特許第6041680号(P6041680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041680
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】パリソン搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/42 20060101AFI20161206BHJP
   B29C 49/04 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   B29C49/42
   B29C49/04
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-6124(P2013-6124)
(22)【出願日】2013年1月17日
(65)【公開番号】特開2014-136367(P2014-136367A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(73)【特許権者】
【識別番号】000136723
【氏名又は名称】株式会社プラコー
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】岸本 元太郎
(72)【発明者】
【氏名】松浦 邦男
(72)【発明者】
【氏名】濱田 隆
(72)【発明者】
【氏名】今井 隆
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−318023(JP,A)
【文献】 特開2012−45772(JP,A)
【文献】 特開平9−225996(JP,A)
【文献】 特開2012−152840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00−49/80
B65G 47/90
B25J 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー成形装置に取付けられ、押出ヘッドから押出されたパリソンをブロー成形金型まで搬送するパリソン搬送装置において、
該パリソン搬送装置は、上記パリソンを保持するパリソン保持部材と、該パリソン保持部材を先端に取付け移動させるロボットアームを有し、
上記パリソン保持部材は、上記ロボットアームに取付けられるメインフレームと、該メインフレームに取付けられるとともに、上記メインフレーム上を摺動して相互に近接及び離れることとが可能に取付けられる2本のメインアームと、該メインアームのそれぞれの先端に取付けられるパリソン吸着部材とを有し、
該パリソン吸着部材は、長手方向に3つに分割されたパリソン吸着板から構成され、中央の上記パリソン吸着板は、上記メインアームの先端に取付けられるとともに、中央の上記パリソン吸着板に、上記メインアームの先端側と根元側の上記パリソン吸着板が吸着部材取付ピンで回動自在に取付けられ、
上記メインアームのそれぞれの先端に取付けられる上記パリソン吸着部材が、上記パリソンを吸着するときに、2つの上記パリソン吸着部材の上記パリソンを把持する面は、上記パリソンを包むように全体として楕円形の面を形成し、
それぞれの上記パリソン吸着板の上記パリソンを把持する面に、上記パリソンを吸着するパリソン吸着パットを複数個取付けたことを特徴とするパリソン搬送装置。
【請求項2】
それぞれの上記メインアームに平行にサブアームが取付けられ、該サブアームは、それぞれの上記メインアームに取付けられた上記サブアーム用エアチェックと上記ロボットアームに取付けられたバルブプレートにより往復運動され、上記サブアームの往復運動により、中央の上記パリソン吸着板に取付けられた上記メインアームの先端側と根元側の上記パリソン吸着板は、それぞれサブアームの往復運動により回動される請求項1に記載のパリソン搬送装置。
【請求項3】
上記パリソン吸着板の上記パリソンを把持するそれぞれの面は、上記パリソン吸着部材が上記パリソンを包むように全体として楕円形の面を形成したときに、楕円形の面の一部を構成するように湾曲して形成された請求項1又は請求項2に記載のパリソン搬送装置。
【請求項4】
上記メインアームの先端側の上記パリソン吸着板に取付けられた上記パリソン吸着パットの少なくとも1つは吸着面が上記パリソン吸着板に対して回動可能に取付けられた請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のパリソン搬送装置。
【請求項5】
上記パリソン吸着パットは、中央に吸着用開口を有し、該吸着用開口の周囲を吸着用開口外壁で囲まれて、該吸着用開口外壁の先端は、突起状に形成された吸着用開口外壁先端部が形成されるとともに、上記吸着用開口外壁の外面は、上記吸着用開口外壁先端部から傾斜して形成された吸着用開口外壁外周面を設けた請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のパリソン搬送装置。
【請求項6】
3つに分割された上記パリソン吸着板の上記パリソンを把持する面に複数個取付けられた上記パリソン吸着パットは、そのいずれかが空気漏れが生じた場合には、上記パリソン吸着パットから空気を吸引するパイプのみを遮断する遮断バルブを有する請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のパリソン搬送装置。
【請求項7】
上記パリソン保持部材は、上記ロボットアームとは、パリソン保持部材取付用ダミーブッシュで連結された請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のパリソン搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形装置に取付けられ、押出ヘッドから押出されたパリソンをブロー成形金型まで搬送するパリソン搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、中空体の製造においては、例えば、熱可塑性合成樹脂製の自動車用燃料タンクの製造は、中空体を成形することの容易性からブロー成形方法が多く用いられてきた。ブロー成形方法では、溶融した熱可塑性合成樹脂部材のパリソンを円筒状にして押出ヘッドから押出して、そのパリソンをブロー成形金型で挟みパリソン中に空気を吹き込み、自動車用燃料タンクを製造していた。
【0003】
図7図8に示すように、そのブロー成形方法において、押出ヘッド101からパリソン102を押出して、ブロー成形金型141を開いて、その間にパリソン102を流下させている。そのとき、ブロー成形の成形サイクルを短くして生産性を上げるために、2つのブロー成形金型141を使用している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
即ち、2つのブロー成形金型141をそれぞれブロー成形ユニット140に取付けて、そのブロー成形ユニット140を駆動装置142により、基盤143の上を回動させる。それによって、2つのブロー成形金型141を押出ヘッド101の下に順番に移動させて、ブロー成形金型141の間にパリソン102を流下させて、その後、ブロー成形金型141を閉じて、押出ヘッド101の下から移動させる。
【0005】
そして、次のブロー成形金型141を押出ヘッド101の下に移動させて、パリソン102を流下させるとともに、先のブロー成形金型141からブロー成形品を取出す。これを繰り返す。
この場合には、重量のあるブロー成形金型141を取付けたブロー成形ユニット140を駆動装置142により、基盤143の上を回動させるため、エネルギが多く必要となる。
【0006】
そのため、図9図11に示すように、2個のブロー成形金型241をそれぞれ固定して、押出ヘッド201から押出したパリソン202をパリソン搬送装置210でそれぞれのブロー成形金型241に搬送させるものがある(例えば、特許文献2参照。)。
このパリソン搬送装置210は、ロボットアーム213にパリソン保持部材220を取付け、パリソン保持部材220の先端に取付けたパリソン吸着部材230でパリソン202を挟持して、それぞれのブロー成形金型241に搬送するものである。
【0007】
このパリソン吸着部材230は、図10に示すように、メインアーム222に3個取付けられたパリソン吸着板231から構成され、パリソン吸着板231にはそれぞれ複数のパリソン吸着パット234が取付けられている。パリソン吸着板231は、シリンダ223により、パリソン202を囲むように、回動することができる。このパリソン吸着パット234でパリソン202を吸着して保持する。
【0008】
このとき、図11に示すように、2個のメインアーム222にそれぞれ取付けられた合計6個のパリソン吸着板231により、パリソン202は挟持される。この場合には、押出ヘッド201から押出したパリソン202は、円筒状であるが、6個のパリソン吸着板231は6角形状でパリソン202を挟持するため、パリソン吸着板231とパリソン吸着板231との間の角の部分でパリソン202の変形が避けられなかった。
【0009】
また、パリソン吸着板231は、パリソン202との当接面が平坦であり、6個のパリソン吸着板231に取付けられたパリソン吸着パット234の内でパリソン2202と斜めに当接して、パリソン202を吸着し難いものも生じて、パリソン202を安定して保持できない場合が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−52926号公報
【特許文献2】特許第4551982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そのため、本発明は、ブロー成形装置のパリソン搬送装置において、パリソンの形状を損なうことがなく、パリソンを確実に保持してブロー成形金型まで搬送することのできるパリソン搬送装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための請求項1の本発明は、ブロー成形装置に取付けられ、押出ヘッドから押出されたパリソンをブロー成形金型まで搬送するパリソン搬送装置において、
パリソン搬送装置は、パリソンを保持するパリソン保持部材と、パリソン保持部材を先端に取付け移動させるロボットアームを有し、
パリソン保持部材は、ロボットアームに取付けられるメインフレームと、メインフレームに取付けられるとともに、メインフレーム上を摺動して相互に近接及び離れることとが可能に取付けられる2本のメインアームと、メインアームのそれぞれの先端に取付けられるパリソン吸着部材とを有し、
パリソン吸着部材は、長手方向に3つに分割されたパリソン吸着板から構成され、中央のパリソン吸着板は、メインアームの先端に取付けられるとともに、中央のパリソン吸着板に、メインアームの先端側と根元側のパリソン吸着板が吸着部材取付ピンで回動自在に取付けられ、
メインアームのそれぞれの先端に取付けられるパリソン吸着部材が、パリソンを吸着するときに、2つのパリソン吸着部材のパリソンを把持する面は、パリソンを包むように全体として楕円形の面を形成し、
それぞれのパリソン吸着板のパリソンを把持する面に、パリソンを吸着するパリソン吸着パットを複数個取付けたことを特徴とするパリソン搬送装置である。
【0013】
請求項1の本発明では、ブロー成形装置に取付けられ、押出ヘッドから押出されたパリソンをブロー成形金型まで搬送するパリソン搬送装置において、パリソン搬送装置は、パリソンを保持するパリソン保持部材と、パリソン保持部材を先端に取付け移動させるロボットアームを有する。このため、ロボットアームで狭い場所でも自在にパリソン保持部材を移動させることができ、ブロー成形金型と押出ヘッドの設置場所の自由度が大きい。また、自由度が大きいため、押出ヘッドとブロー成形金型との距離と高低差を小さくすることができ、パリソンを安定的に搬送することができる。
【0014】
パリソン保持部材は、ロボットアームに取付けられるメインフレームと、メインフレームに取付けられるとともに、メインフレーム上を摺動して相互に近接及び離れることとが可能に取付けられる2本のメインアームと、メインアームのそれぞれの先端に取付けられるパリソン吸着部材とを有する。このため、メインフレームに取付けられる2本のメインアームを操作して、メインアームのそれぞれの先端に取付けたパリソン吸着部材でパリソンを挟持したり、離したりすることができる。
【0015】
パリソン吸着部材は、長手方向に3つに分割されたパリソン吸着板から構成され、中央のパリソン吸着板は、メインアームの先端に取付けられるとともに、中央のパリソン吸着板に、メインアームの先端側と根元側のパリソン吸着板が吸着部材取付ピンで回動自在に取付けられる。このため、長手方向に3つに分割されたパリソン吸着板を吸着部材取付ピンで回動させて、取付角度を変えることにより、パリソン吸着部材が形成する楕円形の形状を変化させて、パリソンの大きさに合わせて、パリソンをパリソン吸着板が包むようにすることができる。
【0016】
メインアームのそれぞれの先端に取付けられるパリソン吸着部材が、パリソンを吸着するときに、2つのパリソン吸着部材のパリソンを把持する面は、パリソンを包むように全体として楕円形の面を形成する。このため、パリソン吸着部材のパリソンを把持する面で角部がなく、パリソンの外面を楕円形の面でスムースに挟持することができ、パリソンの変形が少なく、多数のパリソン吸着パットが漏れなく、パリソンを吸着して、安定してパリソンを保持することができる。
【0017】
それぞれの、パリソン吸着板のパリソンを把持する面に、パリソンを吸着するパリソン吸着パットを複数個取付けた。このため、多数のパリソン吸着パットでパリソンの外面を均一に保持することができ、パリソンの変形を少なくすることができる。
【0018】
請求項2の本発明は、それぞれのメインアームに平行にサブアームが取付けられ、サブアームは、それぞれのメインアームに取付けられたサブアーム用エアチェックとロボットアームに取付けられたバルブプレートにより往復運動され、サブアームの往復運動により、中央のパリソン吸着板に取付けられたメインアームの先端側と根元側のパリソン吸着板は、それぞれサブアームの往復運動により回動されるパリソン搬送装置である。
【0019】
請求項2の本発明では、それぞれのメインアームに平行にサブアームが取付けられ、サブアームは、それぞれのメインアームに取付けられたサブアーム用エアチェックとロボットアームに取付けられたバルブプレートにより往復運動される。このため、サブアーム用エアチェックの取付位置をメインアームの根元付近に取付け、メインアームのメインフレームに対するモーメント荷重を小さくすることができる。また、バルブプレートをロボットアームに取付けるため、ロボットアームの先端に係る荷重を小さくして、ロボットアームの稼働エネルギを少なくし、稼働をスムースにすることができる。
【0020】
サブアームの往復運動により、中央のパリソン吸着板に取付けられたメインアームの先端側と根元側のパリソン吸着板は、それぞれサブアームの往復運動により回動される。このため、サブアームにより、パリソン吸着板が形成するパリソンを把持する面の楕円形の半径を自由に変化させることができ、パリソンの外径に応じてパリソン吸着板が形成するパリソンを把持する面を最適にすることができる。
【0021】
請求項3の本発明は、パリソン吸着板のパリソンを把持するそれぞれの面は、パリソン吸着部材がパリソンを包むように全体として楕円形の面を形成したときに、楕円形の面の一部を構成するように湾曲して形成されたパリソン搬送装置である。
【0022】
請求項3の本発明では、パリソン吸着板のパリソンを把持するそれぞれの面は、パリソン吸着部材がパリソンを包むように全体として楕円形の面を形成したときに、楕円形の面の一部を構成するように湾曲して形成された。このため、パリソンを把持する面が全体としてスムースな楕円面を形成することができ、パリソンの変形が少なく、多数のパリソン吸着パットが均一に、パリソンを吸着して、安定してパリソンを保持することができる。
【0023】
請求項4の本発明は、メインアームの先端側のパリソン吸着板に取付けられたパリソン吸着パットの少なくとも1つは吸着面がパリソン吸着板に対して回動可能に取付けられたパリソン搬送装置である。
【0024】
請求項4の本発明では、メインアームの先端側のパリソン吸着板に取付けられたパリソン吸着パットの少なくとも1つは吸着面がパリソン吸着板に対して回動可能に取付けられた。このため、パリソンの外面に対して、回動可能に取付けられたパリソン吸着パットがパリソンの楕円形の外面と密着することができ、先端側のパリソン吸着板がパリソンを確実に保持することができる。
【0025】
請求項5の本発明は、パリソン吸着パットは、中央に吸着用開口を有し、吸着用開口の周囲を吸着用開口外壁で囲まれて、吸着用開口外壁の先端は、突起状に形成された吸着用開口外壁先端部が形成されるとともに、吸着用開口外壁の外面は、吸着用開口外壁先端部から傾斜して形成された吸着用開口外壁外周面を設けたパリソン搬送装置である。
【0026】
請求項5の本発明では、パリソン吸着パットは、中央に吸着用開口を有し、吸着用開口の周囲を吸着用開口外壁で囲まれて、吸着用開口外壁の先端は、突起状に形成された吸着用開口外壁先端部が形成されるとともに、吸着用開口外壁の外面は、吸着用開口外壁先端部から傾斜して形成された吸着用開口外壁外周面を設けた。このため、パリソンの搬送時には吸着用開口でパリソンを吸着するとともに、吸着用開口外壁先端部と吸着用開口外壁外周面によりパリソンがパリソン吸着パットに接触する面積が小さく、パリソンの搬送後は、パリソンをパリソン吸着パットから確実に離すことができる。
【0027】
請求項6の本発明は、3つに分割されたパリソン吸着板のパリソンを把持する面に複数個取付けられたパリソン吸着パットは、そのいずれかが空気漏れが生じた場合には、パリソン吸着パットから空気を吸引するパイプのみを遮断する遮断バルブを有するパリソン搬送装置である。
【0028】
請求項6の本発明では、3つに分割されたパリソン吸着板のパリソンを把持する面に複数個取付けられたパリソン吸着パットは、そのいずれかが空気漏れが生じた場合には、パリソン吸着パットから空気を吸引するパイプのみを遮断する遮断バルブを有する。このため、1個のパリソン吸着パットに空気漏れが生じても、他の多数のパリソン吸着パットを作動させることができ、安定してパリソンを保持することができる。
【0029】
請求項7の本発明は、パリソン搬送装置は、ロボットアームとは、パリソン保持部材取付用ダミーブッシュで連結されたパリソン搬送装置である。
【0030】
請求項7の本発明では、パリソン保持部材は、ロボットアームとは、パリソン保持部材取付用ダミーブッシュで連結されたため、成形するブロー成形品が変更されると、パリソン保持部材を交換するときは、パリソン保持部材取付用ダミーブッシュの部分を接続し直せば良いため、パリソン保持部材の交換が容易であり、生産性を向上できる。
【発明の効果】
【0031】
メインアームのそれぞれの先端に取付けられるパリソン吸着部材が、パリソンを吸着するときに、2つのパリソン吸着部材のパリソンを把持する面は、パリソンを包むように全体として楕円形の面を形成するため、パリソン吸着部材のパリソンを把持する面で角部がなく、パリソンの変形が少なく、多数のパリソン吸着パットが漏れなく、パリソンを吸着して、安定してパリソンを保持することができる。
パリソン吸着板のパリソンを把持する面にパリソンを吸着するパリソン吸着パットを複数個取付けたため、多数のパリソン吸着パットでパリソンの外面を均一に保持することができ、パリソンの変形を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施の形態であるパリソン搬送装置の側面図である。
図2】本発明の実施の形態であるパリソン保持部材の平面図である。
図3】本発明の実施の形態であるパリソン保持部材の正面図である。
図4】本発明の実施の形態であるパリソン吸着部材の平面図である。
図5】本発明の実施の形態であるパリソン吸着パットの断面図である。
図6】本発明の実施の形態であるパリソン吸着パットのフィルタの平面図である。
図7】従来のパリソン搬送装置の側面図である。
図8】従来のパリソン搬送装置の平面図である。
図9】従来の他のパリソン搬送装置の側面図である。
図10】従来の他のパリソン保持部材の斜視図である。
図11】従来の他のパリソン保持部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施の形態であるパリソン搬送装置10について、図1図6に基づき説明する。
図1に示すように、パリソン搬送装置10は、パリソン2を保持するパリソン保持部材20と、パリソン保持部材20を先端に取付けて、移動させるロボットアーム13を有する。ロボットアーム13は、ロボット15に取付けられて、所定のプログラムにより駆動されて、パリソン2をブロー成形金型(図示せず)に搬送する。パリソン保持部材20は、押出ヘッド1から押出されたパリソン2を保持する。保持されたパリソン2は、押出ヘッドとパリソン保持部材20の間で、中空のまま切断される。
【0034】
このため、ロボットアーム13で狭い場所でも自在にパリソン保持部材20を移動させることができ、ブロー成形金型と押出ヘッド1の設置場所の自由度が大きい。
また、押出ヘッド1とブロー成形金型の距離と高低差を少なくして、パリソン搬送時の上下動の軽減と慣性変化を小さくして、パリソン2の延伸防止とパリソン2の落下防止をすることができる。
パリソン保持部材20については後述する。
【0035】
ロボットアーム13には、後述するパリソン吸着部材30を駆動する空気を送付するエアホース12が取付けられている。エアホース12は、エアタンク11から空気を供給され、ロボットアーム13に取付けられたバルブプレート14に連結されている。バルブプレート14から更にエアホース12が延長され、後述するパリソン保持部材20のメインアーム22に取付けられたサブアーム用エアチェック25に達する。この空気の送付によりパリソン吸着部材30を回動することができる。
【0036】
バルブプレート14がロボットアーム13に取付けられているため、パリソン保持部材20にバルブプレート14を取付けるよりも、ロボットアーム13の先端に係る荷重を小さくして、ロボットアーム13の稼働エネルギを少なくし、ロボットアーム13の稼働をスムースにすることができる。
【0037】
パリソン保持部材20は、ロボットアーム13とは、ATC取付用ダミーブッシュ27で連結されている。ATC取付用ダミーブッシュ27は、パリソン保持部材20をロボットアーム13の先端に取付けるとともに、パリソン保持部材20に取付けられた各種の部材を駆動する信号とエネルギを供給する接続部材が一体的に取付けられている。このため、別のブロー成形品を成形するため、パリソン保持部材20を交換するときは、ATC取付用ダミーブッシュ27の部分を接続し直せば良いため、パリソン保持部材20の交換が容易であり、生産性を向上できる。
【0038】
次に、パリソン保持部材20について図2図3に基づき説明する。
パリソン保持部材20は、ATC取付用ダミーブッシュ27によりロボットアーム13に取付けられるメインフレーム21と、メインフレーム21に摺動可能に取付けられ、相互に近接及び離れることとが可能に取付けられる2本のメインアーム22、22と、メインアーム22、22のそれぞれの先端に取付けられるパリソン吸着部材30、30とを有する。
【0039】
2本のメインアーム22、22は、一方の先端がメインフレーム21に取付けられ、メインフレーム21に取付けられたメインアーム開閉用サーボモータ24により、メインフレーム21上を摺動して、相互に近接及び離れることが可能になっている。このため、2本のメインアーム22、22を操作して、パリソン吸着部材30、30でパリソン2を挟持することができる。
【0040】
2本のメインアーム22、22上には、それぞれサブアーム用エアチェック25、25が取付けられている。サブアーム用エアチェック25、25には、バルブプレート14から延設されたエアホース12が接続されている。2本のメインアーム22、22は、その長手方向に沿ってそれぞれサブアーム23、23が取付けられている。サブアーム23、23の一方の先端は、サブアーム用エアチェック25、25に接続され、他方の先端は、後述するパリソン吸着部材30、30のパリソン吸着板31、31に接続されている。
【0041】
サブアーム23、23は、サブアーム用エアチェック25、25とロボットアーム13に取付けられたバルブプレート14により往復運動される。このため、サブアーム用エアチェック25、25の取付位置をメインアーム22のメインフレーム21に近接した根元付近に取付けて、メインアーム22、22のメインフレーム21に対するモーメント荷重を小さくすることができる。
【0042】
次に、図4図6に基づき、メインアーム22、22の先端に取付けられたパリソン吸着部材30、30について説明する。2つのパリソン吸着部材30、30は、メインアーム22、22の先端から向かい合って取付けられて、それぞれ左右対称であるため一方のパリソン吸着部材30について説明する。
【0043】
パリソン吸着部材30は、長手方向に3つに分割されたパリソン吸着板31、31、31から構成されている。中央のパリソン吸着板31は、メインアーム22の先端に固定して取付けられている。中央のパリソン吸着板31に、メインアーム22の先端側と根元側のパリソン吸着板31、31が吸着部材取付ピン32、32で回動自在に取付けられる。
【0044】
そして、前述のとおり、メインアーム22の先端側と根元側のパリソン吸着板31、31には、サブアーム23の先端が取付けられている。このため、長手方向に3つに分割されたパリソン吸着板31のメインアーム22の先端側と根元側のパリソン吸着板31、31をサブアーム23の往復運動により吸着部材取付ピン32、32を中心にして回動させて、取付角度を変えることにより、パリソン2をパリソン吸着板31、31、31が包むようにすることができる。
【0045】
パリソン吸着板31のパリソン2を把持するそれぞれの面は、全体として楕円形の面を形成するように湾曲して形成されている。このため、パリソン吸着部材30の3枚のパリソン吸着板31、31、31が、パリソン2を保持するときに、左右の2つのパリソン吸着部材30、30が合わされて形成されるパリソン2を把持する面は、パリソン2を包むように全体として楕円形の面を形成する。サブアーム23の摺動する長さにより、パリソン吸着板31が形成する楕円形の形状を変化させることができる。
【0046】
このパリソン吸着部材30、30で形成された楕円形は、パリソン2が押出ヘッド1から円筒状に押出されたときに、楕円形の短軸がパリソン2の円筒状の直径よりも10%程度短く形成された楕円形が好ましい。この楕円形の面により、パリソン2を皺が寄ることなく、安定して保持することができる。
【0047】
従って、左右の2つのパリソン吸着部材30、30が合わされて形成されるパリソン2を把持する面は、滑らかで角部がなく、パリソン2の外面を楕円形の面でスムースに挟持することができ、パリソン2の変形が少ない。また、後述する多数のパリソン吸着パット34が均一に、パリソン2に当接して、吸着して、安定してパリソン2の上部を保持することができる。
【0048】
本実施の形態では、パリソン吸着板31のパリソン2を把持する面に、パリソン2を吸着するパリソン吸着パット34が3個ずつ取付けられている。パリソン吸着パット34は複数であれば、その数は適宜選択することができる。このため、3個のパリソン吸着板31に取付けられた多数のパリソン吸着パット34、34、34でパリソン2の外面を均一に保持することができ、パリソン2の変形を少なくすることができる。
【0049】
メインアーム22の先端側のパリソン吸着板31に取付けられたパリソン吸着パット34の少なくとも1つは、吸着面がパリソン吸着板31に対して回動可能に取付けられている。本実施の形態では、最も先端のパリソン吸着パット34が回動可能に取付けられている。このため、パリソン2をパリソン吸着部材30で保持するときに、パリソン2の外面に対して、回動可能に取付けられたパリソン吸着パット34が角度を変えて、密着することができ、パリソン吸着板31の合わせ目に存在するパリソン2を確実に保持することができる。また、最も根元側のパリソン吸着パット34も、他のパリソン吸着パット34も回動可能に取付けることができる。
【0050】
図5に示すように、それぞれのパリソン吸着パット34は、中央に吸着用開口38を有し、吸着用開口38の周囲を吸着用開口外壁39で囲まれている。吸着用開口外壁39の先端は、突起状に形成された吸着用開口外壁先端部39aが形成されている。そして、吸着用開口外壁39の吸着用開口38とは反対側の外面は、吸着用開口外壁先端部39aから傾斜して形成された吸着用開口外壁外周面39bが形成されている。
【0051】
このため、パリソンの搬送時には吸着用開口38でパリソン2を吸着すると、吸着用開口外壁先端部39aにパリソン2が当接する。しかし、吸着用開口外壁先端部39aは尖っているため当接面積が小さい。さらに、吸着用開口外壁外周面39bは、傾斜面であるため、吸着用開口外壁先端部39aに当接したパリソン2が、吸着用開口外壁外周面39bと接触することが少なく、パリソン2を搬送した後にブロー成形金型に挟持させるときに、パリソン2をパリソン吸着パット34から確実に離すことができる。
【0052】
また、それぞれのパリソン吸着パット34は、中央に吸着用開口38を有し、吸着用開口38の中には、フィルタ35が取付けられている。フィルタ35は、多数のフィルタ孔36が形成されている。パリソン吸着パット34の吸着用開口38と反対側の部分にはエア吸引孔37が形成されており、エア吸引孔37から空気を吸引することにより、パリソン2をパリソン吸着パット34で吸着することができる。エア吸引孔37は、パイプで空気を吸引する真空ポンプ(図示せず)に接続されている。
【0053】
また、このパイプをコンプレッサに接続して、吸着用開口38から空気を吹き出すこともできる。この場合には、パリソン2をパリソン吸着パット34から確実に素早く離すことができる。そして、フィルタ35のフィルタ孔36の目詰まりを防止することができ、吸引力を維持できる。
【0054】
3つに分割されたパリソン吸着板31のパリソン2を把持する面に多数取付けられたパリソン吸着パット34は、そのいずれかが空気漏れが生じた場合には、パリソン吸着パット34から空気を吸引するパイプの真空圧を検出して、真空圧が低下した場合には、パイプを遮断する遮断バルブ(図示せず)を有する。このため、1個のパリソン吸着パット34に空気漏れが生じても、他の多数のパリソン吸着パット34を作動させることができ、安定してパリソン2を保持することができる。
【0055】
この遮断バルブは、2個又は3個のパリソン吸着パット34をブロックとして連結したパイプに設けてもよい。この場合に、パイプで連結されるパリソン吸着パット34は、それぞれが離れた位置にあるものが好ましい。例えば、先端側のパリソン吸着板31に取付けたパリソン吸着パット34と根元側のパリソン吸着板31に取付けたパリソン吸着パット34とを1つのブロックとして、中央のパリソン吸着板31に取付けたパリソン吸着パット34と先端側又は根元側のパリソン吸着板31に取付けたパリソン吸着パット34とを1つのブロックとする等である。
【符号の説明】
【0056】
2 パリソン
10 パリソン搬送装置
13 ロボットアーム
20 パリソン保持部材
21 メインフレーム
22 メインアーム
23 サブアーム
27 ATC取付用ダミーブッシュ
30 パリソン吸着部材
31 パリソン吸着板
34 パリソン吸着パット
38 吸着用開口
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