特許第6041792号(P6041792)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6041792シート検出装置、画像処理装置、シート検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041792
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】シート検出装置、画像処理装置、シート検出方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/14 20060101AFI20161206BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   B65H7/14
   G03G21/00 370
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-247479(P2013-247479)
(22)【出願日】2013年11月29日
(65)【公開番号】特開2015-105159(P2015-105159A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2015年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】上邨 静也
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−162334(JP,A)
【文献】 特開平10−167521(JP,A)
【文献】 特開平09−076592(JP,A)
【文献】 特開2009−285918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00− 7/20
B65H 43/00−43/08
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されるシートにおける搬送方向に直交する方向の両側部のうち一方の側部に対して予め定められた前記搬送方向に平行な第1の走査ライン上を相対的に走査することによりその走査に応じた信号を出力する第1信号出力手段と、
前記シートに対して予め定められた前記第1の走査ラインと平行な第2の走査ライン上を相対的に走査することによりその走査に応じた信号を出力する第2信号出力手段と、
前記第1信号出力手段及び前記第2信号出力手段それぞれから出力される信号に基づいて、前記シートの搬送方向後端を検出する第1検出処理手段と、
を備え
前記第1検出処理手段は、
前記第1信号出力手段及び前記第2信号出力手段のうち少なくとも一つからシート検出信号が出力される第1検出状態から前記第1信号出力手段及び前記第2信号出力手段それぞれからシート非検出信号が出力される第2検出状態への切り替わりに基づいて、前記シートの前記搬送方向後端を検出するシート検出装置。
【請求項2】
前記第1検出処理手段は、前記第2検出状態から前記第1検出状態への切り替わりに基づいて前記シートの搬送方向前端を更に検出する請求項1に記載のシート検出装置。
【請求項3】
前記第1検出処理手段によって検出された前記搬送方向前端及び前記搬送方向後端に基づいて、前記搬送方向における前記シートのサイズを検出する第2検出処理手段を更に備える請求項2に記載のシート検出装置。
【請求項4】
前記第2の走査ラインは、前記シートの前記搬送方向に直交する方向の両側部のうち前記第1の走査ラインとは反対側の他方の側部における走査ラインである請求項1乃至3の何れか一項に記載のシート検出装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載のシート検出装置を備える画像処理装置。
【請求項6】
請求項2又は3に記載のシート検出装置と、
前記シートに印刷を行う印刷手段と、
前記シートの前記搬送方向前端の検出タイミングから前記搬送方向後端の検出タイミングまでの間に前記第1信号出力手段及び前記第2信号出力手段のうちいずれか一方から前記シート非検出信号が周期的に出力されると、前記シートに綴じ穴が形成されていると判定し、そのシート非検出信号の1周期における出力時間と前記シートの搬送速度とに基づいて前記綴じ穴のサイズを検出する第3検出処理手段と、
前記第3検出処理手段により検出された前記綴じ穴に基づく印刷禁止領域を前記シートに設定し、前記印刷手段に印刷させる画像として、前記印刷禁止領域を除く領域を印刷対象領域としてサイズ調整した画像を生成する画像処理手段と、
を備える画像処理装置。
【請求項7】
搬送されるシートにおける搬送方向に直交する方向の両側部のうち一方の側部に対して予め定められた前記搬送方向に平行な第1の走査ライン上を相対的に走査することによりその走査に応じた信号を出力する第1ステップと、
前記シートに対して予め定められた前記第1の走査ラインと平行な第2の走査ライン上を相対的に走査することによりその走査に応じた信号を出力する第2ステップと、
前記第1ステップ及び前記第2ステップでそれぞれ出力される信号に基づいて、前記シートの搬送方向後端を検出する第3ステップと、
を備え
前記第3ステップは、
前記第1ステップ及び前記第2ステップのうち少なくとも一つのステップでシート検出信号が出力される第1検出状態から前記第1ステップ及び前記第2ステップそれぞれでシート非検出信号が出力される第2検出状態への切り替わりに基づいて、前記シートの前記搬送方向後端を検出するシート検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置や画像読取装置の画像処理装置内において搬送される原稿や印刷用紙などのシートの搬送方向前端及び後端を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機や複写機等の画像処理装置においては、一般に、読取対象の原稿や印刷用紙などのシートの有無を検出するセンサーが搭載される(特許文献1参照)。また、このようなセンサーによるシートの検出を応用して、シートの搬送方向におけるサイズが検出される。すなわち、前記センサーの検知領域にシートの搬送方向前端及び後端が通過したときに前記センサーの出力信号に変化が生じることを用いてその前端及び後端がそれぞれ検出され、それらの検出タイミングに基づいてシートサイズが検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−202687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像処理装置では、このようなシートの搬送方向前端及び搬送方向後端の検出を単一のセンサーで行っていた。しかしながら、このような形態では、バインダー用紙(ルーズリーフ用紙)など綴じ穴が一側部に形成された綴じ穴付きシートが印刷用紙として用いられた場合に、シートの搬送方向後端を誤検出し、これにより、シートサイズの誤検出が生じるという問題があった。
【0005】
すなわち、前記単一のセンサーによる検知領域を前記綴じ穴の形成部分が通過する場合にも、前記センサーの検知領域を前記搬送方向後端が通過するときと同じように前記センサーからシート非検出信号が出力される。そのため、このシート非検出信号によって、前記シートの搬送方向後端ではないのに前記搬送方向後端であると誤って検出される。その結果、この誤検出された搬送方向後端の検出タイミングに基づいてシートサイズが算出されることにより、シートサイズの誤検出が生じる。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、搬送される綴じ穴付きシートの搬送方向後端を適切に検出することのできるシート検出装置、画像処理装置及びシート検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係るシート検出装置は、第1信号出力手段と、第2信号出力手段と、検出処理手段とを備える。前記第1信号出力手段は、搬送されるシートにおける搬送方向に直交する方向の両側部のうち一方の側部に対して予め定められた前記搬送方向に平行な第1の走査ライン上を相対的に走査することによりその走査に応じた信号を出力する。前記第2信号出力手段は、前記シートに対して予め定められた前記第1の走査ラインと平行な第2の走査ライン上を相対的に走査することによりその走査に応じた信号を出力する。前記検出処理手段は、前記第1信号出力手段及び前記第2信号出力手段それぞれから出力される信号に基づいて、前記シートの搬送方向後端を検出する。
【0008】
本発明の他の局面に係る画像処理装置は、前記シート検出装置を備える。
【0009】
本発明の他の局面に係るシート検出方法は、第1ステップと、第2ステップと、第3ステップとを有する。前記第1ステップは、搬送されるシートにおける搬送方向に直交する方向の両側部のうち一方の側部に対して予め定められた前記搬送方向に平行な第1の走査ライン上を相対的に走査することによりその走査に応じた信号を出力する。前記第2ステップは、前記シートに対して予め定められた前記第1の走査ラインと平行な第2の走査ライン上を相対的に走査することによりその走査に応じた信号を出力する。前記第3ステップは、前記第1ステップ及び前記第2ステップでそれぞれ出力される信号に基づいて、前記シートの搬送方向後端を検出する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、搬送される綴じ穴付きシートの搬送方向後端を適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る画像処理装置の一実施形態の内部構成を示す模式図。
図2】画像処理装置の電気的な構成の一例を示すブロック図。
図3】綴じ穴付きシートが搬送された場合の綴じ穴と第1及び第2シートセンサー部の検出領域(第1、第2走査ライン)との関係を示す図。
図4】第1及び第2シートセンサー部の出力信号を示す図。
図5】画像のサイズ調整処理の説明図。
図6】制御部による綴じ穴付きシートの検出処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
まず、本発明の実施形態に係る画像処理装置1の概略構成について説明する。画像処理装置1は、画像読取機能、ファクシミリー機能及び画像形成機能などを備えた複合機である。図1図2に示されるように、画像処理装置1は、画像読取部2、原稿カバー3、自動原稿送り装置(Auto Document Feeder;以下、ADFという)4、画像形成部5、操作表示部6(図2参照)、給紙カセット7、通信インターフェイス(I/F)部8(図2参照)、及びこれらを制御する制御部9(図2参照)を備えている。なお、本発明に係る画像処理装置の一例として複合機である画像処理装置1を例示して説明するが、本発明はこれに限られず、例えばプリンター、ファクシミリー装置、複写機あるいはスキャナー装置も本発明に係る画像処理装置に該当する。
【0014】
画像読取部2は、原稿から画像データを読み取る画像読取処理を実行する。図1に示されるように、画像読取部2は、コンタクトガラス10、読取ユニット11、ミラー12,13、光学レンズ14及びCCD(Charge Coupled Device)15などを備えている。
【0015】
読取ユニット11は、LED光源16及びミラー17を備えており、ステッピングモーター等の駆動モーターを用いた移動機構(不図示)により副走査方向18(図1における左右方向)へ移動可能に構成されている。そして、前記駆動モーターにより読取ユニット11が副走査方向18へ移動されると、LED光源16から画像読取部2の上面に設けられたコンタクトガラス10へ向けて照射される光が副走査方向18へ走査される。
【0016】
ミラー17は、LED光源16から光が照射されたときに、原稿又は原稿カバー3の裏面で反射した反射光をミラー12へ向けて反射させる。ミラー17で反射した光は、ミラー12,13により光学レンズ14に導かれる。光学レンズ14は、入射した光を集光してCCD15に入射させる。
【0017】
CCD15は、受光した光をその光量(輝度の強度)に応じた電気信号(電圧)に変換して制御部9へ出力する光電変換素子である。制御部9では、CCD15からの電気信号を画像処理することにより原稿の画像データを生成する。なお、本実施形態では、撮像素子としてCCD15を用いた例について説明するが、CCD15による読取機構に代えて、CCD15よりも焦点距離の短い密着型のイメージセンサー(CIS: Contact Image Sensor)を用いた読取機構を適用することも可能である。
【0018】
画像読取部2には、原稿カバー3が回動自在に設けられている。原稿カバー3が回動操作されることにより、画像読取部2の上面のコンタクトガラス10が開閉される。原稿カバー3の回動支持部には、リミットスイッチなどのカバー開検出センサー(不図示)が設けられており、ユーザーが原稿の画像を読み取らせようとして原稿カバー3が開けられると、そのカバー開検出センサーが作動して、その検出信号(カバー開検出信号)が制御部9に出力される。
【0019】
ここで、画像読取部2による原稿画像の読み取りは、以下の手順で行われる。まず、原稿がコンタクトガラス10上に載置され、その後、原稿カバー3が閉姿勢にされる。その後、操作表示部6から画像読取指示が入力されると、読取ユニット11を副走査方向18の右向きへ移動させつつLED光源16から連続して順次1ライン分の光が照射される。そして、原稿又は原稿カバー3の裏面からの反射光がミラー17,12,13及び光学レンズ14を介してCCD15に導かれ、CCD15にて受光した光量に応じた光量データが順次制御部9に出力される。制御部9では、光が照射された領域全体における光量データが得られると、その光量データを処理することにより、前記光量データから原稿の画像データを生成する。この画像データは、長方形状の画像を構成する画像データである。
【0020】
なお、原稿カバー3にADF4が設けられている。ADF4は、原稿セット部19にセットされた一以上の原稿を複数の搬送ローラーにより順次搬送して、コンタクトガラス10上に定められた自動原稿読取位置を副走査方向18の右向きへ通過するように原稿を移動させる。ADF4による原稿の移動時は、前記自動原稿読取位置の下方に読取ユニット11が配置され、この位置で読取ユニット11により移動中の原稿の画像が読み取られる。原稿セット部19には、接点信号を出力可能な機械的なシートセンサー(不図示)が設けられており、原稿セット部19に原稿がセットされると、前記シートセンサーが作動して、その検出信号(原稿検出信号)が制御部9に出力される。
【0021】
図1に示されるように、画像形成部5は、画像読取部2で読み取られた画像データ、又は外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から通信I/F部8を通じて入力された印刷ジョブに基づいて画像形成処理(印刷処理)を実行する電子写真方式の画像形成手段である。具体的には、画像形成部5は、感光体ドラム20、帯電部21、現像部22、トナーコンテナ23、転写ローラー24、除電部25、定着ローラー26、加圧ローラー27などを備えている。なお、本実施形態では、電子写真方式の画像形成部5を例にして説明するが、画像形成部5は電子写真方式のものに限られず、インクジェット記録方式のものであっても、或いはそれ以外の記録方式又は印刷方式のものであってもかまわない。
【0022】
画像形成部5では、給紙カセット7から供給される印刷用紙に対する画像形成処理が以下の手順で行われる。まず、通信I/F部8を通じて印刷指示を含む印刷ジョブが入力されると、帯電部21により感光体ドラム20が所定の電位に一様に帯電される。次に、レーザスキャナユニット(Laser Scanner Unit;LSU 不図示)により感光体ドラム20の表面に印刷ジョブに含まれる画像データに基づく光が照射される。これにより、感光体ドラム20の表面に静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム20上の静電潜像は現像部22によりトナー像として現像(可視像化)される。なお、現像部22には、トナーコンテナ23からトナー(現像剤)が補給される。続いて、感光体ドラム20に形成されたトナー像は転写ローラー24により印刷用紙に転写される。その後、印刷用紙に転写されたトナー像は、その印刷用紙が定着ローラー26及び加圧ローラー27の間を通過して排出される際に定着ローラー26で加熱されて溶融定着する。なお、感光体ドラム20の電位は除電部25で除電される。
【0023】
図2に示されるように、通信I/F部8は、画像処理装置1にインターネット又はLANのような通信ネットワークを介して接続された外部装置との間でデータ通信を実行するインターフェイスである。記憶部28は、ハードディスクドライブ(Hard Disc Drive;HDD)等の不揮発性メモリーで構成される。
【0024】
操作表示部6は、表示部29と操作部30とを有する。表示部29は、例えばカラー液晶ディスプレイなどで構成され、操作表示部6を操作するユーザーに対して各種の情報を表示する。操作部30は、表示部29に隣接配置された各種の押しボタンキーや表示部29の表示画面上に配置されるタッチパネルセンサーなどで構成され、画像処理装置1のユーザーにより各種の指示が入力される。なお、ユーザーが画像読取動作や画像形成動作を実行させるために操作表示部6に対して操作が行われると、その操作信号が操作表示部6から制御部9に出力される。
【0025】
シート検出部31は、第1シートセンサー部32と第2シートセンサー部33とを有する。第1シートセンサー部32は、例えば発光ダイオードからなる発光器と、例えばフォトトランジスタからなる受光器とを有する反射型の光学センサー321を有する。光学センサー321の検知領域にシートが存在するとき、発光器から出力された光がシートによって反射され、その反射光が受光器により受光される。受光器は、その受光光量に応じた信号を出力する。第2シートセンサー部33は、光学センサー321と同様の構成を有する反射型の光学センサー331を有する。
【0026】
本実施形態では、第1シートセンサー部32及び第2シートセンサー部33の光学センサー321,331は、図1に示されるように給紙カセット7からシートを繰り出す位置よりやや下流側の所定位置に設置されている。
【0027】
そして、第1シートセンサー部32は、一点に対して検出光を照射する。第1シートセンサー部32による検出光の照射点は、バインダー用紙(ルーズリーフ用紙)など一側部に複数の綴じ穴H1が形成されたシート(以下、綴じ穴付きシートという)の長手方向(綴じ穴H1の配列方向)がシートの搬送方向と一致するようにシートが表向きの状態でセットされた場合に、主走査方向における位置がその綴じ穴H1の中心位置と概ね一致する位置である。第2シートセンサー部33は、一点に対して検出光を照射する。第2シートセンサー部33による検出光の照射点は、綴じ穴付きシートの長手方向(綴じ穴H1の配列方向)がシートの搬送方向と一致するように前記綴じ穴付きシートが搬送方向に延びる軸を回転軸として回転して裏返しにした状態でセットされた場合に、主走査方向における位置がその綴じ穴H1の中心位置と概ね一致する位置である。
【0028】
したがって、図3に示されるように、第1シートセンサー部32の光学センサー321は、シートが表向きの状態で搬送方向A1に搬送されると、その搬送方向A1に平行な直線状に検出光が前記シートに対して照射される。この検出光が照射される直線領域を第1の走査ラインW1(図3のハッチング領域)という。前記第1の走査ラインW1は、綴じ穴付きシートが表向きの状態で給紙カセット7にセットされた場合に、それらの綴じ穴H1の中心を結ぶ直線に概ね一致するラインである。つまり、本実施形態では、綴じ穴付きシートが表向きの状態で給紙カセット7にセットされた場合に、光学センサー321による第1の走査ラインW1が前記直線に一致するように、光学センサー321が位置決めされている。
【0029】
また、第2シートセンサー部33の光学センサー331は、前記綴じ穴付きシートが搬送方向に延びる軸を回転軸として回転して裏返しにした状態で搬送方向A1に搬送されると、その搬送方向A1に平行な直線状に検出光が前記シートに対して照射される。この検出光が照射される直線領域を第2の走査ラインW2(図3のハッチング領域)という。前記第2の走査ラインW2は、前記綴じ穴付きシートが搬送方向に延びる軸を回転軸として回転して裏返しにした状態で給紙カセット7にセットされた場合に、それらの綴じ穴H1の中心を結ぶ直線に概ね一致するラインである。つまり、本実施形態では、綴じ穴付きシートが裏返しにした状態で給紙カセット7にセットされた場合に、光学センサー331による第2の走査ラインW2が前記直線に一致するように、光学センサー331が位置決めされている。
【0030】
このように、本実施形態では、第1シートセンサー部32の光学センサー321及び第2シートセンサー部33の光学センサー331によって、前記シートの搬送方向A1に直交する方向の両側部を走査する。したがって、搬送対象が綴じ穴付きシートのとき、前記綴じ穴付きシートが表向きの状態でも裏向きの状態でも、第1シートセンサー部32及び第2シートセンサー部33の検出領域のうちいずれか一方の検出領域を綴じ穴H1が通過する。
【0031】
第1シートセンサー部32は、増幅器及び比較器(いずれも不図示)を有する。前記増幅器は、光学センサー321の受光器から出力される受光信号を所定の増幅率で増幅する。比較器は、増幅器の出力信号と予め定められた閾値とを比較して、その比較結果を示す信号を出力する。すなわち、比較器の出力信号は、増幅器の出力信号が前記閾値より大きいときはHIGHとなり、増幅器の出力信号が前記閾値より小さいときはLOWとなる。これらの比較結果を示した出力信号は制御部9に出力される。
【0032】
第1シートセンサー部32と同様、第2シートセンサー部33も増幅器及び比較器(いずれも不図示)を有する。この増幅器及び比較器の機能は、第1シートセンサー部32の増幅器及び比較器と同様であるのでその説明は省略する。
【0033】
後述するように、制御部9(後述するシート検出処理部91及びシートサイズ検出処理部92)は、第1シートセンサー部32及び第2シートセンサー部33の各比較器から出力される前記出力信号を用いてシートの搬送方向前端及び後端、ひいてはシートサイズを検出する。前記出力信号のHIGHは、シート検出信号に相当し、前記出力信号のLOWは、シート非検出信号に相当する。第1シートセンサー部32は、第1信号出力手段に相当し、第2シートセンサー部33は、第2信号出力手段に相当する。
【0034】
制御部9は、CPUと、ROMと、RAMとを備える。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性の記憶部である。制御部9は、前記CPUが前記ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、各部の動作を制御する。
【0035】
制御部9は、CPUがプログラムを実行することにより、図2に示されるように、シート検出処理部91、シートサイズ検出処理部92、綴じ穴サイズ検出処理部93及び画像処理部94を有する。シート検出処理部91は、第1検出処理手段に相当し、シートサイズ検出処理部92は、第2検出処理手段に相当し、綴じ穴サイズ検出部92は、第3検出処理手段に相当し、画像処理部38は、画像処理手段に相当する。また、前記各処理部91〜94及びシート検出部31によりシート検出装置が構成される。
【0036】
シート検出処理部91は、シート検出部31(第1シートセンサー部32及び第2シートセンサー部33)から出力される信号に基づいて、前記搬送方向における前記シートの搬送方向前端及び搬送方向後端を検出する。
【0037】
具体的に、シート検出処理部91は、第1シートセンサー部32及び第2シートセンサー部33の各出力信号がHIGHの場合、前記検出領域にシートが存在すると判定する。シート検出処理部91は、第1シートセンサー部32及び第2シートセンサー部33の各出力信号がLOWの場合には、前記検出領域にシートは存在しないと判定する。
【0038】
そして、シート検出処理部91は、第1シートセンサー部32及び第2シートセンサー部33の出力信号がともにLOWの状態から、前記各出力信号がともにHIGHの状態に遷移した場合、シートの搬送方向前端を検出したと判定する。
【0039】
また、第1シートセンサー部32及び第2シートセンサー部33の出力信号がともにHIGHの状態から、前記各出力信号がともにLOWの状態に遷移した場合、シートの搬送方向後端を検出したと判定する。通常のシートの場合は、この方法によりシートの搬送方向前端及び後端が検出される。
【0040】
綴じ穴付きシートが表向きの状態で給紙カセット7から複数の綴じ穴H1の配列方向に搬送される場合、綴じ穴H1は、第1シートセンサー部32の検出領域(図3のハッチング領域)を通過する。
【0041】
このとき、図4に示されるように、シートが前記検出領域を通過している間、第1シートセンサー部32からは、出力信号Q1が出力される。この出力信号Q1は、綴じ穴H1の配列態様に応じてHIGH及びLOWが交互に切り替わる周期信号となる。すなわち、第1シートセンサー部32の検出領域を綴じ穴H1の部分が通過している期間は、第1シートセンサー部32の出力信号Q1はLOWとなり、隣り合う綴じ穴H1間の部分が通過している期間は、出力信号Q2はHIGHとなる。一方、シートが前記検出領域を通過している間、第1シートセンサー部32からは、出力信号Q2が出力される。この出力信号Q2は、シートが前記検出領域を通過している間、常時、HIGHとなる。
【0042】
シート検出処理部91は、このように第2シートセンサー部33の出力信号Q2がHIGHとなっている場合は、第1シートセンサー部32の出力信号Q1がHIGHであるかLOWであるかに関係なくシートの搬送方向前端及び搬送方向後端を検出したとの判定を行わない。
【0043】
すなわち、図4の矢印X1に示されるように、第1、第2シートセンサー部32,33の両出力信号がともにHIGHとなっている状態から、第2シートセンサー部33の出力信号Q2がHIGHとなり、且つ、第1シートセンサー部32の出力信号Q1がLOWとなる状態に遷移したとする。このとき、シート検出処理部91は、シートの搬送方向後端を検出したとの判定を行わない。
【0044】
また、図4の矢印X2に示されるように、第2シートセンサー部33の出力信号Q2がHIGHとなり、且つ、第1シートセンサー部32の出力信号Q1がLOWとなる状態から、第1、第2シートセンサー部32,33の両出力信号Q1,Q1がともにHIGHとなる状態に遷移したとする。このとき、シート検出処理部91は、シートの搬送方向前端を検出したとの判定を行わない。なお、図4における点線は、シート外の検出信号を示す。
【0045】
搬送方向に延びる軸を回転軸として回転して裏返しにした状態のシートの搬送方向前端及び搬送方向後端の検出は、第1、第2シートセンサー部31,32から出力される出力信号Q1,Q1が前記の場合と逆になる。この場合、シート検出処理部91は、第1シートセンサー部32の出力信号Q1がHIGHとなる場合は、第2シートセンサー部33の出力信号Q2がHIGHであるかLOWであるかに関係なくシートの搬送方向後端を検出したとの判定を行わない。
【0046】
以上のように、シート検出処理部91は、第1シートセンサー部32及び第2シートセンサー部33の両出力信号Q1,Q2がともにHIGHとなっている状態から、第1シートセンサー部32及び第2シートセンサー部33の両出力信号Q1,Q2がともにLOWとなる状態に遷移した場合のみ、シートの搬送方向後端を検出したと判定する。また、シート検出処理部91は、第1シートセンサー部32及び第2シートセンサー部33の両出力信号Q1,Q2がともにLOWとなっている状態から、第1シートセンサー部32及び第2シートセンサー部33の両出力信号Q1,Q2がともにHIGHとなる状態に遷移した場合のみ、シートの搬送方向前端を検出したと判定する。
【0047】
シートサイズ検出処理部92は、シートの搬送方向前端の検出タイミングから前記搬送方向後端の検出タイミングまでの時間と前記シートの搬送速度とに基づいて、前記シートの搬送方向におけるサイズ(長さ)L1を検出する。例えば、前記前端検出タイミングと前記後端検出タイミングとの時間差をT1(s)とし、前記シートの搬送速度をV1(cm/s)とすると、シートサイズ検出処理部92は、前記シートの搬送方向におけるサイズ(長さ)L1をL1=V1×T1と算出する。
【0048】
綴じ穴サイズ検出処理部93は、シートの搬送方向前端の検出タイミングから前記搬送方向後端の検出タイミングまでの間に一方のシートセンサーから前記周期信号が出力された場合に、その周期信号の1周期に含まれるLOWの出力時間と前記シートの搬送速度とに基づいて、前記綴じ穴のサイズ(径)を検出する。
【0049】
例えば、1周期に含まれるLOWの出力時間をT2(s)、シートの搬送速度をV1(cm/s)とすると、綴じ穴サイズ検出処理部93は、前記綴じ穴のサイズL2をL2=V1×T2と算出する。
【0050】
画像処理部94は、図5(B)に示されるように、前記シートに対し、前記綴じ穴の位置を含む印刷禁止領域R1を、綴じ穴サイズ検出処理部93により検出される綴じ穴H1のサイズやその位置に基づいて設定する。例えば、画像処理部94は、綴じ穴H1が検出された方のシートセンサーの走査ラインから綴じ穴H1のサイズに応じて定められた長さだけ主走査方向内側に離間する位置までの領域が印刷禁止領域R1として設定される。
【0051】
そして、画像処理部94は、この印刷禁止領域R1を除く領域を印刷対象領域R2とし、図5(C)に示されるように、例えば画像読取部2で読み取られた画像(図5の画像G1)をこの印刷対象領域の大きさに合うように全体的に縮小した画像を、画像形成部5に印刷させる画像として生成する。
【0052】
次に、制御部9による綴じ穴付きシートの検出処理について説明する。図6は、この検出処理のフローチャートである。このシート検出処理は、例えば原稿の画像のコピー指示がユーザーにより入力された場合に実行される。なお、図6のフローチャートにおいてステップS1、S2、・・・は処理手順(ステップ)番号を表している。また、ここでは、シートは、表向きにセットされているものとする。
【0053】
図6に示されるように、シート検出処理部91は、第1シートセンサー部32及び第2シートセンサー部33の出力信号Q1,Q2がともにLOWの状態からともにHIGH信号の状態に遷移したか否かを判定する(ステップS1)。シート検出処理部91は、遷移していないと判定した場合は(ステップS1でNO)、待機する。一方、シート検出処理部91は、遷移したと判定すると(ステップS1でYES)、シートの搬送方向前端を検出した(前記前端が検出領域を通過した)と判定する(ステップS2)。
【0054】
次に、シート検出処理部91は、第1シートセンサー部32の出力信号Q1がHIGHからLOWに切り替わったか否かを判定する(ステップS3)。その結果、シート検出処理部91は、切り替わったと判定すると(ステップS3でYES)、タイマー(不図示)により計時を開始し(ステップS4)、第1、第2シートセンサー部32,33の出力信号Q1,Q2がともにHIGHの状態になったか否かを判定する(ステップS5)。シート検出処理部91は、ともにHIGHの状態になっていないと判定すると(ステップS5でNO)、待機する。一方、シート検出処理部91は、ともにHIGHの状態になったと判定すると(ステップS5でYES)、前記計時を停止し(ステップS6)、第1、第2シートセンサー部32,33の出力信号Q1,Q2がともにLOWの状態に遷移したか否かを判定する(ステップS7)。一方、ステップS3において、シート検出処理部91は、切り替わっていないと判定すると(ステップS3でNO)、ステップS4〜S6の処理をスキップしてステップS7の処理を実行する。この場合、綴じ穴のない通常のシートに対する検出処理となる。
【0055】
ステップS7において、シート検出処理部91は、第1、第2シートセンサー部32,33の出力信号Q1,Q2がともにLOWの状態に遷移したか否かを判定する。シート検出処理部91は、遷移していないと判定すると(ステップS7でNO)、ステップS3の処理に戻る。一方、シート検出処理部91は、ともにLOWの状態に遷移したと判定すると(ステップS7でYES)、シートの搬送方向後端を検出した(前記後端が検出領域を通過した)と判定する(ステップS8)。
【0056】
そして、シートサイズ検出処理部92は、綴じ穴付きシートの搬送方向前端の検出タイミングから前記搬送方向後端の検出タイミングまでの時間と前記シートの搬送速度とに基づいて、前記綴じ穴付きシートの搬送方向におけるサイズ(長さ)L1を検出する。(ステップS9)。この場合、シートの搬送方向前端の検出タイミングから搬送方向後端の検出タイミングまでの時間は、ステップS2〜S8までの間に別途タイマーにより計時された時間が使用される。また、綴じ穴サイズ検出処理部93は、綴じ穴付きシートの搬送方向前端の検出タイミングから前記搬送方向後端の検出タイミングまでの間に第1シートセンサー部32から出力される前記周期的に変化する出力信号Q1の1周期に含まれるLOWの出力時間と前記綴じ穴付きシートの搬送速度とに基づいて、前記綴じ穴のサイズ(径)を検出する(ステップS10)。この1周期の時間は、ステップS4〜S6までの間にタイマーにより計時された時間が使用される。
【0057】
画像処理部94は、前記綴じ穴付きシートに対し、前記綴じ穴の位置を含む印刷禁止領域R1を、前記綴じ穴サイズ検出処理部93により検出される綴じ穴H1のサイズやその位置に基づいて設定する(ステップS11)。そして、画像処理部94は、この印刷禁止領域R1を除く領域を印刷対象領域R2とし、例えば画像読取部2で読み取られた画像(図5の画像G1)をこの印刷対象領域R2の大きさに合うように全体的に縮小した画像を、画像形成部5に印刷させる画像として生成する(ステップS12)。
【0058】
以上のように、本実施形態に係る画像処理装置1には、搬送される綴じ穴付きシートにおける搬送方向に直交する方向の両側部のうち一方の側部に対して予め定められた前記搬送方向に平行な第1の走査ラインL1上を相対的に走査することによりその走査に応じた信号を出力する第1シートセンサー部32が備えられている。また、画像処理装置1には、前記綴じ穴付きシートに対して予め定められた前記第1の走査ラインL1と平行な第2の走査ラインL2上を相対的に走査することによりその走査に応じた信号を出力する第2シートセンサー部33が備えられている。そして、画像処理装置1には、これら第1シートセンサー部32及び第2シートセンサー部33それぞれから出力される信号に基づいて、綴じ穴付きシートの搬送方向後端を検出するシート検出処理部91が備えられている。
【0059】
具体的には、シート検出処理部91は、第1シートセンサー部32及び第2シートセンサー部33のうちいずれか一方のシートセンサー部の出力信号がHIGHの場合は、他方のシートセンサーから出力される前記出力信号QのHIGH/LOWに関係なく綴じ穴付きシートの搬送方向後端を検出したとの判定を行わない。
【0060】
これにより、綴じ穴H1と綴じ穴付きシートの搬送方向後端とを誤って検出するのを回避することができる。その結果、シートサイズの誤検出を防止することができる。
【0061】
また、本実施形態に係る画像処理装置1においては、前記綴じ穴付きシートの搬送方向に直交する方向の両側部のうち前記第1の走査ラインL1とは反対側の他方の側部における第2の走査ラインL2上を第2シートセンサー部33に走査させる。よって、綴じ穴付きシートがその搬送方向に平行な軸を回転軸として回転して裏返しにした場合でも、綴じ穴付きシートの搬送方向後端を正確に検出することができる。ただし、本発明において、第2の走査ラインL2は、前記第1の走査ラインL1とは反対側の他方の側部に限定されるものではない。
【0062】
また、綴じ穴付きシートの搬送方向前端の検出時から後端の検出時までの間に第1、第2シートセンサー部32,33の一方からシート非検出信号が周期的に出力されると、そのシート非検出信号の1周期における出力時間に基づいて前記綴じ穴H1のサイズが検出される。そして、その綴じ穴H1に基づく印刷禁止領域が前記綴じ穴付きシートに設定され、前記印刷禁止領域を除く領域を印刷対象領域としてサイズ調整した画像が、前記印刷手段に印刷させる画像として生成される。
【0063】
これにより、印刷シートが綴じ穴付きシートである場合であっても、読み取った原稿の画像を、綴じ穴部分を除いた領域に画像の視認性を低下させることなく適切に印刷することができる。
【0064】
なお、前記実施形態では、光学センサー321,331として反射型の光学センサーを採用したが、これに限定されず、透過型の光学センサー、或いは、磁気を用いた近接センサーなども採用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 画像処理装置
5 画像形成部(印刷手段)
32 第1シートセンサー部(第1信号出力手段)
33 第2シートセンサー部(第2信号出力手段)
91 シート検出処理部(第1検出処理手段)
92 サイズ検出処理部(第2検出処理手段)
93 綴じ穴サイズ検出処理部(第3検出処理手段)
94 画像処理部(画像処理手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6