小径で両端が開口された円筒状の中間筒82が、装置本体81と同心状に配設され、更に、その中間筒82内に、その中間筒82よりも小径で且つ基端が閉塞された円筒状の内筒83が、装置本体81の閉塞端から挿通された状態で装置本体81と同心状に配設されている。
更に、中間筒82の基端縁と内筒83の外周面との間が、環状の閉塞板84により閉塞されている。
【0027】
そして、図1に示すように、内筒83内がガス用空気流路85として用いられ、内筒83と中間筒82との間の環状空間が粉体混合ガス流路86として用いられ、中間筒82と装置本体81との間の環状空間が粉体用空気流路87として用いられるように構成されている。
つまり、粉体用空気流路87の基端は装置本体81内に連通する状態となり、粉体混合ガス流路86の基端は装置本体81内と仕切りされる状態となっている。
【0028】
図1に示すように、装置本体81の周壁における閉塞端側の部分には、粉体用空気供給筒88が装置本体81内に連通する状態で接続され、内筒83における装置本体81の閉塞端からの突出部分の周壁には、ガス用空気供給筒89が内筒83内のガス用空気流路85に連通する状態で接続されている。
そして、粉体用空気供給筒88及びガス用空気供給筒89には送風機55が接続され、その送風機55により、ガス用空気流路85及び粉体用空気流路87夫々に空気Aを送風可能なように構成されている。
【0029】
粉体用空気供給筒88内には、空気Aの通風量を調整自在な粉体用空気ダンパ56が設けられ、ガス用空気供給筒89内にも、空気Aの通風量を調整自在なガス用空気ダンパ57が設けられている。
粉体用空気ダンパ56により、粉体用空気流路87の通風量が調整され、ガス用空気ダンパ57により、ガス用空気流路85の通風量が調整される。
【0030】
図1に示すように、中間筒82の周壁部における基端側の部分には、粉体混合ガス供給筒90が、装置本体81の周壁部から挿通された状態で、粉体混合ガス流路86に連通するように接続されている。その粉体混合ガス供給筒90の基端には、粉体混合ガスMを供給する粉体混合ガス供給路58が接続され、この粉体混合ガス供給路58には、粉体混合ガスMの供給を断続する粉体混合ガス断続弁59、及び、粉体混合ガスMの供給量を調整自在な粉体混合ガス供給量調整弁60が設けられている。
【0031】
そして、図1及び図2に示すように、内筒83の先端と中間筒82の先端との間の環状の開口部が、粉体混合ガス流路86を通流する粉体混合ガスMを噴出する粉体混合ガス噴出口91として機能し、この環状の粉体混合ガス噴出口91が粉体混合ガス噴出部3に相当する。
又、中間筒82の先端と装置本体81の先端との間の環状の開口部が、粉体用空気流路87を通流する空気Aを噴出する粉体用空気噴出口92として機能し、この粉体用空気噴出口92が粉体用空気噴出部4に相当する。
この粉体用空気流路87の先端部には、粉体用空気噴出口92から噴出する空気Aを旋回させる旋回羽根93が設けられている。
【0032】
つまり、粉体混合ガス流路86、粉体混合ガス噴出口91、粉体用空気流路87、粉体用空気噴出口92及び旋回羽根93等により、粉体混焼バーナBmが構成されている。
【0033】
図1及び図2に示すように、ガス用空気流路85内には、内筒83の閉塞端から挿通された状態で、円筒状のガス供給管66が配設され、そのガス供給管66の先端には、外径形状が概略蓮の花状で且つ先端面に複数のガス噴出孔68を二重円状に並ぶ状態で備えたガスノズル67が連通接続されている。図1に示すように、ガス供給管66の基端には、ガス燃料Gを供給するガス供給路69が接続され、このガス供給路69には、ガス燃料Gの供給を断続する燃料断続弁70、及び、ガス燃料Gの供給量を調整自在な燃料供給量調整弁71が設けられている。
つまり、燃料断続弁70、燃料供給量調整弁71及びガス用空気ダンパ57により、専焼燃焼量調整手段Vが構成される。
【0034】
そして、図1及び図2に示すように、このガスノズル67は、ガス用空気流路85の先端開口部に位置するように備えられ、このガスノズル67の外周面とガス用空気流路85の先端開口部の開口縁との間の開口部が、ガス用空気流路85を通流する空気Aを噴出するガス用空気噴出口94として機能する。
つまり、ガスノズル67がガス燃料噴出部1に相当し、ガス用空気噴出口94がガス用空気噴出部2に相当し、ガス供給管66、ガスノズル67、ガス用空気流路85及びガス用空気噴出口94等により、ガス専焼バーナBgが構成されている。
【0035】
そして、上述のように構成された粉体燃焼装置が、取付板73を介して、加熱炉の炉壁39に形成された取付用開口40に取り付けられている。
【0036】
次に、上述のように構成された第1実施形態による粉体燃焼装置の運転方法について説明する。
本発明では、ガス専焼バーナBgを燃焼作動させ、そのガス専焼バーナBgの燃焼作動を継続した状態で、粉体混焼バーナBmを燃焼作動させる運転方法を実行する。
この第1実施形態では、この運転方法を制御部5により実行するように構成されている。
【0037】
以下、制御部5の制御動作について説明する。
制御部5は、送風機55、燃料断続弁70、燃料供給量調整弁71、粉体混合ガス断続弁59、粉体混合ガス供給量調整弁60、ガス用空気ダンパ57及び粉体用空気ダンパ56等の作動を制御することにより、粉体燃焼装置の運転を制御するように構成されている。
つまり、制御部5は、運転スイッチ(図示省略)により運転開始が指令されると、点火プラグ(図示省略)を作動させた状態で、送風機55を作動し、燃料断続弁70を開弁すると共に、ガス専焼バーナBgの燃焼量が設定燃焼量となり、空気比が設定空気比になるように、ガスノズル67からのガス燃料Gの噴出量、ガス用空気噴出口94からの空気Aの噴出量を夫々調整すべく、燃料供給量調整弁71の開度、ガス用空気ダンパ57の開度を調整して、ガス専焼バーナBgの燃焼作動を開始する。
【0038】
続いて、制御部5は、ガス専焼バーナBgの燃焼作動の開始後、設定待機時間が経過すると、ガス専焼バーナBgの燃焼作動を継続した状態で、粉体混合ガス断続弁59を開弁すると共に、粉体混焼バーナBmの燃焼量が設定燃焼量となり、空気比が設定空気比になるように、粉体混合ガス噴出口91からの粉体混合ガスMの噴出量、粉体用空気噴出口92からの空気Aの噴出量夫々を調整すべく、粉体混合ガス供給量調整弁60の開度、粉体用空気ダンパ56の開度を調整して、粉体混焼バーナBmの燃焼作動を開始する。
【0039】
制御部5は、運転スイッチにより運転停止が指令されると、粉体混合ガス断続弁59及び粉体混合ガス供給量調整弁60を閉弁し、粉体用空気ダンパ56を閉じると共に、送風機55を停止して、粉体混焼バーナBmの燃焼作動を停止する。
【0040】
設定待機時間は、ガス専焼バーナBgの燃焼作動の開始後、その燃焼が安定するのに要する時間に設定され、この第1実施形態では、例えば、5秒に設定される。
ガス専焼バーナBgの燃焼量である専焼燃焼量と、粉体混焼バーナBmの燃焼量である粉体混焼燃焼量との比率は、例えば、80:20に設定されている。
又、粉体混合ガスMにおけるガス燃料Gと粉状可燃物Fとの比率は、例えば、1:1に設定される。
【0041】
次に、上述のように構成した第1実施形態による粉体燃焼装置の燃焼形態について説明する。
ガス専焼バーナBgにより、ガス燃料Gによる安定した火炎が形成され、その安定した火炎に対して、粉体混焼バーナBmから粉体混合ガスM及び空気Aが噴出されるので、粉体混合ガスM中のガス燃料G及び粉状可燃物Fがガス専焼バーナBgの火炎により引火して燃焼する。
その際、粉体混合ガスM中のガス燃料Gは粉状可燃物Fよりも易燃焼性が高いことから、粉体混合ガスM中のガス燃料Gがガス専焼バーナBgの火炎により引火して、粉体混合ガスM中の全体に拡がって燃焼するので、そのように粉体混合ガスM中のガス燃料Gが燃焼して形成される火炎やガス専焼バーナBgの火炎に引火して、粉体混合ガスM中のガス燃料Gの比率を低くしても、粉体混合ガスM中の粉状可燃物Fが効率良く燃焼する。
【0042】
従って、粉体混合ガスM中のガス燃料Gの比率を低くしながら、未燃率を低下するように粉体混合ガスM中の粉状可燃物Fを燃焼させることができるようになり、全体としてガス燃料混焼率を低下することができる。
例えば、ガス燃料混焼率を低下させても、粉状可燃物Fの未燃率を低下させて、安定した燃焼を継続することができる。
【0043】
更に、この第1実施形態では、ガス専焼バーナBgにて形成される火炎の外周部に、粉体混合ガス噴出部3から粉体混合ガスMが環状に噴出されると共に、その環状に噴出される粉体混合ガスMの外周部に、粉体用空気噴出部4から空気Aが噴出されることから、粉体混合ガス噴出部3から噴出される粉体混合ガスMの広い範囲に、ガス専焼バーナBgにて形成される火炎を行き渡らせることができるので、極力速く、ガス専焼バーナBgにて形成される火炎により粉体混焼バーナBmから噴出される粉体混合ガスMに引火させることができる。
しかも、粉体用空気噴出口92から噴出される空気Aが旋回羽根93により旋回させられて、粉体混合ガス噴出口91から環状に噴出された粉体混合ガスMの外周部を旋回する状態で、空気Aが流動するので、空気Aの拡散が抑制されることになり、粉体混合ガス噴出口91から噴出された粉体混合ガスMに対して効率良く空気Aが供給される。
従って、粉体混焼バーナBmの安定燃焼を維持しながら、空気Aの供給量を低減することができるので、排ガス損失を低減することができる。
【0044】
〔第2実施形態〕
次に、図3及び図4に基づいて、第2実施形態を説明する。
この第2実施形態では、粉体用空気噴出部4として、粉体混合ガス噴出部3から噴出される粉体混合ガスMを燃焼させる一次空気Aを噴出する粉体用一次空気噴出部4Fと、粉体混合ガス噴出部3から噴出される粉体混合ガスMを燃焼させる二次空気Aを噴出する粉体用二次空気噴出部4Sとが備えられ、粉体用一次空気噴出部4Fが、粉体混合ガス噴出部3の側方から一次空気を噴出するように備えられ、粉体用二次空気噴出部4Sが、二次空気Aを粉体用一次空気噴出部4Fにおける粉体混合ガス噴出部3側とは反対側の側方から噴出するように備えられている。
更に、この第2実施形態では、ガス燃料噴出部1の外周部に、環状のガス用空気噴出部2が設けられ、その環状のガス用空気噴出部2の外周部に、粉体用一次空気噴出部4Fとしての環状の内側粉体用一次空気噴出部4i、環状の粉体混合ガス噴出部3及び粉体用一次空気噴出部4Fとしての環状の外側粉体用一次空気噴出部4eが内側から外側に向けて並ぶ状態で設けられている。
【0045】
以下、この第2実施形態の粉体燃焼装置の各部について、説明を加える。
基端が閉塞された円筒状の装置本体41内に、その外側から内側に向けて、装置本体41よりも小径で両端が開口された円筒状の第1内筒42、その第1内筒42よりも小径で両端が開口された円筒状の第2内筒43、その第2内筒43よりも小径で両端が開口された円筒状の第3内筒44が、装置本体41と同心状に配設されている。更に、その第3内筒44内に、その第3内筒44よりも小径で且つ基端が閉塞された円筒状の第4内筒45が、装置本体41の閉塞端から挿通された状態で装置本体41と同心状に配設されている。
更に、第2内筒43の基端縁と第3内筒44の基端縁との間が、環状の閉塞板46により閉塞されている。
【0046】
そして、図3に示すように、第4内筒45内がガス用空気流路48として用いられ、第4内筒45と第3内筒44との間の環状空間が内側粉体用一次空気流路49として用いられ、第3内筒44と第2内筒43との間の環状空間が粉体混合ガス流路50として用いられ、第2内筒43と第1内筒42との間の環状空間が外側粉体用一次空気流路51として用いられ、第1内筒42と装置本体41との間の環状空間が粉体用二次空気流路52として用いられるように構成されている。
つまり、内側粉体用一次空気流路49、外側粉体用一次空気流路51及び粉体用二次空気流路52夫々の基端は装置本体41内に連通する状態となり、粉体混合ガス流路50の基端は装置本体41内と仕切りされる状態となっている。
【0047】
図3に示すように、装置本体41の周壁における閉塞端側の部分には、粉体用空気供給筒53が装置本体41内に連通する状態で接続され、第4内筒45における装置本体41の閉塞端からの突出部分の周壁には、ガス用空気供給筒54が第4内筒45内のガス用空気流路48に連通する状態で接続されている。
そして、粉体用空気供給筒53及びガス用空気供給筒54には送風機55が接続され、その送風機55により、ガス用空気流路48、内側粉体用一次空気流路49、外側粉体用一次空気流路51及び粉体用二次空気流路52夫々に空気Aを送風可能なように構成されている。
【0048】
粉体用空気供給筒53内には、空気Aの通風量を調整自在な粉体用空気ダンパ56が設けられ、ガス用空気供給筒54内にも、空気Aの通風量を調整自在なガス用空気ダンパ57が設けられている。
粉体用空気ダンパ56により、内側粉体用一次空気流路49、外側粉体用一次空気流路51及び粉体用二次空気流路52夫々の通風量を合わせた通風量が調整されることになるが、夫々の流路幅を予め設定することにより、内側粉体用一次空気流路49、外側粉体用一次空気流路51及び粉体用二次空気流路52の通風量の分配比が予め設定された所定の分配比になるように設定されている。
【0049】
図3に示すように、第2内筒43の周壁部における基端側の部分には、粉体混合ガス供給筒47が、装置本体41の周壁部から挿通された状態で、粉体混合ガス流路50に連通するように接続されている。その粉体混合ガス供給筒47の基端には、粉体混合ガスMを供給する粉体混合ガス供給路58が接続され、この粉体混合ガス供給路58には、粉体混合ガスMの供給を断続する粉体混合ガス断続弁59、及び、粉体混合ガスMの供給量を調整自在な粉体混合ガス供給量調整弁60が設けられている。
【0050】
そして、図3及び図4に示すように、第2内筒43の先端と第3内筒44の先端との間の環状の開口部が、粉体混合ガス流路50を通流する粉体混合ガスMを噴出する粉体混合ガス噴出口61として機能し、この環状の粉体混合ガス噴出口61が粉体混合ガス噴出部3に相当する。
又、第4内筒45の先端と第3内筒44の先端との間の環状の開口部が、内側粉体用一次空気流路49を通流する一次空気Aを噴出する内側粉体用一次空気噴出口62として機能し、この環状の内側粉体用一次空気噴出口62が内側粉体用一次空気噴出部4iに相当する。
又、第2内筒43の先端と第1内筒42の先端との間の環状の開口部が、外側粉体用一次空気流路51を通流する一次空気Aを噴出する外側粉体用一次空気噴出口63として機能し、この環状の外側粉体用一次空気噴出口63が外側粉体用一次空気噴出部4eに相当する。
【0051】
更に、第1内筒42の先端と装置本体41の先端との間の環状の開口部が、粉体用二次空気流路52を通流する二次空気Aを噴出する粉体用二次空気噴出口64として機能する。つまり、この粉体用二次空気噴出口64が粉体用二次空気噴出部4Sに相当する。
この粉体用二次空気流路52の先端部には、粉体用二次空気噴出口64から噴出する二次空気Aを旋回させる二次空気旋回手段としての旋回羽根65が設けられている。
【0052】
つまり、粉体混合ガス流路50、粉体混合ガス噴出口61、内側粉体用一次空気流路49、内側粉体用一次空気噴出口62、外側粉体用一次空気流路51、外側粉体用一次空気噴出口63、粉体用二次空気流路52、粉体用二次空気噴出口64及び旋回羽根65等により、粉体混焼バーナBmが構成されている。
【0053】
図3及び図4に示すように、ガス用空気流路48内には、第4内筒45の閉塞端から挿通された状態で、円筒状のガス供給管66が配設され、そのガス供給管66の先端には、外径形状が概略蓮の花状で且つ先端面に複数のガス噴出孔68を二重円状に並ぶ状態で備えたガスノズル67が連通接続されている。図3に示すように、ガス供給管66の基端には、ガス燃料Gを供給するガス供給路69が接続され、このガス供給路69には、ガス燃料Gの供給を断続する燃料断続弁70、及び、ガス燃料Gの供給量を調整自在な燃料供給量調整弁71が設けられている。
つまり、燃料断続弁70、燃料供給量調整弁71及びガス用空気ダンパ57により、専焼燃焼量調整手段Vが構成される。
【0054】
そして、図3及び図4に示すように、このガスノズル67は、ガス用空気流路48の先端開口部に位置するように備えられ、このガスノズル67の外周面とガス用空気流路48の先端開口部の開口縁との間の開口部が、ガス用空気流路48を通流する空気Aを噴出するガス用空気噴出口72として機能する。
【0055】
つまり、ガスノズル67がガス燃料噴出部1に相当し、ガス用空気噴出口72がガス用空気噴出部2に相当し、ガス供給管66、ガスノズル67、ガス用空気流路48及びガス用空気噴出口72等により、ガス専焼バーナBgが構成されている。
【0056】
そして、上述のように構成された粉体燃焼装置が、取付板73を介して、加熱炉の炉壁39に形成された取付用開口40に取り付けられている。
【0057】
次に、上述のように構成された第2実施形態による粉体燃焼装置の運転方法について説明する。
この第2実施形態でも、上記の第1実施形態と同様の運転方法を制御部5により実行するように構成されている。この運転方法を実行するための制御部5の制御動作は、上記の第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0058】
上述のように構成した第2実施形態による粉体燃焼装置の燃焼形態について説明する。
ガス専焼バーナBgにより、ガス燃料Gによる安定した火炎が形成され、その安定した火炎に対して、粉体混焼バーナBmから粉体混合ガスM、一次空気A及び二次空気Aが噴出されるので、粉体混合ガスM中のガス燃料G及び粉状可燃物Fがガス専焼バーナBgの火炎により引火して燃焼する。
つまり、粉体混合ガス噴出部3から噴出された粉体混合ガスM中のガス燃料G及び粉状可燃物Fを燃焼させる空気Aが、粉体混合ガスMの噴出方向上流側での一次空気Aと下流側での二次空気Aとの2段階で供給されるので、粉体混合ガス噴出部3から噴出された粉体混合ガスMの極力広い範囲に行きわたらせるように燃焼用空気Aを供給することができる。
【0059】
特に、この第2実施形態では、ガス専焼バーナBgにて形成される火炎の外周部に、粉体混焼バーナBmから一次空気A、粉体混合ガスM及び二次空気Aが環状に噴出されることから、粉体混焼バーナBmから噴出される粉体混合ガスMの極力広い範囲に、ガス専焼バーナBgにて形成される火炎を行き渡らせることができるので、極力速く、ガス専焼バーナBgにて形成される火炎により粉体混焼バーナBmから噴出される粉体混合ガスMに引火させることができる。
又、環状に噴出される粉体混合ガスMの内周部及び外周部夫々に一次空気Aが環状に噴出されることにより、粉体混合ガスMに対して効率良く一次空気Aが供給されるので、粉体混焼バーナBmの安定燃焼を維持しながら、一次空気Aの供給量を低減することができて、排ガス損失を低減することができる。
【0060】
しかも、粉体用二次空気噴出口64から噴出される二次空気Aが旋回羽根65により旋回させられて、外側粉体用一次空気噴出口63から環状に噴出された一次空気Aの外周部を旋回する状態で、二次空気Aが流動するので、一次空気A並びに二次空気Aの拡散が抑制されることになり、粉体混合ガス噴出口61から噴出された粉体混合ガスMに対して効率良く一次空気Aが供給される。
従って、粉体混焼バーナBmの安定燃焼を維持しながら、一次空気A及び二次空気Aの供給量を更に低減することができるので、排ガス損失を更に低減することができる。
【0061】
〔第3実施形態〕
次に、図5図8に基づいて、第3実施形態を説明する。
この第3実施形態では、図5図7に示すように、上記の第2実施形態と同様に、粉体用空気噴出部4として、粉体用一次空気噴出部4Fと粉体用二次空気噴出部4Sとが備えられ、粉体用一次空気噴出部4Fが、粉体混合ガス噴出部3の側方から一次空気Aを噴出するように備えられ、粉体用二次空気噴出部4Sが、二次空気Aを粉体用一次空気噴出部4Fにおける粉体混合ガス噴出部3側とは反対側の側方から噴出するように備えられている。
【0062】
以下、この第3実施形態の粉体燃焼装置の各部について、説明を加える。
図5図7及び図8に示すように、横断面形状が長方形状で一端側が閉塞された角筒状のエアーレジスタ6の周壁における閉塞端側に、横断面形状が長方形状の角筒状のエアーダクト7が連通連結されて、外径形状が平面視で概略L字状の装置本体8が構成されている。
【0063】
この装置本体8の内部に、2枚の仕切り板9が、装置本体8の高さ方向に間隔を隔てて並設されて、装置本体8の内部が、エアーレジスタ6とエアーダクト7とにわたって一連に連なる概略L字状に屈曲した角筒状の3個の空間に区画され、エアーダクト7の端部には送風機10が接続され、その送風機10により各空間に空気Aを送風可能に構成されている。
そして、装置本体内の3個の空間を、高さ方向の下方側から、ガス用空気流路11、粉体用二次空気流路13、粉体用一次空気流路12として用いるように構成されている。
ガス用空気流路11、粉体用二次空気流路13及び粉体用一次空気流路12夫々における装置本体8の高さ方向に沿う方向での幅は、ガス用空気流路11が最も広く、以下、粉体用一次空気流路12、粉体用二次空気流路13の順に狭くなるように構成されている。
【0064】
図7に示すように、ガス用空気流路11、粉体用一次空気流路12、粉体用二次空気流路13には、夫々、空気の通風量を調整自在なガス用空気ダンパ15、粉体用一次空気ダンパ16、粉体用二次空気ダンパ17が設けられている。
【0065】
図5図7に示すように、エアーレジスタ6のガス用空気流路11内には、エアーレジスタ6の閉塞端から挿通された状態で、円筒状のガス供給管19が配設され、そのガス供給管19の先端には、外径形状が概略蓮の花状で且つ先端面に複数のガス噴出孔21を二重円状に並ぶ状態で備えたガスノズル20が連通接続されている。図5に示すように、ガス供給管19の基端には、ガス燃料Gを供給するガス供給路22が接続され、このガス供給路22には、ガス燃料Gの供給を断続する燃料断続弁23、及び、ガス燃料Gの供給量を調整自在な燃料供給量調整弁24が設けられている。
つまり、燃料断続弁23、燃料供給量調整弁24及びガス用空気ダンパ15により、専焼燃焼量調整手段Vが構成される。
【0066】
そして、図6及び図7に示すように、このガスノズル20は、ガス用空気流路11の先端開口部に位置するように備えられ、このガスノズル20の外周面とガス用空気流路11の先端開口部の開口縁との間の開口部が、ガス用空気流路11を通流する空気Aを噴出するガス用空気噴出口25として機能する。
つまり、ガスノズル20がガス燃料噴出部1に相当し、ガス用空気噴出口25がガス用空気噴出部2に相当し、ガス供給管19、ガスノズル20、ガス用空気流路11及びガス用空気噴出口25等により、ガス専焼バーナBgが構成されている。
【0067】
図5図6及び図8に示すように、エアーレジスタ6の粉体用一次空気流路12内には、エアーレジスタ6の閉塞端から挿通された状態で、横断面形状が長方形状の角筒状の粉体混合ガス供給管27が配設されている。粉体混合ガス供給管27の基端には、粉体混合ガスMを供給する粉体混合ガス供給路28が接続され、この粉体混合ガス供給路28には、粉体混合ガスMの供給を断続する粉体混合ガス断続弁29、及び、粉体混合ガスMの供給量を調整自在な粉体混合ガス供給量調整弁30が設けられている。
【0068】
図6及び図8に示すように、この粉体混合ガス供給管27は、その先端が粉体用一次空気流路12の先端開口部に位置するように配設され、粉体混合ガス供給管27の先端から多少手前の部分が、通路断面積が先端側及び基端側よりも狭くなるように絞られ、粉体混合ガス供給管27におけるこの絞り部分を備えた先端部分を、長方形状の粉体混合ガス噴出口32(図7も参照)を備えた粉体混合ガスノズル31として機能させるように構成されている。
そして、この粉体混合ガスノズル31の外周縁と粉体用一次空気流路12の先端開口部の開口縁との間の開口部が、粉体用一次空気流路12を通流する一次空気Aを噴出する粉体用一次空気噴出口33として機能する。
つまり、粉体混合ガスノズル31が粉体混合ガス噴出部3に相当し、粉体用一次空気噴出口33が粉体用一次空気噴出部4Fに相当する。
【0069】
図6及び図7に示すように、粉体用二次空気流路13の先端開口部を、粉体用二次空気流路13を通流する二次空気Aを噴出する粉体用二次空気噴出口35として機能させる。つまり、この第3実施形態では、粉体混焼バーナBmに、粉体混合ガスノズル31から噴出される粉体混合ガスMを燃焼させる二次空気Aを粉体用一次空気噴出口33における粉体混合ガスノズル31側とは反対側の側方から噴出する粉体用二次空気噴出口35が備えられ、この粉体用二次空気噴出口35が粉体用二次空気噴出部4Sに相当する。
つまり、粉体混合ガス供給管27、粉体混合ガスノズル31、粉体用一次空気流路12、粉体用一次空気噴出口33、粉体用二次空気流路13及び粉体用二次空気噴出口35等により、粉体混焼バーナBmが構成されている。
【0070】
図5に示すように、上述のように構成された粉体燃焼装置が、ガス専焼バーナBgが下位となる姿勢で、ガス専焼バーナBg及び粉体混焼バーナBmの並び方向を鉛直方向に沿わせた姿勢で、取付板38を介して、加熱炉の炉壁39に形成された取付用開口40に取り付けられている。
【0071】
次に、上述のように構成された第3実施形態による粉体燃焼装置の運転方法について説明する。
この第3実施形態でも、上記の第1実施形態と同様の運転方法を制御部5により実行するように構成されている。
【0072】
以下、制御部5の制御動作について説明する。
制御部5は、送風機10、燃料断続弁23、燃料供給量調整弁24、粉体混合ガス断続弁29、粉体混合ガス供給量調整弁30、ガス用空気ダンパ15、粉体用一次空気ダンパ16及び粉体用二次空気ダンパ17等の作動を制御することにより、粉体燃焼装置の運転を制御するように構成されている。
つまり、制御部5は、運転スイッチ(図示省略)により運転開始が指令されると、点火プラグ(図示省略)を作動させた状態で、送風機10を作動し、燃料断続弁23を開弁すると共に、ガス専焼バーナBgの燃焼量が設定燃焼量となり、空気比が設定空気比になるように、ガスノズル20からのガス燃料Gの噴出量、ガス用空気噴出口25からの空気Aの噴出量を夫々調整すべく、燃料供給量調整弁24の開度、ガス用空気ダンパ15の開度を調整して、ガス専焼バーナBgの燃焼作動を開始する。
【0073】
続いて、制御部5は、ガス専焼バーナBgの燃焼作動の開始後、予め設定された設定待機時間が経過すると、ガス専焼バーナBgの燃焼作動を継続した状態で、粉体混合ガス断続弁29を開弁すると共に、粉体混焼バーナBmの燃焼量が設定燃焼量となり、空気比が設定空気比になるように、粉体混合ガスノズル31からの粉体混合ガスMの噴出量、粉体用一次空気噴出口33からの一次空気Aの噴出量、粉体用二次空気噴出口35からの二次空気Aの噴出量を夫々調整すべく、粉体混合ガス供給量調整弁30の開度、粉体用一次空気ダンパ16の開度、粉体用二次空気ダンパ17の開度を調整して、粉体混焼バーナBmの燃焼作動を開始する。
【0074】
制御部5は、運転スイッチにより運転停止が指令されると、粉体混合ガス断続弁29及び粉体混合ガス供給量調整弁30を閉弁し、粉体用一次空気ダンパ16及び粉体用二次空気ダンパ17を閉じると共に、送風機10を停止して、粉体混焼バーナBmの燃焼作動を停止する。
【0075】
上述のように構成した第3実施形態による粉体燃焼装置の基本的な燃焼形態は、上記の第2実施形態による粉体燃焼装置の燃焼形態と同様であるので、説明を省略する。
但し、特に、この第3実施形態では、粉体燃焼装置が上述した姿勢で設けられているため、粉体混焼バーナBmから噴出される粉体混合ガスMの下方に密接して、ガス専焼バーナBgにより安定した火炎が形成されるので、ガス専焼バーナBgによる火炎により、粉体混焼バーナBmから噴出される粉体混合ガスMに迅速に引火させて、粉体混焼バーナBmを安定燃焼させることができる。
【0076】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ
【0077】
(ロ) 上記の第2実施形態において、環状の粉体用二次空気噴出口64の外周部に、三次空気Aを噴出する環状の三次空気噴出口を設けても良い。
【0078】
(ハ) 本発明に係る粉体燃焼装置の運転方法としては、上記の第1〜第3の各実施形態において例示した運転方法に代えて、ガス専焼バーナBgを燃焼作動させ、そのガス専焼バーナBgの燃焼作動を継続した状態で、粉体混焼バーナBmを燃焼作動させ、次に、専焼燃焼量調整手段Vにより、ガス専焼バーナBgの燃焼量を減少させる、又は、ガス専焼バーナBgの燃焼作動を停止する運転方法を実行することができる。
この場合、粉体混焼バーナBmの燃焼作動の開始後、専焼燃焼量調整手段Vにより、ガス専焼バーナBgの燃焼量を減少させる、又は、ガス専焼バーナBgの燃焼作動を停止するまでの時間は、粉体混焼バーナBmの燃焼作動の開始後、その燃焼が安定するのに要する時間に設定する。
(ニ) 本発明に係る粉体燃焼装置では、粉状可燃物Fとして、有機性汚泥粉、廃プラスチック粉、微粉炭等、各種の粉状可燃物を使用することができる。
又、ガス燃料Gとしても、13A以外の種々の都市ガス、及び、都市ガス以外の各種のガス燃料を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上説明したように、燃料混焼率を低下しながら、未燃率を低下するように粉状可燃物を燃焼し得る粉体燃焼装置及び粉体燃焼装置の運転方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 ガス燃料噴出部
2 ガス用空気噴出部
3 粉体混合ガス噴出部
4 粉体用空気噴出部
4e 外側粉体用一次空気噴出部
4i 内側粉体用一次空気噴出部
4F 粉体用一次空気噴出部
4S 粉体用二次空気噴出部
65 旋回羽根(二次空気旋回手段)
A 空気
Bg ガス専焼バーナ
Bm 粉体混焼バーナ
F 粉状可燃物
G ガス燃料
M 粉体混合ガス
V 専焼燃焼量調整手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8