特許第6041687号(P6041687)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6041687印刷サーバシステム、および制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041687
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】印刷サーバシステム、および制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20161206BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   G06F3/12 305
   G06F3/12 320
   G06F3/12 324
   G06F3/12 329
   G06F3/12 331
   G06F3/12 332
   G06F3/12 339
   G06F3/12 387
   H04N1/00 107Z
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-13322(P2013-13322)
(22)【出願日】2013年1月28日
(65)【公開番号】特開2014-146112(P2014-146112A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2016年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】石原 友裕
【審査官】 片岡 利延
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/115987(WO,A2)
【文献】 特開2013−012066(JP,A)
【文献】 特開2005−044079(JP,A)
【文献】 特開2012−155575(JP,A)
【文献】 特開2013−033437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
登録済みのプリンタに対する印刷ジョブをネットワークを介して送信する印刷サービスを備えた印刷サーバシステムであって、
プリンタの登録要求とともに、登録対象である前記プリンタに関する情報と、前記印刷サービスから印刷ジョブを受信し前記プリンタへ送信する機能を備えたプロキシに関する情報とを受信する受信手段と、
前記プリンタが前記印刷サービスに対して既に登録済みの場合、前記プロキシが印刷サービスの利用を制限することが可能なエンタープライズ対応のプロキシであるか否かを受信された前記プロキシに関する情報を基に判断する判断手段と、
前記判断手段によりエンタープライズ対応のプロキシであると判断された場合は、前記プリンタの登録を行わず、前記判断手段によりエンタープライズ対応のプロキシでないと判断された場合は、受信された前記プリンタに関する情報を重複して保存することで前記プリンタの多重登録を行う登録制御手段と、を有する印刷サーバシステム。
【請求項2】
前記受信手段は、更に、登録対象である前記プリンタに紐付けるユーザに関する情報も受信し、
前記判断手段は、受信された前記ユーザに関する情報を基に、前記印刷サービスに対して既に登録済みのプリンタに紐付くユーザと、登録対象である前記プリンタに紐付けるユーザとが同一であるか否かを判断し、同一であると判断された場合は前記プリンタの登録を行わず、同一でないと判断された場合は前記プロキシがエンタープライズ対応のプロキシであるか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の印刷サーバシステム。
【請求項3】
前記登録制御手段による前記プリンタの登録が行われない場合は、前記印刷サービスに対して既に登録済みのプリンタを利用するための対応方法が示された画面を提供する提供手段を有する請求項1または2に記載の印刷サーバシステム。
【請求項4】
前記判断手段によりエンタープライズ対応のプロキシでないと判断された場合、前記提供手段は、別のユーザと紐付けて登録された既に登録済みのプリンタに対して共有設定を行うことを促す画面を提供することを特徴とする請求項3に記載の印刷サーバシステム。
【請求項5】
前記印刷サービスに対して既に登録済みのプリンタが、前記プロキシを備えた情報処理装置を介さずに印刷ジョブを受信するプリンタとして登録されている場合、前記登録制御手段は登録対象である前記プリンタの登録を行わないことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の印刷サーバシステム。
【請求項6】
前記印刷サービスに対して既に登録済みのプリンタが、前記プロキシを備えた情報処理装置を介さずに印刷ジョブを受信するプリンタとして登録されている際に、
前記印刷サービスに対して既に登録済みのプリンタに紐付くユーザと、登録対象である前記プリンタに紐付けるユーザとが同一である場合、前記提供手段は既に登録済みのプリンタの登録を解除した後に再登録を行うよう促す画面を提供し、
前記印刷サービスに対して既に登録済みのプリンタに紐付くユーザと、登録対象である前記プリンタに紐付けるユーザとが同一でない場合、前記提供手段は別のユーザと紐付けて登録された既に登録済みの前記プリンタに対して共有設定を行うことを促す画面を提供することを特徴とする請求項3または4に記載の印刷サーバシステム。
【請求項7】
印刷サービスの利用を制限することが可能な前記エンタープライズ対応のプロキシは、ポリシーを満たさない印刷ジョブをプリンタへ送信しないように制限する機能を有するプロキシであることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の印刷サーバシステム。
【請求項8】
登録済みのプリンタに対する印刷ジョブをネットワークを介して送信する印刷サービスを備えた印刷サーバシステムであって、
前記印刷サービスから印刷ジョブを受信し前記プリンタへ送信する機能を備えたプロキシを介して印刷を行うプリンタの登録要求とともに、登録対象である前記プリンタに関する情報を受信する受信手段と、
前記プリンタが前記印刷サービスに対して既に登録済みの際、前記プロキシが印刷サービスの利用を制限することが可能なエンタープライズ対応のプロキシである場合は、前記プリンタの登録を行わず、前記プロキシが印刷サービスの利用を制限することが可能なエンタープライズ対応のプロキシでない場合は、受信された前記プリンタに関する情報を重複して保存することで前記プリンタの多重登録を行う登録制御手段と、を有する印刷サーバシステム。
【請求項9】
登録済みのプリンタに対する印刷ジョブをネットワークを介して送信する印刷サービスを備えた印刷サーバシステムを制御する制御方法であって、
受信手段は、プリンタの登録要求とともに、登録対象である前記プリンタに関する情報と、前記印刷サービスから印刷ジョブを受信し前記プリンタへ送信する機能を備えたプロキシに関する情報とを受信し、
判断手段は、前記プリンタが前記印刷サービスに対して既に登録済みの場合、前記プロキシが印刷サービスの利用を制限することが可能なエンタープライズ対応のプロキシであるか否かを受信された前記プロキシに関する情報を基に判断し、
登録制御手段は、前記判断手段によりエンタープライズ対応のプロキシであると判断された場合は、前記プリンタの登録を行わず、前記判断手段によりエンタープライズ対応のプロキシでないと判断された場合は、受信された前記プリンタに関する情報を重複して保存することで前記プリンタの多重登録を行うことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
前記受信手段は、更に、登録対象である前記プリンタに紐付けるユーザに関する情報も受信し、
前記判断手段は、受信された前記ユーザに関する情報を基に、前記印刷サービスに対して既に登録済みのプリンタに紐付くユーザと、登録対象である前記プリンタに紐付けるユーザとが同一であるか否かを判断し、同一であると判断された場合は前記プリンタの登録を行わず、同一でないと判断された場合は前記プロキシがエンタープライズ対応のプロキシであるか否かを判断することを特徴とする請求項9に記載の制御方法。
【請求項11】
提供手段は、前記登録制御手段による前記プリンタの登録が行われない場合、前記印刷サービスに対して既に登録済みのプリンタを利用するための対応方法が示された画面を提供することを特徴とする請求項9または10に記載の制御方法。
【請求項12】
前記提供手段は、前記判断手段によりエンタープライズ対応のプロキシでないと判断された場合、別のユーザと紐付けて登録された既に登録済みのプリンタに対して共有設定を行うことを促す画面を提供することを特徴とする請求項11に記載の制御方法。
【請求項13】
前記登録制御手段は、前記印刷サービスに対して既に登録済みのプリンタが前記プロキシを備えた情報処理装置を介さずに印刷ジョブを受信するプリンタとして登録されている場合、登録対象である前記プリンタの登録を行わないことを特徴とする請求項9乃至12の何れか1項に記載の制御方法。
【請求項14】
前記提供手段は、前記印刷サービスに対して既に登録済みのプリンタが、前記プロキシを備えた情報処理装置を介さずに印刷ジョブを受信するプリンタとして登録されている際に、前記印刷サービスに対して既に登録済みのプリンタに紐付くユーザと、登録対象である前記プリンタに紐付けるユーザとが同一である場合、既に登録済みのプリンタの登録を解除した後に再登録を行うよう促す画面を提供し、
前記印刷サービスに対して既に登録済みのプリンタに紐付くユーザと、登録対象である前記プリンタに紐付けるユーザとが同一でない場合、別のユーザと紐付けて登録された既に登録済みの前記プリンタに対して共有設定を行うことを促す画面を提供することを特徴とする請求項11または12に記載の制御方法。
【請求項15】
請求項9乃至14の何れか1項に記載の制御方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷サービスを提供する印刷サーバシステム、その制御方法、およびそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
クライアントからサーバに対して印刷指示を送信し、印刷指示を受信したサーバが印刷対象のコンテンツデータを印刷データに変換する印刷サービスを備えたサーバが従来からある。近年、クラウドコンピューティングの概念が注目されているが、これもサーバがクライアントにサービスの利用を提供する形態の一つと捉えることができる。クラウドコンピューティングは、多くのコンピューティング・リソースを用いてデータ変換やデータ処理を分散実行し、多くのクライアントからの要求を同時に処理することが主な特徴である。現在、このクラウドコンピューティングを実現するクラウドコンピューティング環境上に印刷サービスを実装し、多種多様な印刷サービスを提供するベンダーが現れてきている。このような印刷サービスでは大量のユーザの要求を効率よく処理する為、適正なサーバリソースの確保が重要な課題となっている。
【0003】
一般的なWebサービスでは、ユーザが所有しているデバイスのメーカー名、モデル名などの情報(デバイス情報)を利用し、ユーザを識別するためのユーザ情報とデバイス情報とが紐づけられて保存されるためユーザに紐付く形でデバイスの登録が行われる。デバイスの登録は、1つのデバイス情報に対して1つのユーザ情報が紐付けられて保存されるものとされ、同一デバイスの多重登録を禁止にしている。
【0004】
しかし、ひとつのデバイスを複数人で共有して使用するような利用形態もある為、従来のWebサービスの仕組みでは他のユーザがそのWebサービスを利用することができなくなってしまう課題があった。特許文献1では、デバイスの登録方法によって、既に登録済のデバイスであっても他のユーザの登録を可能にする方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−294931
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
印刷サービスは、現在は主に家庭内や小規模なオフィスなどのコンシューマ向けサービスとして公開されているが、今後大規模な企業やオフィスなどのエンタープライズへの展開が予想される。コンシューマ環境、およびエンタープライズ環境の両方に対応するためにサーバの負荷を軽減するような情報の管理が必要となるため、プリンタの多重登録の防止は更に重要となる。
【0007】
しかし、コンシューマ環境、およびエンタープライズ環境の両方に印刷サービスが対応するのであれば、プリンタの多重登録の防止には工夫がいる。コンシューマ環境、およびエンタープライズ環境の夫々の環境下におけるプリンタのユースケースを考慮せずに印刷サービスがプリンタの多重登録を禁止した場合、ユーザが印刷サービスを利用する利便性が低下する恐れがあるためである。特許文献1には、コンシューマ環境、およびエンタープライズ環境の両方に対応した印刷サービスにおけるプリンタの多重登録防止について考えられていない。
【0008】
本願発明の目的の1つは、プリンタが利用される環境がエンタープライズ環境であるか否かに応じて、好適なプリンタの登録制御を行う印刷サーバシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形に係る印刷サーバシステムは、登録済みのプリンタに対する印刷ジョブをネットワークを介して送信する印刷サービスを備えた印刷サーバシステムであって、プリンタの登録要求とともに、登録対象の前記プリンタに関する情報と、前記印刷サービスから印刷ジョブを受信し前記プリンタへ送信する機能を備えたプロキシに関する情報とを受信する受信手段と、前記プリンタが前記印刷サービスに対して既に登録済みの場合、受信された前記プロキシに関する情報を基に、前記プロキシがエンタープライズ対応のプロキシであるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段によりエンタープライズ対応のプロキシであると判断された場合は、前記プリンタの登録を行わず、前記判断手段によりエンタープライズ対応のプロキシでないと判断された場合は、受信された前記プリンタに関する情報を重複して保存することで前記プリンタの多重登録を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、プリンタが利用される環境がエンタープライズ環境であるか否かに応じて、好適なプリンタの登録制御を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1におけるコンテンツ印刷システム1000の構成図
図2】実施例1におけるコンテンツ印刷システム1000を構成する各装置、および各サーバ群のハードウェア構成図
図3】実施例1におけるコンテンツ印刷システム1000を構成する各装置、および各サーバ群のソフトウェア構成図であり、(a)コンシューマ環境の構成図(b)エンタープライズ環境の構成図
図4】実施例1における印刷サービス330にプリンタを登録するフロー
図5】実施例1におけるプリンタの登録がキャンセルされたことを示すUI
図6】実施例1におけるプリンタ管理テーブル。およびユーザ管理テーブル
図7】実施例1におけるプリンタ情報
図8】実施例2におけるコンテンツ印刷システム8000の構成図
図9】実施例2におけるコンテンツ印刷システム8000を構成する各装置、および各サーバ群のソフトウェア構成図
図10】実施例2における印刷サービス330にプリンタを登録するフロー
図11】実施例2におけるプリンタの登録がキャンセルされたことを示すUI
図12】実施例2におけるプリンタ管理テーブルおよびユーザ管理テーブル
図13】実施例3における印刷サービス330にプリンタを登録するフロー
図14】実施例3におけるプリンタの登録がキャンセルされたことを示すUI
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0013】
プリンタの多重登録を防ぐことにより印刷サービスに対する無駄な情報登録を抑えることができ、サーバリソースを効率よく利用することができる効果があるが、プリンタの環境が考慮されずにプリンタの多重登録が禁止されてしまうとユーザの利便性が低下する。実施例1では、印刷サービスへ登録する登録対象のプリンタがエンタープライズ環境下で動作するプリンタであるか否かに応じて、好適なプリンタの登録制御を行う方法について詳細に説明する。
【0014】
始めに、「コンシューマ環境」と、「エンタープライズ環境」の違いについて説明する。コンシューマ環境は、小規模な人数でプリンタを共有して利用する環境で、プリンタの利用や印刷サービスに対するプリンタの登録には特に制限がなく、各ユーザが自由に印刷サービスを利用できる。一方、大企業のオフィスなどのエンタープライズ環境においては、プリンタはプリンタサーバなどで一元的に管理され、管理者が設定したポリシーに沿ってプリンタは管理される。そして、印刷サービスに対するプリンタの登録は、そのポリシーに沿って管理者によってのみ行われ、一般ユーザはプリンタを自由に印刷サービスに登録することはできない。
【0015】
そして、エンタープライズ環境においてクライアントからプリンタへ印刷を行う際、一般ユーザはクライアントを介してプリンタで直接印刷させることができない。ユーザは、クライアントからプリンタサーバへアクセスし、そのプリンタサーバを介してプリンタと通信し印刷することになる。なお、プリンタサーバを介してプリンタと通信し印刷する際は、プリンタサーバのポリシーによって規定された範囲でのみしかプリンタの利用ができない状態となる。例えば、両面印刷しかできない状態、および/またはモノクロ印刷しかできない状態のように動作が制限される。
【0016】
次に、印刷サービスが備える「プリンタ共有機能」について説明する。この機能は、印刷サービスに登録済みのプリンタを管理する管理ユーザに対して提供される機能で、印刷サービスに対し登録済みのプリンタを管理ユーザに許可された一般ユーザが利用できるようになる機能である。登録済みのプリンタに対して共有設定が行われると、そのプリンタは共有プリンタとなる。なお、印刷サービスは、ユーザにより共有設定が行われると、登録済みのプリンタのプリンタ情報に対し、複数のユーザ情報が紐付くように情報を管理する。よって、共有設定が行われると、無駄なプリンタ情報が増えることはないのでサーバ負荷の軽減が可能となる他、ユーザはプリンタの登録作業を行う必要がなくなるので手間を削減できる。
【0017】
印刷サービスは後述する図3の構成で利用される。具体的には、印刷サービスとプリンタを仲介する特定のPC(Parsonal Computer)を起動させる構成である。プリンタ共有機能を利用する場合は、特定のPCの起動が必要になるが、コンシューマ環境でプリンタ共有機能を利用するのは適していない。なぜなら、特定のPCを常に起動した状態にしておかなければならないからである。また、印刷サービスを利用する毎に特定のPCを起動することはユーザの負荷が高く、利便性を欠いている。その為、コンシューマ環境下におけるプリンタに関してはプリンタ共有機能が利用されるのではなく、ユーザの利便性を考慮しプリンタの多重登録を許す構成の方が適している。
【0018】
即ち、エンタープライズ環境においては、プリンタ共有機能が利用されることでユーザのプリンタの登録負荷の軽減、およびサーバの負荷の軽減を達成し、コンシューマ環境下においては、多重登録が許されることでユーザの印刷サービスを利用する利便性の向上が達成される。以上が実施例1の発明の概要である。
【0019】
次に、実施例1の発明を実現するための構成、および処理について説明する。始めに、実施例1におけるコンテンツ印刷システム1000の構成について説明する。図1は、コンテンツ印刷システム1000の構成を示す図である。コンテンツ印刷システム1000は、コンシューマ環境150とエンタープライズ環境151とで構成が異なる。コンシューマ環境150はプリンタ110とクライアント120を含む。プリンタ110とクライアント120はユーザ環境に配置された装置であり、ネットワーク100を介して互いに接続されており、ネットワーク100はインターネット101に接続されている。なお、プリンタ110とクライアント120はインターネット101を介して接続されていてもよい。また、USB接続等のローカルインターフェイスによる接続によって、データが通信可能な状態にあってもよい。
【0020】
エンタープライズ環境151はプリンタ110、クライアント121、およびプリンタサーバ140を含む。プリンタ110、クライアント121、およびプリンタサーバ140はユーザ環境に配置された装置であり、ネットワーク100を介して互いに接続されており、ネットワーク100はインターネット101に接続されている。なお、プリンタ110、クライアント120、およびプリンタサーバ140は、それぞれインターネット101を介して接続されていてもよい。また、コンテンツ印刷システム1000は、印刷サーバ群130を含む。コンテンツ印刷システム1000を構成する各装置、およびサーバは、インターネット101を介して接続可能であり、互いにデータ通信することができる。なお、図1では印刷サーバ群130は複数台で構成されているが1台であっても良い。印刷サービスを提供するサーバの台数に制限はないため、印刷サーバシステムと称した場合、印刷サーバ群130のように複数台のサーバ群を指す形態と、1台のサーバを指す形態の両方を含んでいることに留意されたい。
【0021】
次に、コンテンツ印刷システム1000を構成する各装置、および各サーバのハードウェア構成について説明する。図2は、コンテンツ印刷システム1000を構成する各装置、およびサーバのハードウェア構成を示す図である。201は、コンテンツ印刷システム1000を構成する各装置、および各サーバである。202は、CPU(Central Processing Unit)であり、各種プログラムを実行し、様々な機能を実現するユニットである。203は、ROM(Read Only Memory)であり、各種プログラムを記憶するユニットである。204は、RAM(Random Access Memory)であり、CPU202は、ROM203に記憶されているプログラムをRAM204にロードしプログラムを実行する。
【0022】
また、RAM204は、CPU202の一時的な作業記憶領域としても利用されるユニットである。Input/Outputインターフェース205は、各装置、およびサーバに接続されているディスプレイ(不図示)にデータを送信する他、ポインティングデバイス(不図示)からデータを受信するインターフェースユニットである。NIC(Network Interface Card)206は、コンテンツ印刷システム1000を構成する各装置、および各サーバをネットワーク100に接続するためのユニットである。以上説明してきたユニットは、バス207を介してデータの送受信を行うことが可能である。また、プリンタ群110に含まれる各印刷制御部は、印刷ユニット(不図示)を搭載しており、印刷ユニットは、バス207を介して各ユニットとデータを送受信することが可能である。なお、印刷ユニットは、ラスタイメージ等の画像データを記録紙のような記録媒体に印刷することが可能なユニットである。なお、プリンタ110はそれ以外の画像処理ユニット、例えば、スキャナユニットを更に搭載した複合機であっても良い。
【0023】
次に、コンテンツ印刷システム1000を構成する各装置、および各サーバのソフトウェア構成について説明する。図3(a)は、コンテンツ印刷システム1000のコンシューマ環境150を構成する各装置、およびサーバのソフトウェア構成を示しており、(b)は、エンタープライズ環境151を構成する各装置、およびサーバのソフトウェア構成を示している。図3(a)および(b)に示されている各ソフトウェア構成の機能を実現するプログラムは、各装置、および各サーバのROM203に記憶されており、CPU202がRAM204にプログラムをロードし実行することでこれらのソフトウェア構成は実現される。
【0024】
印刷サーバ群130は、複数台のサーバを仮想化して1台のサーバとみなし、その1台の仮想サーバで印刷サービス330の機能を実現している。なお、印刷サーバ群130は、その1台の仮想サーバ内に、さらに複数のヴァーチャルマシンを起動し、各々のヴァーチャルマシンに対して印刷サービス330の機能を実現させている。図3(a)および(b)に示す印刷サービス330は、その内の1台を示したものである。
【0025】
まず、図3(a)のコンシューマ環境150について説明する。印刷サービス330は、情報格納部331、制御部332、Webアプリケーション333、印刷ジョブ管理部334、プリンタ登録受付部335によって構成される。制御部332は印刷サービス330を構成する各ソフトウェアの連携を制御する。情報格納部331は登録されたプリンタやユーザのアカウント情報を保存するデータベースである。Webアプリケーション333はWebブラウザ320からの各種要求を受け付け、印刷サービス330のログイン画面やプリンタ管理画面などのUIをWebブラウザ320に提供する。印刷ジョブ管理部334は、クライアント120の有するWebブラウザ320からの印刷指示に対して、印刷ジョブの生成やクライアント120の印刷ジョブ制御部321への印刷ジョブ送信を制御する。印刷ジョブは、コンテンツデータとユーザが設定した印刷設定とを基に印刷ジョブ管理部334により生成される。プリンタ登録受付部335は、クライアント120のプリンタ管理部332からのプリンタ登録要求を受信し、後述するフローによって登録の可否を判断する。
【0026】
クライアント120はWebブラウザ320を有し、Webブラウザ320は更に印刷ジョブ制御部321とプリンタ管理部332を有する。Webブラウザ320は印刷サービス330のWebアプリケーション333と通信して、印刷サービス330のログイン画面やプリンタ管理画面を取得し、各種操作を実現する。印刷ジョブ制御部321は、印刷サービス330の印刷ジョブ管理部334と通信して、Webブラウザ320で印刷を指定した印刷ジョブを受信する。さらに、プリンタ110の印刷制御部310と通信して、プリンタ110へ印刷ジョブを送信する。プリンタ管理部322は、プリンタ110の情報を管理する。プリンタ管理部332は、プリンタ110のプリンタ情報格納部311と通信し、プリンタ110の情報を得る。
【0027】
この際得られる情報は、PrinterName、capabilities、識別情報等であり、各情報の詳細な説明については後述する。プリンタ管理部332は、更に、印刷サービス330のプリンタ登録受付部335と通信し、プリンタ登録要求をこれらの情報とともに送信する。印刷サービス330と連携するための印刷ジョブ制御部321、およびプリンタ管理部322を併せてプロキシと称し、プロキシを備えた装置をプロキシ装置と称する。印刷ジョブを印刷サービス330から受信し、プリンタ110へ送信する印刷ジョブ制御部321をプロキシと称する場合もある。プロキシは、図3(a)の場合はWebブラウザ320が備えている機能であり、プロキシ装置はクライアント120となる。コンシューマ環境150においては、各ユーザが操作するクライアント120に備えられたWebブラウザ320がプロキシであることが特徴である。ユーザは、自身が所持するクライアント120のWebブラウザ320を起動することにより印刷サービス330を利用できる。
【0028】
プリンタ110はクライアント120とネットワーク100に接続し、通信可能である。プリンタ110は印刷制御部310と、プリンタ情報格納部311を有する。印刷制御部310はクライアント120の印刷ジョブ制御部321から印刷ジョブを受信し、ジョブの印刷を行う。プリンタ情報格納部311は、プリンタのもつPrinterName、capabilities、識別情報などの情報を保存し、Webブラウザ320のプリンタ管理部332からの情報取得要求に対して、各情報を送信する。
【0029】
次に、図3(b)に記したエンタープライズ環境151について説明する。印刷サービス330は、情報格納部331、制御部332、Webアプリケーション333、印刷ジョブ管理部334、プリンタ登録受付部335によって構成される。情報格納部331、制御部332、Webアプリケーション333の各動作は、コンシューマ環境150と同様である為記載は省略する。印刷ジョブ管理部334は、クライアント120の有するWebブラウザ320からの印刷指示に対して、印刷ジョブの生成やプリンタサーバ140の印刷ジョブ管理部334への印刷ジョブ送信を制御する。プリンタ登録受付部335は、プリンタサーバ140のプリンタ管理部342からのプリンタ登録要求を受信し、後述するフローによってプリンタの登録の可否を判断する。
【0030】
クライアント121はWebブラウザ320を有する。Webブラウザ320は印刷サービス330のWebアプリケーション333と通信して、印刷サービス330のログイン画面やプリンタ管理画面を取得し、各種操作を実現する。
【0031】
プリンタサーバ140は、印刷ジョブ制御部341とプリンタ管理部342を有する。印刷ジョブ制御部341は、印刷サービス330の印刷ジョブ管理部334と通信して、Webブラウザ320で印刷が指定されたことに伴い印刷ジョブ管理部334から印刷ジョブを受信する。さらに、印刷ジョブ制御部341は、プリンタ110の印刷制御部310と通信して、プリンタ110へ印刷ジョブを送信する。更に、印刷ジョブ制御部341は、印刷ジョブをプリンタ110へ送信する際に、プリンタサーバに設定されたポリシーに従い、ポリシーを満たさない印刷ジョブをプリンタ110へ送信しない制御を行う。例えば、カラー印刷を禁止するポリシー、および/または両面印刷のみを許可するポリシーをプリンタサーバ140に適用することで、何れのプリンタに印刷ジョブが送信される場合であってもポリシーを満たさない印刷ジョブはプリンタ110へ送信されない。
【0032】
プリンタ管理部342は、プリンタ110の情報を管理する。プリンタ管理部342は、プリンタ110のプリンタ情報格納部311と通信し、プリンタ110のプリンタ情報を得る。この時得る情報は、PrinterName、capabilities、識別情報などであり、各情報の詳細な説明については後述する。プリンタ管理部342は、更に、印刷サービス330のプリンタ登録受付部335と通信しプリンタ登録要求を送信する。更に、プリンタ管理部342は、プリンタ110のプリンタ情報をポリシーに従い修正し印刷サービスに登録する制御を行う。例えば、カラー印刷を禁止するポリシーをプリンタサーバ140に適用することで、取得したプリンタ情報にカラーの情報が含まれるのであれば、その情報を削除した状態のプリンタ情報を印刷サービス330に登録する。
【0033】
印刷ジョブ制御部341、およびプリンタ管理部342は、印刷ジョブを印刷サービス330から受信しプリンタ110へ送信する点とプリンタ情報を収集して印刷サービス330へ登録する点において、印刷ジョブ制御部321、およびプリンタ管理部322と同等の機能を有する。よって、印刷ジョブ制御部341、およびプリンタ管理部342を備えるプリンタサーバ140もプロキシ装置である。印刷ジョブ制御部341、およびプリンタ管理部342は上述した通り、印刷ジョブの送信を制御する他、プリンタ情報の登録を制限する機能を更に有している点であり、このように印刷サービスの利用を制限することが可能なプロキシをエンタープライズ対応のプロキシと称する。一方、図3(a)に示す印刷サービスの利用を制限しないプロキシをコンシューマ対応のプロキシと称する。
【0034】
プリンタ110はプリンタサーバ140とネットワーク100に接続し、通信可能である。プリンタ110は印刷制御部310とプリンタ情報格納部311を有する。印刷制御部310はプリンタサーバ140の印刷ジョブ制御部341から印刷ジョブを受信し、ジョブの印刷を行う。プリンタ情報格納部311は、プリンタ情報を格納しており、保存している情報は図3(a)で説明したプリンタ情報格納部311と同様である。プリンタサーバ140のプリンタ管理部342からの情報取得要求に対して、各情報を送信する。
【0035】
印刷サービス330へ登録したユーザ情報およびプリンタ情報は、情報格納部331に格納される。情報格納部331には、プリンタ情報(PrinterID・PrinterName・proxyID・capabilities・識別情報・ProxyTypeなど)と、ユーザ情報(ユーザアカウント・パスワード)が格納されており、プリンタ登録を行ったユーザ情報とプリンタ情報とが紐付けて保存される。これらの情報は、プリンタ登録時に、Webブラウザのプリンタ管理部332、あるいはプリンタサーバ140のプリンタ管理部342から、印刷サービス330へ送信され情報格納部331に格納される。
【0036】
図6は情報格納部331が格納している情報を示す図であり、PrinterIDが601、PrinterNameが602、ProxyIDが603、capabilitiesが604、管理ユーザアカウントが605、識別情報が606、ProxyTypeが607に相当する。なお、識別情報606やProxyType607などの情報は、608のようにcapabilitiesなどの情報の一部として記載し、管理されていてもよい。
【0037】
PrinterIDは、印刷サービス330がプリンタ110を管理する為に使用する、印刷サービス330独自の識別情報である。PrinterNameは、プリンタ110に割り当てられた名前であり、プリンタ110を呼称する時に用いるものである。なお、プリンタネームは識別情報とは異なり、各プリンタネームが同一である場合もある。ProxyIDは、クライアント120、およびプリンタサーバ140が所有する固有の識別情報である。固有の識別情報としてはMACアドレスやUUIDや独自のIDを使用することが可能で、図6ではMACアドレスの形式で記載されているがこれに限定されるものではない。登録済みプリンタの中からユーザによりプリンタが選択された際、印刷ジョブ管理部334は選択されたプリンタのProxyIDを参照し、参照されたProxyIDを基に印刷ジョブを送信する先を特定している。
【0038】
capabilitiesは、例えば、プリンタが両面印刷可能であるか否か、およびカラー印刷可能であるか否か、および出力可能ペーパサイズ等の情報を含む。ユーザアカウントは、ユーザに割り当てられた印刷サービス330独自のユーザ識別情報である。識別情報は、プリンタに割り当てられている固有の識別情報である。固有の識別情報としてはMACアドレスやUUIDや独自のIDを使用することが可能で、図6ではMACアドレスの形式で記載されているが、これに限定されるものではない。
【0039】
ProxyTypeは、クライアント120の印刷ジョブ管理部334、およびプリンタサーバ140の印刷ジョブ管理部334が持つ情報である。この情報は、コンシューマ対応のプロキシであるか、エンタープライズ対応のプロキシであるかを特定するための情報であり、コンシューマ環境対応のプロキシの場合はBrowserProxy、エンタープライズ対応のプロキシの場合はServerProxyと表記される。
【0040】
つまり、プリンタと印刷サーバ群を仲介し、プリンタを一括で管理することが可能な情報処理装置(例えば、プリンタサーバ140)にインストールされるプロキシは、ServerProxyであり、エンタープライズ対応のプロキシである。エンタープライズ対応のプロキシを採用すれば、印刷サーバ群から送信される印刷ジョブの印刷制御をプリンタサーバ140で一括して管理することができる。また、プリンタサーバ140で一括して印刷ジョブを管理することで印刷サービスの利用制限のみならず、印刷サービス330を利用した印刷がどの程度で行われたかをユーザ毎に集計することも可能になり、オフィスユースにとってより最適な印刷環境となる。
【0041】
クライアント120のプリンタ管理部322、あるいはプリンタサーバ140のプリンタ管理部342がプリンタ登録受付部335に送信する情報は、図7の701のような形式になっている。プリンタ登録時に送信する情報701は、PrinterName602、proxyID603、capabilities604、識別情報606、ProxyType607を含む。701では識別情報やProxyTypeの項目を分けて記載しているが、702のようにcapabilitiesに記載して送信してもよい。また、識別情報やProxyTypeなどの情報は、印刷サービス330のAPIなどを利用して、登録要求時に別途直接送信してもよい。なお、エンタープライズ環境のプロキシを介してプリンタの登録を行う場合、プリンタサーバ140は、ポリシーに沿ってcapabilitiesを修正してからプリンタを登録する。例えば、登録対象のプリンタがカラー対応のプリンタであっても、ポリシーがカラー禁止であるならば、capabilitiesにはモノクロしか含まない形に修正する。
【0042】
次に、印刷サービス330にプリンタ110を登録する際の登録制御処理について、図4のフロー図に沿って説明する。プリンタ登録受付部335がプリンタ登録要求をプロキシから受信すると、印刷サービス330は既にそのプリンタが印刷サービス330に登録されているか否かを確認する(S401)。具体的には、プリンタ登録要求に含まれる識別情報を情報格納部331に格納されているプリンタ情報の識別情報と照らし合わせ、一致するものがある場合は登録済、一致するものがない場合は未登録と判断する。そのプリンタが印刷サービス330に登録されていない場合はS402へと進み通常の登録処理を行い終了する。既に登録されていた場合はS403へと進み、登録対象のプリンタに紐づけるべき登録作業を行っているユーザが、印刷サービスに対して既に登録済みのプリンタと紐付くユーザと同一であるか否かを確認する。
【0043】
具体的には、S401で該当したプリンタ情報に紐付けて保存されているユーザ情報と、プロキシから送信されるユーザ情報を照らしあわせ、同一であるか否かを判断する。ユーザが同一であった場合、同一ユーザによる同一プリンタの登録を禁止する為、登録処理をキャンセルしてフローを終了する(S405)。ユーザが同一でない場合はS404へと進み、印刷サービス330は、S401で該当したプリンタ情報に含まれるProxyTypeがServerProxyであるか否かを判断する(S404)。ServerProxyであった場合はエンタープライズ環境である為、登録処理をキャンセルする(S405)。ServerProxyでない場合はコンシューマ環境である為、S402へと進み通常の登録処理を行う。
【0044】
なお、別のユーザのサービス登録を許可するか否かを決定する設定値を別途設け、その設定値によって、許可されていればS402、許可されていなければS405へ進むようにしてもよい。S404でNoと判断されS402へ処理を進めた場合、プリンタに関する情報が重複して保存されることになり、プリンタが多重登録されることになる。なお、プリンタに関する情報は重複して保存されることになるが、夫々のプリンタに関する情報は各ユーザに関する情報毎に紐付けて保存されることになるので、同一ユーザからプリンタが多重登録されることはない。
【0045】
S405で登録処理をキャンセルした際、Webアプリケーション333は図5に示すUI(User Interface)を表示する。501は印刷サービス330の任意の画面で、その画面上に登録処理をキャンセルした旨を伝えるUI502を表示する。なお、UI502の代わりに他の管理者によって管理されている旨を伝えるUI503を表示してもよい。また、UI502の代わりに登録できない旨だけを伝えるUI504と詳細ボタン505を設置し、詳細ボタン505が押下された場合に詳細な情報をUI506のように表示するようにしてもよい。
【0046】
以上、実施例1によれば、登録済プリンタを登録する際、エンタープライズ環境下におけるプリンタは多重登録を禁止し、コンシューマ環境下におけるプリンタは同一ユーザの多重登録を禁止し、かつ別ユーザの場合はプリンタの登録を許可する。これにより、コンシューマ環境、およびエンタープライズ環境に対応する印刷サービスを利用する際に、ユーザの利便性を損ねず、かつ無駄なプリンタの登録を防止することで印刷サービスのサーバ負荷を軽減することが可能になる。
【実施例2】
【0047】
近年、従来のプリンタに加え、クラウド印刷サービスに適した、クラウド対応プリンタが各ベンダーにより開発されている。クラウド対応プリンタは、実施例1に示したようなクライアントやプリンタサーバを介さず、プリンタと印刷サービスが直接通信して印刷できることが特徴である。つまり、後述する図9の構成の通り、クラウド対応プリンタを利用すれば、印刷時に特定のPCを用意する必要がない。その為、実施例1で説明した印刷サービスのデバイス共有機能を使用する際、特定のPCを起動する必要があるためユーザの利便性が欠いていたという問題が解消される。更に、デバイス共有機能を利用すると、別のユーザであっても同一プリンタの登録が回避されサーバ負荷の軽減となる為、サービス側にとってはクラウド対応プリンタは共有設定で利用される方が望ましい。
【0048】
なお、クラウド対応プリンタは、実施例1に示したようなクライアントやプリンタサーバを介して印刷サービスと通信する構成にすることも可能である。その場合、クラウド対応プリンタは従来プリンタと同様の動きをする。クラウド対応プリンタが直接印刷サービスと通信する形態を、クラウド対応プリンタとして利用あるいは登録する、とし、クライアントやプリンタサーバを介して印刷サービスと通信する形態を、通常プリンタとして利用あるいは登録する、として説明に用いる。
【0049】
これらを踏まえ、実施例1の環境において、更にクラウド対応プリンタが導入された際の同一プリンタ登録制御方法について考える。まず、クラウド対応プリンタとして利用中のプリンタに対して、更にクラウド対応プリンタとして印刷サービスに2度目の登録が行われた場合、同一ユーザの場合は単純な多重登録となる為、登録を拒否するべきである。別ユーザの場合は、デバイス共有設定を利用すべきである為、これも登録を拒否するのが望ましい。
【0050】
次に、クラウド対応プリンタとして利用中のプリンタに対して、実施例1で示したプロキシを備えた装置を介して印刷を行う通常プリンタとして登録した場合、同一ユーザの場合は単純な多重登録となる為、登録を拒否するべきである。別のユーザの場合は、デバイス共有設定を利用すべきである為、これも登録を拒否するのが望ましい。
【0051】
最後に、通常プリンタとして利用しているプリンタをクラウド対応プリンタとして印刷サービスに登録した場合、同一ユーザの場合は単純な多重登録となる為、登録を拒否するべきである。別のユーザの場合は実施例1と同様、更にプリンタの環境を判定し、コンシューマ環境であれば登録を許可し、エンタープライズ環境であれば登録を拒否するのが望ましい。
【0052】
以上をまとめると、クラウド対応プリンタとして登録済のプリンタに対する多重登録は、ユーザや環境に関わらず登録を拒否し、その他の状況では、実施例1と同じ判断を行う。以下に、その構成、情報、フローの詳細を記載する。
【0053】
始めに、クラウド対応プリンタ811を含むコンテンツ印刷システム8000の構成について説明する。図8は、コンテンツ印刷システム8000の構成を示す図である。なお、実施例1と違い、クラウド対応プリンタ811を含む環境は、コンシューマ・エンタープライズによる構成の違いはない。コンテンツ印刷システム8000は、クラウド対応プリンタ811とクライアント821を含む。クラウド対応プリンタ811とクライアント821はユーザ環境に配置された装置であり、ネットワーク100を介して互いに接続されており、ネットワーク100はインターネット101に接続されている。なお、クラウド対応プリンタ811とクライアント821はインターネット101を介して接続されていてもよい。また、コンテンツ印刷システム8000は、印刷サーバ群830を含む。コンテンツ印刷システム8000を構成する各装置、およびサーバは、インターネット101を介して接続可能であり互いにデータ通信することができる。
【0054】
なお、図8ではクラウド対応プリンタ811は1台で構成されているが、複数台でもよく、クライアント821および印刷サーバ群830は複数台で構成されているが1台であっても良い。また、図8には示されていないが、クラウド対応プリンタ811は図1で示したコンシューマ環境150、エンタープライズ環境151と同時に存在しても良い。即ち、印刷サーバ群830は、クラウド対応プリンタ811の他に、コンシューマ環境150、およびエンタープライズ環境151とネットワーク100を介して接続されている状態である。実施例2ではこの状況を想定している。更に、クラウド対応プリンタ811を従来のプリンタ110と同じように、図1に示した構成で使用することも可能である。コンテンツ印刷システム8000を構成する各装置、および各サーバのハードウェア構成については実施例1で示した図2と同様である為、説明を省略する。
【0055】
次に、コンテンツ印刷システム8000を構成する各装置、および各サーバのソフトウェア構成について図9を用いて説明する。
【0056】
印刷サービス930は、情報格納部931、制御部932、Webアプリケーション933、印刷ジョブ管理部934、プリンタ登録受付部935によって構成される。情報格納部931、制御部932、Webアプリケーション933の各動作は、図3(a)で説明したコンシューマ環境150と同様である為説明は省略する。印刷ジョブ管理部934は、クライアント821の有するWebブラウザ920からの印刷指示に対して、印刷ジョブの生成やクラウド対応プリンタ811の印刷ジョブ制御部913への印刷ジョブ送信を制御する。プリンタ登録受付部935は、クラウド対応プリンタ811のプリンタ登録管理部913からのプリンタ登録要求を受信し、後述するフローによって登録の可否を判断する。登録可と判断した場合、プリンタ登録受付部935はクラウド対応プリンタ811のプリンタ登録管理部913に、印刷ジョブを受信する為のチケットを送信する。即ち、印刷サービス930は印刷サービス330と同等の機能を備えたものであり、両者に差異はない。クライアント821はWebブラウザ920を有する。Webブラウザ920は図3(b)で説明したWebブラウザ320と同様である為、説明は省略する。
【0057】
クラウド対応プリンタ811は、印刷制御部910とプリンタ情報格納部931と印刷ジョブ制御部913とプリンタ登録管理部913を有する。印刷制御部910は印刷ジョブ制御部913から印刷ジョブを受け取り、ジョブの印刷を行う。プリンタ情報格納部911は、プリンタ情報を格納しており、保存している情報は図3(a)で説明したプリンタ情報格納部311と同様である。印刷ジョブ制御部913は、印刷ジョブ管理部934と通信して、Webブラウザ920で印刷を指定した印刷ジョブを受信する。印刷ジョブ制御部913は、受け取った印刷ジョブを印刷制御部910に送信する。プリンタ登録管理部914は、印刷サービス930のプリンタ登録受付部935と通信し、情報格納部911に格納されている自身のプリンタ情報を印刷サービス930へ登録要求とともに送信する。
【0058】
印刷ジョブ制御部913、およびプリンタ登録管理部914は印刷サービス930と連携するための機能であり、プロキシ機能である。即ち、クラウド対応プリンタとは、プロキシを備えた情報処理装置を介さずに印刷サービス930から印刷ジョブを受信し、印刷を行うプリンタである。換言すれば、プロキシを備えたプリンタをクラウド対応プリンタと称し、クラウド対応プリンタは印刷サービス930から直接印刷ジョブを受信する。
【0059】
印刷サービス930へ登録したユーザ情報およびプリンタ情報は、情報格納部931に格納される。情報格納部931に格納される情報は、図12のようになり、図6を用いて説明した実施例1との差異を説明する。
【0060】
proxyIDに格納される情報は、クラウド対応プリンタのもつ固有の識別情報となる。識別情報に格納される情報と同一の形式を用いた場合同一の値となるが、特に問題は発生しない。その為、同一の形式を用いてもよいし、異なる形式を用いてもよい。ProxyTypeに格納される情報は、クラウド対応プリンタであることを示す情報となり、1201のようになる。コンシューマ環境のプロキシはBrowserProxy、エンタープライズ環境のプロキシはServerProxy更に、クラウド対応プリンタのプロキシをNativeと表記して説明に用いる。
【0061】
次に実施例2における、印刷サービス930にプリンタを登録制御方法について図10のフローに沿って説明する。 プリンタ登録受付部935がプリンタ登録要求を受信すると、印刷サービス930は、そのプリンタが印刷サービス930に既に登録されているかどうかを判断する(S1001)。具体的には、プリンタ登録要求に含まれる識別情報を情報格納部931に格納されているプリンタ情報の識別情報と照らし合わせ、一致するものがある場合は登録済、一致するものがない場合は未登録と判断する。そのプリンタが印刷サービス930に登録されていない場合はS1002へと進み、通常の登録処理を行い、フローを終了する。既に登録されていた場合はS1003へと進み、S1001で該当したプリンタがクラウド対応プリンタであるかを判断する。
【0062】
具体的には、S1001で該当したプリンタのプリンタ情報のProxyTypeがNativeであった場合、クラウド対応プリンタであると判断する。クラウド対応プリンタであった場合、S1006へ進み、登録処理をキャンセルする。クラウド対応プリンタでない場合、S1004へと進み、登録対象のプリンタに紐づけるべき登録作業を行っているユーザが、印刷サービスに対して既に登録済みのプリンタと紐付くユーザと同一であるか否かを確認する。
【0063】
具体的には、S1001で該当したプリンタ情報に紐付けて保存されているユーザ情報と、プロキシから送信されるユーザ情報を照らしあわせ、同一であるか否かを判断する。ユーザが同一であった場合、登録処理をキャンセルしてフローを終了する(S1006)。ユーザが同一でない場合はS1005へと進み、印刷サービス930は、S1001で該当したプリンタ情報に含まれるProxyTypeがServerProxyであるか否かを判断する。ServerProxyであった場合は、登録処理をキャンセルする(S1006)。ServerProxyでない場合は、S1002へと進み通常の登録処理を行う。
【0064】
S1006で登録処理をキャンセルした際、印刷サービス930のWebアプリケーション933は、図11に示す登録処理をキャンセルした旨を伝えるUI1101を表示する。つまり、プリンタサーバ140に管理されていない状態で印刷サーバ群830に接続されているプリンタは、一度、印刷サーバ群830からプリンタ情報を削除させ、プリンタサーバ140を経由してプリンタ情報を再度登録させる必要がある。
【0065】
以上により、クラウド対応プリンタが導入された環境に対応する印刷サービスにおいて、ユーザの利便性を損ねず、かつ無駄なプリンタの登録を防止することで印刷サービスのサーバ負荷を軽減することが可能になる。
【実施例3】
【0066】
実施例1、実施例2のUIは、登録処理がキャンセルされた際にどのような対応を取れば良いのかがユーザに理解しづらく利便性に欠ける。実施例3では、プリンタを利用するための具体的な対応方法を示すUIを表示する方法を説明する。 本実施例における印刷システムの構成と、各ハードウェア構成、ソフトウェア構成、格納情報は、実施例1、または実施例2と同様である為、説明を省略する。
【0067】
印刷サービスへのプリンタ登録制御方法について図13のフロー図、および図14のUI図を用いて説明する。なお、各ソフトウェア部については実施例2に沿って説明をする。プリンタ登録受付部935がプリンタ登録要求を受信すると、印刷サービス930は、そのプリンタが印刷サービス930に既に登録済みであるか否かを判断する(S1301)。具体的には、プリンタ登録要求に含まれる識別情報を、情報格納部931に格納されているプリンタ情報の識別情報と照らし合わせ、一致するものがある場合は登録済、一致するものがない場合は未登録と判断する。そのプリンタが印刷サービス930に登録されていない場合はS1302へと進み、通常の登録処理を行い、フローを終了する。既に登録されていた場合はS1303へと進み、S1301で該当したプリンタが、クラウド対応プリンタであるかを判断する。
【0068】
具体的には、S1301で該当したプリンタ情報のProxyTypeがNativeであった場合、クラウド対応プリンタであると判断する。クラウド対応プリンタでない場合、S1304へと進み、登録しようとしているユーザが、登録済のプリンタ情報と紐付いているユーザと同一であるか否かを判断する。具体的には、S1301で該当したプリンタ情報に紐付けて保存されているユーザ情報と、プロキシから送信されるユーザ情報を照らしあわせ、同一であるか否かを判断する。
【0069】
ユーザが同一であった場合、S1307へ進み、さらに登録済デバイスのProxyTypeがNativeかどうかを判断する。Nativeの場合はS1310へ進み、プリンタの利用形態を変更したい場合は、既存の登録を削除した後に再登録が必要な旨を伝えるUI1402を表示する。Nativeでない場合はS1309へ進み、既に登録済である旨を伝える図5のUI502を表示する。UI表示後、登録処理をキャンセルしてフローを終了する(S1313)。S1304でユーザが同一でない場合はS1305へと進み、印刷サービス930は、プリンタ登録要求に含まれるProxyTypeがServerProxyであるか否かを判断する。ServerProxyであった場合は、S1308へ進み、管理者によって管理されている為登録できない旨と、共有設定を促す内容のUI1401を表示する。その後、S1313へ進み登録処理をキャンセルする。ServerProxyでない場合は、S1302へと進み通常の登録処理を行う。
【0070】
S1303でクラウド対応プリンタであると判断した場合、S1306へと進む。S1306では、登録しようとしているユーザのユーザ情報が、登録済のプリンタ情報と紐付けられているユーザ情報と同一であるか否かを確認する。ユーザが同一であった場合S1312へ進み、プリンタの利用形態を変更したい場合は、既存の登録を削除した後に再登録が必要な旨を伝えるUI1402を表示する。UI表示後、登録処理をキャンセルしてフローを終了する(S1313)。ユーザが同一でない場合はS1311へ進み、既にクラウドプリンタとして登録されている旨と、共有設定を促す内容のUI1403を表示する。その後、登録をキャンセルする(S1313)。
【0071】
以上、プリンタの多重登録を防止し、かつプリンタを利用するための具体的な対応方法を示すUIを登録対象のプリンタのプリンタ環境に応じて適切に表示することができるので、ユーザの利便性が向上する。
【0072】
[その他の実施例]
本願発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0073】
1000 コンテンツ印刷システム
110 プリンタ
120 クライアント
130 印刷サーバ群
140 プリンタサーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14