特許第6041874号(P6041874)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041874
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】多孔質針状ムライト体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/22 20060101AFI20161206BHJP
   C30B 33/02 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   C30B29/22
   C30B33/02
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-518660(P2014-518660)
(86)(22)【出願日】2012年6月21日
(65)【公表番号】特表2014-518193(P2014-518193A)
(43)【公表日】2014年7月28日
(86)【国際出願番号】US2012043495
(87)【国際公開番号】WO2013006281
(87)【国際公開日】20130110
【審査請求日】2015年6月18日
(31)【優先権主張番号】61/504,739
(32)【優先日】2011年7月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・ディー・メリック
(72)【発明者】
【氏名】ジャネット・エム・ゴス
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーナ・プラトコスキー
【審査官】 山田 頼通
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−521624(JP,A)
【文献】 特開平05−172464(JP,A)
【文献】 特開2010−007128(JP,A)
【文献】 特開平06−005533(JP,A)
【文献】 特開平07−058030(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/158294(WO,A1)
【文献】 特公平06−033193(JP,B2)
【文献】 特表2006−524630(JP,A)
【文献】 特表平06−504517(JP,A)
【文献】 特表2003−508329(JP,A)
【文献】 特開2002−075978(JP,A)
【文献】 実開平01−089732(JP,U)
【文献】 特開平02−201921(JP,A)
【文献】 米国特許第04911902(US,A)
【文献】 米国特許第04948766(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0324946(US,A1)
【文献】 特開平08−008204(JP,A)
【文献】 特表2009−520678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00−35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
針状ムライト体の製造プロセスであって、
(a)炉の密閉領域を通って流れるフッ素含有化合物を含むプロセスガスの存在下で、前記炉の前記密閉領域内で少なくとも一つのグリーン体を650℃〜800℃の温度まで加熱するステップであって、前記グリーン体内のアルミニウム供給源及びケイ素供給源が、前記フッ素含有化合物と反応して、フルオロトパーズを形成するようにされる、ステップと、その後、
(b)前記フルオロトパースを800℃以上の温度に加熱するステップであって、前記フルオロトパーズが分解して多孔質針状ムライト体を形成する、ステップと、を含み、
ステップ(a)において、前記プロセスガスが、前記密閉領域の少なくとも一方の側にわたって分布する複数の入口を通って前記密閉領域中へ導入され、前記プロセスガスが、前記密閉領域の少なくとも他方の側にわたって分布する複数の出口を通って前記密閉領域から引き出され、さらに前記プロセスガスが、前記密閉領域の外側の前記炉の領域へ入らずに前記密閉領域から取り出される、プロセス。
【請求項2】
前記炉が外殻によって画定される容積を有し、前記炉の前記密閉領域がエンクロージャーによって画定され、前記エンクロージャーは、前記エンクロージャーの外面の実質的に全ての点で前記外殻から離間している、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記炉の前記密閉領域が、前記エンクロージャー内の一つ以上の開口部を通って、前記エンクロージャーの外側で前記炉の部分と流体連通し、前記開口部は全体で、前記エンクロージャーの表面積の2%以下を占める、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
ステップ(a)において、前記プロセスガスの流速、前記プロセスガス中の前記フッ素含有化合物の含有量、又はこれらの両方が、ステップ(a)の過程の間に少なくとも一度減少する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
ステップ(a)において、前記少なくとも1つのグリーン体の温度を監視し、前記少なくとも1つのグリーン体の前記温度が、所定の温度以上になった場合に、前記炉の前記密閉領域におけるフッ素含有化合物の分圧を下げる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
針状ムライト体の製造プロセスであって、
(a)フッ素含有化合物の存在下で、グリーン体を高温に加熱するステップであって、前記グリーン体中のアルミニウム供給源及びケイ素供給源をフッ素と反応させてフルオロトパーズを形成する、ステップと、その後、
(b)前記フルオロトパーズを加熱するステップであって、前記フルオロトパーズを分解して多孔質針状ムライト体を形成する、ステップと、を含み、
ステップ(a)とステップ(b)とを炉内の密閉領域で行って、ステップ(b)中に、前記密閉領域の内壁及び前記密閉領域内の内部空間が、少なくとも1000℃の温度に維持されるようにし、更に、ステップ(b)中に、パージガスを、前記密閉領域の外側の前記炉の部分を通って流し、
さらにステップ(a)において、前記フッ素含有化合物が、前記密閉領域の外側の前記炉の領域へ入らずに前記密閉領域から取り出される、プロセス。
【請求項7】
ステップ(a)において、前記プロセスガスは、85〜95重量%の前記フッ素含有化合物を含有し、前記少なくとも1つのグリーン体のフルオロトパーズへの転換率が40%まで、前記プロセスガスの流速は、グリーン体1kg当たり0.3〜0.6標準リットル/分であり、前記プロセスガスの流速は、その後減少して、前記少なくとも1つのグリーン体のフルオロトパーズへの転換率が75〜100%であるときに、前記プロセスガスの流速がグリーン体1kg当たり0.05〜0.12標準リットル/分となる、請求項5に記載のプロセス。
【請求項8】
前記フッ素含有化合物は、SiFであり、ステップ(a)において、前記プロセスガスは85〜95重量%の前記SiFを含有し、前記少なくとも1つのグリーン体のフルオロトパーズへの転換率が40%まで、前記プロセスガスの流速は、グリーン体1kg当たり0.3〜0.6標準リットル/分であり、前記少なくとも1つのグリーン体のフルオロトパーズへの転換率が40〜60%まで、前記プロセスガスの流速は、グリーン体1kg当たり0.2〜0.4標準リットル/分であり、前記少なくとも1つのグリーン体のフルオロトパーズへの転換率が60〜80%まで、前記プロセスガスの流速は、グリーン体1kg当たり0.1〜0.25標準リットル/分であり、前記少なくとも1つのグリーン体のフルオロトパーズへの転換率が80〜100%まで、前記プロセスガスの流速は、グリーン体1kg当たり0.05〜0.12標準リットル/分である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項9】
前記プロセスは、さらに前記エンクロージャーの外側の前記炉の部分にパージガスを導入することと、前記炉の前記密閉領域の中に前記パージガスを流すことにより、反応器から前記パージガスを取り除くことを含み、前記密閉領域において、前記パージガスは、前記プロセスガスと混合され、組み合されたプロセスガス及びパージガスは、当該組み合されたプロセスガス及びパージガスが前記エンクロージャーの外側の前記炉の部分に再侵入することなく、前記密閉領域から取り除かれる、請求項3に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2011年7月6日出願の米国仮特許出願第61/504,739号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、多孔質針状ムライト体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
針状ムライトは、高アスペクト比の針状形態をとる。針状ムライトの針の塊は、広い表面積を形成し、高度に多孔質な構造は、優れた耐熱性と機械的強度とを特徴とする。多孔質の針状ムライト体は、発電装置から排出される排気からの煤をフィルタ処理するための微粒子トラップとして使用される。発電装置は、移動又は静止していてもよい。移動発電装置の一例は、内燃機関である。静止発電装置は、電気及び/又は蒸気発生ユニットを含む。多孔質の針状ムライト体は、自動車の触媒コンバータ内の貴金属のための担体など、触媒担体としても有用である。
【0004】
多孔質針状ムライト体を製造する利便性の高い方法は、アルミニウム原子及びケイ素原子の供給源を含む「グリーン体」を出発物質とする。フッ素存在下で加熱することにより、(理論値の)経験式Al(SiO)Fを有するフルオロトパーズ(fluorotopaz)化合物を形成することができる。次に、フルオロトパーズ化合物を熱分解してムライトを形成することができ、ムライトは、(理論値の)経験的構造3Al・2SiOを有する。この方法により形成されたムライト結晶は、相互接続された針の塊の形態をとる。針は、通常、最大約25ミクロンの平均直径を有する。相互接続された針は、細孔が体の容積の40〜85%を占める多孔質構造を形成する。
【0005】
多孔質の針状ムライト体を製造するための一つの手法は、例えば、国際公開第90/01471号に記載されている。三フッ化アルミニウム、二酸化ケイ素及び必要に応じてアルミナをグリーン体へ形成し、これを、フルオロトパーズを形成するために、650〜950℃へ加熱する。フッ素を除去し、針状ムライトを生成するために、無水SiF雰囲気下で、1150〜1700℃で、フルオロトパーズと追加のSiOとを反応させることができる。SiFは、これらの反応のそれぞれの副生成物として生成される。三フッ化アルミニウムは、反応のためにフッ素を提供するために分解しなければならないため、フルオロトパーズ形成ステップにおける反応速度は、本手法において制限される。更に、三フッ化アルミニウムは高価な出発材料であり得る。
【0006】
他の合成手法は、国際公開第99/11219号、国際公開第03/82773号及び国際公開第04/96729号に記載されている。この手法は気体、最も典型的には、フッ素供給源としてSiFを使用し、アルミニウム及びシリコン供給源として、アルミノケイ酸塩粘土、シリカ及び/又はアルミナを使用する。前述のように、二段階の反応が起こる。グリーン体を形成し、炉に入れ、炉を所望の量のSiFで充填する。グリーン体を次に、SiFの存在下で、一定速度で加熱する。温度が約650℃を超えると、フルオロトパーズが発熱反応において形成し、炉が700℃〜約950℃の範囲である間、形成し続ける。フルオロトパーズを更に第二の反応である、ムライトの針を形成させるために、吸熱反応させる。この第二の反応は、典型的には、少なくとも1000℃の温度まで炉を加熱し続けることによって、SiF雰囲気下で行われる。SiFの分圧は、フルオロトパーズ形成反応の間よりも、通常、第二段階において低い。
【0007】
フルオロトパーズは、SIFの分圧及び他のプロセス変数に依存して、約800℃と同等に低い温度で、ムライトを形成するために、分解し始めることができる。従って、特定の温度範囲内で、同時に、フルオロトパーズ中間体を形成し、分解することが可能である。一貫した製品品質を達成するために、これらの反応を分離しようとすることは有益である。これを行う一つの方法は、分解反応の速度が小さい値又はゼロになるように、第一のステップにおいて反応温度を、約800℃以下に維持することである。
【0008】
これを行うことの問題点は、フルオロトパーズ形成反応の発熱性のために、部分の温度を制御することが困難であることである。特に、反応熱は時には、迅速に除去することができないために、部分の中心が過熱になる傾向がある。この結果は、針構造は部分全体で一貫性がないことである。
【0009】
別の問題は、体の製造規模での処理において発生する。製造規模でのプロセスは、単一の炉内で同時に複数の部分を製造する。個々の体は、特にフルオロトパーズ形成反応の間に、異なる速度で反応することができることが分かった。反応サイクルの時間は、反応するのに最も遅い部分の反応サイクル時間によって決定されるため、サイクル時間及び関連するコスト及び生産性の損失を最小限にするために、部分は全て、同じ速度に非常に近い速度で、反応する。
【0010】
更に別の問題は、反応の間、混合金属フッ化物副生成物が形成する可能性があることである。この副生成物は、典型的には、10〜20重量%のカリウム、1〜10%のナトリウム、15〜30%のアルミニウム及び最大70%のフッ素を含む。この混合金属フッ化物は、フルオロトパーズ分解反応の条件下で、揮発性である。混合金属フッ化物が反応器内の涼しい場所に移動する場合、混合金属フッ化物は、気相から凝縮し、反応器の壁及び他の内部表面を汚染する可能性がある。これは、重要な洗浄の問題を提示する。更に、混合金属フッ化物は、それが気相にある限り、針状ムライトの形成と平衡状態にある。混合金属フッ化物が凝縮するか、そうでなければ、システムから除去された場合、より多くの材料が部分から揮発する。これはシステムからケイ素ではなくアルミニウムを除去するため、その部分におけるアルミニウム:ケイ素比は影響を受け、生成物の特性の変化をもたらす可能性がある。カリウム、ナトリウム及びフッ化物も除去され、再び最後の部分の化学的性質の変化をもたらし、部分間またはバッチ間の生成物の非一貫性をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、一貫した針状構造を有する、多孔質針状ムライト体の迅速且つ経済的な生成を可能にする生成プロセスを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一態様において、本発明は、
(a)グリーン体中のアルミニウムの供給源及びケイ素の供給源がフッ素含有化合物と反応するように、炉の密閉領域を流れるフッ素化合物を含有するプロセスガスの存在下で、炉の密閉領域内において650℃〜800℃の温度まで少なくとも一つのグリーン体を加熱してフルオロトパーズを形成することと、その後
(b)フルオロトパーズが分解するように、体を800℃以上の温度に加熱して多孔質の針状ムライト体を形成することと、
を含み、ステップ(a)において、プロセスガスは、密閉領域の少なくとも一方の側にわたって分布する複数の入口を通って、密閉領域内に導入され、プロセスガスは、密閉領域の少なくとも一方の別の側にわたって分布する出口を通って密閉領域から引き出される、針状ムライト体の製造方法である。
【0013】
驚くべきことに、フルオロトパーズ形成反応(ステップ(a))の間に、このように炉の密閉領域を通ってプロセスガスを流すことにより、ステップ(a)の間の反応速度を、炉の密閉領域内の複数の体にわたって平衡化させることができることが、見出された。これは、複数の部分が同時に非常に近接して、フルオロトパーズ形成反応を完了することを可能にし、その全体的なサイクル時間を削減する。
【0014】
特定の実施形態において、流速及び/又は流れるプロセスガスの組成は、そのプロセスのステップ(a)の間に起こる、発熱性フルオロトパーズ形成反応により生成された高い局所的温度がそれにより回避されるメカニズムとして、用いられる。体の温度がステップ(a)の間に、所定の温度範囲内で維持されるように、反応の有益な速度を提供する密閉領域内のフッ素含有化合物の分圧を生成するように、これらのパラメータを選択することができる。
【0015】
サイクル時間は、反応速度が最大化された場合、もちろん最短である。従って、生産の設定において、所望の反応温度を維持すること及び良好な品質の部分を生成することと一致する、ステップ(a)の間に密閉領域中に可能な限り迅速にフッ素含有化合物を供給することが望ましい。フッ素含有化合物が、反応初期に比較的高い速度で供給され、その後、反応が進行する供給速度が減少する場合、温度及び品質制御と一致する、比較的短いサイクル時間を維持することができることが、判明している。フッ素含有化合物が供給される速度は、十分に後述するように、ステップ(a)のフルオロトパーズ形成反応が進行するため、連続的に、又は一つ以上の増分で減少させることができる。プロセスガスの流速を減少させることにより、及び/又は、プロセスガス中のフッ素含有化合物の濃度を減少させることにより、フッ素含有化合物の供給速度を減少させることができる。
【0016】
特に部分の質量及び幾何学的形状、部分の数及び炉の幾何学的形状における、一連の所定の反応条件について、プロセスガスについての添加速度プロファイル及び/又はプロセスガス中のフッ素含有化合物の濃度を含む、ステップ(a)の間の一連の条件を、経験的に確立することが可能である。これは、フルオロトパーズ形成反応の様々な段階で、プロセスガス流速の様々な条件下及び/又はプロセスガス中のフッ素含有化合物の濃度の様々な条件下で、ステップ(a)の間、部分の一部又は全ての温度を監視することによって行うことができる。このような方法で温度を監視することにより、フルオロトパーズ形成反応の過程の間に、部分を、所定の温度範囲内に維持することを可能にする、流速のプロファイル及びプロセスガス組成物を経験的に確立することができる。反応条件を再生する各時間でプロファイルを使用することができ、部分の温度を直接的に継続して監視することは、そのような場合において不要となる。
【0017】
更に別の態様において、本発明は、
(a)グリーン体内のアルミニウム供給源及びケイ素供給源がフッ素と反応するように、フッ素含有化合物の存在下で、グリーン体を高温に加熱してフルオロトパーズを形成することと、その後、
(b)フルオロトパーズが分解するような温度まで体を加熱して多孔質の針状ムライト体を形成することと、
を含み、ステップ(b)の間に、密閉領域の内壁及び密閉領域内の内部空間が、少なくとも1000℃に維持されるように、ステップ(a)及びステップ(b)が炉内の密閉領域内で行われ、更に、ステップ(b)の間に、パージガスを密閉領域の外側の炉の部分を通って流す、針状ムライト体を製造する方法である。
【0018】
本発明のこの態様の好ましい実施形態において、密閉領域の外側の炉の領域に再び入ることなく、炉内の密閉領域中へ及びそこを通ってパージガスを流し、次に、炉の外側へパージガスを流すことにより、パージガスを密閉領域の外側の炉の領域から除去する。
【0019】
この最後の態様の方法は、混合金属フッ化物の沈着による、反応器の汚れを大幅に減少させる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明における使用のための炉の実施形態の部分的な断面の正面図である。
図2図2は、本発明のプロセスで使用するための入口プレナムの、図1の線2−2に沿った底面図である。
図3図3は、本発明における使用のための炉の第二の実施形態の、部分的に断面の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
国際公開第92/11219号、国際公開第03/982773号及び国際公開第04/096729号に記載の多孔質針状ムライト体の製造方法は、本明細書で一般的に適用可能である。一般的に、グリーン体は、最終的な部分に要求される形状及び寸法で実質的に形成される。グリーン体は、アルミニウム供給源及びケイ素供給源の少なくとも一部で構成されている。グリーン体は、フルオロトパーズを形成するために、フッ素含有化合物と反応させ、次に、ムライトの針を形成するために、SiFの損失を用いて熱的に分解する。
【0022】
適切なアルミニウム及びケイ素供給源は、国際公開第92/11219号、国際公開第03/082773号及び国際公開第04/096729号に記載のような材料を含む。単一材料は、アルミニウム及びケイ素の両方の供給源として作用し得る。適切な前駆物質の例は、粘土だけではなく、アルミナ、シリカ、フッ化アルミニウム、様々なゼオライト及びムライト自身などの様々な水和ケイ酸アルミニウムを含む。特に好ましい前駆体は、粘土及びアルミナの混合物である。
【0023】
グリーン体は、ケイ素原子のモル当たり、1〜約4モルのアルミニウム原子のモル比で、アルミニウム及びケイ素原子を含む。ムライトの理論組成は、3:1の比率でアルミニウム及びケイ素を含み、経験式は3Al・2SiOである。しかしながら、ムライト結晶は、異なるケイ素に対するアルミニウム比率で、形成することができる。国際公開第03/082773号に記載のように、ムライト結晶の物理的強度は、ケイ素に対するアルミニウムのモル比が3.0以上であるときよりも、それらの場合に高くなる傾向があるため、グリーン体中のケイ素原子に対するアルミニウム原子の好ましい比率は、2〜2.95、好ましくは2〜2.9、より好ましくは2〜2.85、更により好ましくは2〜2.8である。
【0024】
グリーン体は、国際公開第04/096729号に記載されているように、焼結助剤、様々な不純物、特に自然粘土出発物質に由来する材料、又は特性促進化合物などの様々な他の材料を含み得る。特性促進化合物は、Mg、Ca、Fe、Na、K、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、B、Y、Sc及びLaの内の一つ以上の酸化物、又は、空気中で加熱されたときに酸化物を形成する上記の内の一つ以上の化合物である。酸化物ではない場合、特性促進化合物は、例えば、塩化物、フッ化物、硝酸塩、塩素酸塩、炭酸塩又はケイ酸塩、又は酢酸塩などのカルボン酸塩であり得る。より好ましい化合物は、Nd、B、Y、Ce、Fe及び/又はMgの化合物である。特に好ましい特性促進化合物は、タルクなどの水和ケイ酸マグネシウムである。別の好ましい特性促進化合物は、Nd、Ce、Fe及び/又はB化合物と、Mg、Ca、Y、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc及び/又はLa化合物との混合物である。特性促進化合物が、ケイ素を含む場合(ケイ酸塩である場合など)、特性促進化合物により提供されたケイ素の量を、グリーン体中のアルミニウム−ケイ素比を計算する際に、考慮するべきである。特性促進化合物は、アルミニウムを含むべきではない。特性促進化合物は、適切には、グリーン体の重量の、少なくとも0.01%、好ましくは少なくとも0.1%、より好ましくは少なくとも0.5%、更により好ましくは少なくとも1%を占める。それは、グリーン体の重量の12%と同じ程度に多く占めることができるが、好ましくは、グリーン体の重量の最大10%、より好ましくは最大約5%及び更により好ましくは最大2%占めることができる。
【0025】
グリーン体は、任意の適切な方法を用いて調製することができる。湿式又は乾式法を用いることができる。結合剤を、必要な形状へグリーン体を形成する補助をするために、他の材料と混合することができる。出発材料は、ボールミリング、リボンブレンディング垂直スクリュー混合、V−ブレンディング、摩擦粉砕又は任意の他の適切な技術を用いて、一緒に混合することができる。混合材料を、次に、例えば、射出成形、押出成形、静水圧プレス、スリップキャスティング、ロール圧縮、テープキャスティングなどのようなプロセスを用いて、所望の形状へ形成する。適切なそのようなプロセスは、Introduction to the Principles of Ceramic Processing,J.,Reed,Chapters 20 and 21,Wiley Interscience,1988に記載されている。結合剤は、グリーン体をフルオロトパーズに転換し、その後ムライトに転換される前に、焼き切れる可能性がある。
【0026】
グリーン体を、フッ素含有化合物を含むプロセスガスの存在下でそれを加熱することにより、フルオロトパーズに転換する。フッ素含有化合物は、適切には、SiF、AlF、HF、NaSiF、NaF、NHF又は、それらの内の任意の二つ以上の何らかの混合物である。SiFが好ましい。
【0027】
典型的には、少なくとも500℃の温度に達するまで、真空下又は窒素若しくは希ガスなどの不活性雰囲気下で、グリーン体を加熱することが好ましい。その後、フッ素含有化合物を炉内へ導入し、少なくとも650℃、最大800℃の温度に達するまで、加熱を継続する。
【0028】
プロセスガスは、最大100%のフッ素含有化合物を含み得るが、80〜99重量%、特に85〜95重量%のフッ素含有化合物を含む混合物を用いることが、より実用的である。プロセスガスの残りは、出発材料中に含まれる不純物から形成される、又は、フルオロトパーズ形成若しくはムライト形成反応からの不純物から形成されている、様々なガス状生成物及び副生成物を含み得る。
【0029】
本発明の特定の態様において、グリーン体を、炉の密閉領域内で、フルオロトパーズに転換する(ステップ(a))。本明細書で使用する「炉」は、外殻によって画定された密閉加熱空間である。炉の密閉領域は、エンクロージャーにより炉の残りの部分から分離された、炉のサブセットである。炉は、密閉領域を画定する、一つ以上の壁で構成されている。密閉領域は、例えば、炉の総容積の少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%を構成し得る。密閉領域は、例えば、炉の総容積の最大95%、又は最大90%を構成し得る。
【0030】
プロセスの間、プロセスガスがエンクロージャー及び炉の外殻の間の空間を満たし、外殻からエンクロージャーを分離するように、エンクロージャーがエンクロージャーの外面の周りの実質的に全ての点で外殻から離れているように、密閉領域を画定するエンクロージャーは、好ましくは、炉の外殻と離間している。他の利点の中で、これは、密閉領域の内部を、エンクロージャーの外面の炉の部分に存在し得るコールドスポットから熱的に絶縁させる。もちろん、密閉領域及び計測機器の中及び/又は外のプロセスガスのための導管などの、炉及び典型的に他の装置内に位置するエンクロージャーを保持するための、機械的支持があってもよく、これは、エンクロージャー及び炉の外殻の間の直接又は間接の接点を表し得る。エンクロージャーは、好ましくは、炉の外殻と直接の接点を有していない。
【0031】
エンクロージャーは、必ずしも気密性ではなく、エンクロージャーを介して、密閉領域及び炉の残りの部分の間の、ある程度の量の流体連通が存在することが、実際には好ましい。これは、密閉領域の内側及び外側の圧力を容易に平衡化することができ、また、いくつかの実施形態において所望されるように、エンクロージャーの外面から内部へのガスの正の流れを確立することも可能にする。従って、エンクロージャーは、炉の外側部分への孔又は他の開口部を含み得る。これらの孔又は開口部は、好ましくは、全体として、エンクロージャーの表面積の10%以下、好ましくは2%以下を占めるべきではない。
【0032】
エンクロージャーは、プロセスガスを密閉領域へ導入するための手段を含む。単純なシステムは、それを介してプロセスガスを密閉領域で導入する複数の入口ポート、それを介してプロセスガスを密閉領域から除去する複数の出口ポート及び、入口ポートを通り、炉の密閉領域を通り、次に出口ポートから出るようにプロセスガスの流れを誘導するように、プロセスガスを移動するための手段、即ち、入口ポートで正のガス圧を適用し、出口ポートで減らしたガス圧を適用するための手段を含む。ポンプ、ファン及びプロセスガスを移動するための他のデバイスが適している。プロセスガスは、好都合には再循環される。そのような場合におけるプロセスガスシステムは、それを介して、炉の密閉領域から除去されるプロセスガスが、入口ポートへ再循環し、密閉領域へ再導入される、再循環ループを含む。炉又はエンクロージャーに再循環されるプロセスガスは、必要に応じて、追加のガス、特に、フッ素含有化合物又は不活性希ガスを補充することができる。
【0033】
入口ポートは、密閉領域の少なくとも一方の側にわたって分布している。出口ポートは、密閉領域の少なくとも一つの他の側にわたって分布している。運転中に直面する温度条件にその装置が耐えることができ、その装置がプロセスガスの成分と反応しないことを条件として、入口及び出口ポートの設計及び操作は、特に重要ではない。
【0034】
入口ポートは、例えば、注入ジェット、複数の流入孔、分配プレナム又は他の同様のデバイスを有する一つ以上の分配プレートであり得る。これらのデバイスは、プロセスガスを入口ポートへ供給するための、導管手段と流体連通している。
【0035】
出口ポートは、プレナム、多孔板、グリル又は、密閉領域からプロセスガスを受け入れるための複数の開口部を有する、類似の出口手段を含み得る。出口ポートは、いくつかの実施形態において、密閉領域の外側の炉の部分中へプロセスガスを単に仕向けるが、しかしながら、プロセスガスを、密閉領域の外側の炉の領域へ入らせずに、密閉領域及び炉の外側へ、プロセスガスを除去することが一般的に好ましい。従って、出口ポートは、好ましくは、導管、ホース又は他の導管と流体連通しており、これは次に、炉の外部と流体連通している。
【0036】
適切な装置の概略図を図1に示す。装置1は、炉2を含む。示される実施形態において、炉2は反応器シェル3を含み、これは、炉2の内部を画定し、エンクロージャー4を保持する。エンクロージャー4は、フルオロトパーズ形成ステップ(ステップ(a))の間に、その中にグリーン体17が存在する炉2内の密閉内部領域を画定する。示されるように、エンクロージャー4の壁は、反応器シェル3の他の内部表面から離間している。加熱素子は、エンクロージャー4の上又は周りに配置することができる。
【0037】
示される実施形態において、装置は、それを介してプロセスガスが密閉領域へ導入される入口プレナム5、それを介してプロセスガスが密閉領域から除去される出口プレナム6、配管7、8、10及び12、並びにポンプ手段9を含む。ポンプ手段9は、プロセスガス流が、入口プレナム5を通り、密閉領域中へ及び密閉領域を通り、次に、出口プレナム6から出るように誘導するように、プロセスガスを、システムを通って移動させるための任意の適切な手段、即ち、入口で、正のガス圧を適用し、及び/又は、出口で下げられたガス圧を適用するための任意の適切な手段である。図1に示すように、プロセスガスは、好都合には再循環されるが、それは必須ではない。新鮮なプロセスガス(又は、フッ素含有化合物などのそれらの成分)を、必要に応じて供給することができる。図1において、これは、ライン11を介してなされる。装置は、プロセスガス又は他の固体又は縮合物質中に沈殿し得る、混合金属フッ化物粒子を除去するためのフィルタを含み得る。
【0038】
入口プレナム5の内部表面は、それを通してプロセスガスが炉の密閉領域中へ導入される、複数の入口孔を含む定着プレートであり得る。図2は、入口プレナム5のための、多くの可能性のある孔の構造の内の一つを例示している。図は、入口プレナム5の内部表面、即ち、エンクロージャー4により密閉空間の内部に面する定着プレートの図である。入口孔15は、入口プレナム5の表面全体に分布している。操作中、プロセスガスは、入口孔15を介してエンクロージャー4へ入り、密閉領域を通過し、出口プレナム6を介して出て、これはまた一つ以上の出口孔を有する。入口プレナム5及び出口プレナム6のそれぞれにおける孔のパターン、間隔及び数は、炉又は密閉領域の形状(場合によって)、グリーン体の位置及び大きさ、必要な流量などの、多くの要因に依存する。好ましくは、孔の位置及び間隔は、エンクロージャー4により密閉領域の内の実質的に全ての領域において操作中に、流れが確立されるようなものである。
【0039】
ステップ(a)の間に、プロセスガス流が、密閉領域を介して確立されるが、密閉領域の外側の炉の部分を介するそのような流れを確立する必要はない。しかしながら、所望の場合には、密閉領域から除去されたプロセスガスは、炉のそれらの外側部分を通って流れることができる。
【0040】
最も単純な場合には、炉の密閉領域を通るプロセスガスの流速は、そこからフッ素含有化合物がフルオロトパーズ形態として枯渇する密閉領域内に局在化された領域からのフッ素含有化合物を補充するためにのみ、十分である必要がある。従って、一般的には、ステップ(a)の間の密閉領域を通る流速は、毎分、炉の容積(又は、使用される場合には、炉内の密閉領域の容積)の0.25〜2、好ましくは0.5〜1倍など、非常に変化する可能性がある。フルオロトパーズ形成反応の過程中いつでも、同時にフッ素含有化合物の補充機能を実行し、フッ素含有化合物の所望の分圧を確立するために、流速を、プロセスガス中のフッ素含有化合物の濃度とともに調整することができる。
【0041】
本発明は、いかなる理論にも限定されないが、複数のグリーン体を同時に処理する場合に時々発生する部分間のばらつきは、時には、炉内の局在化した「デッドゾーン」に起因し、その中でフッ素含有化合物の濃度は、プロセスのステップ(a)の間に減少又は枯渇する。フッ素含有化合物の局所濃度が比較的高い他の領域よりも、これらの領域においてフルオロトパーズ形成反応は、よりゆっくりと進行する。密閉領域及び、ステップ(a)の間の密閉領域を通るプロセスガス流の使用は、個々の体間のより均一な反応速度を促進すると考えられており、更に単一の体内のいくつかの場合において、フッ素含有化合物がそこから枯渇する密閉領域内の領域へ、フッ素含有化合物を補充することにより、個々の体間のより均一な反応速度を促進すると考えられている。
【0042】
本発明の特定の態様において、プロセスガスをフルオロトパーズ形成ステップ(ステップ(a))中に導入する方法は、フルオロトパーズ形態として製造される、発熱を制御する手段として機能することができる。それらの実施形態において、反応全体の炉(又は密閉領域)中のフッ素含有化合物の分圧を、所望のレベルへ調整又は維持することができる。これは順番に、反応速度及び発熱のある程度の制御を可能にし、これは、次に、フルオロトパーズ形成ステップの間に、グリーン体の温度の制御を可能にする。プロセスガスを密閉領域へ導入する速度を制御することにより、プロセスガス中のフッ素含有化合物の濃度を制御することにより、又はその両方の組み合わせにより、フッ素含有化合物の分圧の調整を行うことができる。一般に、密閉領域内のフッ素含有ガスの分圧を、体の温度が、所定の温度範囲内に維持されるように、フルオロトパーズ形成反応の間に、調整する。フルオロトパーズ形成反応中の、所定の温度範囲は、典型的には、少なくとも650℃であるが、好ましくは、800℃よりも高くない。体の温度を725℃〜780℃の範囲内に維持することが好ましく、740〜770℃の間の温度に維持することが更に好ましい。なお、局所的な発熱及び除熱の効率のため、体(又は更に、そのような体の局所的な部分)は、炉の密閉領域の雰囲気及び/又は内部表面の温度を超えることがある。
【0043】
一般的に、フッ素含有化合物のより高い分圧は、より高い反応速度を促進し、これは、より多い量の発熱を生成し、体の温度を上昇させる。従って、フッ素含有化合物の添加速度及び/又はプロセスガス中のフッ素含有化合物の濃度の減少は、逆の効果を有する可能性がある。
【0044】
従って、本発明のいくつかの実施形態において、体の温度を監視し、温度が所定の値に達したときに、プロセスガスの添加速度及び/又はプロセスガス中のフッ素含有化合物の濃度を、下方調整(所定の最大温度に達した場合)又は上方調整(所定の最低温度に達した場合)することができる。
【0045】
体の一つ以上のコア部分の温度を監視することが好ましい。体のコア部分は、体のコアから熱を除去することが最も困難であるため、発熱反応により最も高い温度に達する傾向がある。
【0046】
他の実施形態において、体の温度を、少なくとも650℃かつ800℃以下の所望の温度範囲内に維持するために、直接的な温度測定を排除し、更に、プロセスガスの添加速度及び/又はプロセスガス中のフッ素含有化合物の濃度を使用することが可能である。添加速度、フッ素含有ガスの濃度又は両方を含む、プロセスガス添加プロファイルは、特定の部分の質量及び形状、部分の数、炉の形状における、反応条件の所定のセットについて経験的に確立することができ、これにより、所望の温度範囲内に温度が維持される。このプロセスガス添加プロファイルを、次に、所望の範囲内に体の温度を維持するために、反応条件のセットが再現されるたびに、使用する。そのような場合には、直接的に部分の温度を監視し続けることは不要になる。
【0047】
多くの場合において、プロセスのステップ(a)の間に有益なプロセスガス添加プロファイルは、フルオロトパーズ形成反応の過程中に、プロセスガス及び/又はプロセスガス中のフッ素含有化合物の濃度が添加される速度が一倍以上減少するプロファイルである。減少は、一つ以上のステップにおいて漸増的に又は継続的に、行うことができる。発熱を制御し、その方法で部分の品質を制御する能力を維持しながら、フッ素含有化合物の分圧を、反応の初期段階で比較的高くすることができるため、そのようなプロファイルは、短いサイクル時間を促進するのに役立つ。実際のプロセスガス添加プロファイルは、もちろん、いくつかの要因に応じて変化し、ほとんどの場合、数、大きさ、部分の幾何学的形状、炉の幾何学的形状及び所望の温度を含む、所定のセットの条件に対して経験的に確立される。いくつかの例において、反応の初期段階(フルオロトパーズの転換率が約40%まで)における適切な添加速度は、フッ素含有化合物の85〜95重量%を含有するプロセスガスについて、グリーン体1kg当たり、約0.3〜1.0標準リットル/分、好ましくは0.3〜0.6標準リットル/分である。反応の最終段階(フルオロトパーズへの転換率約75〜100%)の間の適切な添加速度は、そのような場合には、約0.03〜0.15標準リットル/分/グリーン体のkg、好ましくは0.05〜0.12標準リットル/分/グリーン体のkgであり得る。特定の実施形態における反応の終了時の添加速度は、初期の添加速度の約10〜30%であり得る。添加速度は、より高い値からより低い値へ連続的に減少させることができる、又は、単一増分又は複数増分で減少させることができる。85〜95重量%のSiFを含むプロセスガスの添加速度をどのように漸次的に減少させることができるかの例は、以下の通りである:
【0048】
【表1】
【0049】
グリーン体がフルオロトパーズに転換されると、フルオロトパーズを分解し、ムライトの針を生成するために、温度を800℃まで上げる。このステップの間の温度は、好ましくは少なくとも1000℃であり、1700℃と同じ程度に高い温度であり得る。より好ましい温度は、少なくとも1050℃又は少なくとも1100℃である。好ましい温度は最大1200℃、より好ましい温度は最大1200℃であり得る。
【0050】
針形成ステップは、一般的に非酸化雰囲気下で行われる。フッ素含有化合物は、このステップの間プロセスガス中で存在し得るが、その分圧は、有利には、500トルよりも大きくなく、より好ましくは、350トルよりも大きくない。
【0051】
フルオロトパーズがムライトを形成するために分解すると、相互接続された針状結晶の塊が生成される。針は、少量の他の結晶及び/又はガラス質相が存在する可能性があるが、結晶質ムライトで主に構成されている。例えば、生成物は、国際公開第03/082773に記載されるように、約2容積%のクリストバライトなどの結晶シリカ相を含み得るか、又は、ケイ素及び/若しくはアルミニウム、並びに、焼結助剤及び/若しくは前述の特性促進化合物が寄与する一つ以上の金属を含み得る、最大約1容積%のガラス状酸化物相を含み得る。
【0052】
グリーン体と実質的に同じ形状及び同じ寸法(孔の存在以外)を有する多孔質の塊を形成するために、針は接点でお互いに結合している。ムライト針のアクペクト比は、典型的には、小さくても5、好ましくは小さくても10、より好ましくは小さくても20、多くの場合は、小さくても40である。針は、5〜250ミクロンの平均直径を有し得る。
【0053】
多孔質体は、少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%〜最大85%、好ましくは最大80%まで、より好ましくは最大70%までの多孔度を有し得る。多孔質体は、ダルシーの式を用いて決定されるように、少なくとも1×10−13、好ましくは少なくとも2×10−13の透過係数を有し得る。
【0054】
本発明の特定の態様において、体は、前述のように炉の密閉領域内に含まれ、パージガスは、フルオロトパーズ分解ステップ(ステップ(b))の間、密閉領域の外側の炉の領域を通って流れる。密閉領域の外側にある炉の部分を通って、クリーンガス(混合金属フッ化物を含まない)の正味の流れを提供することにより、このパージガス流は、反応器の汚れを低減するのに役立つ。このガスの正味の流れは、クーラーの表面上に凝縮し、汚れの原因となり得る、気相混合金属フッ化物の量を最小限にする。
【0055】
従って、そのような実施形態における使用のための反応器は、前述したようなエンクロージャー及び、炉の外側部分を通ってプロセスガスのそのような流れを提供するための装置を含む。そのような装置の設計及び操作は、その装置が操作中に直面する温度条件に耐えることができ、装置が大気の成分と反応しないことを条件に、特に重要ではない。単純な例では、装置は、それを通してパージガスが密閉領域の外側の炉の部分中へ導入される一つ以上の入口、それを通して炉からパージガスを除去するための出口、及び、入口及び炉の外側部分を通ってガス流を誘導し、次に、出口から出るようにガス流を誘導するように、炉を通してパージガスを移動させるための手段、即ち、入口での正のガス圧又は出口での下げられたガス圧を適用するための手段を含む。パージガスは、好都合には再循環する。そのような場合におけるパージガスシステムは、炉から除去されたパージガスがそれを通って入口に再循環され再導入される、再循環ループを含む。そのような再循環ループは、パージガス中に沈殿し得る混合金属フッ素粒子を除去するためのフィルタを含む。
【0056】
特に好ましい実施形態において、ステップ(b)中、パージガスは、炉の外側部分へ流れ込み、次に、密閉内部領域へ流れ込み、ここでは、パージガスは次に、フルオロトパーズ分解ステップの間のプロセスガスとして機能する。パージガスは、その後、炉の外側部分へ再び入ることなく、炉の密閉領域から除去され、全体として炉から除去される。そのような場合において、パージガスの組成は、プロセスのステップ(b)において使用したプロセスガスについて記載したものと同じである。そのような実施形態において、エンクロージャーは、そこを通ってガスが炉の外側部分から密閉内部領域へ通過することができる一つ以上の入口、及び、そこを通って次にガスが炉の密閉領域から除去され、炉の外へ除去される少なくとも一つの出口を含む。炉の密閉領域への入口は、例えば、エンクロージャー中の孔又は他の開口部であり得る。
【0057】
プロセスのステップ(b)を行うための好ましい装置の実施形態の模式図を、図3に示す。装置31は、炉32を含む。炉32は、反応器シェル33及びエンクロージャー34を含む。前述のように、エンクロージャー34は、フルオロトパーズ分解ステップの間に体117が入れられる、密閉内部領域を画定する。エンクロージャー34は、プロセスのステップ(b)の間に、密閉内部領域から、混合金属フッ化物蒸気が低い温度に直面し反応器表面に沈殿し汚れる可能性がある、炉32の外側部分へ混合金属フッ化物蒸気が漏れるのを防ぐ。前述のように、密閉領域の外側の炉内に存在し得る、コールドスポットから、密閉空間の内部が熱的に絶縁されるように、エンクロージャー34の壁は、好ましくは炉32の内部表面から離間している。
【0058】
図3に示す実施形態において、パージガスは、入口導管51を通って炉32の外側部分へ送達される。示されるように、入口導管51は、導管37から側流を引き出し、そこを介して、プロセスガスをまた、エンクロージャー34により画定された密閉領域中へ供給する。そのような実施形態において、パージガスは、密閉領域中へ供給されたプロセスガスと同じ組成を有する。また、独立した供給システムを介して、別の流れとしてパージガスを供給することも可能であり、その場合、パージガスは、エンクロージャー34により画定された密閉領域へ入るプロセスガスと同じ組成を有していても又は有していなくてもよい。
【0059】
図3に示す実施形態において、エンクロージャー34は、密閉領域を介してプロセスガス流を導入するための手段を含む。示されるように、この手段は、それを介してプロセスガスが密閉領域へ導入される入口プレナム35、それを介してプロセスガスが密閉領域から除去される出口プレナム36、配管37、38、40及び42、並びにポンプ手段39を含む。示されるように、配管37、38、40及び42はポンプ手段39とともに、それを介してプロセスガスが再循環される任意の再循環ループを画定する。示されるように、任意のライン11は、必要に応じて、新鮮なフッ素含有化合物を供給する。示されるように、装置は、出口ガス中において沈殿し得る混合金属フッ化物粒子又は他の固体若しくは縮合された物質を除去するためのフィルタ50を含む。
【0060】
図3に示す実施形態において、エンクロージャー34の壁は、それを介して、密閉領域及び炉32の残りの部分の間の、ある程度の量の流体連通が提供される、孔又は他の開口部を有する。これは、エンクロージャー34を通って、エンクロージャー34により画定された密閉領域中へパージガスを流すことにより除去されるように、炉32の外部部分へパージガスが入ることを可能にする。この流れの方向は、矢印55で示されている。パージガスが密閉領域へ入ると、それは、プレナム35を介して密閉領域へ供給されるプロセスガスの残りの部分と混合する。組み合わされたガスは、出口プレナム36及びライン38を介して炉から除去される。示されているように、密閉領域から除去されたガスは、炉の外側部分へ再び入ることは許可されていない。
【0061】
エンクロージャー34の内壁及び密閉領域は、ムライトの針を形成するためのフルオロトパーズ分解ステップの間、好ましくは少なくとも1000℃の温度に維持される。結果として、エンクロージャーの内部の混合金属フッ化物は、ほとんど又は全く沈殿が無い。これは、主に蒸気相中で混合金属フッ化物を保持し、そのようにして、これらの気相種及びムライト体の間の平衡を、より容易に維持することができる。
【0062】
代替の実施形態において、別のガス流は、密閉領域内に全く導入されない。代わりに、プロセスガスが、炉の外部領域へ導入され、次に、一つ以上、好ましくは複数の入口を通ってエンクロージャー中へ通過する。これらが除去される前に、プロセスガスは、次に、炉の密閉領域を流れる。これにより、炉内へプロセスガスの複数の供給を導入する必要がなくなる。
【0063】
以下の例は、本発明を例示するために提供されるが、その範囲を限定するものではない。特に断らない限り、全ての部及び百分率は、重量基準である。特に明記しない限り、本明細書中に表される全ての分子量は、重量平均分子量である。
【0064】
実施例1及び比較実験A
これらの実験は、フルオロトパーズ形成反応の間の、プロセスガスの再循環の利点を例示する。
【0065】
比較実験Aを、実質的に図1に記載されるように、ウォータージャケット付き真空炉において行う。グラファイトボックスは、305mm×305mm×610mmの炉の密閉領域を画定する、エンクロージャーを形成する。密閉領域の容積は、約57リットルである。加熱素子を、エンクロージャー32の側面の周りに配置する。二つのグリーン体(それぞれ、直径5.66インチ、長さ6インチ、質量約1.28kgのハニカム)を炉内に導入する。炉を真空下で700℃まで加熱し、その後、85〜95%のSiFを含有するプロセスガスを導入する。フルオロトパーズ形成ステップ(ステップ(a))の間に、ボックスの上部の単一の入口を介して、プロセスガスをボックスへ提供する。反応の過程の間に、SiFを、50mmHgの分圧で供給する。反応の過程にわたって、各グリーン体のコア中の温度プローブが温度を測定する。
【0066】
実施例1を、ボックスが入口プレナム及び出口プレナムを含み、8つのグリーン体が存在することを除き、同じ装置で同じ方法で実行する。入口プレナムは、図2に示されたパターンで配置されている、6つの63.18ミリメートルの孔を有する。出口プレナムはまた、6つの離間した3.18mmの孔を含む。プロセスガスを、毎分30〜60リットルの速度で、即ち、毎分、密閉領域の約0.5〜1倍の容積で、循環する。
【0067】
比較実験Aにおいて、二つの装置部分の内の一つは、フルオロトパーズを形成するための発熱反応を起こし、炉が設定温度に達した時点から30分後に始まり、約410分後に終了する。しかしながら、第二の部分は、はるかにゆっくりと反応し、発熱反応は、約650分後まで完了しない。
【0068】
実施例1において、装置部分のそれぞれが同時に反応し、これらの部分のそれぞれの発熱反応は、約500分以内に完了する。反応器を通るプロセスガスの流れを確立することにより、フルオロトパーズを形成するためのサイクル時間は、約2.5時間(約23%)減少する。
【0069】
実施例2
この実験では、フルオロトパーズ形成反応における発熱を、プロセスガスの添加速度を制御することによって制御する。
【0070】
実施例2を、炉の密閉領域が8つのグリーン体を含み、直径5.66インチ、長さ6インチ、質量約1.28kgのそれぞれのハニカムの形態であることを除き、実施例1と同じ一般法で行った。炉が設定温度に達すると、85〜96%のSiFを含有するプロセスガスを、グリンガスのkg当たり、約0.447標準リットル/分の速度で、炉へ供給する。これは、約50mmHgの炉の内部のSiF分圧を確立する。グリーン体中の温度センサーは、プロセスガス流が開始された約40分後に発熱反応が開始することを示す。約75〜90分後、部分は、750〜755℃のコア温度を発生した。この時点で、フルオロトパーズへの転換率は約40%であると推定される。
【0071】
部分の更なる温度上昇を防止するために、プロセスガス流量を、約100分後に、0.302標準リットル/分/グリーン体のkgの速度まで減少させる。これは、部分の更なる温度の上昇を防止する効果を有し、約750〜755℃で留まる。約160分後、フルオロトパーズへの転換率は、約61%である。この時点で、プロセスガスの流速を再び、今回は、0.205標準リットル/分/グリーン体のkgまで下げる。部分の温度は、以前として約750〜755℃に維持する。約280分後(全ての時間は、プロセスガス添加の開始から計算する)、フルオロトパーズの転換率は、約79%である。この時点で、プロセスガス流量を、再び、今回は、0.096標準リットル/分/グリーン体のkgへ下げる。その後すぐに、部分温度は、利用可能なSiFの減少及び、フルオロトパーズ形成反応の完了のために、低下し始める。フルオロトパーズの約100%の転換は、約6時間以内に達成される。
【0072】
この実験は、これらの特定の条件について、反応の間、部分温度を750〜755℃に制御することができる、プロセスガスの添加のためのプロトコルを確立する。このプロトコルは、プロセス温度を監視する必要なしに、同じ条件下でその後の反応に使用することができる。
【0073】
実施例3及び比較実験B
図3に示す入口及び出口プレナを使用する代わりに、プロセスガスを、エンクロージャーの上部に位置する単一の入口を通って炉の密閉領域に導入され、プロセスガスは、エンクロージャーの側面に位置する単一の出口を通って炉の密閉領域から取り除かれることを除き、実施例3を、図3に記載された装置を用いて行う。フルオロトパーズ形成反応を実行するための条件は、一般的に、比較実験A又は実施例1に記載されている。フルオロトパーズを、SiFを含む雰囲気の存在下で、約1100〜1200℃で分解する。
【0074】
実施例3では、パージガスを反応中に炉の外側領域へ導入する。エンクロージャーの外面の圧力は、エンクロージャーの内部の圧力よりもわずかに大きい。エンクロージャーは、パージガスがエンクロージャー内に流入することを可能にする小さな開口部を有し、そこから、炉の外側部分に再び入ることなく、パージガスはシステムから取り除かれる。反応が完了した後、反応器表面上に堆積している混合金属フッ化物の量を測定する。数回の反復の実行中、この量は、0.7〜1.0g/グリーン体のkgの範囲であることが分かっている。
【0075】
比較実験Bにおいて、パージガスは全く炉の外側の領域に導入されない。数回の実行において、反応器表面上に堆積している混合金属フッ化物の量は、4.8〜12.6g/グリーン体のkgの範囲である。
【0076】
これらの実験から、パージガスの導入は、反応器の壁の汚れの劇的な減少をもたらすことがわかる。
図1
図2
図3