特許第6041724号(P6041724)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041724
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/13 20060101AFI20161206BHJP
   A01D 34/37 20060101ALI20161206BHJP
   A01D 67/00 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   A01D34/13 A
   A01D34/37
   A01D67/00 D
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-62570(P2013-62570)
(22)【出願日】2013年3月25日
(65)【公開番号】特開2014-183795(P2014-183795A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2015年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(72)【発明者】
【氏名】寺島 淳
(72)【発明者】
【氏名】八坂 賢史
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 俊暢
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−258510(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02028087(GB,A)
【文献】 特開2009−225761(JP,A)
【文献】 特許第3409780(JP,B2)
【文献】 独国特許出願公開第19614092(DE,A1)
【文献】 特開平09−238530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/02 − 34/40
A01D 67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀稈を掻き込むリールと、穀稈を刈り取る刈刃と、刈り取った穀稈を寄せ集めるプラットホームオーガと、寄せ集めた穀稈を脱穀部へ搬送するフィーダハウスコンベアとを有する刈取部を機体の前方に備えたコンバインにおいて、
前記刈取部を刈取フレームにより支持し、
前記刈取フレームの前下部の外側に、前記刈刃を往復動させるリンク機構が収納された伝動ケースを配置し、
前記刈取フレームの後端部に、前記刈刃を駆動させる刈刃用電動モータを配置し、
前記刈取フレームの後端部の外側に前記刈刃用電動モータからの動力を出力する出力軸を位置させて、前記刈刃用電動モータからの動力を動力伝達部材を介して前記伝動ケースに伝達する構成とし、
前記動力伝達部材を前記刈取フレームの外側面に沿わせて配置した
ことを特徴とするコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインにおける刈取部の刈刃の駆動構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、刈取部の刈刃を、電動モータで駆動させるコンバインの技術は公知である(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載のコンバインは、刈取フレームの内側に刈刃を配置して、刈取フレームの側方に電動モータ(刈刃用駆動装置)を配置している。
【0003】
しかし、刈刃用駆動装置の電動モータが刈取フレームから側方に大きく突出して、刈幅からの刈刃用駆動装置の突出量が大きくなる場合、刈り取り作業時に、刈刃用駆動装置が作物や障害物に接触しやすくなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−171851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、刈刃用駆動装置の電動モータが刈取フレームから側方に突出する突出量を抑えることが可能となり、刈幅からの電動モータの突出量を抑えることが可能なコンバインを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のコンバインは、穀稈を掻き込むリールと、穀稈を刈り取る刈刃と、刈り取った穀稈を寄せ集めるプラットホームオーガと、寄せ集めた穀稈を脱穀部へ搬送するフィーダハウスコンベアとを有する刈取部を機体の前方に備えたコンバインにおいて、前記刈取部を刈取フレームにより支持し、前記刈取フレームの前下部の外側に、前記刈刃を往復動させるリンク機構が収納された伝動ケースを配置し、前記刈取フレームの後端部に、前記刈刃を駆動させる刈刃用電動モータを配置し、前記刈取フレームの後端部の外側に前記刈刃用電動モータからの動力を出力する出力軸を位置させて、前記刈刃用電動モータからの動力を動力伝達部材を介して前記伝動ケースに伝達する構成とし、前記動力伝達部材を前記刈取フレームの外側面に沿わせて配置したものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載のコンバインによれば、刈刃用電動モータを刈取フレームの後端部に配置したことによって、刈刃用電動モータが刈取フレームから側方に突出する突出量を抑えることが可能となり、刈幅からの刈刃用電動モータの突出量を抑えることできる。
また、刈刃用電動モータをコンパクトに配置できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】コンバインの左側面図。
図2】コンバインの上面図。
図3】脱穀部及び選別部を示す図。
図4】電動モータ及びその周辺機器の構成を示す図。
図5】コンバインの制御構成を示したブロック図。
図6】刈取フレームの上面図。
図7】刈取フレームの右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、普通型コンバイン1について説明する。
【0010】
図1及び図2に示すように、コンバイン1は、走行部10と、刈取部20と、脱穀部30と、選別部40と、穀粒貯溜部50と、排藁処理部60と、操縦部70と、エンジン80と、発電機81と、を備える。
【0011】
走行部10は、機体2の下部に設けられる。走行部10は、左右一対のクローラを有するクローラ式走行装置11を有しており、このクローラ式走行装置11により機体2を前進又は後進方向に走行させることができるように構成される。
【0012】
刈取部20は、機体2の前方に設けられ、機体2に対して昇降可能に支持される。刈取部20は、リール21と、刈刃22と、プラットホームオーガ(PFオーガ)23と、フィーダハウスコンベア(FHコンベア)24と、を有している。リール21、刈刃22、及びPFオーガ23は刈取フレーム25により支持されている。刈取フレーム25と機体2の間にはフィーダハウス26が設けられており、フィーダハウス26内にはFHコンベア24が設けられている。また、刈取部20には、リール21、刈刃22、PFオーガ23、及びFHコンベア24を駆動させるための電動モータ91a・92a・93a・94aが設けられている。刈取フレーム25、刈刃22及び刈刃用電動モータ92aの配置構造についての詳細な説明は後述する。
【0013】
刈取部20は、リール21により穀稈を掻き込み、刈刃22により掻込後の穀稈の株元を切断し、そして、刈り取った穀稈をPFオーガ23により寄せ集めてからFHコンベア24へ受け渡して、FHコンベア24により脱穀部30へ搬送することができるように構成される。
【0014】
脱穀部30は、機体2の左側上部に設けられ、刈取部20の後方に配置される。図3に示すように、脱穀部30は、扱胴31と、コンケーブ32と、を有している。脱穀部30は、扱胴31及びコンケーブ32により刈取部20から搬送されてくる穀稈を後方へ送りながら脱穀し、その脱穀物を漏下させることができるように構成される。
【0015】
選別部40は、機体2の左側下部に設けられ、脱穀部30の下方に配置される。図3に示すように、選別部40は、揺動選別装置41と、風選別装置42と、穀粒搬送装置43と、二番還元装置44と、を有している。選別部40は、揺動選別装置41により脱穀部30から落下する脱穀物を穀粒や藁屑などに揺動選別し、風選別装置42により揺動選別後のものを更に穀粒と藁屑などとに風選別し、穀粒搬送装置43により選別後の穀粒を穀粒貯溜部50側へ搬送することができるように構成される。
【0016】
揺動選別装置41は、第一チャフシーブ41aと、第二チャフシーブ41bと、篩分部材41cと、を有している。揺動選別装置41は、扱胴31の下方に配置される。揺動選別装置41には揺動機構41dが設けられる。揺動機構41dは、第一チャフシーブ41a、第二チャフシーブ41b、及び篩分部材41cを機体2に対して揺動させる。
【0017】
第一チャフシーブ41a及び第二チャフシーブ41bは、左右方向に等間隔ごとに横架された複数のチャフフィンを有している。前記各チャフフィンは、その角度を変更可能に構成され、それぞれが若干前低後高に傾斜した状態で前後に並置される。篩分部材41cは、櫛状部材で構成され、第一チャフシーブ41aの後端部に歯部を後方へ向けて設けられ、第二チャフシーブ41bの前部の上方に位置するように配置される。
【0018】
揺動選別装置41は、第一チャフシーブ41a、第二チャフシーブ41b、及び篩分部材41cを揺動させることによって、脱穀部30から落下する脱穀物から穀粒を粗選別し、その粗選別後のものを風選別装置42へ漏下させることができるようになっている。このときの漏下量は、第一チャフシーブ41a及び第二チャフシーブ41bでそれぞれ複数のチャフフィンの角度が変更されることにより調節される。
【0019】
風選別装置42は、唐箕42aと、一番コンベア42bと、二番コンベア42cと、を有している。唐箕42aは、回転可能に支持され、機体2の左側の前端寄りに配置される。一番コンベア42b及び二番コンベア42cは、それぞれ唐箕42aの後方に配置され、互いに前後に並置される。風選別装置42には、唐箕42aを回転駆動させるための唐箕用電動モータ95aが設けられている。
【0020】
風選別装置42は、唐箕42aを回転駆動させることによって、選別風を起して後方へ送り、当該選別風を揺動選別装置41から落下する穀粒や藁屑に当てて、これらを比重選別する。そして、これらのうちの、比重の重いものが選別風の影響を受けずに一番コンベア42bへ落下するのに対して、比重の軽いものが選別風により後方へ運ばれて、二番コンベア42cへ落下し、更に軽い塵埃等が後方へ排出される。
【0021】
風選別装置42は、また、一番コンベア42bを駆動させることによって、この一番コンベア42bに落下してきたものを、一番物として右側へ送って穀粒搬送装置43へ渡す。穀粒搬送装置43は、この一番物を穀粒貯溜部50側へ搬送する。
【0022】
また、風選別装置42は、二番コンベア42cを駆動させることによって、この二番コンベア42cに落下してきたものを二番物として右側へ送って二番還元装置44の二番搬送装置44aへ渡す。
【0023】
二番還元装置44は、二番搬送装置44aと、二番処理装置44bとを備える。二番搬送装置44aは、揺動選別装置41及び風選別装置42の右側方で前後方向に延設され、前高後低に傾斜した状態で配置される。二番処理装置44bは、揺動選別装置41の前端部の上方に位置するように配置され、二番搬送装置44aと接続される。
【0024】
二番還元装置44は、二番搬送装置44aで受けた二番物を二番処理装置44bへ送り、二番処理装置44bで二番物に対して、枝梗を除去するなどの処理を行ったあと、揺動選別装置41に落下させて戻すことができるようになっている。こうして、揺動選別装置41及び風選別装置42を経た二番物が繰り返し選別される。
【0025】
図1及び図2に示すように、穀粒貯溜部50は、機体2の右側の前後中央部に設けられ、脱穀部30及び選別部40の右方に配置される。穀粒貯溜部50は、穀粒タンク51と、穀粒排出装置52と、を有している。穀粒貯溜部50は、選別部40から搬送されてくる穀粒を穀粒タンク51で貯溜し、穀粒排出装置52により貯溜中の穀粒を任意の方向に搬送してから外部へ排出することができるように構成される。
【0026】
排藁処理部60は、機体2の左側後上方に設けられ、脱穀部30及び選別部40の後方に配置される。排藁処理部60は、脱穀部30からの脱穀済みの穀稈を排藁として外部へ排出するとともに、選別部40からの藁屑や塵埃などを外部へ排出することができるように構成される。
【0027】
操縦部70は、機体2の右側前端から前方に出っ張るように設けられ、穀粒貯溜部50の前方に配置される。操縦部70には、リール21を操作するためのリール用操作具71や、刈刃22を操作するための刈刃用操作具72や、PFオーガ23を操作するためのオーガ用操作具73や、FHコンベア24を操作するためのコンベア用操作具74や、唐箕42aを操作するための唐箕用操作具75が設けられている(図5参照)。また、操縦部70には、ステアリングハンドル76及び変速レバーを含む各種の操作具や、操縦席や、キャビン77が設けられている。
【0028】
図2に示すように、エンジン80は、機体2の右側前端に設けられ、操縦部70の下方に配置される。エンジン80の左方には発電機81が設けられている。発電機81はエンジン80に接続されており、エンジン80の回転を伝達されて駆動する。機体2の右側後端には、バッテリ82が設けられている。バッテリ82は、発電機81と電気的に接続されており、発電機81で発電した電力を蓄えることが可能である。
【0029】
以下では、コンバイン1の動力伝達について説明する。コンバイン1は、エンジン80の動力を、走行部10、脱穀部30、選別部40(唐箕42aを除く)、穀粒貯溜部50、及び排藁処理部60に、トランスミッションを含む動力伝達系を介して伝達して、エンジン80の動力によりこれらの各部を駆動させる。また、コンバイン1は、刈取部20の各部(リール21、刈刃22、PFオーガ23、及びFHコンベア24)、並びに選別部40の唐箕42aに関しては、電動モータ(三相交流モータ)91a・92a・93a・94a・95aの動力により駆動させる(図5参照)。
【0030】
次に、電動モータ91a・92a・93a・94a・95a及びその周辺機器の構成について説明する。
【0031】
図4に示すように、通常走行時(エンジン80の回転時)においては、発電機81はエンジン80により駆動して交流電力を発生する。そして、この交流電力がインバータ83により直流電力に変換される。そして、前記直流電力はインバータ192・193・194によりそれぞれ交流電力に変換されて、電動モータ92a・93a・94aにそれぞれ供給される。また、前記直流電力はDC−DCコンバータ84により電圧が調整された後、インバータ191・195によりそれぞれ交流電力に変換されて、電動モータ91a・95aにそれぞれ供給される。従って、消費電力が発電電力より少ない場合、リール21、刈刃22、PFオーガ23、FHコンベア24及び唐箕42aが、発電機81からの電力で駆動され、余剰電力がバッテリ82に蓄えられる。また、消費電力が発電電力より多い場合、バッテリ82からも電力供給される。
【0032】
エンジン80の停止時においては、バッテリ82に蓄えられている電力が、インバータ191・192・193・194・195を介して電動モータ91a・92a・93a・94a・95aにそれぞれ供給される。従って、エンジン80の停止時には、リール21、刈刃22、PFオーガ23、FHコンベア24及び唐箕42aが、バッテリ82からの電力で駆動する。
【0033】
図5に示すように、制御装置100には、操作具71・72・73・74・75、及びインバータ191・192・193・194・195が接続されている。制御装置100は、操作具71・72・73・74・75から信号を受信することによって、インバータ191・192・193・194・195を制御して、電動モータ91a・92a・93a・94a・95aの回転を操作する。これにより、制御装置100は、リール21、刈刃22、PFオーガ23、FHコンベア24及び唐箕42aの動作を制御する。
【0034】
従来、エンジンの動力は、複数個の伝動ベルト及びプーリを介して、刈取部の各部や唐箕に伝達されるように構成されていた。これに対して、本実施形態におけるコンバイン1は、刈取部20の各部(リール21、刈刃22、PFオーガ23、及びFHコンベア24)や、選別部40の唐箕42aに電動モータ91a・92a・93a・94a・95aをそれぞれ接続して、各電動モータ91a・92a・93a・94a・95aの動力で刈取部20の各部や唐箕42aを個別に駆動するように構成する。これにより、従来使用していた伝動ベルトや伝動プーリ等の、エンジンに接続するための部品を削除することができると共に、刈取部20や唐箕42aへの動力伝達系を簡単化することができる。また、刈取部20の各部(リール21、刈刃22、PFオーガ23、及びFHコンベア24)や、選別部40の唐箕42aに関しては、動力伝達系が、エンジン80との動力伝達系と別系統となっているので、エンジン80とは無関係に、電動モータ91a・92a・93a・94a・95aの出力軸をそれぞれ回転させて、メンテナンスや調整等を容易に行うことができる。
【0035】
また、コンバイン1は、作業状況に応じて回転速度を調整した方が良い部位(刈取部20の各部や唐箕42a)については、それぞれに動力源(電動モータ91a・92a・93a・94a・95a)を設けることで、それぞれの回転速度を調整可能に構成する。そして、一定回転速度が必要な部位(脱穀部30や発電機81)については、エンジン80を動力源とする。このように、コンバイン1は、各部の特性を考慮して、動力源を複数種類設けることで、作業性を向上させている。
【0036】
図2に示すように、コンバイン1は、刈取部20に電動モータ91a・92a・93a・94aを設けて、機体2の後端(穀粒貯溜部50の後方)にバッテリ82を設ける。
これは、刈取部20に電動モータ91a・92a・93a・94aを設けることによってコンバイン1の重心が前側に偏るが、機体2の後端にバッテリ82を設けることによって、コンバイン1の前後の重量バランスを整えて、重心の偏りを抑制するためである。これにより、コンバイン1の姿勢を安定させることが可能となる。
【0037】
以下では、刈取フレーム25、刈刃22及び刈刃用電動モータ92aの配置構造について説明する。
【0038】
図6及び図7に示すように、刈取フレーム25の前下部には刈刃22が設けられており、刈取フレーム25の前後中央部にはPFオーガ23が設けられており、刈取フレーム25の左側後方にはFHコンベア24が設けられている。
【0039】
刈取フレーム25は、左右一対の側壁25a・25bと、側壁25a・25b間の後部右側に設けられる後板25cと、側壁25a・25b間の下部に設けられる底板25dと、によって構成されている。側壁25a・25b間の後部左側には、フィーダハウス26が連結される開口25eが形成されている。
【0040】
側壁25a・25b間の前下部には底板25dは設けられておらず、刈刃台25fが設けられている。刈刃台25fは、刈取フレーム25の前下部にその左右全幅にわたって取り付けられている。刈刃台25fには多数の刈刃22と受刃22aが取り付けられる。刈刃22はリンク機構により左右方向に一定幅にて往復横摺動自在に構成され、刈刃22が往復動されることで、刈刃22と受刃22aの相互作用により植立穀稈の株元部が切断されるように構成されている。刈刃22の右端は前記リンク機構に連結され、前記リンク機構は伝動ケース22c内に収納されている。前記リンク機構の入力軸22dは伝動ケース22cから右方に突出しており、入力軸22dには刈刃プーリ22bが固設されている。刈刃プーリ22bは刈取フレーム25の右前下部の外側(右方)に配置している。刈刃プーリ22bの回転は、前記リンク機構によって刈刃22の往復動に変換される。刈刃プーリ22bには、刈刃用駆動装置92が接続されている。
【0041】
刈刃用駆動装置92は、刈刃22を駆動させるための動力を生成するものである。刈刃用駆動装置92は、刈刃用電動モータ92a及び減速機92bで構成される。減速機92bは、ケース92cに収容されている。
【0042】
刈刃用駆動装置92は、刈取フレーム25の側部後端(右後端)に取り付けられている。刈刃用駆動装置92は、刈取フレーム25と機体2の間に存在するスペースを利用して配置される。詳細に説明すると、前記スペースのうちの左側(刈取フレーム25の左側後方)にはフィーダハウス26が存在しているのに対して、前記スペースのうちの右側(刈取フレーム25の右側後方)は空いている。これにより、刈刃用駆動装置92を刈取フレーム25の右後端に取り付けて、刈刃用駆動装置92を、刈取フレーム25の右側後方の空いているスペースに配置する。これにより、刈刃用駆動装置92を、機体2の前端部、刈刃22、PFオーガ23、フィーダハウス26等に邪魔されることなく配置することが可能となる。また、刈刃用駆動装置92が刈取フレーム25から側方に突出する突出量を抑えることが可能となり、刈幅Wからの刈刃用駆動装置92の突出量(刈刃用駆動装置92の出代)を抑えることが可能である。
【0043】
刈刃用電動モータ92aの出力軸92dの軸線Lは、左右方向に延びるように配置されている。これにより、刈刃用電動モータ92aを刈取フレーム25の後端部沿いに配置することが可能となり、刈刃用電動モータ92aが刈取フレーム25の後端から後方(機体2側)に突出する突出量が抑えられるので、刈刃用電動モータ92aをコンパクトに配置できる。
【0044】
刈刃用電動モータ92aの出力軸92dの先端(右端)には減速機92bが取り付けられている。減速機92bは、例えば遊星歯車機構で構成されている。減速機92bの出力軸(不図示)には出力プーリ92eが連結されており、出力プーリ92eが刈取フレーム25の右後端の外側(右方)に配置されている。出力プーリ92eの前方には刈刃プーリ22bが存在しており、出力プーリ92eと刈刃プーリ22bにはベルト部材(Vベルト)92fが巻き掛けられている。ベルト部材92fにはテンションプーリ92gがバネ等により付勢されて当接している。なお、ベルト伝動に替えてチェーン伝動とすることも可能である。
【0045】
刈刃用電動モータ92aの出力軸92dの回転は、減速機92bで減速されてから、出力プーリ92e、ベルト部材92f、刈刃プーリ22b、及び前記リンク機構を介して刈刃22に伝達されて、刈刃22が駆動する。減速機92bを設けることによって、小型のモータで低速高トルクを得ることが可能となる。このように、刈刃用駆動装置92が、刈刃用電動モータ92aと減速機92bによって刈刃22を駆動させるための動力を生成している。
【0046】
刈刃用駆動装置92とフィーダハウス26の間には、インバータ191・192・193を収容するボックス27が配置されている。ボックス27は刈取フレーム25の後端の左右中央部に固定されており、ボックス27からはインバータ191・192・193の冷却フィンがそれぞれ突出している。インバータ191・192・193は、ボックス27によって冷却フィン以外の部分を保護されている。
【0047】
なお、上記実施形態では、刈刃用駆動装置92を、刈刃用電動モータ92aと減速機92bで構成したが、これに限定されず、刈刃用駆動装置92を、刈刃用電動モータ92aのみで構成してもよい。詳細に説明すると、刈刃用電動モータ92aの出力軸92dに出力プーリ92eを連結して、出力プーリ92eと刈刃プーリ22bにベルト部材92fを巻き掛けるように構成する。これにより、減速機92bの配置スペースを考慮しなくてよいので、刈刃用駆動装置92をよりコンパクトに配置できる。
【符号の説明】
【0048】
1 コンバイン
20 刈取部
22 刈刃
25 刈取フレーム
92 刈刃用駆動装置
92a モータ
92d 出力軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7