特許第6041834号(P6041834)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041834
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】ファクシミリ装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/393 20060101AFI20161206BHJP
   H04N 1/21 20060101ALI20161206BHJP
   G06T 3/40 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   H04N1/393
   H04N1/21
   G06T3/40
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-130909(P2014-130909)
(22)【出願日】2014年6月26日
(65)【公開番号】特開2016-10091(P2016-10091A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2016年3月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】島本 邦彦
【審査官】 石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−214151(JP,A)
【文献】 特開2002−094782(JP,A)
【文献】 特開平06−197215(JP,A)
【文献】 特開2007−081689(JP,A)
【文献】 特開2008−140045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/393
H04N 1/21
H04N 1/00
G06T 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2のN(N>1)乗分の1の縮小率を特定するコントローラーと、
特定された前記縮小率で副走査方向の画像縮小処理を実行する画像処理装置と、
前記画像処理装置により生成された画像データをファクシミリ信号に変換するコーデックと、
前記コーデックにより生成された前記ファクシミリ信号を送出する通信装置と、
を備え、
前記画像処理装置は、
縮小率50%の画像縮小処理を行う1つのハードウェア処理回路を備え、
前記1つのハードウェア処理回路でN段の前記縮小率50%の画像縮小処理を行う際に、
前記1つのハードウェア処理回路は、第i段(N−1≧i≧1)の前記縮小率50%の画像縮小処理を行い、その画像縮小処理で得られた画像データを、1バンドの2のi乗分の1のサイズのバッファーメモリーに格納し、
前記1つのハードウェア処理回路は、前記第i段の前記縮小率50%の画像縮小処理を行った際に得られた縮小後の画像データ前記1バンドの2のi乗分の1のサイズのバッファーメモリーに格納た後、ただちに、第(i+1)段の前記縮小率50%の画像縮小処理を行い、その画像縮小処理で得られた画像データを、1バンドの2の(i+1)乗分の1のサイズのバッファーメモリーに格納し、
前記コーデックおよび前記通信装置は、前記第N段の前記縮小率50%の画像縮小処理が完了すると、ただちに、その画像縮小処理で得られた画像データの前記ファクシミリ信号への変換および前記ファクシミリ信号の送信を開始すること、
を特徴とするファクシミリ装置
【請求項2】
前記コントローラーは、前記通信装置による能力交換に基づいて前記Nを特定することを特徴とする請求項記載のファクシミリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリ装置は、最初に能力交換を行って通信相手の最大用紙サイズや解像度を特定し、通信相手の最大用紙サイズや解像度によっては、内蔵の画像処理装置で画像の縮小を行った後で、縮小された画像の画像データを通信相手に送信している(例えば特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−30571号公報
【特許文献2】特開平5−83520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
あるファクシミリ装置内の画像処理装置は、画像処理を高速に行うために、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用ハードウェアで画像処理を行うハードウェア処理回路を備えており、縮小率に応じて、そのハードウェア処理回路で1または複数段の画像縮小を行うことで、送信すべき画像を生成している。
【0005】
図4は、副走査方向において50%の縮小率で画像縮小を行うASICを2つ使って、画像を25%に縮小してから縮小後の画像をファクシミリで送信する際の画像処理装置の構成例を示すブロック図である。図5は、図4に示す構成の画像処理装置の動作を説明するタイミングチャートである。なお、図5における「B」はバンドを意味し、「L」はラインを意味する。
【0006】
図4において、通信装置101が通信相手との間で通信を行う回路であって、能力交換を行う。ソフトウェアコーデック102は、画像データをファクシミリ信号に変換する。ASIC103,104は、それぞれ、副走査方向において縮小率50%で画像縮小を行うハードウェア処理回路である。コントローラー105は、能力交換の結果に基づいて必要な縮小率(例えば25%)を特定し、特定した縮小率の画像縮小が行われるように、例えば図4に示すように処理パスをセットする。つまり、例えば25%の縮小率の場合、コントローラー105は、元の画像データをDRAM(Dynamic Random Access Memory)などから読み出すデータ読み出し部106とASIC103との間で1バンド分のバンドメモリー107を配置し、ASIC103とASIC104との間で1バンド分のバンドメモリー108を配置し、ASIC104とソフトウェアコーデック102との間で1バンド分のバンドメモリー109を配置している。
【0007】
ASIC103は、バンドメモリー107に1バンド分の画像データが格納された時点で、その1バンド分の画像データに対する50%の画像縮小処理を実行し、処理後の画像データをバンドメモリー108に格納する。
【0008】
また、ASIC104は、バンドメモリー108に1バンド分の画像データが格納された時点で、その1バンド分の画像データに対する50%の画像縮小処理を実行し、処理後の画像データをバンドメモリー109に格納する。
【0009】
さらに、ソフトウェアコーデック102は、バンドメモリー109に1バンド分の画像データが格納された時点で、その1バンド分の画像データに対する変換処理を行い、通信装置101は、変換されたファクシミリ信号を順次送出する。
【0010】
バンドメモリー109に1バンド分の画像データが格納されるためには、ASIC104が2バンド分の画像データに対して画像縮小を行う必要があるが、最終ラインの画像縮小のために次のラインが必要になるため、3バンド分の画像データがバンドメモリー108に格納された後に、バンドメモリー109への1バンド分の画像データの格納が完了する。
【0011】
同様に、バンドメモリー108に1バンド分の画像データが格納されるためには、ASIC103が2バンド分の画像データに対して画像縮小を行う必要があるが、最終ラインの画像縮小のために次のラインが必要になるため、3バンド分の画像データがバンドメモリー107に格納された後に、バンドメモリー108への1バンド分の画像データの格納が完了する。
【0012】
したがって、図5に示すように、能力交換によって縮小率が確定した後に画像処理を開始してから(時刻T11)、ファクシミリ信号の送出が開始されるまでに(時刻T12)、ASIC103による7バンド分の画像データを使用した画像縮小処理、およびASIC104による3バンド分の画像データを使用した画像縮小処理を行う必要があり、ファクシミリ信号の送出が開始されるまでの時間が長くなってしまう。そのため、能力交換後に画像伝送のファクシミリ信号の送出が開始されるまでの時間の不要な電話料金がかかってしまう。
【0013】
また、副走査方向において50%の縮小率で画像縮小を行うASICが1つしか使用できない場合、そのASICが縮小率50%の画像縮小処理を2段階実行して縮小率25%を実現する。
【0014】
図6は、副走査方向において50%の縮小率で画像縮小を行うASICを1つ使って、画像を25%に縮小してから縮小後の画像をファクシミリで送信する際の画像処理装置の構成例を示すブロック図である。図7は、図6に示す構成の画像処理装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【0015】
この場合、図6に示すように、ASIC103は、1段目の画像縮小処理が完了するまで、2段目の画像縮小処理を実行できないため、ASIC103は、1段目の画像縮小処理で生成された画像データをページメモリー111に格納し、1段目の画像縮小処理(つまり、元の画像のページ全域に対する画像縮小処理)が完了した後、ページメモリー111から画像データを読み出し、2段目の画像縮小処理を実行する。
【0016】
そのため、図7に示すように、1ページの画像縮小処理が完了した後でないと、ファクシミリ信号の送出が開始されないため、能力交換後に画像伝送のファクシミリ信号の送出が開始されるまでの時間が長くなってしまう。そのため、ファクシミリ信号の送出が開始されるまでの時間の不要な電話料金がかかってしまう。
【0017】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、縮小率が確定してからハードウェア処理回路で画像縮小処理を行う場合において、その縮小率での画像縮小処理の後続の処理の開始までの時間が短くて済むファクシミリ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係るファクシミリ装置は、2のN(N>1)乗分の1の縮小率を特定するコントローラーと、特定された前記縮小率で副走査方向の画像縮小処理を実行する画像処理装置と、前記画像処理装置により生成された画像データをファクシミリ信号に変換するコーデックと、前記コーデックにより生成された前記ファクシミリ信号を送出する通信装置とを備える。前記画像処理装置は、縮小率50%の画像縮小処理を行う1つのハードウェア処理回路を備える。そして、前記1つのハードウェア処理回路でN段の前記縮小率50%の画像縮小処理を行う際に、前記1つのハードウェア処理回路は、第i段(N−1≧i≧1)の前記縮小率50%の画像縮小処理を行い、その画像縮小処理で得られた画像データを、1バンドの2のi乗分の1のサイズのバッファーメモリーに格納し、前記1つのハードウェア処理回路は、前記第i段の前記縮小率50%の画像縮小処理を行った際に得られた縮小後の画像データ前記1バンドの2のi乗分の1のサイズのバッファーメモリーに格納た後、ただちに、第(i+1)段の前記縮小率50%の画像縮小処理を行い、その画像縮小処理で得られた画像データを、1バンドの2の(i+1)乗分の1のサイズのバッファーメモリーに格納する。前記コーデックおよび前記通信装置は、前記第N段の前記縮小率50%の画像縮小処理が完了すると、ただちに、その画像縮小処理で得られた画像データの前記ファクシミリ信号への変換および前記ファクシミリ信号の送信を開始する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、縮小率が確定してからハードウェアのハードウェア処理回路で画像縮小処理を行う場合において、その縮小率での画像縮小処理の後続の処理の開始までの時間が短くて済む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係るファクシミリ装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示すファクシミリ装置の動作を説明するタイミングチャートである。
図3図3は、本発明の実施の形態2に係るファクシミリ装置の構成を示すブロック図である。
図4図4は、副走査方向において50%の縮小率で画像縮小を行うASICを2つ使って、画像を25%に縮小してから縮小後の画像をファクシミリで送信する際の画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
図5図5は、図4に示す構成の画像処理装置の動作を説明するタイミングチャートである。
図6図6は、副走査方向において50%の縮小率で画像縮小を行うASICを1つ使って、画像を25%に縮小してから縮小後の画像をファクシミリで送信する際の画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
図7図7は、図6に示す構成の画像処理装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
実施の形態1.
【0024】
図1は、本発明の実施の形態1に係るファクシミリ装置の構成を示すブロック図である。
【0025】
図1に示すファクシミリ装置は、2のN(N>1)乗分の1の縮小率で副走査方向の画像縮小処理を実行する画像処理装置11を備えている。
【0026】
画像処理装置11は、それぞれ副走査方向において縮小率50%で画像縮小を行う1または複数のASICを備え、その1または複数のASICでN段の縮小率50%の画像縮小処理を行う。1または複数のASICのうちの1つは、第i段(N−1≧i≧1)の縮小率50%の画像縮小処理を行い、その画像縮小処理で得られた画像データを、1バンドの2のi乗分の1のサイズのバッファーメモリーに格納する。また、1または複数のASICのうちの1つは、第i段の縮小率50%の画像縮小処理を行った際に得られた縮小後の画像データが1バンドの2のi乗分の1のサイズのバッファーメモリーに格納された後、ただちに、第(i+1)段の縮小率50%の画像縮小処理を行い、その画像縮小処理で得られた画像データを、1バンドの2の(i+1)乗分の1のサイズのバッファーメモリーに格納する。
【0027】
なお、1バンドは、2のM乗本のライン(例えば128ライン)で構成される。
【0028】
図1に示す画像処理装置11の構成は、副走査方向において50%の縮小率で画像縮小を行うASICを2つ使って、画像を25%に縮小してから縮小後の画像をファクシミリで送信する際の構成例である。
【0029】
図1において、通信装置1が通信相手との間で通信を行う回路であって、能力交換を行う。ソフトウェアコーデック2は、画像データをファクシミリ信号に変換する。通信装置1は、ソフトウェアコーデック2により生成された画像伝送のファクシミリ信号を通信相手に向けて送出する。
【0030】
ASIC3,4は、それぞれ、副走査方向において縮小率50%で画像縮小を行うハードウェア処理回路である。
【0031】
コントローラー5は、能力交換の結果に基づいて必要な縮小率(例えば25%、つまり、上述のN)を特定し、特定した縮小率の画像縮小が行われるように、例えば図1に示すように処理パスをセットする。
【0032】
ファクシミリ装置の解像度としては、ノーマル(200dpi×100dpi)、ファイン(200dpi×200dpi)、スーパーファイン(200dpi×400dpi)、ウルトラファイン(400dpi×400dpi)などがあり、コントローラー5は、能力交換で得られる通信相手の解像度および自機の解像度との比(ここでは副走査方向での比)に基づいて縮小率を特定する。
【0033】
例えば25%の縮小率の場合、コントローラー5は、元の画像データをDRAMなどから読み出すデータ読み出し部6とASIC3との間で1バンド分のバッファーメモリー7を配置し、ASIC3とASIC4との間で1バンドの2分の1分のバッファーメモリー8を配置し、ASIC4とソフトウェアコーデック2との間で1バンドの4分の1分のバッファーメモリー9を配置している。
【0034】
実施の形態1では、(a)第1番目のASIC3が、第1段の縮小率50%の画像縮小処理を行い、その画像縮小処理で得られた画像データを、1バンドの2の1乗分の1(=1/2)のサイズのバッファーメモリー8に格納し、(b)第2番目のASIC4が、第1段の縮小率50%の画像縮小処理を行った際に得られた縮小後の画像データが1バンドの2の1乗分の1(=1/2)のサイズのバッファーメモリー8に格納された後、ただちに、バッファーメモリー8からその画像データを読み出して第2段の縮小率50%の画像縮小処理を行い、その画像縮小処理で得られた画像データを、1バンドの2の2乗分の1(=1/4)のサイズのバッファーメモリー9に格納する。
【0035】
次に、実施の形態1に係るファクシミリ装置の動作について説明する。図2は、図1に示すファクシミリ装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【0036】
コントローラー5は、能力交換に基づき縮小率25%の画像縮小が必要な場合、図1に示すように画像処理装置11をセットし、画像縮小処理を画像処理装置11に開始させる(時刻T1)。
【0037】
まず、データ読み出し部6がバッファーメモリー7への1バンド分の画像データの読み出しを完了すると(時刻T2)、ASIC3は、バッファーメモリー7内の画像データに対する縮小率50%の画像縮小処理を実行し、処理後の画像データをバッファーメモリー8に格納する。
【0038】
そして、ASIC3による1バンド分の画像縮小処理が完了すると(時刻T3)、ASIC4は、バッファーメモリー8内の画像データに対する縮小率50%の画像縮小処理を実行し、処理後の画像データをバッファーメモリー9に格納する。
【0039】
例えば1バンドが128ラインで構成される場合、ASIC3は、128ラインの画像データから64ラインの画像データを生成し、バッファーメモリー8に格納し、ASIC4は、64ラインの画像データから32ラインの画像データを生成し、バッファーメモリー9に格納する。
【0040】
そして、ASIC4による半バンド分の画像縮小処理が完了すると(時刻T4)、ソフトウェアコーデック2および通信装置1は、バッファーメモリー9内の4分の1バンド分の画像データに対するファクシミリ信号への変換およびファクシミリ信号の送信を開始する。
【0041】
このように、短時間でファクシミリ信号の送信が開始される。上述の例では、バッファーメモリー9には4分の1バンド分の画像データしか格納されないが、ASIC3,4の処理よりソフトウェアコーデック2および通信装置1の処理のほうが遅いため、ファクシミリ信号の送信の開始後は、ソフトウェアコーデック2および通信装置1における待ち時間(ASIC3,4の処理完了を待つ時間)はほぼ発生しない。
【0042】
なお、上述の時刻T3で、バッファーメモリー7に格納された1バンド分のデータに対するASIC3による処理が完了するため、その時点で、データ読み出し部6は、次の1バンド分の画像データの読み出しを開始する。また、上述の時刻T4(バッファーメモリー8に格納された半バンド分のデータに対するASIC4による処理の完了)および時刻T4a(データ読み出し部6による読み出し完了)のうちの遅いほうの時点で、ASIC3は、次の半バンド分の画像データに対する処理を開始する。そして、ソフトウェアコーデック2および通信装置1は、バッファーメモリー9内の4分の1バンド分の画像データに対するファクシミリ信号への変換およびファクシミリ信号の送信を完了すると(時刻T5)、ASIC4は、次の1バンド分の画像データは、次の4分の1バンド分の画像データに対する処理を開始する。その後、ASIC4によるその処理が完了すると(時刻T6)、ソフトウェアコーデック2および通信装置1は、次の4分の1バンド分の画像データに対するファクシミリ信号への変換およびファクシミリ信号の送信を開始する。以降、図2に示すように、各部が処理を進行していく。
【0043】
以上のように、上記実施の形態1によれば、画像処理装置11は、それぞれ副走査方向において縮小率50%で画像縮小を行う1または複数のASIC(実施の形態1ではASIC3,4)を備え、その1または複数のASICでN段の縮小率50%の画像縮小処理を行う。1または複数のASICのうちの1つ(実施の形態1ではASIC3)は、第i段(N−1≧i≧1)の縮小率50%の画像縮小処理を行い、その画像縮小処理で得られた画像データを、1バンドの2のi乗分の1のサイズのバッファーメモリー(実施の形態1ではバッファーメモリー8)に格納する。また、1または複数のASICのうちの1つ(実施の形態1ではASIC4)は、第i段の縮小率50%の画像縮小処理を行った際に得られた縮小後の画像データが1バンドの2のi乗分の1のサイズのバッファーメモリーに格納された後、ただちに、第(i+1)段の縮小率50%の画像縮小処理を行い、その画像縮小処理で得られた画像データを、1バンドの2の(i+1)乗分の1のサイズのバッファーメモリー(実施の形態1ではバッファーメモリー9)に格納する。
【0044】
これにより、縮小率が確定してから1または複数のASICで画像縮小処理を行う場合において、その縮小率での画像縮小処理の後続の処理の開始までの時間が短くて済む。また、ASIC3,4の出力データを格納するバッファーメモリー8,9の記憶領域が小さくて済む。
【0045】
実施の形態2.
【0046】
図3は、本発明の実施の形態2に係るファクシミリ装置の構成を示すブロック図である。図3に示す構成は、副走査方向において50%の縮小率で画像縮小を行うASICを1つ使って、画像を25%に縮小してから縮小後の画像をファクシミリで送信する際の画像処理装置の一例である。なお、図3における各構成要素は、図1における同一の符号を付されたものと同一である。
【0047】
実施の形態2では、ASIC3は、(a)第1段の縮小率50%の画像縮小処理を行い、その画像縮小処理で得られた画像データを、1バンドの2の1乗分の1(=1/2)のサイズのバッファーメモリー8に格納し、(b)第1段の縮小率50%の画像縮小処理を行った際に得られた縮小後の画像データを1バンドの2のi乗分の1(=1/2)のサイズのバッファーメモリー8に格納した後、ただちに、バッファーメモリー8からその画像データを読み出して第2段の縮小率50%の画像縮小処理を行い、その画像縮小処理で得られた画像データを、1バンドの2の2乗分の1(=1/4)のサイズのバッファーメモリー9に格納する。
【0048】
実施の形態2では、実施の形態1におけるASIC4の処理をASIC3が実行する。その他の動作については実施の形態1の場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0049】
以上のように、上記実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に、1つのASIC3で複数段の画像縮小処理を行う場合でも、短時間でファクシミリ信号の送信が開始される。
【0050】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0051】
例えば、上記実施の形態1,2では、縮小率50%の画像縮小処理を2段実行しているが、2段以外の段数でもよい。
【0052】
また、上記実施の形態1,2では、副走査方向についての画像縮小処理を説明しているが、各ASIC3,4で主走査方向の画像縮小処理を実行するようにしてもよい。その場合、画像縮小処理後の各ライン(バンド)のサイズが主走査方向の縮小率に応じたサイズとなり、バッファーメモリー8,9はそのサイズの画像データが格納可能なサイズとされる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、例えば、ファクシミリ装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 通信装置
2 ソフトウェアコーデック(コーデックの一例)
3,4 ASIC(ハードウェア処理回路の一例)
8,9 バッファーメモリー
11 画像処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7