特許第6041831号(P6041831)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041831
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】管切断装置
(51)【国際特許分類】
   B23D 21/02 20060101AFI20161206BHJP
   B23D 21/00 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   B23D21/02 B
   B23D21/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-116364(P2014-116364)
(22)【出願日】2014年6月5日
(65)【公開番号】特開2015-229213(P2015-229213A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2015年12月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204000
【氏名又は名称】太平電業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100083839
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 泰男
(72)【発明者】
【氏名】山下 敦之
(72)【発明者】
【氏名】五嶋 智久
【審査官】 青山 純
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−197095(JP,U)
【文献】 実開昭61−151824(JP,U)
【文献】 実開平5−41691(JP,U)
【文献】 特開平9−290319(JP,A)
【文献】 特開2007−326185(JP,A)
【文献】 特開2005−34941(JP,A)
【文献】 特開2004−25422(JP,A)
【文献】 特開平8−215921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 21/00 − 21/14
B23D 23/00 − 23/02
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管切断装置本体とジャッキとからなり、前記管切断装置本体は、切断されるべき管の先端を水平に支持する支持台と、前記ジャッキにより前記ジャッキ側に水平に引き込まれるガイド手段と、前記ガイド手段の後端に、前記ジャッキ側に向けて水平に固定された切断刃とを備え、前記支持台に水平に支持された前記管の後端に前記切断刃の先端を当てがい、前記ジャッキにより前記切断刃を前記ガイド手段と共に前記ジャッキ側に引き込むことによって、前記管を複数割りに切断することを特徴とする管切断装置。
【請求項2】
前記ガイド手段は、前記支持台に、前記管を取り囲むように水平に挿通された複数本のガイド棒からなることを特徴とする、請求項1に記載の管切断装置。
【請求項3】
前記ジャッキは、センターホールジャッキからなり、前記センターホールジャッキのストランドは、前記ガイド手段の先端に固定されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の管切断装置。
【請求項4】
前記ガイド手段には、少なくとも1枚の案内板が挿通され、前記案内板の中央部には、前記管が挿通される開口が形成されていることを特徴とする、請求項1から3の何れか1つに記載の管切断装置。
【請求項5】
前記切断刃は、円錐形の刃本体と、前記刃本体の少なくとも先端の外周面に取り付けられた複数枚の刃部とからなっていることを特徴とする、請求項1から4の何れか1つに記載の管切断装置。
【請求項6】
前記ガイド手段は、移動手段により前記切断刃と共に、前記ジャッキと離反する方向に移動可能であることを特徴とする、請求項1から5の何れか1つに記載の管切断装置。
【請求項7】
前記移動手段は、前記ガイド手段の後端に固定されたワイヤーと前記ワイヤーの後端に固定された重りとからなることを特徴とする、請求項6に記載の管切断装置。
【請求項8】
前記管は、直管からなっていることを特徴とする、請求項1から7の何れか1つに記載の管切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、管切断装置、特に、直管を遠隔操作により容易かつ確実に管の軸線方向に沿って複数割りに切断することができる管切断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、原子炉設備に設置されている加熱器や復水器を交換あるいは廃棄するような場合には、加熱器管や復水器管の内面の汚染状況を的確に把握する必要がある。
【0003】
これら管内の汚染状況を把握するには、管を所定長さに切断した後、管の先端から管内にセンサーを挿入して検査する方法が考えられる。
【0004】
しかし、この方法では、管の全長に亘ってセンサーを挿入する必要があるので、検査に時間と手間を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−210812号公報
【特許文献2】特許第2828430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記問題点を解決するには、管をその軸線方向に沿って複数割りに切断すれば良いが、管を遠隔操作により容易かつ確実に軸線方向沿って複数割りに切断することができる管切断装置は、未だ提案されていない。
【0007】
特許文献1には、金属管の切断装置が開示されているが、この装置は、金属管をその軸線方向と直交する方向に切断するものであり、軸線方向に沿って切断するものではない。
【0008】
従って、この発明の目的は、被切断管としての直管を遠隔操作により容易かつ確実に管の軸線方向に沿って複数割りに切断することができる管切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、下記を特徴とするものである。
【0010】
請求項1に記載の発明は、管切断装置本体とジャッキとからなり、前記管切断装置本体は、切断されるべき管の先端を水平に支持する支持台と、前記ジャッキにより前記ジャッキ側に水平に引き込まれるガイド手段と、前記ガイド手段の後端に、前記ジャッキ側に向けて水平に固定された切断刃とを備え、前記支持台に水平に支持された前記管の後端に前記切断刃の先端を当てがい、前記ジャッキにより前記切断刃を前記ガイド手段と共に前記ジャッキ側に引き込むことによって、前記管を複数割りに切断することに特徴を有するものである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ガイド手段は、前記支持台に、前記管を取り囲むように水平に挿通された複数本のガイド棒からなることに特徴を有するものである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記ジャッキは、センターホールジャッキからなり、前記センターホールジャッキのストランドは、前記ガイド手段の先端に固定されていることに特徴を有するものである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れか1つに記載の発明において、前記ガイド手段には、少なくとも1枚の案内板が挿通され、前記案内板の中央部には、前記管が挿通される開口が形成されていることに特徴を有するものである。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか1つに記載の発明において、前記切断刃は、円錐形の刃本体と、前記刃本体の少なくとも先端の外周面に取り付けられた複数枚の刃部とからなっていることに特徴を有するものである。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5の何れか1つに記載の発明において、前記ガイド手段は、移動手段により前記切断刃と共に、前記ジャッキと離反する方向に移動可能であることに特徴を有するものである。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記移動手段は、前記ガイド手段の後端に固定されたワイヤーと前記ワイヤーの後端に固定された重りとからなることに特徴を有するものである。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7の何れか1つに記載の発明において、前記管は、直管からなっていることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、被切断直管としての管を管切断装置本体に水平に固定し、ジャッキを操作するのみで、管を容易かつ確実に管の軸線方向沿って複数割りに切断することができる。
【0019】
また、この発明によれば、ジャッキを遠隔操作することによって、管に直接、手を触れることなく、管を複数割りに切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】管切断前の、この発明の管切断装置を示す概略正面図である。
図2】管切断中の、この発明の管切断装置を示す概略正面図である。
図3図1のA−A線断面図である。
図4】切断刃を示す正面図である。
図5】他の切断刃を示す正面図であり、(a)は、三つ割り用切断刃であり、(b)は、四つ割り用切断刃である。
図6】この発明の他の管切断装置を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の管切断装置の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、管切断前の、この発明の管切断装置を示す概略正面図、図2は、管切断中の、この発明の管切断装置を示す概略正面図、図3は、図1のA−A線断面図、図4は、切断刃を示す正面図である。
【0023】
図1において、1は、管切断装置本体、2は、ジャッキであり、何れも、基台3上に設置されている。
【0024】
管切断装置本体1は、切断されるべき管4の先端を水平に支持する支持台5と、ジャッキ2によりジャッキ2側に水平に引き込まれるガイド手段6と、ガイド手段6の後端に、ジャッキ2側に向けて水平に固定された切断刃7と、少なくとも1枚(この例では、2枚)の案内板8とからなっている。なお、管4は、直管である。
【0025】
支持台5の切断刃7側の面には、管4の先端内に挿入される支持部材9が突設されていて、管4は、支持部材9と案内板8とによって、支持台5に水平に支持される。
【0026】
ガイド手段6は、支持台5に、管4を取り囲むように水平に挿通された複数本(この例では4本)のガイド棒10からなっている。複数本のガイド棒10の先端は、連結部材15により一体的に連結され、後端は、連結部材16により一体的に連結されている。
【0027】
案内板8は、四角形状をなし、その中央部には、管4が挿通される開口8aが形成され、コーナー部には、開口8aを取り囲むように、ガイド棒10が挿通される開口8bが形成されている(図3参照)。
【0028】
切断刃7は、円錐形の刃本体7aと、刃本体7aの先端外周面に対向して突設された一対の刃部7bとからなっている(図4参照)。なお、この切断刃7は、半割り用であるが、図5(a)に示すように、三つ割り用切断刃、あるいは、図5(b)に示すように、四つ割り用切断刃であっても良く、これらの切断刃を使用することによって、管4を三つ割り、あるいは、四つ割りに切断することができる。また、切断刃7は、円錐形状のもの以外に、平板状等であっても良い。
【0029】
ジャッキ2は、センターホールジャッキからなり、切断刃7をガイド手段6と共にジャッキ2側に間欠的に引き込む。センターホールジャッキのストランド11は、ガイド手段6の先端に固定されている。センターホールジャッキとしては、例えば、特許文献2に開示されたものを使用すると良い。
【0030】
以上のように構成されている、この発明の管切断装置によれば、以下のようにして直管を切断することができる。この例は、管を半割りに切断する場合であるが、半割り以上の複数割りに切断する場合も同様である。
【0031】
先ず、ガイド棒10の後端の連結部材16を外し、管4の先端を、予め支持台5に取り付けられた支持部材9に挿入し、案内板8の開口8a内に管4を挿通する。そして、連結部材16を切断刃7と共にガイド棒10に取り付け、切断刃7の先端を管4の後端内に挿入する。
【0032】
このようにして、管4を管切断装置本体1に水平に取り付けたら、ジャッキ2を操作して、切断刃7をガイド手段6と共にジャッキ2側に間欠的に引き込む(図2参照)。これによって、切断刃7が管4内に食い込むことにより、管4は、半割りに切断される。この際、切断刃7の刃部7bによって確実に管4が切断される。切断後の管4は、図2に示すように、上下に分離して半割に切断される。
【0033】
ジャッキ2は、遠隔操作が可能であるので、管4に直接、手を触れることなく半割りに切断することができる。
【0034】
管4の内面の汚染状況は、管4が半割りに切断されているので、容易かつ短時間に的確に把握することができる。
【0035】
しかも、汚染状況に応じて管4を保管容器内に収納する際には、管4が半割に切断されているので、管4を半割に切断しない場合に比べて、収納効率が大幅に向上する。なお、管4の保管容器内への収納効率は、管4を図5(a)に示すような切断刃7により三つ割り、あるいは、図5(b)に示すような切断刃7により四つ割りに切断すれば、さらに向上する。四つ割り以上に切断しても良いことは勿論である。
【0036】
以上、説明したように、この発明によれば、被切断直管としての管4を管切断装置本体1に水平に固定し、ジャッキ2を操作するのみで、管4を容易かつ確実に管の軸線方向沿って半割りに切断することができる。
【0037】
また、この発明によれば、図6に示すように、ガイド手段6を後端にワイヤー12を固定し、ワイヤー12の後端に滑車13を介して重り14を固定すれば、管4の切断終了後、ジャッキ2をフリーにすれば、重り14の自重によって、ガイド手段6は、切断刃7と共に、元の位置に復帰するので、遠隔操作が可能となり、次の管4の切断に備えることができる。
【0038】
なお、ガイド手段6を切断刃7と共に、元の位置に復帰させる移動手段としては、重り14以外に、移動台車やジャッキ等であっても良い。
【0039】
このように、ジャッキ2を遠隔操作することによって、管4に直接、手を触れることなく、管4を半割りに切断することができる。
【符号の説明】
【0040】
1:管切断装置本体
2:ジャッキ
3:基台
4:管
5:支持台
6:ガイド手段
7:切断刃
7a:刃本体
7b:刃部
8:案内板
8a:管の開口
8b:ガイド棒の開口
9:支持部材
10:ガイド棒
11:ストランド
12:ワイヤー
13:滑車
14:重り
15:連結部材
16:連結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6