【文献】
Hsin-Chia Chen,Li-Te Fang,Louis Lee,Chao-Hua Wen,Shang-Yuan Cheng,Sheng-Jyh Wang,LOG filter based inspection of Cluster Mura and Vertical-Band Mura on liquid crystal displays,Machine Vision Applications in Industrial Inspection XIII,米国,The International Society for Optical Engineering,2005年 3月 8日,Proceedings of SPIE Vol.5679,p.257-265
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表示デバイスが表示した画像を撮影して得た出力画像データの各画素値を前記表示デバイスの各画素に割り当てて、前記表示デバイスの各画素の画素値を取得する画素値取得手段と、
前記表示デバイスの表示むらの形状及び大きさに対応したカーネルサイズの空間フィルタを用いて前記表示デバイスの各画素値を周辺画素の画素値と平均化することで積分し、前記表示デバイスの各画素の積分画素値を取得する積分手段と、
前記表示デバイスの各画素における前記画素値と前記積分画素値との差分により、前記表示デバイスの各画素の微分画素値を取得する差分手段と、
前記表示デバイスの各画素の前記微分画素値を所定のむら判定閾値と比較する画素値比較手段と、
前記微分画素値が前記むら判定閾値を超えた画素の分布に基づいて、前記表示デバイスにおける前記表示むらの発生エリアを検出するむらエリア検出手段と、
前記発生エリアに属する各画素の前記画素値又は前記微分画素値に基づいて前記発生エリアの平均コントラストを算出すると共に、前記発生エリアの面積に基づいて感知限界の表示むらの濃さを算出し、前記算出した平均コントラストと感知限界の表示むらの濃さとに基づいて、前記発生エリアの表示むら強度を示すSEMU値を取得する強度値取得手段と、
前記SEMU値を所定のむら強度閾値と比較する強度値比較手段と、
前記SEMU値が所定のむら強度閾値を超えた前記発生エリアを、前記表示むらとして検出する表示むら検出手段と、を備え、
前記積分手段は、前記積分画素値の取得対象画素が前記表示デバイスの各外周辺からシェーディングが発生しやすい感度補正ラインまでの近傍エリアのいずれかに属する場合に、前記取得対象画素が属する近傍エリアに対応する辺の延在方向への方向性を持たせるように前記延在方向と直交する方向の光の感度を下げた前記空間フィルタを用いて、前記取得対象画素の画素値を積分する、
表示デバイスの表示むら検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の表示むら検出方法を適用した表示むら検出装置の実施形態について説明する。本発明の表示むら検出装置は、表示デバイスの製造工程における検査ライン(図示せず)等に組み込むインライン形式で構成してもよく、検査ライン等から切り離して独立させたスタンドアローン形式で構成してもよい。
【0010】
また、本発明の表示むら検出装置で表示むらを検出することができる表示デバイスとしては、例えば、液晶パネルディスプレイやプラズマパネルディスプレイ、有機ELディスプレイ等がある。以下の実施形態では、表示デバイスが液晶パネルディスプレイである場合を例に取って説明する。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の表示むら検出装置1は、スタンドアローン形式で構成されており、液晶パネルディスプレイ3(表示デバイスに相当)が表示するテストパターン等の画像をCCDカメラ5で撮影して得た出力画像データから、液晶パネルディスプレイ3の表示むらを検出する。表示むら検出装置1は、処理能力上支障がなければ、例えばパーソナルコンピュータ等によって構成することができる。
【0012】
表示むら検出装置1は、CPU(中央処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリーメモリ)、ハードディスク等を有している。CPUは、ROM又はハードディスクに格納されたプログラムを実行することで、液晶パネルディスプレイ3の表示むらの検出処理を実行する。
【0013】
表示むら検出装置1が行う液晶パネルディスプレイ3の表示むらの検出処理は、
図2に示すように、出力画像データ取得処理(ステップS1)、アドレッシング及びモアレ除去処理(ステップS3)、微分処理(ステップS5)、微分閾値判定(一次閾値判定、二値化)処理(ステップS7)、むら強度計算処理(ステップS9)、むら強度閾値判定(二次閾値判定)処理(ステップS11)、及び、結果出力処理(ステップS13)を含んでいる。
【0014】
ステップS1の出力画像データ取得処理では、例えば表示むら検出装置1から液晶パネルディスプレイ3に供給した入力画像データにより液晶パネルディスプレイ3にテストパターン等の画像を表示させ、その表示画面を撮影したCCDカメラ5からの映像信号を、液晶パネルディスプレイ3の出力画像データとして表示むら検出装置1が取得する。
【0015】
ここで、液晶パネルディスプレイ3に発生する表示むらには、輝度むらと色むらとがあり、本実施形態の表示むら検出装置1では、輝度むらと色むらをいずれも検出することができる。そのために、液晶パネルディスプレイ3には、RGB値パターンを適宜変えて、輝度むらの検出に適した画像や色むらの検出に適した画像を表示させる。そして、各画像について表示むら検出装置1は、以下の手順による表示むらの検出動作を行う。
【0016】
ステップS3のアドレッシング処理では、CCDカメラ5のCCDセンサの各画素を液晶パネルディスプレイ3の各画素に割り付けて、出力画像データを構成するCCDセンサの各画素の画素値から、液晶パネルディスプレイ3の各画素の画素値を割り出す。
【0017】
なお、表示デバイスが有機ELパネルディスプレイやプラズマパネルディスプレイである場合にも、1つの発光素子を1つの画素としてアドレッシング処理を行う。
【0018】
ところで、液晶パネルディスプレイ3とCCDセンサは、それぞれ画素をマトリクス状に配置した格子パターンを有している。そして、CCDカメラ5は液晶パネルディスプレイ3よりも多くの画素を有しているので、液晶パネルディスプレイ3の1つの画素からの画像光はCCDカメラ5の複数の画素によって受光されることになる。そこで、液晶パネルディスプレイ3の各画素の画素値は、例えば、その画素に対応するCCDカメラ5の複数の画素のうち最も画素値の高い画素に基づいて決定することになる。
【0019】
このとき、CCDカメラ5が液晶パネルディスプレイ3の整数倍の画素を有していれば、CCDカメラ5の画素周期と液晶パネルディスプレイ3の画素周期との間に位相差が生じない。そのため、液晶パネルディスプレイ3の各画素が同じ画素値で発光した場合、各画素に対応するCCDカメラ5の画素のうち最も画素値が高い画素は、互いに同じ画素値となる。したがって、液晶パネルディスプレイ3の表示画像を撮影したCCDカメラ5の撮影画像中にはモアレ縞が発生しない。
【0020】
しかし、CCDカメラ5が液晶パネルディスプレイ3の整数倍でない数の画素を有していると、CCDカメラ5の画素周期と液晶パネルディスプレイ3の画素周期との間に位相差が生じる。そのため、液晶パネルディスプレイ3の各画素が同じ画素値で発光した場合でも、各画素に対応するCCDカメラ5の画素のうち最も画素値が高い画素は、互いに同じ画素値にはならなくなる。これが原因となって、液晶パネルディスプレイ3の表示画像を撮影したCCDカメラ5の撮影画像中にモアレ縞が発生する。
【0021】
このモアレ縞を含んだ状態のままCCDカメラ5からの出力画像データを液晶パネルディスプレイ3の表示むらの検出に使用すると、表示むらの誤検出につながる可能性がある。
【0022】
そこで、ステップS3では、アドレッシング処理と共にモアレ除去処理を行う。モアレ除去処理では、例えば、本出願人が特開2004−317329号公報に係る出願で提案した、CCDセンサの各画素とその周辺画素の画素値を加算又は平均化する手法を利用して、出力画像データ中のモアレ成分を除去する。
【0023】
なお、表示デバイスが有機ELパネルディスプレイやプラズマパネルディスプレイである場合にも、発光素子がマトリクス状の格子パターンで配置されているので、同様のモアレ除去処理をアドレッシング処理と共に行うのが有効である。但し、モアレ除去処理は必須ではなく、表示むらの検出に際してモアレ縞の発生が支障にならない程度である場合等には、モアレ除去処理を省略してもよい。
【0024】
ステップS5の微分処理では、ステップS3で行ったアドレッシング処理及びモアレ除去処理後の液晶パネルディスプレイ3の各画素の画素値を微分して、微分画素値を取得する。この微分画素値は、対象画素とその周辺画素との画素値の差分を求める一般的な微分処理によって求めてもよい。
【0025】
しかし、本実施形態では、ステップS5の微分処理において、
図3に示すように、液晶パネルディスプレイ3の各画素の画素値の強調処理(ステップS51)、積分処理(ステップS51)と、液晶パネルディスプレイ3の各画素の画素値と積分画素値の差分処理(ステップS53)とを行う。
【0026】
ステップS51の積分処理では、
図2のステップS3で行ったアドレッシング処理及びモアレ除去処理後の液晶パネルディスプレイ3の各画素の画素値を、空間フィルタを用いて周辺画素の画素値と平均化して積分し、積分画素値を取得する。
【0027】
ここで使用する空間フィルタは、液晶パネルディスプレイ3に発生し得る表示むらをカバーするマトリクス形状を有する必要がある。そのため、空間フィルタは、液晶パネルディスプレイ3に発生し得る表示むらに対応したカーネルサイズを有している。例えば、表示むらが最大で液晶パネルディスプレイ3の100×100画素分の大きさを有する可能性があれば、積分に使用する空間フィルタも100×100のカーネルサイズのものとする。ちなみに、各カーネルの値は「1」、係数はカーネル数の逆数(=1/(100×100))である。
【0028】
なお、空間フィルタを用いてステップS51の積分処理を行う際、積分する対象画素(積分画素値の取得対象画素)が液晶パネルディスプレイ3の上下左右の外周辺のいずれかに近づくと、空間フィルタの一部のカーネル列が液晶パネルディスプレイ3の外側にはみ出るようになる。
【0029】
ここで、
図4及び
図5を参照して、液晶パネルディスプレイ3の各画素の画素値を積分用の空間フィルタ40(表示デバイスの表示むらの形状及び大きさに対応したカーネルサイズの空間フィルタ)を用いて積分する場合を例に取って説明する。なお、ここで説明する例では、
図4の一番右や
図5の一番下にそれぞれ示すサンプルのように、模式的に空間フィルタ40のカーネルサイズを7×7とする。この空間フィルタ40は、各カーネル値を「1」とし、各カーネルの係数を全カーネル数の逆数(=1/(7×7))としている。
【0030】
まず、
図4では、液晶パネルディスプレイ3の左辺31に対する空間フィルタ40の位置関係と、有効カーネル列との関係を示している。この例では、左辺31から3画素目までの画素を空間フィルタ40で積分する際に(
図4の上から3番目までの例を参照)、空間フィルタ40の左側のカーネル列(1列〜3列)が液晶パネルディスプレイ3の左辺31を越えて外側にはみ出る。
【0031】
液晶パネルディスプレイ3の外側にはみ出るカーネル列には対応する画素列が存在しないので、このカーネル列を積分処理の際に無効とする必要がある。そこで、左辺31の外側にはみ出る空間フィルタ40のカーネル列については、カーネルを無効(カーネル値=「0」)とする。
【0032】
また、左辺31から4画素目以降の画素を空間フィルタ40で積分する際には(
図4の上から4番目以降の例を参照)、空間フィルタ40の全体が液晶パネルディスプレイ3の内側に収まる。この場合には、全カーネルについて対応する画素がそれぞれ存在するので、原則的には、無効とするカーネル(列)は必要ない。
【0033】
なお、液晶パネルディスプレイ3の右辺の近傍エリア内に存在する積分対象画素については、
図4を左右反転した内容の空間フィルタ40を用いて、積分処理を行えばよい。
【0034】
図5に示すように、液晶パネルディスプレイ3の上辺35に空間フィルタ40が近接する場合も、同様にすることができる。即ち、積分対象画素が上辺35から3画素目までにある場合は(
図5の右から3番目までの例を参照)、空間フィルタ40の上側のカーネル列(1列〜3列)が液晶パネルディスプレイ3の上辺35を越えて外側にはみ出る。そこで、上辺35の外側にはみ出る空間フィルタ40のカーネル列については、カーネルを無効(カーネル値=「0」)とする。
【0035】
また、積分対象画素が上辺35から4画素目以降である場合は(
図5の右から4番目〜一番左の例を参照)、空間フィルタ40の全体が液晶パネルディスプレイ3の内側に収まるので、原則的には空間フィルタ40に無効とするカーネル(列)を設定する必要はない。
【0036】
なお、液晶パネルディスプレイ3の下辺の近傍エリア内に存在する積分対象画素については、
図5を上下反転した内容の空間フィルタ40を用いて、積分処理を行えばよい。
【0037】
ところで、バックライトを用いる液晶パネルディスプレイ3では、特に、画面の外周縁部に光源を配置して画面中央まで導光板を用いて導光する場合、導光板における光の減衰によって、画面の外周辺付近の輝度に比べて画面中央の輝度が相対的に低くなるシェーディングが発生しやすい。このシェーディングは、プラズマパネルディスプレイや有機ELパネルディスプレイ等の、バックライトを使用しない表示デバイスにおいても発生することがある。
【0038】
そこで、本実施形態では、積分対象画素が液晶パネルディスプレイ3の外周辺の近くにあるときに、近くの辺の延在方向と同じ方向の方向性を空間フィルタ40に持たせ、その辺の延在方向と直交する方向の感度を落として、積分画素値に対してシェーディング補正を行うようにしている。
【0039】
例えば、
図4に示す液晶パネルディスプレイ3の左辺31の付近では、左辺31から感度補正ライン32までの7画素幅に亘る、左辺31の近傍エリア33でシェーディングが発生しやすいものとする。その場合は、空間フィルタ40により積分する対象画素が近傍エリア33内に存在するときに、空間フィルタ40に左辺31の延在方向への方向性を持たせる。そして、左辺31と直交する方向(横方向)の有効なカーネル列を原則として3列とし、カーネルサイズを縦×横=7×3とする。
【0040】
但し、
図4の一番上の例では、空間フィルタ40の中央積分対象画素の左隣の画素に重なる有効としたいカーネル列が空間フィルタ40の左辺31から外側にはみ出てしまうので、例外的に、有効なカーネルサイズを縦×横=7×2とする。
【0041】
同様に、
図5に示す液晶パネルディスプレイ3の上辺35の付近では、上辺35から感度補正ライン36までの7画素幅に亘る、上辺35の近傍エリア37でシェーディングが発生しやすいものとする。その場合は、空間フィルタ40により積分する対象画素が近傍エリア37内に存在するときに、空間フィルタ40に上辺35の延在方向への方向性を持たせる。そして、上辺35と直交する方向(縦方向)の有効なカーネル列を原則として3列とし、カーネルサイズを縦×横=3×7とする。
【0042】
但し、
図5の一番右の例では、積分対象画素の上隣の画素に重なる有効としたいカーネル列が空間フィルタ40の上辺35から外側にはみ出てしまうので、例外的に、有効なカーネルサイズを縦×横=2×7とする。
【0043】
また、液晶パネルディスプレイ3の右辺から感度補正ライン(図示せず)までの7画素幅に亘る、右辺の近傍エリア内に存在する積分対象画素にシェーディングが発生しやすい場合は、
図4を左右反転した内容の空間フィルタ40を用いて積分処理を行えばよい。同様に、液晶パネルディスプレイ3の下辺から感度補正ライン(図示せず)までの7画素幅に亘る、下辺の近傍エリア内に存在する積分対象画素にシェーディングが発生しやすい場合は、
図5を上下反転した内容の空間フィルタ40を用いて、積分処理を行えばよい。
【0044】
このように、液晶パネルディスプレイ3の外周辺の付近の積分対象画素については、使用する空間フィルタ40に近くの辺の延在方向への方向性を持たせて、有効なカーネルサイズを縦×横=7×2又は2×7や、7×3又は3×7とした空間フィルタ40を用いることで、積分対象画素の画素値を積分する際にシェーディング補正を同時に行うことができる。
【0045】
なお、積分対象画素が感度補正ライン32,36よりも液晶パネルディスプレイ3の内側に存在するとき、その画素の積分に用いる空間フィルタ40の有効なカーネルサイズは、原則的に7×7とすることができる。但し、積分対象画素が近傍エリア33,37内から感度補正ライン32,36を越えて液晶パネルディスプレイ3の内側に移った途端に、空間フィルタ40の有効なカーネルサイズが縦×横=7×3又は3×7から7×7に変わるのは、積分特性が急に変化するので好ましくない。
【0046】
そこで、近傍エリア33,37よりも内側にある積分対象画素が感度補正ライン32,36の近くにあるうちは、近傍エリア33,37から遠ざかるにつれて、空間フィルタ40の有効なカーネルサイズを、縦×横=7×5又は5×7、7×7と徐々に変化させるようにしてもよい。
【0047】
ところで、上述した縦×横=7×7のカーネルサイズはあくまで説明上の一例であり、空間フィルタのカーネルサイズは、液晶パネルディスプレイ3に発生し得る表示むらに対応するサイズである限り任意である。そして、液晶パネルディスプレイ3の外周辺に近い積分対象画素の積分に用いる空間フィルタについては、
図4及び
図5に示した空間フィルタ40のように、近くの辺の延在方向と直交する方向の有効カーネル列数を可変とし、感度に方向性を持たせる。
【0048】
例えば、空間フィルタが15×15のカーネルサイズを有している場合は、積分対象画素が近傍エリア33,37から遠ざかるにつれて、空間フィルタの有効なカーネルサイズを、縦×横=15×3又は3×15から順次、15×5又は5×15、15×7又は7×15、15×9又は9×15、15×11又は11×15、15×13又は13×15、15×15へと、多くの段階を経て変化させることができる。
【0049】
なお、上述したシェーディング補正を考慮する必要がない場合でも、
図4及び
図5に示した空間フィルタ40のように、無効カーネルとした液晶パネルディスプレイ3の外周辺側のカーネル列と同じかそれに近い列数のカーネルを、液晶パネルディスプレイ3の中央側のカーネル列においても無効化してもよい。そのようにすれば、液晶パネルディスプレイ3の左辺31や上辺35(あるいは、右辺や下辺)と直交する方向における空間フィルタ40の方向性(感度)を、積分対象画素に対して均等にすることができる。即ち、シェーディング補正を考慮する必要がないときに、液晶パネルディスプレイ3の中央側にも無効のカーネル列を設定するか否かは任意である。
【0050】
また、液晶パネルディスプレイ3の四隅においては、例えば
図6に示すように、左辺31と上辺35の2つの近傍エリア33,37が重複する。そこで、近傍エリア33,37が重複する領域39内に積分対象画素があるときには、
図4及び
図5に示した空間フィルタ40でそれぞれ無効化したカーネル列を合計して、空間フィルタ40の左右及び上下の2〜3列ずつのカーネルを無効とすればよい。この場合にも、シェーディング補正を考慮する必要がないときに、液晶パネルディスプレイ3の中央側にも無効のカーネル列を縦方向及び横方向にそれぞれ設定するか否かは任意である。
【0051】
ところで、液晶パネルディスプレイ3の表示むらには、縦横両方向にそれぞれある程度のサイズを有するものもあれば、縦方向又は横方向のサイズが小さい線状のむらもある。縦横両方向にある程度のサイズを有する表示むらに比べると線状のむらは、むらの範囲(面積)が小さいため、積分処理を行うと周辺画素の画素値に引っ張られて積分画素値が低くなり、表示むらとして検出しづらくなる傾向がある。
【0052】
そこで、縦方向又は横方向にサイズが小さい線状むらを検出する際に行う、
図2のステップS5の微分処理では、
図7に示すように、
図3のステップS51の積分処理及びステップS53の差分処理を同じように実行する前に、強調処理(ステップS50)を前処理として行ってもよい。
【0053】
ステップS50の強調処理では、縦方向又は横方向の線状むらの画素値を線状むらの延在方向において平均化しノイズ成分を低減させる。
図8は、縦方向に延在する線状むらの強調処理を行う場合を示している。この場合は、線状むらと同じく縦方向に方向性がある(有効カーネルが配列された)強調処理用の空間フィルタ50(強調用空間フィルタ)を用いる。この空間フィルタ50は、n×nのカーネルサイズでその横方向中央の縦1列のみ、有効カーネル(カーネル値=「1」)とし、その他を無効カーネル(カーネル値=「0」)とする。有効カーネルの係数は、有効カーネル数nの逆数(=1/n)である。なお、
図8ではn=9の場合を示している。
【0054】
この空間フィルタ50を用いた
図7のステップS50における線状むらの強調処理では、線状むら部分の画素値が縦方向の有効カーネル数nと同じ周辺画素の画素値と平均化される。これにより、線状むらの縦方向の境界が明確化され、表示むらとして検出されやすいようになる。
【0055】
なお、横方向に延在する線状むらの強調処理には、横方向に方向性がある強調処理用の空間フィルタ(図示せず)を用いればよい。また、ドット状に密集した点状欠陥については、この強調処理を行うことで画素値が周辺画素の画素値に合わせて下がるので、表示むらとして誤検出されにくくなる。
【0056】
以上に説明したステップS50の強調処理を行う場合は、強調処理後の液晶パネルディスプレイ3の各画素の画素値を用いて
図7のステップS51の積分処理を行い、積分画素値を取得することになる。この積分処理の際に、
図4及び
図5を参照して説明したように、積分対象画素と液晶パネルディスプレイ3の外周辺との位置関係に応じて、空間フィルタ50の一部のカーネル列を無効化するようにしてもよい。
【0057】
次に、
図3や
図7のステップS53の差分処理では、ステップS51の積分処理を行う前の液晶パネルディスプレイ3の各画素の画素値と、ステップS51の積分処理後の積分画素値の差分を求めて、これを液晶パネルディスプレイ3の各画素の微分画素値として取得する。以上で、
図2のステップS5の微分処理が終了する。
【0058】
なお、
図3のステップS51の脇に示す2つのグラフは、ステップS51の積分処理前と処理後の、液晶パネルディスプレイ3のある横方向の1ラインにおける画素値分布を示している。この2つのグラフを比較すると分かるように、
図3や
図7のステップS51の積分処理を行うと、液晶パネルディスプレイ3の画素値変化の低周波成分が抽出される。液晶パネルディスプレイ3の画素全体に亘って画素値のオフセットが発生している場合は、抽出した低周波成分にこのオフセット分が含まれる。
【0059】
また、
図3のステップS53の脇に示すグラフは、ステップS53の差分処理後の、液晶パネルディスプレイ3のある横方向の1ラインにおける画素値分布を示している。このグラフを見ると分かるように、上述した
図3や
図7のステップS53による差分処理を行うと、液晶パネルディスプレイ3の画素値変化から低周波成分を除去した、高周波成分のみが抽出される。液晶パネルディスプレイ3の画素全体に亘って画素値のオフセットが発生している場合にも、オフセット分は低周波成分として排除される。
【0060】
したがって、
図2のステップS5の微分処理において、上述した
図3や
図7のステップS51やステップS53の積分処理や差分処理を行うことで、対象画素とその周辺画素との画素値の差分を求める一般的な微分処理を行うのに比べて、表示むらに起因して周辺画素との間に画素値のギャップがある液晶パネルディスプレイ3の画素のエリアを、高い精度で検出することができる。
【0061】
ところで、
図3のステップS51の積分処理では、
図2のステップS3で行ったアドレッシング処理及びモアレ除去処理後の液晶パネルディスプレイ3の各画素の画素値を積分する。これに対し、
図7のステップS51の積分処理では、ステップS50の強調処理後の液晶パネルディスプレイ3の各画素の画素値を積分する。即ち、同じ積分処理であっても、積分処理に用いる液晶パネルディスプレイ3の各画素の画素値が、
図3のステップS51の積分処理と
図7のステップS51の積分処理とでは異なる。
【0062】
そのため、縦横両方向にある程度のサイズを有するむらと、縦方向又は横方向の線状むらとを、共に表示むらとして検出する場合は、
図3の手順による微分処理と
図7の手順による微分処理とをそれぞれ行う必要がある。その場合は、
図3の手順による微分処理と、
図7の手順による微分処理とを、シリアル又はパラレルに行えばよい。
【0063】
ここで、
図2のステップS5による微分処理前後の液晶パネルディスプレイ3の出力画像データのイメージと画素値を、
図9及び
図10を参照して説明する。
【0064】
まず、
図2のステップS5による微分処理前の液晶パネルディスプレイ3の出力画像データ中に、
図9(a)に示すイメージの表示むらが存在しているものとする。このときの、液晶パネルディスプレイ3の対応する画素の画素値は、
図9(b)のような値となっている。なお、説明を容易にするため、
図9(b)では、各画素の画素値をRGBの各値ではなく画面の濃淡を示す輝度を正規化した値(平均値=100)で示している。
【0065】
そこで、
図9(b)に示す画素値に対して
図2のステップS5による微分処理を施すと、
図10(b)に示すように、平均よりも画素値が高い画素だけ画素値が1000となり、その他の画素は画素値が0になる。これをイメージで表すと、
図10(a)に示すように、表示むらとその周辺とのコントラスト差が、
図9(a)に示す微分処理前のコントラスト差よりも大きくなって、表示むらが明確になっている。
【0066】
次に、
図2のステップS7の微分閾値判定(一次閾値判定)処理では、
図10(b)に示す画素値、つまり、液晶パネルディスプレイ3の各画素の微分画素値を、むら判定閾値と比較して二値化する。むら判定閾値は、液晶パネルディスプレイ3の表示むらが発生している可能性のあるエリア(表示むらの発生エリア)の画素であるかどうかを、微分画素値によって判断するための閾値である。
【0067】
そして、
図11に示すように、微分画素値がむら判定閾値を超える画素にはラベル値を割り当て、微分画素値がむら判定閾値以下の画素には「0」を割り当てる。ラベル値は、むら判定閾値を超えた画素が隣接する集合体を1つの表示むらの発生エリアとして、各表示むらの発生エリアに対してユニークに付与される値である。したがって、同じ表示むらの発生エリア内の画素には同じラベル値が割り当てられる。なお、ラベル値には「1」以上の整数が使用される。
【0068】
続いて、
図2のステップS9のむら強度計算処理では、表示むらの発生エリア毎に表示むらの強度を計算する。表示むらの強度には、例えば、Semiconductor Equipment and Materials International (SEMI、登録商標)が規格化したSEMU(SEMI MURA)値を用いることができる。ここで、SEMU値の計算方法について説明する。
【0069】
SEMU値の計算には、表示むらの発生エリアの平均コントラストCxと、表示むらの発生エリアの面積Sxと、人間による感知限界の表示むらの濃さCjndとが必要である。平均コントラストCxは、表示むらの発生エリアの周辺画素の輝度を100%とした場合の、パーセンテージで表した表示むらの発生エリアの輝度(エリア内画素の輝度平均値)である。面積Sxはmm
2 で表す。感知限界の表示むらの濃さCjndは、表示むらの発生エリアの面積Sxの関数F(Sx)によって表される。
【0070】
上述した平均コントラストCxを表示むらの各発生エリアについて求めるには、各発生エリアについて、フォアグラウンド(Fore Ground:FG)とバックグラウンド(Back Ground:BG)とを設定する必要がある。例えば、
図9(a)及び
図10(a)に示した形状の表示むらの発生エリアの場合は、
図12に示すように、表示むらの発生エリアがFGとなり、FGから2画素隔てた周辺2画素幅の環状エリアがBGとなる。そこで、FGに属する各画素とBGに属する各画素について、それぞれ平均輝度値を求めて、FG値及びBG値とする。
【0071】
次に、下式(1)
Cx=(FG値−BG値)/BG値・・・(1)
を用いて、FG値及びBG値から平均コントラストCxを求める。
【0072】
また、下式(2)を用いて、
Cjnd=F(Sx)=1.97×(1/Sx
0.33)+0.72・・・(2)
感知限界の表示むらの濃さCjndを求める。
【0073】
そして、下式(3)を用いて、
SEMU値=|Cx|/Cjnd・・・(3)
SEMU値を求める。
【0074】
以上のように、SEMU値の計算には平均コントラストCxや面積Sxを用いるので、表示むらの発生エリアの正確な形状が分かっていることが必要である。その点からすると、
図7のステップS50の強調処理を行って表示むらの発生エリアを特定する線状むらについては、SEMU値によってむら強度を計算する対象から除外してもよい。その理由は、線状むらの場合、表示むらの発生エリアとして認識される形状が、前段の強調処理によって、本来の線状むらの形状から多少変化する可能性があるからである。
【0075】
さらに、
図2のステップS11のむら強度閾値判定(二次閾値判定)処理では、ステップS9で計算した表示むらの発生エリアのむら強度の値(SEMU値)を、強度閾値と比較する。強度閾値は、最終的に表示むらとして検出する表示むらの発生エリアをむら強度の値によって判定するための閾値である。この強度閾値は、表示むらとして検出する表示むらの発生エリアの最低のむら強度値に設定される。
【0076】
そして、むら強度値が強度閾値を超える表示むらの発生エリアは、表示むらとして検出する。一方、むら強度値が強度閾値を超えない表示むらの発生エリアは、表示むらとして検出しない。検出した表示むらは、最後に、ステップS13の結果出力処理において、液晶パネルディスプレイ3における画素位置とむら強度値とを関連付けて、表示むらの検出結果情報として、表示むら検出装置1の外部に出力する。
【0077】
以上が、表示むら検出装置1が行う液晶パネルディスプレイ3の表示むら検出処理の全容である。そして、本実施形態では、
図2のフローチャートにおけるステップS3が、請求項中の画素値取得手段(画素値取得ステップ)に対応する処理となっている。また、本実施形態では、
図2中のステップS5が、請求項中の微分手段(微分ステップ)に対応する処理となっており、
図2中のステップS7が、請求項中の画素値比較手段及びむらエリア検出手段(エリア検出ステップ)に対応する処理となっている。
【0078】
さらに、本実施形態では、
図2中のステップS9が、強度値取得手段(強度値取得ステップ)に対応する処理となっており、
図2中のステップS11が、請求項中の強度値比較手段及び表示むら検出手段(表示むら検出ステップ)に対応する処理となっている。
【0079】
また、本実施形態では、
図7のフローチャートにおけるステップS50が、請求項中の強調手段(強調ステップ)に対応する処理となっている。さらに、本実施形態では、
図3及び
図7のフローチャートにおけるステップS51が、請求項中の積分手段(積分ステップ)に対応する処理となっており、
図3及び
図7中のステップS53が、請求項中の差分手段(差分ステップ)に対応する処理となっている。
【0080】
なお、表示むら検出装置1が出力する表示むらの検出結果情報は、例えば、液晶パネルディスプレイ3が個々の表示むらの有無やその内容に応じて記憶保持する、表示むら解消用の入力画像データに対する補正データを生成するのに、利用することができる。特に、液晶パネルディスプレイ3の出荷検査ライン等に表示むら検出装置1をインラインで設ければ、表示むら検出工程を前後の工程と連携させることができる。
【0081】
その場合は、出荷検査ラインを統括管理するコントローラ(図示せず)や、ライン上の各工程を個別管理するユニットコントローラ(図示せず、表示むら検出工程に関しては、表示むら検出装置1がこれに相当)が、以下の手順を実行することになる。
【0082】
即ち、
図13に示すように、ステップS101において、
図2のフローチャートを参照して説明した、表示むら検出装置1による表示むらの検出処理を行い、続いて、表示むら検出装置1が出力する表示むらの検出結果情報から、表示むらの有無を検出する(ステップS103)。表示むらが存在しない場合は(ステップS103でNO)、良品と判定して、検査対象の液晶パネルディスプレイ3に関する検査工程を終了する。
【0083】
一方、表示むらが存在する場合は(ステップS103でYES)、その液晶パネルディスプレイ3について表示むら検出装置1が、表示むらを検出した旨の検査結果情報を出力した回数を、設定回数と比較する(ステップS105)。そして、出力回数が設定回数を超えた場合は(ステップS105でYES)、不良品と判定して、検査対象の液晶パネルディスプレイ3に関する検査工程を終了する。
【0084】
一方、表示むらを検出したとの検出結果情報の出力回数が設定回数を超えていない場合は(ステップS105でNO)、表示むら検出装置1が検出した表示むらを解消するための入力画像データに対する補正データの生成処理を行う(ステップS107)。
【0085】
補正データの生成処理は、出荷検査ラインの補正データ生成ユニット(図示せず)が有しているユニットコントローラが実行する。生成した補正データは、液晶パネルディスプレイ3が内蔵するドライバ回路のフラッシュメモリ(図示せず)に、ユニットコントローラによって新規に書き込まれるか、上書き更新される。この補正データが適切な内容であれば、ドライバ回路に入力画像データが入力された際に、フラッシュメモリから読み出した補正データによって、表示むらを相殺する補正が入力画像データに施され、液晶パネルディスプレイ3の表示画面から表示むらがなくなることになる。
【0086】
そして、ステップS107の補正データの生成処理後に、再度、ステップS101にリターンし、
図2のフローチャートを参照して説明した、表示むら検出装置1による表示むらの検出処理を行う。したがって、表示むらの検出処理と液晶パネルディスプレイ3の補正データの更新を設定回数繰り返しても、表示むら検出装置1によって表示むらが検出され続ける場合は、その液晶パネルディスプレイ3は不良品と判定されることになる。
【0087】
以上に説明したように、本実施形態の表示むら検出装置1によれば、CCDカメラ5から取得した液晶パネルディスプレイ3の表示画像の出力画像データから液晶パネルディスプレイ3の各画素の画素値を取得し、さらに微分画素値を取得して、むら判定閾値と比較するようにした。そして、微分画素値がむら判定閾値を超えた隣接画素群を、表示むらの発生エリアとしてまず検出するようにした。
【0088】
続いて、各表示むらの発生エリア毎に表示むらの強度を計算し、その値をむら強度閾値と比較して、むら強度閾値を超える場合に、その発生エリアを表示むらとして最終的に検出するようにした。
【0089】
このため、まずは、表示むらの候補となるエリアが、表示むらの発生エリアとして一次的に検出される。そして、検出された発生エリアを表示むらの強度値の高さで絞り込むことで、視覚上でも認識される明らかな表示むらが最終的に検出される。よって、微分画素値の分布から単純に表示むらを検出するのに比べて、液晶パネルディスプレイ3の表示むらをより高い精度で検出することができる。
【0090】
なお、線状むらの検出のために、強調処理を含む
図7のフローチャートの微分処理を、
図3のフローチャートの微分処理と共に行う構成は、省略してもよい。また、
図3や
図7のステップS51の積分処理の際に、
図4及び
図5を参照して説明したように、積分対象画素と液晶パネルディスプレイ3の外周辺との位置関係に応じて、空間フィルタ50の一部のカーネル列を無効化する構成は、省略してもよい。さらに、表示むらの強度は、SEMU値以外の値で評価してもよい。
【0091】
そして、冒頭においても述べたように、本発明の表示むら検出方法とこの方法を適用した表示むら検出装置は、上述した実施形態で説明した液晶パネルディスプレイ3の他、プラズマパネルディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示デバイスにおける表示むらの検出にも利用可能である。