特許第6041668号(P6041668)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6041668-シリカ微粒子の製造方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041668
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】シリカ微粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/146 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   C01B33/146
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-288170(P2012-288170)
(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2014-129196(P2014-129196A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2015年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190024
【氏名又は名称】日揮触媒化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】村口 良
(72)【発明者】
【氏名】西田 広泰
【審査官】 山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−203729(JP,A)
【文献】 山崎昶、外13名,8・2酸化物,無機化学全書XII−2 ケイ素,日本,海老原熊雄,1986年 7月20日,第282頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00−33/193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径(DA)が10〜1,000nmのシリカ核粒子(A)と、
前記シリカ核粒子(A)の平均粒子径(DA)よりも小さく、平均粒子径(DB)が3〜20nmの粒子成長用シリカ粒子(B)と
の混合分散液を、pH8〜13、80〜300℃で水熱処理することを特徴とする、
単分散(非凝集)粒子であり、該シリカ微粒子の平均粒子径(DS)が25〜1,100nmの範囲にあるシリカ微粒子の製造方法。
【請求項2】
前記シリカ核粒子(A)の濃度(CA)が固形分として0.1〜10重量%の範囲にあり、前記粒子成長用シリカ粒子(B)の濃度(CB)が固形分として0.1〜10重量%の範囲にあり、前記混合分散液の濃度が固形分として0.2〜20重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のシリカ微粒子の製造方法。
【請求項3】
前記平均粒子径(DA)と前記平均粒子径(DB)との比(DB)/(DA)が0.003〜0.3の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載のシリカ微粒子の製造方法。
【請求項4】
前記シリカ核粒子(A)の濃度(CA)と前記粒子成長用シリカ粒子(B)の濃度(CB)との濃度比(CB)/(CA)が0.01〜10の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシリカ微粒子の製造方法。
【請求項5】
前記粒子成長用シリカ粒子(B)が、(a)珪酸アルカリを酸で中和して生成したシリカヒドロゲルをアルカリで解膠して得られる粒子成長用シリカ粒子、または(b)珪酸アルカリを酸で中和して生成したシリカヒドロゲルをアルカリで解膠しながら機械的に微細化して得られる粒子成長用シリカ粒子であることを特徴とする請求項1に記載のシリカ微粒子の製造方法。
【請求項6】
前記平均粒子径(DS)と前記平均粒子径(DA)との比(DS)/(DA)が1.1〜3の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のシリカ微粒子の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの方法で得られた前記シリカ微粒子と、前記シリカ核粒子(A)および/または前記粒子成長用シリカ粒子(B)との混合分散液を80〜300℃で水熱処理することを特徴とするシリカ微粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大きな粒子径のシリカゾル(微粒子)を迅速に製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリカゾルを製造する方法については多くの提案がなされている。その中でも、種粒子分散液にアルカリ金属珪酸塩を脱アルカリして得られる酸性珪酸液を徐々に添加する方法では、得られるシリカコロイド粒子の粒子径が均一であり、所望の粒子径に調節することが可能であるなどの利点を有しており、例えば、本願出願人は特開昭63−45114号公報(特許文献1)において、種粒子を調製し、これに水ガラスなどのアルカリ金属珪酸塩水溶液をイオン交換樹脂等で脱アルカリして得られる酸性珪酸液を添加し、種粒子表面に酸性珪酸を結合・積層・析出させて種粒子を成長させてシリカゾルを製造する方法を開示している。
【0003】
しかしながら、このような種粒子分散液に酸性珪酸液を添加する方法では、(1)酸性珪酸の重合度が1〜4程度と低いため、粒子成長に長時間を要し、特に、均一で大きな粒子径のシリカ粒子を含むシリカゾルを得るためには、繰り返し粒子成長を行う必要があった。
【0004】
しかも、(2)粒子成長に伴い粒子表面積が低下するので、例えば酸性珪酸液の添加速度を低下させる必要が生じ、このため生産能力や生産性が低下したり、一方、時間短縮のために酸性珪酸液の添加速度を速めると、粒子が凝集したり、新たに微細な粒子が発生して、得られるシリカゾルの粒子径分布が不均一になる等の問題があった。また、(3)酸性珪酸液は安定性が低いため、工程管理の条件をかなり厳しくしなければならない等の問題があった。
【0005】
このため、本願出願人は、種粒子分散液に所定の大きさの活性珪酸粒子を含む分散液を連続的に添加して種粒子を迅速に粒子成長させることのできるシリカゾルの製造方法を開示している。特開2004−203729号公報(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−45114号公報
【特許文献2】特開2004−203729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、粒子径が数nmの活性珪酸粒子を含む分散液を連続的に添加することによって迅速化はできたが、この方法で得られるシリカゾルのシリカ粒子は種粒子の周囲に活性珪酸粒子が融着した粒子であり、多孔性の粒子である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、粒子径の異なる大小シリカ微粒子の混合分散液を高温で水熱処理することによって、凝集することなくあらたに単分散したより大きな粒子を製造することができ、さらに条件を選択することによってあらたに単分散したより大きな粒子と単分散した比較的小さな粒子の混合粒子を製造することができ、得られた粒子を研磨剤として用いると、研磨特性(研磨速度、スクラッチが生成しない)に優れた無孔質のシリカゾル(微粒子)が得られることを見出して本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、粒子径の異なる大小シリカ微粒子の混合分散液を高温で水熱処理することによって新たに大きな粒子径のシリカ微粒子を迅速に製造する方法を提供することを目的としている。
[1]平均粒子径(DA)が10〜1,000nmのシリカ核粒子(A)と、
前記シリカ核粒子(A)の平均粒子径(DA)よりも小さく、平均粒子径(DB)が3〜20nmの粒子成長用シリカ粒子(B)と
の混合分散液を90〜300℃で水熱処理することを特徴とする、
単分散(非凝集)粒子であり、該シリカ微粒子の平均粒子径(DS)が25〜1,100nmの範囲にあるシリカ微粒子の製造方法。
[2]前記シリカ核粒子(A)の濃度(CA)が固形分として0.1〜10重量%の範囲にあり、前記粒子成長用シリカ粒子(B)の濃度(CB)が固形分として0.1〜10重量%の範囲にあり、前記混合分散液の濃度が固形分として0.2〜20重量%の範囲にあり、pHが8〜13の範囲にある[1]のシリカ微粒子の製造方法。
[3]前記平均粒子径(DA)と前記平均粒子径(DB)との比(DB)/(DA)が0.003〜0.3の範囲にある[1]または[2]のシリカゾル微粒子の製造方法。
【0010】
[4]前記シリカ核粒子(A)の濃度(CA)と前記粒子成長用シリカ粒子(B)の濃度(CB)との濃度比(CB)/(CA)が0.01〜10の範囲にある[1]〜[3]のシリカ微粒子の製造方法。
[5]前記粒子成長用シリカ粒子(B)が、(a)珪酸アルカリを酸で中和して生成したシリカヒドロゲルをアルカリで解膠して得られる粒子成長用シリカ粒子、または(b)珪酸アルカリを酸で中和して生成したシリカヒドロゲルをアルカリで解膠しながら機械的に微細化して得られる粒子成長用シリカ粒子である[1]のシリカ微粒子の製造方法。
[6]前記平均粒子径(DS)と前記平均粒子径(DA)との比(DS)/(DA)が1.1〜3の範囲にある[1]のシリカ微粒子の製造方法。
[7]前記[1]〜[5]の方法で得られた前記シリカ微粒子と、前記シリカ核粒子(A)および/または前記粒子成長用シリカ粒子(B)との混合分散液を80〜300℃で水熱処理するシリカ微粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、粒子径の大きなシリカ微粒子を迅速に製造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1で得られたシリカ微粒子のTEM写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に係るシリカ微粒子の製造方法は、平均粒子径(DA)が10〜1,000nmのシリカ核粒子(A)と平均粒子径(DB)が3〜20nmの粒子成長用シリカ粒子(B)との混合分散液を80〜300℃で水熱処理する。
【0014】
シリカ核粒子(A)
シリカ核粒子(A)としては、平均粒子径(DA)が後述する範囲にあれば、従来公知のシリカ粒子を用いることができる。また、本発明の方法によって製造されたシリカ微粒子を用いることもできる。
【0015】
シリカ核粒子(A)の平均粒子径(DA)は10〜1,000nm、さらには30〜500nmの範囲にあることが好ましい。
シリカ核粒子(A)が前記範囲よりも小さいと、後述する粒子成長用シリカ粒子(B)の平均粒子径(DB)によっても異なるが、シリカ核粒子(A)の溶解速度が大きく、粒子成長が阻害され、効率的な粒子成長が起きにくい場合がある。
【0016】
シリカ核粒子(A)が大きすぎても、シリカ核粒子(A)のシリカ単位重量当たりの表面積が小さく、粒子成長が抑制されるばかりでなく、沈降したり分散安定性が不充分になる場合がある。
【0017】
粒子成長用シリカ粒子(B)
粒子成長用シリカ粒子(B)としては、平均粒子径(DB)が後述する範囲にあり、併せて前記シリカ核粒子(A)の平均粒子径(DA)よりも小さければ、従来公知のシリカ粒子を用いることができる。
【0018】
本発明では、特許文献2に開示した活性珪酸粒子は好適に用いることができる。
具体的には、粒子成長用シリカ粒子(B)は、(a)珪酸アルカリを酸で中和して生成したシリカヒドロゲルをアルカリで解膠して得られるシリカ粒子、または(b)珪酸アルカリを酸で中和して生成したシリカヒドロゲルをアルカリで解膠しながら機械的に微細化して得られるシリカ粒子は好適に用いることができる。
【0019】
粒子成長用シリカ粒子(B)の平均粒子径(DB)は3〜20nm、さらには4〜15nmの範囲にあることが好ましい。
粒子成長用シリカ粒子(B)の平均粒子径(DB)が小さいと、安定性が低いため水熱処理容器壁に沈着したり、凝集により沈降したり、粘度上昇が起こる場合がある。
【0020】
粒子成長用シリカ粒子(B)の平均粒子径(DB)が大きすぎても、溶解度が低くなり、シリカ核粒子の成長が損なわれる場合がある。
シリカ核粒子(A)の平均粒子径(DA)と粒子成長用シリカ粒子(B)の平均粒子径(DB)との比(DB)/(DA)が0.003〜0.3、さらには0.01〜0.2の範囲にあることが好ましい。
【0021】
平均粒子径比(DB)/(DA)が小さいと、粒子成長用シリカ粒子(B)の安定性が低くなる場合があり、水熱処理容器壁に沈着したり、凝集により沈降したり、粘度上昇が起こる場合がある。平均粒子径比(DB)/(DA)が大きすぎても、シリカ核粒子(A)の溶解度と粒子成長用シリカ粒子(B)の溶解度が近接し、選択的にシリカ核粒子(A)の粒子成長が起きない場合がある。すなわち、効率的に大きなシリカ微粒子が得られない場合がある。
【0022】
本発明での各原料粒子の粒子径は、透過型電子顕微鏡写真(TEM)を撮影し、100個の粒子について粒子径を測定し、その平均値とする。
シリカ核粒子(A)と粒子成長用シリカ粒子(B)との混合方法は特に制限はないが、シリカ核粒子(A)分散液に粒子成長用シリカ粒子(B)分散液を添加する形で混合することが好ましく、さらにこのとき、粒子成長用シリカ粒子(B)分散液を時間をかけて連続的に、あるいは断続的に添加することが好ましい。このときの添加の所要時間は、後述する水熱処理時間以下であることが好ましい。あまりに長時間であると本発明の短時間で粒子成長させて大きな粒子を得る効果が不充分となる場合がある。
【0023】
このとき、必要に応じて混合を加温下、概ね30〜100℃で行うことが好ましい。
このような混合方法を採用することによって、粒子径分布が均一な単分散のシリカ微粒子、シリカ微粒子分散液を得ることができる。
【0024】
混合分散液中のシリカ核粒子(A)の濃度(CA)は固形分として0.1〜10重量%、さらには0.2〜9重量%の範囲にあることが好ましい。
シリカ核粒子(A)の濃度(CA)が低いと、濃度が低いために容易に溶解して粒子が減少したりあるいは消失したり、あるいは濃度が低いために核粒子としての機能を発揮しないことがある。
【0025】
シリカ核粒子(A)の濃度(CA)が高すぎても、シリカ核粒子(A)の平均粒子径によっても異なるが、シリカ核粒子(A)の分散安定性が不充分なために凝集して単分散(非凝集)の均一な粒子径のシリカ微粒子が得られない場合がある。
【0026】
混合分散液中の粒子成長用シリカ粒子(B)の濃度(CB)は固形分として0.1〜10重量%、さらには0.02〜9重量%の範囲にあることが好ましい。
混合分散液中の粒子成長用シリカ粒子(B)の濃度(CB)が少ないと、シリカ核粒子(A)との濃度比によっても異なるが、粒子成長用のシリカが不足して、効率的に粒子成長できない場合がある。
【0027】
混合分散液中の粒子成長用シリカ粒子(B)の濃度(CB)が高すぎても、シリカ核粒子(A)との濃度比によっても異なるが、完全に溶解せず、残存する粒子が多くなりが多くなり、効率的に粒子成長できない場合がある。
【0028】
前記シリカ核粒子(A)の濃度(CA)と前記粒子成長用シリカ粒子(B)の濃度(CB)との濃度比(CB)/(CA)が0.01〜10、さらには0.1〜8の範囲にあることが好ましい。
【0029】
前記濃度比(CB)/(CA)が低いと、粒子成長効率、即ち、一回の水熱処理でシリカ核粒子(A)を粒子成長できる効率が低い。
前記濃度比(CB)/(CA)が高すぎても、粒子成長用シリカ粒子(B)の平均粒子径によっても異なるが粒子成長用シリカ粒子(B)が残存する場合がある。
【0030】
このような混合分散液の濃度は全固形分として0.2〜20重量%、さらには0.4〜16重量%の範囲にあることが好ましい。
このように所定の重量比、濃度となるように調整した混合分散液のpHを調整し、水熱処理する。
【0031】
このような処理によって、原料2種のシリカ核粒子(A)と粒子成長用シリカ粒子(B)が残存することなく、単分散(非凝集)で大きなシリカ微粒子を迅速に製造できる。さらに、シリカ微粒子は単分散(非凝集)であるばかりでなく、粒子径分布が均一である。大小2つの分布を有する場合であっても、平均粒子径が小さく均一な分布のシリカ微粒子と、平均粒子径が大きく均一な分布のシリカ微粒子の混合物が得られる。
【0032】
混合分散液のpHは8〜13、さらには9〜12の範囲にあることが好ましい。
混合分散液のpHが8未満(中性〜酸性)の場合は、成長用シリカ粒子(B)の溶解度が低く、シリカ核粒子(A)の粒子成長速度が不充分になる場合、あるいは成長用シリカ粒子(B)が残存する場合がある。
【0033】
混合分散液のpHが13を超えると、アルカリ性が高く、シリカ核粒子(A)および粒子成長用シリカ粒子(B)の溶解度が高くなり、このためシリカ核粒子(A)へのシリカの析出が抑制され、粒子成長効率が不充分となる場合がある。
【0034】
混合分散液のpHを上記範囲に調整するには、必要に応じて酸性化合物または塩基性化合物を添加すればよく、酸性化合物としては、例えば、硝酸、硫酸、塩酸等の他酢酸等有機酸が挙げられる。また、塩基性化合物としては、例えば、NaOH、KOH、4級アミン、アンモニア、これらの混合物等で調整することができる。
このようなシリカ核粒子(A)と粒子成長用シリカ粒子(B)との混合分散液を80〜300℃、好ましくは100〜250℃で水熱処理する。
【0035】
水熱処理温度が80℃未満の場合は、温度が低いために粒子成長用シリカ粒子(B)の溶解速度が低く、かつ溶解したシリカのシリカ核粒子(A)への析出速度が低く、水熱処理に長時間を要する場合がある。
【0036】
水熱処理温度が高いと、シリカ核粒子(A)および粒子成長用シリカ粒子(B)の溶解度が高くなり、このためシリカ核粒子(A)へのシリカの析出が抑制され、粒子成長効率が不充分となる場合があり、また、高温よる溶解速度、粒子成長速度をさらに高める効果がさらに向上することもなく、生産性、経済性が低下することもある。
【0037】
本発明では、水熱処理温度を一定にして行うこともできるが、水熱処理中、連続的に徐々に温度を上昇させてもよく、段階的に温度を上昇させることもできる。
なお、水熱処理時間は、温度によっても異なり特に制限はないが、概ね0.5〜24時間、好ましくは1〜20時間である。
【0038】
水熱処理終了後、冷却した後、そのまま使用することができるが、必要に応じて洗浄、濃度調整等をすることもできる。
洗浄方法としては、濾過洗浄法、限外濾過膜法、イオン交換樹脂法等従来公知の方法を採用することができる。
【0039】
さらに、用途によっては分散液として用いることもできるが、乾燥して用いることもできる。
このようにして得られるシリカ微粒子は単分散(非凝集)粒子であり、該シリカ微粒子の平均粒子径(DS)が25〜1,100nm、さらには40〜500nmの範囲にあることが好ましい。
【0040】
ここで、得られるシリカ微粒子は単分散(非凝集)粒子であるとは、シリカ微粒子が互いに凝集したり、大きい粒子に微細な粒子が付着状態にないことを意味している。
このため得られるシリカ微粒子は無孔質でもある。
【0041】
このようシリカ微粒子が得られる理由は明確ではないものの、シリカ核粒子(A)の粒子径、濃度の選択、粒子成長用シリカ粒子(B)の粒子径、濃度の選択、混合分散液の濃度、pHの調製等によって、粒子成長用シリカ粒子(B)が迅速に溶解し、溶解したシリカがシリカ核粒子(A)の表面に迅速に析出して粒子成長することによると考えられる。
【0042】
この範囲で平均粒子径を調整するには、シリカ核粒子(A)の粒子径(DA)、濃度(CA)、粒子成長用シリカ粒子(B)の粒子径(DB)、濃度(CB)、混合分散液の濃度、濃度比(CB)/(CA)、粒子径比(DB)/(DA)、pHの調整等によって調整することができる。
【0043】
例えば、(DS)/(DA)が1.1〜3の範囲となるような平均粒子径を有するにシリカ核粒子(A)を選択した後、(DA)から(DS)に粒子成長に必要なシリカ量のシリカ源として(DB)/(DA)が0.003〜0.3の範囲となる、シリカ核粒子(A)より充分小さい平均粒子径(DB)の粒子成長用シリカ粒子(B)を選択し、本願所定の水熱処理条件で水熱処理することによって調整することができる。
【0044】
シリカ微粒子の平均粒子径(DS)が25nm未満のものは、本発明によらずとも従来公知の酸性ケイ酸液を添加して粒子成長させる方法でも比較的短時間で調製することができる。
【0045】
シリカ微粒子の平均粒子径(DS)が1,100nmを超えると、沈降しやすくなるため均一な粒子成長を損なう場合がある。
得られるシリカ微粒子の平均粒子径(DS)と前記シリカ核粒子(A)の平均粒子径(DA)との比(DS)/(DA)は1.1〜3、さらには1.2〜2の範囲にあることが好ましい。
【0046】
前記比(DS)/(DA)が1.1未満の場合は、シリカ微粒子の平均粒子径(DS)の大きさによっても異なるが、特に平均粒子径(DS)が小さい場合は、本発明の方法によらずとも、従来の酸性珪酸液を徐々に添加するビルドアップ法でも比較的短時間に製造することができる。
【0047】
前記比(DS)/(DA)が3を超えると、本発明の方法でも前記所定時間範囲内で単分散(非凝集)のシリカ微粒子を得ることは困難である。
本発明の方法では、得られたシリカ微粒子を核粒子とし、これに前記粒子成長用シリカ粒子(B)またはこれと同等の平均粒子径を有する前記核粒子(A)を混合した分散液を再び80〜300℃で水熱処理することによって、(DS)/(DA)が3を超えるシリカ微粒子を製造することができる。
【0048】
前記した本発明のシリカ微粒子の製造方法では、得られるシリカ微粒子の平均粒子径(DS)は前記範囲にあるが、このとき、粒子径分布が一種の均一になる場合と、大小二種の均一な粒子径分布を有する場合がある。
【0049】
本発明で得られるシリカ微粒子の平均粒子径(DS)は、透過型電子顕微鏡写真(TEM)を撮影し、100個の粒子について粒子径を測定し、その平均値とした。
このとき、大小二種の粒子径分布を有する場合は、100個の大粒子について粒子径を測定し、その平均値とし、これを本願シリカ微粒子の平均粒子径(DS)とした。また、小粒子については、100個の小粒子について粒子径を測定し、その平均値とした。
【0050】
このような粒子径分布が2種類生じることについては、必ずしも明らかではないが、前記したシリカ核粒子(A)および粒子成長用シリカ粒子(B)の粒子径、粒子径比、濃度、pH、水熱処理温度、水熱処理時間等によって異なると考えられるが、水熱処理温度が高い場合、(CB)/(CA)が低い場合、即ち粒子成長用シリカが少ない場合等に均一な粒子径分布となる傾向があり、水熱処理温度が低い場合、(CB)/(CA)が高い場合、混合分散液のpHが低い場合等に大小二重の粒子径分布となる傾向がある。
【0051】
本発明のシリカ微粒子の製造方法で得られるシリカ微粒子は、各種フィラー、スペーサー、低屈折率材料、反射防止用材料、ハードコート材料、化粧料用材料、研磨剤、耐熱性塗料、セラミックバインダー等に好適に用いることができる。
特に、前記した大小二種の粒子径分布を有するシリカ微粒子を用いると研磨速度、スクラッチの抑制等研磨特性に優れた効果が得られる。
【0052】
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。
[実施例1]
シリカ微粒子(1)分散液の製造
シリカ核粒子(A)としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイドSI-45P、平均粒子径=45nm、SiO2濃度=40重量%)150gを純水2850gで希釈し、これに粒子成長用シリカ粒子(B)としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイド SI-550、平均粒子径=5nm、SiO2濃度=20重量%)1386gを混合して固形分濃度7.7重量%の混合分散液を調製した。このとき、平均粒子径比(DB)/(DA)は0.11、濃度比(CB)/(CA)は4.61であった。また、混合分散液のpHは10.85であった。
【0053】
ついで、混合分散液をオートクレーブに充填し、165℃に昇温した後、10時間水熱処理した。
水熱処理後、分散液を取り出したが、このときの分散液のpHは11.0であった。ついで、分散液を、限外膜を用いて、pHが9未満になるまで純水で洗浄して、固形分濃度30重量%のシリカ微粒子(1)分散液を製造した。
【0054】
得られたシリカ微粒子(1)の平均粒子径(DS)を測定し、結果を表に示す。シリカ微粒子(1)には大小2種の粒子径のシリカ微粒子が認められ、粒子径の大きな粒子の平均粒子径を平均粒子径(DS)(第1分布)、粒子径の小さな粒子の平均粒子径を第2分布として示した。
シリカ微粒子(1)の透過型電子顕微鏡写真を図1に示す。
【0055】
[実施例2]
シリカ微粒子(2)分散液の製造
シリカ核粒子(A)としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイドSI-45P、平均粒子径=45nm、SiO2濃度=40重量%)150gを純水2850gで希釈し、これに粒子成長用シリカ粒子(B)としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイド SI-550、平均粒子径=5nm、SiO2濃度=20重量%)112gを混合して固形分濃度2.7重量%の混合分散液を調製した。このとき、平均粒子径比(DB)/(DA)は0.11、濃度比(CB)/(CA)は0.37であった。また、混合分散液のpHは10.75であった。
【0056】
ついで、混合分散液をオートクレーブに充填し、120℃に昇温した後、10時間水熱処理した。
水熱処理後、分散液を取り出したが、このときの分散液のpHは10.9であった。ついで、分散液を、限外膜を用いて、pHが9未満になるまで純水で洗浄して、固形分濃度30重量%のシリカ微粒子(2)分散液を製造した。
得られたシリカ微粒子(2)の平均粒子径(DS)を測定し、結果を表に示す。
【0057】
[実施例3]
シリカ微粒子(3)分散液の製造
シリカ核粒子(A)としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイドSI-45P、平均粒子径=45nm、SiO2濃度=40重量%)150gを純水2850gで希釈し、これに粒子成長用シリカ粒子(B)としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイド SI-550、平均粒子径=5nm、SiO2濃度=20重量%)2100gを混合して固形分濃度9.4重量%の混合分散液を調製した。このとき、平均粒子径比(DB)/(DA)は0.11、濃度比(CB)/(CA)は7.0であった。また、混合分散液のpHは10.95であった。
【0058】
ついで、混合分散液をオートクレーブに充填し、165℃に昇温した後、10時間水熱処理した。
水熱処理後、分散液を取り出したが、このときの分散液のpHは11.1であった。ついで、分散液を、限外膜を用いて、pHが9未満になるまで純水で洗浄して、固形分濃度30重量%のシリカ微粒子(3)分散液を製造した。
得られたシリカ微粒子(3)の平均粒子径(DS)を測定し、結果を表に示す。
【0059】
[実施例4]
シリカ微粒子(4)分散液の製造
シリカ核粒子(A)としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイド SI−80P、平均粒子径=80nm、SiO2濃度=40重量%)150gを純水2850gで希釈し、これに粒子成長用シリカ粒子(B)としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイド SI-550、平均粒子径=5nm、SiO2濃度=20重量%)713gを混合して固形分濃度5.5重量%の混合分散液を調製した。このとき、平均粒子径比(DB)/(DA)は0.06、濃度比(CB)/(CA)は2.38であった。また、混合分散液のpHは10.60であった。
【0060】
ついで、混合分散液をオートクレーブに充填し、165℃に昇温した後、10時間水熱処理した。水熱処理後、分散液を取り出したが、このときの分散液のpHは10.8であった。ついで、分散液を、限外膜を用いて、pHが9未満になるまで純水で洗浄して、固形分濃度30重量%のシリカ微粒子(4)分散液を製造した。
得られたシリカ微粒子(4)の平均粒子径(DS)を測定し、結果を表に示す。
【0061】
[実施例5]
シリカ微粒子(5)分散液の製造
シリカ核粒子(A)としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイド SI−50、平均粒子径=25nm、SiO2濃度=48重量%)150gを純水3450gで希釈し、これに粒子成長用シリカ粒子(B)としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイド SI-550、平均粒子径=5nm、SiO2濃度=20重量%)1740gを混合して固形分濃度7.9重量%の混合分散液を調製した。このとき、平均粒子径比(DB)/(DA)は0.20、濃度比(CB)/(CA)は4.83であった。また、混合分散液のpHは10.85であった。
【0062】
ついで、混合分散液をオートクレーブに充填し、165℃に昇温した後、2時間水熱処理した。
水熱処理後、分散液を取り出したが、このときの分散液のpHは11.0であった。ついで、分散液を、限外膜を用いて、pHが9未満になるまで純水で洗浄して、固形分濃度30重量%のシリカ微粒子(5)分散液を製造した。
得られたシリカ微粒子(5)の平均粒子径(DS)を測定し、結果を表に示す。
【0063】
[実施例6]
シリカ微粒子(6)分散液の製造
シリカ核粒子(A)としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイド SI−45P、平均粒子径=45nm、SiO2濃度=40重量%)150gを純水2850gで希釈し、これに粒子成長用シリカ粒子(B)としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイド SI−350、平均粒子径=7nm、SiO2濃度=20重量%)1386gを混合して固形分濃度7.7重量%の混合分散液を調製した。このとき、平均粒子径比(DB)/(DA)は0.16、濃度比(CB)/(CA)は4.62であった。また、混合分散液のpHは10.85であった。
【0064】
ついで、混合分散液をオートクレーブに充填し、200℃に昇温した後、10時間水熱処理した。水熱処理後、分散液を取り出したが、このときの分散液のpHは11.1であった。ついで、分散液を、限外膜を用いて、pHが9未満になるまで純水で洗浄して、固形分濃度30重量%のシリカ微粒子(6)分散液を製造した。
得られたシリカ微粒子(6)の平均粒子径(DS)を測定し、結果を表に示す。
【0065】
[実施例7]
シリカ微粒子(7)分散液の製造
シリカ核粒子(A)としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイド SI−45P、平均粒子径=45nm、SiO2濃度=40重量%)150gを純水2850gで希釈し、これに粒子成長用シリカ粒子(B)としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイド SI−350、平均粒子径=7nm、SiO2濃度=20重量%)112gを混合して固形分濃度2.6重量%の混合分散液を調製した。このとき、平均粒子径比(DB)/(DA)は0.16、濃度比(CB)/(CA)は0.37であった。また、混合分散液のpHは10.75であった。
【0066】
ついで、混合分散液をオートクレーブに充填し、200℃に昇温した後、5時間水熱処理した。
水熱処理後、分散液を取り出したが、このときの分散液のpHは11.0であった。ついで、分散液を、限外膜を用いて、pHが9未満になるまで純水で洗浄して、固形分濃度30重量%のシリカ微粒子(7)分散液を製造した。
得られたシリカ微粒子(7)の平均粒子径(DS)を測定し、結果を表に示す。
【0067】
[実施例8]
シリカ微粒子(8)分散液の製造
シリカ核粒子(A)としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイド SS−120、平均粒子径=120nm、SiO2濃度=20重量%)150gを純水1350gで希釈し、これに粒子成長用シリカ粒子(B)としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイド SI−550、平均粒子径=5nm、SiO2濃度=20重量%)143gを混合して固形分濃度3.6重量%の混合分散液を調製した。このとき、平均粒子径比(DB)/(DA)は0.04、濃度比(CB)/(CA)は0.95であった。また、混合分散液のpHは10.60であった。
【0068】
ついで、混合分散液をオートクレーブに充填し、150℃に昇温した後、10時間水熱処理した。水熱処理後、分散液を取り出したが、このときの分散液のpHは10.7であった。ついで、分散液を、限外膜を用いて、pHが9未満になるまで純水で洗浄して、固形分濃度30重量%のシリカ微粒子(8)分散液を製造した。
得られたシリカ微粒子(8)の平均粒子径(DS)を測定し、結果を表に示す。
【0069】
[実施例9]
シリカ微粒子(9)分散液の製造
シリカ核粒子(A)として、実施例8で調製した固形分濃度30重量%のシリカ微粒子(8)分散液200gを純水2800gで希釈し、これに粒子成長用シリカ粒子(B)としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイド SI−550、平均粒子径=5nm、SiO2濃度=20重量%)411gを混合して固形分濃度4.2重量%の混合分散液を調製した。このとき、平均粒子径比(DB)/(DA)は0.03、濃度比(CB)/(CA)は1.37であった。また、混合分散液のpHは10.50であった。
【0070】
ついで、混合分散液をオートクレーブに充填し、165℃に昇温した後、10時間水熱処理した。
水熱処理後、分散液を取り出したが、このときの分散液のpHは10.60であった。ついで、分散液を、限外膜を用いて、pHが9未満になるまで純水で洗浄して、固形分濃度30重量%のシリカ微粒子(9)分散液を製造した。
得られたシリカ微粒子(9)の平均粒子径(DS)を測定し、結果を表に示す。
【0071】
[実施例10]
シリカ微粒子(10)分散液の製造
シリカ核粒子(A)としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイドSI-45P、平均粒子径=45nm、SiO2濃度=40重量%)150gを純水19,850gで希釈し、これに粒子成長用シリカ粒子(B)としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイド SI-550、平均粒子径=5nm、SiO2濃度=20重量%)411gを混合して固形分濃度0.70重量%の混合分散液を調製した。このとき、平均粒子径比(DB)/(DA)は0.11、濃度比(CB)/(CA)は1.37であった。また、混合分散液のpHは10.70であった。
【0072】
ついで、混合分散液をオートクレーブに充填し、200℃に昇温した後、10時間水熱処理した。
水熱処理後、分散液を取り出したが、このときの分散液のpHは10.85であった。ついで、分散液を、限外膜を用いて、pHが9未満になるまで純水で洗浄して、固形分濃度30重量%のシリカ微粒子(10)分散液を製造した。
得られたシリカ微粒子(10)の平均粒子径(DS)を測定し、結果を表に示す。
なお、シリカ微粒子(10)には粒子径の小さなシリカ微粒子は認められなかった。
【0073】
[比較例1]
シリカ微粒子(R1)分散液の製造
シリカ核粒子(A)としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイド SI−50、平均粒子径=25nm、SiO2濃度=48重量%)150gを純水3450gで希釈し、これを87℃に昇温し、これに酸性珪酸液(SiO2濃度5.0重量%、pH2.7)6960gを19時間かけて添加した。このとき、分散液はNaOH水溶液を添加しながらpHを10.8に維持した。
【0074】
ついで、分散液を限外膜で用い、pHが9未満になるまで純水で洗浄して、固形分濃度30重量%のシリカ微粒子(R1)分散液を製造した。
得られたシリカ微粒子(R1)の平均粒子径(DS)を測定し、結果を表に示す。
【0075】
[比較例2]
粒子成長用シリカ粒子(B)分散液の調製
特開2004−203729号の実施例1の活性珪酸粒子分散液(1)の調製に準拠して粒子成長用シリカ粒子(B)分散液を調製した。
SiO2としての濃度が24重量%の珪酸ソーダ水溶液(SiO2/Na2Oモル比が3 .1 )をイオン交換水で希釈して、SiO2としての濃度が5 .2 重量%の希釈珪酸ソーダ水溶液を調製した。この珪酸ソーダ水溶液に硫酸を加えて中和し、シリカヒドロゲルを調製した。このシリカヒドロゲルを水で充分に洗浄した後、SiO2としての濃度が5 重量%のシリカヒドロゲル分散液43kgとし、これに濃度20重量% のNaOH水溶液955gを添加し、90℃で3時間解膠して粒子成長用シリカ粒子(B)分散液として活性珪酸粒子分散液(1)を調製した。このときのSiO2濃度は3重量% 、SiO2のモル数(MS)とアルカリ(M2Oと表す)のモル数(MA)との比(MS)/(MA)は15であった。また、レーザー光による動的光散乱法で測定した平均粒子径(DLF)は3nm 、NaOH滴定法で測定した平均粒子径(DNAF)は1nmであった。
【0076】
シリカ微粒子(R2)分散液の製造
シリカ核粒子(A)としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイド SI−50、平均粒子径=25nm、SiO2濃度=48重量%)150gを純水3450gで希釈し、ついで、分散液を80℃に昇温し、これに、上記で調製した粒子成長用シリカ粒子(B)分散液11597gを10時間で添加した。
【0077】
添加終了後の分散液のpHは10.5であった。
ついで、分散液を、限外膜を用いて、pHが9未満になるまで純水で洗浄して、固形分濃度30重量%のシリカ微粒子(R2)分散液を製造した。
得られたシリカ微粒子(R2)の平均粒子径、粒子径分布を測定し、結果を表に示す。
【0078】
[実施例11]
シリカ微粒子(11)分散液の製造
比較例2と同様に、粒子成長用シリカ粒子(B)分散液11597gを0.5時間で添加した後、分散液を160℃に昇温し、引き続き2時間水熱処理した以外は同様にして、固形分濃度30重量%のシリカ微粒子(11)分散液を製造した。
得られたシリカ微粒子(11)の平均粒子径、粒子径分布を測定し、結果を表に示す。
なお、シリカ微粒子(11)には粒子径の小さなシリカ微粒子は認められなかった。
【0079】
【表1】
図1