【発明が解決しようとする課題】
【0004】
あるファクシミリ装置内の画像処理装置は、画像処理を高速に行うために、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用ハードウェアで画像処理を行うハードウェア処理回路を備えており、縮小率に応じて、そのハードウェア処理回路で1または複数段の画像縮小を行うことで、送信すべき画像を生成している。
【0005】
図4は、副走査方向において50%の縮小率で画像縮小を行うASICを2つ使って、画像を25%に縮小してから縮小後の画像をファクシミリで送信する際の画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
図5は、
図4に示す構成の画像処理装置の動作を説明するタイミングチャートである。なお、
図5における「B」はバンドを意味し、「L」はラインを意味する。
【0006】
図4において、通信装置101が通信相手との間で通信を行う回路であって、能力交換を行う。ソフトウェアコーデック102は、画像データをファクシミリ信号に変換する。ASIC103,104は、それぞれ、副走査方向において縮小率50%で画像縮小を行うハードウェア処理回路である。コントローラー105は、能力交換の結果に基づいて必要な縮小率(例えば25%)を特定し、特定した縮小率の画像縮小が行われるように、例えば
図4に示すように処理パスをセットする。つまり、例えば25%の縮小率の場合、コントローラー105は、元の画像データをDRAM(Dynamic Random Access Memory)などから読み出すデータ読み出し部106とASIC103との間で1バンド分のバンドメモリー107を配置し、ASIC103とASIC104との間で1バンド分のバンドメモリー108を配置し、ASIC104とソフトウェアコーデック102との間で1バンド分のバンドメモリー109を配置している。
【0007】
ASIC103は、バンドメモリー107に1バンド分の画像データが格納された時点で、その1バンド分の画像データに対する50%の画像縮小処理を実行し、処理後の画像データをバンドメモリー108に格納する。
【0008】
また、ASIC104は、バンドメモリー108に1バンド分の画像データが格納された時点で、その1バンド分の画像データに対する50%の画像縮小処理を実行し、処理後の画像データをバンドメモリー109に格納する。
【0009】
さらに、ソフトウェアコーデック102は、バンドメモリー109に1バンド分の画像データが格納された時点で、その1バンド分の画像データに対する変換処理を行い、通信装置101は、変換されたファクシミリ信号を順次送出する。
【0010】
バンドメモリー109に1バンド分の画像データが格納されるためには、ASIC104が2バンド分の画像データに対して画像縮小を行う必要があるが、最終ラインの画像縮小のために次のラインが必要になるため、3バンド分の画像データがバンドメモリー108に格納された後に、バンドメモリー109への1バンド分の画像データの格納が完了する。
【0011】
同様に、バンドメモリー108に1バンド分の画像データが格納されるためには、ASIC103が2バンド分の画像データに対して画像縮小を行う必要があるが、最終ラインの画像縮小のために次のラインが必要になるため、3バンド分の画像データがバンドメモリー107に格納された後に、バンドメモリー108への1バンド分の画像データの格納が完了する。
【0012】
したがって、
図5に示すように、能力交換によって縮小率が確定した後に画像処理を開始してから(時刻T11)、ファクシミリ信号の送出が開始されるまでに(時刻T12)、ASIC103による7バンド分の画像データを使用した画像縮小処理、およびASIC104による3バンド分の画像データを使用した画像縮小処理を行う必要があり、ファクシミリ信号の送出が開始されるまでの時間が長くなってしまう。そのため、能力交換後に画像伝送のファクシミリ信号の送出が開始されるまでの時間の不要な電話料金がかかってしまう。
【0013】
また、副走査方向において50%の縮小率で画像縮小を行うASICが1つしか使用できない場合、そのASICが縮小率50%の画像縮小処理を2段階実行して縮小率25%を実現する。
【0014】
図6は、副走査方向において50%の縮小率で画像縮小を行うASICを1つ使って、画像を25%に縮小してから縮小後の画像をファクシミリで送信する際の画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
図7は、
図6に示す構成の画像処理装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【0015】
この場合、
図6に示すように、ASIC103は、1段目の画像縮小処理が完了するまで、2段目の画像縮小処理を実行できないため、ASIC103は、1段目の画像縮小処理で生成された画像データをページメモリー111に格納し、1段目の画像縮小処理(つまり、元の画像のページ全域に対する画像縮小処理)が完了した後、ページメモリー111から画像データを読み出し、2段目の画像縮小処理を実行する。
【0016】
そのため、
図7に示すように、1ページの画像縮小処理が完了した後でないと、ファクシミリ信号の送出が開始されないため、能力交換後に画像伝送のファクシミリ信号の送出が開始されるまでの時間が長くなってしまう。そのため、ファクシミリ信号の送出が開始されるまでの時間の不要な電話料金がかかってしまう。
【0017】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、縮小率が確定してからハードウェア処理回路で画像縮小処理を行う場合において、その縮小率での画像縮小処理の後続の処理の開始までの時間が短くて済
むファクシミリ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係る
ファクシミリ装置は、2のN(N>1)乗分の1の縮小率を特定するコントローラーと、特定された前記縮小率で副走査方向の画像縮小処理を実行する画像処理装置と、前記画像処理装置により生成された画像データをファクシミリ信号に変換するコーデックと、前記コーデックにより生成された前記ファクシミリ信号を送出する通信装置とを備える。前記画像処理装置は
、縮小率50%の画像縮小処理を行う
1つのハードウェア処理回路を備える。そして、
前記1つのハードウェア処理回路でN段の前記縮小率50%の画像縮小処理を行う際に、前記
1つのハードウェア処理回
路は、第i段(N−1≧i≧1)の前記縮小率50%の画像縮小処理を行い、その画像縮小処理で得られた画像データを、1バンドの2のi乗分の1のサイズのバッファーメモリーに格納し、前記
1つのハードウェア処理回
路は、前記第i段の前記縮小率50%の画像縮小処理を行った際に得られた縮小後の画像データ
を前記1バンドの2のi乗分の1のサイズのバッファーメモリーに格納
した後、ただちに、第(i+1)段の前記縮小率50%の画像縮小処理を行い、その画像縮小処理で得られた画像データを、1バンドの2の(i+1)乗分の1のサイズのバッファーメモリーに格納する。
前記コーデックおよび前記通信装置は、前記第N段の前記縮小率50%の画像縮小処理が完了すると、ただちに、その画像縮小処理で得られた画像データの前記ファクシミリ信号への変換および前記ファクシミリ信号の送信を開始する。