(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041679
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】コンピュータ装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20161206BHJP
G06F 3/0484 20130101ALI20161206BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20161206BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
G01C21/36
G06F3/0484 120
B60K35/00 Z
B60R16/02 640Z
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-5886(P2013-5886)
(22)【出願日】2013年1月17日
(65)【公開番号】特開2014-137280(P2014-137280A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】吉永 崇志
【審査官】
岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−302030(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/142200(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/36
B60K 35/00
B60R 16/02
G06F 3/0484
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に搭載されるコンピュータ装置であって、
非マルチウインドウのオペレーティングシステムと、
前記オペレーティングシステム上で稼働する、UI制限制御アプリケーションと、
前記オペレーティングシステム上で稼働する、自身のウインドウが表示されるときに自身に設定されているレベルを前記UI制限制御アプリケーションに通知し、自身のウインドウが表示されなくなるときに解除要求を前記UI制限制御アプリケーションに通知する第1種のアプリケーションとを有し、
前記UI制限制御アプリケーションは、
前記第1種のアプリケーションから前記レベルを通知されたときに、カレントレベルを当該通知されたレベルに設定し、前記第1種のアプリケーションから解除要求を通知されたときに前記カレントレベルを予め定めた所定のレベルに設定するカレントレベル設定手段と、
前記自動車の現在の走行状態を取得する走行状態取得手段と、
前記カレントレベルと前記自動車の現在の走行状態とに応じて、表示中のウインドウの表示内容の更新を制限する表示制限制御手段とを有することを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項2】
自動車に搭載されるコンピュータ装置であって、
非マルチウインドウのオペレーティングシステムと、
前記オペレーティングシステム上で稼働する、UI制限制御アプリケーションと、
前記オペレーティングシステム上で稼働する、自身のウインドウが表示されるときに自身に設定されているレベルを前記UI制限制御アプリケーションに通知し、自身のウインドウが表示されなくなるときに解除要求を前記UI制限制御アプリケーションに通知する第1種のアプリケーションとを有し、
前記UI制限制御アプリケーションは、
前記第1種のアプリケーションから前記レベルを通知されたときに、カレントレベルを当該通知されたレベルに設定し、前記第1種のアプリケーションから解除要求を通知されたときに前記カレントレベルを予め定めた所定のレベルに設定するカレントレベル設定手段と、
前記自動車の現在の走行状態を取得する走行状態取得手段と、
前記カレントレベルと前記自動車の現在の走行状態とに応じて、表示中のウインドウに対するユーザ操作の受け付けを制限する操作受付制限制御手段とを有することを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項3】
請求項1記載のコンピュータ装置であって、
前記UI制限制御アプリケーションは、前記カレントレベルと前記自動車の現在の走行状態とに応じて、表示中のウインドウに対するユーザ操作の受け付けを制限する操作受付制限制御手段を有することを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項4】
請求項1記載のコンピュータ装置であって、
前記コンピュータの表示出力を行うデバイスドライバである、動作モードとして表示出力を抑止する抑止モードを有する表示装置ドライバを有し、
前記UI制限制御アプリケーションの前記表示制限制御手段は、前記表示装置ドライバの前記動作モードを前記抑止モードに設定することにより、前記表示中のウインドウの表示内容の更新の制限を行うことを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項5】
請求項2記載のコンピュータ装置であって、
前記コンピュータの入力装置の入力受付を行うデバイスドライバである、動作モードとして前記入力受付を抑止する抑止モードを有する入力装置ドライバを有し、
前記UI制限制御アプリケーションの前記操作受付制限制御手段は、前記入力装置ドライバの前記動作モードを前記抑止モードに設定することにより、前記表示中のウインドウに対するユーザ操作の受け付けの制限を行うことを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項6】
請求項3記載のコンピュータ装置であって、
前記コンピュータの表示出力を行うデバイスドライバである、動作モードとして表示出力を抑止する抑止モードを有する表示装置ドライバと、
前記コンピュータの入力装置の入力受付を行うデバイスドライバである、動作モードとして前記入力受付を抑止する抑止モードを有する入力装置ドライバとを有し、
前記UI制限制御アプリケーションの前記表示制限制御手段は、前記表示装置ドライバの前記動作モードを前記抑止モードに設定することにより、前記前記表示中のウインドウの表示内容の更新の制限を行い、
前記UI制限制御アプリケーションの前記操作受付制限制御手段は、前記入力装置ドライバの前記動作モードを前記抑止モードに設定することにより、前記表示中のウインドウに対するユーザ操作の受け付けの制限を行うことを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項7】
請求項1、3、4または6記載のコンピュータ装置であって、
前記走行状態は、前記自動車が停止中である状態と、前記自動車が走行中である状態とを少なくとも含み、
前記UI制限制御アプリケーションの表示制限制御手段は、前記カレントレベルの取り得る各値と前記走行状態に含まれる各状態との各組合せと、表示の可否との予め定めた対応に従って、前記表示中のウインドウの表示内容の更新を制限することを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項8】
請求項2、3、5または6記載のコンピュータ装置であって、
前記走行状態は、前記自動車が停止中である状態と、前記自動車が走行中である状態とを少なくとも含み、
前記UI制限制御アプリケーションの操作受付制限制御手段は、前記カレントレベルの取り得る各値と前記走行状態に含まれる各状態との各組合せと、ユーザ操作の受け付けの可否との予め定めた対応に従って、表示中のウインドウに対するユーザ操作の受け付けを制限することを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項9】
請求項3または6記載のコンピュータ装置であって、
前記走行状態は、前記自動車が停止中である状態と、前記自動車が走行中である状態とを少なくとも含み、
前記UI制限制御アプリケーションの表示制限制御手段は、前記カレントレベルの取り得る各値と前記走行状態に含まれる各状態との各組合せと、表示の可否との予め定めた対応に従って、表示中のウインドウの表示内容の更新を制限し、
前記UI制限制御アプリケーションの操作受付制限制御手段は、前記カレントレベルの取り得る各値と前記走行状態に含まれる各状態との各組合せと、ユーザ操作の受け付けの可否との予め定めた対応に従って、表示中のウインドウに対するユーザ操作の受け付けを制限することを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載のコンピュータ装置であって、
前記オペレーティングシステム上で稼働する、前記レベルの前記UI制限制御アプリケーションへの通知、及び、前記解除要求の前記UI制限制御アプリケーションへの通知を行わない第2種のアプリケーションを有することを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項11】
自動車に搭載される、非マルチウインドウのオペレーティングシステムを備えたコンピュータによって読み取られるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記オペレーティングシステム上で稼働する、UI制限制御アプリケーション手段と、
前記オペレーティングシステム上で稼働する、自身のウインドウが表示されるときに自身に設定されているレベルを前記UI制限制御アプリケーションに通知し、自身のウインドウが表示されなくなるときに解除要求を前記UI制限制御アプリケーションに通知する第1種のアプリケーション手段として機能させ、
前記UI制限制御アプリケーション手段は、
前記第1種のアプリケーション手段から前記レベルを通知されたときに、カレントレベルを当該通知されたレベルに設定し、前記第1種のアプリケーションから解除要求を通知されたときに前記カレントレベルを予め定めた所定のレベルに設定するカレントレベル設定手段と、
前記自動車の現在の走行状態を取得する走行状態取得手段と、
前記カレントレベルと前記自動車の現在の走行状態とに応じて、表示中のウインドウの表示内容の更新を制限する表示制限制御手段とを有することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項12】
自動車に搭載される、非マルチウインドウのオペレーティングシステムを備えたコンピュータによって読み取られるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記オペレーティングシステム上で稼働する、UI制限制御アプリケーション手段と、
前記オペレーティングシステム上で稼働する、自身のウインドウが表示されるときに自身に設定されているレベルを前記UI制限制御アプリケーションに通知し、自身のウインドウが表示されなくなるときに解除要求を前記UI制限制御アプリケーションに通知する第1種のアプリケーション手段として機能させ、
前記UI制限制御アプリケーション手段は、
前記第1種のアプリケーション手段から前記レベルを通知されたときに、カレントレベルを当該通知されたレベルに設定し、前記第1種のアプリケーションから解除要求を通知されたときに前記カレントレベルを予め定めた所定のレベルに設定するカレントレベル設定手段と、
前記自動車の現在の走行状態を取得する走行状態取得手段と、
前記カレントレベルと前記自動車の現在の走行状態とに応じて、表示中のウインドウに対するユーザ操作の受け付けを制限する操作受付制限制御手段とを有することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項11記載のコンピュータプログラムであって、
前記UI制限制御アプリケーション手段は、前記カレントレベルと前記自動車の現在の走行状態とに応じて、表示中のウインドウに対するユーザ操作の受け付けを制限する操作受付制限制御手段を有することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項14】
自動車に搭載される、非マルチウインドウのオペレーティングシステムを備えたコンピュータによって読み取られ、前記オペレーティングシステム上で稼働するアプリケーションを実行するコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
自身のウインドウが表示されるときに自身に設定されているレベルを、他の所定のアプリケーションに通知し、自身のウインドウが表示されなくなるときに解除要求を前記所定のアプリケーションに通知するレベル通知手段として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項15】
自動車に搭載される、非マルチウインドウのオペレーティングシステムを備えたコンピュータによって読み取られ、前記オペレーティングシステム上で稼働するアプリケーションを実行するコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
他のアプリケーション手段からレベルを通知されたときに、カレントレベルを当該通知されたレベルに設定し、他のアプリケーションから解除要求を通知されたときに前記カレントレベルを予め定めた所定のレベルに設定するカレントレベル設定手段と、
前記自動車の現在の走行状態を取得する走行状態取得手段と、
前記カレントレベルと前記自動車の現在の走行状態とに応じて、表示中のウインドウの表示内容の更新を制限する表示制限制御手段として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項16】
自動車に搭載される、非マルチウインドウのオペレーティングシステムを備えたコンピュータによって読み取られ、前記オペレーティングシステム上で稼働するアプリケーションを実行するコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
他のアプリケーションからレベルを通知されたときに、カレントレベルを当該通知されたレベルに設定し、他のアプリケーションから解除要求を通知されたときに前記カレントレベルを予め定めた所定のレベルに設定するカレントレベル設定手段と、
前記自動車の現在の走行状態を取得する走行状態取得手段と、
前記カレントレベルと前記自動車の現在の走行状態とに応じて、表示中のウインドウに対するユーザ操作の受け付けを制限する操作受付制限制御手段として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項17】
請求項15記載のコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、さらに、
前記カレントレベルと前記自動車の現在の走行状態とに応じて、表示中のウインドウに対するユーザ操作の受け付けを制限する操作受付制限制御手段として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載のコンピュータ装置において、当該コンピュータ装置上で実行されるアプリケーションのUI(ユーザインタフェース)を、自動車の走行状態に応じて制御する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載のコンピュータ装置において、当該コンピュータ装置上で実行されるアプリケーションのUI(ユーザインタフェース)を自動車の走行状態に応じて制御する技術としては、各アプリケーションに、車載環境に適合した動作を行うアプリケーションであるか否かを表す識別子を付与しておき、コンピュータ装置のオペレーティングシステムにおいて、当該オペレーティングシステム上で稼働している各アプリケーションに付与された識別子に応じて、車載用に適合した動作を行わないアプリケーションについては、その表示動作等を制限する技術が知られている(たとえば、特許文献1、2)。なお、ここで、車載環境に適合した動作とは、過度のドライバーディストラクション(運転以外の行動により注意が散漫になること)を引き起こすことのない動作を指す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-222523号公報
【特許文献2】特開2010-179839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような、オペレーティングシステムにおいて、当該オペレーティングシステム上で稼働している各アプリケーションの表示動作等を、各アプリケーションに付与された識別子に応じて制限する機能は汎用のオペレーティングシステムには実装されていない。
このため、上述の技術を、汎用のオペレーティングシステムを用いる車載のコンピュータ装置において実施するためには、オペレーティングシステムのコア部分の改修が必要となるが、そのような改修を汎用のオペレーティングシステムに対して施すことには、大きな労力を要するし、オペレーティングシステムの使用ライセンス規約上、そのような改修が認められないこともある。
【0005】
一方で、車載環境に適合した動作を行わないアプリケーションによる表示の更新や操作の受け付けなどのUIは、過度のドライバーディストラクションを引き起こすことがあるため、自動車の走行状態に応じて制限することが望ましい。また、その反面、車載環境に適合した動作を行うアプリケーションについてまで、UIを一律に制限することは、ユーザのアプリケーション利用の利便性を不当に制限することとなるため好ましくない。
【0006】
そこで、本発明は、汎用のオペレーティングシステムを用いる車載のコンピュータ装置において、当該コンピュータ装置上で実行されるアプリケーションのUIを、アプリケーション毎に、当該アプリケーションによって引き起こされるドライバーディストラクションが抑制されるように制御することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載されるコンピュータ装置に、非マルチウインドウのオペレーティングシステムと、前記オペレーティングシステム上で稼働する、UI制限制御アプリケーションと、前記オペレーティングシステム上で稼働する、自身のウインドウが表示されるときに自身に設定されているレベルを前記UI制限制御アプリケーションに通知し、自身のウインドウが表示されなくなるときに解除要求を前記UI制限制御アプリケーションに通知する第1種のアプリケーションとを設け、前記UI制限制御アプリケーションに、前記第1種のアプリケーションから前記レベルを通知されたときに、カレントレベルを当該通知されたレベルに設定し、前記第1種のアプリケーションから解除要求を通知されたときに前記カレントレベルを予め定めた所定のレベルに設定するカレントレベル設定手段と、前記自動車の現在の走行状態を取得する走行状態取得手段と、前記カレントレベルと前記自動車の現在の走行状態とに応じて、表示中のウインドウの表示内容の更新を制限する表示制限制御手段とを備えたものである。
【0008】
ここで、このような表示制限制御手段を設けたコンピュータ装置は、前記UI制限制御アプリケーションに、表示制限制御手段に代えて、または、表示制限制御手段と共に、前記カレントレベルと前記自動車の現在の走行状態とに応じて、表示中のウインドウに対するユーザ操作の受け付けを制限する操作受付制限制御手段を設けるようにしてもよい。
【0009】
また、以上の表示制限制御手段を設けたコンピュータ装置は、当該コンピュータ装置に、前記コンピュータの表示出力を行うデバイスドライバである、動作モードとして表示出力を抑止する抑止モードを有する表示装置ドライバを設け、前記UI制限制御アプリケーションの前記表示制限制御手段において、前記表示装置ドライバの前記動作モードを前記抑止モードに設定することにより、前記表示中のウインドウの表示内容の更新の制限を行うように構成してもよい。
【0010】
また、以上の操作受付制限制御手段を設けたコンピュータ装置は、当該コンピュータ装置に、前記コンピュータの入力装置の入力受付を行うデバイスドライバである、動作モードとして前記入力受付を抑止する抑止モードを有する入力装置ドライバを設け、前記UI制限制御アプリケーションの前記操作受付制限制御手段において、前記入力装置ドライバの前記動作モードを前記抑止モードに設定することにより、前記表示中のウインドウに対するユーザ操作の受け付けの制限を行うように構成してもよい。
【0011】
また、以上の表示制限制御手段を設けたコンピュータ装置は、前記走行状態を、前記自動車が停止中である状態と、前記自動車が走行中である状態とを少なくとも含むものとし、前記UI制限制御アプリケーションの表示制限制御手段において、前記カレントレベルの取り得る各値と前記走行状態に含まれる各状態との各組合せと、ユーザ操作の受け付けの可否との予め定めた対応に従って、表示中のウインドウの表示内容の更新を制限するように構成してもよい。
【0012】
また、以上の操作受付制限制御手段を設けたコンピュータ装置は、前記走行状態を、前記自動車が停止中である状態と、前記自動車が走行中である状態とを少なくとも含むものとし、前記UI制限制御アプリケーションの操作受付制限制御手段において、前記カレントレベルの取り得る各値と前記走行状態に含まれる各状態との各組合せと、ユーザ操作の受け付けの可否との予め定めた対応に従って、表示中のウインドウに対するユーザ操作の受け付けを制限するように構成してもよい。
【0013】
また、以上のコンピュータ装置には、前記オペレーティングシステム上で稼働する、前記レベルの前記UI制限制御アプリケーションへの通知、及び、前記解除要求の前記UI制限制御アプリケーションへの通知を行わない第2種のアプリケーションを設けるようにしてかまわない。
【0014】
以上のようなコンピュータ装置によれば、第1種のアプリケーションは自身のウインドウの表示が開始されるときに、自身のレベルをUI制限制御アプリケーションに通知し、UI制限制御アプリケーションは、第1種のアプリケーションのウインドウが表示されている期間中、その第1種のアプリケーションから通知されたレベルと走行状態に応じて、表示の更新やユーザ操作受け付けのUIを制限する。したがって、第1種のアプリケーションを、自身のレベルとして、自身のUIがどのような走行状態でどのように制限されるべきかを表すレベルを通知するように構成すれば、第1種のアプリケーションのウインドウが表示されている期間中、UIをウインドウを表示している第1種のアプリケーションと走行状態とに応じて適切に制限することができるようになる。また、レベルの通知を行う機能を備えていないアプリケーション(第2種のアプリケーション)についても、そのアプリケーションのウインドウが表示されている期間中は、予め定めた所定のレベルと走行状態とに応じてUIが制限することができるので、このようなアプリケーションについて、所望のUIの制限を施すことができる。
【0015】
また、このようなUI制限制御アプリケーションによる表示の更新やユーザ操作受け付けのUIの制限はオペレーティングシステムのコア部分を改修せずとも、前記コンピュータの表示出力を行う表示装置ドライバとして。動作モードとして表示出力を抑止する抑止モードを有する表示装置ドライバを設けたり、前記コンピュータの入力装置の入力受付を行う入力装置ドライバとして、動作モードとして前記入力受付を抑止する抑止モードを有する入力装置ドライバを設け、これらのドライバの動作モードをUI制限制御アプリケーションで制御すれば実現することができる。
【0016】
よって、本発明によれば、汎用のオペレーティングシステムを用いる車載のコンピュータ装置において、各アプリケーションのUIを、当該UIによって引き起こされる過度のドライバーディストラクションが抑制されるように、アプリケーション毎に制御することができるようになる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、汎用のオペレーティングシステムを用いる車載のコンピュータ装置において、当該コンピュータ装置上で実行されるアプリケーションのUIを、アプリケーション毎に、当該アプリケーションによって引き起こされるドライバーディストラクションが抑制されるように制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る車載システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】アクティビティのライフサイクル/状態遷移を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るUI制限テーブルを示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るDDレベル通知機能を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態に係るカレントDDレベル設定処理を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態に係るUI制限制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る車載システムの構成を示す。
車載システムは自動車に搭載されるシステムであり、図示するように、コンピュータ装置10、自動車の走行速度や舵角などの各種状態を検出する走行状態センサ20、表示装置30、ユーザの操作を受け付けるタッチセンサやプッシュスイッチ等の入力装置30とを備えている。
また、コンピュータ装置10は、汎用のオペレーティングシステム11と、オペレーティングシステム11によって管理されオペレーティングシステム11上で稼働する複数のアプリケーションとを備えている。
また、オペレーティングシステム11には、デバイスドライバとして、走行状態センサ20が検出した走行状態情報を取り込む走行状態センサドライバ111、表示装置30の表示を制御する表示装置ドライバ112、入力装置30からの入力を受け付ける入力装置ドライバ113とが組み込まれている。
【0020】
次に、オペレーティングシステム11は、たとえば、Android(登録商標) OSなどの、マルチウインドウ機能を備えずに、同時には一つのウインドウのみを表示する、いわゆるシングルウインドウのオペレーティングシステム11である。
そして、オペレーティングシステム11上で稼働する複数のアプリケーションには、サービスと呼ばれる、コンピュータ装置10の起動に伴って自動起動しウインドウを用いずにバックグランドで動作する常駐型のアプリケーション12、13と、アクティビティと呼ばれる、ウインドウを用いて動作するアプリケーション14、15と、その他の種類のアプリケーション16が含まれる。
【0021】
そして、本実施形態では、コンピュータ装置10に、サービスとして、UI制限制御アプリケーション12と、その他のアプリケーション13を備える。
また、本実施形態では、コンピュータ装置10にアクティビティとして、DDレベル通知機能有のアプリケーション14と、DDレベル通知機能無のアプリケーション15とを備えることができる。
ここで、DDレベル通知機能有のアプリケーション14とは、自身の動作がドライバーディストラクション(運転以外の行動により注意が散漫になること)を引き起こすレベルをDDレベルとしてUI制限制御アプリケーション12に通知する機能であるDDレベル通知機能を備えたアクティビティであり、DDレベル通知機能無のアプリケーション15は、DDレベル通知機能を備えていないアクティビティである。
【0022】
ただし、以上のコンピュータ装置10は、CPUやメモリなどを備えたコンピュータを用いて構成されるものであり、オペレーティングシステム11や、各ドライバや、各アプリケーションは、CPUが所定のコンピュータプログラムを実行することにより実現されるものである。
【0023】
次に、
図2に、オペレーティングシステム11によって制御される、アクティビティ(アプリケーション14、15)の、コンピュータ装置10上でのライフサイクル/状態遷移を示す。
図示するように、アクティビティが、初回に起動されると、onCreate() onStart()、onResume() の順にアクティビティのメソッドがオペレーティングシステム11によって呼び出され、アクティビティが稼働中状態100に遷移する。
ここで、アクティビティが稼働中状態100にある期間中のみ、オペレーティングシステム11によって、稼働中状態100にあるアクティビティのウインドウが表示装置30に表示され、入力装置30で受け付けたウインドウに対するユーザ操作が稼働中状態にあるアクティビティに入力される。
そして、アクティビティが稼働中状態100にあるときに、他のアクティビティが開始されると、オペレーティングシステム11によって、アクティビティのonPause()メソッドが呼びされ、アクティビティは、稼働中状態100ではなくなり、稼働中状態100ではなくなったアクティビティのウインドウは表示装置30に表示されなくなり、入力装置30で受け付けたウインドウに対するユーザ操作も稼働中状態100ではなくなったアクティビティに入力されなくなる。
【0024】
そして、このアクティビティのウインドウが表示されていない状態が長時間継続すると、オペレーティングシステム11によって、アクティビティのonStop()メソッドが呼び出される。また、その後、オペレーティングシステム11がその判断に従ってアクティビティを終了するときには、アクティビティのonDstroy()メソッドが呼びされ、アクティビティが終了される。
【0025】
また、以上のライフサイクルにおいて、アクティビティのonPause()メソッドが呼びされた後や、アクティビティのonStop()メソッドが呼びされた後において、アクティビティよりも優先度が高い他アクティビティのメモリ不足が発生するとアクティビティは強制終了される。なお、この場合、その後に、ユーザによってアクティビティが起動されると、成就したonCreate()メソッド呼び出しからの手順が行われることとなる。
【0026】
また、以上のライフサイクルにおいて、アクティビティのonPause()メソッドが呼びされた後や、アクティビティのonStop()メソッドが呼びされた後、オペレーティングシステム11は、ユーザ操作等に応じてアクティビティを上述した稼働中状態100に移行することができ、このときにはアクティビティのonRestart()、onResume()のメソッドの順にアクティビティのメソッドがオペレーティングシステム11によって呼び出された後に、アクティビティが上述した稼働中状態100に遷移する。
【0027】
以上のように、アクティビティは、当該アクティビティのウインドウが表示され、当該アクティビティに対するユーザ操作を受け付ける状態である稼働中状態100に遷移するときには、必ず、その直前に当該アクティビティのonResume()のメソッドが呼び出される。また、アクティビティは稼働中状態100から、当該アクティビティのウインドウが表示されず、当該アクティビティに対するユーザ操作も受け付けない状態に稼働中状態100から遷移するときには、必ず、その直前に該アクティビティのon Pause()メソッドが呼び出される。
【0028】
以上、アクティビティ(アプリケーション14、15)の、コンピュータ装置10上でのライフサイクル/状態遷移について説明した。
次に、
図3に、UI制限制御アプリケーション12が予め備えるUI制限テーブルを示す。
図示するように、UI制限テーブルは、カレントDDレベルと走行状態との各組合せに対して、表示の許可/不許可の別と操作の許可/不許可の別を登録したものである。
ここで、カレントDDレベルとしては、「無」、「レベル1」、「レベル2」、「レベル3」を用い、走行状態としては、「停止中」、「通常走行中」、「カーブ走行中」を用いる。なお、走行状態「通常走行中」とは、カーブ走行中以外の走行を行っている状態である。
【0029】
また、カレントDDレベル「無」と「レベル4」に対しては、走行状態「停止中」のみについて表示と操作の許可を登録し、他の走行状態については全て表示と操作の不許可を登録する。
また、カレントDDレベル「レベル1」については、走行状態「停止中」と「通常走行中」については表示と操作の許可を登録し、走行状態「カーブ走行中」については表示の許可と操作の不許可を登録する。また、カレントDDレベル「レベル2」については、走行状態「停止中」については表示と操作の許可を登録し、走行状態「通常走行中」と「カーブ走行中」については表示の許可と操作の不許可を登録する。そして、カレントDDレベル「レベル3」については、走行状態「停止中」については表示と操作の許可を登録し、走行状態「通常走行中」ついては表示の許可と操作の不許可を登録し、走行状態「カーブ走行中」については表示と操作の不許可を登録する。
【0030】
以上、UI制限制御アプリケーション12が予め備えるUI制限テーブルについて説明した。
次に、上述したDDレベル通知機能有のアプリケーション(アクティビティ)14のDDレベル通知機能について説明する。
DDレベル通知機能とは、アプリケーション14が稼働中状態100に遷移するとき、すなわち、アプリケーション14のウインドウの表示が開始されるときに、アプリケーション14作成時に作成者によってアプリケーション14内に設定されているDDレベルをUI制限制御アプリケーション12に通知すると共に、アプリケーション14が稼働中状態100から他の状態に遷移するとき、すなわち、アプリケーション14のウインドウの表示が行われなくなるときに、カレントDDレベル設定解除をUI制限制御アプリケーション12に通知する機能である。
【0031】
より具体的には、DDレベル通知機能は、onResume()メソッドが呼び出されたときに行う処理の一部として定義された、設定されているDDレベルをUI制限制御アプリケーション12に通知する処理と、on Pause() メソッドが呼び出されたときに行う処理の一部として定義された、カレントDDレベル設定解除をUI制限制御アプリケーション12に通知する処理によって実現される。
【0032】
すなわち、
図4aに示すように、DDレベル通知機能有のアプリケーション14は、onResume()メソッドが呼び出されると、DDレベルをUI制限制御アプリケーション12に通知した上で(ステップ402)、上述した稼働中状態100に移行するために所要の他の処理(ステップ404)を実行する。
【0033】
また、
図4bに示すように、DDレベル通知機能有のアプリケーション14は、on Pause() メソッドが呼び出されると、カレントDDレベル設定解除をUI制限制御アプリケーション12に通知した上で(ステップ452)、上述した稼働中状態100でない状態に稼働中状態100から移行するために所要の他の処理(ステップ454)を実行する。
【0034】
ここで、DDレベル通知機能有のアプリケーション(アクティビティ)14の作成者は、どのような走行状態において、アプリケーション14が行う表示や操作受け付け動作が、抑止することが好ましいドライバーディストラクションを引き起こすかに応じて、DDレベルをアプリケーション14に設定する。
【0035】
すなわち、カーブ走行中において、アプリケーション14が行う操作受け付け動作のみが、抑止することが好ましいドライバーディストラクションを引き起こすのであれば、DDレベルとして「レベル1」を設定する。また、カーブ走行中と通常走行中において、アプリケーション14が行う操作受け付け動作のみが、抑止することが好ましいドライバーディストラクションを引き起こすのであれば、DDレベルとして「レベル2」を設定する。
【0036】
また、カーブ走行中において、アプリケーション14が行う表示動作と操作受け付け動作と、通常走行中において、アプリケーション14が行う操作受け付け動作のみが、抑止することが好ましいドライバーディストラクションを引き起こすのであれば、DDレベルとして「レベル3」を設定する。また、カーブ走行中と通常走行中において、アプリケーション14が行う表示動作と操作受け付け動作のみが抑止することが好ましいドライバーディストラクションを引き起こすのであれば、DDレベルとして「レベル4」を設定する。
【0037】
以上、上述したDDレベル通知機能有のアプリケーション(アクティビティ)14のDDレベル通知機能について説明した。このようなDDレベル通知機能によれば、DDレベル通知機能有のアプリケーション14が稼働中状態100に遷移するとき、すなわち、当該アプリケーション14のウインドウの表示が開始されるときには必ずDDレベルがUI制限制御アプリケーション12に通知され、DDレベル通知機能有のアプリケーション14が稼働中状態100から他の状態に遷移するとき、当該アプリケーション14のウインドウの表示が行われなくなるときには必ずカレントDDレベル設定解除がUI制限制御アプリケーション12に通知される。
【0038】
なお、ホームアプリケーションなどと呼ばれる、オペレーティングシステム11の起動時に自動起動し、アプリケーションの選択をユーザから受け付けるアプリケーションメニュー画面を、自身のウインドウに表示するアクティビティは、DDレベル通知機能有のアプリケーション14としてコンピュータ装置10に実装する。なお、ホームアプリケーションは、アプリケーションメニュー画面で選択を受け付けたアプリケーションの起動や稼働中状態100への移行をオペレーティングシステム11に行わせる。また、このホームアプリケーションは、特定のホームアプリケーション呼び出し操作に応じて、オペレーティングシステム11によって随時呼び出されるものである。
【0039】
なお、上述したDDレベル通知機能無のアプリケーション(アクティビティ)15は、以上のようなDDレベル通知機能を備えておらず、DDレベルやカレントDDレベル設定解除をUI制限制御アプリケーション12に通知することはない。
次に、UI制限制御アプリケーション12の動作について説明する。
まず、UI制限制御アプリケーション12が行うカレントDDレベル設定処理について説明する。
図5に、このカレントDDレベル設定処理の手順を示す。
図示するように、この処理では、他のアプリケーションからのDDレベルの通知の受信を監視し(ステップ502)、DDレベルの通知を受信したならば、カレントDDレベルを受信したDDレベルに設定する(ステップ504)。
そして、他のアプリケーションからのカレントDDレベル設定解除の通知の受信を監視し(ステップ506)、カレントDDレベル設定解除の通知を受信したならば、カレントDDレベルを「無」に設定し、ステップ502からの処理に戻る。
以上、UI制限制御アプリケーション12が行うカレントDDレベル設定処理について説明した。
ここで、このようなカレントDDレベル設定処理によれば、DDレベル通知機能有のアプリケーション(アクティビティ)14が稼働中状態100にあるときには、カレントDDレベルとして、稼働中状態100にあるアプリケーション14から通知されたDDレベルが設定され、その他のときには、カレントDDレベルとして「無」が設定されることとなる。
【0040】
次に、UI制限制御アプリケーション12が行うUI制限制御処理について説明する。
図6に、このUI制限制御処理の手順を示す。
図示するようにこの処理では、オペレーティングシステム11に組み込まれた走行状態センサドライバ111から、走行状態センサ20が検出した走行状態情報を取得し、現在の走行状態が「停止中」、「通常走行中」、「カーブ走行中」のいずれであるかを識別する(ステップ602)。なお、停止中/走行中は走行状態センサ20が検出した自動車の走行速度等から識別することができ、通常走行中/カーブ走行中は、走行状態センサ20が検出した自動車の舵角などより識別することができる。
【0041】
そして、次に、識別した走行状態と現在設定されているカレントDDレベルより、表示と操作の許可/不許可をUI制限テーブルを参照して算出する(ステップ604)。すなわち、識別した走行状態と現在設定されているカレントDDレベルとの組合せに対してUI制限テーブルに登録されている表示の許可、不許可の別と、操作の許可、不許可の別とを算定する。
【0042】
そして、算定した表示の許可、不許可に応じて、表示装置ドライバ112の動作モードを設定する(ステップ606)。
ここで、表示装置ドライバ112は、動作モードとして、表示装置30の表示をオペレーティングシステム11から供給される表示データや、稼働中状態100のアクティビティからオペレーティングシステム11を介して供給される表示データに従って更新する通常モードと、表示装置30の表示を凍結または所定の固定画面に固定化する表示抑止モードを有している。そして、ステップ606では、算定した表示の許可、不許可の別が「許可」であれば、表示装置ドライバ112の動作モードを通常モードに設定し、算定した表示の許可、不許可の別が「不許可」であれば、表示装置ドライバ112の動作モードを表示抑止モードに設定する。ただし、表示装置ドライバ112の現在の動作モードが、既に設定しようとする動作モードと同じであるときには、動作モードの設定は省略してよい。
【0043】
また、次に、算定した操作の許可、不許可に応じて、入力装置ドライバ113の動作モードを設定し(ステップ608)、ステップ602からの処理に戻る。
ここで、入力装置ドライバ113は、動作モードとして、表示中のウインドウに対する入力装置30からの入力を受け付けて、オペレーティングシステム11を介して稼働中状態100のアクティビティに受け付けた入力が表す操作を出力する通常モードと、表示中のウインドウに対する入力装置30からの入力を受け付けない入力抑止モードを有している。ただし、表示装置ドライバ112は、通常モードと入力抑止モードとのいずれにおいても、上述したホームアプリケーションの呼び出し操作などの表示中のウインドウに対する操作以外の操作は、これを受け付けてオペレーティングシステム11に受け付けた入力が表す操作を出力するようにする。すなわち、たとえば、表示中のウインドウに対する入力受け付け用の入力装置30としてタッチパネルを、ホームアプリケーションの呼び出し操作などの表示中のウインドウに対する操作以外の操作受け付け用の入力装置30としてプッシュスイッチやスライドスイッチを備えたコンピュータ装置10であれば、入力装置ドライバ113は、通常モードでは、プッシュスイッチやスライドスイッチとタッチパネルのいずれの入力も受け受け、入力抑止モードでは、プッシュスイッチやスライドスイッチの入力を受け付けつつ、タッチパネルからの入力は受け付けないように動作する。
【0044】
そして、ステップ608では、算定した操作の許可、不許可の別が「許可」であれば、入力装置ドライバ113の動作モードを通常モードに設定し、算定した操作の許可、不許可の別が「不許可」であれば、入力装置ドライバ113の動作モードを入力抑止モードに設定する。ただし、入力装置ドライバ113の現在の動作モードが、既に設定しようとする動作モードと同じであるときには、動作モードの設定は省略してよい。
【0045】
以上、UI制限制御アプリケーション12が行うUI制限制御処理について説明した。
このようなUI制限制御処理によれば、DDレベル通知機能有のアプリケーション(アクティビティ)14が稼働中状態100にあるときには、そのアプリケーション14に設定されたDDレベルと走行状態に応じて、そのアプリケーション14のウインドウの表示やユーザ操作の受け付けが制限される。一方、DDレベル通知機能無のアプリケーション(アクティビティ)15が稼働中状態100にあるときには、走行状態に応じて、予め定めた態様(UI制限テーブルのカレントDDレベル「無」に対して登録された表示、操作の許可/不許可の態様)に従って、そのアプリケーション15のウインドウの表示やユーザ操作の受け付けが制限されることとなる。
【0046】
以上のように、本実施形態によれば、DDレベル通知機能有のアプリケーション(アクティビティ)14は自身のウインドウの表示が開始されるときに、自身のDDレベルをUI制限制御アプリケーション12に通知し、UI制限制御アプリケーション12は、DDレベル通知機能有のアプリケーション14のウインドウが表示されている期間中、そのアプリケーション14から通知されたDDレベルを
カレントDDレベルに設定し、
カレントDDレベルと走行状態に応じて、表示やユーザ操作受け付けのUIを制限する。したがって、DDレベル通知機能有のアプリケーション14のウインドウが表示されている期間中は、UIを、そのDDレベル通知機能有のアプリケーション14に設定されているDDレベルと走行状態とに応じて適切に制限することができるようになる。
【0047】
また、DDレベル通知機能無のアプリケーション15のウインドウが表示されている期間中は、「無」が
カレントDDレベルに設定されて、
カレントDDレベルと走行状態に応じて、表示やユーザ操作受け付けのUIを制限することとなるので、DDレベル通知機能無のアプリケーション15については、一律に所望のUIの制限を施すことができる。
【0048】
また、このようなUI制限制御アプリケーション12による表示やユーザ操作受け付けのUIの制限は、オペレーティングシステム11のコア部分を改修せずとも、上述のように、表示装置ドライバ112や入力装置ドライバ113に動作モードとして表示抑止モードや入力抑止モードを設け、これらの動作モードをUI制限制御アプリケーション12で制御すれば実現することができる。
【符号の説明】
【0049】
10…コンピュータ装置、11…オペレーティングシステム、12…UI制限制御アプリケーション、20…走行状態センサ、30…表示装置、30…入力装置、100…稼働中状態、111…走行状態センサドライバ、112…表示装置ドライバ、113…入力装置ドライバ。