特許第6041803号(P6041803)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6041803保護ヘルメットに取り付けられる顔面保護具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041803
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】保護ヘルメットに取り付けられる顔面保護具
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/18 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   A42B3/18
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-519079(P2013-519079)
(86)(22)【出願日】2011年7月12日
(65)【公表番号】特表2013-531149(P2013-531149A)
(43)【公表日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】EP2011061883
(87)【国際公開番号】WO2012007476
(87)【国際公開日】20120119
【審査請求日】2014年5月15日
(31)【優先権主張番号】102010027015.6
(32)【優先日】2010年7月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513096082
【氏名又は名称】ファンナー・シュッツベクライドゥング・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファンナー、アントン
(72)【発明者】
【氏名】グレバー、マーティン
【審査官】 山本 杏子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−028504(JP,A)
【文献】 仏国追加特許公開第2352507(FR,A2)
【文献】 国際公開第2009/137177(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 3/00−3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護ヘルメットに取り付けられる顔面保護具であって、
顔面を覆う本体部、及び該本体部の左右両側部から延出した2つの保持アームを備えたバイザーと、
前記バイザーを下向きに回動変位させて顔面を覆って保護する状態の使用位置及び前記バイザーを上向きに回動変位させた状態の待機位置の間で回動変位し得るように前記両保持アームを、前記ヘルメットのヘルメットシェルに枢支する左右2つのベアリングデバイスとを含み、
前記各ベアリングデバイスが、前記ヘルメットの前記ヘルメットシェルの内面に取り付けることができるように構成されており、
前記各保持アームが、前記バイザーの前記本体部に連結している基端部から、前記ベアリングデバイスに結合されるかまたは結合可能にされた当該保持アームの遊端にかけて、前記バイザーの前記本体部の側辺に対し平行をなし、かつ該側辺に対して所定の間隔を隔てるように延在することにより、前記待機位置にある前記ヘルメットシェルが突入するべきスロットが前記所定の間隔によって構成され、それにより、前記保持アームの遊端側が前記ヘルメットシェルの内側に配置され、かつ前記待機位置において前記バイザーが前記ヘルメットシェルの外面に密接に適合するようにし、
前記各保持アームの遊端が、リング状ベアリングブッシュとして形成されており、
前記各ベアリングデバイスが、前記リング状ベアリングブッシュに嵌合して前記各保持アームを回動可能に支持するベアリングピボットを有しており、
前記各ベアリングデバイスが、スナップ結合機構の一部として形成されて受容部を有し、該受容部が、前記ヘルメットシェルの内面に設けられた前記スナップ結合機構の他方の部分にスナップ結合し、該他方の部分は、複数の棒状突出体からなり、
前記ベアリングピボットがそれぞれの前記ベアリングデバイスに取り付けられ、前記ベアリングピボットが前記保持アームの前記リング状ベアリングブッシュの1つに結合可能であることによって前記バイザーを支持する支持ジョイント機構が形成されたことを特徴とする顔面保護具。
【請求項2】
請求項1に記載の顔面保護具であって、
前記ベアリングデバイスに設けられた弾性指部によって、前記ベアリングデバイスの前記受容部と前記棒状突出体とのスナップ結合が実現されることを特徴とする顔面保護具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の顔面保護具であって、
前記各スナップ結合機構の前記ベアリングピボットが、前記リング状ベアリングブッシュとスナップ結合可能な、回転軸方向に突出した弾性的にフレキシブルなタペットを有していることを特徴とする顔面保護具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の顔面保護具であって、
前記リング状ベアリングブッシュにその外側から係合し、前記バイザーを前記使用位置または前記待機位置において解除可能にかつ確実に保持するためのロック要素をさらに含むことを特徴とする顔面保護具。
【請求項5】
請求項4に記載の顔面保護具であって、
前記ロック要素が、
ロッド部材と、
前記ロッド部材の一端にて前記リング状ベアリングブッシュの軸線と平行な軸線周りに回転可能に支持されたロール部材と、
前記リング状ベアリングブッシュの軸線に平行な軸線方向において前記各ベアリングデバイスに枢支されて、前記ロッド部材の他端側を該軸線方向に直交する方向に摺動可能に保持するピボットベアリングと、
前記ピボットベアリング及び前記ロール部材の間で前記ロッド部材に軸支された、前記ロッド部材を前記一端側に向けて付勢する圧縮ばねとを含み、
前記リング状ベアリングブッシュの回動に対応して、前記ロッド部材が前記ピボットベアリングを摺動すると共に前記ピボットベアリングを軸に所定の範囲で回動可能であることを特徴とする顔面保護具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護ヘルメット、特に森林作業者用の保護ヘルメットに取り付けられる顔面保護具に関する。従来の顔面保護具は、2つの保持アームを有するバイザーと、ヘルメットのヘルメットシェルに取り付けられ、バイザーを2つの位置、すなわちバイザーを下げて顔面を覆って保護する状態の使用位置とバイザーを上げた状態の待機位置との間でバイザーを回動変位させることができる保持アーム用の2つのベアリングデバイスとを含む。
【背景技術】
【0002】
回動可能な顔面保護具を備えた上述したようなタイプの安全ヘルメットは、特許文献1に開示されている。バイザーの保持アーム用のベアリングデバイスは、ヘルメットシェルの外面に取り付けられる。このような安全ヘルメットでは、使用時に、ヘルメットに衝突した障害物が保持アーム及び/またはバイザーの引っ掛かって、ヘルメットの着用者の作業を妨げたり、ヘルメットを剥ぎ取ってヘルメットの着用者を危険にさらしたりするおそれがあるという欠点がある。特に、バイザーを上向きに回動変位させた、かつバイザーの上側縁部がヘルメットの外面から離間している状態で森林作業を行う場合、木の枝がヘルメットとバイザーとの間に容易に入り込み、それにより、ヘルメットからバイザーが取れたり、ヘルメット着用者の頭部からヘルメットが脱げたりするおそれがある。
【0003】
このタイプの別の保護ヘルメットが、特許文献2に開示されている。この保護ヘルメットでは、顔面及び/または耳保護具は、一般的な結合要素によってヘルメットの外面に取り付けられる。
【0004】
顔面保護具などのヘルメットアクセサリが保護ヘルメットの外面に取り付けられることが、特許文献3〜8に開示されている。これらの特許文献に開示されている保護ヘルメットも、バイザーの保持アームが障害物に引っ掛かった場合は、ヘルメットの着用者の作業が妨げられたり、着用者が危険にさらされたりする。
【0005】
特許文献9に開示されている保護ヘルメットでは、バイザーの取付ブラケットは、ヘルメットシェルの外面の回動可能な横領域の下側で回転軸にヒンジ結合されている。このように構成されたバイザーは、バイザーの取付ブラケットが障害物に引っ掛かる可能性を排除できないので、ここでは選択した。
【0006】
特許文献10には、ヘルメットの内側シェルの下側縁部にヒンジ結合されたバイザーを備えた消防士用のヘルメットが示されている。バイザーの収容位置は、内側シェルと外側シェルとの間に位置するように見える。このタイプの顔面保護具は、特別に設計されたヘルメットにのみ使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】DE 35 90 667 C2(ドイツ国特許公報)
【特許文献2】DE 87 14 490 U1(ドイツ国実用新案公報)
【特許文献3】DE 28 26 636 C2(ドイツ国特許公報)
【特許文献4】DE 29 07 056 A1(ドイツ国特許公報)
【特許文献5】DE 33 14 595 C2(ドイツ国特許公報)
【特許文献6】DE 35 90 667 C2(ドイツ国特許公報)
【特許文献7】DE 97 10 596 U1(ドイツ国実用新案公報)
【特許文献8】DE 297 08 134 U1(ドイツ国実用新案公報)
【特許文献9】DE 10 2006 013 25 A1(ドイツ国特許公報)
【特許文献10】PCT国際特許公開第WO 2008/033189 A2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、冒頭に説明した及び最初に述べた文献(特許文献1)から公知のタイプの顔面保護具であって、バイザーの開位置及び閉位置において、バイザー及び/または該バイザーの保持アームが障害物に引っ掛かるおそれがない顔面保護具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、上記課題は、各ベアリングデバイスをヘルメットシェルの内面に取り付けることができるように構成することにより、並びに、各保持アームが、バイザーから、ベアリングデバイスに結合されるかまたは結合可能にされた当該保持アームの遊端に向けて、バイザーに対して平行をなし、かつ所定の間隔を隔てて延出することにより、待機位置にあるヘルメットシェルが突入するべきスロットを形成し、それにより、待機位置においてバイザーがヘルメットシェルの外面に密接に適合するように構成することにより解決される。本発明の顔面保護具によれば、バイザーは、上向きに回動変位させた状態でも下向きに回動変位させた状態でも、バイザーの上側縁部とヘルメットシェルの外面との間に隙間がほとんど存在しないように、保持アームによりガイドされる。したがって、本発明の顔面保護具は、障害物に引っ掛かるおそれがない。
【0010】
本発明のある側面は、保護ヘルメットに取り付けられる顔面保護具であって、顔面を覆う本体部、及び該本体部の左右両側部から延出した2つの保持アームを備えたバイザーと、前記バイザーを下向きに回動変位させて顔面を覆って保護する状態の使用位置及び前記バイザーを上向きに回動変位させた状態の待機位置の間で回動変位し得るように前記両保持アームを、前記ヘルメットのヘルメットシェルに枢支する左右2つのベアリングデバイスとを含み、前記各ベアリングデバイスが、前記ヘルメットの前記ヘルメットシェルの内面に取り付けることができるように構成されており、前記各保持アームが、前記バイザーの前記本体部に連結している基端部から、前記ベアリングデバイスに結合されるかまたは結合可能にされた当該保持アームの遊端にかけて、前記バイザーの前記本体部の側辺に対して実質的に平行をなし、かつ該側辺に対して所定の間隔を隔てるように延在することにより、前記待機位置にある前記ヘルメットシェルが突入するべきスロットが前記所定の間隔によって構成され、それにより、前記保持アームの遊端側が前記ヘルメットシェルの内側に配置され、かつ前記待機位置において前記バイザーが前記ヘルメットシェルの外面に密接に適合するようにし、前記各保持アームの遊端が、リング状ベアリングブッシュとして形成されており、前記各ベアリングデバイスが、前記リング状ベアリングブッシュに嵌合して前記各保持アームを回動可能に支持するベアリングピボットを有しており、前記各ベアリングデバイスが、スナップ結合機構の一部として形成されて受容部を有し、該受容部が、前記ヘルメットシェルの内面に設けられた前記スナップ結合機構の他方の部分にスナップ結合し、該他方の部分は、複数の棒状突出体からなり、前記ベアリングピボットがそれぞれの前記ベアリングデバイスに取り付けられ、前記ベアリングピボットが前記保持アームの前記リング状ベアリングブッシュの1つに結合可能であることによって前記バイザーを支持する支持ジョイント機構が形成されたことを特徴とする。本発明の他の側面は、上記構成において、前記ベアリングデバイスに設けられた弾性指部によって、前記ベアリングデバイスの前記受容部と前記棒状突出体とのスナップ結合が実現されることを特徴とする。本発明の他の側面は、上記構成において、前記各スナップ結合機構の前記ベアリングピボットが、前記リング状ベアリングブッシュとスナップ結合可能な、回転軸方向に突出した弾性的にフレキシブルなタペットを有していることを特徴とする。本発明の他の側面は、上記構成において、前記リング状ベアリングブッシュにその外側から係合し、前記バイザーを使用位置または待機位置において解除可能にかつ確実に保持するためのロック要素をさらに含むことを特徴とする。本発明の他の側面は、上記構成において、前記ロック要素が、ロッド部材と、前記ロッド部材の一端にて前記リング状ベアリングブッシュの軸線と平行な軸線周りに回転可能に支持されたロール部材と、前記リング状ベアリングブッシュの軸線に平行な軸線方向において前記各ベアリングデバイスに枢支されて、前記ロッド部材の他端側を該軸線方向に直交する方向に摺動可能に保持するピボットベアリングと、前記ピボットベアリング及び前記ロール部材の間で前記ロッド部材に軸支された、前記ロッド部材を前記一端側に向けて付勢する圧縮ばねとを含み、前記リング状ベアリングブッシュの回動に対応して、前記ロッド部材が前記ピボットベアリングを摺動すると共に前記ピボットベアリングを軸に所定の範囲で回動可能であることを特徴とする。
【0011】
本発明の顔面保護具の一実施形態では、各保持アームの遊端が、リング状ベアリングブッシュとして形成されており、各ベアリングデバイスが、前記リング状ベアリングブッシュと適合するベアリングピボットを有している。したがって、各保持アーム及び各保持アームに対応するベアリングデバイスにより、ヘルメットの周縁部の内側に安全に配置されたバイザー支持ジョイント機構(バイザー回動支持機構)が構成される。バイザーの待機位置では、バイザーは、ヘルメットシェルと協働して、保持アームを障害物との引っ掛かりから保護する。バイザーの使用位置では、各保持アームはバイザーの後方に位置し、バイザーの側方縁部がヘルメットシェルの外面に密接に隣接する。また、バイザーのフレーム(上側縁部)が、ヘルメットシェルの前側縁部と隣接する。したがって、使用位置においても、バイザー及び/または保持アームは、障害物と引っ掛かる部分を提供しない。
【0012】
本発明の顔面保護具のさらなる実施形態では、各ベアリングデバイスは、ヘルメットシェルの内面に設けられたスナップ結合機構の他方の部分にスナップ結合可能な、スナップ結合機構の一部として形成される。このことにより、ヘルメットのユーザは、顔面保護具のヘルメットシェルへの着脱を容易に行うことができる。
【0013】
本発明の顔面保護具のさらなる実施形態では、各スナップ結合機構のベアリングピボットは、リング状ベアリングブッシュとスナップ結合可能な、回転軸方向に突出した弾性的にフレキシブルなタペットを有している。このことにより、顔面保護具のヘルメットシェルの内面への結合を、ヘルメットのユーザによるスナップ結合により行うことができる。
【0014】
本発明の顔面保護具のさらなる実施形態では、リング状ベアリングブッシュにその外側から係合し、バイザーを使用位置または待機位置において解除可能にかつ確実に保持するためにリング状ベアリングブッシュと共に回動変位することができるばね付勢されたロック要素をさらに含む。このことにより、簡単な方法で、バイザーをヘルメットのユーザが選択した位置でロックすることができる。
【0015】
本発明の顔面保護具のさらなる実施形態では、前記ばね付勢されたロック要素は、ロッド部材と、前記ロッド部材の一端に回転可能に支持されたロール部材と、前記ロッド部材の他端に結合され、前記ロッド部材を枢支するピボットベアリングと、前記ピボットベアリング及び前記ロール部材の間で前記ロッド部材に軸支された、ばね予負荷を生成するための圧縮ばねとを含む。このことにより、バイザーの選択された位置でのロックを、メンテナンスを必要としない簡単な低摩耗性要素によって達成することができる。コネクタとして形成され、前記ばね予負荷ロック要素を収容しているスナップ結合機構の部分は、必要に応じて新しいコネクタと交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1】本発明による顔面保護具を備えた保護ヘルメットの側面図であり、バイザーを上向きに回動させて待機位置に変位させた状態を示す。
図2図1の保護ヘルメットを前方から見た断面図である。
図3図1の保護ヘルメットを後方から見た破断図である。
図4図1の保護ヘルメットを示す図であり、バイザーを下向きに回動させて使用位置に変位させた状態を示す。
図5】バイザーの保持アームとベアリングデバイスとを互いに連結する支持ジョイント機構を詳細に示す図であり、バイザーを下向きに回動させて使用位置に変位させた状態を示す。
図6図5の支持ジョイント機構を詳細に示す分解図であり、ベアリングデバイスをヘルメットの内側から場合の図である。
図7図5の支持ジョイント機構の分解図であり、ベアリングデバイスの後側部分とバイザーの保持アームのリング状ベアリングブッシュをヘルメットの外側から内側に向かって見た場合の図である。
図8】バイザーの保持アームとベアリングデバイスとを互いに連結させる支持ジョイント機構をより詳細に示す図であり、バイザーを上向きに回動させて待機位置に変位させた状態を示す。
図9図6のベアリングデバイスをヘルメットシェルの内面にスナップ結合させた状態を示す下方斜視図である(内装構造体は図示してない)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
全体を符号30で示す、特に森林作業用に設計された保護ヘルメットの一実施形態を、図1の側面図、図2の正面図、図3の背面図、及び図4の側面図に示す。本発明の保護ヘルメット30は、全体を符号33で示す顔面保護具を備える。顔面保護具33はバイザー132を含み、バイザー132を上向きに回動させて待機位置に変位させた状態を図1に示し、バイザー132を下向きに回動させて使用位置に変位させた状態を図4に示す。顔面保護具33の左右のベアリングデバイスは、ヘルメット30の左右両側に左右対称に形成されているので、以下の説明において、左右のベアリングデバイス、支持ジョイント機構、保持アーム等の間に差異はない。
【0019】
顔面保護具33のバイザー132は、保護ヘルメット30の左右各側に、保持アーム32と、コネクタとして形成されたベアリングデバイス50とを含み、コネクタには支持ジョイント機構(回動支持機構)60の一部が一体的に形成されている。各保持アーム32に対応するベアリングデバイス50は、ヘルメットシェル36の内面に結合される。各ベアリングデバイス50は、ヘルメットシェル36の内面に設けられたスナップ結合機構の他方の部分にスナップ結合可能なスナップ結合機構の一部として形成される。スナップ結合機構の前記他方の部分は、図9に示すように、ヘルメットシェル36の内面と一体的に形成された複数の棒状突出体74から構成される。棒状突出体74は図2にも示されている(しかし、図2では、ベアリングデバイス50は示していない)。ベアリングデバイス50は棒状突出体74上に嵌め込まれ、このことにより、バイザー132の支持ジョイント機構60がヘルメットシェル36の内面の左右の各こめかみ領域に配置されることとなる。図1図4及び図9に、ベアリングデバイス50をヘルメットシェル36の内面に結合させた状態を見ることができる。以下、図5〜9を参照して、支持ジョイント機構60の構成についてより詳細に説明する。
【0020】
図5〜8に見ることができるように、保持アーム32は、バイザー132のフレームの後側の一端に一体的に形成されている。保持アーム32の遊端に、リング状ベアリングブッシュ52が形成されている。各ベアリングデバイス50は、ベアリングブッシュ52に適合するベアリングピボット54を有する。各ベアリングデバイス50は、コネクタとして、すなわちヘルメットシェル36の内面に設けられたスナップ結合機構の他方の部分(図9に示すように棒状突出体74から構成される)に対してスナップ結合させることができるスナップ結合機構の一部として形成される。図9に見ることができるように、各コネクタには、下向きに突出する棒状突出体74の遊端を収容可能な収容部が形成されている。弾性指部73によって、ベアリングデバイス50とヘルメットシェル36との間のスナップ結合が実現される。各スナップ結合機構のベアリングピボット54は、リング状ベアリングブッシュ52とスナップ結合可能な、軸方向に突出した弾性的にフレキシブルなタペット54´を有している。図5及び図8は、支持ジョイント機構60の2つの部分、すなわちリング状ベアリングブッシュ52及びベアリングピボット54を組み立てた状態を示している。支持ジョイント機構60(スナップ結合機構)の分解図は、図6及び図7に見ることができる。保持アーム32が、バイザー132から、ベアリングデバイス50に結合されるかまたは結合可能にされた当該保持アームの遊端に向けて、バイザー132に対して平行をなし、かつ所定の間隔を隔てて延出することにより、前記待機位置(図1参照)にあるヘルメットシェル36が突入するべきスロット37を形成し、それにより、前記待機位置においてバイザー132がヘルメットシェル36の外面に密接に適合することができる(図1及び、特に図2及び図3参照)。
【0021】
ばね付勢されたロック要素70が、リング状ベアリングブッシュ52にその外側から係合されており、このロック要素は、バイザー132を上向きまたは下向きに回動させたときにリング状ベアリングブッシュ52と共に回動変位し、バイザー132を待機位置または使用位置において解除可能にかつ確実にロックすることができる。ばね付勢されたロック要素70の2つの位置が図5及び図8に示されており、図5はバイザー132を使用位置にロックするときの位置を示し、図8はバイザーを待機位置にロックするときの位置を示す。ばね付勢されたロック要素70は、ロッド部材72と、ロッド部材72の一端に形成された肩部76と、肩部76に回転可能に支持されたロール部材と、ロッド部材72の他端に結合され、ロッド部材72を回動変位可能に枢支するピボットベアリング75と、ピボットベアリング75及び肩部76の間でロッド部材72に軸支された、ばね負荷を生成するための圧縮ばね78とを含む。
【0022】
図7を参照して、軸方向に突出する小さなピンがリング状ベアリングブッシュに設けられており、リング状ベアリングブッシュ52及びベアリングピボット54を組み立てたときに、図7では図示しないロック要素70の係合凹部と互いに確実に係合する。このことにより、バイザー132を回動させたときに、ロック要素70が、バイザー132(すなわちリング状ベアリングブッシュ)と共に回動変位することができる。
【符号の説明】
【0023】
30 保護ヘルメット
32 保持アーム
33 顔面保護具
36 ヘルメットシェル
37 スロット
50 ベアリングデバイス
52 リング状ベアリングブッシュ
54 ベアリングピボット
54´ タペット
60 支持ジョイント機構
70 ロック要素
72 ロッド部材
73 弾性指部
74 棒状突出体
75 ピボットベアリング
76 肩部
78 圧縮ばね
132 バイザー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9