特許第6041801号(P6041801)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041801
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】フレキシブルな熱交換器
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20161206BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   H01L23/46 Z
   H05K7/20 N
【請求項の数】19
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-513635(P2013-513635)
(86)(22)【出願日】2011年6月2日
(65)【公表番号】特表2013-534048(P2013-534048A)
(43)【公表日】2013年8月29日
(86)【国際出願番号】EP2011059175
(87)【国際公開番号】WO2011154316
(87)【国際公開日】20111215
【審査請求日】2014年2月12日
【審判番号】不服-277(P-277/J1)
【審判請求日】2016年1月7日
(31)【優先権主張番号】12/814,175
(32)【優先日】2010年6月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108501
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 剛史
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】クライン、エリック、ヴァンス
(72)【発明者】
【氏名】ホラハン、モーリス、フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ラスムッセン、マイケル、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】クリステク、ポール
(72)【発明者】
【氏名】ザンス、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】シンハ、アルヴィンド、クマール
【合議体】
【審判長】 井上 信一
【審判官】 國分 直樹
【審判官】 関谷 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第1705550(EP,A2)
【文献】 特開2006−140456(JP,A)
【文献】 特開平1−245550(JP,A)
【文献】 特開2007−294891(JP,A)
【文献】 特開平3−211862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/34-23/473
H05K7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の半導体コンポーネントを冷却する為の熱交換器を構築する方法であって、
所定の熱伝導性金属箔の第1および第2平面シートを準備するステップであって、前記平面シートの各々は内面および外面を有する、前記準備するステップと、
前記第1平面シートに1つ以上の熱接触ノード(TCN)を形成するステップであって、各TCNは、前記第1平面シートの前記外面から外側へ迫り出していて、且つ平面接触部材と1つ以上の側面部とを含み、少なくとも1つの前記TCNの前記側面部は、当該TCNの前記接触部材が前記第1平面シートの前記外面上に近づいたり離れたりして動くことを共同で可能にする弾性コンポーネント群をそれぞれ含み、前記TCNの前記側面部と接触部材とは、共同で冷却材チャンバを形成する、前記形成するステップと、
前記第1平面シートの前記内面に沿って導管セグメントを構成するステップであって、各導管セグメントは、選択的に、2つ以上の前記TCNの前記冷却材チャンバの間に、または前記TCNの前記冷却材チャンバと入力ポートもしくは出力ポートとの間に延びる、前記構成するステップと、
各導管セグメントを包含し各TCNの前記冷却材チャンバに冷却液が出入りできるようにする密閉型流路を形成するために、前記第2平面シートの内面を前記第1平面シートの内面に接合するステップと
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記TCN全ての前記側面部は、前記TCNの前記接触部材が前記第1平面シートの前記外面に近づいたり離れたりして動くことを共同で可能にする弾性コンポーネント群をそれぞれ含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1平面シートに複数のTCNが形成され、各TCNは前記第1平面シートと直交するZ軸に沿って測られる寸法を有しており、前記TCNのうち1つのZ軸寸法が前記TCNのうち別の1つのZ軸寸法と異なっている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記側面部の各々の前記弾性コンポーネントは、蛇腹構造を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2平面シートに1つ以上のTCNが形成され、前記第2平面シートに形成された各TCNは、前記第2平面シートの前記外面から外側へ迫り出していて、平面接触部材と1つ以上の側面部とを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記冷却材が、少なくとも1つの前記TCNの前記冷却材チャンバから、別の1つの前記TCNの前記冷却材チャンバから流れ出る速度とは異なる速度で流れ出るようにするために、1つ以上の前記導管セグメントの断面が、1つ以上の別の導管セグメントの断面とは異なるように作られる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
所与の冷却材チャンバを流れる冷却材の乱流を生じさせるべく、前記所与の冷却材チャンバ内に選択された構造が設置される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記TCNおよび前記導管セグメントは、型押し加工によって前記第1平面シート内に形成される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1および第2平面シートを、前記TCNの各々および前記導管セグメントの各々をそれぞれ取り囲む範囲で接合するように、レーザ溶接プロセスが用いられる、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記TCNを形成するステップおよび前記導管セグメントを構成するステップに先立ち、前記第1および第2平面シートの前記内面が、前記冷却材とは反応しない選択された障壁金属で各々覆われる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記導管セグメントおよび前記冷却材チャンバは、前記入力ポートから前記出力ポートまで前記冷却材用の流路を共同で画定する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
1つ以上の半導体コンポーネントを冷却する熱交換装置であって、
所定の熱伝導性金属箔の第1平面シートおよび前記所定の熱伝導性金属箔の第2平面シートであって、前記平面シートの各々は内面および外面を有し、1つ以上の熱接触ノード(TCN)が前記第1平面シートに形成され、各TCNは、前記第1平面シートの前記外面から外側へ迫り出していて、且つ平面接触部材と1つ以上の側面部とを含み、少なくとも1つの前記TCNの前記側面部は、当該TCNの前記接触部材が前記第1平面シートの前記外面上に近づいたり離れたりして動くことを共同で可能にする弾性コンポーネント群をそれぞれ含み、TCNの前記側面部と接触部材とは、共同で冷却材チャンバを形成し、前記第1平面シートの前記内面に沿って導管セグメントが構成され、各導管セグメントは、選択的に、2つ以上の前記TCNの前記冷却材チャンバの間に、または前記TCNの前記冷却材チャンバと入力ポートまたは出力ポートとの間に延びる、前記第1平面シートおよび前記第2平面シートと、
各導管セグメントを包含し各TCNの前記冷却材チャンバに冷却液が出入りできるようにする密閉型流路を形成するために、前記第2平面シートの内面を前記第1平面シートの内面に接合する手段と
を含む、前記装置。
【請求項13】
各側面部の前記弾性コンポーネントは、蛇腹構造を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記冷却材が、少なくとも1つの前記TCNの前記冷却材チャンバから、別の1つの前記TCNの前記冷却材チャンバから流れ出る速度とは異なる速度で流れ出るようにするために、1つ以上の前記導管セグメントの断面が、1つ以上の別の導管セグメントの断面とは異なるように作られる、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記TCNの前記熱伝達効率を高めるために、所与の冷却材チャンバを流れる冷却材の乱流を生じさせるべく、前記所与の冷却材チャンバ内に選択された液流乱流構造が設置される、請求項12〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記TCNおよび前記導管セグメントは、型押し加工によって前記第1平面シート内に形成される、請求項12〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記第1および第2平面シートの前記内面が、前記冷却材とは反応しない選択された障壁金属で各々覆われる、請求項12〜16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
冷却材循環機構から冷却材を受け取るように前記入力ポートに接合された入力冷却材コネクタと、
前記冷却材循環機構に冷却材を戻すように前記出力ポートに接合された出力冷却材コネクタと
をさらに含む、請求項12〜17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記TCNのうち第1のTCNが、第1半導体コンポーネントに接触するようになっており、前記TCNのうち第2のTCNが、第2半導体コンポーネントに接触するようになっており、前記第1および第2半導体コンポーネントは、相互に隣接しており、相互に異なる高さ寸法をそれぞれ有している、請求項12〜18のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に、プリント回路基板(PCB:printed circuit board)デバイスまたはその他の半導体デバイスもしくはコンポーネントを冷却する液体流通式(LFT:liquid flow through)熱交換器に関する。より具体的には、本発明は、フレキシブルであり、高さその他の寸法が多様な半導体デバイスでの使用に容易に適応できる、上記タイプの熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
高性能なコンピューティング・システムは、かつてないほど大量の電力を高い電力密度で使用している。このため、システムの冷却の要件がより厳しくなっており、液体冷却を用いる解決策を検討することが不可欠である。現在利用可能な液体冷却の手法としては、ヒート・パイプ法、蒸気チャンバ法、および液体流通式(LFT)法が挙げられる。一方、これらの解決策は、相当に費用がかかる傾向にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
液体冷却を使用するシステムでは、熱を除去するコンポーネントを、PCBアセンブリなどの上にある半導体デバイスと物理的に接触させて設置することも必要であろう。ところが、隣接する半導体デバイスのサイズが異なっている場合がある。しかも、同じタイプの2つの半導体デバイスが、それぞれ許容された公差内の寸法であっても、実際には、一つ一つ異なる寸法を有している場合もある。このため、このような異なるデバイスによって生じるサイズ要求に合わせて、ほぼ適応することができる熱交換器コンポーネントを用意することは難しいと言える。一般には、ギャップを充填する機能を果たせるように熱界面材料(TIM:thermal interface material)が当業者らによって使用されている(例えば、ジェル、グリース、および放熱パテなど)。しかし、これは熱伝達効率を抑えてしまう。従って、当技術分野の現在の状況には改善が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によれば、1つ以上の半導体コンポーネントを冷却する熱交換器を構築する方法が提供される。本方法は、所定の熱伝導性金属箔の第1平面シートおよび第2平面シートを準備するステップを含み、シートは各々、外面と内面とを有している。本方法はさらに、1つ以上の熱接触ノード(TCN:thermal contact node)を第1シートに形成するステップを含み、各TCNは、第1シートの外面から外側へ迫り出していて、平面接触部材と1つ以上の側面部とを含んでいる。側面部は、TCNの接触部材が第1シートの外面に近づいたり離れたりすることを共同で可能にする弾性コンポーネント群をそれぞれ含むとよく、TCNの側面部と接触部材とは、共同で冷却材チャンバを形成する。各TCNを様々な幾何学的形状で形成することが可能であり、各TCNは実質的に独立して機械的に機能するので、かくして形成された複数のTCNであれば、様々なデバイス高さに対応することができる。第1シートもしくは第2シートまたはその両方の内面に沿って導管セグメントが構成され、各導管セグメントは、選択的に、2つのTCNの冷却材チャンバの間、あるいはTCNの冷却材チャンバと入力ポートまたは出力ポートとの間に延びる。本方法はさらに、各導管セグメントを包含し各TCNの冷却材チャンバに冷却液が出入りできるようにする密閉型流路を形成するために、第2シートの内面を第1シートの内面に接合するステップを含む。本方法はさらに、冷却材流を本発明につなげたり本発明から切り離したりするコネクタ手段を含む。
【0005】
本発明の別の態様によれば、1つ以上の半導体コンポーネントを冷却する熱交換装置が提供され、この装置は以下を含む:外面および内面を有する、所定の熱伝導性金属箔の第1平面シートであって、この第1シートには1つ以上の熱接触ノード(TCN)が形成され、各TCNは、第1シートの外面から外側へ迫り出していて、平面接触部材と1つ以上の側面部とを含み、側面部は、TCNの接触部材が第1シートの外面に近づいたり離れたりすることを共同で可能にする弾性コンポーネント群をそれぞれ含み、TCNの側面部と接触部材とは、共同で冷却材チャンバを形成し、さらに第1シートの内面に沿って導管セグメントが構成され、各導管セグメントは、選択的に、2つ以上のTCNの冷却材チャンバの間、あるいはTCNの冷却材チャンバと入力ポートまたは出力ポートとの間に延びる、第1平面シート;外面および内面を有する、上述した所定の熱伝導性金属箔の第2平面シート;および、各導管セグメントを包含し各TCNの冷却材チャンバに冷却液が出入りできるようにする密閉型流路を形成するために、第2シートの内面を第1シートの内面に接合する手段。
【0006】
以下、単なる例示として、本発明の実施形態を添付の図面に関連して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ほぼ同じ寸法である2枚の金属箔シートを含む本発明の一実施形態を示す分解斜視図である。
図2図1に示されたシートのうち1枚の反対側を示す斜視図である。
図3図2の3−3線に沿った断面図である。
図4】半導体デバイスから熱を除去するべくそれぞれの半導体デバイスに係合している、図1の実施形態のTCNを示す概略図である。
図5図1の実施形態の変更を示す概略図である。
図6図1の実施形態のさらなる変更を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
当業者には当然のことながら、本発明は、システムまたは方法として具現化され得る。従って本発明は、完全にハードウェアの実施形態の形をとることも、完全にプロセスの実施形態(設計、製造、組み立ておよび使用の各ステップなどを含む)の形をとることも、あるいは方法の態様とハードウェアの態様とを組み合わせた実施形態の形をとることもあり、その全てが本明細書において「プロセス」または「アセンブリ」または「システム」と一般的に称される場合がある。
【0009】
本発明の諸実施形態は、例えば単一モジュールあるいは完全なPCBアセンブリ上にあるような半導体デバイスまたはコンポーネントから熱を除去する方法および装置を提供する。諸実施形態は、簡略化を推進しコストを削減するものであり、相互に隣接しているがサイズまたは寸法が相互に異なる複数の半導体コンポーネントでの使用に容易に適応できるものである。本発明の諸実施形態はさらに、同一タイプの半導体デバイスの間で生じ得る、高さまたは他の重要な寸法のばらつきに適応することもできる。
【0010】
図1を参照すると、複数の半導体デバイスまたはコンポーネントから熱を除去する液体流通式(LFT)熱交換器を含む、本発明の一実施形態の分解斜視図が示されている。この熱交換器は、相互に隣接しているがサイズが相違するデバイスでの使用に容易に適応することができる。図1は、実質的に平面の金属箔シート10および12の2つの長方形を示し、これらは有用なように同じ寸法となっている。故に、シート10の長さおよび断面は、シート12の長さおよび断面にそれぞれ等しい。金属箔シート10および12は、銅、黄銅合金、ベリリウム銅(BeCu)、アルミニウム、アルミニウム合金、またはステンレス鋼などといった熱伝導性の高い材料から形成される。一方、本発明はそれらに限定される訳ではない。
【0011】
シート10および12は各々、例えばシート12の内面12aのように、内面を有している。シート10の内面10aは、図2に示されている。各シートは、例えばシート10の外面10bのように、外面も有している。図1の熱交換器を製造するにあたり、シート10および12は、内面10aと12aとが互いに密に接した関係に保たれるように接合される。図1に示すように、2枚のシートを、対応するそれぞれの角が互いに揃うように接合することも有用である。一方、シートの接合ができるようになる前に、少なくとも一方のシートの材料に、或る特定の構造的特徴または3次元的特徴を形成することが必要である。こうした構造的特徴は、熱を除去するために図1の熱交換器が使われる半導体デバイス群の特定形状によって決まる。
【0012】
さらに図1を参照すると、限定ではなく例示として、金属箔シート10内にそれぞれ形成され故に熱伝導性である熱接触ノード(TCN)14および16が示されている。TCN14は平面接触部材14aを有し、TCN16は平面接触部材16aを有する。部材16aは、外面10bから外側へある程度の間隔をもって迫り出しており、接触部材16aの四辺に沿ってそれぞれ配置された側面部16b乃至16eによって外面10bに対して支持されている。本明細書にて以下にさらに詳しく述べるように、各側面部は、剛性コンポーネントと弾性コンポーネントとを含む。剛性コンポーネントは、シート10の外面10bにしっかりと接合されている。弾性コンポーネントは、剛性コンポーネントと部材16aとの間に配置されており、部材16aが外面10bに近づいたり離れたりして動くことまたは曲がること、言い換えれば、Z軸に沿って動くことを可能にしている。
【0013】
平面接触部材14aも同様に、接触部材14aの四辺に沿ってそれぞれ配置されている側面部14b乃至14eによって、Z軸に沿って動くように支持されている。各側面部14b乃至14eは、側面部16b乃至16eと構造および機能が同様である。
【0014】
図1はさらに、平面接触部材14aと16aとが、特定の距離、互いに離間していることを示している。このことは、部材14aと16aとを隔てているその特定の距離分、同様に離間している2つの半導体デバイスを冷却するのに、組み立て後の図1の熱交換器が使用されるということを意味している。加えて、図1は、接触部材16aは部材14aよりも相当に大きいことを示している。このことは、TCN16が用いられることになるデバイスは、TCN14が用いられることになるデバイスよりも大きいか、あるいはより大きな熱接触表面積を必要とするということを意味している。
【0015】
上述した通り、図1に示すように2つのTCNを備えることは例示に過ぎず、本発明は決してこれに限定されるものではない。より一般的には、シート10上に形成されるTCNの数ならびにそれぞれのサイズおよび位置は、電子コンポーネントの熱を除去する多数の様々な用途でのニーズに合わせて容易に適応可能であることを強調しておく。この性能が、本発明の実施形態によってもたらされる柔軟性を際立たせる。特定の用途に向けて設計された特定形状のTCNは、シート10を型押しまたは成型することによって、あるいは当業者に既知である他の技術を用いることによって製造することができる。
【0016】
熱除去の機能を実行するためには、各々のTCNとそれぞれの平面接触部材14aおよび16aとに近づき離れる冷却材流体流を提供することが必要である。従って、シート10にTCN14および16を形成することに加え、冷却材流チャネルもそこに形成される。より具体的には、図1に、シート10内に形成された導管セグメント18、20および22が示されている。これらセグメントの各々は、半円形の断面を有しシート10の外面10bに対して凸状であり、言い換えれば、各セグメントはこの外面から外側へ迫り出している。導管セグメント18は、導管端部18aからTCN16まで延びている。セグメント20は、TCN16からTCN14まで延びており、導管セグメント22は、TCN14から導管端部22aまで延びている。
【0017】
図2を参照すると、シート10の内面10a、言い換えれば、シートの外面10bとは反対側の側面が示されている。図2はさらに、TCN16の接触部材16aおよびその側面部16b乃至16eが、冷却液流体を受け取り収容することのできるチャンバまたはコンパートメント24を共同で形成することを示している。冷却材導管セグメント18の端部18bが、チャンバ24にアクセスすなわち開口するように形成されている。同様に、導管セグメント20の端部20aが、チャンバ24にアクセスまたは開口している。
【0018】
図2をさらに参照すると、TCN16と同様に、TCN14の接触部材14aおよび側面部14b乃至14eが、冷却材流体を受け取り収容することのできるチャンバ26を共同で形成しているのがわかる。導管セグメント20の端部20bと導管セグメント22の端部22bとが、各々チャンバ26にアクセスまたは開口している。
【0019】
再び図1を参照すると、上述のようにシート10と12とが接合されるとき、チャンバ24および26は、導管セグメントにアクセスする箇所以外では完全に密閉されることになることがわかる。さらに、チャンバ24とチャンバ26と導管セグメントとは、導管端部18aおよび22a以外では密閉されているシステムを共同で構成する。導管端部のうちの1つを入力ポートとして、もう一方を出力ポートとして使用すれば、冷却液流体が、選択的に、導管セグメントを通りさらにTCN16のチャンバ24およびTCN14のチャンバ26を通って循環することができる。
【0020】
金属箔シート10と12とを接合する際には、レーザ溶接を用いて、シート10および12の、TCN14および16の周囲領域あるいは近接領域を接合し、さらには導管セグメント18乃至22に近接する領域をも接合するとよい。こうすれば、流体を収容しているチャンバ24および26、ならびに導管セグメントの密閉が確実にしっかりと形成されることになる。シート10および12のエッジは、レーザ溶接によって接合されてもよいし、あるいは、接着剤によって、もしくははんだ付けのような冶金プロセスによって接合されてもよい。
【0021】
図1はさらに、シート12に形成された小型の導管セグメント28および30を示している。これらの導管セグメントは各々、半円形の断面を有し、内面12aに対して凸状であって、言い換えれば、図1に示されているように、各導管はシート10から出っ張っている。導管セグメント28および30は、シート10および12が接合される際に、導管端部18aおよび22aにそれぞれ合わさるように配置されている。こうすると、導管セグメント18および22各々の口に円形の開口部が備わる。カップリング32および34が、各々上記開口部の対応する開口部の大きさに合せて作られ、対応する開口部に取り付けられる。このカップリングは次いで、カップリングのうちの1つ、例えば34を入力ポートとして選択し、もう一方を出力ポートとして選択し、従来型の冷却材流体ポンプ(図示せず)につなげられるとよい。ポンプを動作させると、上述したように、冷却液流体が熱除去用途のためにTCNの各々に循環する。冷却材流体には、蒸留水、あるいは半導体デバイスから熱を除去するのに当業者によって使用されるその他の流体を含めることができよう。
【0022】
ここで図3を参照すると、図2の3−3線に沿った金属箔シート10の断面図が示されている。図3は故に、TCN16の側面部16eおよび16cの特徴を示す。より詳細には、これら側面部の各々が、比較的剛性であるコンポーネント36を含むように示されている。言い換えれば、TCN16がシート10内に形成されるときに、該TCNがシート10の隣接部分に対して動かなくなるように、側面部コンポーネント36が各々構築されている。
【0023】
さらに図3を参照すると、各剛性コンポーネント36に付き、TCN16の接触部材16aの辺またはエッジにも付いているコンポーネント38が示されている。シート10の形成において、各コンポーネント38は、たわむことができるように、あるいは弾力性が備わるように、蛇腹式に、あるいは蛇腹として機能するように製造される。故に接触部材16aは、シート10に近づいたり離れたりして動くこと、言い換えれば、図3に示されているように、上方向または下方向へすなわちZ軸に沿って動くことができる。シート10の形成において、TCNの弾性コンポーネント38は、有用には所定のバネ定数を備え、TCNの諸要素がシート10の材料の弾性限界の範囲内で圧縮または伸張することを可能にしている。
【0024】
図3には示さないが、側面部16bおよび16dは各々、剛性コンポーネント36および弾性コンポーネント38とそれぞれ類似のあるいは同一の剛性コンポーネントおよび弾性コンポーネントを含む。
【0025】
さらに図3を参照すると、剛性コンポーネント40および弾性コンポーネント42を各々含んだ側面部14eおよび14cが示されている。上述したように、各コンポーネント40はコンポーネント36に類似し、各コンポーネント42はコンポーネント38に類似する。従って、TCN14の接触部材14aは、接触部材16aと同じように、Z軸に沿って動くことができる。
【0026】
図3には示さないが、側面部14bおよび14dは各々、側面部14cおよび14eに関連して図3に示されているものと類似あるいは同一の剛性コンポーネントおよび弾性コンポーネントを含む。
【0027】
図4を参照すると、半導体電子デバイスから熱を除去する、上述の実施形態の使用あるいは動作を説明する概略図が示されている。より詳細には、図4は、PCB44などに取り付けられた半導体デバイス46および48を示しており、TCN16の接触部材16aは、デバイス46と接触関係になっている。従って、デバイス46からの熱は、熱伝導性の部材16aに移されて、部材16aを通り抜け、チャンバ24に収容されている冷却液50に移される。上述したように、チャンバ24には冷却液が循環させられているとよく、その結果チャンバから熱が除去される。
【0028】
図4は同様に、半導体デバイス48に接触して、該半導体デバイスから熱を除去しその熱をチャンバ26にある冷却材50に移す、TCN14の接触部材14aを示している。図4に示された半導体デバイス46および48は、明らかに相互のサイズが異なっていることが分かる。この点に鑑み、TCN14および16も同様に、相互に異なるように構築されて、各々が、対応する半導体デバイスに合わさるようになっている。従って図4は、様々な冷却要求に適応するべく本発明の実施形態によって提供することができる柔軟性についてもさらに示している。半導体デバイスの個々の配列に適合する構成を用いれば、妥当な任意の数のTCNおよび導管セグメントをシート10に形成することができると考えられる。
【0029】
本発明の実施形態によってもたらされるさらなる利点を説明するために、図4は、高さの印46aの付いた半導体デバイス46を示している。この印は、デバイス46が有し得る最も低い高さでありながら、事前に指定された許容誤差内にある高さを表す。図4はさらに、デバイス46が、最低高さ条件46aを量Δ超過していることを示している。しかしTCN16を上述したように構築すれば、弾性コンポーネント38によって、効果的な熱伝達をもたらすべくデバイス46との緊密な接触を保ちつつ、接触部材16aを前述の量Δ調整することあるいは補うことが可能になる。図4に表されているように、部材16aが量Δ上方向に動かされて、デバイス46が最低許容高さを超過する分の高さに対応する。同時に、コンポーネント38の弾力性は、デバイス46またはTCN16が過度のストレスにさらされるのを防ぎ、それらが弾性限界を超過することがないようにしている。
【0030】
図1に示した実施形態の一変更例では、シート10に関連して上述したものと同様の特徴を備えた1つ以上のTCNおよび導管セグメントが、シート12にも形成されるとよい。そうすれば、得られた変更型の熱交換器を2つの半導体デバイス構成の間に設置して、構成の1つをシート10のTCNによって冷却し、もう一方の構成をシート12のTCNによって冷却することが可能になり得る。
【0031】
さらなる変更例では、任意のTCNまたは導管セグメントを形成する前あるいは形成後に、シート10および12双方の内面を、障壁金属と称される金属で覆うことが考えられる。この金属は、冷却材流体として使用される液体とは反応しない。故に、障壁金属を使用すれば、熱交換器内部の腐食が減少する。
【0032】
さらに別の変更例では、1つ以上の導管セグメントの断面をほかの部分の断面よりも大きくして、冷却材が特定のTCNから流れ出る速度を速めることができると考えられる。例えば、冷却材が、導管端部22aから、それぞれの導管セグメントならびにTCN14および16を流れて導管端部18aに達する場合に、導管セグメント18の直径をセグメント22の直径よりも大きくすることができよう。こうすれば、冷却材がTCN16から流れ出る速度が速まり、故に、TCN16の熱を放散する能力が高まることになると考えられる。別の方法として、2つ以上の導管セグメントをシート10に形成してTCN16から熱を運び去ることもできよう。
【0033】
図5を参照すると、TCN14および16に類似するTCN52が示されている。TCN52は従って、冷却材チャンバを共同で形成する平面接触部材52aと側面部52b乃至52eとを含む。本発明の一変更例では、一連の波形または起伏を含んだ構造54が、TCN52の一部として、言い換えれば、TCN52の他のコンポーネントと一体になってあるいはその場で形成される。従って構造54は、TCN52の冷却材チャンバに収容されており、部材52aと一体に形成され、該部材上で支持されている。
【0034】
TCN52の冷却材チャンバ内に構造54を設置することにより、チャンバを流れる冷却材が相当な乱流になる。この乱流も、部材52aに接触している半導体デバイスからチャンバ内の流体に移された熱を流体によってさらに効果的に放散させることになる。
【0035】
図6を参照すると、TCN14および16に類似するTCN56が示されている。TCN56は従って、冷却材チャンバを共同で形成する平面接触部材56aと側面部56b乃至56eとを含む。本発明のさらなる変更例では、図5の構造54に類似する構造58が、一連の波状または起伏を含む。ただし構造58は、TCN56とは独立して形成され、TCN56が形成されてからTCN56の冷却材チャンバ内に設置される。構造58は、構造54と同じようなやり方で、TCN56のチャンバ内に冷却材の乱流を生じさせる。
【0036】
本明細書にて使用されている用語は、個々の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定しようとするものではない。本明細書で用いられる単数形「ひとつの(a、an)」および「その(the)」は、文脈によって明らかに別の指定がなされない限り、複数形をも含むことが意図されている。さらに、当然のことながら、用語「含む(comprise)」もしくは「含んでいる(comprising)」またはその両方は、本明細書にて使用されている場合、述べられている特徴、整数値、ステップ、動作、要素もしくはコンポーネントまたはそのいずれかの組み合わせの存在を指定するものであるが、1つ以上の他の特徴、整数値、ステップ、動作、要素、コンポーネントもしくはそれらのグループまたはそのいずれかの組み合わせの存在または追加を排除するものではない。
【0037】
以下の請求項における全てのミーンズまたはステップ・プラス・ファンクション要素の対応する構造、材料、作用および同等物は、請求されているその他の要素と組み合わされて特に請求されているように当該機能を果たすあらゆる構造、材料または行為を包含しようとするものである。本発明に関する記載を例示および説明のために呈示してきたが、網羅的であること、または開示された形態に本発明を限定することは意図されていない。本発明の範囲および精神から逸脱することなく、多数の変更および変形が当業者には明らかとなるであろう。実施形態は、本発明の原理および実際的応用を最もよく説明するために、加えて他の当業者が、検討される個々の用途に適するよう多様な変更を伴った多様な実施形態に向けて本発明を理解できるようにするために、選ばれ記載されたものである。
【0038】
本発明は、完全にハードウェアの実施形態の形をとること、完全に方法の実施形態の形をとること、またはハードウェアと方法との両方の要素を含んだ実施形態の形をとることができる。好適な実施形態では、本発明は、本発明を設計、製造および利用するための実際のコンポーネントおよび部分ならびに特定のプロセス・ステップを含むがこれらに限定されないプロセスにより実現される。
【0039】
本発明の記載は、例示および説明のために呈示されてきたものであり、網羅的であること、または開示された形態に本発明を限定することは意図されていない。多数の変更および変形が、当業者には明らかとなるであろう。実施形態は、本発明の原理および実際的応用を最もよく説明するために、加えて他の当業者が、検討される個々の用途に適するように多様な変更を伴った多様な実施形態に向けて本発明を理解できるようにするために、選ばれ記載されたものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6