【実施例】
【0043】
〔実施例1〕
本実施例では、まず、高真空マグネトロンスパッタ装置を用い、720℃の温度で、MgO単結晶からなる基板2の(100)面上に、第1の金属としてのFeと第2の金属としてのPtとからなるFePt合金をスパッタリングし、厚さ1nmの第1の被膜を形成した。
【0044】
次に、前記高真空マグネトロンスパッタ装置を用い、
室温付近(100℃以下)で、前記第1の被膜上に第3の金属としてのAuを、スパッタリングし、厚さ0.2nmの第2の被膜を形成した。
【0045】
FePt合金のスパッタリングとAuのスパッタリングと2回ずつ行い、さらにFePt合金のスパッタリングを行うことにより、基板2上に、FePt合金とAuとからなる触媒金属3が配設されたカーボンナノチューブ成長用基板1を形成した。
【0046】
得られたカーボンナノチューブ成長用基板1の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。
図2に透過型電子顕微鏡写真を示す。
図2から、基板2上に配設された触媒金属3は、(111)面を安定して備える結晶構造からなる正四角錐形状の粒子を形成していることが確認された。また、触媒金属3の前記正四角錐形状の底面の対角線長さLを、最大粒子長として測定したところ、10nmであった。
【0047】
次に、エネルギー分散型X線分光法(TEM−EDX)により、触媒金属3の原子比を測定したところ、Fe:Pt:Au=53:36:11であった。
【0048】
〔実施例2〕
本実施例では、FePt合金(1nm)のスパッタリングとAu(0.1nm)のスパッタリングと1回ずつ行い、さらにFePt合金のスパッタリングを行うことにより触媒金属3を配設した以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンナノチューブ成長用基板1を形成した。
【0049】
次に、得られたカーボンナノチューブ成長用基板1の断面を透過型電子顕微鏡で観察した。
図3に透過型電子顕微鏡写真を示す。
図3から、基板2上に配設された触媒金属3は、(111)面を安定して備える結晶構造からなる正四角錐形状の粒子を形成していることが確認された。また、触媒金属3の最大粒子長を測定したところ、8nmであった。
【0050】
次に、TEM−EDXにより、触媒金属3の原子比を測定したところ、Fe:Pt:Au=45:53:2であった。
【0051】
次に、本実施例で得られたカーボンナノチューブ成長用基板1をプラズマCVD装置に配設して、基板温度を730℃、プラズマCVDの出力を100Wとし、メタン10体積%、水素90体積%からなるガスを供給して、30分間カーボンナノチューブの合成を行った。
【0052】
次に、得られたカーボンナノチューブを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、基板2に対して垂直方向に配向し、長さ約10μmの単層カーボンナノチューブであることが確認された。
【0053】
次に、得られたカーボンナノチューブについて、波長633nmにおいてラマンスペクトルを測定した。結果を
図4に示す。
図4において、得られたスペクトルが190〜200cm
−1でのラジアルブリージングモード(RBM)のピークを有することから、得られたカーボンナノチューブは金属的性質を備えることが明らかである。
【0054】
〔比較例1〕
本比較例では、FePt合金のみをスパッタリングすることにより触媒金属3を配設した以外は、実施例2と全く同一にして、カーボンナノチューブ成長用基板1を形成した。
【0055】
次に、得られたカーボンナノチューブ成長用基板1の断面を透過型電子顕微鏡で観察した。
図5に透過型電子顕微鏡写真を示す。
図5から、基板2上に配設された触媒金属3は、(111)面を備えていない結晶構造からなる半球状の粒子を形成していることが確認された。
【0056】
次に、TEM−EDXにより、触媒金属3の原子比を測定したところ、Fe:Pt=35:65であった。
【0057】
次に、本比較例で得られたカーボンナノチューブ成長用基板1を用いた以外は、実施例2と全く同一にして、カーボンナノチューブの合成を行った。
【0058】
次に、得られたカーボンナノチューブをSEMで観察したところ、多層カーボンナノチューブであることが確認された。
【0059】
次に、得られたカーボンナノチューブについて、波長633nmにおいてラマンスペクトルを測定した。結果を
図6に示す。
図6において、得られたスペクトルは、前記RBMのピークを備えておらず、多層カーボンナノチューブの特徴を示すことが判明した。
【0060】
〔参考例1〕
本参考例では、第2の被膜の膜厚を1nmとした以外は実施例2と全く同一にして、カーボンナノチューブ成長用基板1を形成した。
【0061】
次に、得られたカーボンナノチューブ成長用基板1の断面を透過型電子顕微鏡で観察した。
図7に透過型電子顕微鏡写真を示す。
図7から、基板2上に配設された触媒金属3は、半球状の粒子を形成していることが確認された。また、触媒金属3の前記半球状の底面の直径を最大粒子長として測定したところ20〜30nmであり、実施例1及び実施例2で得られた触媒金属3の粒子と比較して、大きいことが明らかである。
【0062】
次に、TEM−EDXにより、触媒金属3の原子比を測定したところ、Fe:Pt:Au=31:20:49であった。
【0063】
以上から、前記最大粒子長が3〜15nmの範囲外であり、原子比が40〜58:30〜55:2〜40の範囲外である触媒金属3は、(111)面に加えて(111)面以外の面を備える結晶構造を備えることが明らかである。
【0064】
〔参考例2〕
本参考例では、第2の被膜の膜厚を0.5nmとした以外は実施例2と全く同一にして、カーボンナノチューブ成長用基板1を形成した。
【0065】
次に、得られたカーボンナノチューブ成長用基板1の断面を透過型電子顕微鏡で観察した。
図8に透過型電子顕微鏡写真を示す。
図8から、基板2上に配設された触媒金属3は、半球状の粒子を形成していることが確認された。また、触媒金属3の前記半球状の底面の直径を最大粒子長として測定したところ7〜10nmであった。
【0066】
次に、TEM−EDXにより、触媒金属3の原子比を測定したところ、Fe:Pt:Au=37:18:45であった。
【0067】
以上から、前記最大粒子長が3〜15nmの範囲内であるものの、触媒金属3の原子比が40〜58:30〜55:2〜40の範囲外である触媒金属3は、(111)面に加えて(111)面以外の面を備える結晶構造を備えることが明らかである。