【実施例1】
【0024】
本実施例1は、ヨーロッパ共同体の通貨である2ユーロ、1ユーロ、50セント、20セント、10セント、5セント、2セント及び1セントの、8金種の硬貨を受け入れて金種毎に保留し、上記機器からの払い出し指示に基づいて所定金種の硬貨を所定数出金する硬貨入出金装置の出金のための硬貨搬送案内装置として使用した例である。
硬貨入出金装置100の概要を
図1を参照して説明する。
硬貨入出金装置100は、フレーム101内に配置された入金量規制装置102、分離送出装置104、金種判別装置106、入金搬送装置108、選別部110、硬貨保留部112及び出金装置114、及び、硬貨受取口116を含んでいる。
本願発明は、出金装置114における硬貨
搬送案内装置118に関する。
【0025】
まず入金量規制装置102を説明する。
入金量規制装置102は、投入口120にバラ
積み状態で投入された複数金種の硬貨Cを、単位時間当たり所定量を超えない範囲で次行程の分離送出装置104に送り出す機能を有する。
具体的には、入金平ベルト122、崩しローラ124及び入金平ベルト122を駆動する第1電気モータ126を含んでいる。
入金平ベルト122は、最大硬貨直径の約二倍の幅を有し、一対のローラ間に張設され、かつ、僅かに上り傾斜に設けられている。
【0026】
この入金平ベルト122は、第1電気モータ126により硬貨を前方に搬送する正転方向及び硬貨を戻す逆転方向に移動可能である。
崩しローラ124は、入金平ベルト122の中間部の上方に、入金平ベルト122との間に最薄硬貨の約3倍の隙間を空けて配置されている。
この崩しローラ124は、入金平ベルト122が搬送方向に進行する場合、その下面が入金平ベルト122の進行方向と逆方向に回転し、入金平ベルト122が戻り方向に移動した場合、静止状態になるよう構成されている。
これにより、入金平ベルト122上に最薄の硬貨が三枚以上重なって崩しローラ124に到達した場合、最上の硬貨は崩しローラ124によって戻り方向に移動されてズリ落とされ、多量の硬貨Cが一気に分離送出装置104に落下しないように規制している。
【0027】
投入口120の下方の入金平ベルト122の僅か上方をその光軸が横断するよう、入金検知装置である光電センサ128が配置される。
光電センサ128の光軸が遮断された場合、硬貨Cが投入されたとみなし、第1電気モータ126を駆動して入金平ベルト122を入金方向に移動させる。
また、後述の分離送出装置104のフルセンサ136がフル状態を検知した場合、第1電気モータ126は停止される。
したがって、分離送出装置104は、入金量規制装置102からフル量以上の硬貨を受けることが無く、安定して一つずつ区分けして送り出すことができる。
なお、光電センサ128は、入金平ベルト122の下側に設置した磁気センサによって代替えすることが出来る。
【0028】
次に分離送出装置104を説明する。
分離送出装置104は、入金量規制装置102からバラ
積み状態で受け入れた複数金種の硬貨Cを一つずつ分離して次行程へ送り出す機能を有する。
分離送出装置104は、入金量規制装置102の下方に配置され、回転板130、保留ボウル132、受取体134及びフルセンサ136を含んでいる。
【0029】
回転板130は、硬貨Cを一つずつ受け入れる受入部138を有し、所定の角度で傾斜配置され、かつ、所定の速度で回転される。
受入部138は、回転円板140の上面に等間隔に3つの凹部142を形成したY字形のプレート146を回転円板140と同心に固定してある。
なお、回転円板140の直径を大きくした場合、受入部138の数は4以上にすることが出来、回転円板140の直径を小さくした場合、受入部138の数は2以下にすることが出来る。
凹部142の一側にはピボット運動する押出体148が配置されている(例えば特許第4784806号参照)。
換言すれば、押出体148と凹部142によってほぼ半円形の受入部138が形成されている。
受入部138は、最小径硬貨が二つ並んで受入られることができず、かつ、最大径硬貨が一枚のみ受け入れられる大きさに設定されている。
押出体148は、通常は受入部138を形成するように凹部142の一側に寄った位置に静止状態に位置し、ピボット運動して所定位置に移動した場合、保持されていた硬貨を回転円板140の周方向へ送り出す。
この押出体148の移動は、回転円板140の回転動を利用して溝カムなどで行うことが好ましい。
【0030】
受入部138は、保留ボウル132に相対する下部においてバラ
積み状態で保留された硬貨Cを一つずつ受入れ、押出体148は回転板130の回転中心よりも上方の所定の位置において受入部138の硬貨Cを周方向へ押し出し、ナイフ形状の受取体134に受け渡す。
回転板130は図示しない電気モータによって減速機を介して所定の速度で回転される。
【0031】
フルセンサ136は、保留ボウル132内の硬貨量が所定量以上になった場合、フル信号を出力する機能を有し、例えば、透過形の光電センサである。
フルセンサ136がフル信号を出力した場合、第1電気モータ126が停止され、入金量規制装置102からの硬貨Cの供給が停止される。
フルセンサ136がフル信号を出力しなくなった場合、第1電気モータ126は再起動され、入金平ベルト122上の硬貨Cが保留ボウル132に供給される。
【0032】
次に、金種判別装置106が説明される。
金種判別装置106は、分離送出装置104から一つずつ送り出された硬貨Cの真偽及び金種を判別する機能を有する。
金種判別装置106は、硬貨の材質、厚み及び直径等に関する物理情報を磁気センサ150によって取得した検知データに基づいて硬貨Cの真偽及び金種を判別する機能を有する。
【0033】
金種判別装置106は、磁気センサ150、回転円板140の上面と同一平面内に配置されたスライドベース(図示せず)、硬貨Cを送るための回転体152及び基準ガイド154を含んでいる。
スライドベースは、回転体152によって押動される硬貨Cの一面を案内する機能を有する。
回転体152は、分離送出装置104から受け取った硬貨Cを移動させ、一つずつ硬貨受入部158を通過させる機能を有する。
さらに、回転体152は硬貨受入部158を通過した硬貨Cを入金搬送装置108へ受け渡す機能を有する。
回転体152は、スライドベースと平行であって、かつ、近接した平面内において回転可能であり、受入部138と同数の等間隔に配置された三本の押動レバ156によって硬貨受入部158を形成し、Y字形をしている。
基準ガイド154は、硬貨受入部158に相対して通過する硬貨Cを直線的に案内し、磁気センサ150に対する硬貨Cの位置を一定にする機能を有する。
【0034】
次に入金搬送装置108を説明する。
入金搬送装置108は、その真偽及び金種を判別された硬貨Cを選別部110に搬送する機能を有する。
入金搬送装置108は、同一平面内を一方向に移動する無端搬送体160及び無端搬送体160によって押動される硬貨Cの一面がスライドするスライドプレート162及び前記硬貨Cの周面を案内する一直線状のガイドレール164を含んでいる。
スライドプレート162の傾斜角は、硬貨入出金装置100全体を小型化するには、約45度が好ましい。
無端搬送体160は、本実施例において、所定の間隔で配置された第1スプロケット166と第2スプロケット168との間に張設されたチェーン170である。しかし、無端搬送体160はベルトであってもよい。
チェーン170は、扁平なランニングトラック形状に設置され、第1スプロケット166は金種判別装置106の回転体152の直ぐ側方に配置されている。
チェーン170は、金属製チェーンであることが耐久性及びコストの観点で好ましいが、樹脂製にすることができる。
チェーン170の側面に押動ピン172が所定の間隔で固定されている。
【0035】
押動ピン172は、押動レバ156の間隔に対応した間隔でチェーン170に複数取り付けられている。
第1スプロケット166は所定の速度で回転され、押動レバ156と押動ピン172は、押動レバ156によって押動ピン172の移送経路174に押動された硬貨Cは、直ぐに押動ピン172によって押動されるように設定される。移送経路174は、ガイドレール164によって案内されつつ押動ピン172によって押動される硬貨Cが移動する経路である。
【0036】
ガイドレール164は、押動ピン172によって押される硬貨Cが移送経路174を移動するよう、硬貨Cの下端周面を案内する機能を有する。
ガイドレール164は、ランニングトラック形の上側の直線状を呈するチェーン170に沿って、かつ、その僅か下方に配置される。
ガイドレール164は、前記スライドプレート162に対し、取扱硬貨の最大厚みよりも僅かに直交方向に突出している。
したがって、押動ピン172によって押される硬貨Cは、その下面がスライドプレート162によって案内され、かつ、下端周面はガイドレール164によって案内される。
本実施例1におけるガイドレール164は、後述するように、選別部も兼ねている。
【0037】
選別部110は、硬貨Cを金種毎に所定の
硬貨選別孔に落下させる機能を有している。
選別部110は、ガイドレール164の上側にガイドレール164に沿って配置された上側選別部180、及び、ガイドレール164に沿って下側に配置された下側選別部182を有している。
【0038】
上側選別部180は、入金搬送装置108の進行方向に向かって順に2セント
硬貨選別孔184、5セント
硬貨選別孔186、10セント
硬貨選別孔188、20セント
硬貨選別孔190及びオーバーフロー
硬貨選別孔192が配置されている。
下側選別部182は、入金搬送装置108の進行方向に向かって順にリジェクト
硬貨選別孔194、1セント
硬貨選別孔196、2ユーロ
硬貨選別孔198、50セント
硬貨選別孔200及び1ユーロ
硬貨選別孔202が配置されている。
このように、入金搬送装置108の上側選別部180と下側選別部182を配置した場合、入金搬送装置108の同一場所で上側と下側に硬貨Cを振り分けできるので、硬貨の搬送距離を短くでき、硬貨入出金装置100を小型化できる利点がある。
なお、各
硬貨選別孔に対する金種の配置は一例であるので、必要に応じ自由に配置できる。
【0039】
各硬貨選別孔184、186、188、190、
192、194、196、198、200及び202には、電気的アクチュエータによって作動されるゲート装置(図示せず)が配置されている。
本実施例1において、
硬貨選別孔194、196、198、200及び202のゲート装置は、ガイドレール164も兼ねている。
すなわち、ガイドレール164は、リジェクト
硬貨選別孔194、
1セント硬貨選別孔196、
2ユーロ硬貨選別孔198、
50セント硬貨選別孔200及び
1ユーロ硬貨選別孔202の間に固定される固定ガイド、及び、電動的に移動される可動ガイドによって構成され、通常1本の直線状を呈している。
そして、搬送される硬貨が
硬貨選別孔194、196、198、200及び202に落下される場合、可動ガイドを通常の位置から移動させることにより、移送される硬貨が可動ガイドに案内されないようにし、所定の
硬貨選別孔に落下するようにしてある(特許第4997374参照)。
【0040】
各硬貨選別孔184、186、188、190、
192、194、196、198、200及び202に相対するゲート装置は、タイミングセンサ(図示せず)からのタイミング信号、及び、硬
貨受入部158によって検知された硬貨情報によって判別された真偽及び金種に基づいて選択的に開閉される。
結果として、入金搬送装置108によって搬送される硬貨Cは、金種毎に所定の
硬貨選別孔に落下させられる。
【0041】
硬貨保留部112は、選別部110において金種毎に選別された硬貨Cを金種別に保留する機能を有する。
本実施例1において、硬貨保留部112は回転ディスクによって硬貨Cを一つずつ払い出す硬貨払出装置210を金種毎に選別部110の下方に上側選別部180及び下側選別部182に相対して横並びに並列した第1硬貨払出装置列212及び第2硬貨払出装置列214の二列に並べることにより構成されている。
なお、第1硬貨払出装置列212及び第2硬貨払出装置列214における「第1」及び「第2」は区別のために付与したものであり、権利解釈上特に意味を有するものではない。
各硬貨払出装置210は、符号210に金種を付して表示してある。
【0042】
第1硬貨払出装置列212及び第2硬貨払出装置列214を構成する硬貨払出装置210の一例が
図2〜4を参照して説明される。
硬貨払出装置210は、保留する硬貨Cを一つずつ区分けして払い出す機能及び払い出した硬貨Cの検知信号を出力する機能を有する。
硬貨払出装置210は、硬貨Cを保留するための筒状の保留ボウル216、保留ボウル216の底部に配置され、硬貨Cを一つずつ区分けするための回転ディスク218、回転ディスク218によって連れ回りされる硬貨Cがスライドする平板状のベース220、回転ディスク218を回転駆動するための第2電気モータ222、及び、硬貨Cを弾き出す投出装置224及び後述の硬貨検知装置226を含んでいる。
【0043】
まず、保留ボウル216を説明する。
保留ボウル216は、全体として縦向きの筒形をし、上端部はほぼ矩形であり、下端部は円形の底孔230であり、硬貨Cをばら積み状態で多数保留する機能を有する。
保留ボウル216は、後述のベースフレーム232の上面に着脱可能に取り付けられている。
【0044】
次に、回転ディスク218を説明する。
回転ディスク218は、保留ボウル216内の硬貨Cを攪拌すると共に硬貨Cを一つずつ区分けする機能を有する。
回転ディスク218は、保留ボウル216の下方のベースフレーム232の円形孔234内に傾斜状態で回転自在に配置されている。
回転ディスク218は、所定の間隔で複数配置された通孔236、上面中央部に錐形の攪拌部238及びその下面に硬貨Cの第1押出部240、及び、第2押動部242を有する。
【0045】
したがって、通孔236に落下した硬貨Cは、ベース220の上面244に保持され、かつ、硬貨払出時は
図4において反時計方向に正転する回転ディスク218裏面の第1押出部240によって押動され、円形孔234に周縁を案内されつつ回転ディスク218と共に反時計方向に回動される。
連れ回りされる硬貨Cは、ベース220の上面244の所定位置に突出しているピン246、248によって移動が阻止されると共に、回転ディスク218の周方向へ案内される。
【0046】
この位置の円形孔234は切欠かれ、払出開口250が形成されているので、押し出された硬貨Cは、円形孔234の外へ移動することができる。
ピン246、248は、スプリング(図示せず)によりベース220の下方から上面244に突出するよう付勢され、かつ、回転ディスク218の正転方向に相対する反対側の上端部に斜面252、254が形成されている。
【0047】
これにより、回転ディスク218が逆転した場合、硬貨Cによって斜面252、254が押されるため、ピン246、248はスプリング力に反して下方に押し下げられる。
よって、硬貨Cはピン246、248を乗り越えて回転ディスク218と共に時計方向に移動し、払出開口250から払い出されることが無い。
【0048】
また、回転ディスク218は、ベース220を貫通して回転自在に取り付けられた回転軸256の上端部にその軸線方向にスライド不能かつ回転軸256に対して回転不能に取り付けられる。
詳述すれば、回転ディスク218とベース220の上面244との間に低摩擦係数を有するシムを介在させることにより、それらの間の距離を調整し、硬貨Cの厚みに応じた回転ディスク218の位置に調整することができる。
なお、硬貨Cの厚みに対する回転ディスク218の位置調整装置は、前述のシムの他、同一機能を有する他の装置に変更することができる。
【0049】
次にベース220を説明する。
ベース220は、回転ディスク218によって連れ回りされる硬貨Cを平らな上面244で案内する機能を有する。
ベース220は矩形箱形のベースフレーム232の上面中央の円形孔234内に固定され、約30度から40度の範囲で払出開口250側が高くなるように傾斜している。
この傾斜角度は、より小さい方が保留ボウル216の硬貨保留量が大きいので好ましい。
しかし、傾斜角度が小さい場合、回転ディスク218の直径の硬貨払出装置210の大きさに対する影響度が増加するため、傾斜角度は約30度が最小であり、傾斜角度が大きい場合、硬貨の払出効率が落ちるため、約60度が最大である。
円形孔234と保留ボウル216の下端部の底孔230とは同一径に形成され、一体化されている。
ベースフレーム232は、箱形であり、内部の空間に第2電気モータ222等が配置されている。
【0050】
次に第2電気モータ222を説明する。
第2電気モータ222は、回転ディスク218を正転方向及び逆転方向に回転する機能及び回転ディスク218を停止する機能を有する。
第2電気モータ222は、ベースフレーム232の内部空間に配置されている。
第2電気モータ222は、電気モータ、エアモータ、オイルモータ等使用可能であるが、電気モータが小型化、制御のし易さから最も好ましい。
第2電気モータ222は、電源が直流又は交流であってもよく、更にモータ形式として誘導モータ等各種使用可能であるが、正逆転可能であり、小型化、メンテナンス性及び耐久性の観点からブラシレスDCモータが好ましい。
第2電気モータ222は、上位の制御装置(図示せず)からの指令により、硬貨Cを払い出すための正転、硬貨ジャムを解消するための逆転、及び、正又は逆転時に逆方向の回転力を一瞬作用させて急速停止する停止を行う。
第2電気モータ222の出力軸(図示せず)は、減速機構(図示せず)を介してベースフレーム232に垂立状態で回転自在に取り付けられた回転軸256を回転させる。
したがって、回転ディスク218は、第2電気モータ222の正転により正転方向へ回転され、逆転により逆転方向へ回転され、第2電気モータ222の停止により回転が停止される。
【0051】
次に投出装置224を説明する。
投出装置224は、硬貨Cを一つずつ所定方向へ投出する機能を有する。
本実施例1において投出装置224は、回転ディスク218により一つずつ送り出される硬貨Cを所定方向へ勢いを付けて投出する機能を有する。
投出装置224は、回転ディスク218に隣接し、払出開口250に相対して配置されている。
投出装置224は、一方がベース220に対し実質的に固定状態に配置された固定案内体258としての固定ローラ260とベース220に対し移動可能に配置され、かつ、固定案内体258側に近づくよう付勢された可動案内体262としての可動ローラ264により構成され、硬貨Cの直径部がそれらローラ間を通過した直後、可動ローラ264に付勢装置266によって付加されている付勢力により、硬貨Cは勢いよく弾き出される。
投出装置224の硬貨Cの投出方向は、
図4における矢印Xの弾出方向線方向
(以下、弾出方向線X方向と記載する。)を指向している。しかし、硬貨Cの投出方向は、弾出方向線X方向に限らず、硬貨Cと固定ローラ260及び可動ローラ264とによる挟み状況等によって様々に変化する。
【0052】
次に付勢装置266を説明する。
付勢装置266は、可動案内体262に所定の付勢力を付加する機能を有する。
付勢装置266は、先端に可動ローラ264が回転自在に取り付けられたレバー268が固定軸269にピボット運動可能に取り付けられ、レバー268が弦巻スプリング270によって固定ローラ260に近づくよう付勢されている。したがって、弦巻スプリング270が付勢装置266である。
レバー268は、可動ローラ264が回転ディスク218に近接した位置においてストッパ272によって係止され、待機位置SP(
図4に示す位置)に保持される。
【0053】
可動ローラ264が待機位置SP位置する場合、固定ローラ260と可動ローラ264の間隔は、払い出すべき硬貨Cの直径よりも小さく設定されている。
一方、ピン246、248に案内されつつ第1押出部240によって回転ディスク218の円周方向に押し出された硬貨Cは、一側を固定ローラ260に案内されるため、可動ローラ264を
図4において時計方向に回動させることから、レバー268は時計方向に回動される。
レバー268の時計方向の回動に伴って弦巻スプリング270の弾発力が蓄積される。
硬貨Cの直径部が固定ローラ260と可動ローラ264との間を通過した直後、弦巻スプリング270に蓄積された弾発力によってレバー268が反時計方向へ急速に回動されるため、硬貨Cは弾出方向線X方向へ弾かれ、払出開口250及び硬貨放出位置296並びに硬貨放出口311を通って払出空間274へ投出される。
詳細には、硬貨Cは傾斜したベース220に沿って弾き出されるため、斜め上向きに投出され、後述の検知通路282に向かって進行し、希にではあるが跳ね返り体276に衝突して跳ね返って後、払い出される。
【0054】
次に硬貨検知装置226を説明する。
硬貨検知装置226は、投出装置224によって投出された硬貨Cを検知し、硬貨信号CSを出力する機能を有する。
硬貨検知装置226は、回転ディスク218の回転及び投出装置224によって一つずつ投出された硬貨Cを非接触で検知し、硬貨信号CSを上位の制御装置、例えばPOSレジ
スタ(図示せず)及び自己の制御回路に出力する。自己の制御装置においては、上位の制御装置から指定された数の硬貨信号CSの数を検知した場合、硬貨の過払出を防止するため、第2電気モータ222への給電を停止する。に出力する。
硬貨検知装置226は、光電式、電磁気式、音波式等を使用することができるが、メンテナンスフリーの観点からゴミや埃等の影響を受けにくい電磁気式硬貨検知装置278を用いることが好ましい。
電磁気式硬貨検知装置278は、投出装置224の側方のベースフレーム232に後述のブラケット280を介して取り付けられている。
【0055】
次に電磁気式硬貨検知装置278を説明する。
電磁気式硬貨検知装置278は、棒状であって且つ下側にほぼ水平に配置された下側検知部と、当該下側検知部に対し所定の間隔で並設した上側検知部とを含み、下側検知部と上側検知部とが上下方向に延びる接続部によって接続され、上検知部と下検知部との間に横向き門形の検知通路282を有することにより全体的にチャンネル形に形成されている。
下側検知部の上面は、ベースフレーム232の上面と同一平面内に位置している。
検知通路282は、投出装置224によって投出された硬貨Cの進行経路を内包するように配置される。
硬貨Cの投出方向がずれた場合、硬貨Cは下側検知部の上面及び上側検知部の下面、及び、跳ね返り体276に案内されつつ進行する。
下側検知部及び上側検知部には、硬貨検知用のセンサ284が対向配置されている。
電磁気式硬貨検知装置278の場合、磁気コイルが配置され、光電式硬貨検知装置の場合、投受光器が配置される。
電磁気式硬貨検知装置278は、ベースフレーム232の側面に固定された金属製のブラケット280に固定されている。
【0056】
次に跳ね返り体276を説明する。
跳ね返り体276は、投出装置224で投出された硬貨Cが衝突し、跳ね返らせる機能を有する。
跳ね返り体276は、ブラケット280の一部を突出させることにより、矩形の平板状に形成されている。
跳ね返り体276は、電磁気式硬貨検知装置278の検知通路282に挿入され、接続部の側面に隣接配置してある。
換言すれば、跳ね返り体276は検知通路282の奥部に配置され、接続部の側面を全面的に覆っている。
なお、跳ね返り体276は、接続部の側面に固定し、電磁気式硬貨検知装置278と一体化することができる。
【0057】
上記した硬貨払出装置210は、第2電気モータ222が回転し、減速機構を介して回転ディスク218が
図4において反時計方向に回転される。
この回転によって、通孔236に落下した硬貨Cは第1押出部240によって押動されて連れ回りされる。
硬貨Cは連れ回りされる途上において、ピン246
、248によって回転ディスク218の円周方向へ案内され、投出装置224によって弾き出される。
このとき硬貨Cは、ベース220によって案内されるので、ベース220の傾斜に基づいて、斜め上方に向かって大凡弾出方向線X方向へ弾き出される。しかしながら、硬貨Cの弾出方向は、各種条件により、ばらつきが大きい。
【0058】
弾き出された硬貨Cの一部は、検知通路282に進行し、跳ね返り体276に鋭角の入射角で衝突する。
衝突した硬貨Cは、所定の方向、すなわち、入射角とほぼ同一角度で跳ね返される。
硬貨Cがセンサ284に相対した場合、電磁気式硬貨検知装置278は硬貨信号CSを出力する。
【0059】
第1硬貨払出装置列212と第2硬貨払出装置列214とに属する各硬貨払出装置210は、硬貨受取口116からの距離が同一になるように位置関係が設定してある。
本実施例1においては、
図5に示すように、5セント用硬貨払出装置210-5Cと1セント用の硬貨払出装置210-1Cは第1硬貨払出装置
対292-1を構成し、硬貨受取口116から同一の第1距離L1に設置されている。
さらに、硬貨
搬送案内装置118(払出空間274)を挟んで5セント用硬貨払出装置210-5Cと1セント用の硬貨払出装置210-1Cとが対向配置され、それらの払出開口250は、硬貨
搬送案内装置118、換言すれば、後述の搬送ベルト302の伸長方向線Lに沿ってずれている。伸長方向線Lとは、説明の便のために搬送ベルト302の伸長方向に沿って表した直線であって、例えば、搬送ベルト302の幅方向の中心線であってもよい。したがって、
図8に示すように、それら払出開口250に対応して第1案内壁306、第2案内壁308に形成された硬貨放出口311もずれて配置されるが、それらの一部はオーバーラップしている。各硬貨Cに対応する硬貨放出口311は、符号311に各金種を付加して表示してある。
同様に、2ユーロ用の硬貨払出装置210-2Eと10セント用の硬貨払出装置210-10Cとは一組の第2硬貨払出装置
対292-2を構成し、硬貨受取口116から同一の第2距離L2に設置されている。
20セント用硬貨払出装置210-20Cと50セント用の硬貨払出装置210-50Cとは一組の第3硬貨払出装置
対292-3を構成し、硬貨受取口116から同一の第3距離L3に設置されている。
さらに、1ユーロ用硬貨払出装置210-1EとオーバーフローボックスOFとは一組の第4
硬貨払出装置対292-4を構成し、硬貨受取口116から同一の第4距離L4に設置されている。このように硬貨払出装置210を硬貨受取口116から同一の距離において対向配置することで硬貨入出金装置100の大きさを小型にできる利点がある。
【0060】
次に出金装置114を説明する。
出金装置114は、金種毎の硬貨払出装置210から放出された硬貨Cを可及的速やかに硬貨受取口116へ搬送する機能を有する。
詳述すれば、出金装置114は硬貨払出装置210から弾き出された硬貨Cの挙動を早期に収束させて搬送ベルト302の上面に速やかに面接触させ、当該搬送ベルト302によって硬貨受取口116へ搬送する機能を有し、本実施例1においては、硬貨
搬送案内装置118、緩衝装置300、及び、搬送ベルト302を含んでいる。
【0061】
まず硬貨
搬送案内装置118を説明する。
硬貨
搬送案内装置118は、硬貨払出装置210から放出された硬貨Cを搬送ベルト302上に案内すると共に、搬送ベルト302によって搬送される硬貨Cを案内する機能を有し、本実施例1では一対の案内壁304たる第1案内壁306及び第2案内壁308によって構成されている。
詳述すれば、第1案内壁306及び第2案内壁308は、硬貨受取口116から遠い下部は下方ほど相対する第1案内壁306又は第2案内壁308に向かって順次近づくように傾斜すると共に、硬貨受取口116に近づくほど第1案内壁306又は第2案内壁308から遠ざかるように形成されている。
本実施例1において、第1案内壁306及び第2案内壁308は同一構造であって、左右対称に配置されているだけであるので、第1案内壁306を代表して説明し、同一符号における-1を-2に置き換えて説明する。
第1案内壁306は、搬送ベルト302に対して垂立する第1垂立案内壁310-1、及び、断面直角三角形であって、第1垂立案内壁310-1に沿って延在している第1倒し体312-1の第1斜面314-1によって形成されている。
【0062】
まず、第1垂立案内壁310-1を
図6及び
図7を参照して説明する。
第1垂立案内壁310-1は、横長矩形の平板であり、コストとの兼ね合いから亜鉛めっき鋼板を採用するのが好ましい。
第1垂立案内壁310-1は第1硬貨払出装置列212及び搬送ベルト302に沿って配置され、搬送ベルト302の上面に対し垂立するように配置される。垂立とは大凡垂立という程度であり、厳密な意味での垂立ではない。
第1垂立案内壁310-1の払出開口250の上面244に沿った延長上には、横長矩形の硬貨放出口311が形成されている。
換言すれば、第1垂立案内壁310-1と第2垂立案内壁310-2は所定の間隔で搬送ベルト302上において平行に垂立し、それらで囲んだ空間が搬送ベルト302の伸長方向に長い、箱形の払出空間274である。
したがって、硬貨放出口311を硬貨払出装置210によって弾き出された硬貨Cが通過して払出空間274に達する。
【0063】
次ぎに第1倒し体312-1を
図5〜
図7を参照して説明する。
第1倒し体312-1は、立った硬貨Cが第1案内壁306にもたれかかった場合、硬貨Cがその立った状態を継続出来ないようにする機能を有する。
換言すれば、第1倒し体312-1は、立った硬貨Cが第1案内壁306にもたれかかった場合、硬貨Cの重心の垂線が後述の搬送ベルト302に接している硬貨Cの幅内から大幅に外れさせられることにより、硬貨Cを積極的に倒す機能を有する。
【0064】
本実施例1において、第1倒し体312-1は長手に対する直角方向の断面が直角三角形状の棒状体であって、第1案内壁306の下端部沿って配置されると共に第1案内壁306に一体化されている。
具体的には、本実施例1の第1倒し体312-1は、
図6に示すように、細長板材をV形に成形してその第1解放部316-1を第1案内壁306に密着させた状態で第1案内壁306に固定されている。
さらに詳述すれば、第1倒し体312-1の断面形状は、第1下縁部318-1が第1案内壁306から第2案内壁308側に向かって横向き(本実施例においては水平に所定長延在した後、上方かつ第1案内壁306側に指向されて所定長延在する第1傾斜部320-1が接続されて横向きV字型を呈し、それら第1下縁部318-1と第1傾斜部320-1との先端間に第1解放部316-1が形成され、全体として三角錐状に形成され、先細側が硬貨受取口116側に配置されている。
第1傾斜部320-1が第1倒し体312-1の長手方向に延在することにより、第1傾斜面322-1が形成される。
【0065】
そして、第1傾斜面322-1の第1下端縁324-1は、直線度を考慮しても硬貨受取口116に近づくほど、第2案内壁308から遠ざかるように形成されている。さらに、本実施例1においては、第1傾斜面322-1の幅も硬貨受取口116に近づくほど狭まるように形成されている。
したがって、第1案内壁306は、上側に配置される第1垂立案内壁310-1と、下側に配置される第1傾斜面322-1とによって構成される。
換言すれば、第1案内壁306と第2案内壁308との上部326間は所定の間隔で平行に配置されて払出空間274を構成し、下部328間は下側ほど第1傾斜面322-1又は第2傾斜面322-2に近づくように設定されている。
さらに、第1傾斜面322-1の第1下端縁324-1と第2傾斜面322-2の第2下端縁324-2との間隔D1は、硬貨受取口116に近づくほど狭まるように末広がりに形成されている。
さらにまた、第1下縁部318-1は搬送ベルト302の上面402に対し最薄硬貨Cの厚み以下の間隔で配置され、硬貨Cがこの間隔に入り込まないようにしている。
したがって、搬送ベルト302は後述のように硬貨受取口116側へ向かって前下がりに傾斜しているので、第1倒し体312-1も同様に硬貨受取口116側へ向かって前下がりに傾斜している。
【0066】
さらにまた、硬貨受取口116から最も遠い硬貨払出装置210に相対する第1下端縁324-1と第2下端縁324-2との間隔D1は、当該硬貨払出装置210から放出される硬貨Cの直径を超え、2倍よりも僅かに小さい距離において設定される。間隔D1が硬貨Cの直径を超える場合、硬貨Cが水平に落下した状況であれば直ぐさま搬送ベルト302に面接触し、仮に2枚の硬貨Cが位置した場合であっても、搬送ベルト302上に2枚並列しないからである。本実施例1において、硬貨受取口116から最も遠い硬貨払出装置210は1ユーロ用であるので、1ユーロ硬貨の直径23.25ミリメートルよりも広く、かつ、2倍未満の範囲で設定される。
更に詳しく説明すれば、硬貨受取口116から最も遠い硬貨払出装置210に相対する第1下端縁324-1と第2下端縁324-2との間隔D1は、該位置において放出される硬貨Cの直径に同硬貨の厚みを加えた値以上から当該硬貨直径の2倍未満の範囲において設定することが好ましい。一枚の硬貨Cが搬送ベルト302に面接触し、1枚の硬貨Cが立った状況において、それらが密に挟まれないようにするためである。
なお、第4
硬貨払出装置対292-4の反硬貨受取口116側には硬貨受取口116に向かって前下がりをなす奧部案内板325により閉じられている。
【0067】
本実施例1においては第1案内壁306と第2案内壁308の両方にそれぞれ第1傾斜面322-1又は第2傾斜面322-2を設けたが、本発明においてはいずれか片側に第1傾斜面322-1又は第2傾斜面322-2を設けても良い。したがって、第1案内壁306又は第2案内壁308の何れか一方は、従来と同様に搬送ベルト302の上面に対し垂立状態に配置され、硬貨Cが立った状態を維持することがあるが、他方は第1傾斜面322-1又は第2傾斜面322-2に形成されることから、立っていること維持できずに直ぐさま倒される。したがって、単純計算においても、硬貨Cが立った状態が維持される確率を半減できるという利点がある。さらに、第1案内壁306と第2案内壁308との両方に第1傾斜面322-1、第2傾斜面322-2を設けた場合、それら傾斜面の分、装置の大きさが大きくなるが、当該第1傾斜面322-1、又は、第2傾斜面322-2の一方のみであればその分装置の大きさを小型にできる利点がある。したがって、硬貨受取口116から最も遠い第1案内壁306の第1下端縁324-1と第2案内壁308の第2下端縁324-2との間隔D1は、使用が想定される最大径硬貨の直径を超える値に設定することにより、間隔調整をすることなく世界中の硬貨に対し使用できる利点がある。
【0068】
次ぎに第1倒し体312-1及び第2倒し体312-2の作用を
図18、19をも参照しつつ説明する。
搬送ベルト302上に落下した硬貨Cは、当該搬送ベルト302の進行によって、硬貨受取口116へ向かって搬送される。この搬送の際、硬貨Cが立って第1案内壁306又は第2案内壁308にもたれかかった場合、第1案内壁306又は第2案内壁308の下端部には第1傾斜面322-1又は第2傾斜面322-2が配置されているので、硬貨Cは、当該第1傾斜面322-1又は第2傾斜面322-2にもたれ掛かることになる。硬貨Cが第1傾斜面322-1又は第2傾斜面322-2にもたれ掛かった場合、硬貨Cは大きく傾くことから、重心Gが当該硬貨Cの周面よりも大幅に横方向にずれ、立った状態を維持できずに横になり、第1傾斜面322-1又は第2傾斜面322-2上に横たわる。また、第1傾斜面322-1及び第2傾斜面322-2は傾斜していることから、搬送ベルト302の進行によって、硬貨Cが進行すると、第1傾斜面322-1又は第2傾斜面322-2に接触している部位は下方へずり落ち、最終的に硬貨Cはその面が搬送ベルト302に面接触する。換言すれば、硬貨Cは迅速に搬送ベルト302に面接触し、速やかに硬貨受取口116へ払い出される。
さらに、第1傾斜面322-1及び第2傾斜面322-2の第1下縁部318-1と第2下縁部318-2は硬貨受取口116に向かうほどそれらの間隔は広くなっている。したがって、それら第1下縁部318-1と第2下端縁318-2との間に硬貨Cが並列した場合であっても、搬送ベルト302の進行方向に対して下流側の方が幅広の末広がりであるため、それら硬貨Cがそれらの間に詰まってしまうことを防止できる。
【0069】
次ぎに緩衝装置300が
図6〜15を参照しつつ説明される。
緩衝装置300は、各硬貨払出装置210から放出された硬貨Cの運動エネルギを早期に消滅させて搬送ベルト302上に落下させると共に、硬貨Cをほぼ垂直下方に落下するよう案内する機能を有し、本実施例1においては硬貨
搬送案内装置118の第1案内壁306と第2案内壁308に挟まれた払出空間274において、複数の緩衝体288が所定の位置に取付体290に取付けられることにより構成されている。
緩衝体288は、取付体290、固定支持部材332、弾性部材334、及び、固定部材336とによって構成されている。
なお本実施例1において、緩衝体288は、隣接弾性区画壁287-1たる第1緩衝体288-1と、傾斜弾性区画壁287-2たる第2緩衝体288-2の2種類存在するが、殆どの構造は共通するので一括して説明する。
【0070】
まず取付体290を説明する。
取付体290は、複数の固定支持部材332が固定され、かつ、取付体
290自体は硬貨入出金装置100に着脱可能に取り付けられる機能を有し、本実施例1においては板金製の倒立樋状をしている。詳述すれば、平板状の天板338の両側端が下向きに折り曲げられて垂下する第1側壁340-1、第2側壁340-2によって、断面倒立凹型に構成されている。
そして、第1側壁340-1と第2側壁340-2の前端部と降誕部にはそれぞれ係止用の円柱ピン342、344が横向きに固定されている(第1側壁340-1側の円柱ピンは見えないので図示なし)。
これら円柱ピン342、344は、硬貨入出金装置100のフレーム101に固定状態に取り付けられた第1案内壁306、第2案内壁308の上端に形成された溝34
5-1、34
5-2(第2案内壁308側は表示なし)に挿入係止されて第1案内壁306、及び、第2案内壁308の上端部において固定状態に配置される。
【0071】
次ぎに固定支持部材332を説明する。
固定支持部材332は、上端を取付体290に固定され、下端部には弾性部材334が取る付けられる機能を有し、本実施例1においては樹脂製の矩形板状体であり、上端部には取付体290取り付けるための係止部346が形成され、下端部には弾性部材334の取付部348が形成されている。したがって、固定支持部材332は同様の機能を有する他の装置に変更することができる。
【0072】
次ぎに係止部346を説明する。
係止部346は取付体290に形成された取付孔350に挿入することで容易に取り付けることができ、かつ、容易に取り外せるようにする機能を有する。
したがって、係止部346は同様の機能を有する他の構造に変更することができる。
本実施例1においては、固定支持部材332の上端面から垂下方向に所定間隔で第1スリット352-1と第2スリット352-2が形成され、これにより、中央に位置する位置決め体354と、位置決め体354の両側に配置された第1係止鉤体356-1と第2係止鉤
体356-2が片持ち板状に垂立している。
【0073】
まず位置決め体354を説明する。
位置決め体354は、先端に天板338に形成された位置決め孔358と共同して固定支持部材332の位置を定める機能を有し、本実施例1においては、平面視矩形の位置決め突起360が上向きに突出している。
位置決め孔358は平明視矩形に形成され、位置決め突起360が密に挿入可能に形成されている。
位置決め突起360が位置決め孔358に挿入されている場合、位置決め孔358、換言すれば、固定支持部材332は軸線回りに回動されることができない。したがって、位置決め突起360は同様の機能を有すれば本実施例1に限定されず、星形や三角形に形成することができ、この場合、位置決め孔358も相対する星形や三角形に形成する必要がある。
位置決め突起360の下側には、挿入規正部361が形成されている。
【0074】
挿入規正部361は、位置決め体354(位置決め突起360)の所定量以上の位置決め孔358への進入を防止する機能を有し、本実施例1においては、位置決め突起360の下端周囲に形成したつば状の矩形リング状体である。したがって、位置決め突起360を位置決め孔358に挿入し、挿入規正部361が天板338の裏面に接触した場合、位置決め突起360はそれ以上挿入されることができない。この状態において、後述の第1係止縁368-1、第2係止縁368-2が天板338の上面側に位置し、結果として、第1係止鉤体356-1及び第2係止鉤体356-2との協働によって、固定支持部材332の取付体290からの脱落が防止される。
【0075】
位置決め体354の位置決め突起360の下方の側面中央にには縦長リブ状の第1補強リブ362-1、及び、第2補強リブ362-2が固定支持部材332の下部まで形成され、固定支持部材332がその厚み方向に実質的に変形しないように形成されている。
したがって、第1補強リブ362-1、第2補強リブ362-2は固定支持部材332の変形が生じない場合、形成する必要がない。
【0076】
次ぎに第1係止鉤体356-1及び第2係止鉤体356-2を説明する。
第1係止鉤体356-1及び第2係止鉤体356-2は、天板338に形成された取付孔350、具体的には、第1係止孔366-1又は第2係止孔366-2に係止することで固定支持部材332を天板338に固定する機能を有する。本実施例1において、第1係止鉤体356-1と第2係止鉤体356-2は、形状が同一であるが、鉤の向きが逆方向である点のみが異なるので、第1係止鉤体356-1を代表して説明する。
図13に示すように、第1係止鉤体356-1は縦長の板状体であって所定の弾力を有し、その厚み方向に湾曲することができると共に、先端に第1係止鉤364-1が形成されている。
第1係止鉤364-1が矩形の第1係止孔366-1に挿入された場合、天板338と平行に形成された第1係止縁368-1、第1係止縁368-1に対し約45度の角度をなす第1挿入補助斜面370-1を含んでいる。第1挿入補助斜面370-1の他端部は、第1係止鉤体356-1の垂立する背面と接続している。これにより、第1係止鉤364-1の上端部は直角三角形状に形成され、第1係止孔366-1に挿入する際、第1挿入補助斜面370-1が第1係止孔366-1周縁の天板338に接触することで当該第1挿入補助斜面370-1に対し、第1係止孔366-1の中央側に移動させる分力を作用させ、第1係止鉤体356-1をその厚み方向に挿入時変形をさせて、当該第1係止鉤364-1の先端部が第1係止孔366-1を通り抜けた結果、第1係止縁368-1が天板338の上面側に位置し、前記挿入時変形による弾発力によって復帰されて、第1係止縁368-1が天板338の上面に相対する位置に復帰することにより、第1係止鉤364-1、第2係止鉤364-2が天板338に係止される関係に設定されている。
そして、第1係止鉤364-1、第2係止鉤364-2の先端は、位置決め突起360の先端よりも上方に突出するよう形成されている。それら第1係止鉤364-1、第2係止鉤364-2の先端部を第1係止孔366-1、第2係止孔366-2に挿入し、案内させることで位置決め突起360を位置決め孔358に自動的に相対させるためである。
また、第1挿入補助斜面370-1及び第2挿入補助斜面370-2は、位置決め突起360の先端が位置決め孔358に進行した直後に、天板338に接触するように定めてある。第1挿入補助斜面370-1及び第2挿入補助斜面370-2に作用する反力によって固定支持部材332が回転しないようにするためである。
この構造によって、固定支持部材332を取付体290に取り付ける際の手間が省ける利点がある。
【0077】
固定支持部材332を取付体290に取り付ける場合、最初に第1係止鉤364-1の先端を第1係止孔366-1に、及び、第2係止鉤364-2の先端を第2係止孔366-2に挿入し、次いで少し押し込んで、位置決め突起360を位置決め孔358に挿入する。
位置決め突起360の先端が位置決め孔358に進行した後、第1挿入補助斜面370-1は、第1係止孔366-1の周縁の天板338に接触することから、第1挿入補助斜面370-1に第1係止鉤体356-1を第1係止孔366-1の中央側へ移動させるベクトルが発生し、当該ベクトルによって第1係止鉤体356-1が挿入時変形されて、第1係止縁368-1が第1係止孔366-1を通り抜けて天板338の上面側に位置し、次いで、第1係止鉤体356-1の挿入時変形の戻り動によって第1係止縁368-1が天板338の上面に相対する位置へ移動することによって第1係止鉤364-1が第1係止孔366-1に、従って、取付体290に係止される。
第2係止鉤体356-2もほぼ同時に同様に変形され、第2係止縁368-2が天板338の上面に相対する位置へ移動することによって第2係止鉤364-2が第2係止孔366-2、従って、取付体290に係止される。
これによって、固定支持部材332は取付体290に対し回動することも、取付体290から脱落することもできない状態に固定される。
固定支持部材332を取付体290から取り外す場合、第1挿入補助斜面370-1及び第2挿入補助斜面370-2をそれぞれ第1係止孔366-1、第2係止孔366-2の中央側に押動することにより第1係止縁3
68-1、及び、第2係止縁368-2を天板338上から第1係止孔366-1又は第2係止孔366-2内に移動させた上で引き抜くことにより取り外すことができる。
【0078】
次ぎに弾性部材334を説明する。
弾性部材334は、固定支持部材332の下端部に固定され、硬貨払出装置210の払出開口250から弾き出された硬貨Cが衝突し、その弾出方向への運動エネルギを早期に消滅させると共に、落下する硬貨Cを案内する機能を有し、本実施例1においては、ウレタン樹脂等の弾性を有する所定厚みの樹脂シート372により構成されている。したがって、弾性部材334は、同様の機能を有する材料に変更することが出来る。
本実施例1においては、樹脂シート372は2種類採用されるが、基本的部分での違いは無く、唯一、形状が異なっている。
すなわち、
図10に示す第1樹脂シート374は、取付部を含めた全体が矩形に形成され、上端部に取付のための円形の第1円形孔376-1、第2円形孔376-2が形成されている。
第2樹脂シート378は、全体として凸型に形成され、第1樹脂シート374の中間部分から下端部分を幅広にすることにより凸型に形成されている。幅広にした理由は、硬貨Cのガイド範囲を大きくするためである。
本実施例1において、第1樹脂シート374を備える構造が第1緩衝体288-1であり、第2樹脂シート378を備える構造が第2緩衝体288-2である。
【0079】
次ぎに固定部材336を説明する。
固定部材336は、弾性部材334を固定支持部材332に固定する機能を有し、本実施例1においては、矩形板状体380である。したがって、固定部材336は同様の機能を有する他の部材に変更することができる。
矩形板状体380には、縦長の同一形状のスリット状の第1長溝382-1と第2長溝382-2が所定の間隔で形成され、それら、第1長溝382-1と第2長溝382-2の中間には固定支持部材332の下端部から横向きに突出する第1取付ピン386-1、第2取付ピン386-2に嵌め合わせるための第1拡幅部384-1、第2拡幅部384-2が形成されている。
【0080】
第1取付ピン386-1、及び、第2取付ピン386-2は固定支持部材332と別体に形成されており、固定支持部材332の下端部形成された第1装着孔388-1、第2装着孔388-2を貫通させることにより一体化してある。
また、第1取付ピン386-1、及び、第2取付ピン386-2は同一形状であるので、第1取付ピン386-1を代表して説明する。
第1取付ピン386-1は、円盤状の第1ストッパ部390-1、第1ストッパ部390-1に隣接し、第1ストッパ部390-1よりも小径であって柱状の第1中径部392-1、第1中径部392-1に隣接し、第1中径部392-1よりも小径であって柱状の第1小径部394-1、
及び第1小径部394-1に隣接し、基底部が見かけ上第1小径部394-1よりも大径であって、中心部に割溝を有する三角錐状の第1先端部396-
1により形成されている。
第1取付ピン386-1は、第1中径部392-1が第1装着孔388-1に密に挿入され、第1ストッパ部390-1によって更なる進行が阻止される。したがって、第1小径部394-1及び第1先端部396-1が固定支持部材332の前面側に突出する。
【0081】
弾性部材334を固定支持部材332に取り付ける場合、まず、弾性部材334に形成された第1円形孔376-1、第2円形孔376-2にそれぞれ第1取付ピン386-1、第2取付ピン386-2を引き通し、第1小径部394-1、第2小径部394-2に嵌合する。この嵌合の際、弾性部材334が弾性を有すること、及び、第1先端部396-1、第2先端部396-2が割溝を有することにより縮径することから、見かけ上第1小径部394-1、第2小径部394-2よりも大径の部分を有する第1先端部396-1、第2先端部396-2は第1円形孔376-1、第2円形孔376-2を貫通できる。
次ぎに板状体380の第1長溝382-1と第2長溝382-2の下端部開口を第1取付ピン386-1、第2取付ピン386-2の第1小径部394-1、第2小径部394-2に宛って押し下げる。これにより、第1取付ピン386-1、及び、第2取付ピン386-2が相対的に第1拡幅部384-1、第2拡幅部384-2に進んだところで停止し、固定される。
【0082】
次ぎに第1緩衝体288-1と第2緩衝体288-2との払出空間274における配置を
図5を参照して説明する。
第1緩衝体288-1は、第1硬貨払出装置
対292-1に隣接する
2セント用硬貨払出装置210-2Cとの境、第1硬貨払出装置
対292-1と第2硬貨払出装置
対292-2との境、第2硬貨払出装置
対292-2と第3硬貨払出装置
対292-3との境、及び、第3硬貨払出装置
対292-3の反第2硬貨払出装置
対292-2側の区画用として用いられ、第1弾性部材334-1がそれら第1硬貨払出装置
対292-1〜第3硬貨払出装置
対292-3の間において、搬送ベルト302の伸長方向線Lに対し直角をなすように配置されている。
詳述すれば、第1緩衝体288-1は、第1硬貨払出装置
対292-1の硬貨受取口116側、第1硬貨払出装置
対292-1と第2硬貨払出装置
対292-2の間、第2硬貨払出装置
対292-2と第3硬貨払出装置
対292-3との間、及び、第3硬貨払出装置
対292-3の反硬貨受取口116側に配置されている。そして、それら第1緩衝体288-1は、平面視第1案内壁306と第2案内壁308に対し直角をなすように配置されている。
さらに、本実施例1においては、2セント用の硬貨払出装置210-2Cの反硬貨受取口116側にも配置されている。2セント用の硬貨払出装置210-2Cから放出された硬貨Cが円滑に搬送ベルト302上に落下するように案内するためである。
第1緩衝体288-1が第1案内壁306と第2案内壁308との間に配置された場合、弾性部材334の下端部が、硬貨放出位置296における水平線の位置において真横に位置すると共に、弾性部材334と第1案内壁306と第2案内壁308との隙間は最小径硬貨の直径よりも小さく設定されている。放出された硬貨Cが隣接する金種と接触しないようにするためである。
図6に示すように、硬貨放出位置296は、払出開口250に相対するベース220の上端部であり、第1硬貨払出装置
対292-1を構成する左右の硬貨放出位置296を結んだ直線LCは、水平方向から見た場合、弾性部材334の下端部と重なる位置関係になる。
弾性部材334の下端と後述の搬送ベルト302との隙間は搬送ベルト302の上面402の進行方向において上流側において放出される硬貨Cの直径よりも僅かに小さくなるように設定されている。上流側で放出されて立っている硬貨Cを早期に寝かせて搬送ベルト302に面接触させ、迅速に硬貨受取口116へ送り出すためである。なお、弾性部材334の下端と後述の搬送ベルト302との隙間は、立ちやすい硬貨Cの直径よりも僅かに小さく一律に設定してもよい。肉厚硬貨は、搬送ベルト上に立ちやすいからである。例えば、肉厚の硬貨の直径、本実施例1においては、2ミリ
メートル以上の厚みを有する硬貨のうち最小径の20セント硬貨の直径22.25ミリ
メートルよりも僅かに小さい20ミリ
メートルに設定してある。
しかし、弾性部材334の下端と搬送ベルト302の上面402との隙間は、その上流側において払い出される硬貨Cの直径よりも大きく設定することもできる。後述のように、搬送ベルト302が前下がりに傾斜配置される場合、硬貨Cは自ら硬貨受取口116側へ転動するので早期に搬送ベルト302に面接触させる必要度が低下するからである。したがって、硬貨払出装置210に対する金種の割り当てが各種想定される場合、弾性部材334の下端と搬送ベルト302の上面402との隙間は対象硬貨における最大直径よりも僅かに大きく設定することができる。
【0083】
次ぎに第2緩衝体288-2の配置を説明する。
第2緩衝体288-2は、第1緩衝体288-1の間において、搬送ベルト302の伸長方向線Lに対し斜め、好ましくは45度をなすように傾斜配置される。さらには、各硬貨払出装置210からの払出開口250の中心線CLに対し第1緩衝体288-1の第1弾性部材334-1は平行をなし、第2緩衝体288-2の第2弾性部材334-2は45度をなすように配置されている。
第2緩衝体288-2が払出空間274に配置された場合、第2弾性部材334-2の中央部が、硬貨放出位置296における水平線の位置において真横に位置すると共に、第2弾性部材334-2と第1案内壁306と第2案内壁308との隙間は最小径硬貨の直径よりも小さく設定されている。第2弾性部材334-2の下端と搬送ベルト302との隙間は第1弾性部材334-1と同様に20ミリ
メートルに設定されている。
払出開口250の中心線CLは説明の便宜のため表示したもので、
図4に示すように、固定ローラ260と可動ローラ264との中間点MPからベース220の側縁に平行をなす直線である。
第1硬貨払出装置
対292-1から第3硬貨払出装置
対292-3において、相対する硬貨払出装置の払出開口250の中心線CLは搬送ベルト302の伸長方向線Lに対し上流側と下流側に位置するようにずらされると共に、中心線CLは第2緩衝体288-2の弾性部材334に対し45度をなすように配置される。したがって、中心線CLは第2緩衝体288-2の弾性部材334の中心部からずれた位置に指向される。
換言すれば、払出開口250(硬貨放出口311)の前方には、平面視、第1緩衝体288-1と第2緩衝体288-2との第1弾性部材334-1と第2弾性部材334-2によって先すぼまりの収束空間400が形成される。さらに換言すれば、収束空間400は搬送ベルト302の真上において当該搬送ベルト302に対し大凡垂立する三角柱状をしている。金種毎の収束空間400は同一符号400に金種を付して表示する。
【0084】
次ぎに第1緩衝体288-1と第2緩衝体288-2、換言すれば第1弾性部材334-1と第2弾性部材334-2との作用を
図15をも参照して説明する。
第1緩衝体288-1と第2緩衝体288-2は、投出装置224によって斜め上向きに弾き出され、硬貨払出装置210の
払出開口2
50、硬貨放出口311を通って収束空間400に進行した硬貨Cは、中心線CLに沿って進行した場合は第2弾性部材334-2に衝突し、弾出方向線X方向に進行した場合は、最初に第1弾性部材334-1に衝突する。
第1緩衝体288-1の第1弾性部材334-1又は第2緩衝体288-2の第2弾性部材334-2への硬貨の衝突によって、第1弾性部材334-1又は第2弾性部材334-2は、その弾性によって変形することから硬貨Cの弾出方向を指向する運動エネルギが当該変形によって消滅させられられ、真下へ落下する。
1回目の衝突によって当該弾出方向の運動エネルギが消滅されない場合、跳ね返った硬貨Cは相対する第1弾性部材334-1又は第2弾性部材334-2に衝突し、弾出方向の運動エネルギがさらに消滅させられて、真下に落下する。
跳ね返り硬貨Cが第1弾性部材334-1又は第2弾性部材334-2に衝突する場合、収束空間400は先すぼまり形状であるため、1回目よりも短時間で直ぐさま第1弾性部材334-1又は第2弾性部材334-2に衝突して運動エネルギが消滅させられ、結果として極めて短時間で搬送ベルト302上へ落下するので、迅速な硬貨Cの払出に資する利点がある。また、投出装置224によって弾き出された硬貨Cは弾性材よりなる第1弾性部材334-1又は第2弾性部材334-2に衝突することら、金属に衝突する場合に比して衝突音が低く、騒音発生が少ない利点がある。
【0085】
次ぎに搬送ベルト302を主に
図8及び
図9を参照しつつ説明する。
搬送ベルト302は、その上面402に落下した硬貨Cを硬貨受取口116に搬送する機能を有し、本実施例1において搬送ベルト302は、平ベルト404であって、一対のローラ406、408間に張設され、その上面402は硬貨受取口116側に向かって所定角度で前下がりに配置されている。この傾斜角度は、平ベルト404が静止している状態において、立った硬貨Cが硬貨受取口116側へ転動する程度の角度であることが好ましい。搬送ベルト302の進行と硬貨Cの転動によって、硬貨Cを迅速に硬貨受取口116へ搬送するためである。この転動の判断方法としては、静止した状態の搬送ベルト302上に、硬貨Cを指先で挟んで黙視において垂立状態に静止させた後、当該つまみを開放した場合において、硬貨Cが硬貨受取口116側に転がり出せば本傾斜角度要件を満たす。
一方のローラ、本実施例1ではローラ406が第
3電気モータ410により上面402が硬貨受取口116に向かって移動するよう選択的に駆動される。
平ベルト404によって搬送された硬貨Cは、椀状の硬貨受取口116中に送り込まれる。
第
3電気モータ410は、硬貨払出装置210に硬貨払出指令が出力されると同時に回転を開始し、搬送に十分な時間経過後に回転を停止する。
各硬貨払出装置210から放出された硬貨Cは、前述のように各収束空間400において落下し、その真下の搬送ベルト302の上面402に落下する。搬送ベルト302上に落下した硬貨Cは、前述のように搬送ベルト302に面接触して当該搬送ベルト302の進行によって硬貨受取口116へ向かって搬送され、その端部から硬貨受取口116に落下し、保留される。
【0086】
次に本実施例1の作用を説明する。
まず入金作用について説明する。
複数金種の硬貨を投入口120に投入した場合、投入硬貨Cは入金平ベルト122上に落下する。
これにより、光電センサ128の光軸が投入硬貨Cにより遮られるため、入金検知信号を出力し、第1電気モータ126が入金検知信号に基づいて回転される。
したがって、入金平ベルト122の上面が分離送出装置104側へ移動するので、硬貨Cは入金平ベルト122の端部から落下して分離送出装置104の保留ボウル132内に落下する。
【0087】
硬貨Cが重なって搬送される場合、崩しローラ124が逆転しているのでローラ124の下面が入金平ベルト122の上面と逆方向に移動し、積み上がっている硬貨Cは、崩しローラ124によって進行を阻止され、落下させられる。
落下させられた硬貨Cは、入金平ベルト122の進行によって再度、分離送出装置104に向かって前述同様に搬送される。
光電センサ128が硬貨Cを検知しなくなった場合、第1電気モータ126は停止され、入金平ベルト122の駆動が停止される。
【0088】
さらに、光電センサ128の入金検知信号により図示しないモータが回転され、回転円板140が
図1において反時計方向へ回転される。
また、回転体152が回転円板140に伝達比1対1にて連動して
図1において時計方向に回転される。
さらに、第1スプロケット166が
図1において反時計方向に回転され、チェーン170が反時計方向回りに循環される。
【0089】
したがって、保留ボウル132内に落下した硬貨Cは、プレート146及び押出体148によって攪拌されて様々に姿勢を変えられ、その姿勢変化の過程において、一枚の硬貨Cのみが各受入部138に受け入れられる。
すなわち、硬貨Cの一面が回転円板140に面接触した状態で受入部138に位置し、プレート146の一部側面により押されて回転円板140の回転と共に移動する。
【0090】
受入部138が最上位置を通過した直後に押出体148が反時計方向にピボット運動し、回転円板140の周方向へ移動する。
これにより、押出体148によって受入部138に位置する硬貨Cは回転円板140の周方向へ押し出され、受取体134によってガイドされた直後に、回転円板140に連動して回転する回転体152の押動レバ156によって押されるようになる。
【0091】
保留ボウル132に落下した硬貨Cが所定量以上の場合、フルセンサ136からフル信号が出力され、第1電気モータ126は光電センサ128が投入硬貨を検知していても停止され、分離送出装置104への硬貨Cの過投入を防止する。
回転板130の回転によって保留ボウル132内の硬貨Cが送り出され、フルセンサ136からフル信号が出力されなくなり、かつ、光電センサ128が入金信号を出力している場合、第1電気モータ126は再起動され、入金平ベルト122上の硬貨Cを分離送出装置104へ供給する。
【0092】
押動レバ156によって押される硬貨Cは、スライドベースにその一面が接触しつつ移動通路を移動する。
このとき硬貨Cは自身の遠心力により、硬貨周面が基準ガイド154に押し付けられつつ移動する。
この移動過程において、まず、硬貨Cは磁気センサ150に相対し、直径、厚み、及び、材質に関する情報が取得される。
そして、この出力を基準値と比較することにより、各硬貨の真偽及び金種が判別される。
【0093】
磁気センサ150と相対した後、硬貨Cは押動レバ156によって入金搬送装置108の押動ピン172の移動通路に押し出される。
硬貨Cは、移動通路に押し出された直後にチェーン170によって移動される押動ピン172によって押動されるようになる。
これにより、硬貨Cは周面がガイドレール164にガイドされつつスライドプレート162に一面を面接触しつつ移動通路を移送される。
【0094】
硬貨Cが移動通路を移送される途中において、記憶された金種等に基づいて、かつ、図示しないタイミングセンサからのタイミング信号に基づいて各
硬貨選別孔に対応するゲート装置が作動され、所定金種の硬貨Cが所定の
硬貨選別孔に落下される。
【0095】
具体的には、偽貨の場合、リジェクト
硬貨選別孔194のゲートを所定時間開き、ガイドレール164に沿って移動される偽貨はリジェクト
硬貨選別孔194に落下し、図示しないシュートに案内されて搬送ベルト302上に落下し、光電センサ128の入金信号によって起動されて搬送運動している当該搬送ベルト302によって硬貨受取口116に戻される。
【0096】
判別された金種が2セント硬貨2Cの場合、
2セント硬貨選別孔184のゲートがタイミング信号に基づいて所定時間開かれ、ガイドレール164に案内されつつ移動される2セント硬貨2Cは
2セント硬貨選別孔184に落下した後、図示しないシュートにより案内されて2セント用の硬貨払出装置210-2Cに保留される。
【0097】
判別された金種が5セント硬貨5Cの場合、
5セント硬貨選別孔186のゲートがタイミングセンサから出力される位置信号に基づいて所定時間開かれ、ガイドレール164に案内されつつ移動される5セント硬貨5Cは
5セント硬貨選別孔186に落下した後、図示しないシュートにより案内されて5セント用硬貨払出210-5Cに保留される。
【0098】
判別された金種が1セント硬貨1Cの場合、
1セント硬貨選別孔196のゲートがタイミングセンサから出力される信号に基づいて所定時間開かれる。
よって、ガイドレール164に案内されつつ移動される1セント硬貨1Cは
1セント硬貨選別孔196に落下した後、図示しないシュートにより案内されて1セント用の硬貨払出装置210-1Cに保留される。
【0099】
判別された金種が10セント硬貨10Cの場合、
10セント硬貨選別孔188のゲートがタイミングセンサから出力される位置信号に基づいて所定時間開かれ、ガイドレール164に案内されつつ移動される10セント硬貨10Cは
10セント硬貨選別孔188に落下した後、図示しないシュートにより案内されて10セント用の硬貨払出装置210-10Cに保留される。
【0100】
判別された金種が2ユーロ硬貨2Eの場合、
2ユーロ硬貨選別孔198のゲートが第3タイミングセンサから出力される位置信号に基づいて所定時間開かれる。
よって、ガイドレール164に案内されつつ移動される2ユーロ硬貨2Eは
2ユーロ硬貨選別孔198に落下した後、図示しないシュートにより案内されて2ユーロ用の硬貨払出装置210-2Eに保留される。
【0101】
判別された金種が20セント硬貨20Cの場合、20セント
硬貨選別孔190のゲートがタイミングセンサから出力される位置信号に基づいて所定時間開かれ、ガイドレール164に案内されつつ移動される20セント硬貨20Cは20セント選別孔190に落下した後、図示しないシュートにより案内されて20セント用硬貨払出装置210-20Cに保留される。
【0102】
判別された金種が50セント硬貨50Cの場合、50セント
硬貨選別孔200のゲートがタイミングセンサから出力される位置信号に基づいて所定時間開かれる、ガイドレール164に案内されつつ移動される50セント硬貨50Cは50セント
硬貨選別孔200に落下した後、図示しないシュートにより案内されて50セント用の硬貨払出装置210-50Cに保留される。
【0103】
判別された金種が1ユーロ硬貨
1Eの場合、1ユーロ
硬貨選別孔202のゲートがタイミングセンサから出力される位置信号に基づいて所定時間開かれ、ガイドレール164に案内されつつ移動される1ユーロ硬貨1Eは1ユーロ
硬貨選別孔202に落下した後、図示しないシュートにより案内されて1ユーロ用硬貨払出装置210-1Eに保留される。
【0104】
いずれかの硬貨払出装置210の硬貨貯留量が所定値をオーバした場合、換言すれば、オーバーフロー状態の場合、対応する
硬貨選別孔のゲートは開かれない。
換言すれば、何れの
硬貨選別孔に
も落下しないので、オーバーフロー
硬貨選別孔192に落下し、オーバーフロー用の硬貨保留装置OFに保留される。
【0105】
次ぎに出金時の作用について説明する。
なお、本実施例1において、全ての硬貨払出装置210から硬貨Cを1つずつ払い出し、説明の便宜上、全て同時払い出される場合の例を説明する。
本実施例1において、硬貨Cを硬貨受取口116に払い出す場合、上位装置、例えば、POSレジスタから硬貨払出指令が出力される。
この払出指令によって、各硬貨払出装置210の回転ディスク218が回転され、さらに、第
3電気モータ410が駆動されて搬送ベルト302の上面402が硬貨受取口116へ向かって進行する。
回転ディスク218の回転によって硬貨Cが固定ローラ260と可動ローラ264との間に押し込まれた後、硬貨Cは付勢装置266の弾発力によって原則的には弾出方向線X方向に投出され、最初に第1弾性部材334-1に衝突する。
しかし、硬貨Cの投出方向は、種々の条件によって変化し、中心線CLの延在方向に弾き出され、最初に第2弾性部材334-2に衝突する場合もある。
【0106】
弾き出された硬貨Cが第2弾性部材334-2又は第1弾性部材334-1に衝突した場合、それら第2弾性部材334-2及び第1弾性部材334-1は、弾性変形し、硬貨Cの弾出方向の運動エネルギを減少させる。1回目の衝突で弾出方向の運動エネルギが大凡消滅させられた硬貨Cはほぼ真下に落下する。1回目の衝突によって弾出方向の運動エネルギが大幅に消滅させられない場合、衝突した硬貨Cは鈍角的に跳ね返って対をなす第2弾性部材334-2又は第1弾性部材334-1に衝突し、運動エネルギを消滅させられ、各硬貨個別の収束空間400において真下に落下する。
この落下し、搬送ベルト302から跳ね上がった弾みに硬貨Cが立った状態を呈することがある。硬貨Cが立った状態であっても、硬貨Cは第1傾斜面322-1又は第2傾斜面322-2にもたれ掛かることから立った状態を維持することができずに下端を搬送ベルト302上に、上端を第1傾斜面322-1又は第2傾斜面322-2上に支えられて横たわる。そして、硬貨Cは搬送ベルト302の上面402の進行によって引きずられ、硬貨Cの下面全体が搬送ベルト302に面接触し、迅速に硬貨受取口116へ送り出される。
【0107】
第1硬貨払出装置
対292-1、第2硬貨払出装置
対292-2、第3硬貨払出装置
対292-3を構成する硬貨払出装置、又は、隣接する硬貨払出装置から同時に硬貨Cが放出された場合であっても、それら硬貨Cは独立した収束空間400において衝突し、落下することから、互いの挙動に影響を与えることはない。
また、第2弾性部材334-2又は第1弾性部材334-1の下端と搬送ベルト302との上面402との距離は、その上流側で払い出される硬貨直径よりも小さい場合、換言すれば、硬貨Cが搬送ベルト302上において立った場合、当該硬貨Cが払い出されたすぐ下流の第2弾性部材334-2又は第1弾性部材334-1に当該硬貨Cの上部が接触し、進行を阻止されることから積極的に倒される。したがって、これらが相まって硬貨Cは短時間で搬送ベルト302に面接触することから硬貨受取口116へ迅速に搬送される。
各硬貨払出装置210は、硬貨Cの払出を硬貨検知装置226によって検知し、検知信号を出力するので、第2電気モータ222への給電を停止し、回転ディスク218の回転を急速停止させて硬貨Cの過払出を防止する。