(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電子受容体が、フラーレン誘導体、カーボンナノチューブ、ペリレン誘導体およびテトラシアノキノジメタン誘導体から選択されることを特徴とする請求項5に記載のセル。
緩衝層が、活性層と正の電極との間に挿入され、該緩衝層がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)との混合物からなることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載のセル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、シリコンの原価よりも低価格であり、具体的には、光起電力変換セルの活性層の調製のための電子供与体として用いられ得る化合物が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、下に規定された式の特定のコバルト錯体が、光起電力変換セルの活性層(ヘテロ接合)の調製のための優れた電子供与体特性を有する(これによってそれらは電子受容体と組み合わせて有利に用いることができる)ということをここで発見した。
【0015】
本発明の1つの主題は、少なくとも1つの下の式(I−a)または(I−b)のコバルト錯体の使用であって、
光起電力変換セルの活性層(ヘテロ接合)の調製のための、電子受容体と組み合わせた、電子供与体としてのコバルト錯体の使用である:
【0016】
【化1】
【0017】
式中:
−nが0から5まで変化する整数であり;
−R
1が、I、C
1−C
12アルキル、トリメチルシリル、HgCl、−C(O)(C
1−C
4)アルキル、およびオキサゾール基から選択され、必要に応じてC
1−C
4アルキル基によって置換され、n>1である場合、式(I−a)または(I−b)の所定の化合物の全てのR
1基は同一であり、
−基A
1、A’
1、A
2およびA’
2は、対が同一であり、かつ下の式(II−1)〜(II−9)の基から選択される:
【0018】
【化2】
【0019】
式中:
−R
2、R
3、およびR
4は、同一であるかまたは異なり、水素、ヨウ素もしくは臭素の原子、ニトロ、直鎖C
1−C
12アルキル、トリフルオロメチル、ジ(C
1−C
4)アルキルアミノ、−C(O)(C
1−C
4)アルキルまたは直鎖C
1−C
4アルコキシ基であり;
−R
6、R
8、R
9、R
10、R
12、R
13、R
14、R
15およびR
16は同一であるかまたは異なり、水素もしくは臭素の原子、直鎖C
1−C
12アルキルまたは直鎖C
1−C
4アルコキシ基であり、R
9およびR
10は一緒になって、ならびに/または、R
13およびR
14は一緒になって、ならびに/または、R
15およびR
16は一緒になって、エチレンジオキシ基(−O−(CH
2)
2−O−)を形成してもよく;
−R
7、R
11およびR
17は、水素、臭素もしくはヨウ素の原子、ニトロ、直鎖C
1−C
12アルキル、直鎖C
1−C
4アルコキシ、−CHO、−C(O)(C
1−C
4)アルキルもしくは−C(O)(C
1−C
4)アルコキシ基またはチオフェン環であって、必要に応じてBr、I、ニトロ、直鎖C
1−C
12アルキル、直鎖C
1−C
4アルコキシ、−C(O)(C
1−C
4)アルキルおよび−C(O)(C
1−C
4)アルコキシから選択される1つ以上の置換基を有し;
−R
18〜R
36は、同一であるかまたは異なり、水素原子、直鎖C
1−C
4アルコキシ基、ニトロ基または−C(O)(C
1−C
4)アルコキシ基である。
【0020】
上記で定義される式(I−a)および(I−b)の化合物は、容易に入手可能であり、n型の半導体化合物、例えばメチル[6,6]−フェニル−C61−ブチラート(PCBM)などと組み合わせて、それらは、湿った層としてデポジットされて、極めて良好なp型の導体であることが証明され得る。
【0021】
本発明によれば、A
1、A’
1、A
2およびA’
2の基を特徴付けるために用いられる「A
1、A’
1、A
2およびA’
2は対が同一であり」という表現は、式(I−a)および(I−b)の各々の化合物において、A
1=A’
1、A
2=A’
2、およびA
1(A’
1)が、A
2(A’
2)と同一であるかまたは異なるということを意味する。
【0022】
R
1〜R
17基について言及されるC
1−C
12アルキル基のうちで、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチルおよびn−ヘキシル基がさらに具体的に言及され得る。これらの基のうちで、メチルおよびn−ヘキシル基が好ましい。
【0023】
R
1〜R
21基について言及されるC
1−C
4アルコキシ基のなかで、メトキシ基が好ましい。
【0024】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、nは1または2に等しく、R
1基(単数または複数)は、メチル基に相当する。
【0025】
上記の式(I−a)および(I−b)の錯体のなかで、具体的には以下を挙げることができる:
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−1,3−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[ベンゼン]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−1,3−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス−4−n−ブチル−ベンゼン]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−1,3−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[3,5−ジメトキシ−ベンゼン]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’−[(1,2,3,4−η)−2,4−ビス(4−メトキシベンゼン)−1,3−シクロブタジエン−1,3−ジイル]ビス−[フェニル]](η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)コバルト(I);
−[1,1’−[(1,2,3,4−η)−2,4−ビス(4−ニトロベンゼン)−1,3−シクロブタジエン−1,3−ジイル]ビス−[フェニル]](η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)コバルト(I);
−[1,1’−[(1,2,3,4−η)−2,4−ビス(4−ニトロベンゼン)−1,3−シクロブタジエン−1,3−ジイル]ビス−[4−メトキシベンゼン]](η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)コバルト(I);
−[1,1’−[(1,2,3,4−η)−2,4−ビス(4−ブロモベンゼン)−1,3−シクロブタジエン−1,3−ジイル]ビス−[4−メトキシベンゼン]](η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−1,3−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[4−メチルベンゾアート]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−1,3−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[2,2’,5’−ビチオフェン]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−1,3−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[2,2’,5’,2’’,5’’−テルチオフェン]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−テトラキス1,2,3,4−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−カルバルデヒド])]−(η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−テトラキス1,2,3,4−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−ブロモ])](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−テトラキス1,2,3,4−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−メトキシ])](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−テトラキス1,2,3,4−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−ニトロ])](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−テトラキス1,2,3,4−[2,5,2’,5’,2’−テルチオフェン−(4,4’,4’’)−トリスヘキシル])](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−テトラキス1,2,3,4−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−ドデシル])](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−テトラキス1,2,3,4−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−ヨード])](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−ビス1,3−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−ニトロ],ビス2,4−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−メトキシ])](η5−シクロペンタジエニル)−コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−ビス1,3−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−ブロモ],ビス2,4−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−メトキシ])](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−1,3−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[2−チオニル]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−1,3−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[3−ピリジル]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−1,3−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[4−ピリジル]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−1,3−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[1−アズレニル]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−1,3−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[2−アズレニル]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);および
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−1,3−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[6−アズレニル]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I)。
【0026】
これらの化合物の中で、以下が極めて特に好ましい:
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−1,3−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[2,2’,5’−ビチオフェン]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−1,3−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[2,2’,5’,2’’,5’’−テルチオフェン]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−テトラキス1,2,3,4−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−カルバルデヒド])](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−テトラキス1,2,3,4−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−ブロモ])](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−テトラキス1,2,3,4−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−メトキシ])](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−テトラキス1,2,3,4−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−ニトロ])](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−テトラキス1,2,3,4−[2,5,2’,5’,2’−テルチオフェン−(4,4’,4’’)−トリスヘキシル])](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−テトラキス1,2,3,4−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−ドデシル])](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−テトラキス1,2,3,4−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−ヨード])](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−ビス1,3−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−ニトロ],ビス2,4−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−メトキシ])](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I);および
−[1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−ビス1,3−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−ブロモ],ビス2,4−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−メトキシ])](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I)。
【0027】
上記のような式(I−a)および(I−b)の化合物は、市販されていない場合、以下の工程を包含する簡単かつ安価なプロセスによって調製してもよい:
a)A
1−Br基とA
2−Br基との間の薗頭カップリングによる、下の式(III)の基の調製:
【0028】
【化3】
【0029】
A
1−Br基とA
2−Br基は、同一であってもまたは異なってもよく、両者は、下の式(IV−1)〜(IV−9)の基のうちの1つから選択されてもよい:
【0030】
【化4】
【0031】
式中、R
2〜R
36基は、式(II−1)〜(II−9)の基について上で示されるのと同じ意味を有し;このようなカップリングは、アミン型の有機溶媒中で、トリメチルシリルエチン(TMSA)、有機溶媒の溶液中の有機塩基またはアルカリ金属塩、触媒としてのパラジウム錯体、および共触媒としての銅(I)塩の存在下で行われる;
b)下の式(I−a)のまたは式(I−b)の化合物の調製:
【0032】
【化5】
【0033】
式中、n=0であり、かつA
1、A’
1、A
2およびA’
2基が上記で示すのと同じ意味を有し;工程a)において上記で得られる式(III)の化合物と、下の式(V)のコバルト錯体:
【0034】
【化6】
【0035】
とを、有機溶媒中で、145℃〜150℃の温度で反応させることにより調製され、この反応は、60〜120Wのパワーを有するマイクロ波の存在下で、30分〜1時間の間行われる;次いで式(I−a)または(I−b)の化合物(式中、n≠0である)を得ることが所望される場合、
c)1つ以上のR
1基による式(I−a)および(I−b)の化合物の官能化:工程b)において上記で得られる式(I−a)または(I−b)の化合物(式中、n=0である)と、以下の式(VI):
R
1−X(VI)
の化合物とを反応させることにより官能化される:
式中:
−R
1は、C
1−C
12アルキル、C
1−C
4アルコキシ、トリメチルシリル、C(O)(C
1−C
4)アルキル、ホスファン、およびオキサゾール基(必要に応じてC
1−C
4アルキル基で置換され)から選択され、そして、
−Xは、塩素およびヨウ素から選択されるハロゲン原子であり、
ここで、X=Clである場合、R
1はHgCl基でもよく、X=Iである場合、R
1はヨウ素原子を示してもよいことが理解され;
式(I−a)または(I−b)の化合物(式中、n≠0である)を得るために、この官能化は、溶媒中、ならびに酸および水銀塩の触媒としての存在下で、塩化リチウムおよびn−ブチルリチウムの存在下で行われる。
【0036】
このプロセスは、実行するのが簡単かつ安価であり、これによって、式(I−a)および(I−b)の化合物を極めて良好な収率で獲得することが可能になる。
【0037】
さらに、工程b)の間のマイクロ波の使用によって、副産物の形成を制限し、出発生成物の反応性を増大することが可能になる。所望の生成物はこのようにして、より大きい収率で、短い時間で、かつより手際よく得られる。
【0038】
式(III)の基の調製のために薗頭カップリング反応(Sonogashira Kら、Tetrahedron Letters,1975,4467)の間に用いられるアミン型の溶媒を、トリエチルアミンおよびジエチルアミンから選択してもよい。
【0039】
アルカリ金属塩が工程a)の間に用いられる場合、これは好ましくは、テトラヒドロフランおよびメタノールからなる溶媒混合物中の溶液に含まれる、炭酸カリウムである。
【0040】
有機塩基が、工程a)の間に用いられる場合、これは特に、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン(DBU)およびカリウムtert−ブタノラートから選択されてもよい。
【0041】
工程a)の間に触媒として用いられるパラジウム錯体は好ましくは、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロライド(Pd(Cl)
2(PPh
3)
2および共触媒として用いられる銅塩、ヨウ化銅(cupric iodide)である。
【0042】
工程a)の期間は一般には、ほぼ1〜12時間の間で変化する。
【0043】
工程a)の間に用いられる、式(IV−1)〜(IV−9)のA
1−BrおよびA
2−Br基は、それらが市販されていない場合、先行技術から周知であり、例えば、以下の刊行物に記載されるようなプロセスによって、工程a)の前に調製されてもよい:
−M.Lambertoら、Tetrahedron Letters,2005,46(29),4895−4899;
−S.Itoら、J.Org.Chem.,2002,67(21),7295〜7302;
−S.Itoら、Tetrahedron Letters,2004,45(14),2891−2894;
−K.M.Maloneyら、Journal of Organic Chemistry,2009,74(14),5111−5114。
【0044】
例として、式(IV−4)の基は、有機溶媒中、触媒、炭酸カリウムおよびN−ブロモスクシンイミドの存在下での以下の反応からなるプロセスによって合成されてもよい:
i)下の式(VII)の化合物:
【0045】
【化7】
【0046】
と下の式(VIII)のブロモチオフェン:
【0047】
【化8】
【0048】
とを反応させて、下の式(IX)の化合物:
【0049】
【化9】
【0050】
を得る工程:
(ここで、式(VII)、(VIII)および(IX)では、R
13、R
14、R
15、R
16およびR
17基は、式(II−4)の基について上記で示されるのと同じ意味を有する)、次いで
ii)工程i)において上記で得られた式(IX)の化合物と、下の式(X)の化合物:
【0051】
【化10】
【0052】
(式中、R
12基が、式(II−4)の基について上記で示されるのと同じ意味を有する)とを反応させて、予想される式(IV−4)の基を得る工程。
【0053】
A
1−Br基またはA
2−Br基の調製に用いられる有機溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)およびジエチルエーテルから選択されてもよい。
【0054】
上記の式(VII)、(VIII)および(IX)の化合物は、それらが市販されていない場合、当業者に周知であり、例えば、以下の刊行物に記載されるような方法によって、調製されてもよい:
−J.B.Pressら、J.Org.Chem.,1979,44(19)、3293;
−S.Kawamoritaら、J.Org.Chem.,2010,75(11)、3855−3858;
−S.W.Hellら、Angew.Chem.Int.Ed.,2006,45,7462−7465;
−A.H.M.Elwahyら、Euro.J.Org.Chem.,2010,2,265−27;
−A.H.M.Elwahyら、Tetrahedron Letters,2000,41(16)、2859−2862;
−E.M.Harcourtら、Organometallics,2008,27(7)、1653−1656;ならびに
−U.S.SorensenおよびE.Pombo−Villar,Tetrahedron,2005,61(10)、2697−2703。
【0055】
A
1−Br基またはA
2−Br基の調製に用いられる触媒は好ましくは、パラジウム触媒、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウムジアセテートおよびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムクロライド等から選択される。
【0056】
式(I−a)または(I−b)の化合物(式中、n=0)を調製する工程b)の間に用いられる有機溶媒は、好ましくは、エタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、THF(95容積%)/エタノール(5容積%)の混合物、ピリジン、ジクロロメタン(95容積%)/エタノール(5容積%)の混合物、キシレン(95容積%)/エタノール(5容積%)の混合物およびトルエン(95容積%)/エタノール(5容積%)の混合物から選択される。これらの溶媒は、工程b)の反応を実行するために必要な最低から最高のマイクロ波電力の順序で分類される。
【0057】
従って、工程b)の間に与えられるマイクロ波の電力は、用いられる溶媒の性質の関数として調節され得る。例えば、溶媒がエタノールまたはDMFである場合、最低電力(60Wに近い)を用いてもよいが、溶媒がキシレン(95容積%)/エタノール(5容積%)の混合物またはトルエン(95容積%)/エタノール(5容積%)の混合物である場合は、最高電力(ほぼ120Wの大きさ)が好ましい。
【0058】
式(I−a)および(I−b)の化合物(式中、n=0)を1つ以上のR
1基で官能化する工程c)で用いられる溶媒は、好ましくはテトラヒドロフランまたはジオキサンである。
【0059】
工程c)の間に用いられ得る酸のなかでは特に、ペルヒドロ塩素酸(perhydrochloric acid)を挙げることができる。
【0060】
工程c)の間に用いられ得る水銀塩のなかでは、特に酢酸水銀、および塩化第二水銀を挙げることができる。
【0061】
工程c)の間に、式(I−a)または(I−b)の化合物のペンタジエニル環を置き換えるR
1基の数、すなわち、nの値は、水銀塩のおよびアルキルリチウムの等価物の数を調節することによって選択され得る。
【0062】
このプロセスは、行うことが簡単で、再現可能および安価であって、結果として、式(I−a)または(I−b)の錯体は、65%〜95%程度の収率で得られる。
【0063】
各々の合成工程の間に、中間体化合物は好ましくは、当業者に公知の任意の適切な技術によって、例えば、クロマトグラフィーカラムを通過することによって、精製される。
【0064】
上記でわかるとおり、式(I−a)および(I−b)の錯体は、極めて良好な半導体であって、従って、光起電力変換セルのヘテロ接合の調製のための電子供与体として用いられ得る。
【0065】
したがって、本発明の別の主題は、光起電力変換セルであって、少なくとも1つの支持体、正の電極、活性層(ヘテロ接合)(少なくとも1つの電子供与体および少なくとも1つの電子受容体を含む)、および負の電極を備え、このセルは、電子供与体が、上記のような、式(I−a)および(I−b)の化合物から選択されるという点で特徴づけられる。
【0066】
電子受容体は好ましくは、フラーレン(C60、C70)誘導体、例えばメチル[6,6]−フェニル−C61−ブチラート(PCBM)、カーボンナノチューブ、ペリレン誘導体およびテトラシアノキノジメタン(TCNQ)誘導体から選択される。
【0067】
1つの好ましい実施形態によれば、式(I−a)または(I−b)の化合物/電子受容体の重量比は、2/1〜1/4の間で変化する。
【0068】
本発明によれば、この基板は、好ましくは、可塑性であってもまたは剛性であってもよい材料からできた透明な基板、例えば、ガラスであり、その上にデポジットされるのが、金属の酸化物、例えば、インジウムスズ化合物(ITO)からなる正の電極である。
【0069】
負の電極は好ましくは、アルミニウム電極である。
【0070】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、緩衝層を、活性層と正の電極との間に挿入して、これらの2つの層の間の境界を改善する。このような緩衝層は、特に、2つのポリマーの混合物の層、ポリ(3−4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)およびポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)(PEDOT:PSS)層からなってもよい。
【0071】
同様に好ましくは、緩衝層をまた、活性層と負の電極との間に挿入して、これらの2つの層の間の境界をやはり改善する。このような緩衝層は特に、フッ化リチウム(LiF)の層から構成されてもよい。
【0072】
本発明による光起電力セルは、当業者に公知の技術によって、特に緩衝層で事前に覆われた正の電極上に、式(I)の少なくとも1つの化合物の溶液および少なくとも1つの電子受容体の溶液を、例えば、ジクロロベンゼンのような適切な溶媒中で、デポジットする工程からなるプロセスによって、調製されてもよい。この緩衝層のデポジットは、任意の適切な技術によって、および好ましくはスピンコーティングによって行われてもよい。
【0073】
活性層上の第二の緩衝層の、次いで負の電極のデポジットはまた、当業者に公知の任意の適切な技術によって、および具体的には蒸着によって行われてもよい。
【実施例】
【0075】
本発明は、以下の例示的な実施形態によって説明されるが、それらに限定はされない。
【0076】
以下の原料を本実施例で用いた:
−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン;2−(カルボキシアルデヒド)−(5,2’−ビチオフェン);および2−ヨード−(5,2’−ビチオフェン)(TCI Chemicals社が販売);
−メタノール;N−ヨードスクシンイミド;ベンゼン;ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン(DBU);ブチルリチウム;ヘキサン;4−メトキシヨードベンゼン;4−ニトロヨードベンゼン;および4−ヨード安息香酸メチルエステル(Sigma Aldrich社が販売);
−石油エーテル;ジクロロメタン;トルエン;エタノール;テトラヒドロフラン(THF);およびトリフェニルホスフィン(VWR社が販売);
−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド;トリメチルシリルアセチレン(TMSA);ビス(ベンゼン)アセチレン;テトラブロモメタン;3,5−ジメトキシベンズアルデヒド;3,5−ジメトキシヨードベンゼン;エチニルベンゼン;およびテトラブロモメタン(Acros社が販売);
−ヨウ化銅(cupric iodide)(CuI);およびビスカルボニルシクロペンタジエニルコバルト(I)(Strem社が販売);
−フマル酸ジメチル;およびビス[4−n−ブチルベンゼン]アセチレン(Alfa Aezer社が販売);
−PEDOT:PSS:ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホナート(Sigma Aldrich社が販売);
−PCBM:メチル[6,6]−フェニル−C61−ブチラート(Sigma Aldrich社が販売)。
【0077】
実施例1
1)[1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[2,2’,5’,2’’,5’’−テルチオフェン]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I)の合成
【0078】
【化11】
【0079】
1)第一工程:2−ヨード(5,2’:5’,2’’−テルチオフェン)の合成
【0080】
【化12】
【0081】
500mg(2.02mmol)の市販の製品(2,2’:5’,2’’−テルチオフェン)を、100mlのメタノール中に0℃で希釈した。次いで、1.1当量のN−ヨードスクシンイミド(NIS,546mg、2.1mmol)を添加した。その混合物を、暗所で12時間撹拌しておいた。次いで、その溶媒を減圧下でエバポレートした。次いで、反応の粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって、溶出液として、石油エーテル、次いで石油エーテル/ジクロロメタン(5/1:v/v)の混合物を用いて精製した。予想される生成物を、黄色い粉末の形態で単離した(285mg;収率=45%)。
【0082】
2)第二工程:ビス(2,2’:5’,2’’−テルチオフェン)アセチレンの合成
【0083】
【化13】
【0084】
前の工程において上記で得られた150mg(0.4mmol)の2−ヨード(5,2’:5’,2’’−テルチオフェン)を、9mgのビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド(Pd(Cl
2)(PPh
3)
2)(24μmol)および8mgのCuI(40μmol)とともに丸底フラスコ中に導入した。この丸底フラスコを、3回パージした(真空/アルゴン)。50mlの蒸留されたベンゼン、0.8mlのDBU(7当量,2.8mmol)、29μlのTMSA(0.5当量、0.2mmol)および3μlの蒸留水(0.4当量、0.16mmol)を、この順序で反応媒体に添加した。この混合物を、24時間暗所で、大気温度で撹拌しておいた。次いで、この溶媒を減圧下でエバポレートし、次いでその粗生成物を、クロマトグラフィーカラムを通過させることによって精製した(溶出液:石油エーテル、1L/ジクロロメタン、3L)。その生成物を、濃褐色の粉末の形態で単離した(82mg、収率:32%)。この化合物を、第四工程で下に記載される反応に直接入れた。
【0085】
3)第三工程:(η2−フマル酸ジメチル)カルボニル(η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I)の合成。
【0086】
【化14】
【0087】
1.44g(10mmol)のフマル酸ジメチルを、丸底フラスコに含まれる150mlの蒸留したトルエン中に溶解した。次いで、この丸底フラスコを、アルゴンを用いて3回パージした。次に、1.4ml(10mmol)のビスカルボニルシクロペンタジエニルコバルト(I)を添加して、その反応混合物を、トルエン還流下で、および照射下で(単なるハロゲンランプ)6時間撹拌した。その溶媒を減圧下でエバポレートした。次いで、反応の粗生成物を、カラムクロマトグラフィーによって精製した:(溶出液:3:1(v/v)石油エーテル/酢酸エチル)。次いで、その生成物を、赤色の粉末の形態で単離した(m=1.98mg、収率:66%):
【0088】
1H NMR(400 MHz,CDCl
3)δ3.28(d,J=10.3Hz,1H);3.61(s,3H);3.71(s,3H);3.86(d,J=10.3Hz,1H);4.99(s,5H)。
【0089】
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ37.1;38.2;51.4;51.5;87.2;175.6;176.2;199.2。このスペクトルは、以下の文献のスペクトルと一致する:A.Genyら、Ang.Chem.Int.Ed.,2009,48(10)、1810−1813。
【0090】
4)第四工程:[1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[2,2’,5’,2’’,5’’−テルチオフェン]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I)の合成
封管中で、第二の工程において上記で得られた42mg(2当量、82μmol)のビス(2,2’:5’,2’’−テルチオフェン)アセチレンおよび18mgの(η2−フマル酸ジメチル)カルボニル(η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I)(1.5当量,61μmol)を、1mlのエタノールおよび14mlのTHF中に希釈した。次いで、その反応媒体を、マイクロ波(90ワット、定常状態)を用いて45分間150℃で加熱した。次いで、その溶媒を減圧下でエバポレートし、次いでその粗生成物を、エタノール(25ml)を用いて濾過した。得られたケーキを、ジクロロメタンを用いて濾過して、予想される生成物を黒色の粉末の形態で得た(25mg、収率:45%)。
【0091】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.23(d,J=5.1;4H);7.19(d,J=3.6;8H);7.10(dd,J=3.7;8.9;8H);7.05−7.00(m,8H);4.86(s,5H)。
【0092】
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ137.30;137.04;136.74;136.33;136.26;128.11;128.08;124.64;124.60;124.33;124.11;123.83;84.02;69.68。
【0093】
化合物(1)の吸収スペクトルを、ジクロロメタン中0.1mg/ml(85μmol/L)の溶液中で、参照のラムダ650のもとでPerkin Elmer社が販売しているUV−可視分光計で測定した。これは、添付の
図1に報告され、ここでは、吸収は任意の単位で、波長(nm)の関数である(λ
max=399nm;ε=9.3×10
4cm
−1.L.mol
−1;Egap=1.9eV)。
【0094】
実施例2
[1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−テトラキス1,2,3,4−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−カルバルデヒド])](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I)の合成
【0095】
【化15】
【0096】
下の式の2−ブロモ−(2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5’’−カルバルデヒド)は、TCI Chemicalsから市販されていた:
【0097】
【化16】
【0098】
2)第一工程:ビス(2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5’’−カルバルデヒド)−アセチレンの合成
【0099】
【化17】
【0100】
120mg(0.34mmol)の2−ブロモ−(2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5’’−カルバルデヒド)(4)(TCI Chemicals)、10mgのビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド(Pd(Cl
2)(PPh
3)
2)(30μmol)および8mgのCuI(40μmol)を、丸底フラスコに入れた。次いで、この丸底フラスコを、3回パージした(真空/アルゴン)。次いで、50mlの蒸留したベンゼン、0.75mlのDBU(7当量,2.4mmol)、23μlのTMSA(0.5当量、0.16mmol)および3μlの蒸留水(0.4)を、この順序で反応媒体に添加した。この混合物を、24時間、暗所で大気温度で撹拌しておいた。次いで、この溶媒を減圧下でエバポレートして、次いでその粗生成物を、クロマトグラフィーカラムを通過させることによって精製した(溶出液:ジクロロメタン5L)。予想される生成物を、濃褐色の粉末の形態で単離した(36mg、収率:39%)。この化合物を、下に記載の反応物中に直接、入れた。
【0101】
3)第二工程:[1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−テトラキス1,2,3,4−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−カルバルデヒド])](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I)の合成
封管中で、第一工程において上記で得た36mg(2当量、62μmol)のビス(2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5’’−カルバルデヒド)アセチレン、および14mgの(η2−フマル酸ジメチル)カルボニル(η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I)(1.5当量、45μmol)を、1mlのエタノールおよび14mlのTHF中に希釈した。次いで、その反応媒体を、150℃でマイクロ波(90ワット、定常状態)を用いて、45分間加熱した。次いで、その溶媒を減圧下でエバポレートし、次いで、その粗生成物を、エタノール(25ml)を用いて濾過した。得られたケーキを、ジクロロメタンを用いて濾過して、予想される生成物を黒色の粉末の形態で得た(10mg、収率:26%)。
【0102】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ9.06(s,4H)7.36(d,J=5.8;4H);7.29(d,J=3.5;8H);7.15(dd,J=3.5;8.6;8H);7.09−7.00(m,8H);4.91(s,5H)。
【0103】
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ187.90;148.11;139.01;137.21;137.00;136.87;129.38;128.98;126.66;126.49;125.92;125.61;124.73;86.86;70.00。
【0104】
実施例3
[1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−テトラキス1,2,3,4−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−ブロモ])](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I)の合成
【0105】
【化18】
【0106】
1)第一工程:2−ヨード−5’’−ブロモ(5,2’:5’,2’’−テルチオフェン)(化合物番号5)の合成:
【0107】
【化19】
【0108】
実施例1の第一工程において上記で得られた100mg(0.27mmol)の2−ヨード(5,2’:5’,2’’−テルチオフェン)(1)を、100mlのメタノール中に0℃で希釈した。次いで、2当量のN−ブロモスクシンイミド(NBS、95mg、0.53mmol)を添加した。その混合物を、暗所で12時間撹拌しておいた。次いで、その溶媒を、減圧下でエバポレートした。次いで、その反応の粗生成物を、カラムクロマトグラフィーによって、溶出液として、石油エーテル、次いで石油エーテル/ジクロロメタン(5/1:v/v)の混合物を用いて精製した。予想される生成物を黄色い粉末の形態で単離した(115mg;収率=95%)。
【0109】
2)第二工程:ビス(2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5’’−ブロモ)アセチレン(化合物6)の合成
【0110】
【化20】
【0111】
先行する工程において上記で得られた115mg(0.25mmol)の2−ヨード−5’’−ブロモ(5,2’:5’,2’’−テルチオフェン)(5)、およびまた10mgのビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド(Pd(Cl
2)(PPh
3)
2)(30μmol)および8mgのCuI(40μmol)を、丸底フラスコ中に入れた。次いで、その丸底フラスコを、3回(真空/アルゴン)パージした。50mlの蒸留されたベンゼン、0.36mlのDBU(7当量、1.75mmol)、15μlのTMSA(0.5当量、0.13mmol)および3μlの蒸留水(0.4当量)を、この順序で反応媒体に添加した。その混合物を、24時間、暗所で大気温度で、撹拌しておいた。次いで、その溶媒を、減圧下でエバポレートし、次いでその粗生成物を、クロマトグラフィーカラムを通過させることによって精製した(溶出液:ジクロロメタン5L)。その生成物を、濃褐色の粉末の形態で単離した(44mg、収率:49%)。この化合物を、直接以下の反応に入れた。
【0112】
3)第三工程:[1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−テトラキス1,2,3,4−[2,5,2’,5’,2’’−テルチオフェン−5’’−ブロモ])](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I)の合成
封管中で、第二の工程において上記で得た44mg(2当量、0.06μmol)のビス(2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5’’−ブロモ)アセチレン(6)および実施例1の工程3)において上記で得られた15mgの化合物(3)(1.5当量、0.04μmol)を、1mlのエタノールおよび14mlのTHF中に希釈した。その反応媒体を、150℃でマイクロ波(90ワット、定常状態)を用いて45分間加熱した。次いで、その溶媒を減圧下でエバポレートし、次いでその粗生成物を、エタノール(25ml)を用いて濾過した。得られたケーキを、ジクロロメタンを用いて濾過して、予想される生成物を、黒色の粉末の形態で得た(30mg、収率:32%)。
【0113】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.26(d,J=3.6;8H);7.16(dd,J=3.5;8.4;8H);7.23−6.99(m,8H);4.85(s,5H)。
【0114】
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ132.77;131.86;131.12;130.58;130.07;126.36;126.08;125.08;124.38;123.91;123.67;123.19;85.31;68.40。
【0115】
実施例4
[1,1’,1’’,1’’’−(η4−1,3−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[ベンゼン]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I)の合成
【0116】
【化21】
【0117】
封管中で、45mgのジフェニルアセチレン(2当量、250μmol)および49mgの化合物(3)(実施例1の工程3)において上記で調製された)を、1mlのエタノールおよび14mlのTHF中に希釈した。その反応媒体を、150℃でマイクロ波(90ワット、定常状態)を用いて45分間加熱した。次いで、その溶媒を減圧下でエバポレートし、次いでその粗生成物を、エタノール(25ml)を用いて濾過した。得られたケーキを、ジクロロメタンを用いて濾過した。この第二の濾過の濾液を、減圧下で濃縮して、予想される生成物の黄色い粉末を得た(60mg、収率:99%)。
【0118】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ4.65(s,5H);7.20−7.26(m,12H);7.46−7.48(m,8H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ75.0(4C);83.3(5C);126.3(4C);128.0(8C);129.0(8C);136.6(4C)。これらのスペクトルは、以下の文献に存在するスペクトルと一致する:A.Genyら、Ang.Chem.Int.Ed.,2009,48(10)、1810〜1813。
【0119】
実施例5
[1,1’,1’’,1’’’−(η4−1,3−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[4−n−ブチルベンゼン]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I)の合成
【0120】
【化22】
【0121】
実施例4において、上記で用いられる[2+2]錯体形成/環化の一般的なプロトコールを、ここで250mg(0.98mmol)のビス[4−n−ブチルベンゼン]−アセチレンおよび185mg(0.62mmol)の化合物(3)(実施例1の工程3)において上記で調製された)に適用して、予想される生成物を黄色い粉末の形態で得た(330mg、収率=95%)。
【0122】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.37(d,J=8.0Hz,8H);7.02(d,J=8.0Hz,8H);4.61(s,5H);2.58(dd,J=8.0Hz,8H);1.65(dt,J=15.4;7.6Hz,8H);1.46−1.36(m,12H);0.97(t,J=7.3Hz,2H)。
【0123】
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ140.63;133.86;128.72;127.83;83.00;74.79;35.60;33.35;22.58;14.03。
【0124】
実施例6
[1,1’,1’’,1’’’−(η4−1,3−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[3,5−ジメトキシベンゼン]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I)の合成
【0125】
【化23】
【0126】
1)第一工程:1−(2,2−ジブロモビニル)−3,5−ジメトキシベンゼン(7)の合成
【0127】
【化24】
【0128】
2.9g(9mmol)のテトラブロモメタンを、真空/アルゴンで3回パージした第一の丸底フラスコ中で20mlの蒸留されたジクロロメタンで溶解した。4.39gのトリフェニルホスフィンを、真空/アルゴンで3回パージした第二の丸底フラスコ中で、20mlの蒸留されたジクロロメタンで溶解した。次いで、テトラブロモメタンの溶液を、0℃でトリフェニルホスフィン溶液に滴下した。得られた混合物は、明るいオレンジ色に着色されており、15分間撹拌させておいた。
【0129】
1.5g(9mmol)の3,5−ジメトキシベンズアルデヒドを、真空/アルゴンで3回パージされた丸底フラスコ中で、20mlの蒸留されたジクロロメタンで溶解した。次いで、この溶液を、前述のものに添加し、次いでその混合物を、2時間大気温度で撹拌しておいた。次いで、その反応媒体を、水と撹拌し、次いで50mlのジクロロメタンを用いて3回抽出した。次いで、その有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次いでその溶媒を減圧下でエバポレートした。次いで、その反応の粗生成物を、カラムクロマトグラフィーによって、溶出液として石油エーテル/ジクロロメタン(7/3:v/v)の混合物を用いて精製した。次いで、その生成物を、透明な固体の形態で単離した(m=2.02g;収率=70%)。
【0130】
1H NMR(400MHz,CD
3CN)δ7.42(s,1H);6.69(dd,J=2.3;0.5Hz,2H);6.45(t,J=2.3Hz,1H);3.80(s,6H)。このスペクトルは、W.H.Moserら、J.Org.Chem.,2006,71(17)、6542−6546で公表された以前のスペクトルと一致している。
【0131】
1)第二工程:1−エチニル−3,5−ジメトキシベンゼン(8)の合成
【0132】
【化25】
【0133】
前述の工程において上記で得られた2.02g(6.3mmol)の化合物(7)を、丸底フラスコに入れて、次いで真空/アルゴンで3回パージした。次いで、この固体をTHF中に溶解し、−78℃まで冷却した。次に、ヘキサン中のブチルリチウムの19.6mlの1.4M溶液を添加した。その混合物を、−78℃で1時間、次いで−40℃で2時間撹拌しておいた。次いでその混合物を、大気温度に戻し、過剰のブチルリチウムを、5mlのメタノールで中和し、次いで、その反応媒体を水と撹拌して、50mlのジクロロメタンを用いて3回抽出した。次いで、その有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いでその溶媒を減圧下でエバポレートした。予想される生成物を黄色い粉末の形態で得た(m=1.07g、収率=99%)。
【0134】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ6.65(s,2H);6.47(s,1H);3.78(s,6H);3.04(s,1H)。このスペクトルは、J.Kalisiakら、Org.Lett.,2008,10(15)、3171−3174に示されるスペクトルと一致する。
【0135】
3)第三工程:ビス(3,5−ジメトキシベンゼン)アセチレン(9)の合成
【0136】
【化26】
【0137】
前述の工程において上記で得られる、810mg(5mmol)の化合物(8)、1.09mg(5mmol)の3,5−ジメトキシヨードベンゼン、10mg(50μmol)のヨウ化銅および35mg(50μmol)のビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライドを、丸底フラスコに添加した。次いで、この丸底フラスコを、アルゴンを用いて3回パージした。次いで、40mlの蒸留されたトリエチルアミンを添加して、次いで、その混合物を24時間撹拌した。次いで、その反応媒体を、60mlの6Mの塩酸溶液で希釈し、次いで50mlのジクロロメタンを用いて3回抽出した。その有機相を、100mlの1Mの水酸化ナトリウム溶液を用いて洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥して、その溶媒を減圧下でエバポレートした。次いで、その反応の粗生成物を、カラムクロマトグラフィーによって、溶出液として石油エーテル/ジクロロメタン(1/1:v/v)の混合物を用いて精製した。次いで、予想される生成物を、黄色い粉末の形態で単離した(m=0.99g;収率=66%)。
【0138】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ6.70(d,J=2.3Hz,4H);6.47(t,J=2.3Hz,2H);3.81(s,12H)。このスペクトルは、Y.T.Wuら、Angew.Chem.Int.Ed.,2008,47(51)、9891〜9894によって以前に得られたスペクトルと一致した。
【0139】
4)第四工程:[1,1’,1’’,1’’’−(η4−1,3−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[3,5−ジメトキシベンゼン]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I)の合成
実施例4で上記で用いられる、[2+2]錯体形成/環化の一般的プロトコールを、ここで、前述の工程において上記で得られた75mg(0.25mmol)の化合物(9)および実施例1の工程3)において上記で調製された56.3mg(1.5当量、0.19mmol)の化合物(3)に適用して、予想される生成物を黄色い粉末の形態で得た(90mg、収率=99%)。
【0140】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ6.71(d,J=2.2Hz,8H);6.35(t,J=2.2Hz,4H);4.67(s,5H);3.68(s,12H)。
【0141】
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ160.14;138.19;107.09;99.20;83.28;75.06;55.25。
【0142】
実施例7
[1,1’−[(1,2,3,4−η)−2,4−ビス(4−メトキシベンゼン)−1,3−シクロブタジエン−1,3−ジイル]ビス[フェニル]](η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)コバルト(I)の合成
【0143】
【化27】
【0144】
1)第一工程:1−メトキシ−4−フェニルエチニルベンゼン(10)の合成
【0145】
【化28】
【0146】
112mg(1.1mmol)のエチニルベンゼン、259mg(1.1mmol)の4−メトキシ−ヨードベンゼン、2mg(10μmol)のヨウ化銅および8mg(10μmol)のビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライドを、丸底フラスコに添加した。次いで、この丸底フラスコをアルゴンを用いて3回パージした。次いで、20mlの蒸留されたトリエチルアミンを添加し、次いで、その混合物を24時間撹拌した。次いで、その反応媒体を、20mlの塩酸の6M溶液で希釈し、次いで20mlのジクロロメタンを用いて3回抽出した。その有機相を40mlの水酸化ナトリウムの1M溶液を用いて洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥して、その溶媒を減圧下でエバポレートした。次いで、その反応の粗生成物を、カラムクロマトグラフィーによって、溶出液として、石油エーテル/ジクロロメタン(7/3;v/v)の混合物を用いて精製した。次いで、予想される生成物を、黄色い粉末の形態で単離した(m=201mg;収率=97%)。
【0147】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.51(d,J=7.8Hz,2H);7.47(d,J=8.9Hz,2H);7.33(m,3H);6.88(d,J=8.9Hz,2H);3.83(s,3H)。このスペクトルは、B.H.Lipshutzら、Organic Letters,2008,10(17)、3793−3796によって得られるスペクトルと一致していた。
【0148】
2)第二工程:[1,1’−[(1,2,3,4−η)−2,4−ビス(4−メトキシベンゼン)−1,3−シクロブタジエン−1,3−ジイル]ビス[フェニル]](η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)コバルト(I)の合成
実施例4において上記で用いられる[2+2]錯体形成/環化の一般的プロトコールをここで、前述の工程において上記で得られた21mg(0.1mmol)の化合物(10)、および実施例1の工程3)において上記で調製された23mg(1.5当量、75μmol)の化合物(3)に適用して、予想される生成物を黄色い粉末の形態で得た(27mg、収率=99%)。
【0149】
1H NMR(400MHz,C
6D
6)δ7.78(d,J=6.2Hz,4H);7.67(d,J=8.2Hz,4H)、7.19(m,6H)、6.79(d,J=8.7Hz,4H)、4.68(s,5H)、3.41(s,6H)。
【0150】
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ157.99;136.91;130.13;129.98;128.75;128.60;127.88;125.95;113.48;82.98;55.20;29.70。
【0151】
実施例8
[1,1’−[(1,2,3,4−η)−2,4−ビス(4−ニトロベンゼン)−1,3−シクロブタジエン−1,3−ジイル]ビス[フェニル]](η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)コバルト(I)の合成
【0152】
【化29】
【0153】
1)第一工程:1−ニトロ−4−フェニルエチニルベンゼンの合成
【0154】
【化30】
【0155】
112mg(1.1mmol)のエチニルベンゼン、274mg(1.1mmol)の4−ニトロ−ヨードベンゼン、2mg(10μmol)のヨウ化銅および8mg(10μmol)のビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライドを、丸底フラスコに添加した。次いで、この丸底フラスコを、アルゴンを用いて3回パージした。20mlの蒸留されたトリエチルアミンを添加し、次いで、その混合物を24時間撹拌した。次いで、その反応媒体を、20mlの塩酸の6M溶液で希釈し、次いで20mlのジクロロメタンを用いて3回抽出した。その有機相を、40mlの水酸化ナトリウムの1M溶液を用いて洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥し、その溶媒を減圧下でエバポレートした。次いで、その反応の粗生成物を、カラムクロマトグラフィーによって、溶出液として、石油エーテル/ジクロロメタン(8/2;v/v)の混合物を用いて精製した。次いで、予想される生成物(11)を、黄色い粉末の形態で単離した(m=217mg;収率=88%)。
【0156】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ8.25(d,J=9.0Hz,2H);7.70(d,J=9.0Hz,2H);7.62−7.56(m,2H)、7.45−7.40(m,3H)。このスペクトルは、T.Minoら、J.Org.Chem.,2006,71(25)、9499−9502によって以前に得られたスペクトルと一致した。
【0157】
2)第二工程:[1,1’−[(1,2,3,4−η)−2,4−ビス(4−ニトロベンゼン)−1,3−シクロブタジエン−1,3−ジイル]ビス[フェニル]](η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)コバルト(I)の合成
[2+2]錯体形成/環化の一般的なプロトコールを、ここで、前述の工程において上記で得られる23mg(0.1mmol)の化合物(11)および実施例1の工程3)の終わりに得られる23mgの化合物(3)(1.5当量、75μmol)に適用した。次いで、その粗生成物を、クロマトグラフィーによって、溶出液として、石油エーテル/ジクロロメタン(1/1:v/v)の混合物を用いて精製した。次いで、予想される生成物を、赤色の粉末の形態で単離した(m=27mg;収率=94%)。
【0158】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ8.05(d,J=9.0Hz,4H);7.53(d,J=8.1Hz,4H);7.48(d,J=9.0Hz,4H);7.45−7.36(m,6H);4.72(s,5H)。
【0159】
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ145.56;145.21;134.10;129.62;128.90;128.40;127.97;127.58;83.63;71.86;29.72。
【0160】
この化合物の吸収スペクトルは、ジクロロメタン中0.1mmol/mlの溶液中で、参照ラムダ650のもとでPerkin Elmer社が販売するUV−可視分光計を用いて測定した。これは、添付の
図2に報告され、ここでは、吸収は任意の単位で、波長(nm)の関数である(λ
max=388nm;ε=4.1×10
4cm
−1.L.mol
−1;Egap=2.3eV)。
【0161】
実施例9
[1,1’−[(1,2,3,4−η)−2,4−ビス(4−ニトロベンゼン)−1,3−シクロブタジエン−1,3−ジイル]ビス[4−メトキシベンゼン]](η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)コバルト(I)の合成
【0162】
【化31】
【0163】
1)第一工程:1−ニトロ−4−(4−メトキシエチニルベンゼン)ベンゼンの合成
【0164】
【化32】
【0165】
実施例7の工程1)において上記で調製される500mg(3.8mmol)の化合物(10)、940mg(3.8mmol)の4−ニトロヨードベンゼン、8mg(38μmol)のヨウ化銅および30mg(38μmol)のビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライドを、丸底フラスコに添加した。次いで、この丸底フラスコを、アルゴンを用いて3回パージした。40mlの蒸留されたトリエチルアミンを添加し、次いで、その混合物を24時間撹拌した。次いで、その反応媒体を、60mlの塩酸の6M溶液を用いて希釈し、次いで50mlのジクロロメタンを用いて3回抽出した。その有機相を、100mlの水酸化ナトリウムの1M溶液を用いて洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥して、その溶媒を減圧下でエバポレートした。予想される生成物を、黄色い粉末の形態で得た(m=98mg;収率=99%)。
【0166】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ8.18(d,J=9.0Hz,2H);7.61(d,J=9.0Hz,2H);7.49(d,J=8.9Hz,2H);6.90(d,J=8.9Hz,2H);3.83(s,3H)。
【0167】
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ160.44;146.67;133.44;131.97;130.68;123.60;114.22;114.12;95.17;86.66;55.36。このスペクトルは、Y.Nishiharaら、Tet.Lett.,2009,50(32)、4643−4646によって以前に得られたスペクトルと一致している。
【0168】
2)第二工程:[1,1’−[(1,2,3,4−η)−2,4−ビス(4−ニトロベンゼン)−1,3−シクロブタジエン−1,3−ジイル]ビス[4−メトキシベンゼン]](η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)コバルト(I)の合成
[2+2]錯体形成/環化の一般的なプロトコールを、ここで、先行の工程において上記で得られた63mg(0.25mmol)の化合物(12)および実施例1の工程3)において上記で得られた56mgの化合物(3)(1.5当量、190μmol)に適用した。次いで、粗生成物を、クロマトグラフィーによって、溶出液として、石油エーテル/ジクロロメタン(1/1:v/v)の混合物を用いて精製した。次いで、予想される生成物を、赤色の粉末の形態で単離した(m=74mg;収率=95%)。
【0169】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ8.03(d,J=8.5Hz,4H);7.47(dd,J=8.4,6.4Hz,8H);6.92(d,J=8.5Hz,4H);4.68(s,5H);3.90(s,6H)。
【0170】
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ159.01;145.77;145.42;130.95;127.65;125.74;123.49;114.07;83.39;77.21;72.11;55.35。
【0171】
この化合物の吸収スペクトルは、ジクロロメタン中で0.1mmol/mlの溶液中で、参照ラムダ650のもとでPerkin Elmer社が販売するUV−可視分光計を用いて測定した。これは、添付の
図3に報告され、ここでは、吸収は任意の単位で、波長(nm)の関数である(λ
max=396nm;ε=3.4×10
4cm
−1.L.mol
−1;Egap=2.1eV)。
【0172】
実施例10
[1,1’−[(1,2,3,4−η)−2,4−ビス(4−ブロモベンゼン)−1,3−シクロブタジエン−1,3−ジイル]ビス[4−メトキシベンゼン]](η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)コバルト(I)の合成
【0173】
【化33】
【0174】
1)第一工程:1−メトキシ−4−(4−ブロモエチニルベンゼン)ベンゼンの合成
【0175】
【化34】
【0176】
実施例7の工程1)において上記で調製された200mg(1.1mmol)の化合物(10)、259mg(1.1mmol)の4−メトキシヨードベンゼン、2mg(10μmol)のヨウ化銅、および8mg(10μmol)のビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライドを、丸底フラスコに添加した。次いで、この丸底フラスコを、アルゴンを用いて3回パージした。20mlの蒸留されたトリエチルアミンを添加し、次いで、その混合物を24時間撹拌した。次いで、その反応媒体を、20mlの塩酸の6M溶液で希釈し、次いで20mlのジクロロメタンを用いて3回抽出した。その有機相を、40mlの水酸化ナトリウムの1M溶液で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥して、その溶媒を減圧下でエバポレートした。次いで、その反応の粗生成物を、カラムクロマトグラフィーによって、溶出液として、石油エーテル/ジクロロメタン(1/1;v/v)の混合物を用いて精製した。次いで、予想される生成物を、黄色い粉末の形態で単離した(m=287mg;収率=99%)。
【0177】
1H NMR(400MHz,CD
3CN)δ7.50−7.42(d+d J=8.9,8.4Hz,4H);7.36(d,J=8.4Hz,2H);6.88(d,J=Hz,2H);3.83(s,3H)。このスペクトルは、G.W.Kabalka,ら、Tet.Lett.,2006,47(7)、1133−1136によって以前に得られたスペクトルと一致している。
【0178】
実施例11
[1,1’,1’’,1’’’−(η4−1,3−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[4−メチルベンゾアート]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I)の合成
【0179】
【化35】
【0180】
1)
第一工程:ジメチル4,4’−(エチン−1,2−ジイル)ジベンゾアートの合成
【0181】
【化36】
【0182】
1g(3.8mmol)の4−ヨード安息香酸メチルエステル、72mg(0.39mmol)のヨウ化銅および154mg(0.22mmol)のビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライドを丸底フラスコに添加した。次いで、この丸底フラスコを、アルゴンを用いて3回パージした。80mlの蒸留されたベンゼン、4g(26.6mmol)の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、0.2g(1.9mmol)のトリメチルシリルアセチレンおよび22μl(1.5mmol)の水を添加し、次いで、その混合物を24時間、暗所で撹拌した。次いで、その反応媒体を、20mlの塩酸の6M溶液で希釈し、次いで20mlのジクロロメタンを用いて3回抽出した。その有機相を、40mlの水酸化ナトリウムの1M溶液で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥して、その溶媒を減圧下でエバポレートした。次いで、その反応の粗生成物を、カラムクロマトグラフィーによって、溶出液として、石油エーテル/酢酸エチル(3/1;v/v)の混合物を用いて精製した。次いで、予想される生成物を、白色粉末の形態で単離した。(m=394mg;収率=72%)。
【0183】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.97(d,J=8.5Hz,1H);7.53(d,J=8.5Hz,1H);3.86(s,2H)。
【0184】
このスペクトルは、Y.T.Wuら、Angew.Chem.Int.,Ed.2008,47(51)、9891〜9894によって以前に得られたスペクトルと一致した。
【0185】
2)第二工程:[1,1’,1’’,1’’’−(η4−1,3−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[4−メチルベンゾアート]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I)の合成
[2+2]錯体形成/環化の一般的なプロトコールを、ここで、先行の工程において上記で得られた100mg(0.34mmol)の化合物(14)および実施例1の工程3)において上記で得られた76mgの化合物(3)(1.5当量、0.25mmol)に対して適用して、予想される生成物を黄色い粉末の形態で得た(96mg;収率80%)。
【0186】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.90(d,J=8.5Hz,8H);7.46(d,J=8.5Hz,8H);4.65(s,5H);3.93(s,12H)。
【0187】
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ167.00;141.20;129.63;128.68;128.47;83.86;77.48;77.16;76.84;74.91;52.31。
【0188】
実施例12
[1,1’,1’’,1’’’−(η4−1,3−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[2,2’,5’−ビチオフェン]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I)の合成
【0189】
【化37】
【0190】
1)第一工程:5−(2,2−ジブロモエテニル)−2,2’−ビチオフェンの合成
【0191】
【化38】
【0192】
3.4g(10.2mmol)のテトラブロモメタンを、アルゴンでパージされた第一の丸底フラスコ中で、20mlの蒸留されたジクロロメタンで溶解した。5.4g(20.4mmol)のトリフェニルホスフィンを、アルゴンで3回パージされた第二の丸底フラスコ中で、20mlの蒸留されたジクロロメタンで溶解した。テトラブロモメタン溶液を、0℃でトリフェニルホスフィン溶液に滴下した。得られた混合物は、明るいオレンジ色に着色されており、15分間撹拌しておいた。
【0193】
同時に、1g(5.1mmol)の2−(カルボキシアルデヒド)(5,2’−ビチオフェン)を、アルゴンで3回パージされた丸底フラスコ中で、20mlの蒸留されたジクロロメタンで溶解した。次いで、この溶液を、テトラブロモメタン溶液と、トリフェニルホスフィン溶液との混合物に添加し、次いで得られた混合物を、2時間大気温度で撹拌させておいた。次いで、その反応媒体を、水と撹拌し、次いで50mlのジクロロメタンを用いて3回抽出した。次いで、その有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いでその溶媒を減圧下でエバポレートした。次いで、その反応の粗生成物を、カラムクロマトグラフィーによって、ジクロロメタンを溶出液として用いて精製した。次いで、予想される生成物(15)を、黄色い固体の形態で単離した(m=1.55g;収率=90%)。
【0194】
1H NMR:(CDCl
3,400MHz):δ7.03(dd,1H);7.09(d,1H);7.13(d,1H);7.24(d,1H);7.27(d,1H)。
【0195】
このスペクトルは、T.B.Patrickら、J.Org.Chem.,1974,39(25)、3791〜2によって以前に得られたスペクトルと一致する。
【0196】
2)第二工程:5−エチニル−2,2’−ビチオフェンの合成
【0197】
【化39】
【0198】
先行する工程において上記で得られた1.55g(4.6mmol)の化合物(15)を、丸底フラスコに入れ、次いでアルゴンで3回パージした。次いで、この固体をTHF中に溶解し、−78℃まで冷却した。次に、ヘキサン中のブチルリチウムの2.5M溶液を3.68ml添加した。その混合物を、−78℃で1時間、次いで−40℃で2時間、撹拌しておいた。次いでその混合物を、大気温度に戻し、過剰のブチルリチウムを、5mlのメタノールで中和し、次いでその反応媒体を水と撹拌して、50mlのジクロロメタンを用いて3回抽出した。次いで、その有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いでその溶媒を減圧下でエバポレートした。次いで、その反応の粗生成物を、カラムクロマトグラフィーによって、石油エーテルを溶出液として用いて精製した。予想される生成物(16)を、黒色の固体の形態で得た(m=624mg、収率=71%)。
【0199】
1H NMR:(CDCl
3,400MHz):δ7.25(dd J=1.2;5.1Hz,1H);7.19(dd,J=1.2;3.6Hz,1H);7.18(dd,J=0.5;3.6Hz,1H);7.01−7.04(m,2H);3.40(d,J=0.5Hz)。このスペクトルは、T.B.Patrickら、J.Org.Chem.,1974,39(25)、3791〜2によって以前に得られたスペクトルと一致している。
【0200】
3)第三工程:ビス−2−(5,2’−ビチオフェン)アセチレンの合成
【0201】
【化40】
【0202】
先行の工程において上記で得られた、0.291mg(1.5mmol)の化合物(16)、444mg(1.5mmol)の2−ヨード(5,2’−ビチオフェン)、3mg(15μmol)のヨウ化銅および11mg(15μmol)のビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライドを丸底フラスコに添加した。次いで、この丸底フラスコを、アルゴンを用いて3回パージした。40mlの蒸留されたトリエチルアミンを添加し、次いで、その混合物を24時間撹拌した。次いで、その反応媒体を、60mlの塩酸の6M溶液で希釈し、次いで50mlのジクロロメタンを用いて3回抽出した。その有機相を、100mlの水酸化ナトリウムの1M溶液で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥して、その溶媒を減圧下でエバポレートした。次いで、その反応の粗生成物を、カラムクロマトグラフィーによって精製した(溶出液:石油エーテル)。次いで、予想される生成物(17)を、黄色い粉末の形態で単離した(m=512g;収率=96%)。
【0203】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.25(d,J=5.1Hz,2H);7.20(d,J=3.6Hz,2H);7.18(d,J=3.8Hz,2H);7.07(d,J=3.8Hz,2H);7.20(dd,J=5.1;3.6Hz,2H)。このスペクトルは、J.Nakayamaら、Heterocycles,1992,34(8)、1487〜90によって以前に得られたスペクトルと一致している。
【0204】
4)第四工程:[1,1’,1’’,1’’’−(η4−1,3−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[2,2’,5’−ビチオフェン]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I)の合成
[2+2]錯体形成/環化の一般的なプロトコールを、先行する工程において上記で得られた51mg(0.145mmol)の化合物(17)、および実施例1の工程3)において上記で得られた28mgの化合物(3)(1.5当量、0.11mmol)に適用して、予想される生成物を黒色の粉末の形態で得た(53mg;収率83%)。
【0205】
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.26(m,4H)、7.10(d,J=3.7,4H);7.05−7.00(m,8H);4.85(s,5H)。
【0206】
この化合物の吸収スペクトルは、ジクロロメタン中で0.24mmol/mlの溶液中で、参照ラムダ650のもとでPerkin Elmer社が販売するUV−可視分光計を用いて測定した。これは、添付の
図4に報告され、ここでは、吸収は任意の単位で、波長(nm)の関数である(λ
max=354nm;ε=5.1×10
4cm
−1.L.mol
−1;Egap=2.0eV)。
【0207】
実施例13
光起電力変換セルの調製およびそれらの特性の研究
式(I)の種々の化合物を用いて種々の光起電力変換セルを調製した。これらのセルを調製するための一般的なプロトコールは以下のとおりであった。
【0208】
正の電極としてITOの層で覆われたガラスシート(25×23mm)(10〜100Ω/sq,Sigma Aldrich)を、塩酸の18容積%とFe(Cl
3)との溶液を用いて、大気温度で1分間、部分的にエッチングした。このようにエッチングされたシートを、陰イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤をベースにした洗浄剤、安定化剤、アルカリ類および金属イオン封鎖剤(DECON社がDecon90(登録商標)の商品名で販売)を用いて洗浄し、次いで、アセトン(20分、超音波)、エタノール(20分、超音波)を用いて洗浄し、30分間UV/O
3を照射した。
【0209】
次いで、PEDOT:PSSの20nmの層を、湿式法(スピンコーティング,4.95mlの水に含有される4.05mlのPEDOT:PSSを含有する22μlの溶液、次いで、必要に応じて、窒素流のもとで管状炉中で110℃で30分間アニーリングした(表Iを参照のこと))によってデポジットさせた。次いで、80nmの活性層を、セル番号4、5および6については1,2−ジクロロメタン中に、またはセル番号1、2および3についてはクロロベンゼン中に、式(I)の化合物およびPCBMを含む溶液から湿式法によってデポジットさせた(スピンコーティング、150s、200rpm、式(I)の化合物/PCBMの種々の重量比の溶液)。次いで、120℃で30分のアニーリングを必要に応じて、窒素流のもとで、管状炉中で行った(表Iを参照のこと)。次に、LiFの0.8nmの層(緩衝層)およびアルミニウムの80nmの層(負電極)を、超高真空のチャンバ中で、エバポレーションによってデポジットさせた。
【0210】
本実施例では、用いられる式(I)の化合物は、実施例1において上記で調製された[1,1’,1’’,1’’’−(η4−シクロブタジエン−1,2,3,4−テトライル)テトラキス[2,2’,5’,2’’,5’’−テルチオフェン]](η5−シクロペンタジエニル)コバルト(I)および実施例9において上記で調製された[1,1’−[(1,2,3,4−η)−2,4−ビス(4−ニトロベンゼン)−1,3−シクロブタジエン−1,3−ジイル]ビス[4−メトキシベンゼン]](η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)コバルト(I)である。
【0211】
調製された種々のセルは、下の表1で詳細に示す:
【0212】
【表1】
【0213】
次いで、これらの種々のセルを、LOT Oriel社が販売する150Wキセノンランプを装備した太陽光放射シミュレータからAM1.5の光のもとで、マイクロチップステーション上で、光起電力変換で試験した。測定は、ソースメーター(Keithley 2602 SourceMeter)と組み合わせたマイクロチップステーションで行った。
【0214】
電極の標準の表面積は、0.03mm
2〜0.15mm
2であり、入射面電力密度は、75または100mW/cm
2であった。
【0215】
各々のセルについて、電流・電圧曲線(I=f(V))を、暗所で、および、照明下で作成した(示さず)。
【0216】
フォームファクタ(FF)は、以下の式によって算出した:
【0217】
【数1】
【0218】
式中:
Pmax=測定された最大電力
Pmax
abs=絶対最大電力
I
pm=最大電力での強度
Vpm=最大電力での電圧
I
sc=短絡強度
V
oc=短絡電圧
【0219】
各々のセルの効率(η)は、以下の式によって算出した:
【0220】
【数2】
【0221】
式中:
Pi=入射電力
Pis=入射面電力
S=電極の表面積
【0222】
各々のセルの能力は下の表2に示す:
【0223】
【表2】
【0224】
上の表2に示される値は、I=f(V)曲線の四分円からとる(下の右側の四分の一、x軸>0およびy軸<0)。
【0225】
これらの結果によって、光起電力変換セルは、現在の文献における現在最高性能のセルで得られるものと匹敵する、600mVに達し得るV
ocを有することが示される(Konarka P3HT/PCBMセル:V
oc<650mV;C.J.Brabecら、Adv.Mater.,2009,21,1323−1338)。
【0226】
V
ocは、電子供与体(式(I)の化合物)と電子受容体(ここではPCBM)との間の電子準位の調節のマーカーである。コバルトコアの存在は、式(I)の化合物の電子準位のこの良好な位置決めで大きい役割を果たす。これらの結果は、アニーリングなしで調製されたセルで最高の変換効率が得られる限り、極めて驚くべきものであり、文献からの教示とは反対である。
【0227】
実施例14
本発明による2つの光起電力変換セルの調製
本実施例では、異なる大きさの電極を有する2つの光起電力変換セルを調製して、活性層中で、実施例1において上記で合成された化合物を電子供与体として、およびPCBMを電子受容体として、使用の試験をした。
【0228】
実施例13において上記で得られる光起電力セルを調製するための一般的プロトコール(以下の特異性を有する)を用いた:
−セルを製造および試験する全ての工程は、不活性雰囲気(N
2)中でグローブボックス中で行った。
−20nmのPEDOT:PSS層のデポジション(22μl,溶液の滴のデポジション、次いで、アニーリングなしの、2000rpmで50秒間のスピンコーティング);
−ジクロロメタン中の実施例1で合成された化合物(10mg)とPCBM(20mg)との溶液からの100nmの活性層のデポジション、この溶液を、超音波に20分間供し、0.2μmのPTFEフィルターを通して濾過した(17μlの溶液、サンプル上の溶液の滴のデポジション、次いで、アニーリングなしの、350rpmで200秒間、次いで2000rpmで5秒間のスピンコーティング);
−ガス状法を介するLiFのデポジション:8ÅのLiFのエバポレーション;
−ガス状法を介するアルミニウムのデポジション:80nmのAlのエバポレーション。
【0229】
セル番号7は、このプロトコールに従って、7.5mm
2の電極と75mWの入射電力とを用いて調製し、セル番号8は、5mm
2の電極と100mWの入射電力とを用いて調製した。
【0230】
各々のセルについて得られた曲線I(アンペア)=f(V)(ボルト)は、それぞれ、添付の
図5および
図6に示す。
【0231】
図5では、最低の曲線は、照射下の電流・電圧特性に相当し、最高の曲線は、暗所での電流・電圧特性に相当する。
図6では、中抜きの丸(○)でプロットした曲線は、照射下の電流・電圧特性に相当し、(+)記号でプロットした曲線は、暗所での電流・電圧特性に相当する。各々のセルの能力を、下の表3に報告する:
【0232】
【表3】
【0233】
これらの結果によって、本発明による光起電力セルの極めて良好な能力が示される。実際、両者とも「低」分子(すなわち非ポリマー化合物)である、p型化合物(本明細書では式(I)の化合物)およびn型化合物(本明細書ではPCBM)から活性層が構成されている現在公知の最高の光起電力変換セルは、通常、最大効率が1%未満である。