(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基材ゴムが、天然ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、および、ポリウレタンゴムよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項4または5に記載のスポーツ用品用グリップ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のスポーツ用品用グリップは、円筒状内層と、前記内層を被覆する円筒状外層とからなる円筒部を有する。そして、本発明のスポーツ用品用グリップは、前記内層が多孔質ゴム層または多孔質樹脂層であり、前記外層がアクリロニトリル−ブタジエン系ゴムを含有するゴム組成物から成形されたものである。前記内層を多孔質構造とすることにより、グリップの軽量化を図ることができ、外層にアクリロニトリル−ブタジエン系ゴムを含有させることで、グリップの引張強さを高めることができる。
【0011】
[外層]
前記外層は、基材ゴムとしてアクリロニトリル−ブタジエン系ゴムを含有する外層用ゴム組成物から成形されている。外層がアクリロニトリル−ブタジエン系ゴムを含有することにより、グリップの引張強さが向上し、かつ、ウェット時のグリップ性能が良好となる。
【0012】
前記アクリロニトリル−ブタジエン系ゴムとしては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、カルボキシル変性アクリロニトリルブタジエンゴム(XNBR)、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシル変性水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HXNBR)が挙げられる。前記XNBRとは、カルボキシ基を有する単量体と、アクリロニトリルと、ブタジエンとの共重合体である。前記HNBRとは、アクリロニトリル−ブタジエンゴムの水素添加物である。前記HXNBRとは、カルボキシ基を有する単量体と、アクリロニトリルと、ブタジエンとの共重合体の水素添加物である。
【0013】
前記外層用ゴム組成物は、基材ゴムとしてアクリロニトリル−ブタジエン系ゴム以外のゴムを含有してもよい。前記基材ゴム中のアクリロニトリル−ブタジエン系ゴムの含有率は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。また、外層用ゴム組成物が、基材ゴムとしてアクリロニトリル−ブタジエン系ゴムのみを含有することも好ましい。
【0014】
前記NBR、XNBR、HNBR、HXNBRにおいて、アクリロニトリル含有率は、15質量%以上が好ましく、より好ましくは18質量%以上、さらに好ましくは21質量%以上であり、50質量%以下が好ましく、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。アクリロニトリル含有率が15質量%以上であれば耐摩耗性が良好となり、50質量%以下であれば寒冷地や冬場におけるグリップの触感が良好となる。
【0015】
前記HNBR、HXNBRにおいて、二重結合含有量は、0.09mmol/g以上が好ましく、より好ましくは0.2mmol/g以上であり、2.5mmol/g以下が好ましく、より好ましくは2.0mmol/g以下、さらに好ましくは1.5mmol/g以下である。二重結合含有量が0.09mmol/g以上であれば成形時に加硫しやすくなりグリップの引張強度がより向上し、2.5mmol/g以下であればグリップの耐久性(耐候性)および引張強さがより良好となる。二重結合含有量は、共重合体中のブタジエン含有率や、共重合体への水素添加量により調整できる。
【0016】
前記XNBR、HXNBRにおいて、カルボキシ基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。前記XNBR、HXNBRにおいて、カルボキシ基を含有する単量体の含有率は、1.0質量%以上が好ましく、より好ましくは2.0質量%以上、さらに好ましくは3.5質量%以上であり、30質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。カルボキシ基を含有する単量体の含有率が1.0質量%以上であれば耐摩耗性がより良好となり、30質量%以下であれば寒冷地や冬場におけるグリップの触感が良好となる。
【0017】
前記XNBR、HXNBRにおいて、カルボキシ基含有量は、1.0質量%以上が好ましく、より好ましくは2.0質量%以上、さらに好ましくは3.5質量%以上であり、30質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。カルボキシ基含有量が1.0質量%以上であれば耐摩耗性がより良好となり、30質量%以下であれば寒冷地や冬場におけるグリップの触感が良好となる。
【0018】
前記外層用ゴム組成物は、基材ゴムに加えて、架橋剤を含有する。前記架橋剤としては、硫黄系架橋剤、有機過酸化物を使用できる。前記硫黄系架橋剤としては単体硫黄、硫黄ドナー型化合物が挙げられる。前記単体硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド状硫黄、不溶性硫黄が挙げられる。前記硫黄ドナー型化合物としては、4,4’−ジチオビスモルホリンなどが挙げられる。前記有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−ジイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどが挙げられる。前記架橋剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記架橋剤としては、硫黄系架橋剤が好ましく、単体硫黄がより好ましい。前記架橋剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.4質量部以上、さらに好ましくは0.6質量部以上であり、4.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.5質量部以下、さらに好ましくは3.0質量部以下である。
【0019】
前記外層用ゴム組成物は、さらに加硫促進剤、加硫活性剤を含有することが好ましい。前記加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどのチウラム系;ジフェニルグアニジン(DPG)などのグアニジン系;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnPDC)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛などのジチオカルバミン酸塩系;トリメチルチオ尿素、N,N'−ジエチルチオ尿素などのチオウレア系;メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ベンゾチアゾールジスルフィドなどのチアゾール系;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)などのスルフェンアミド系;などが挙げられる。これらの加硫促進剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記加硫促進剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、0.4質量部以上が好ましく、より好ましくは0.8質量部以上、さらに好ましくは1.2質量部以上であり、8.0質量部以下が好ましく、より好ましくは7.0質量部以下、さらに好ましくは6.0質量部以下である。
【0020】
前記加硫活性剤としては、金属酸化物、金属過酸化物、脂肪酸などが挙げられる。前記金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉛などが挙げられる。前記金属過酸化物としては、過酸化亜鉛、過酸化クロム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウムなどが挙げられる。前記脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などが挙げられる。これらの加硫活性剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記加硫活性剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは0.6質量部以上、さらに好ましくは0.7質量部以上であり、10.0質量部以下が好ましく、より好ましくは9.5質量部以下、さらに好ましくは9.0質量部以下である。
【0021】
前記外層用ゴム組成物は、さらに必要に応じて補強材、老化防止剤、軟化剤、着色剤、スコーチ防止剤などを配合してもよい。
【0022】
前記補強材としては、カーボンブラック、シリカなどが挙げられる。前記補強材の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、2.0質量部以上が好ましく、より好ましくは3.0質量部以上、さらに好ましくは4.0質量部以上であり、50質量部以下が好ましく、より好ましくは45質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下である。
【0023】
前記老化防止剤としては、イミダゾール類、アミン類、フェノール類、チオウレア類などが挙げられる。前記イミダゾール類としては、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(NDIBC)、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩などが挙げられる。アミン類としては、フェニル−α−ナフチルアミンなどが挙げられる。フェノール類としては、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)(MBMBP)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどが挙げられる。チオウレア類としては、トリブチルチオ尿素、1,3−ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−チオ尿素などが挙げられる。これらの老化防止剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記老化防止剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.4質量部以上であり、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは4.8質量部以下、さらに好ましくは4.6質量部以下である。
【0024】
前記軟化剤としては、鉱物油、可塑剤が挙げられる。前記鉱物油としては、パラフィンオイル、ナフテンオイル、アロマチックオイルなどが挙げられる。前記可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルセパケート、ジオクチルアジペートなどが挙げられる。
【0025】
前記スコーチ防止剤としては、有機酸、ニトロソ化合物などが挙げられる。前記有機酸としては、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、安息香酸、サリチル酸、リンゴ酸などが挙げられる。前記ニトロソ化合物としては、N−ニトロソ・ジフェニルアミン、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド、スルホンアミド誘導体、ジフェニルウレア、ビス(トリデシル)ペンタエリスルトールジホスファイト、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
【0026】
前記外層用ゴム組成物は、従来公知の方法で調製できる。例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロールなどの混練機を用いて、各原料を混練りすることで調製できる。混練りする際の温度(材料温度)は、70℃〜160℃が好ましい。なお、組成物が後述するマイクロバルーンを含有する場合は、マイクロバルーンの膨張開始温度未満の温度で混練りすることが好ましい。
【0027】
前記外層は、中実層でもよいし、多孔質層でもよい。前記外層を多孔質層とすれば、スポーツ用品用グリップをさらに軽量化できる。
【0028】
多孔質層を作製する方法としては、バルーン発泡法、化学発泡法、超臨界二酸化炭素射出成型法、塩抽出法、溶剤除去法などが挙げられる。前記バルーン発泡法では、ゴム組成物にマイクロバルーンを含有させ、加熱によりマイクロバルーンを膨張させて、発泡させる。なお、ゴム組成物に膨張済みのマイクロバルーンを配合し、それを成形してもよい。前記化学発泡法では、ゴム組成物に発泡剤(アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジン、p−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)など)や発泡助剤を含有させ、化学反応により気体(炭酸ガス、窒素ガスなど)を発生させて発泡させる。前記超臨界二酸化炭素射出成型では、高圧力下で超臨界状態にある二酸化炭素をゴム組成物に含侵させ、このゴム組成物を常圧下に射出し、二酸化炭素を気化させて発泡させる。前記塩抽出法では、ゴム組成物に易溶解性塩(ホウ酸、塩化カルシウムなど)を含有させ、成形後に塩を溶解抽出して細孔を形成する。前記溶剤除去法では、ゴム組成物に溶剤を含有させ、成形後に溶剤を除去し細孔を形成する。
【0029】
前記外層を多孔質層とする場合、アクリロニトリル−ブタジエン系ゴムと発泡剤とを含有する外層用ゴム組成物から成形された発泡層が好ましい。特に、バルーン発泡法により作製された発泡層とすることが好ましい。すなわち、外層としては、マイクロバルーンを含有する外層用ゴム組成物から成形された発泡層が好ましい。マイクロバルーンを用いることで、外層の機械的強度を維持しつつ、軽量化を図ることができる。前記マイクロバルーンとしては、有機マイクロバルーン、無機マイクロバルーンのいずれも使用できる。有機マイクロバルーンとしては、熱可塑性樹脂からなる中空粒子、熱可塑性樹脂の殻に低沸点炭化水素が内包された樹脂カプセルなどが挙げられる。前記樹脂カプセルの具体例としては、Akzo Nobel社製のエクスパンセル、松本油脂製薬社製のマツモトマイクロスフェアー(登録商標)などが挙げられる。無機マイクロバルーンとしては、中空ガラス粒子(シリカバルーン、アルミナバルーンなど)、中空セラミックス粒子などが挙げられる。
【0030】
前記樹脂カプセル(膨張前)の体積平均粒子径は、5μm以上が好ましく、より好ましくは6μm以上、さらに好ましくは9μm以上であり、90μm以下が好ましく、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは60μm以下である。
【0031】
バルーン発泡法により外層を作製する場合、前記外層用ゴム組成物中のマイクロバルーンの含有量は、基材ゴム100質量部に対して、1.0質量部以上が好ましく、より好ましくは1.2質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上であり、10質量部以下が好ましく、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは6質量部以下である。前記マイクロバルーンの含有量が1.0質量部以上であれば多孔質層を形成する際の発泡がより均一となり、10質量部以下であれば多孔質層の軽量化と機械的強度を両立できる。
【0032】
また、バルーン発泡法により作製される外層の発泡倍率は、1.1以上が好ましく、より好ましくは1.2以上であり、2.0以下が好ましく、より好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.5以下である。発泡倍率が1.1以上であればグリップの軽量化の効果が大きくなり、2.0以下であれば外層の機械的強度の低下を抑制できる。
【0033】
[内層]
前記内層は、多孔質ゴム層または多孔質樹脂層である。多孔質ゴム層または多孔質樹脂層は、基材となるゴムまたは樹脂に多数の細孔(空隙)が形成されている層である。多数の細孔が形成されていることにより、層の見掛け密度が小さくなり、軽量化を図ることができる。多孔質層は、上記外層と同様に、バルーン発泡法、化学発泡法、超臨界二酸化炭素射出成型法、塩抽出法、溶剤除去法などにより作製できる。
【0034】
前記内層は、基材(基材ゴムまたは基材樹脂)と発泡剤とを含有する内層用組成物から成形された発泡層が好ましい。特に、バルーン発泡法により作製された発泡層が好ましい。すなわち、前記内層としては、マイクロバルーンを含有する内層用組成物から成形された発泡層が好ましい。マイクロバルーンを用いることで、内層の機械的強度を維持しつつ、軽量化を図ることができる。マイクロバルーンとしては、前記外層用ゴム組成物に使用されるものが挙げられ、熱可塑性樹脂の殻に低沸点炭化水素が内包された樹脂カプセルが好ましい。
【0035】
バルーン発泡法により内層を作製する場合、内層用組成物中のマイクロバルーンの含有量は、基材(基材ゴムまたは基材樹脂)100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、より好ましくは8質量部以上、さらに好ましくは12質量部以上であり、20質量部以下が好ましく、より好ましくは18質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である。前記マイクロバルーンの含有量が5質量部以上であればグリップの軽量化の効果がより大きくなり、20質量部以下であれば内層の機械的強度の低下を抑制できる。
【0036】
また、バルーン発泡法により作製される内層の発泡倍率は、1.2以上が好ましく、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは1.8以上であり、5.0以下が好ましく、より好ましくは4.5以下、さらに好ましくは4.0以下である。発泡倍率が1.2以上であればグリップの軽量化の効果が大きくなり、5.0以下であれば内層の機械的強度の低下を抑制できる。
【0037】
前記多孔質ゴム層は、基材ゴムと架橋剤とを含有する内層用ゴム組成物から成形できる。前記基材ゴムとしては、天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエンゴム(XNBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリウレタンゴム(PU)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)などが挙げられる。これらの中でも、前記基材ゴムとしては、NR、EPDM、IIR、NBR、HNBR、XNBR、BR、SBR、PUが好ましい。
【0038】
前記架橋剤としては、前記外層用ゴム組成物に使用されるものと同じものが挙げられ、単体硫黄が好ましい。前記内層用ゴム組成物は、さらに加硫促進剤、加硫活性剤を含有することが好ましい。これらの加硫促進剤、加硫活性剤としては前記外層用ゴム組成物に使用されるものと同じものが挙げられる。前記加硫促進剤としては、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、テトラベンジルチウラムジスルフィドが好ましい。前記加硫活性剤としては、酸化亜鉛、ステアリン酸が好ましい。
【0039】
前記内層用ゴム組成物は、さらに必要に応じて補強材、老化防止剤、軟化剤、着色剤、スコーチ防止剤などを配合してもよい。これらの補強材、老化防止剤、着色剤としては前記外層用ゴム組成物に使用されるものと同じものが挙げられる。前記補強材としては、カーボンブラック、シリカが好ましい。前記老化防止剤としては、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)が好ましい。
【0040】
前記内層用ゴム組成物は、従来公知の方法で調製できる。例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロールなどの混練機を用いて、各原料を混練りすることで調製できる。混練りする際の温度(材料温度)は、70℃〜160℃が好ましい。なお、組成物がマイクロバルーンを含有する場合は、マイクロバルーンの膨張開始温度未満の温度で混練りすることが好ましい。
【0041】
前記多孔質樹脂層は、基材樹脂を含有する内層用樹脂組成物から成形できる。前記基材樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などが挙げられる。
【0042】
[構造]
本発明のスポーツ用品用グリップは、円筒状内層と、前記内層を被覆する円筒状外層とからなる円筒部を有する。
【0043】
前記円筒部の厚さは、0.5mm以上が好ましく、より好ましくは1.0mm以上、さらに好ましくは1.5mm以上であり、17.0mm以下が好ましく、より好ましくは10.0mm以下、さらに好ましくは8.0mm以下である。前記円筒部の厚さは、軸方向に一定となるように形成してもよいし、先端部から後端部に向かって徐々に厚くなるように形成してもよい。
【0044】
前記外層の厚さおよび内層の厚さは、均一としてもよいし、変化をつけてもよい。例えば、円筒状グリップの軸方向に、一方端から他方端に向かって徐々に厚くなるように形成してもよい。前記外層の厚さは、均一であることが好ましい。
【0045】
前記円筒部の厚さが0.5mm〜17.0mmの場合、前記外層の厚さは、0.1mm以上が好ましく、より好ましくは0.15mm以上、さらに好ましくは0.2mm以上であり、2.5mm以下が好ましく、より好ましくは2.0mm以下、さらに好ましくは1.5mm以下である。前記外層の厚さが0.1mm以上であれば外層素材による補強効果がより大きくなり、2.5mm以下であれば相対的に内層を厚くすることができ、グリップの軽量化の効果が大きくなる。
【0046】
前記円筒部の厚さに対する外層の厚さの百分率((外層厚さ/円筒部厚さ)×100)は、0.5%以上が好ましく、より好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは1.5%以上であり、99.0%以下が好ましく、より好ましくは98.0%以下、さらに好ましくは97.0%以下である。前記百分率が0.5%以上であれば外層素材による補強効果がより大きくなり、99.0%以下であれば相対的に内層を厚くすることができ、グリップの軽量化の効果が大きくなる。
【0047】
前記外層用ゴム組成物の材料硬度(JIS−A)は、30以上が好ましく、より好ましくは40以上、さらに好ましくは45以上であり、80以下が好ましく、より好ましくは70以下、さらに好ましくは60以下である。外層用ゴム組成物の材料硬度(JIS−A)が30以上であれば外層の機械的強度がより向上し、80以下であれば外層が硬くなりすぎず、掴んだ時のグリップ感がより良好となる。
【0048】
前記内層用組成物(内層用ゴム組成物または内層用樹脂組成物)の材料硬度(JIS−A)は、10以上が好ましく、より好ましくは15以上、さらに好ましくは20以上であり、80以下が好ましく、より好ましくは70以下、さらに好ましくは60以下である。内層用組成物の材料硬度(JIS−A)が10以上であれば内層が軟らかくなりすぎず、掴んだ時にしっかりと固定できる感触が得られ、80以下であれば内層が硬くなりすぎず、掴んだ時のグリップ感がより良好となる。
【0049】
前記外層用ゴム組成物の材料硬度H
out(JIS−A)は、前記内層用組成物の材料硬度H
in(JIS−A)と同じか、あるいはH
in(JIS−A)よりも大きいことが好ましい。この場合、これらの硬度差(H
out−H
in)(JIS−A)は、0以上が好ましく、より好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上であり、65以下が好ましく、より好ましくは60以下、さらに好ましくは55以下である。硬度差(H
out−H
in)が上記範囲内であれば、掴んだ時のグリップ感がより良好となる。
【0050】
前記スポーツ用品用グリップにおいて、外層と内層の組合せとしては、中実外層と多孔質内層、多孔質外層と多孔質内層が挙げられる。特に、外層および内層を発泡層とする場合、外層の発泡倍率を内層の発泡倍率よりも小さくすることが好ましい。また、この場合、外層の発泡倍率と内層の発泡倍率との比(内層/外層)は、1.1以上が好ましく、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2.0以上であり、10.0以下が好ましく、より好ましくは9.0以下、さらに好ましくは8.0以下である。
【0051】
本発明のスポーツ用品用グリップは、円筒状内層と、円筒状外層との間に中間層を有していてもよい。中間層を配置すれば、グリップの物性の設計の自由度が向上する。中間層は、グリップの長手方向(円筒部の軸方向)の全体にわたり配置してもよいし、一部分にのみ配置してもよい。また、中間層は1層のみ配置してもよいし、2層以上配置してもよい。中間層は、中実層でもよいし、多孔質層でもよい。また、中間層の材料は特に限定されず、ゴム層、樹脂層のいずれでもよく、前記外層、内層と同様の材料を使用することができる。
【0052】
[接着層]
前記スポーツ用品用グリップは、内層、中間層、外層の層間に接着剤層を有していてもよい。なお、接着剤層はその厚さが30μm以下の非常に薄い層であり、前記中間層とは異なる層である。接着剤層を構成する接着剤としては、加硫接着剤(架橋接着剤)、ゴムのりが挙げられる。接着剤層を有することで、内層と外層との剥離強度が高くなる。
【0053】
前記スポーツ用品用グリップの円筒部の構成としては、円筒状内層と、前記内層を被覆する円筒状外層とを有する円筒形状;円筒状内層と、前記内層を被覆する円筒状外層と、これらの内層と外層との間に配置された少なくとも一層の中間層を有する円筒形状;円筒状内層と、前記内層を被覆する円筒状外層と、これらの内層と外層との間に配置された接着剤層を有する円筒形状;が挙げられる。
【0054】
[製造方法]
前記スポーツ用品用グリップは、例えば、前記外層用ゴム組成物から形成した未加硫のゴムシートと、前記内層用ゴム組成物から形成した未加硫のゴムシートまたは前記内層用樹脂組成物から形成した樹脂シートとの積層物を、金型内でプレス成形することで得られる。前記外層用ゴム組成物または内層用組成物からシートを作製する方法は、プレス成型、射出成型のいずれも採用できる。積層物をプレス成形する際、金型温度は140℃〜200℃が好ましく、成形時間は5分間〜45分間が好ましく、成形圧力は0.1MPa〜150MPaが好ましい。なお、バルーン発泡法を用いて発泡層を作製する場合、外層のシートおよび内層のシートを作製する際にはバルーンを膨張させず、外層のシートと内層のシートとの積層物をプレス成型する際にバルーンを膨張させることが好ましい。
【0055】
[スポーツ用品]
本発明のスポーツ用品用グリップは、ゴルフクラブ用グリップ、釣竿用グリップ、バット(野球用バット、ソフトバール用バット、クリケット用バット)用グリップ、ストック(スキー用ストック、ウォーキング用ストック)用グリップなどに使用できる。
【0056】
[ゴルフクラブグリップ]
本発明のスポーツ用品用グリップの一例として、ゴルフクラブ用グリップについて説明する。ゴルフクラブ用グリップの形状としては、例えば、シャフトが挿嵌される円筒部と、前記円筒部の後端の開口を覆うように一体形成されたキャップ部とを有する形状が挙げられる。前記円筒部は内層と外層との積層構造を有している。すなわち、シャフトが挿嵌される円筒部を有し、前記円筒部が、円筒状内層と、前記内層を被覆する円筒状外層とを有し、前記内層が、多孔質ゴム層または多孔質樹脂層であり、前記外層が、アクリロニトリル−ブタジエン系ゴムを含有するゴム組成物から成形されたものである。
【0057】
前記円筒部の厚みは、軸方向に一定となるように形成してもよいし、先端部から後端部に向かって徐々に厚くなるように形成してもよい。また、円筒部の厚みは、径方向に一定となるように形成してもよいし、一部に凸条部分(いわゆるバックライン)を設けてもよい。また、円筒部の表面には溝を設けてもよい。溝により、ゴルファーの手とグリップとの間の水膜形成が抑制され、ウェット状態でのグリップ性能がより向上する。さらに、グリップの防滑性能および耐摩耗性の観点から、グリップ内に補強コードを配設してもよい。
【0058】
[ゴルフクラブ]
本発明には、前記スポーツ用品用グリップを用いたゴルフクラブも含まれる。前記ゴルフクラブは、シャフトと、前記シャフトの一端に取り付けられたヘッドと、前記シャフトの他端に取り付けられたグリップとを備え、前記グリップが前記スポーツ用品用グリップである。前記シャフトは、ステンレス鋼製や炭素繊維強化樹脂製が使用できる。前記ヘッドとしては、ウッド型、ユーティリティ型、アイアン型が挙げられる。前記ヘッドを構成する材料は、特に限定されるものではなく、例えばチタン、チタン合金、炭素繊維強化プラスチック、ステンレス鋼、マルエージング鋼、軟鉄などが挙げられる。
【0059】
以下、図面を参照して、ゴルフクラブ用グリップおよびゴルフクラブについて説明する。
図1は、ゴルフクラブ用グリップの一例を示す斜視図である。グリップ1は、シャフトが挿嵌される円筒部2と、前記円筒部の後端の開口を覆うように一体形成されたキャップ部3とを有する。
【0060】
図2は、ゴルフクラブ用グリップの一例を示す断面模式図である。前記円筒部2は、内層2aと外層2bから構成されている。そして、前記外層2aは先端部から後端部にわたり厚さが均一に形成されている。前記内層2bの厚みは、先端部から後端部に向かって徐々に厚くなるように形成されている。
図2に示したグリップ1では、キャップ部3は外層2bと同様のゴム組成物から形成されている。
【0061】
図3は、本発明のゴルフクラブの一例を示す斜視図である。ゴルフクラブ4は、シャフト5と、前記シャフト5の一端に取り付けられたヘッド6と、前記シャフト4の他端に取り付けられたグリップ1とを備えている。グリップ1の円筒部2にシャフト5の後端が嵌入されている。
【実施例】
【0062】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0063】
[評価方法]
(1)アクリロニトリル含有率
アクリロニトリル含有率は、水素添加前のアクリルニトリル−ブタジエンゴムについて、ISO 24698−1(2008)により測定した。
【0064】
(2)二重結合含有量(mmol/g)
二重結合含有量は、共重合体中のブタジエン含有率(質量%)と残存二重結合量(%)から算出した。前記残存二重結合量とは、水素添加前の共重合体中の二重結合と水素添加後の共重合体中の二重結合との質量比(水素添加後の二重結合量/水素添加前の二重結合量)であり、赤外分光法により測定できる。アクリロニトリル−ブタジエンゴムが、アクリロニトリル−ブタジエン2元共重合体の場合、共重合体中のブタジエン含有率は100からアクリロニトリル含有率(質量%)を減ずることで求められる。
二重結合量={ブタジエン含有率/54}×残存二重結合量×10
【0065】
(3)カルボキシ基を含有する単量体の含有率
水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴムを1g量りとり、クロロホルム50mlに溶解させ、ここにチモールブルー指示薬を滴下した。この溶液を攪拌しながら、水酸化ナトリウムの0.05mol/Lメタノール溶液を滴下し、最初に変色するまでの滴下量(Vml)を記録した。ブランクとして水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴムを含有しないクロロホルム50mlについても、チモールブルーを指示薬として、水酸化ナトリウムの0.05mol/Lメタノール溶液を滴下し、最初に変色するまでの滴下量(Bml)を記録した。下記式により、カルボキシ基含有率を算出した。
カルボキシ基含有単量体含有率={0.05×(V−B)×PM}/(10×X)
(式中、V:試験溶液の水酸化ナトリウム溶液滴下量(ml)、B:ブランクの水酸化ナトリウム溶液滴下量(ml)、PM:カルボキシ基含有単量体の分子量、X:カルボキシ基含有単量体の価数)
【0066】
(4)材料硬度(JIS−A)
ゴム組成物を用いて、160℃で8〜20分間プレスして、厚み2mmのシートを作製した。なお、ゴム組成物がマイクロバルーンを含有する場合は、グリップを形成した際と同様の発泡倍率となるようにマイクロバルーンを膨張させてシートを作製した。このシートを、23℃で2週間保存し、測定基板などの影響が出ないように、3枚重ねた状態で、JIS K6253−3(2012)に規定するタイプAデュロメータを備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて測定した。
【0067】
(5)発泡倍率
グリップから測定対象となる発泡層を切り出し、発泡層の密度(d1)を測定した。また、この発泡層の形成に使用されたゴム組成物を用いて未発泡のゴムシートを作製し、このゴムシートの密度(d2)を測定した。前記未発泡シートの密度を発泡層の密度で除することで発泡倍率(d2/d1)を算出した。なお、密度は、自動比重計(エムエステック社製、SP−GR1、アルキメデスの原理)を用いて測定した。
【0068】
(6)引張強さ
引張強さはJIS K 6251(2010)に準拠して測定した。具体的には、グリップを外層側から厚さ2mmとなるように切り出し、これをダンベル形状(ダンベル状3号形)に打ち抜いて試験片を作製し、引張試験測定装置(島津製作所社製、オートグラフAGS−D)を用いて物性を測定した(測定温度23℃、引張速度500mm/分)。そして、試験片を切断するまで引っ張ったときに記録される最大の引張力を試験片の初期断面積で除することで引張強さを算出した。なお、引張強さは、グリップNo.3の引張強さを100として、指数化した値で示した。
【0069】
(7)ウェット時のグリップ性能
グリップをシャフトに取り付けて、ゴルフクラブを製作した。このグリップに水をつけてウェット状態とし、このゴルフクラブを10名のゴルファーに使用させて防滑性能を「1」から「5」の5段階で評価させた。最も滑りが生じにくいものを「5」、生じやすいものを「1」とした。各グリップの10名のゴルファーの評価値の平均を求め、グリップNo.3の防滑性能を100として、指数化した値で示した。
【0070】
(8)耐摩耗性
耐摩耗性は、学振型摩耗試験機(スガ試験機社製、FR−2)を用いて評価した。具体的には、グリップを外層側から厚さ2mmとなるように切り出し、シートを長さ130mm、幅35mmの長方形状に打ち抜いて試験片を作製し、試験片台に固定した。摩擦子の先端にサンドペーパー(番手240番)を取り付け、2Nの荷重で、試験片の中央部100mmの間を毎分30回往復の速度で500回往復摩擦した。その後、試験片の試験前後の質量変化により耐摩耗性を評価した。なお、耐摩耗性は、グリップNo.3の耐摩耗性を100として、指数化した値で示した。
【0071】
(9)質量
各グリップの質量を測定した。なお、質量は、グリップNo.16の質量を100として、指数化した値で示した。
【0072】
[グリップの作製]
表1、2に示す配合で各原料をバンバリーミキサー(材料温度80〜150℃)で混練し、外層用ゴム組成物および内層用ゴム組成物を調製した。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
表1、2で用いた材料は下記のとおりである。
NR(天然ゴム):TSR20
EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム):住友化学社製、エスプレン(登録商標)505A
NBR:アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ランクセス社製、Krynac(登録商標) 3345F(アクリロニトリル含有率33.0質量%))
HNBR1:水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ランクセス社製、Therban(登録商標) 3629(残存二重結合量2.0%、アクリロニトリル含有率36.0質量%))
HNBR2:水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ランクセス社製、Therban 3446(残存二重結合量4.0%、アクリロニトリル含有率34.0質量%))
HNBR3:水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ランクセス社製、Therban 3668 VP(残存二重結合量6.0%、アクリロニトリル含有率36.0質量%))
HNBR4:水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ランクセス社製、Therban LT2057(残存二重結合量5.5%、アクリロニトリル含有率21.0質量%))
HNBR5:水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ランクセス社製、Therban 4369(残存二重結合量5.5%、アクリロニトリル含有率43.0質量%))
HNBR6:水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ランクセス社製、Therban AT 5005 VP(残存二重結合量0.9%、アクリロニトリル含有率49.0質量%))
HNBR7:水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ランクセス社製、Therban 3496(残存二重結合量18.0%、アクリロニトリル含有率34.0質量%))
XNBR:カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ランクセス社製、Krynac X750(アクリロニトリル含有率27.0質量%、カルボキシ基含有単量体含有率7.5質量%))
HXNBR:水素添加カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ランクセス社製、Therban XT VPKA 8889(残存二重結合量3.5%、アクリロニトリル含有率33.0質量%、カルボキシ基含有単量体含有率5.0質量%))
硫黄:鶴見化学工業社製、5%油入微粉硫黄(200メッシュ)
NS:N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(大内新興化学工業社製、ノクセラー(登録商標)NS)
TMTD:テトラメチルチウラムジスルフィド(大内新興化学工業社製、ノクセラーTT−P)
TBzTD:テトラベンジルチウラムジスルフィド(大内新興化学工業社製、ノクセラーTBzTD)
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、銀嶺R
過酸化亜鉛(1):シグマアルドリッチ社製
過酸化亜鉛(2):struktol社製、struktol ZP 1014(過酸化亜鉛含有量29質量%)
ステアリン酸:日油社製、ビーズステアリン酸つばき
カーボンブラック(1):三菱化学社製、ダイヤブラックN220
カーボンブラック(2):東海カーボン社製、シーストSO(FEF)
シリカ:EVONIK社製、ウルトラジルVN3
NS−6:2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)(大内新興化学工業社製、ノクラック(登録商標)NS−6)
NDIBC:ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(大内新興化学工業社製、ノクラック NBC)
TBTU:トリブチルチオ尿素(大内新興化学工業社製、ノクラック TBTU)
マイクロバルーン:Akzo Nobel社製、「エクスパンセル909−80」(熱可塑性樹脂の殻に低沸点炭化水素が内包された樹脂カプセル、体積平均粒子径18μm〜24μm、膨張開始温度120℃〜130℃)
【0076】
グリップNo.1、3〜15
前記外層用ゴム組成物を用いて、扇台形状の未加硫のゴムシートおよびキャップ部材を作製した。なお、外層用ゴムシートは一定の厚さとなるように成形した。前記内層用ゴム組成物を用いて、長方形状の未加硫のゴムシートを作製した。なお、内層用ゴムシートは、一方端から他方端に向かって徐々に厚くなるように形成した。マンドレルに内層用ゴムシートを巻き付け、この上に外層用ゴムシートを重ねて巻き付けた。これらのゴムシートを巻き付けたマンドレルおよびキャップ部材を、キャビティ面に溝パターンを備えた金型に投入した。そして、金型温度160℃、加熱時間15分間で熱処理を行い、ゴルフ用グリップを得た。得られたゴルフ用グリップの円筒部の厚さは、最薄部(ヘッド側端部)が1.5mm、最厚部(グリップエンド側端部)が6.7mmであった。各グリップの評価結果を表3に示した。
【0077】
グリップNo.2、16
内層用ゴム組成物または外層用ゴム組成物を、キャビティ面に溝パターンを備えた金型に投入した。そして、金型温度160℃、加熱時間15分間で熱処理を行い、ゴルフ用グリップを得た。なお、グリップNo.2、16は単層構造であるが、グリップの形状はグリップNo.1、3〜15と同一である。グリップの評価結果を表3に示した。
【0078】
【表3】
【0079】
グリップNo.2は、外層を有さない場合であるが、引張強さが非常に低い。グリップNo.1は、多孔質内層とNR系ゴムを含有する外層とを有する場合であり、グリップNo.2よりも引張強さが高い。グリップNo.3〜15は、多孔質内層とNBR系ゴムを含有する外層とを有する場合である。これらのグリップNo.3〜15は、いずれもグリップNo.1よりもさらに引張強さが向上した。これらの中でも、外層にHNBR、HXNBRまたはXNBRを用いたもの(グリップNo.4〜15)は、外層にNBRを用いたもの(グリップNo.3)よりもさらに引張強さが向上した。また、外層にXNBR、HXNBRを用いたもの(グリップNo.11、14)は、外層にNBRを用いたもの(グリップNo.3)よりも耐摩耗性も向上した。