(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記動作履歴管理部は、光ディスクの再生または記録動作が正常に行われ、かつ、当該光ディスクの光学特性データが前記重複部に該当する場合に、前記動作回数を1回と数えることを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1に示すように、光ディスク装置は、スピンドルモータ1と、光ピックアップ部2と、信号測定部3と、サーボ制御部4と、データ取得部5と、動作履歴管理部6と、閾値設定部7と、ディスク判別部8と、不揮発メモリ10とから構成され、光ディスク11の再生および記録のうちの少なくとも一方の動作を行う。
【0014】
スピンドルモータ1は、光ディスク11を回転させる。光ピックアップ部2は、レーザ光を光ディスク11に照射して情報の読み取りまたは書き込みを行うと共に、光ディスク11で反射したレーザ光を受光して信号出力する。信号測定部3は、光ピックアップ部2の出力信号を測定して、反射光量、トラッキングエラー、フォーカスエラーなどの情報を含む光学特性データを生成する。サーボ制御部4は、信号測定部3が測定した光学特性データに基づいて、スピンドルモータ1および光ピックアップ部2の駆動を制御し、光ディスク11の再生または記録動作を実施する。
【0015】
光ディスク11は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu−ray Disc;登録商標/以下、記載を省略する。)など様々な種類があるが、種類によって記録面の反射率が異なったり、記録面に形成されたピットの大きさが異なったりする。そのため、サーボ制御部4が、光ディスク11の種類に応じて光ピックアップ部2の制御方法を切り替える必要があり、起動時に光ディスク装置に実際に装填された光ディスク11の種類を判別する必要がある。
【0016】
本実施の形態1では、以下に説明する方法によって光ディスク11の種類を判別する。
CPU9は、プログラムを実行することにより、データ取得部5、動作履歴管理部6、閾値設定部7およびディスク判別部8の機能を実現する。データ取得部5は、信号測定部3が測定した光ディスク11の光学特性データを取得する。動作履歴管理部6は、光ディスク11の種類ごとに、再生または記録動作が正常にできた回数を数えて不揮発メモリ10に記憶し、動作履歴情報として管理する。閾値設定部7は、動作履歴情報を使用して光ディスク11の種類を判別するための閾値を設定する。ディスク判別部8は、データ取得部5が取得した光学特性データを閾値設定部7の設定した閾値と比較して、光ディスク11の種類を判別し、判別結果をサーボ制御部4へ出力する。
【0017】
先ず、
図2に示すフローチャートを参照しながら、光ディスク装置の起動に至るまでの処理を説明する。以下の説明では、光ディスク装置がCD、DVD、BDの3種類の光ディスク11に対応しているものとするが、光ディスク11の種類はこれらに限定されるものではない。
CPU9は、先ず光ディスク11の種類を判別する処理を実施する(ステップST1)。判別結果がCDである場合(ステップST2“YES”)、ディスク判別部8からサーボ制御部4へCDとして起動する指示を出力し、サーボ制御部4がCD用の制御方法に切り替えて記録または再生動作を開始する(ステップST3)。判別結果がDVDである場合(ステップST4“YES”)、ディスク判別部8からサーボ制御部4へDVDとして起動する指示を出力し、サーボ制御部4がDVD用の制御方法に切り替えて記録または再生動作を開始する(ステップST5)。判別結果がBDである場合(ステップST2“NO”かつステップST4“NO”)、ディスク判別部8からサーボ制御部4へBDとして起動する指示を出力し、サーボ制御部4がBD用の制御方法に切り替えて記録または再生動作を開始する(ステップST6)。
【0018】
選択した制御方法によって記録または再生動作が正常に起動した場合(ステップST7“YES”)、動作履歴管理部6が該当する種類の光ディスク11の動作回数を更新する(ステップST8)。一方、選択した制御方法によって記録または再生動作が正常に起動しなかった場合、ディスク判別部8は起動試行されていない種類(即ち、ステップST1の判別結果とは異なる種類)に変更し、ステップST2へ戻る。
【0019】
図3は、
図2に示すステップST1のディスク判別処理の詳細な動作を説明するフローチャートである。
CPU9において先ずデータ取得部5が、現在装填されている光ディスク11の光学特性データを信号測定部3から取得して閾値設定部7へ出力すると共に(ステップST11)、動作履歴管理部6が不揮発メモリ10から動作履歴情報を取得して閾値設定部7へ出力する(ステップST12)。
【0020】
ここで、
図4の表および
図5のグラフに、光ディスク11の種類と光学特性データの関係の一例を示す。この光学特性データは、例えば光ディスク11の反射光量などである。
光ディスク11の光学特性のばらつき、および異なる種類の光ディスク11における光学特性の類似性等の要因により、光学特性データの分布が重なり合う箇所が存在する。
例えば、CDの光学特性データが取り得る下限値は0、上限値は120である。DVDの光学特性データが取り得る下限値は80、上限値は220である。BDの光学特性データが取り得る下限値は180、上限値は320である。その場合、CDとDVDの光学特性データが80〜120の間で重複しているため、現在装填されている光ディスク11の光学特性データが80〜120の間にあるとCDかDVDか判別を間違いやすい。同様に、DVDとBDの光学特性データが180〜220の間で重複しているため、現在装填されている光ディスク11の光学特性データが180〜220の間にあるとDVDかBDか判別を間違いやすい。
【0021】
図6の表は、光ディスク11の種類と正常に動作した回数を記録した動作履歴情報の一例である。ここでは、CDの記録または再生回数が20回、DVDの記録または再生回数が10回、BDの記録または再生回数が30回とする。
【0022】
続いて閾値設定部7が、
図4に例示したような光ディスク11の種類と光学特性データの関係、および
図6に例示したような動作履歴情報に基づいて、光ディスク11の種類判別のための閾値を決定する(ステップST13)。
図4に例示したような光ディスク11の種類と光学特性データの関係は、予め閾値設定部7に与えられているものとする。
本実施の形態1では、閾値設定部7が、下記の式(1)によりCDとDVDの光学特性データの一部が互いに重複する重複部の重複量を算出して、式(2)および(3)により動作回数の比率に応じて重み付けした値を算出し、この値を光学特性データ重複部に閾値として設定する。DVDとBDの閾値も同様にして設定する。
【0023】
CD;DVD光学特性データ重複量
=CDの光学特性データ上限値−DVDの光学特性データ下限値 (1)
CD;DVD動作回数比率
=CDの動作回数/(CDの動作回数+DVDの動作回数) (2)
CD;DVD閾値
=DVDの光学特性データ下限値+CD;DVD光学特性データ重複量×CD;DVD動作回数比率 (3)
【0024】
DVD;BD光学特性データ重複量
=DVDの光学特性データ上限値−BDの光学特性データ下限値 (4)
DVD;BD動作回数比率
=DVDの動作回数/(DVDの動作回数+BDの動作回数) (5)
DVD;BD閾値
=BDの光学特性データ下限値+DVD;BD光学特性データ重複量×DVD;BD動作回数比率 (6)
【0025】
閾値設定部7は、上式(1)〜(3)により決定したCD;DVD閾値と、上式(4)〜(6)により決定したDVD;BD閾値を、ディスク判別部8へ通知する。光学特性データがCD;DVD閾値以下ならCD、CD;DVD閾値より大きくDVD;BD閾値以下ならDVD、DVD;BD閾値より大きいならBDである。
【0026】
ディスク判別部8は、データ取得部5が取得した光学特性データがCD;DVD閾値以下の場合に(ステップST14“YES”)、現在装填されている光ディスク11をCDと判別し(ステップST15)、DVD;BD閾値以下の場合に(ステップST16“YES”)、DVDと判別し(ステップST17)、それ以外の場合は(ステップST14“NO”かつステップST16“NO”)、BDと判別する(ステップST18)。
【0027】
これにより、光ディスク11の種類を判別する際の閾値を、記録または再生される確率の高い種類が選択されやすくなるよう設定することができ、判別の精度を向上することができる。
また、判別結果に基づいて正常起動できなかった場合には(
図2のステップST7“NO”)、閾値判定で選択しなかったもう一方の種類に変更するとよい(同図のステップST9)。例えばステップST14でCD;DVD閾値に基づいてCDを選択して正常起動できなかった場合、ステップST9でDVDに変更すると正常起動できる可能性が高い。
【0028】
以上より、実施の形態1によれば、光ディスク装置は、光ピックアップ部2が出力する信号を信号測定部3で測定して生成した光ディスク11の光学特性データを取得するデータ取得部5と、光ディスク11の種類ごとに再生または記録動作が正常に行われた回数を動作回数として数える動作履歴管理部6と、異なる種類の光ディスク11が取り得る光学特性データの一部が互いに重複する重複部に、動作履歴管理部6が数えた当該異なる種類の光ディスク11の動作回数の比率に応じて重み付けした値を閾値として設定する閾値設定部7と、データ取得部5が取得した光ディスク11の光学特性データを閾値設定部7が設定した閾値と比較して光ディスク11の種類を判別するディスク判別部8とを備える構成にした。このため、光ディスク11の光学特性データが判別を間違いやすい重複部にある場合でも、判別精度を向上させた光ディスク装置を提供することができる。
【0029】
実施の形態2.
図7は、本実施の形態2に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
図7において
図1と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
図7に示す光ディスク装置では、光ディスク11の種類を判別するための閾値が予めディスク判別部8aに設定されるので、
図1の閾値設定部7が不要となる。
【0030】
以下、
図8のフローチャートを参照しながら、本実施の形態2に係る光ディスク装置のディスク判別処理を説明する。なお、
図8のフローチャートは、
図2のステップST1に相当する。
先ずデータ取得部5が、現在装填されている光ディスク11の光学特性データを信号測定部3から取得してディスク判別部8aへ出力すると共に(ステップST21)、動作履歴管理部6が不揮発メモリ10から動作履歴情報を取得してディスク判別部8aへ出力する(ステップST22)。
【0031】
ここで、
図9の表および
図10のグラフに、光ディスク11の種類と光学特性データの関係の一例を示す。
CD、DVD、BDの光学特性データが取り得る値は
図4の表に示したとおりであるが、
図9および
図10に示すように、CDとDVDの光学特性データが80〜120の間で、DVDとBDの光学特性データが180〜220の間でそれぞれ重複しているため、判別を間違いやすい重複部のみ動作履歴情報を使用して光ディスク11の種類を判別する。
【0032】
つまり、ディスク判別部8aは、CDとDVDの光学特性データ重複部の下限値80をCD閾値として用い、CD閾値以下の光学特性データの光ディスク11を(ステップST23“YES”)、CDとして判別する(ステップST24)。
【0033】
また、ディスク判別部8aは、CDとDVDの光学特性データ重複部の上限値120をCD;DVD重複部閾値として用い、CD;DVD重複部閾値以下かつCD閾値より大きい光学特性データの光ディスク11を(ステップST23“NO”かつステップST25“YES”)、CDおよびDVDのうち動作回数の多い方として判別する(ステップST26)。
図6の動作履歴情報によればDVDよりCDの動作回数が多いので(ステップST26“YES”)、CDとして判別する(ステップST24)。
【0034】
また、ディスク判別部8aは、DVDとBDの光学特性データ重複部の下限値180をDVD閾値として用い、DVD閾値以下かつCD;DVD重複部閾値より大きい光学特性データの光ディスク11を(ステップST25“NO”かつステップST28“YES”)、DVDとして判別する(ステップST27)。
【0035】
また、ディスク判別部8aは、DVDとBDの光学特性データ重複部の上限値220をDVD;BD重複部閾値として用い、DVD;BD重複部閾値以下かつDVD閾値より大きい光学特性データの光ディスク11を(ステップST28“NO”かつステップST29“YES”)、DVDおよびBDのうち動作回数の多い方として判別する(ステップST30)。
図6の動作履歴情報によればDVDよりBDの動作回数が多いので(ステップST30“NO”)、BDとして判別する(ステップST31)。
【0036】
また、ディスク判別部8aは、DVD;BD重複部閾値より大きい光学特性データの光ディスク11を(ステップST29“NO”)、BDとして判別する(ステップST31)。
【0037】
これにより、現在装填されている光ディスク11の光学特性データが、判別を間違いやすい光学特性データ重複部にある場合に、判別の精度を向上することができる。
また、判別結果に基づいて正常起動できなかった場合には(
図2のステップST7“NO”)、判別を間違いやすいもう一方の種類に変更するとよい(同図のステップST9)。例えばステップST26でDVDより動作回数が多いCDを選択して正常起動できなかった場合、ステップST9でDVDに変更すると正常起動できる可能性が高い。
【0038】
以上より、実施の形態2によれば、光ディスク装置は、光ピックアップ部2が出力する信号を信号測定部3で測定して生成した光ディスク11の光学特性データを取得するデータ取得部5と、光ディスク11の種類ごとに再生または記録動作が正常に行われた回数を動作回数として数える動作履歴管理部6と、データ取得部5が取得した光ディスク11の光学特性データに基づいて種類を判別する際、異なる種類の光ディスク11が取り得る光学特性データの一部が互いに重複する重複部に光ディスク11の光学特性データが該当する場合に、動作履歴管理部6が数えた当該異なる種類の光ディスク11のうちの動作回数の多い方の種類として判別するディスク判別部8aとを備える構成にした。このため、光ディスク11の光学特性データが判別を間違いやすい重複部にある場合でも、判別精度を向上させた光ディスク装置を提供することができる。
【0039】
なお、上記実施の形態1,2では、動作履歴管理部6が、再生または記録動作が正常に行われた回数を動作回数として数える構成にしたが、これに加えて、光ディスク11の光学特性データが重複部に該当する場合に動作回数を1回数える構成にしてもよい。
その場合、
図9に示したような光学特性データ重複部の情報を予め動作履歴管理部6に設定しておき、
図2のステップST8において動作履歴管理部6が、データ取得部5の取得した光学特性データと光学特性データ重複部の情報とを比較して動作回数を更新するか否かを判定する。
これにより、ディスク判別部8,8aにおいて、判別を間違いやすい光ディスク11の正常な動作回数に基づいてディスク判別処理を行うことができるようになり、判別精度をさらに向上することができる。
【0040】
上記以外にも、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。