特許第6041729号(P6041729)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6041729貨幣処理装置、貨幣処理方法およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041729
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】貨幣処理装置、貨幣処理方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07D 3/00 20060101AFI20161206BHJP
   G07D 9/00 20060101ALI20161206BHJP
   G07D 1/00 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   G07D3/00 Z
   G07D3/00 C
   G07D3/00 401
   G07D9/00 326
   G07D1/00 311
【請求項の数】13
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-65971(P2013-65971)
(22)【出願日】2013年3月27日
(65)【公開番号】特開2014-191557(P2014-191557A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石谷 常彦
【審査官】 角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−078397(JP,A)
【文献】 特開昭59−218584(JP,A)
【文献】 特開平10−154256(JP,A)
【文献】 特開2006−301881(JP,A)
【文献】 特開2007−293770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00−3/16
7/00−13/00
G07F 19/00
G06Q 20/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣を処理する貨幣処理装置であって、
前記貨幣のうち出金に用いられる貨幣を収納する複数の収納部と、
前記複数の収納部に収納すべき貨幣についての新旧の程度を示す新旧レベルを判断する新旧判断部と、
前記新旧レベルが判断された前記貨幣を収納すべき収納先を、前記複数の収納部の中から前記新旧レベルに基づいて選定する選定部と
前記複数の収納部に収納されている貨幣についての前記新旧レベルに応じた枚数を前記収納部毎に示す情報である枚数情報を生成する情報生成部と、
を備え、
前記選定部は、前記複数の収納部の中から前記収納先を選定する基準を、前記枚数情報に基づいて設定する基準設定部を含む、貨幣処理装置。
【請求項2】
前記選定部は、前記複数の収納部の中から前記収納先を選定する基準を、管理者から入力される情報に基づいて設定する基準入力部を含む、請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の貨幣処理装置であって、さらに、
前記枚数情報を表示する表示部を備える貨幣処理装置。
【請求項4】
貨幣を処理する貨幣処理装置であって、
前記貨幣のうち出金に用いられる貨幣を収納する複数の収納部と、
前記複数の収納部に収納すべき貨幣についての新旧の程度を示す新旧レベルを判断する新旧判断部と、
前記新旧レベルが判断された前記貨幣を収納すべき収納先を、前記複数の収納部の中から前記新旧レベルに基づいて選定する選定部と
を備え、
前記選定部は、前記複数の収納部の中から前記収納先を選定する基準を、管理者から入力される情報に基づいて設定する基準入力部を含む、貨幣処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の貨幣処理装置であって、さらに、
前記複数の収納部に収納されている貨幣についての前記新旧レベルに応じた枚数を前記収納部毎に示す情報である枚数情報を生成する情報生成部と、
前記枚数情報を表示する表示部と
を備える貨幣処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の貨幣処理装置であって、
前記複数の収納部は、第1および第2の収納部であって、前記第1の収納部に収納される貨幣は、前記第2の収納部に収納される貨幣よりも優先的に出金に用いられる、第1および第2の収納部を含み、
前記選定部は、前記新旧レベルが基準値よりも新しい貨幣を収納すべき収納先として、前記第2の収納部よりも優先的に前記第1の収納部を選定する、貨幣処理装置。
【請求項7】
請求項に記載の貨幣処理装置であって、
前記第1の収納部は、前記貨幣のうち出金に用いられる貨幣を金種別に収納する複数の金種別収納部を含み、
前記第2の収納部は、前記貨幣のうち出金に用いられる複数の金種の貨幣を一括して収納する一括収納部を含む、貨幣処理装置。
【請求項8】
前記新旧判断部は、前記貨幣に記された発行年および記番号の少なくとも1つに基づいて前記新旧レベルを判断する、請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項9】
前記貨幣は、硬貨および紙幣の少なくとも一方を含む、請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項10】
貨幣を処理する貨幣処理方法であって、
前記貨幣のうち出金に用いられる貨幣を収納する複数の収納部に収納すべき貨幣についての新旧の程度を示す新旧レベルを判断し、
前記複数の収納部に収納されている貨幣についての前記新旧レベルに応じた枚数を前記収納部毎に示す情報である枚数情報を生成し、
前記新旧レベルが判断された前記貨幣を収納すべき収納先を、前記複数の収納部の中から前記新旧レベルに基づいて選定し、
前記複数の収納部の中から前記収納先を選定する基準を、前記枚数情報に基づいて設定する、貨幣処理方法。
【請求項11】
貨幣を処理する貨幣処理方法であって、
前記貨幣のうち出金に用いられる貨幣を収納する複数の収納部に収納すべき貨幣についての新旧の程度を示す新旧レベルを判断し、
前記新旧レベルが判断された前記貨幣を収納すべき収納先を、前記複数の収納部の中から前記新旧レベルに基づいて選定し、
前記複数の収納部の中から前記収納先を選定する基準を、管理者から入力される情報に基づいて設定する、貨幣処理方法。
【請求項12】
貨幣を処理する機能をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムであって、
前記貨幣のうち出金に用いられる貨幣を収納する複数の収納部に収納すべき貨幣についての新旧の程度を示す新旧レベルを判断する機能と、
前記新旧レベルが判断された前記貨幣を収納すべき収納先を、前記複数の収納部の中から前記新旧レベルに基づいて選定する機能と、
前記複数の収納部に収納されている貨幣についての前記新旧レベルに応じた枚数を前記収納部毎に示す情報である枚数情報を生成する機能と、
をコンピュータに実現させ、
前記選定する機能は、前記複数の収納部の中から前記収納先を選定する基準を、前記枚数情報に基づいて設定する機能を含む、コンピュータプログラム。
【請求項13】
貨幣を処理する機能をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムであって、
前記貨幣のうち出金に用いられる貨幣を収納する複数の収納部に収納すべき貨幣についての新旧の程度を示す新旧レベルを判断する機能と、
前記新旧レベルが判断された前記貨幣を収納すべき収納先を、前記複数の収納部の中から前記新旧レベルに基づいて選定する機能と、
をコンピュータに実現させ、
前記選定する機能は、前記複数の収納部の中から前記収納先を選定する基準を、管理者から入力される情報に基づいて設定する機能を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理装置、貨幣処理方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
貨幣処理装置としては、現金自動取引装置(Automated Teller Machine、ATM)および現金自動支払機(Cash Dispenser、CD)などの現金取扱装置が知られている。貨幣処理装置は、入金および出金に用いられる貨幣(硬貨、紙幣など)を処理する。
【0003】
特許文献1には、紙幣の記番号に基づいて紙幣の発行年を判断し、発行年の古い紙幣を、出金に適さない紙幣として回収する技術が記載されている。特許文献2には、紙幣の記番号に基づいて紙幣の老朽化を判断し、老朽化した紙幣を、出金に適さない紙幣として回収する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59−218584号公報
【特許文献2】特開平4−38590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2では、回収せずに出金に用いられる貨幣の全てを、その新旧に関係なく一律に取り扱うため、比較的に古い貨幣の経年劣化に起因する不具合(例えば、貨幣の識別不良、搬送経路における貨幣の詰まり)が発生する場合があるという課題があった。また、現金取扱装置から出金される貨幣を受け取る利用者の立場からは、比較的にきれいな貨幣を受け取りたいとの要望があった。
【0006】
そのため、貨幣処理装置において比較的に新しい貨幣を出金に用いることが可能な技術が望まれていた。そのほか、貨幣処理装置においては、その小型化や、低コスト化、省資源化、製造の容易化、使い勝手の向上、耐久性の向上などが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0008】
(1)本発明の一形態によれば、貨幣を処理する貨幣処理装置が提供される。この貨幣処理装置は、前記貨幣のうち出金に用いられる貨幣を収納する複数の収納部と;前記複数の収納部に収納すべき貨幣についての新旧の程度を示す新旧レベルを判断する新旧判断部と;前記新旧レベルが判断された前記貨幣を収納すべき収納先を、前記複数の収納部の中から前記新旧レベルに基づいて選定する選定部とを備える。この形態によれば、比較的に新しい貨幣と、比較的に古い貨幣とを別々の収納部に収納することができる。そのため、比較的に新しい貨幣が収納されている収納部から貨幣を取り出すことによって、比較的に新しい貨幣を出金に用いることができる。その結果、比較的に古い貨幣の経年劣化に起因する不具合を抑制することができる。また、比較的にきれいな貨幣を受け取りたいとの利用者の要望に応えることができる。
【0009】
(2)上記形態の貨幣処理装置において、前記複数の収納部は、第1および第2の収納部であって、前記第1の収納部に収納される貨幣は、前記第2の収納部に収納される貨幣よりも優先的に出金に用いられる、第1および第2の収納部を含み、前記選定部は、前記新旧レベルが基準値よりも新しい貨幣を収納すべき収納先として、前記第2の収納部よりも優先的に前記第1の収納部を選定してもよい。この形態によれば、比較的に新しい貨幣から優先的に出金に用いることができる。
【0010】
(3)上記形態の貨幣処理装置において、前記第1の収納部は、前記貨幣のうち出金に用いられる貨幣を金種別に収納する複数の金種別収納部を含み、前記第2の収納部は、前記貨幣のうち出金に用いられる複数の金種の貨幣を一括して収納する一括収納部を含んでもよい。この形態によれば、金種別収納部と一括収納部とを備える構成において、比較的に新しい貨幣から優先的に出金に用いることができる。
【0011】
(4)上記形態の貨幣処理装置において、前記新旧判断部は、前記貨幣に記された発行年および記番号の少なくとも1つに基づいて前記新旧レベルを判断してもよい。この形態によれば、貨幣の新旧レベルを容易に判断できる。
【0012】
(5)上記形態の貨幣処理装置において、前記貨幣は、硬貨および紙幣の少なくとも一方を含んでもよい。この形態によれば、硬貨および紙幣の少なくとも一方について、比較的に新しい貨幣を出金に用いることができる。
【0013】
(6)上記形態の貨幣処理装置において、前記複数の収納部に収納されている貨幣についての前記新旧レベルに応じた枚数を前記収納部毎に示す情報である枚数情報を生成する情報生成部を、さらに備え、前記選定部は、前記複数の収納部の中から前記収納先を選定する基準を、前記枚数情報に基づいて設定する基準設定部を含んでもよい。この形態によれば、複数の収納部に収納されている貨幣の新旧レベルに応じた分布を、枚数情報に基づいて調整できる。
【0014】
(7)上記形態の貨幣処理装置において、前記複数の収納部の中から前記収納先を選定する基準を、管理者から入力される情報に基づいて設定する基準入力部を含んでもよい。この形態によれば、複数の収納部に収納されている貨幣の新旧レベルに応じた分布を、管理者からの情報に基づいて調整できる。
【0015】
(8)上記形態の貨幣処理装置において、さらに、前記複数の収納部に収納されている貨幣についての前記新旧レベルに応じた枚数を前記収納部毎に示す情報である枚数情報を生成する情報生成部と;前記枚数情報を表示する表示部とを備えてもよい。この形態によれば、収納先を選定する基準を設定する管理者の利便性を向上させることができる。
【0016】
本発明は、貨幣処理装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、本願発明は、貨幣処理方法の他、貨幣処理装置を制御するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】貨幣処理装置の構成を示す説明図である。
図2】貨幣処理装置における制御部および感知部の詳細構成を示す説明図である。
図3】貨幣処理装置の制御部が実行する入金取引処理を示すフローチャートである。
図4】画像センサから出力される画像データの一例を示す説明図である。
図5】選定処理の詳細を示すフローチャートである。
図6】枚数情報に基づく枚数ヒストグラムの一例を示すグラフである。
図7】枚数情報に基づく複数の金種別収納部全体の枚数ヒストグラムの一例を示す表である。
図8】枚数情報に基づく一括収納部の枚数ヒストグラムの一例を示す表である。
図9】第1変形例における貨幣処理装置の詳細構成を示す説明図である。
図10】第2実施形態における貨幣処理装置の構成を示す説明図である。
図11】貨幣処理装置における制御部および感知部の詳細構成を示す説明図である。
図12】貨幣処理装置の制御部が実行する入金取引処理を示すフローチャートである。
図13】画像センサから出力される画像データの一例を示す説明図である。
図14】選定処理の詳細を示すフローチャートである。
図15】枚数情報に基づく枚数ヒストグラムの一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
A.第1実施形態
A−1.貨幣処理装置の構成
図1は、貨幣処理装置10の構成を示す説明図である。貨幣処理装置10は、硬貨を処理する現金取扱装置である。貨幣処理装置10は、制御部100と、表示部190と、入出金部220と、搬送機構240と、感知部280と、複数の金種別保留部310_1〜310_nと、複数の金種別収納部330_1〜330_nと、一括保留部350と、一括収納部370と、回収部380と、運用カートリッジ390とを備える。
【0019】
貨幣処理装置10の制御部100は、貨幣処理装置10の各部を制御する。制御部100は、新旧判断部120と、選定部140とを備える。
【0020】
制御部100の新旧判断部120は、感知部280からの情報に基づいて、複数の収納部(金種別収納部330_1〜330_nおよび一括収納部370)に収納すべき硬貨についての新旧の程度を示す新旧レベルを判断する。本実施形態では、新旧判断部120は、硬貨に記された発行年に基づいて新旧レベルを判断する。
【0021】
制御部100の選定部140は、新旧レベルが判断された硬貨を収納すべき収納先を、複数の収納部(金種別収納部330_1〜330_nおよび一括収納部370)の中から新旧レベルに基づいて選定する。本実施形態では、選定部140は、新旧レベルが基準値よりも新しい硬貨を収納すべき収納先として、一括収納部370よりも優先的に金種別収納部330_1〜330_nを選定する。
【0022】
本実施形態では、制御部100の機能は、コンピュータプログラムに基づいてCPU(Central Processing Unit)が動作することによってソフトウェア的に実現される。他の実施形態では、制御部100の機能は、制御部100が備える回路構成に基づいてハードウェア的に実現されてもよい。
【0023】
貨幣処理装置10の表示部190は、制御部100からの指示に基づいて情報を表示する。本実施形態では、表示部190は、表示装置に位置入力装置を組み合わせたタッチパネル(Touch Panel)であり、貨幣処理装置10を操作する操作者である利用者および管理者からの入力を受け付け可能に構成されている。
【0024】
貨幣処理装置10の入出金部220は、入金される硬貨を貨幣処理装置10の外部から受け取るとともに、出金される硬貨を貨幣処理装置10の外部に対して提供する。本実施形態では、貨幣処理装置10は、入金時に受け取った硬貨のうち貨幣処理装置10で受け入れできない硬貨を、入出金部220を通じて返却する。
【0025】
貨幣処理装置10の搬送機構240は、貨幣処理装置10の内部で硬貨を搬送する。本実施形態では、搬送機構240は、入出金部220と、感知部280と、複数の金種別保留部310_1〜310_nと、複数の金種別収納部330_1〜330_nと、一括保留部350と、一括収納部370と、回収部380と、運用カートリッジ390との間を接続し、各部の間における硬貨の移動を実現する。
【0026】
貨幣処理装置10の感知部280は、硬貨の特徴を感知する。感知部280によって感知された硬貨の特徴は、金種の判断と、新旧レベルの判断と、真偽の判断との各判断に利用される。本実施形態では、感知部280によって感知される硬貨は、入出金部220から入金される硬貨、一括収納部370から金種別収納部330_1〜330_nへと収納される硬貨、運用カートリッジ390から金種別収納部330_1〜330_nへと収納される硬貨である。
【0027】
貨幣処理装置10における複数の金種別保留部310_1〜310_nは、金種別収納部330_1〜330_nに収納すべき硬貨を一時的に保留するn個の収納部である。本実施形態では、複数の金種別保留部310_1〜310_nは、6種類の金種(1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨)にそれぞれ対応する6個の収納部である(n=6)。本実施形態の説明では、金種別保留部を総称する場合には符号「310」を用い、複数の金種別保留部を個別に示す場合には「310」の後に個別の番号を付した符号を用いる。
【0028】
貨幣処理装置10における複数の金種別収納部330_1〜330_nは、出金に用いられる硬貨を金種別に収納するn個の収納部である。本実施形態では、複数の金種別収納部330_1〜330_nは、6種類の金種(1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨)にそれぞれ対応する6個の収納部である(n=6)。本実施形態の説明では、金種別収納部を総称する場合には符号「330」を用い、複数の金種別収納部を個別に示す場合には「330」の後に個別の番号を付した符号を用いる。
【0029】
金種別収納部330に収納すべき硬貨は、入金取引が成立するまで金種別保留部310に一時的に収納され、入金取引が成立した後に金種別保留部310から金種別収納部330に収納される。入出金部220から出金される硬貨は、金種別保留部310から搬送機構240を通じて入出金部220に搬送される。
【0030】
貨幣処理装置10の一括保留部350は、一括収納部370に収納すべき硬貨を一時的に保留する収納部である。一括保留部350には、複数の金種の硬貨が一括して収納される。
【0031】
貨幣処理装置10の一括収納部370は、出金に用いられる複数の金種の硬貨を一括して収納する収納部である。一括収納部370には、複数の金種の硬貨が混在している。
【0032】
一括収納部370に収納すべき硬貨は、入金取引が成立するまで一括保留部350に一時的に収納され、入金取引が成立した後に一括保留部350から一括収納部370に収納される。金種別収納部330に収納されている硬貨が不足する場合、一括収納部370に収納されている硬貨は、搬送機構240を通じて感知部280を経由して金種別収納部330に収納される。したがって、金種別収納部330に収納される硬貨は、一括収納部370に収納される硬貨よりも優先的に出金に用いられる。
【0033】
貨幣処理装置10の回収部380は、出金に適さないと判断された硬貨を回収する収納部である。本実施形態では、回収部380は、新旧レベルが基準値よりも古いと判断された硬貨と、出金時に搬送機構240で不具合を発生させた硬貨とを回収する。
【0034】
貨幣処理装置10の運用カートリッジ390は、硬貨を収納する収納部であり、貨幣処理装置10に対して着脱可能に構成されている。運用カートリッジ390は、貨幣処理装置10に対する硬貨の補充と、貨幣処理装置10からの硬貨の回収とに利用される。
【0035】
図2は、貨幣処理装置10における制御部100および感知部280の詳細構成を示す説明図である。本実施形態では、制御部100は、新旧判断部120および選定部140の他、金種判断部110と、真偽判断部130と、情報生成部150と、記憶部170と、表示制御部180とを備える。本実施形態では、感知部280は、画像センサ282と、光センサ284と、磁気センサ286とを備える。
【0036】
感知部280の画像センサ282は、感知部280を通過する硬貨を撮像する。本実施形態では、画像センサ282は、CCDイメージセンサ(Charge-Coupled Device image sensor)である。他の実施形態では、画像センサ282は、CMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor image sensor)であってもよい。
【0037】
感知部280の光センサ284は、感知部280を通過する硬貨の形状を感知する。感知部280の磁気センサ286は、感知部280を通過する硬貨の磁気特性を感知する。他の実施形態では、感知部280は、光センサ284と磁気センサ286との少なくとも1つを備えなくてもよく、他のセンサを備えてもよい。
【0038】
制御部100の金種判断部110は、感知部280からの情報に基づいて、感知部280を通過する硬貨の金種を判断する。本実施形態では、金種判断部110は、画像センサ282、光センサ284および磁気センサ286からの各出力データに基づいて、感知部280を通過する硬貨の金種を判断する。本実施形態では、金種判断部110は、1円硬貨と、5円硬貨と、10円硬貨と、50円硬貨と、100円硬貨と、500円硬貨とを判断可能である。
【0039】
制御部100の新旧判断部120は、画像センサ282から出力される画像データを解析することによって、感知部280を通過する硬貨の新旧レベルを判断する。本実施形態では、新旧判断部120は、硬貨に記された発行年を画像データから読み取り、その発行年を新旧レベルとして判断する。他の実施形態では、新旧判断部120は、硬貨の損傷を画像データから読み取り、その損傷の度合いを新旧レベルとして判断してもよい。
【0040】
制御部100の真偽判断部130は、感知部280からの情報に基づいて、感知部280を通過する硬貨が本物であるか偽物であるかを判断する。本実施形態では、真偽判断部130は、画像センサ282、光センサ284および磁気センサ286からの各出力データに基づいて、感知部280を通過する硬貨の真偽を判断する。
【0041】
制御部100の情報生成部150は、選定部140による収納先の選定に応じて枚数情報410を生成する。枚数情報410は、金種別収納部330および一括収納部370に収納されている硬貨についての新旧レベルに応じた枚数を収納部毎に示す情報である。制御部100の記憶部170は、情報生成部150によって生成される枚数情報410を記憶する。制御部100の表示制御部180は、記憶部170に記憶されている枚数情報410を表示部190に表示させる。
【0042】
制御部100の選定部140は、基準設定部142を備える。基準設定部142は、感知部280を通過した硬貨の収納先を選定する基準を、記憶部170に記憶されている枚数情報410に基づいて設定する。
【0043】
A−2.貨幣処理装置の動作
図3は、貨幣処理装置10の制御部100が実行する入金取引処理を示すフローチャートである。図3の入金取引処理は、利用者から入金取引を受け付ける処理である。本実施形態では、制御部100は、入金取引を開始する旨の利用者からの指示入力に基づいて、図3の入金取引処理を実行する。本実施形態では、金種別収納部330_1〜330_nの少なくとも1つと、一括収納部370とが満杯である場合、制御部100は、図3の入金取引処理を実行しない。本実施形態では、回収部380が満杯である場合にも、制御部100は、図3の入金取引処理を実行しない。
【0044】
図3の入金取引処理を開始した後、制御部100は、各部の初期化を行う(ステップS110)。本実施形態では、初期化(ステップS110)において、制御部100は、入出金部220、搬送機構240および感知部280の各部に、入金を受け付ける準備を指示する。
【0045】
初期化(ステップS110)を行った後、制御部100は、入出金部220、搬送機構240および感知部280の各部を制御することによって、入出金部220に投入された硬貨を1枚ずつ感知部280に搬送する(ステップS122)。感知部280は、入出金部220から搬送される硬貨の特徴を感知し、その硬貨の特徴を示す情報を制御部100に出力する。
【0046】
入出金部220から感知部280に硬貨を搬送した後(ステップS122)、制御部100は、金種判断部110を機能させることによって、感知部280を通過する硬貨の金種を判断する(ステップS124)。
【0047】
硬貨の金種を判断した後(ステップS124)、制御部100は、新旧判断部120を機能させることによって新旧判断処理(ステップS126)を行う。新旧判断処理(ステップS126)では、制御部100は、画像センサ282から出力される画像データを解析することによって、感知部280を通過する硬貨の新旧レベルを判断する。本実施形態では、制御部100は、硬貨に記された発行年を画像データから読み取り、その発行年を新旧レベルとして判断する。
【0048】
図4は、画像センサ282から出力される画像データ560の一例を示す説明図である。本実施形態では、制御部100は、硬貨に発行年が刻印されている領域562を金種毎に示す情報を予め記憶しており、その情報に基づいて画像データ560から発行年を読み取る。図4の例では、画像データ560は、500円硬貨を撮像した画像データである。図4の例では、制御部100は、画像データ560における領域562から発行年である「平成十四年」を読み取り、平成14年(西暦2002年)を新旧レベルとして判断する。
【0049】
図3の説明に戻り、新旧判断処理(ステップS126)を行った後、制御部100は、真偽判断部130を機能させることによって、感知部280を通過する硬貨の真偽を判断する(ステップS128)。
【0050】
硬貨の真偽を判断した後(ステップS128)、制御部100は、感知部280を通過する硬貨を受け入れ可能であるか否かを判断する(ステップS132)。本実施形態では、制御部100は、本物であると判断された硬貨を、受け入れ可能な硬貨として判断し、偽物であると判断された硬貨とを、受け入れできない硬貨として判断する。本実施形態では、制御部100は、本物であると判断された硬貨のうち、搬送機構240における搬送状体が不良である硬貨と、感知部280において感知された形状が不良である硬貨とを、受け入れできない硬貨として判断する。
【0051】
受け入れできない硬貨である場合(ステップS132:「NO」)、制御部100は、入出金部220および搬送機構240を制御することによって、受け入れできない硬貨を、入出金部220を通じて返却する。
【0052】
受け入れ可能な硬貨である場合(ステップS132:「YES」)、制御部100は、選定部140を機能させることによって、選定処理(ステップS140)を行う。選定処理(ステップS140)では、制御部100は、受け入れ可能な硬貨を収納すべき収納先を、金種別収納部330と一括収納部370と回収部380との中から新旧レベルに基づいて選定する。選定処理(ステップS140)の詳細については後述する。
【0053】
選定処理(ステップS140)を行った後、制御部100は、搬送機構240を制御することによって、選定処理(ステップS140)で選定された収納先へ硬貨を搬送する(ステップS172)。本実施形態では、制御部100は、搬送機構240を制御することによって、収納先が金種別収納部330である硬貨を金種別保留部310に保留し、収納先が一括収納部370である硬貨を一括保留部350に保留する。
【0054】
硬貨を収納先へ搬送した後(ステップS172)、制御部100は、情報生成部150を機能させることによって、情報生成処理(ステップS174)を行う。情報生成処理(ステップS174)では、制御部100は、選定処理(ステップS140)の結果を反映させた枚数情報410を生成し、その枚数情報410を記憶部170に上書きする。これによって、枚数情報410が更新される。
【0055】
枚数情報410を更新した後(ステップS174)、または、受け入れできない硬貨を返却した後(ステップS138)、制御部100は、入出金部220からの硬貨の繰り出しが完了したか否かを判断する(ステップS176)。入出金部220に硬貨が残っており、入出金部220からの硬貨の繰り出しが完了していない場合(ステップS176:「NO」)、制御部100は、入出金部220から感知部280へ硬貨を搬送する処理(ステップS122)からの各処理を繰り返し実行する。
【0056】
入出金部220からの硬貨の繰り出しが完了した場合(ステップS176:「YES」)、制御部100は、入金取引の確定を待って収納処理(ステップS180)を行う。収納処理(ステップS180)では、制御部100は、金種別保留部310に保留されている硬貨を金種別収納部330に収納し、一括保留部350に保留されている硬貨を一括収納部370に収納する。収納処理(ステップS180)を行った後、制御部100は、図3の入金取引処理を終了する。
【0057】
図5は、選定処理(ステップS140)の詳細を示すフローチャートである。選定処理(ステップS140)では、制御部100は、新旧判断処理(ステップS126)で判断した発行年(新旧レベル)が閾値Ta1よりも大きい発行年であるか否か、すなわち、発行年(新旧レベル)が閾値Ta1よりも新しいか否かを判断する(ステップS142)。本実施形態では、閾値Ta1は、制御部100に予め設定されており、制御部100は、年数の経過に応じて閾値Ta1を更新する。他の実施形態では、制御部100は、管理者から貨幣処理装置10に入力される情報に基づいて閾値Ta1を設定してもよい。他の実施形態では、閾値Ta1は、固定値であってもよい。
【0058】
新旧判断処理(ステップS126)で判断した発行年が閾値Ta1以下の発行年である場合、すなわち、発行年が閾値Ta1と同じまたは閾値Ta1よりも古い場合(ステップS142:「NO」)、制御部100は、感知部280を通過する硬貨の収納先として回収部380を選定する(ステップS166)。その後、制御部100は、選定処理(ステップS140)を終了する。
【0059】
新旧判断処理(ステップS126)で判断した発行年が閾値Ta1よりも大きい発行年である場合、すなわち、発行年が閾値Ta1よりも新しい場合(ステップS142:「YES」)、制御部100は、感知部280を通過する硬貨の金種に対応する金種別収納部330が満杯であるか否かを判断する(ステップS144)。
【0060】
金種別収納部330が満杯でない場合(ステップS144:「NO」)、制御部100は、感知部280を通過する硬貨の金種に対応する金種別保留部310が満杯であるか否かを判断する(ステップS145)。
【0061】
金種別収納部330または金種別保留部310が満杯である場合(ステップS144,S145:「YES」)、制御部100は、感知部280を通過する硬貨の収納先として一括収納部370を選定する(ステップS164)。その後、制御部100は、選定処理(ステップS140)を終了する。
【0062】
金種別収納部330および金種別保留部310が満杯でない場合(ステップS145:「NO」)、制御部100は、一括収納部370が満杯であるか否かを判断する(ステップS146)。
【0063】
一括収納部370が満杯でない場合(ステップS146:「NO」)、制御部100は、一括保留部350が満杯であるか否かを判断する(ステップS147)。
【0064】
一括保留部350または一括収納部370が満杯である場合(ステップS146,S147:「YES」)、制御部100は、感知部280を通過する硬貨の収納先として、その硬貨の金種に対応する金種別収納部330を選定する(ステップS162)。その後、制御部100は、選定処理(ステップS140)を終了する。
【0065】
一括保留部350および一括収納部370が満杯でない場合(ステップS147:「NO」)、制御部100は、感知部280を通過する硬貨の金種に対応する金種別収納部330に収納されている硬貨の枚数である金種別収納枚数が、閾値Tn1よりも小さいか否か、すなわち、金種別収納枚数が閾値Tn1よりも少ないか否かを判断する(ステップS148)。本実施形態では、閾値Tn1は、制御部100に予め設定された固定値である。他の実施形態では、制御部100は、管理者から貨幣処理装置10に入力される情報に基づいて閾値Tn1を設定してもよい。
【0066】
金種別収納枚数が閾値Tn1よりも少ない場合(ステップS148:「YES」)、制御部100は、感知部280を通過する硬貨の収納先として、その硬貨の金種に対応する金種別収納部330を選定する(ステップS162)。これによって、金種別収納部330に収納されている硬貨が少ない場合、硬貨の新旧レベルにかかわらず、金種別収納部330に対する硬貨の補充が優先されるため、出金に利用される硬貨の不足を抑制することができる。収納先を選定した後(ステップS162)、制御部100は、選定処理(ステップS140)を終了する。
【0067】
金種別収納枚数が閾値Tn1と同じまたは閾値Tn1よりも多い場合(ステップS148:「YES」)、制御部100は、基準設定部142を機能させることによって、基準設定処理(ステップS150)を行う。基準設定処理(ステップS150)では、制御部100は、感知部280を通過した硬貨の収納先を選定する基準である閾値Ta2を、記憶部170に記憶されている枚数情報410に基づいて設定する。他の実施形態では、閾値Ta2は、制御部100に予め設定された固定値であってもよい。
【0068】
本実施形態では、基準設定処理(ステップS150)において、制御部100は、金種別収納枚数が閾値Tn2よりも小さいか否か、すなわち、金種別収納数が閾値Tn2よりも少ないか否かを判断する(ステップS152)。閾値Tn2は、閾値Tn1よりも大きい値である。本実施形態では、閾値Tn2は、制御部100に予め設定された固定値である。他の実施形態では、制御部100は、管理者から貨幣処理装置10に入力される情報に基づいて閾値Tn2を設定してもよい。
【0069】
金種別収納数が閾値Tn2よりも少ない場合(ステップS152:「YES」)、制御部100は、閾値Ta2として値bを設定する。値bは、閾値Ta1よりも大きい値である。本実施形態では、制御部100は、枚数情報410を参照することによって、金種別収納部330における硬貨の枚数を新旧レベル順に並べた枚数ヒストグラムを作成し、枚数ヒストグラムの新しい側から数えて全体の90%の枚数となる新旧レベル(発行年)を値bとして算出する。他の実施形態では、制御部100は、一括収納部370の枚数ヒストグラムに基づいて値bを算出してもよい。他の実施形態では、値bは、制御部100に予め設定された固定値であってもよい。
【0070】
金種別収納数が閾値Tn2と同じまたは閾値Tn2よりも大きい場合(ステップS152:「NO」)、制御部100は、閾値Ta2として値cを設定する。値cは、閾値Ta1および値bよりも大きい値である。本実施形態では、制御部100は、枚数情報410を参照することによって、金種別収納部330における硬貨の枚数を新旧レベル順に並べた枚数ヒストグラムを作成し、枚数ヒストグラムの新しい側から数えて全体の70%の枚数となる新旧レベル(発行年)を値cとして算出する。他の実施形態では、制御部100は、一括収納部370の枚数ヒストグラムに基づいて値cを算出してもよい。他の実施形態では、値cは、制御部100に予め設定された固定値であってもよい。
【0071】
基準設定処理(ステップS150)を行った後、制御部100は、新旧判断処理(ステップS126)で判断した発行年(新旧レベル)が閾値Ta2よりも大きい発行年であるか否か、すなわち、発行年(新旧レベル)が閾値Ta2よりも新しいか否かを判断する(ステップS156)。
【0072】
新旧判断処理(ステップS126)で判断した発行年が閾値Ta2よりも大きい発行年である場合、すなわち、発行年が閾値Ta2よりも新しい場合(ステップS156:「YES」)、制御部100は、感知部280を通過する硬貨の収納先として、その硬貨の金種に対応する金種別収納部330を選定する(ステップS162)。その後、制御部100は、選定処理(ステップS140)を終了する。
【0073】
新旧判断処理(ステップS126)で判断した発行年が閾値Ta2以下の発行年である場合、すなわち、発行年が閾値Ta2と同じまたは閾値Ta2よりも古い場合(ステップS156:「NO」)、制御部100は、感知部280を通過する硬貨の収納先として一括収納部370を選定する(ステップS164)。その後、制御部100は、選定処理(ステップS140)を終了する。
【0074】
図6は、枚数情報410に基づく枚数ヒストグラムの一例を示すグラフである。図6の横軸は、硬貨の新旧レベル(発行年)を示し、図6の縦軸は、硬貨の枚数を示す。枚数ヒストグラムHa1は、枚数情報410に基づく複数の金種別収納部330_1〜300_n全体の枚数ヒストグラムである。枚数ヒストグラムHa2は、枚数情報410に基づく金種別収納部330の枚数ヒストグラムである。
【0075】
図7は、枚数情報410に基づく複数の金種別収納部330_1〜300_n全体の枚数ヒストグラムHa1の一例を示す表である。図8は、枚数情報410に基づく一括収納部370の枚数ヒストグラムHa2の一例を示す表である。
【0076】
図6図7および図8に示すように、比較的に新しい硬貨は、金種別収納部330に収納され、比較的に古い硬貨は、一括収納部370に収納される。本実施形態では、金種別収納枚数を閾値Tn1と比較する処理(ステップS148)と、基準設定処理(ステップS150)との影響によって、枚数ヒストグラムHa1と枚数ヒストグラムHa2との間で新旧レベルが重複する。
【0077】
本実施形態では、制御部100は、表示制御部180を機能させることによって、管理者からの指示入力に基づいて、図6の枚数ヒストグラムと、図7および図8の表とを、枚数情報410として表示部190に表示させる。
【0078】
A−3.効果
以上説明した第1実施形態によれば、比較的に新しい硬貨を金種別収納部330に収納し、比較的に古い硬貨を一括収納部370に収納することができる。したがって、比較的に新しい硬貨から優先的に出金に用いることができる。その結果、比較的に古い硬貨の経年劣化に起因する不具合を抑制することができる。また、比較的にきれいな硬貨を受け取りたいとの利用者の要望に応えることができる。
【0079】
また、硬貨の収納先を選定する基準である閾値Ta2を枚数情報410に基づいて設定するため(ステップS150)、金種別収納部330および一括収納部370に収納されている硬貨の新旧レベルに応じた分布を、枚数情報410に基づいて調整できる。
【0080】
A−4.変形例
A−4.1.第1変形例
図9は、第1変形例における貨幣処理装置11の詳細構成を示す説明図である。第1変形例の貨幣処理装置11は、選定部140に基準入力部144を備える点を除き、第1実施形態の貨幣処理装置10と同様である。第1変形例の基準入力部144は、収納先を選定する基準である閾値Ta2を、貨幣処理装置11の管理者から入力される情報に基づいて設定する。本実施形態では、基準入力部144は、タッチパネルである表示部190を通じて管理者から入力される情報に基づいて閾値Ta2を設定する。本実施形態では、貨幣処理装置11の管理者は、表示部190に表示される枚数情報410を確認しながら、閾値Ta2を設定するための情報を入力可能である。
【0081】
第1変形例によれば、第1実施形態と同様に、比較的に新しい硬貨を金種別収納部330に収納し、比較的に古い硬貨を一括収納部370に収納することができる。したがって、比較的に新しい硬貨から優先的に出金に用いることができる。また、金種別収納部330および一括収納部370に収納されている貨幣の新旧レベルに応じた分布を、管理者からの情報に基づいて調整できる。また、枚数情報410を表示部190に表示するため、閾値Ta2を設定する管理者の利便性を向上させることができる。
【0082】
A−4.2.第2変形例
一括収納部370から金種別収納部330へと硬貨を収納し直す場合、制御部100は、一括収納部370に収納されている硬貨を感知部280へと搬送し、選定処理(ステップS140)を行うことによって、収納先を選定してもよい。これによって、金種別収納部330に対する比較的に新しい硬貨の収納をいっそう推進することができる。
【0083】
A−4.3.第3変形例
運用カートリッジ390から金種別収納部330へと硬貨を収納する場合、制御部100は、運用カートリッジ390に収納されている硬貨を感知部280へと搬送し、選定処理(ステップS140)を行うことによって、収納先を選定してもよい。これによって、金種別収納部330に対する比較的に新しい硬貨の収納をいっそう推進することができる。
【0084】
B.第2実施形態
B−1.貨幣処理装置の構成
図10は、第2実施形態における貨幣処理装置60の構成を示す説明図である。貨幣処理装置60は、紙幣を処理する現金取扱装置である。貨幣処理装置60は、制御部600と、表示部690と、入出金部720と、搬送機構740と、感知部780と、主収納部831と、副収納部832と、主収納部840と、一時保留部850と、回収部880と、運用カートリッジ890とを備える。
【0085】
貨幣処理装置60の制御部600は、貨幣処理装置60の各部を制御する。制御部600は、新旧判断部620と、選定部640とを備える。
【0086】
制御部600の新旧判断部620は、感知部780からの情報に基づいて、複数の収納部(主収納部831および副収納部832)に収納すべき紙幣についての新旧の程度を示す新旧レベルを判断する。本実施形態では、新旧判断部620は、紙幣に記された記番号に基づいて新旧レベルを判断する。
【0087】
制御部600の選定部640は、新旧レベルが判断された紙幣を収納すべき収納先を、複数の収納部(主収納部831および副収納部832)の中から新旧レベルに基づいて選定する。本実施形態では、選定部640は、新旧レベルが基準値よりも新しい紙幣を収納すべき収納先として、副収納部832よりも優先的に主収納部831を選定する。
【0088】
本実施形態では、制御部600の機能は、コンピュータプログラムに基づいてCPUが動作することによってソフトウェア的に実現される。他の実施形態では、制御部600の機能は、制御部600が備える回路構成に基づいてハードウェア的に実現されてもよい。貨幣処理装置60の表示部690は、第1実施形態の表示部190と同様である。
【0089】
貨幣処理装置60の入出金部720は、入金される紙幣を貨幣処理装置60の外部から受け取るとともに、出金される紙幣を貨幣処理装置60の外部に対して提供する。本実施形態では、貨幣処理装置60は、入金時に受け取った紙幣のうち貨幣処理装置60で受け入れできない紙幣を、入出金部720を通じて返却する。
【0090】
貨幣処理装置60の搬送機構740は、貨幣処理装置60の内部で紙幣を搬送する。本実施形態では、搬送機構740は、入出金部720と、感知部780と、主収納部831と、副収納部832と、主収納部840と、回収部880と、運用カートリッジ890との間を接続し、各部の間における紙幣の移動を実現する。
【0091】
貨幣処理装置60の感知部780は、紙幣の特徴を感知する。感知部780によって感知された紙幣の特徴は、金種の判断と、新旧レベルの判断と、真偽の判断との各判断に利用される。本実施形態では、感知部780によって感知される紙幣は、入出金部720から入金される紙幣、運用カートリッジ890から主収納部831、副収納部832および主収納部840へと収納される紙幣である。
【0092】
貨幣処理装置60の主収納部831、副収納部832および主収納部840は、出金に用いられる紙幣を収納する収納部である。主収納部831および副収納部832は、第1金種の紙幣を収納し、主収納部840は、第1金種とは異なる第2金種の紙幣を収納する。本実施形態では、主収納部831および副収納部832は、第1金種の紙幣として一万円紙幣を収納し、主収納部840は、第2金種の紙幣として千円紙幣を収納する。
【0093】
本実施形態では、第1金種の紙幣である一万円紙幣に関し、新旧レベルが基準値よりも新しい紙幣は、副収納部832よりも優先的に主収納部831に収納される。本実施形態では、第1金種の紙幣である一万円紙幣に関し、主収納部831に収納される紙幣は、副収納部832に収納される紙幣よりも優先的に出金に用いられる。
【0094】
貨幣処理装置60の一時保留部850は、入金される紙幣を一時的に保留する収納部である。本実施形態では、一時保留部850に保留されている紙幣は、順次、金種および新旧レベルに応じた収納部(主収納部831、副収納部832および主収納部840)に収納される。
【0095】
貨幣処理装置60の回収部880は、出金に適さないと判断された紙幣を回収する収納部である。本実施形態では、回収部880は、新旧レベルが基準値よりも古いと判断された紙幣と、出金時に搬送機構740で不具合を発生させた紙幣と、貨幣処理装置60で収納できない紙幣(本実施形態では二千円紙幣および五千円紙幣)とを回収する。
【0096】
貨幣処理装置60の運用カートリッジ890は、紙幣を収納する収納部であり、貨幣処理装置60に対して着脱可能に構成されている。運用カートリッジ890は、貨幣処理装置60に対する紙幣の補充と、貨幣処理装置60からの紙幣の回収とに利用される。
【0097】
図11は、貨幣処理装置60における制御部600および感知部780の詳細構成を示す説明図である。本実施形態では、制御部600は、新旧判断部620および選定部640の他、金種判断部610と、真偽判断部630と、情報生成部650と、記憶部670と、表示制御部680とを備える。本実施形態では、感知部780は、画像センサ782と、光センサ784と、磁気センサ786とを備える。
【0098】
感知部780の画像センサ782は、感知部780を通過する紙幣を撮像する。本実施形態では、画像センサ782は、CCDイメージセンサである。他の実施形態では、画像センサ782は、CMOSイメージセンサであってもよい。
【0099】
感知部780の光センサ784は、感知部780を通過する紙幣の形状を感知する。感知部780の磁気センサ786は、感知部780を通過する紙幣の磁気特性を感知する。他の実施形態では、感知部780は、光センサ784と磁気センサ786との少なくとも1つを備えなくてもよく、他のセンサを備えてもよい。
【0100】
制御部600の金種判断部610は、感知部780からの情報に基づいて、感知部780を通過する紙幣の金種を判断する。本実施形態では、金種判断部610は、画像センサ782、光センサ784および磁気センサ786からの各出力データに基づいて、感知部780を通過する紙幣の金種を判断する。本実施形態では、金種判断部110は、千円紙幣と、二千円紙幣と、五千円紙幣と、一万円紙幣とを判断可能である。
【0101】
制御部600の新旧判断部620は、画像センサ782から出力される画像データを解析することによって、感知部780を通過する紙幣の新旧レベルを判断する。本実施形態では、新旧判断部620は、紙幣に記された記番号を画像データから読み取り、その記番号に対応する発行年を新旧レベルとして判断する。他の実施形態では、新旧判断部620は、紙幣の損傷を画像データから読み取り、その損傷の度合いを新旧レベルとして判断してもよい。
【0102】
制御部600の真偽判断部630は、感知部780からの情報に基づいて、感知部780を通過する紙幣が本物であるか偽物であるかを判断する。本実施形態では、真偽判断部630は、画像センサ782、光センサ784および磁気センサ786からの各出力データに基づいて、感知部780を通過する紙幣の真偽を判断する。
【0103】
制御部600の情報生成部650は、選定部640による収納先の選定に応じて枚数情報910を生成する。枚数情報910は、主収納部831および副収納部832に収納されている紙幣についての新旧レベルに応じた枚数を収納部毎に示す情報である。制御部600の記憶部670は、情報生成部650によって生成される枚数情報910を記憶する。制御部600の表示制御部680は、記憶部670に記憶されている枚数情報910を表示部690に表示させる。
【0104】
B−2.貨幣処理装置の動作
図12は、貨幣処理装置60の制御部600が実行する入金取引処理を示すフローチャートである。図12の入金取引処理は、利用者から入金取引を受け付ける処理である。本実施形態では、制御部600は、入金取引を開始する旨の利用者からの指示入力に基づいて、図12の入金取引処理を実行する。本実施形態では、主収納部831および副収納部832が満杯である場合、ならびに、主収納部840が満杯である場合、制御部600は、図12の入金取引処理を実行しない。本実施形態では、回収部880が満杯である場合にも、制御部600は、図12の入金取引処理を実行しない。
【0105】
図12の入金取引処理を開始した後、制御部600は、各部の初期化を行う(ステップS610)。本実施形態では、初期化(ステップS610)において、制御部600は、入出金部720、搬送機構740および感知部780の各部に、入金を受け付ける準備を指示する。
【0106】
初期化(ステップS610)を行った後、制御部600は、入出金部720、搬送機構740および感知部780の各部を制御することによって、入出金部720に投入された紙幣を1枚ずつ感知部780に搬送する(ステップS622)。感知部780は、入出金部720から搬送される紙幣の特徴を感知し、その紙幣の特徴を示す情報を制御部600に出力する。
【0107】
入出金部720から感知部780に紙幣を搬送した後(ステップS622)、制御部600は、金種判断部610を機能させることによって、感知部780を通過する紙幣の金種を判断する(ステップS624)。
【0108】
紙幣の金種を判断した後(ステップS624)、制御部600は、新旧判断部620を機能させることによって新旧判断処理(ステップS626)を行う。新旧判断処理(ステップS626)では、制御部600は、画像センサ782から出力される画像データを解析することによって、感知部780を通過する紙幣の新旧レベルを判断する。本実施形態では、制御部600は、紙幣に記された記番号を画像データから読み取り、その記番号に対応する発行年を新旧レベルとして判断する。
【0109】
図13は、画像センサ782から出力される画像データ590の一例を示す説明図である。本実施形態では、制御部600は、紙幣に記番号が印刷されている領域592を金種毎に示す情報を予め記憶しており、その情報に基づいて画像データ590から記番号を読み取る。図13の例では、画像データ590は、一万円紙幣を撮像した画像データである。図13の例では、制御部600は、画像データ590における領域592から記番号である「AB123456C」を読み取り、その記番号に対応する発行年を新旧レベルとして判断する。
【0110】
図12の説明に戻り、新旧判断処理(ステップS626)を行った後、制御部600は、真偽判断部630を機能させることによって、感知部780を通過する紙幣の真偽を判断する(ステップS628)。
【0111】
紙幣の真偽を判断した後(ステップS628)、制御部600は、感知部780を通過する紙幣を受け入れ可能であるか否かを判断する(ステップS632)。本実施形態では、制御部600は、本物であると判断された紙幣を、受け入れ可能な紙幣として判断し、偽物であると判断された紙幣を、受け入れできない紙幣として判断する。本実施形態では、制御部600は、本物であると判断された紙幣のうち、搬送機構740における搬送状体が不良である紙幣と、感知部780において感知された形状が不良である紙幣とを、受け入れできない紙幣として判断する。
【0112】
受け入れできない紙幣である場合(ステップS632:「NO」)、制御部600は、入出金部720および搬送機構740を制御することによって、受け入れできない紙幣を、入出金部720を通じて返却する。
【0113】
受け入れ可能な紙幣である場合(ステップS632:「YES」)、制御部600は、選定部640を機能させることによって、選定処理(ステップS640)を行う。選定処理(ステップS640)では、制御部600は、受け入れ可能な紙幣を収納すべき収納先を、主収納部831と副収納部832と主収納部840と回収部880との中から選定し、出金に利用可能な一万円紙幣に関しては、主収納部831と副収納部832との一方を収納先として新旧レベルに基づいて選定する。選定処理(ステップS640)の詳細については後述する。
【0114】
選定処理(ステップS640)を行った後、制御部600は、搬送機構740を制御することによって、一時保留部850へ紙幣を搬送する(ステップS672)。
【0115】
紙幣を一時保留部850へ搬送した後(ステップS672)、制御部600は、情報生成部650を機能させることによって、情報生成処理(ステップS674)を行う。情報生成処理(ステップS674)では、制御部600は、選定処理(ステップS640)の結果を反映させた枚数情報910を生成し、その枚数情報910を記憶部670に上書きすることによって、枚数情報910を更新する。
【0116】
枚数情報910を更新した後(ステップS674)、または、受け入れできない紙幣を返却した後(ステップS638)、制御部600は、入出金部720からの紙幣の繰り出しが完了したか否かを判断する(ステップS676)。入出金部720に紙幣が残っており、入出金部720からの紙幣の繰り出しが完了していない場合(ステップS676:「NO」)、制御部600は、入出金部720から感知部780へ紙幣を搬送する処理(ステップS622)からの各処理を繰り返し実行する。
【0117】
入出金部720からの紙幣の繰り出しが完了した場合(ステップS676:「YES」)、制御部600は、入金取引の確定を待って収納処理(ステップS680)を行う。収納処理(ステップS680)では、制御部600は、一時保留部850に保留されている紙幣を各収納先に収納する。収納処理(ステップS680)を行った後、制御部600は、図12の入金取引処理を終了する。
【0118】
図14は、選定処理(ステップS640)の詳細を示すフローチャートである。選定処理(ステップS640)では、制御部600は、受け入れ可能な紙幣のうち、貨幣処理装置60で出金用に収納可能な紙幣(本実施形態では一万円紙幣および千円紙幣)であるか否かを判断する(ステップS641)。
【0119】
出金用に収納可能な紙幣でない場合(ステップS641:「NO」)、制御部600は、感知部780を通過する紙幣の収納先として回収部880を選定する(ステップS666)。その後、制御部600は、選定処理(ステップS640)を終了する。
【0120】
出金用に収納可能な紙幣である場合(ステップS641:「YES」)、制御部600は、新旧判断処理(ステップS626)で判断した発行年(新旧レベル)が閾値Ta3よりも大きい発行年であるか否か、すなわち、発行年(新旧レベル)が閾値Ta3よりも新しいか否かを判断する(ステップS642)。本実施形態では、閾値Ta3は、制御部600に予め設定されており、制御部600は、年数の経過に応じて閾値Ta3を更新する。他の実施形態では、制御部600は、管理者から貨幣処理装置60に入力される情報に基づいて閾値Ta3を設定してもよい。
【0121】
新旧判断処理(ステップS626)で判断した発行年が閾値Ta3以下の発行年である場合、すなわち、発行年が閾値Ta3と同じまたは閾値Ta3よりも古い場合(ステップS642:「NO」)、制御部600は、感知部780を通過する紙幣の収納先として回収部880を選定する(ステップS666)。その後、制御部600は、選定処理(ステップS640)を終了する。
【0122】
新旧判断処理(ステップS626)で判断した発行年が閾値Ta3よりも大きい発行年である場合、すなわち、発行年が閾値Ta3よりも新しい場合(ステップS642:「YES」)、制御部600は、感知部780を通過する紙幣の金種に対応する収納部が複数であるか否かを判断する(ステップS643)。
【0123】
紙幣の金種に対応する収納部が複数でない場合(ステップS643:「NO」)、本実施形態では、紙幣の金種が千円紙幣である場合、制御部600は、感知部780を通過する紙幣の収納先として、その金種の主収納部(本実施形態では主収納部840)を選定する(ステップS662)。その後、制御部600は、選定処理(ステップS640)を終了する。
【0124】
紙幣の金種に対応する収納部が複数である場合(ステップS643:「YES」)、本実施形態では、紙幣の金種が一万円紙幣である場合、制御部600は、その金種の主収納部(本実施形態は主収納部831)が満杯であるか否かを判断する(ステップS644)。
【0125】
主収納部が満杯である場合(ステップS644:「YES」)、本実施形態では、主収納部831が満杯である場合、制御部600は、感知部780を通過する紙幣の収納先として、その金種の副収納部(本実施形態では副収納部832)を選定する(ステップS664)。その後、制御部600は、選定処理(ステップS640)を終了する。
【0126】
主収納部が満杯でない場合(ステップS644:「NO」)、本実施形態では、主収納部831が満杯でない場合、制御部600は、新旧判断処理(ステップS626)で判断した発行年(新旧レベル)が閾値Ta4よりも大きい発行年であるか否か、すなわち、発行年(新旧レベル)が閾値Ta4よりも新しいか否かを判断する(ステップS656)。本実施形態では、閾値Ta4は、制御部600に予め設定されており、制御部600は、年数の経過に応じて閾値Ta4を更新する。他の実施形態では、制御部600は、管理者から貨幣処理装置60に入力される情報に基づいて閾値Ta4を設定してもよい。
【0127】
新旧判断処理(ステップS626)で判断した発行年が閾値Ta4よりも大きい発行年である場合、すなわち、発行年が閾値Ta4よりも新しい場合(ステップS656:「YES」)、制御部600は、感知部780を通過する紙幣の収納先として、その金種の主収納部(本実施形態では主収納部831)を選定する(ステップS662)。その後、制御部600は、選定処理(ステップS640)を終了する。
【0128】
新旧判断処理(ステップS626)で判断した発行年が閾値Ta4以下の発行年である場合、すなわち、発行年が閾値Ta4と同じまたは閾値Ta4よりも古い場合(ステップS656:「NO」)、制御部600は、感知部780を通過する紙幣の収納先として、その金種の副収納部(本実施形態では副収納部832)を選定する(ステップS664)。その後、制御部600は、選定処理(ステップS640)を終了する。
【0129】
図15は、枚数情報910に基づく枚数ヒストグラムの一例を示すグラフである。図15の横軸は、紙幣の新旧レベル(発行年)を示し、図15の縦軸は、紙幣の枚数を示す。枚数ヒストグラムHb1は、枚数情報910に基づく主収納部831の枚数ヒストグラムである。枚数ヒストグラムHb2は、枚数情報910に基づく副収納部832の枚数ヒストグラムである。図15に示すように、比較的に新しい紙幣は、主収納部831に収納され、比較的に古い紙幣は、副収納部832に収納される。
【0130】
本実施形態では、制御部600は、表示制御部680を機能させることによって、管理者からの指示入力に基づいて、図15の枚数ヒストグラムを枚数情報410として表示部190に表示させる。
【0131】
B−3.効果
以上説明した第2実施形態によれば、比較的に新しい紙幣を主収納部831に収納し、比較的に古い紙幣を副収納部832に収納することができる。したがって、比較的に新しい紙幣から優先的に出金に用いることができる。その結果、比較的に古い紙幣の経年劣化に起因する不具合を抑制することができる。また、比較的にきれいな紙幣を受け取りたいとの利用者の要望に応えることができる。
【0132】
B−4.変形例
第2実施形態の制御部600は、紙幣の収納先を選定する基準である閾値Ta4を、第1実施形態と同様に、枚数情報910に基づいて設定してもよい。これによって、主収納部831および副収納部832に収納されている紙幣の新旧レベルに応じた分布を、枚数情報910に基づいて調整できる。
【0133】
C.他の実施形態:
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。例えば、第1実施形態の各変形例を第2実施形態に適用してもよい。
【符号の説明】
【0134】
10,11,60…貨幣処理装置
100…制御部
110…金種判断部
120…新旧判断部
130…真偽判断部
140…選定部
142…基準設定部
144…基準入力部
150…情報生成部
170…記憶部
180…表示制御部
190…表示部
220…入出金部
240…搬送機構
280…感知部
282…画像センサ
284…光センサ
286…磁気センサ
310,300_1〜300_n…金種別保留部
330,330_1〜330_n…金種別収納部
350…一括保留部
370…一括収納部
380…回収部
390…運用カートリッジ
410…枚数情報
560…画像データ
562…領域
590…画像データ
592…領域
600…制御部
610…金種判断部
620…新旧判断部
630…真偽判断部
640…選定部
650…情報生成部
670…記憶部
680…表示制御部
690…表示部
720…入出金部
740…搬送機構
780…感知部
782…画像センサ
784…光センサ
786…磁気センサ
831…主収納部
832…副収納部
840…主収納部
850…一時保留部
880…回収部
890…運用カートリッジ
910…枚数情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15