【実施例】
【0018】
実施例に係るエンジン駆動作業機10について説明する。
図1、
図2に示すように、エンジン駆動作業機10は、エンジン駆動作業機10の外枠を形成するフレーム11と、フレーム11の前部に設けられたエンジン12と、エンジン12に一体に設けられた水ポンプ16と、水ポンプ16およびエンジン12に隣接して設けられた水生成装置20とを備えたエンジン駆動用の水ポンプである。
【0019】
フレーム11は、エンジン12、水ポンプ16および水生成装置20を支持するベース23と、ベース23の前部から上方に向けて折り曲げられた前フレーム24と、ベース23の後部から上方に向けて折り曲げられた後フレーム25とを有する。
前フレーム24の把持部24aおよび後フレーム25の把持部25aを手で把持してエンジン駆動作業機10を持ち上げることにより、エンジン駆動作業機10を搬送(運搬)することができる。
【0020】
エンジン12は、ベース23の前右半部23aに支持され、クランクシャフトの左端部が水ポンプ16の駆動軸に同軸上に連結されている。さらに、クランクシャフトの右端部がリコイルスタータ14に連結されている。
【0021】
図3に示すように、水ポンプ16は、エンジン12のシリンダブロック13に取り付けられたケーシング17と、ケーシング17の内部において駆動軸に設けられた羽根車と、ケーシング17に設けられた原水取込口18および原水吐出口19とを備えている。原水取込口18に取込ホース(図示せず)が連通されている。
ケーシング17はベース23の前左半部23b(
図1参照)に支持されている。
【0022】
図4に示すエンジン12を駆動してクランクシャフトで水ポンプ16の駆動軸を回転することにより羽根車が回転する。羽根車が回転することにより、河川などの水(以下、原水という)を原水取込口18からケーシング17の内部に矢印Aの如く取り込み、取り込んだ原水を原水吐出口19から矢印Bの如く吐出する。
以下、原水吐出口19から吐出する原水を「吐出原水」という。
【0023】
図3、
図4に示すように、水生成装置20は、原水を蒸発する蒸発器31と、蒸発器31で蒸発する原水を供給する原水供給手段32と、蒸発器31で蒸発された蒸気を凝縮する凝集器33と、凝集器33に原水を供給するとともに供給した原水を水ポンプ16に戻す原水案内手段34とを含む。
【0024】
さらに、水生成装置20は、
図4、
図5に示すように、凝集器33で生成された浄水(蒸留水)を収集する(集める)セパレータ35と、セパレータ35に設けられて蒸気を凝集器33に案内する開口部36と、開口部36の上方に設けられた遮蔽板37(
図6参照)と、セパレータ35で収集された(集められた)浄水を蓄える貯水手段38とを含む。
この水生成装置20は、蒸発器31で蒸発させた蒸気を凝集器33で凝縮させて浄水を生成する機能を備えている。
【0025】
図6、
図7に示すように、蒸発器31は、ベース23の後半部23c(
図2参照)に支持された蒸発容器41と、蒸発容器41内に設けられた加熱部42とを備えている。
蒸発容器41は、エンジン12および水ポンプ16(
図2参照)に隣接して設けられ、原水を貯留可能に形成されている。この蒸発容器41は、上端部41aが開口され、上端部41aからフランジ43が外方に向けて張り出されている。蒸発容器41の内部44に加熱部42が設けられている。
【0026】
加熱部42は、エンジン12(
図2参照)の排気マニホールドに連通された排気管である。加熱部42にエンジン12の排気ガスを流すことにより、排気ガスの熱(エンジン12の廃熱)で加熱部42が加熱される。加熱部42が加熱されることにより、蒸発容器41に蓄えられた原水27を加熱部42で蒸発させることができる。
すなわち、蒸発器31は、蒸発容器41に蓄えた原水27をエンジン12の廃熱を利用して蒸発させる機能を備えている。
【0027】
図3、
図4に戻って、原水供給手段32は、水ポンプ16から原水を分岐させて蒸発容器41に案内する供給分岐流路46と、供給分岐流路46の途中に設けられた電磁バルブ47と、蒸発容器41に設けられた原水位検出センサ48(
図5参照)とを備えている。
原水位検出センサ48は、蒸発容器41の内部44に蓄えられた原水27(水面27a(
図7参照))の最上水位や最下水位を検出するセンサである。
電磁バルブ47は、原水27の水位が最上水位に到達したとき供給分岐流路46を閉じ、原水27の水位が最下水位に到達したとき供給分岐流路46を開くバルブである。
【0028】
供給分岐流路46は、水ポンプ16(ケーシング17の左上部)を電磁バルブ47に連通する連通流路51と、電磁バルブ47の出口47aから蒸発容器41の上方に延出された水平流路52と、水平流路52の出口側端部52aから下方に向けて折り曲げられた鉛直流路53とを有する(
図6も参照)。
【0029】
図6、
図8に示すように、水平流路52は、平面視略コ字状に折り曲げられ、遮蔽板37の下面37bに接合されることにより開口部36の上方に水平に配置されている。この状態において、開口部36の周縁36aより外側で、かつ、周縁36aに沿って水平流路52が配置されている。
【0030】
鉛直流路53は、水平流路52の出口側端部52aから下方に向けて折り曲げられ、セパレータ35を貫通して蒸発容器41の内部44まで延出されている。鉛直流路53の出口53aは加熱部42の上方に配置されている。
【0031】
図4に示すように、供給分岐流路46によれば、水ポンプ16の駆動中に、原水取込口18から取り込まれた原水の一部27(
図8参照)を外部(すなわち、供給分岐流路46)に矢印Cの如く分岐することができる。さらに、供給分岐流路46に分岐された原水27を、供給分岐流路46で鉛直流路53の出口53aまで矢印Cの如く導き、導いた原水を蒸発容器41の内部44に矢印Cの如く供給することができる。
【0032】
ここで、
図8に示す蒸発器31(具体的には、加熱部42)で蒸発された蒸気は、開口部36を経て水平流路52まで案内され、水平流路52の下側を経て凝集器33内の上方に案内される。
よって、水平流路52に導かれた原水を、加熱部42で蒸発された蒸気で暖めることができる。これにより、蒸気で暖められた原水27を蒸発容器41の内部44に供給することができ、内部44に供給された原水27を加熱部42で効率よく加熱することができる。
【0033】
図8、
図9に示すように、凝集器33は、蒸発容器41の上端部41aに設けられた凝集カバー(カバー)55と、凝集カバー55を利用して構成された凝縮手段56とを備えている。
凝集カバー55は、凝集器33の外枠を略蒲鉾状に形成するもので下端部55aが開口されている。よって、凝集カバー55の内面55bは、遮蔽板37の上方部位55cが緩やかな傾斜状(略水平状)に形成され、遮蔽板37の左側部位55dおよび右側部位55eが急な傾斜状に形成されている。
【0034】
この凝集カバー55は、凝集カバー55の外部を形成する外郭58と、外郭58の内側に設けられて凝集カバー55の内部(凝集器33の内部)63を形成する内郭59と、外郭58および内郭59間に設けられた複数の仕切バー61と、外郭58の下端部(すなわち、凝集カバー55の下端部55a)から外方に向けて張り出されたフランジ62とを備えている。
外郭58および内郭59間に複数の仕切バー61を設けることにより凝集カバー55の強度・剛性が確保される。
【0035】
凝集カバー55のフランジ62が蒸発容器41のフランジ43に重ね合わせられ、一対のフランジ43,62が複数のボルト65で締結されることにより、蒸発容器41および凝集カバー55が一体に組み付けられる。
よって、蒸発容器41の上端部(蒸発器31の上部)41aに凝集器33(凝集カバー55)が設けられている。この状態において、蒸発容器41(上端部41a)の開口に凝集カバー55(下端部55a)の開口が対向するように配置されている。
【0036】
さらに、一対のフランジ43,62間にシール材66が介装されている。よって、蒸発容器41の内部44および凝集カバー55の内部63がシール材66で密閉空間39に形成される。
すなわち、蒸発容器41および凝集カバー55の内部に密閉空間39が形成される。
【0037】
密閉空間39は、
図2に示す真空ポンプ(減圧ポンプ)26に連通されている。真空ポンプ26はエンジン12のクランクシャフトに一対のギヤを介して連結されている。クランクシャフトの回転がギヤを介して真空ポンプ26に伝えられることにより、密閉空間39を大気圧より減圧することができる。
密閉空間39を減圧することにより、密閉空間39の沸点を下げることができ、蒸発容器41に蓄えられた原水27(
図8参照)を効率よく沸騰(蒸発)させることができる。
【0038】
図7、
図9に戻って、凝縮手段56は、凝集カバー55の外郭58、内郭59および複数の仕切バー61を利用して形成され、遮蔽板37の上方に配置されている。
すなわち、凝縮手段56は、外郭58および内郭59間に内部空間68が湾曲状に形成され、内部空間68が複数の仕切バー61で平面視においてラビリンス状(迷路状)に仕切られている。内部空間68が迷路状に仕切られることにより、凝縮手段56にラビリンス状の凝縮流路71が形成される。
【0039】
具体的には、凝縮手段56は、凝縮手段56の内部空間68を利用して形成されたラビリンス状の凝縮流路71と、凝縮流路71の前左側部(一方の端部)71aに設けられた左導入口(一方の入口)72と、凝縮流路71の前右側部(他方の端部)71bに設けられた右導入口(他方の入口)73と、凝縮流路71の前中央端部(中央)71cに設けられた前導出口(出口)74とを有する。
【0040】
換言すれば、外郭58の前左側部に左導入口72が設けられ、外郭58の前右側部に右導入口73が設けられ、外郭58の前中央端部に前導出口74が設けられている。
左導入口72から凝縮流路71の左半部71dに冷却用の原水が導かれ、かつ、右導入口73から凝縮流路71の右半部71eに冷却用の原水が導かれる。
凝縮流路71の左半部71dに導かれた原水が左半部71dにおいて蛇行しながら前導出口74まで案内される。また、凝縮流路71の右半部71eに導かれた原水が右半部71eにおいて蛇行しながら前導出口74まで案内される。
【0041】
ここで、外郭58および内郭59は、それぞれ一枚の板材で形成されている。これにより、外郭58および内郭59で形成された凝縮手段56の密閉性を確保でき、凝縮手段56に導かれた原水が凝縮手段56の外部に漏れることを確実に防止できる。
加えて、外郭58および内郭59をそれぞれ一枚の板材で形成することにより、凝集器33の密閉性を良好に確保できる。
【0042】
図3、
図4に示すように、原水案内手段34は、水ポンプ16および左導入口72を連通し、かつ、水ポンプ16および右導入口73を連通する取出流路76と、前導出口74および水ポンプ16を連通する戻り流路79とを備えている。
取出流路76は、水ポンプ16および左導入口72を連通する左取出流路(第1取出流路)77と、水ポンプ16および右導入口73を連通する右取出流路(第2取出流路)78とを備えている。
【0043】
左取出流路77は、水ポンプ16(ケーシング17)の左上部を左導入口72に連通する流路である。
左取出流路77によれば、原水取込口18からケーシング17の内部に取り込んだ原水の一部を、左取出流路77に矢印Dの如く冷却水として取り出す。取り出した原水は、凝縮流路71の前左側部71a(左導入口72)に矢印Dの如く導かれる。
【0044】
図4、
図10に示すように、右取出流路78は、水ポンプ16(ケーシング17)の右上部を右導入口73に連通する流路である。
右取出流路78によれば、左取出流路77と同様に、原水取込口18からケーシング17の内部に取り込んだ原水の一部を、右取出流路78に矢印Dの如く導く冷却水として取り出す。取り出した原水は、凝縮流路71の前右側部71b(右導入口73)に矢印Dの如く導かれる。
【0045】
凝縮流路71の左導入口72に導かれた原水は、凝縮流路71の左半部71dで矢印Eの如く蛇行させながら前導出口74まで案内される。同様に、凝縮流路71の右導入口73に導かれた原水は、凝縮流路71の右半部71eで矢印Eの如く蛇行させながら前導出口74まで案内される。
前導出口74には戻り流路79が連通されている。
【0046】
戻り流路79は、前導出口74を水ポンプ16の原水吐出口19に連通する流路である。
戻り流路79によれば、前導出口74まで導かれた原水を、原水吐出口19の下流側に矢印Fの如く導くことができる。下流側に導かれた原水は、原水吐出口19から吐出される吐出原水に戻され(合流され)、吐出原水とともに外部に矢印Bの如く吐出される。
【0047】
ここで、凝縮流路71は、凝集器33の外枠を形成する凝集カバー55で形成されている。よって、左取出流路77から凝縮流路71の左半部71dに導かれた原水は凝集カバー55の内部に案内される。また、右取出流路78から凝縮流路71の右半部71eに導かれた原水は凝集カバー55の内部に案内される。
【0048】
ところで、
図7に示すように、蒸発器31(加熱部42)で原水27を蒸発させた蒸気は、開口部36を経て凝集カバー55の内部63に矢印の如く導かれる。凝集カバー55の内部63の蒸気は、凝集カバー55の内面55bに矢印の如く導かれる。
よって、凝集カバー55の内面55bに導かれた蒸気は、凝縮流路71に導かれた冷却用の原水で凝縮される。
【0049】
図4に示すように、原水供給用の原水供給手段32に加えて、冷却用の原水案内手段34が別系統に設けられている。この原水案内手段34で原水の一部を凝集カバー55の内部空間68に冷却水として案内し、案内された原水を利用して蒸気(加熱部42で蒸発させた蒸気)を凝縮するようにした。
【0050】
よって、原水案内手段34(凝縮流路71)を流れる原水量を、加熱部42の蒸発機能に合わせて制限する必要がなく、凝縮流路71を流れる原水量を任意に決めることができる。これにより、加熱部42で蒸発させた蒸気を良好に凝縮させる原水量を確保することができる。
凝縮流路71を流れる原水量を、加熱部42で蒸発させた蒸気を良好に凝縮可能に決めることにより、浄水(蒸留水)の生成効率を高め、浄水の生成量を十分に確保することができる。
【0051】
さらに、凝縮流路71がラビリンス状(迷路状)に形成されることにより、凝縮流路71に導かれた原水を蛇行させることができる。よって、凝集カバー55の広範囲に亘って原水を均一に導くことができる。
これにより、凝縮流路71を流れる原水で、蒸気(加熱部42で蒸発させた蒸気)を一層効率よく凝縮することができる。
【0052】
加えて、凝縮流路71の前左側部71a、前右側部71bおよび前中央端部71cに、左導入口72、右導入口73および前導出口74を設けた。よって、左導入口72から凝縮流路71の左半部71dに原水を導き、右導入口73から凝縮流路71の右半部71eに原水を導くことができる。
凝縮流路71の左半部71dを経た原水および凝縮流路71の右半部71eを経た原水は、前導出口74に導かれ、導かれた原水は水ポンプ16に戻される。
【0053】
このように、凝縮流路71を左半部71dおよび右半部71eに分け、それぞれの流路に原水を個別に導くことにより、凝縮流路71に導いた原水を、凝縮流路71において円滑に流すことができる。
凝縮流路71において原水を円滑に流すことにより、凝縮流路71を流れる原水で、蒸気(加熱部42で蒸発させた蒸気)を一層効率よく凝縮することができる。
【0054】
また、凝縮流路71で凝集カバー55(
図7も参照)の内部空間68に原水を案内することにより、凝集カバー55を原水で冷却することができる。これにより、凝集カバー55が蒸気により加熱されることを防ぐことができ、エンジン駆動作業機10の使い勝手をさらに高めることができる。
さらに、凝縮流路71をラビリンス状(迷路状)に形成して原水を蛇行させることにより、凝集カバー55の広範囲に亘って原水を均一に導くことができる。これにより、凝集カバー55が蒸気により加熱されることを一層良好に防ぐことができる。
【0055】
加えて、
図7に示すように、凝集カバー55を外郭58および内郭59で二層に形成することにより、凝集カバー55の剛性・強度を高めることができる。
これにより、凝集カバー55から蒸気が漏れ難い構成とすることができ、エンジン駆動作業機10の信頼性をさらに高めることができる。
【0056】
図6、
図8に戻って、凝集カバー55の下端部55aが開口され、下端部55aの近傍にセパレータ35が設けられている。
セパレータ35は、外周35aが平面視略矩形状に形成され、略矩形状の外周35aが凝集カバー55の内面55bのうち下端部55aの上近傍に接合されている。
【0057】
凝集カバー55の内面55bにセパレータ35を接合することにより、密閉空間39がセパレータ35で上密閉空間86と下密閉空間87とに仕切られる。
上密閉空間86は、凝集カバー55およびセパレータ35で形成される空間である。
よって、凝集カバー55(凝縮手段56)で生成した浄水をセパレータ35に滴下させ、セパレータ35で収集する(集める)ことができる。
【0058】
このセパレータ35は、中央35b(
図7も参照)に開口部36が設けられ、右側後部35cに浄水の取出口(以下、「水取出口」という)81が形成されている。
さらに、セパレータ35は、左右方向において、左側部35dから水取出口81に向けて傾斜角θ1の下り勾配に傾斜されている。また、セパレータ35は、前後方向において、前端部35eから水取出口81に向けて傾斜角θ2の下り勾配に傾斜され、後端部35fから水取出口81に向けて傾斜角θ3の下り勾配に傾斜されている。
すなわち、セパレータ35は、セパレータ35に集められた浄水を水取出口81に向けて案内可能に傾斜されている。
【0059】
図7に示すように、開口部36は、セパレータ35の中央(具体的には、左右方向中央で、かつ前後方向中央)35bに設けられ、周縁36aが前後方向の長さ寸法W1(
図6参照)、左右方向の幅寸法W2となるように平面視略矩形状に形成されている。
前後方向の長さ寸法W1、左右方向の幅寸法W2が大きく形成されることにより、開口部36が大きく形成されている。
【0060】
この開口部36は、周縁36aの上端36bが水平に形成されることにより、セパレータ35に集められた浄水28の水面28aに対して平行に形成されている。よって、セパレータ35に集められた浄水28が、開口部36を経て蒸発器31に流出することを周縁36aで防止できる。
セパレータ35の中央35bに開口部36が設けられることにより、蒸発器31の内部63が開口部36で凝集器33の内部44に連通されている。よって、蒸発器31で蒸発させた蒸気を開口部36を経て凝集器33の内部44(具体的には、上密閉空間86)に案内することができる。
【0061】
ここで、蒸発器31で蒸発させた蒸気を流路を経て凝集器33に案内する場合、流路に導かれた蒸気が流路の壁部で凝縮され、蒸発器31に戻されることが考えられる。
そこで、開口部36を周縁36aのみで形成し、かつ、開口部36を大きく形成するようにした。よって、蒸発器31で蒸発させた蒸気は、開口部36を迅速に通過することができる。
これにより、蒸発器31で蒸発させた蒸気を開口部36(周縁36a)を経て凝集器33まで上昇させる際に、蒸気が周縁36aで凝縮されて蒸発器31に戻されることを防止できる。
【0062】
加えて、セパレータ35の中央35bに開口部36を設けることにより、開口部36の周縁36aを凝縮手段56から離すことができ、周縁36a近傍を蒸気で比較的高温に保つことができる。
よって、蒸発器31で蒸発させた蒸気を開口部36を経て凝集器33まで上昇させる際に、蒸気が周縁36aで凝縮されて蒸発器31に戻されることを一層良好に防止できる。
【0063】
開口部36の上方に遮蔽板37が設けられている。
図6に示すように、遮蔽板37は、上下方向において開口部36および凝集カバー55間に配置され、平面視略矩形状に形成されている。遮蔽板37の左折曲片83および右折曲片84が凝集カバー55に接合されることにより、凝集カバー55に遮蔽板37が取り付けられる。
【0064】
図7に戻って、遮蔽板37は、凝集カバー55の内部63(具体的には、上密閉空間86)において開口部36の上方に、開口部36を覆うように設けられている。よって、上密閉空間86が遮蔽板37で上方空間86aおよび下方空間86bに仕切られる。上方空間86aは遮蔽板37の上方に位置し、下方空間86bは遮蔽板37の下方に位置する。
よって、遮蔽板37の下方空間86bは、遮蔽板37で凝縮手段56から仕切られている。
【0065】
下方空間86bを凝縮手段56から仕切ることにより、開口部36で案内された蒸気が遮蔽板37の下方空間86bで凝縮されることを防ぐことができる。
下方空間86bで蒸気が凝縮することを防ぐことにより、開口部36から案内された蒸気を遮蔽板37の上方(すなわち、凝縮手段56)まで矢印の如く無駄なく導くことができる。
【0066】
加えて、遮蔽板37の下方空間86bを遮蔽板37で凝縮手段56から仕切ることにより、開口部36の周縁36a近傍を蒸気で比較的高温に保つことができる。
よって、蒸発器31で蒸発させた蒸気を開口部36を経て凝集器33まで上昇させる際に、蒸気が周縁36aで凝縮されて蒸発器31に戻されることを一層良好に防止できる。
【0067】
このように、開口部36を通過する蒸気が蒸発器31に戻されることを防止し、かつ、開口部36から案内された蒸気を凝縮手段56まで無駄なく導くことにより、加熱部42で蒸発させた蒸気を無駄なく浄水(蒸留水)に生成できる。
これにより、浄水の生成効率を高めることができ、浄水の生成量を十分に確保することができる。
【0068】
さらに、遮蔽板37は、左右方向において中央37cが上方に突出されることにより左傾斜部37dおよび右傾斜部37eで山型に形成されている。さらに、遮蔽板37は、遮蔽板37の周縁37fが開口部36より外側(外方)に配置されている。
よって、開口部36および凝集カバー55(すなわち、凝縮流路71)間に遮蔽板37が配置されることにより、凝縮流路71で生成された浄水28を遮蔽板37の上面37aに滴下させることができる。遮蔽板37の上面37aに滴下された浄水28を、遮蔽板37の上面37aに沿って遮蔽板37の周縁37fまで導き、周縁37fからセパレータ35に滴下させる(案内する)ことができる。
【0069】
これにより、凝縮手段56で生成された浄水28が開口部36を経て蒸発容器41の内部44に滴下することを防ぎ、生成された全ての浄水28をセパレータ35に案内できる。
このように、凝集器33で生成された全ての浄水28をセパレータ35に案内することにより、生成した浄水28を水取出口81(
図8参照)から無駄なく取り出すことができる。
【0070】
図5に戻って、貯水手段38は、セパレータ35(水取出口81)(
図8参照)に連通された第1水取出管91と、第1水取出管91の出口91aが連通された第1水タンク92と、第1水タンク92の出口に連通された第2水取出管93と、第2水取出管93の出口93aに連通された第2水タンク94とを備えている。
さらに、貯水手段38は、第1水取出管91の途中に設けられた第1電磁バルブ95と、第2水取出管93の途中に設けられた第2電磁バルブ96と、第1水タンク92に設けられた最下水位検出センサ97および最上水位検出センサ98とを備えている。
【0071】
最下水位検出センサ97は、第1水タンク92に蓄えられた浄水28(
図8参照)の最下水位を検出するためのセンサである。
最上水位検出センサ98は、第1水取出管91に蓄えられた浄水28の最上水位を検出するためのセンサである。
【0072】
第1電磁バルブ95は、第1水タンク92に蓄えられた浄水28の水位が最下水位に到達したとき第1水取出管91を開き、浄水28の水位が最上水位に到達したとき第1水取出管91を閉じるためのバルブである。
第2電磁バルブ96は、第1水タンク92に蓄えられた浄水28の水位が最下水位に到達したとき第2水取出管93を閉じ、浄水28の水位が最上水位に到達したとき第2水取出管93を開くためのバルブである。
【0073】
第1水取出管91は、入口91bが凝集カバー55の外郭58を貫通してセパレータ35(水取出口81)(
図8参照)に連通され、出口91aが第1水タンク92に連通されている。よって、セパレータ35(水取出口81)が第1水取出管91を介して第1水タンク92に連通されている。
第2水取出管93は、入口が第1水タンク92に連通され、出口93aが第2水タンク94に連通されている。よって、第1水タンク92が第2水取出管93を介して第2水タンク94に連通されている。
【0074】
図4に示すように、貯水手段38によれば、凝縮手段56で生成された浄水28(
図8参照)を第1水取出管91で第1水タンク92に矢印Gの如く導くことができる。さらに、第1水タンク92に蓄えられた浄水28を、
図5に示す第2水取出管93で第2水タンク94に導き、第2水タンク94に蓄えることができる。
【0075】
凝縮手段56で生成された浄水を第1水タンク92に一旦蓄えることにより、凝縮手段56で生成された浄水28に異物が含まれている場合でも、浄水28に含まれた異物を第1水タンク92に沈下させることができる。
これにより、異物を除去した良質の浄水28を第2水タンク94に蓄えることができる。第2水タンク94に蓄えられた良質な浄水28は、第2水タンク94の水流出口101から外部に取り出される(流出される)。
【0076】
つぎに、エンジン12で水ポンプ16を駆動することにより水生成装置20で浄水28を生成する例を
図11〜
図15に基づいて説明する。
図11(a)に示すように、エンジン12で水ポンプ16を駆動することにより、河川などの原水を原水取込口18からケーシング17の内部に矢印Hの如く取り込む。ケーシング17の内部に取り込まれた原水は原水吐出口19から矢印Iの如く外部に吐出される。
ここで、水ポンプ16の駆動中に、原水取込口18から取り込まれた原水の一部27(
図12(a)参照)を、ケーシング17の左上部から供給分岐流路46に矢印Jの如く分岐する。
【0077】
図11(b)に示すように、供給分岐流路46に分岐された原水27を、供給分岐流路46(鉛直流路53)の出口53aまで矢印Kの如く導く。導いた原水27を出口53aから蒸発容器41の内部44(
図12(a)参照)に矢印Lの如く供給する。
【0078】
図12(a)に示すように、蒸発容器41の内部44に出口53aから原水27を供給することにより蒸発容器41の内部44に原水27が蓄えられる。
蒸発容器41の内部44に原水27を蓄えることにより、原水27の水面27aが加熱部42の上方に位置する。
【0079】
一方、
図12(b)に示すように、原水取込口18からケーシング17の内部に取り込んだ原水の一部を、ケーシング17の左上部から左取出流路77に矢印Mの如く冷却水として取り出す。
同様に、原水取込口18からケーシング17の内部に取り込んだ原水の一部を、ケーシング17の右上部から右取出流路78に矢印Nの如く冷却水として取り出す。
【0080】
図13(a)に示すように、左取出流路77に取り出した原水を、左取出流路77を経て凝縮流路71の左半部71dに矢印Oの如く導く。導かれた原水を凝縮流路71の左半部71dで矢印Pの如く蛇行させながら前導出口74まで案内する。
同様に、右取出流路78に取り出した原水を、右取出流路78を経て凝縮流路71の右半部71eに矢印Qの如く導く。導かれた原水を凝縮流路71の右半部71eで矢印Rの如く蛇行させながら前導出口74まで案内する。
【0081】
図13(b)に示すように、凝縮流路71を経て前導出口74(
図13(a)参照)まで導かれた原水を、原水吐出口19の下流側に矢印Sの如く導く。下流側に導かれた原水は、戻り流路79を経て水ポンプ16の原水吐出口19に戻される。
戻された原水は、原水吐出口19から吐出される吐出原水に戻され(合流され)、吐出原水とともに外部に矢印Iの如く吐出される。
【0082】
ここで、
図14(a)に示すように、蒸発容器41の内部44に蓄えられた原水27を、加熱部42で加熱することにより原水27を蒸発させる。加熱部42で蒸発させた蒸気を、開口部36を経て遮蔽板37の下方空間86bに矢印Tの如く案内する。
【0083】
ここで、蒸発器31で蒸発させた蒸気を、例えば、流路を経て凝集器33に案内する場合、流路に導かれた蒸気が流路の壁部で凝縮され、蒸発器31に戻されることが考えられる。
そこで、セパレータ35の中央35bに開口部36を設け、開口部36を周縁36aのみで大きく形成した。よって、加熱部42で蒸発させた蒸気を開口部36(周縁36a)を経て遮蔽板37の下方空間86bまで上昇させる際に、蒸気が周縁36aで凝縮されて蒸発器31に戻されることを防止できる。
これにより、遮蔽板37の下方空間86bに蒸気を効率よく案内することができる。
【0084】
遮蔽板37の下方空間86bに案内された蒸気を、遮蔽板37の下面37bに沿って凝集カバー55(すなわち、凝縮手段56)に向けて矢印Uの如く導く。
遮蔽板37の下方空間86bは、遮蔽板37で凝縮手段56の凝縮流路71から仕切られている。よって、下方空間86bに案内された蒸気が凝縮されることを防ぐことができる。蒸気の凝集を防ぐことにより、開口部36から案内された蒸気を遮蔽板37の上方空間86a(すなわち、凝縮流路71)まで無駄なく導くことができる。
【0085】
凝集カバー55まで導かれた蒸気を凝集カバー55の内面55bに沿って矢印Vの如く導く。凝縮流路71において、冷却用の原水が矢印Pの如く導かれるとともに、矢印Rの如く導かれている。凝縮流路71に導かれた冷却用の原水で、凝集カバー55の内面55bまで導かれた蒸気を凝縮する。
【0086】
ここで、冷却用の凝縮流路71は、原水供給用の供給分岐流路46(
図11(b)参照)と別系統に設けられている。よって、凝縮流路71を流れる原水量を、加熱部42の蒸発機能に合わせて制限する必要がなく、凝縮流路71に十分な原水量を流すことができる。これにより、凝縮流路71に導かれた冷却用の原水で蒸気を効率よく凝縮できる。
【0087】
図14(b)に示すように、凝縮流路71に導かれた冷却用の原水で蒸気を凝縮することにより、凝集カバー55の内面55bに浄水28が生成される。
ここで、凝集カバー55の内面55bは、上方部位55cが緩やかな傾斜状(略水平状)に形成され、左側部位55dおよび右側部位55eが急な傾斜状に形成されている。
【0088】
よって、上方部位55cに生成された浄水28は遮蔽板37の上面37aに滴下する。遮蔽板37の上面37aに滴下された浄水28は、遮蔽板37の上面37aに沿って矢印Wの如く導かれ、セパレータ35に滴下する。
一方、左側部位55dに生成された浄水28は左側部位55dを伝ってセパレータ35に導かれる。同様に、右側部位55eに生成された浄水28は右側部位55eを伝ってセパレータ35に導かれる。
これにより、凝集カバー55の内面55bに生成された全ての浄水28をセパレータ35に効率よく案内することができる。
【0089】
図15(a)に示すように、セパレータ35は、セパレータ35に導かれた浄水28を、水取出口81に向けて案内可能に傾斜状に形成されている。
よって、セパレータ35に導かれた浄水28を、水取出口81に向けて矢印Xの如く円滑に導くことができる。
これにより、凝集カバー55の内面55b(
図14(b)参照)で生成された全ての浄水28を水取出口81を経て第1水取出管91まで無駄なく導くことができる。
【0090】
図15(b)に示すように、第1水取出管91に導かれた浄水28(
図15(a)参照)を第1水取出管91を経て第1水タンク92に矢印Yの如く導く。さらに、第1水タンク92に蓄えられた浄水28を、第2水取出管93で第2水タンク94に矢印Zの如く導き、第2水タンク94に蓄える。
第2水タンク94に蓄えられた浄水28を、第2水タンク94の水流出口101から外部に矢印の如く取り出す。取り出した浄水28を、一例として、飲料水に使用する。
【0091】
つぎに、水生成装置20が傾斜された場合に蒸発器の原水が浄水に混入することを防ぐ例を
図16に基づいて説明する。
図16(a)に示すように、水生成装置20が水平に配置された状態において、蒸発器31(蒸発容器41)に蓄えられた原水27の水面27aは、蒸発容器41の底面41cから水位高さH1に位置する。
この状態で、水面27bから開口部36までの高さ寸法がH2に確保される。よって、蒸発容器41に蓄えられた原水27が、開口部36を経て凝集器33側に浸入することを防止できる。
これにより、蒸発容器41に蓄えられた原水27が、凝集器33で生成した浄水28(
図15(a)参照)に混入することを防止できる。
【0092】
一方、
図16(b)に示すように、水生成装置20が傾斜された状態において、蒸発容器41に蓄えられた原水27の水面27bは、蒸発容器41の中央41dにおいて底面41cから水位高さH3に位置する。
水面27bの高さH3は、水面27aの高さH1(
図16(a)参照)と略同じ高さになる。
【0093】
ここで、セパレータ35の中央35bに開口部36が設けられている。
よって、水生成装置20が傾斜された状態において、原水27の水面27bから開口部36までの高さ寸法H4を、水生成装置20が水平に配置された状態の高さ寸法H2と略同じ高さに保つことができる。
【0094】
これにより、水生成装置20が傾斜された場合に、蒸発容器41に蓄えられた原水27が、開口部36を経て凝集器33の浄水28(
図15(a)参照)に混入することを防止できる。
このように、原水27の混入を防止することにより、水生成装置20で生成した浄水28が原水27で混濁することを防ぎ、浄水28の水質を良好に維持することができる。
【0095】
なお、本発明に係るエンジン駆動作業機は、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例では、エンジン駆動作業機10を水ポンプに適用する例について説明したが、これに限らないで、エンジン駆動作業機10を船外機などの他の作業機に適用することも可能である。
例えば、エンジン駆動作業機10を船外機に適用することにより、エンジンの冷却に用いる海水(原水)の一部を取り出し、取り出した海水をエンジンの廃熱で蒸発させ、蒸発させ蒸気を凝縮することにより浄水(蒸留水)を生成することが可能である。
【0096】
また、前記実施例で示したエンジン駆動作業機、エンジン、水ポンプ、原水取込口、原水吐出口、水生成装置、蒸発器、凝集器、凝集カバー、凝縮手段、外郭、内郭、凝縮流路、取出流路、左取出流路、右取出流路および戻り流路などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。