特許第6041877号(P6041877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6041877キナゾリノン類似体及び特定のウイルス感染症の治療又は予防へのキナゾリノン類似体の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041877
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】キナゾリノン類似体及び特定のウイルス感染症の治療又は予防へのキナゾリノン類似体の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/517 20060101AFI20161206BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20161206BHJP
   C07D 239/93 20060101ALI20161206BHJP
   C07D 413/12 20060101ALI20161206BHJP
   C07D 417/12 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   A61K31/517
   A61P31/14
   C07D239/93
   C07D413/12
   C07D417/12
【請求項の数】33
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2014-525172(P2014-525172)
(86)(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公表番号】特表2015-506904(P2015-506904A)
(43)【公表日】2015年3月5日
(86)【国際出願番号】US2012050347
(87)【国際公開番号】WO2013025508
(87)【国際公開日】20130221
【審査請求日】2015年7月22日
(31)【優先権主張番号】61/522,859
(32)【優先日】2011年8月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507258674
【氏名又は名称】サザン リサーチ インスティテュート
(73)【特許権者】
【識別番号】511090947
【氏名又は名称】サンフォード−バーナム メディカル リサーチ インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘイル, マリンサ エル.
(72)【発明者】
【氏名】コスフォード, ニコラス ディー.ピー.
(72)【発明者】
【氏名】アーデッキー, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ, ジーウェン
【審査官】 磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−534292(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/032277(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0191400(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0035306(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0066632(US,A1)
【文献】 Pestic. Sci., 1982, Vol.13, p.177-182
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/517
A61P 31/12
C07D 239/93
C07D 413/12
C07D 417/12
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下の群から選ばれる化合物の少なくとも1種を含有する、C型肝炎ウイルスによるウイルス感染症を治療又は予防するための薬剤
2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−(4−フェニル(1,3−チアゾール−2−イル))アセトアミド;N−ベンゾチアゾール−5−イル−2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]アセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−(4−メチル(1,3−チアゾール−2−イル))アセトアミド;N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−(4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)チオ)アセトアミド;2−[3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−(5−フルオロ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))−N−インダン−5−イルアセトアミド;N−インダン−5−イル−2−(8−メチル−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))アセトアミド;N−インダン−5−イル−2−(8−メトキシ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))アセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−4−イルアセトアミド;N−(2H−ベンゾ[d]1,3−ジオキソレン−5−イル)−2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]アセトアミド;3−[3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルプロパンアミド;2−[3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−4−イルアセトアミド;N−(2H−ベンゾ[3,4−d]1,3−ジオキソラン−5−イル)−2−[3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]アセトアミド;2−[3−(3,4−ジフルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−4−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジフルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−(5−フルオロ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))−N−(1,2,3,4−テトラヒドロナフチル)アセトアミド;2−[3−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−5−フルオロ−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[5−フルオロ−4−オキソ−3−(3,4,5−トリフルオロフェニル)(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;及び、2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−5−フルオロ−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド、これらの薬学的に許容される塩、これらの溶媒和物及びこれらの重水素化体。
【請求項2】
下の群から選ばれる化合物の少なくとも1種を含有する、日本脳炎ウイルスによるウイルス感染症を治療又は予防するための薬剤
2−(5−フルオロ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−4−イルアセトアミド;2−[3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;及び、2−(8−フルオロ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))−N−インダン−5−イルアセトアミド、これらの薬学的に許容される塩、これらの溶媒和物及びこれらの重水素化体。
【請求項3】
下の群から選ばれる化合物の少なくとも1種を含有する、西ナイルウイルスによるウイルス感染症を治療又は予防するための薬剤
2−[3−(2−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジフルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−5−フルオロ−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;N−インダン−5−イル−2−(4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))アセトアミド;2−[3−(4−クロロ−3−メチルフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;N−インダン−5−イル−2−[4−オキソ−3−(3,4,5−トリフルオロフェニル)(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]アセトアミド;2−[3−(3−ブロモ−4−メチルフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−8−フルオロ−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−8−フルオロ−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3−ブロモ−4−クロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−(8−フルオロ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))−N−インダン−5−イルアセトアミド;及び、2−[3−(4,5−ジフルオロ(2−ピリジル))−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド、これらの薬学的に許容される塩、これらの溶媒和物及びこれらの重水素化体。
【請求項4】
下記化学式で表される化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物及びその重水素化体。
【化1】
(式中、Wは置換又は非置換のチアゾイル基であり、置換されている場合にはWはC1−6アルキル基、フェニル基又はベンゾイル基で置換されており、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれ独立にHであり、R及びRはそれぞれ塩素であり、R11及びR12はそれぞれ独立にH、ハロゲン基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、CF、及び、C1−4アルキル基からなる群から選ばれ、nは0、1、2、3、4、5又は6である。)
【請求項5】
2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−(4−フェニル(1,3−チアゾール−2−イル))アセトアミド;N−ベンゾチアゾール−5−イル−2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]アセトアミド;及び、2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−(4−メチル(1,3−チアゾール−2−イル))アセトアミドの群から選ばれる請求項4に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物及びその重水素化体。
【請求項6】
C型肝炎ウイルス(遺伝子型1〜7型)及び日本脳炎ウイルスからなる群から選ばれるフラビウイルスによるウイルス感染症を治療又は予防する薬剤であって、請求項4又は5に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物及びその重水素化体のうちの少なくとも1種を含有する薬剤
【請求項7】
C型肝炎ウイルスによるウイルス感染症を治療又は予防する薬剤であって、請求項4又は5に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物及びその重水素化体のうちの少なくとも1種を含有する薬剤
【請求項8】
C型肝炎ウイルス(遺伝子型1〜7型)及び日本脳炎ウイルスからなる群から選ばれるフラビウイルスによるウイルス感染症を治療又は予防する薬剤であって、下記化学式で表される化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物及びその重水素化体のうちの少なくとも1種を含有する薬剤
【化2】
(式中、Rは下記化学式:
【化3】
で表され;
、R、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれ独立にH、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、CF、S(C1−4アルキル)基、S(O)C1−4アルキル基、S(O)1−4アルキル基、C1−4アルキルカルボニル基、C1−6アルキル基、ヒドロキシC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルコキシ基、ヒドロキシC1−6アルコキシ基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルキルアミノ基、及び、ジ(C1−6アルキル)アミノ基からなる群から選ばれ;
11及びR12はそれぞれ独立にH、ハロゲン基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、CF、及び、C1−4アルキル基からなる群から選ばれ;
nは0、1、2、3、4、5又は6である。)
【請求項9】
C型肝炎ウイルス(遺伝子型1〜7型)及び日本脳炎ウイルスからなる群から選ばれるフラビウイルスによるウイルス感染症を治療又は予防する薬剤であって、下記化学式で表される化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物及びその重水素化体のうちの少なくとも1種を含有する薬剤
【化4】
(式中、XはSでり;
Yは(CR1112(CO)NR13Wであり;
11及びR12はそれぞれ独立にH、ハロゲン基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、CF、及び、C1−4アルキル基からなる群から選ばれ;
13はH又はC1−6アルキル基であり;
nは0、1、2、3、4、5又は6であり;
pは0又は1であり;
Wは水素、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、ハロC1−6アルキル基、ヒドロキシC1−6アルキル基、アミノC1−6アルキル基、カルボキシC1−6アルキル基、C3−7シクロアルキル基、ハロC3−7シクロアルキル基、置換若しくは非置換のフェニル環;O、N及びSからそれぞれ独立に選ばれる1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含む置換若しくは非置換の飽和若しくは不飽和五員若しくは六員複素環;又は、飽和若しくは不飽和五員、六員若しくは七員環のいずれかと縮合した、フェニル環若しくは前記六員芳香族複素環を含む九員、十員若しくは十一員の縮合二環式環であり、前記縮合二環式環は置換されていても置換されていなくてもよく、置換されている場合にはいずれの環もハロゲン基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、ニトロ基、シアノ基、C3−7シクロアルキル基、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルキル基、ハロC1−6アルコキシ基、ヒドロキシC1−6アルキル基、ヒドロキシC1−6アルコキシ基、フェニル基、前記非置換の五員芳香族複素環、前記六員芳香族複素環、前記飽和六員環、若しくは、NR1415で置換されていてもよく、R14及びR15はそれぞれ独立に水素若しくはC1−6アルキル基であるか、又は、R14及びR15は結合している窒素原子とともに飽和四員〜七員環を形成してもよく;
、R、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれ独立にH、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、CF、S(C1−4アルキル)基、S(O)C1−4アルキル基、S(O)1−4アルキル基、C1−4アルキルカルボニル基、C1−6アルキル基、ヒドロキシC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルコキシ基、ヒドロキシC1−6アルコキシ基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルキルアミノ基、及び、ジ(C1−6アルキル)アミノ基からなる群から選ばれる。)
【請求項10】
前記化学式中のYは(CH)C(=O)NHであり、Wは下記化合式からなる群から選ばれる1種である、請求項に記載の薬剤
【化5】
(式中、R16及びR17はそれぞれ独立にH、ハロ基、アルキル基、アルコキシ基及びアリール基からなる群から選ばれるか、又は、R16及びR17は結合して五員、六員若しくは七員環を形成してもよく、前記環は置換されていても置換されていなくてもよく、O、S及び/又はNである1個以上のヘテロ原子を環内に含むヘテロ環であってもよい。)
【請求項11】
Wは下記化合式からなる群から選ばれる1種である、請求項又は請求項10に記載の薬剤
【化6】
【請求項12】
前記アルキル基及び前記アルコキシ基は1〜4個の炭素原子を有する、請求項11のいずれか1項に記載の薬剤
【請求項13】
、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、RはFである、請求項12のいずれか1項に記載の薬剤
【請求項14】
、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、RはClであり、RはFである、請求項12のいずれか1項に記載の薬剤
【請求項15】
、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、R及びRはそれぞれClである、請求項12のいずれか1項に記載の薬剤
【請求項16】
、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、RはFである、請求項12のいずれか1項に記載の薬剤
【請求項17】
、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、RはFである、請求項12のいずれか1項に記載の薬剤
【請求項18】
、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、RはCHである、請求項12のいずれか1項に記載の薬剤
【請求項19】
、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、RはFである、請求項12のいずれか1項に記載の薬剤
【請求項20】
、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、RはIである、請求項12のいずれか1項に記載の薬剤
【請求項21】
、R、R、R、R、R、R及びRはそれぞれHであり、R10はCHである、請求項12のいずれか1項に記載の薬剤
【請求項22】
、R、R、R、R、R、R及びRはそれぞれHであり、R10はOCHである、請求項12のいずれか1項に記載の薬剤
【請求項23】
、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、R及びRはそれぞれClである、請求項12のいずれか1項に記載の薬剤
【請求項24】
、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、R、R及びRはそれぞれFである、請求項12のいずれか1項に記載の薬剤
【請求項25】
、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、RはFである、請求項12のいずれか1項に記載の薬剤
【請求項26】
、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、R及びRはそれぞれFであり、RはClである、請求項12のいずれか1項に記載の薬剤
【請求項27】
、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、R、R及びRはそれぞれFである、請求項12のいずれか1項に記載の薬剤
【請求項28】
、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、R、R及びRはそれぞれFである、請求項12のいずれか1項に記載の薬剤
【請求項29】
、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、R、R、R及びRはそれぞれFである、請求項12のいずれか1項に記載の薬剤
【請求項30】
、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、R及びRはそれぞれClであり、RはFである、請求項12のいずれか1項に記載の薬剤
【請求項31】
、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、R及びRはそれぞれClであり、RはFである、請求項12のいずれか1項に記載の薬剤
【請求項32】
、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、RはBrであり、R及びRはそれぞれFである、請求項12のいずれか1項に記載の薬剤
【請求項33】
、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、RはBrであり、R及びRはそれぞれFである、請求項12のいずれか1項に記載の薬剤
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発
本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)からグラント番号1R03MN084847−01及び5U54HG0053034として一部支援を受けたものであり、米国政府は本発明について一定の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、アメリカ合衆国法典第35巻第119条(e)に基づき、2011年8月12日に出願され、現在係属中であるHeilらの「特定のウイルス感染症の治療又は予防へのキナゾリノン類似体の使用(Use of Quinazolinone Analogs for Treating or Preventing Certain Viral Infections)」と題された米国仮特許出願第61/522,859号に対して優先権を主張するものであり、上記特許出願の内容はその全体を本明細書に参照により援用する。
【0003】
技術分野
本開示は、ある特定のフラビウイルス及びアルファウイルスによるウイルス感染症を、キナゾリノン類似体、その薬学的に許容される塩又はその溶媒和物を治療上有効な量投与することによって治療又は予防することに関する。本開示に従って治療を行うフラビウイルスには、C型肝炎ウイルス(遺伝子型1〜7型)及び日本脳炎ウイルスが含まれる。本開示のキナゾリノン化合物の一部は、西ナイルウイルスに対する治療にも用いることができる。本開示はまた、ある種の新規キナゾリノン化合物にも関する。治療対象の患者又は患畜にはヒト及び動物が含まれる。
【背景技術】
【0004】
フラビウイルス及びアルファウイルスはプラスセンスRNAウイルスであり、重篤な疾患や死亡を伴う急性ウイルス感染症を引き起こし得る重大なヒト及び/又は動物病原体である。フラビウイルスには、デング熱ウイルス(DENV)、マレーバレー脳炎ウイルス(MVEV)、セントルイス脳炎ウイルス(SLEV)、西ナイルウイルス(WNV)、日本脳炎ウイルス(JEV)、黄熱病ウイルス(YFV)及びダニ媒介性脳炎ウイルス(TBEV)等のフラビウイルス属に属するものや、C型肝炎ウイルス(HCV)等のヘパシウイルス属に属するもの、さらにウシウイルス性下痢症ウイルス(BVDV)等のペスチウイルス属に属するものが含まれる。アルファウイルスには、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)、東部ウマ脳炎ウイルス(EEEV)、西部ウマ脳炎ウイルス(WEEV)及びロスリバーウイルス(RRV)が含まれる。上記アルボウイルスの大半については、今現在、有効なワクチンや治療法が見つかっていない。アルファウイルスに対しては、今現在、ワクチンが全くない。これらの疾患への対策及び治療を進める上で、抗ウイルス薬の開発は急務となっている。
【0005】
ウイルス感染症の阻害及び消滅を目的としたウイルス性疾患治療法の開発に関して、長年にわたり膨大な量の研究が行われてきた。これらの研究のなかには、結果として臨床での使用が認可された薬剤もある。それでもなお、有望な抗ウイルス薬を見出すのは非常に困難であることから、ますます勢いを増しながら努力が続けられている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、ある特定のフラビウイルス及びアルファウイルスによるウイルス感染症を、キナゾリノン類似体、その薬学的に許容される塩又はその溶媒和物を治療上有効な量投与することによって治療又は予防することに関する。本開示に従って治療を行うフラビウイルスには、C型肝炎ウイルス(遺伝子型1〜7型)及び日本脳炎ウイルスが含まれる。治療対象の患者又は患畜にはヒト及び動物が含まれる。
【0007】
本開示によれば、下記化学式で表される化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物及びその重水素化体のうちの少なくとも1種を治療上有効な量でそれを必要とする患者又は患畜に投与する。
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、XはO、S又はNR20であり、R20はH又はC1−6アルキル基であり;
Yは(CR11CR12(CO)NR13Wであり;
11及びR12はそれぞれ独立にH、ハロゲン基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、CF、及び、C1−4アルキル基からなる群から選ばれ;
13はH又はC1−6アルキル基であり;
nは0、1、2、3、4、5又は6であり;
pは0又は1であり;
Wは水素、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、ハロC1−6アルキル基、ヒドロキシC1−6アルキル基、アミノC1−6アルキル基、カルボキシC1−6アルキル基、C3−7シクロアルキル基、ハロC3−7シクロアルキル基、置換若しくは非置換のフェニル環;O、N及びSからそれぞれ独立に選ばれる1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含む置換若しくは非置換の飽和若しくは不飽和五員若しくは六員複素環;又は、飽和若しくは不飽和五員、六員若しくは七員環のいずれかと縮合した、フェニル環若しくは上記六員芳香族複素環を含む九員、十員若しくは十一員の縮合二環式環であり、上記縮合二環式環は置換されていても置換されていなくてもよく、置換されている場合にはいずれの環もハロゲン基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、ニトロ基、シアノ基、C3−7シクロアルキル基、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルキル基、ハロC1−6アルコキシ基、ヒドロキシC1−6アルキル基、ヒドロキシC1−6アルコキシ基、フェニル基、上記非置換の五員芳香族複素環、上記六員芳香族複素環、上記飽和六員環、若しくは、NR1415で置換されていてもよく、R14及びR15はそれぞれ独立に水素若しくはC1−6アルキル基であるか、又は、R14及びR15は結合している窒素原子とともに飽和四員〜七員環を形成してもよく;
、R、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれ独立にH、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、CF、S(C1−4アルキル)基、S(O)C1−4アルキル基、S(O)1−4アルキル基、C1−4アルキルカルボニル基、C1−6アルキル基、ヒドロキシC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルコキシ基、ヒドロキシC1−6アルコキシ基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルキルアミノ基、及び、ジ(C1−6アルキル)アミノ基からなる群から選ばれる。)
【0010】
本開示はまた、下記化学式で表される化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物及びその重水素化体にも関する。
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、Wは置換又は非置換のチアゾイル基であり、置換されている場合にはWはC1−6アルキル基、フェニル基又はベンゾイル基で置換されており、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれ独立にH、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、CF、及び、C1−6アルキル基からなる群から選ばれ、R11及びR12はそれぞれ独立にH、ハロゲン基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、CF、及び、C1−4アルキル基からなる群から選ばれ、nは0、1、2、3、4、5又は6である。)
【0013】
本開示のさらなる態様は、患者又は患畜のC型肝炎ウイルスによるウイルス感染症を、上記患者又は患畜に以下の群から選ばれる化合物の少なくとも1種を治療上有効な量投与することによって治療又は予防する方法に関する:2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−(4−フェニル(1,3−チアゾール−2−イル))アセトアミド;N−ベンゾチアゾール−5−イル−2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]アセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−(4−メチル(1,3−チアゾール−2−イル))アセトアミド;N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−(4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)チオ)アセトアミド;2−[3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−(5−フルオロ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))−N−インダン−5−イルアセトアミド;N−インダン−5−イル−2−(8−メチル−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))アセトアミド;N−インダン−5−イル−2−(8−メトキシ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))アセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−4−イルアセトアミド;N−(2H−ベンゾ[d]1,3−ジオキソレン−5−イル)−2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]アセトアミド;3−[3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルプロパンアミド;2−[3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−4−イルアセトアミド;N−(2H−ベンゾ[3,4−d]1,3−ジオキソラン−5−イル)−2−[3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]アセトアミド;2−[3−(3,4−ジフルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−4−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジフルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−(5−フルオロ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))−N−(1,2,3,4−テトラヒドロナフチル)アセトアミド;2−[3−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−5−フルオロ−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[5−フルオロ−4−オキソ−3−(3,4,5−トリフルオロフェニル)(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;及び、2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−5−フルオロ−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド、これらの薬学的に許容される塩、これらの溶媒和物及びこれらの重水素化体。
【0014】
本開示のさらに別の態様は、患者又は患畜の日本脳炎ウイルスによるウイルス感染症を、上記患者又は患畜に以下の群から選ばれる化合物の少なくとも1種を治療上有効な量投与することによって治療又は予防する方法に関する:2−(5−フルオロ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−4−イルアセトアミド;2−[3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;及び、2−(8−フルオロ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))−N−インダン−5−イルアセトアミド、これらの薬学的に許容される塩、これらの溶媒和物及びこれらの重水素化体。
【0015】
本開示の他の態様は、患者又は患畜の西ナイルウイルスによるウイルス感染症を、上記患者又は患畜に以下の群から選ばれる化合物の少なくとも1種を治療上有効な量投与することによって治療又は予防する方法に関する:2−[3−(2−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジフルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−5−フルオロ−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;N−インダン−5−イル−2−(4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))アセトアミド;2−[3−(4−クロロ−3−メチルフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;N−インダン−5−イル−2−[4−オキソ−3−(3,4,5−トリフルオロフェニル)(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]アセトアミド;2−[3−(3−ブロモ−4−メチルフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−8−フルオロ−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−8−フルオロ−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3−ブロモ−4−クロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−(8−フルオロ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))−N−インダン−5−イルアセトアミド;及び、2−[3−(4,5−ジフルオロ(2−ピリジル))−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド、これらの薬学的に許容される塩、これらの溶媒和物及びこれらの重水素化体。
【0016】
本開示のさらに別の目的及び利点は、下記詳細な説明を読めば当業者ならば容易に理解できるであろう。なお、詳細な説明では、単に最良の形態を例示することにより好ましい実施形態のみを開示しているに過ぎない。理解されるように、本開示は他の異なる実施形態をとることが可能であり、その細部のいくつかについては、本開示から逸脱しない範囲で、種々の自明な点において改変することが可能である。従って、本明細書は本質的に説明のためのものとして捉えるべきであり、限定的なものではない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、患者又は患畜のウイルス感染症を治療又は予防する方法に関し、上記ウイルス感染症は、C型肝炎ウイルス(遺伝子型1〜7型)及び日本脳炎ウイルスからなる群から選ばれるフラビウイルスによるものである。上記方法は、上記患者又は患畜に下記化学式で表される化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物及びその重水素化体のうちの少なくとも1種を治療上有効な量投与することを含む。
【0018】
【化3】
【0019】
(式中、XはO、S又はNR20(より典型的にはS)であり、R20はH又はC1−6アルキル基であり;
Yは(CR11CR12(CO)NR13Wであり;
11及びR12はそれぞれ独立にH、ハロゲン基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、CF、及び、C1−4アルキル基からなる群から選ばれ;
13はH又はC1−6アルキル基であり;
nは0、1、2、3、4、5又は6(より典型的には1、2又は3)であり;
pは0又は1(より典型的には1)であり;
Wは水素、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、ハロC1−6アルキル基、ヒドロキシC1−6アルキル基、アミノC1−6アルキル基、カルボキシC1−6アルキル基、C3−7シクロアルキル基、ハロC3−7シクロアルキル基、置換若しくは非置換のフェニル環;O、N及びSからそれぞれ独立に選ばれる1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含む置換若しくは非置換の飽和若しくは不飽和五員若しくは六員複素環;又は、飽和若しくは不飽和五員、六員若しくは七員環のいずれかと縮合した、フェニル環若しくは上記六員芳香族複素環を含む九員、十員若しくは十一員の縮合二環式環であり、上記縮合二環式環は置換されていても置換されていなくてもよく、置換されている場合にはいずれの環もハロゲン基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、ニトロ基、シアノ基、C3−7シクロアルキル基、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルキル基、ハロC1−6アルコキシ基、ヒドロキシC1−6アルキル基、ヒドロキシC1−6アルコキシ基、フェニル基、上記非置換の五員芳香族複素環、上記六員芳香族複素環、上記飽和六員環、若しくは、NR1415で置換されていてもよく、R14及びR15はそれぞれ独立に水素若しくはC1−6アルキル基であるか、又は、R14及びR15は結合している窒素原子とともに飽和四員〜七員環を形成してもよく;
、R、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれ独立にH、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、CF、S(C1−4アルキル)基、S(O)C1−4アルキル基、S(O)1−4アルキル基、C1−4アルキルカルボニル基、C1−6アルキル基、ヒドロキシC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルコキシ基、ヒドロキシC1−6アルコキシ基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルキルアミノ基、及び、ジ(C1−6アルキル)アミノ基からなる群から選ばれる。)
【0020】
本開示のより典型的な態様によれば、上記化学式中のYはX(C)C(=O)NHであり、Wは下記化学式からなる群から選ばれる1種である。
【0021】
【化4】
【0022】
(式中、R16及びR17はそれぞれ独立にH、ハロ基、アルキル基、アルコキシ基及びアリール基からなる群から選ばれるか、又は、R16及びR17は結合して五員、六員若しくは七員環を形成してもよく、上記環は置換されていても置換されていなくてもよく、O、S及びNである1個以上のヘテロ原子を環内に含むヘテロ環であってもよい。)
Wのさらにより典型的な例としては、下記化学式で表されるものが挙げられる。
【0023】
【化5】
【0024】
本発明で使用される化合物のさらにより典型的なものとして、下記化学式で表される化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物及びその重水素化体が挙げられる。
【0025】
【化6】
【0026】
(式中、Rは下記化学式:
【0027】
【化7】
【0028】
で表され;
、R、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれ独立にH、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、CF、S(C1−4アルキル)基、S(O)C1−4アルキル基、S(O)1−4アルキル基、C1−4アルキルカルボニル基、C1−6アルキル基、ヒドロキシC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルコキシ基、ヒドロキシC1−6アルコキシ基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルキルアミノ基、及び、ジ(C1−6アルキル)アミノ基からなる群から選ばれ;
11及びR12はそれぞれ独立にH、ハロゲン基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、CF、及び、C1−4アルキル基からなる群から選ばれ;
nは0、1、2、3、4、5又は6である。)
【0029】
本開示はまた、下記化学式で表される化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物及びその重水素化体に関する。
【0030】
【化8】
【0031】
(式中、Wは置換又は非置換のチアゾイル基であり、置換されている場合にはWはC1−6アルキル基、フェニル基又はベンゾイル基で置換されており、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれ独立にH、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、CF、及び、C1−6アルキル基からなる群から選ばれ、R11及びR12はそれぞれ独立にH、ハロゲン基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、CF、及び、C1−4アルキル基からなる群から選ばれ、nは0、1、2、3、4、5又は6である。)
この化学式で表される化合物の例としては、2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−(4−フェニル(1,3−チアゾール−2−イル))アセトアミド;N−ベンゾチアゾール−5−イル−2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]アセトアミド;及び、2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−(4−メチル(1,3−チアゾール−2−イル))アセトアミド;これらの薬学的に許容される塩、これらの溶媒和物及びこれらの重水素化体が挙げられる。
【0032】
本開示はまた、患者又は患畜の西ナイルウイルスによるウイルス感染症を、上記患者又は患畜に以下の群から選ばれる化合物の少なくとも1種を治療上有効な量投与することによって治療又は予防する方法に関する:2−[3−(2−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジフルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド、2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−5−フルオロ−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;N−インダン−5−イル−2−(4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))アセトアミド;2−[3−(4−クロロ−3−メチルフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;N−インダン−5−イル−2−[4−オキソ−3−(3,4,5−トリフルオロフェニル)(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]アセトアミド;2−[3−(3−ブロモ−4−メチルフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−8−フルオロ−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−8−フルオロ−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3−ブロモ−4−クロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−(8−フルオロ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))−N−インダン−5−イルアセトアミド;及び、2−[3−(4,5−ジフルオロ(2−ピリジル))−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド、これらの薬学的に許容される塩、これらの溶媒和物及びこれらの重水素化体。
【0033】
「アルキル基」とは、直鎖状又は分岐鎖状の非置換の炭化水素基であり、炭素数は、典型的には1〜22、より典型的には1〜8、さらにより典型的には1〜4である。
【0034】
好適なアルキル基の例としては、メチル基、エチル基及びプロピル基が挙げられる。分岐鎖状アルキル基の例としては、イソプロピル基及びt−ブチル基が挙げられる。
【0035】
上記アルコキシ基は典型的には1〜6個の炭素原子を含む。好適なアルコキシ基は、典型的には1〜6個の炭素原子を含み、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基が挙げられる。
【0036】
ハロ基の例としては、Cl、F、Br及びIが挙げられる。
【0037】
「アリール基」とは、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基及びジフェニル基等、単環式又は二環式の芳香族炭化水素基であって環部分に炭素原子を6〜12個含むものである。
【0038】
「シクロアルキル基」とは、環式炭化水素環系であり、典型的には炭素原子を3〜6個含み、典型的な例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。
【0039】
好適なアルケニル基は、典型的には炭素原子を2〜6個含み、エテニル基及びプロペニル基が挙げられる。
【0040】
好適なアルキニル基は、典型的には炭素原子を1〜6個含み、エチニル基及びプロピニル基が挙げられる。
【0041】
「複素環」、「複素環式」及び「ヘテロシクロ」とは、必要に応じて置換されていてもよい完全飽和又は不飽和の芳香族又は非芳香族環状基であり、例えば、少なくとも1個のヘテロ原子と少なくとも1個の炭素原子とを環内に含む四員〜七員の単環系、七員〜十一員の二環系又は十員〜十五員の三環系が挙げられる。上記ヘテロ原子含有複素環基の各環は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1、2又は3個のヘテロ原子を含んでいてもよく、上記窒素及び硫黄ヘテロ原子は必要に応じて酸化されていてもよく、上記窒素ヘテロ原子は必要に応じて四級化されていてもよい。上記複素環基は、いずれのヘテロ原子又は炭素原子で結合していてもよい。複素環基及びヘテロアリール基としては特に限定されず、例えば、アゼチジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、ジヒドロインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、フタルイミド、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、4,5、6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、チアゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、モルホリニル、チオモルホリニル(チアモルホリニルともいう)、ピペリジニル、ピロリジン、テトラヒドロフラニル、フリル、フラニル、ピリジル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンズイミダゾリル、プリニル、カルバゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、キサンチニル、ヒポキサンチニル、チオフェン、フラン、イソピロール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリミジン、アジリジン類、チアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、チアジン、ピロリジン、オキサジラン類、モルホリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、キノキサリニル、キサンチニル、ヒポキサンチニル、プテリジニル、5−アザシチジニル、5−アザウラシリル、トリアゾロピリジニル、イミダゾロピリジニル、ピロロピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、アデニン、N6−アルキルプリン類、N6−ベンジルプリン、N6−ハロプリン、N6−ビニルプリン、N6−アセチレンプリン、N6−アシルプリン、N6−ヒドロキシアルキルプリン、N6−チオアルキルプリン、チミン、シトシン、6−アザピリミジン、2−メルカプトピリミジン、ウラシル、N5−アルキルピリミジン類、N5−ベンジルピリミジン類、N5−ハロピリミジン類、N5−ビニルピリミジン、N5−アセチレンピリミジン、N5−アシルピリミジン、N5−ヒドロキシアルキルプリン、N6−チオアルキルプリン、及び、イソオキサゾリルが挙げられる。上記芳香族複素環部分及び複素環部分は、上述したアリール基の場合と同様に、例えばヒドロキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基、複素環基、ハロ基、カルボキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、ニトロ基、シアノ基、スルホン酸、硫酸基、ホスホン酸、リン酸基及びホスホン酸基から選ばれる1以上の置換基で必要に応じて置換されていてもよい。これらの置換基は、例えばGreeneら著、「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley and Sons社、第2版、1991年に記載されるように、当業者に公知の方法で必要に応じて保護されていても保護されていなくてもよい。
【0042】
本明細書中、「環状基」とは、アリール基か非アリール基(すなわち、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基)のいずれか、又は、その両方を指す。環状基は、置換又は非置換の環系を1以上有する。環状基は、1以上のアリール基、又は、1以上の非アリール基、又は、1以上のアリール基と1以上の非アリール基を含んでいてもよい。
【0043】
本開示の化合物は、特に明記しない限り、分子中の考えられる各原子における光学異性体及び立体異性体の全てに関するものと理解される。化合物は、結晶化、クロマトグラフィー又は合成によって純粋なエナンチオマー又はジアステレオマーとして分離したり、調製したりしてもよい。
【0044】
重水素化体は、ジュウテリウムなど重水素を含む。炭素標識体はカーボン13を含んでいてもよい。
【0045】
「薬学的に許容される塩」とは、本開示の化合物の誘導体であって、親化合物を酸性又は塩基性塩に形成することで修飾したものをいう。本開示の化合物は、多種多様な有機及び無機の酸及び塩基と共に酸付加塩及び塩基付加塩を形成するものであり、薬化学で用いられることが多い生理学的に許容される塩が挙げられる。これらの塩もまた本開示の一部である。これらの塩の形成に使用される無機酸のうち典型的なものとしては、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、次リン酸等が挙げられる。脂肪族モノ及びジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、ヒドロキシアルカン二酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルホン酸等の有機酸由来の塩も使用できる。従って、このような薬学的に許容される塩としては、酢酸塩、フェニル酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アクリル酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、o−アセトキシ安息香酸塩、ナフタレン−2−安息香酸塩、臭化物、イソ酪酸塩、フェニル酪酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、ブチン−1,4−二酸塩、ヘキシン−1,4−二酸塩、カプリン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、ケイ皮酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グリコール酸塩、ヘプタン酸塩、馬尿酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、プロピオール酸塩、プロピオン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、サリチル酸塩、セバシン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、ピロ硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、スルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−ブロモベンゼンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩及び酒石酸塩等が挙げられる。
【0046】
塩の形成に一般的に使用される塩基としては、水酸化アンモニウム、アルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、さらに脂肪族1級、2級及び3級アミン、脂肪族ジアミンが挙げられる。付加塩の調製に特に有用な塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウム、メチルアミン、ジエチルアミン及びエチレンジアミンが挙げられる。
【0047】
「溶媒和物」とは、溶媒と溶質の相互作用により形成される化合物であり、水和物が挙げられる。溶媒和物は通常、結晶構造中に化学量論比又は非化学量論比で溶媒分子を含む結晶性固体付加物である。
【0048】
「有効な量」や「治療上有効な量」とは、ウイルス性疾患の治療又は予防に利点を示すか、ウイルス感染症又はウイルス誘発疾患に関連する症状を遅延又は最小限に抑えるか、あるいは、上記疾患又は感染又はその原因を治癒又は改善するのに充分な本発明の化合物の量である。特に、治療上有効な量とは、生体内で治療上の利点を示すのに充分な量を意味する。本開示の化合物の量について用いる場合、「好ましい」とは、全体的に治療を向上するか、疾患の症状又は原因を低減又は回避するか、あるいは、他の治療薬を併用した場合に治療効果又はその治療薬との相乗効果を高める無毒性量を包含する。
【0049】
「治療」とは、疾患、障害又は好ましくない健康状態を軽減すること、つまり、上記疾患、障害及び/又は好ましくない健康状態を退行させることである。「予防」とは、疾患、障害及び/又は好ましくない健康状態の素因を持ち得るがまだ発症したとの診断を下されていないヒト若しくは動物において上記疾患、障害若しくは好ましくない健康状態が生じないようにすること、及び/又は、疾患、障害若しくは好ましくない健康状態を阻害すること、つまり、その発生を抑止することである。
【0050】
本発明に係るより典型的な化合物はスキーム1に従って合成できる。
【0051】
【化9】
【0052】
化合物の製造方法
スキーム1に従い、以下の反応スキームによって化学式III、化学式VI及び化学式VIIの化合物を調製することができる。
【0053】
【化10】
【0054】
アセトン又は類似の不活性有機溶媒の還流下でアントラニル酸Iとチオイソシアン酸塩IIを反応させると、化学式IIIの化合物が生成する。トリエチルアミン等のアミン塩基を含むジクロロメタン又は類似の有機溶媒中で、2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−アミン(IV)又は任意の芳香族アミンを塩化クロロアセチル又は類似の酸塩化物(V)で処理すると、化学式VIの化合物が生成する。1,4−ジオキサン又は類似の有機溶媒中で、化合物III及び化合物VIを酢酸ナトリウム又は類似の塩基で処理すると、VIII型の化合物が生成する。この反応は0℃〜50℃で行うのが好ましい。
【実施例】
【0055】
2−メルカプト−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オンの調製
【0056】
【化11】
【0057】
基本手順A:実施例A1
2−メルカプト−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン
【0058】
【化12】
【0059】
2−アミノ安息香酸(1g,7.29mmol)及びチオイソシアン酸フェニル(1.18g,8.75mmol)をアセトン20mLに溶解させ、この反応混合物を還流させ、TLCで観察した。反応が終了したことをTLCで確認し、反応混合物を室温まで冷却し、ろ過した。残渣をエタノールから結晶化させて、目的化合物である2−メルカプト−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オンの白色固体465mg(収率:25%)を得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ7.19(m,1H),7.38−7.45(m,4H),7.55−7.64(m,3H),8.03(m,1H),MS(EI)255[(M+1)+]
【0060】
実施例A2
3−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メルカプトキナゾリン−4(3H)−オン
【0061】
【化13】
【0062】
2−アミノ安息香酸とチオイソシアン酸3,4−ジクロロフェニルを基本手順Aに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)324[(M+1)+]
【0063】
実施例A3
3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−2−メルカプトキナゾリン−4(3H)−オン
【0064】
【化14】
【0065】
2−アミノ安息香酸とチオイソシアン酸3−クロロ−4−フルオロフェニルを基本手順Aに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)307[(M+1)+]
【0066】
実施例A4
3−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−2−メルカプトキナゾリン−4(3H)−オン
【0067】
【化15】
【0068】
2−アミノ安息香酸とチオイソシアン酸3,4,5−トリフルオロフルオロフェニルを基本手順Aに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)309[(M+1)+]
【0069】
実施例A5
3−(3,4−ジフルオロフェニル)−2−メルカプトキナゾリン−4(3H)−オン
【0070】
【化16】
【0071】
2−アミノ安息香酸とチオイソシアン酸3,4−ジフルオロフルオロフェニルを基本手順Aに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)291[(M+1)+]
【0072】
実施例A6
3−(3−フルオロ−4−クロロフェニル)−2−メルカプトキナゾリン−4(3H)−オン
【0073】
【化17】
【0074】
2−アミノ安息香酸とチオイソシアン酸3−フルオロ−4−クロロフルオロフェニルを基本手順Aに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)307[(M+1)+]
【0075】
実施例A7
5−フルオロ−2−メルカプト−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン
【0076】
【化18】
【0077】
2−アミノ−6−フルオロ安息香酸とチオイソシアン酸フェニルを基本手順Aに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)273[(M+1)+]
【0078】
実施例A8
3−(3−フルオロ−4−クロロフェニル)−5−フルオロ−2−メルカプトキナゾリン−4(3H)−オン
【0079】
【化19】
【0080】
2−アミノ−6−フルオロ安息香酸とチオイソシアン酸3−フルオロ−4−クロロフェニルを基本手順Aに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)325[(M+1)+]
【0081】
実施例A9
3−(3,4−ジクロロフェニル)−5−フルオロ−2−メルカプトキナゾリン−4(3H)−オン
【0082】
【化20】
【0083】
2−アミノ−6−フルオロ安息香酸とチオイソシアン酸3,4−ジクロロフェニルを基本手順Aに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)340[(M+1)+]
【0084】
実施例A10
3−(3−フルオロ−4−ブロモフェニル)−5−フルオロ−2−メルカプトキナゾリン−4(3H)−オン
【0085】
【化21】
【0086】
2−アミノ−6−フルオロ安息香酸とチオイソシアン酸3−ブロモ−4−フルオロフェニルを基本手順Aに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)340[(M+1)+]
【0087】
実施例B
【0088】
【化22】
【0089】
基本手順B:実施例B1
2−クロロ−N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)アセトアミド
【0090】
【化23】
【0091】
ジクロロメタン200mLを入れた500mL容丸底フラスコに、2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−アミン(13.32g,0.01mol)及びトリエチルアミン15mLを加えた。フラスコを0℃まで冷却し、塩化クロロアセチル(11.12g,0.01mol)をジクロロメタン50mLに溶かした溶液をゆっくりと加えた。反応液を室温まで昇温し、一晩撹拌した。得られた混合物を減圧下で蒸発させ、酢酸エチル200mLと水100mLを合わせた液に残渣を溶解させた。有機層をNaHCO、10%クエン酸、塩水で連続して洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、有機層を減圧下で蒸発させて、白色固体2.1g(収率:98%)として目的化合物である2−クロロ−N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)アセトアミドを得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ1.95(m,2H),2.80(m,4H),4.24(s,3H),7.18−7.31(m,2H),7.58(m,1H),MS(EI)210[(M+1)+]
【0092】
実施例B2
2−クロロ−N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)アセトアミド
【0093】
【化24】
【0094】
2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−アミンと塩化クロロアセチルを基本手順Bに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)210[(M+1)+]
【0095】
実施例B3
N−(ベンゾ[d](1,3)ジオキソール−5−イル−2−クロロアセトアミド
【0096】
【化25】
【0097】
ベンゾ[d](1,3)ジオキソール−5−アミンと塩化クロロアセチルを基本手順Bに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)214[(M+1)+]
【0098】
実施例B4
5−クロロ−N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)ペンタンアミド
【0099】
【化26】
【0100】
2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−アミンと3−クロロプロパノイルクロリドを基本手順Bに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)224[(M+1)+]
【0101】
実施例B5
4−クロロ−N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)ブタンアミド
【0102】
【化27】
【0103】
2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−アミンと4−クロロブタノイルクロリドを基本手順Bに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)238[(M+1)+]
【0104】
実施例B6
5−クロロ−N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)ペンタンアミド
【0105】
【化28】
【0106】
2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−アミンと4−クロロペンタノイルクロリドを基本手順Bに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)252[(M+1)+]
【0107】
実施例B7
2−クロロ−N−(5−クロロベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)アセトアミド
【0108】
【化29】
【0109】
5−クロロベンゾ[d]オキサゾール−2−アミンと塩化クロロアセチルを基本手順Bに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)245[(M+1)+]
【0110】
実施例B8
N−ベンゾイル[d]チアゾール−6−イル−2−クロロアセトアミド
【0111】
【化30】
【0112】
ベンゾ[d]チアゾール−6−アミンと塩化クロロアセチルを基本手順Bに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)228[(M+1)+]
【0113】
実施例B9
2−クロロ−N−(フェニルチアゾール−2−イル)アセトアミド
【0114】
【化31】
【0115】
4−フェニルチアゾール−2−アミンと塩化クロロアセチルを基本手順Bに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)253[(M+1)+]
【0116】
実施例B10
2−クロロ−N−(メチルチアゾール−2−イル)アセトアミド
【0117】
【化32】
【0118】
4−メチルチアゾール−2−アミンと塩化クロロアセチルを基本手順Bに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)191[(M+1)+]
【0119】
実施例C
【0120】
【化33】
【0121】
基本手順C:実施例C1
N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−(4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)チオ)アセトアミド
【0122】
【化34】
【0123】
2−メルカプト−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン(659.5mg,2.96mmol)、2−クロロ−N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)アセトアミド(620.6mg,2.96mmol)、酢酸ナトリウム(848.6mg,10.36mmol)及びジオキサン6mLを50ml容丸底フラスコに入れた。反応混合物を一晩加熱還流させた。減圧下で溶媒を除去し、ジクロロメタン50mLと水50mLを合わせた液に残渣を溶解させた。有機層を分離し、飽和重炭酸ナトリウム50mL、1N塩酸で連続して洗浄し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で蒸発させた。残渣をエタノールから結晶化させて、茶色の微細針状晶400mg(収率:30%)として目的化合物であるN−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−(4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)チオ)アセトアミドを得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ1.95(m,2H),2.80(m,4H),4.04(s,3H),7.09(d,J=7.1Hz,1H),7.21(d,3=7.1Hz,1H),7.40−7.62(m,7H),7.78(d,3=7.1Hz,1H),8.06(d,3=7.1Hz,1H),10.15(s,1H),MS(EI)427[(M+1)+]
【0124】
実施例C2
2−(3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イルチオ)−N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)アセトアミド
【0125】
【化35】
【0126】
3−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メルカプトキナゾリン−4(3H)−オンと2−クロロ−N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)アセトアミドを基本手順Cに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)497[(M+1)+]
【0127】
実施例C3
2−(3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イルチオ)−N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)アセトアミド
【0128】
【化36】
【0129】
3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−2−メルカプトキナゾリン−4(3H)−オンと2−クロロ−N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)アセトアミドを基本手順Cに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)480[(M+1)+]
【0130】
実施例C4
5−(3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イルチオ)−N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)ペンタンアミド
【0131】
【化37】
【0132】
3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−2−メルカプトキナゾリン−4(3H)−オンと5−クロロ−N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)ペンタンアミドを基本手順Cに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)522[(M+1)+]
【0133】
実施例C5
N−(5−クロロベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)−2−(3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イルチオ)アセトアミド
【0134】
【化38】
【0135】
3−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メルカプトキナゾリン−4(3H)−オンと3−クロロ−N−(5−クロロベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)プロパンアミドを基本手順Cに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)531[(M+1)+]
【0136】
実施例C6
N−(ベンゾ[d]チアゾール−6−イル)−2−(3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イルチオ)アセトアミド
【0137】
【化39】
【0138】
3−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メルカプトキナゾリン−4(3H)−オンとN−(ベンゾ[d]チアゾール−6−イル)−2−クロロアセトアミドを基本手順Cに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)513[(M+1)+]
【0139】
実施例C7
N−(ベンゾ[d]チアゾール−6−イル)−2−クロロアセトアミドとの2−(3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イルチオ)−N−(4−フェニルチアゾール−2−イル)アセトアミド化合物(1:1)
【0140】
【化40】
【0141】
3−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メルカプトキナゾリン−4(3H)−オンと2−クロロ−N−(4−フェニルチアゾール−2−イル)アセトアミドを基本手順Cに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)513[(M+1)+]
【0142】
実施例C8
2−(3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イルチオ)−N−(4−メチルチアゾール−2−イル)アセトアミド
【0143】
【化41】
【0144】
3−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メルカプトキナゾリン−4(3H)−オンと2−クロロ−N−(4−メチルチアゾール−2−イル)アセトアミドを基本手順Cに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)478[(M+1)+]
【0145】
実施例C9
N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−5−(4−オキソ−3−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イルチオ)ペンタンアミド
【0146】
【化42】
【0147】
3−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−2−メルカプトキナゾリン−4(3H)−オンと5−クロロ−N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)ペンタンアミドを基本手順Cに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)524[(M+1)+]
【0148】
実施例C10
N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−5−(5−フルオロ−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イルチオ)ペンタンアミド
【0149】
【化43】
【0150】
5−フルオロ−2−メルカプト−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オンと5−クロロ−N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)ペンタンアミドを基本手順Cに従って反応させて表題化合物を調製した。白色固体として得た。MS(EI)524[(M+1)+]
【0151】
上述の基本手順A、B及びCに従って下記化合物を合成した。
【0152】
化合物、名称、MS(EI)[(M+1)+]の順に示す。
C11, 2−[3−(2−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド, 446
C12, 2−[3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド, 481
C13, 2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド, 497
C14, 2−(6−フルオロ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))−N−インダン−5−イルアセトアミド, 446
C15, 2−(5−フルオロ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))−N−インダン−5−イルアセトアミド, 446
C16, N−インダン−5−イル−2−(8−メチル−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))アセトアミド, 442
C17, N−インダン−5−イル−2−(8−メトキシ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))アセトアミド, 458
C18, 2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−4−イルアセトアミド, 497
C19, N−(2H−ベンゾ[d]1,3−ジオキソレン−5−イル)−2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]アセトアミド, 501
C20, 2−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド, 497
C21, 3−[3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルプロパンアミド, 494
C22, 2−[3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−4−イルアセトアミド, 481
C23, N−(2H−ベンゾ[3,4−d]1,3−ジオキソラン−5−イル)−2−[3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]アセトアミド, 485
C24, 2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−(4−メチル(1,3−チアゾール−2−イル))アセトアミド, 478
C25, N−インダン−5−イル−3−[4−オキソ−3−(3,4,5−トリフルオロフェニル)(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]プロパンアミド, 497
C26, 2−[3−(3,4−ジフルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−4−イルアセトアミド, 543
C27, 2−[3−(3,4−ジフルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド, 464
C28, 2−(5−フルオロ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))−N−(1,2,3,4−テトラヒドロナフチル)アセトアミド, 460
C29, 2−[3−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−5−フルオロ−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド, 499
C30, 2−[5−フルオロ−4−オキソ−3−(3,4,5−トリフルオロフェニル)(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド, 524
C31, 2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−5−フルオロ−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド, 515
C32, N−インダン−5−イル−2−(4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))アセトアミド, 428
C33, 2−[3−(4−クロロ−3−メチルフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド, 477
C34, 2−[3−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド, 460
C35, N−インダン−5−イル−2−[4−オキソ−3−(3,4,5−トリフルオロフェニル)(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]アセトアミド, 482
C36, 2−[3−(3−ブロモ−4−メチルフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド, 521
C37, 2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−8−フルオロ−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド, 515
C38, 2−[3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド, 464
C39, 2−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−8−フルオロ−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド, 515
C40, 2−[3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド, 497
C41, 2−[3−(3−ブロモ−4−クロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド, 542
C42, 2−(8−フルオロ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))−N−インダン−5−イルアセトアミド, 446
C43, 2−[3−(4,5−ジフルオロ(2−ピリジル))−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド, 465
C44, 2−[3−(4−クロロ−5−フルオロ(2−ピリジル))−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド, 482
C45, 2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−(4−フェニル(1,3−チアゾール−2−イル))アセトアミド, 540
C46, N−ベンゾチアゾール−5−イル−2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]アセトアミド, 514
「MS(E1)[(M+1)+]」は、各化合物の構造を確認するために用いた質量分析によって測定された分子量である。
【0153】
他の本発明に係る化合物については、対応する2−アミノ安息香酸の置換体と、対応するチオイソシアン酸フェニルの置換体を用いて、上記方法と同様にして調製することができる。また、本開示に係る化合物は、Baylissらによる国際公開第2005/049613号に開示された方法によって、適当な反応物質を使用して調製することができる。上記国際公開公報の内容は本明細書に参照により援用する。
【0154】
下記表に、本開示に係る化合物を試験して得られた結果を示す。
【0155】
【表1】
IC50:A<1.0μM;B=1〜5μM;C>5及び<25μM
TC50:A≧100.0μM;B<100/≧50μM;C<50/≧10μM;D<10μM
TI50:A≧50;B<50/≧10;C<10/≧5;D<5
【0156】
【表2】
IC50:A<1.0μM;B=1〜5μM;C>5及び<25μM
TC50:A≧100.0μM;B<100/≧50μM;C<50/≧10μM;D<10μM
TI50:A≧50;B<50/≧10;C<10/≧5;D<5
【0157】
【表3】
IC50:A<1.0μM;B=1〜5μM;C>5及び<25μM
TC50:A≧100.0μM;B<100/≧50μM;C<50/≧10μM;D<10μM
TI50:A≧50;B<50/≧10;C<10/≧5;D<5
【0158】
【表4】
IC50:A<1.0μM;B=1〜5μM;C>5及び<25μM
TC50:A≧100.0μM;B<100/≧50μM;C<50/≧10μM;D<10μM
TI50:A≧50;B<50/≧10;C<10/≧5;D<5
【0159】
西ナイルウイルスに対する治療のために、本開示に係る化合物であるN−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−(4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−2−イル)チオ)アセトアミドを使用することは既に開示されている。例えば、Chungら,“A Cell Based Assay for the Identification of Lead Compounds with Anti−Viral Activity Against West Nile Virus”,国立衛生研究所(NIH)のMolecular Libraries Programによる調査報告書[インターネット],ベセスダ(メリーランド州):国立生物工学情報センター(米国);2010−2010年2月27日[2010年10月4日更新],PMID:21433390[PubMed]を参照されたい。N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−(4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)チオ)アセトアミドをC型肝炎ウイルスに対して試験したところ、活性が観察された(表1)。細胞ベースでのウイルスCPE減少分析においてN−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−(4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)チオ)アセトアミドの類似体を試験したところ、日本脳炎ウイルスの複製もN−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−(4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)チオ)アセトアミドの類似体によって阻害されることが明らかとなった(表2)。
【0160】
本開示に係る化合物は、C型肝炎ウイルス(遺伝子型1〜7型)(表1及び表3)及び日本脳炎ウイルス(表2)に対する治療に使用することができる。さらに、本開示に係るある種の化合物は西ナイルウイルス(表4)に対する治療に使用することができる。
【0161】
ウイルスRNAエンドポイントを用いて2つの分析法によってHCVの減少を確認した。定量PCR解析及びブロットハイブリダイゼーション法を用いて、活性がHCVに対して特異的であり、ルシフェラーゼエンドポイントに対してではないことを示した(表4)。上記データから、HCVレプリコン細胞分析(con 1b)における活性が示された。この細胞株は、HCVゲノムのNS2a、NS2b、NS3a、NS3b、NS4a、NS4b、NS5a及びNS5bを含むサブゲノム部分を発現するが、HCVプロテアーゼ(NS3b)、HCVヘリカーゼ、WNVプロテアーゼ(NS2bNS3)及びHCVポリメラーゼ(NS5b)の生化学分析では活性はみられなかったため、上記データはキナゾリノン活性の標的としてこれらのタンパク質を除外したものである。
【0162】
本開示の実施形態の例として以下の実施形態が挙げられる。
【0163】
実施形態1:患者又は患畜のウイルス感染症を治療又は予防する方法であって、上記ウイルス感染症がC型肝炎ウイルス(遺伝子型1〜7型)及び日本脳炎ウイルスからなる群から選ばれるフラビウイルスによるものであり、上記患者又は患畜に下記化学式で表される化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物及びその重水素化体のうちの少なくとも1種を治療上有効な量投与することを含む方法。
【0164】
【化44】
【0165】
(式中、Rは下記化学式:
【0166】
【化45】
【0167】
で表され;
、R、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれ独立にH、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、CF、S(C1−4アルキル)基、S(O)C1−4アルキル基、S(O)1−4アルキル基、C1−4アルキルカルボニル基、C1−6アルキル基、ヒドロキシC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルコキシ基、ヒドロキシC1−6アルコキシ基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルキルアミノ基、及び、ジ(C1−6アルキル)アミノ基からなる群から選ばれ;
11及びR12はそれぞれ独立にH、ハロゲン基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、CF、及び、C1−4アルキル基からなる群から選ばれ;
nは0、1、2、3、4、5又は6である。)
【0168】
実施形態2:患者又は患畜のウイルス感染症を治療又は予防する方法であって、上記ウイルス感染症がC型肝炎ウイルス(遺伝子型1〜7型)及び日本脳炎ウイルスからなる群から選ばれるフラビウイルスによるものであり、上記患者又は患畜に下記化学式で表される化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物及びその重水素化体のうちの少なくとも1種を治療上有効な量投与することを含む方法。
【0169】
【化46】
【0170】
(式中、XはO、S又はNR20であり、R20はH又はC1−6アルキル基であり;
Yは(CR11CR12(CO)NR13Wであり;
11及びR12はそれぞれ独立にH、ハロゲン基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、CF、及び、C1−4アルキル基からなる群から選ばれ;
13はH又はC1−6アルキル基であり;
nは0、1、2、3、4、5又は6であり;
pは0又は1であり;
Wは水素、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、ハロC1−6アルキル基、ヒドロキシC1−6アルキル基、アミノC1−6アルキル基、カルボキシC1−6アルキル基、C3−7シクロアルキル基、ハロC3−7シクロアルキル基、置換若しくは非置換のフェニル環;O、N及びSからそれぞれ独立に選ばれる1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含む置換若しくは非置換の飽和若しくは不飽和五員若しくは六員複素環;又は、飽和若しくは不飽和五員、六員若しくは七員環のいずれかと縮合した、フェニル環若しくは上記六員芳香族複素環を含む九員、十員若しくは十一員の縮合二環式環であり、上記縮合二環式環は置換されていても置換されていなくてもよく、置換されている場合にはいずれの環もハロゲン基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、ニトロ基、シアノ基、C3−7シクロアルキル基、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルキル基、ハロC1−6アルコキシ基、ヒドロキシC1−6アルキル基、ヒドロキシC1−6アルコキシ基、フェニル基、上記非置換の五員芳香族複素環、上記六員芳香族複素環、上記飽和六員環、若しくは、NR1415で置換されていてもよく、R14及びR15はそれぞれ独立に水素若しくはC1−6アルキル基であるか、又は、R14及びR15は結合している窒素原子とともに飽和四員〜七員環を形成してもよく;
、R、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれ独立にH、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、CF、S(C1−4アルキル)基、S(O)C1−4アルキル基、S(O)1−4アルキル基、C1−4アルキルカルボニル基、C1−6アルキル基、ヒドロキシC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルコキシ基、ヒドロキシC1−6アルコキシ基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルキルアミノ基、及び、ジ(C1−6アルキル)アミノ基からなる群から選ばれる。)
【0171】
実施形態3:上記化学式中のYはX(C)C(=O)NHであり、Wは下記化学式からなる群から選ばれる1種である、実施形態2に係る方法。
【0172】
【化47】
【0173】
(式中、R16及びR17はそれぞれ独立にH、ハロ基、アルキル基、アルコキシ基及びアリール基からなる群から選ばれるか、又は、R16及びR17は結合して五員、六員若しくは七員環を形成してもよく、上記環は置換されていても置換されていなくてもよく、O、S及び/又はNである1個以上のヘテロ原子を環内に含むヘテロ環であってもよい。)
【0174】
実施形態4:Wは下記化学式からなる群から選ばれる1種である、実施形態2又は3のいずれか1つに係る方法。
【0175】
【化48】
【0176】
実施形態5:上記アルキル基及び上記アルコキシ基は1〜4個の炭素原子を有する、実施形態1〜4のいずれか1つに係る方法。
【0177】
実施形態6:R、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、RはFである、実施形態1〜5のいずれか1つに係る方法。
【0178】
実施形態7:R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、RはClであり、RはFである、実施形態1〜5のいずれか1つに係る方法。
【0179】
実施形態8:R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、R及びRはそれぞれClである、実施形態1〜5のいずれか1つに係る方法。
【0180】
実施形態9:R、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、RはFである、実施形態1〜5のいずれか1つに係る方法。
【0181】
実施形態10:R、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、RはFである、実施形態1〜5のいずれか1つに係る方法。
【0182】
実施形態11:R、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、RはCHである、実施形態1〜5のいずれか1つに係る方法。
【0183】
実施形態12:R、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、RはFである、実施形態1〜5のいずれか1つに係る方法。
【0184】
実施形態13:R、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、RはIである、実施形態1〜5のいずれか1つに係る方法。
【0185】
実施形態14:R、R、R、R、R、R、R及びRはそれぞれHであり、R10はCHである、実施形態1〜5のいずれか1つに係る方法。
【0186】
実施形態15:R、R、R、R、R、R、R及びRはそれぞれHであり、R10はOCHである、実施形態1〜5のいずれか1つに係る方法。
【0187】
実施形態16:R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、R及びRはそれぞれClである、実施形態1〜5のいずれか1つに係る方法。
【0188】
実施形態17:R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、R、R及びRはそれぞれFである、実施形態1〜5のいずれか1つに係る方法。
【0189】
実施形態18:R、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、RはFである、実施形態1〜5のいずれか1つに係る方法。
【0190】
実施形態19:R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、R及びRはそれぞれFであり、RはClである、実施形態1〜5のいずれか1つに係る方法。
【0191】
実施形態20:R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、R、R及びRはそれぞれFである、実施形態1〜5のいずれか1つに係る方法。
【0192】
実施形態21:R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、R、R及びRはそれぞれFである、実施形態1〜5のいずれか1つに係る方法。
【0193】
実施形態22:R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、R、R、R及びRはそれぞれFである、実施形態1〜5のいずれか1つに係る方法。
【0194】
実施形態23:R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、R及びRはそれぞれClであり、RはFである、実施形態1〜5のいずれか1つに係る方法。
【0195】
実施形態24:R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、R及びRはそれぞれClであり、RはFである、実施形態1〜5のいずれか1つに係る方法。
【0196】
実施形態25:R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、RはBrであり、R及びRはそれぞれFである、実施形態1〜5のいずれか1つに係る方法。
【0197】
実施形態26:R、R、R、R、R及びR10はそれぞれHであり、RはBrであり、R及びRはそれぞれFである、実施形態1〜5のいずれか1つに係る方法。
【0198】
実施形態27:患者又は患畜のC型肝炎ウイルスによるウイルス感染症を、上記患者又は患畜に以下の群から選ばれる化合物の少なくとも1種を治療上有効な量投与することによって治療又は予防する方法:N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−(4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)チオ)アセトアミド;2−[3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−(5−フルオロ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))−N−インダン−5−イルアセトアミド;N−インダン−5−イル−2−(8−メチル−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))アセトアミド;N−インダン−5−イル−2−(8−メトキシ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))アセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−4−イルアセトアミド;N−(2H−ベンゾ[d]1,3−ジオキソレン−5−イル)−2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]アセトアミド;3−[3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルプロパンアミド;2−[3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−4−イルアセトアミド;N−(2H−ベンゾ[3,4−d]1,3−ジオキソラン−5−イル)−2−[3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]アセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−(4−メチル(1,3−チアゾール−2−イル))アセトアミド;2−[3−(3,4−ジフルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−4−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジフルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−(5−フルオロ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))−N−(1,2,3,4−テトラヒドロナフチル)アセトアミド;2−[3−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−5−フルオロ−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[5−フルオロ−4−オキソ−3−(3,4,5−トリフルオロフェニル)(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−5−フルオロ−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−(4−フェニル(1,3−チアゾール−2−イル))アセトアミド;及び、N−ベンゾチアゾール−5−イル−2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]アセトアミド、これらの薬学的に許容される塩、これらの溶媒和物及びこれらの重水素化体。
【0199】
実施形態28:患者又は患畜の西ナイルウイルスによるウイルス感染症を、上記患者又は患畜に以下の群から選ばれる化合物の少なくとも1種を治療上有効な量投与することによって治療又は予防する方法:2−[3−(2−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジフルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−5−フルオロ−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;N−インダン−5−イル−2−(4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))アセトアミド;2−[3−(4−クロロ−3−メチルフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;N−インダン−5−イル−2−[4−オキソ−3−(3,4,5−トリフルオロフェニル)(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]アセトアミド;2−[3−(3−ブロモ−4−メチルフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−8−フルオロ−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−8−フルオロ−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3−ブロモ−4−クロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−(8−フルオロ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))−N−インダン−5−イルアセトアミド;及び、2−[3−(4,5−ジフルオロ(2−ピリジル))−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド、これらの薬学的に許容される塩、これらの溶媒和物及びこれらの重水素化体。
【0200】
実施形態29:患者又は患畜の日本脳炎ウイルスによるウイルス感染症を、上記患者又は患畜に以下の群から選ばれる化合物の少なくとも1種を治療上有効な量投与することによって治療又は予防する方法:2−(5−フルオロ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))−N−インダン−5−イルアセトアミド;2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−4−イルアセトアミド;2−[3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−インダン−5−イルアセトアミド;及び、2−(8−フルオロ−4−オキソ−3−フェニル(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ))−N−インダン−5−イルアセトアミド、これらの薬学的に許容される塩、これらの溶媒和物及びこれらの重水素化体。
【0201】
実施形態30:下記化学式で表される化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物及びその重水素化体。
【0202】
【化49】
【0203】
(式中、Wは置換又は非置換のチアゾイル基であり、置換されている場合にはWはC1−6アルキル基、フェニル基又はベンゾイル基で置換されており、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれ独立にH、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、CF、及び、C1−6アルキル基からなる群から選ばれ、R11及びR12はそれぞれ独立にH、ハロゲン基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、CF、及び、C1−4アルキル基からなる群から選ばれ、nは0、1、2、3、4、5又は6である。)
【0204】
実施形態31:R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれ水素であり、R及びRはそれぞれ塩素である、実施形態30に係る化合物。
【0205】
実施形態32:2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−(4−フェニル(1,3−チアゾール−2−イル))アセトアミド;N−ベンゾチアゾール−5−イル−2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]アセトアミド;及び、2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソ(3−ヒドロキナゾリン−2−イルチオ)]−N−(4−メチル(1,3−チアゾール−2−イル))アセトアミドの群から選ばれる実施形態30に係る化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物及びその重水素化体。
【0206】
実施形態33:患者又は患畜のウイルス感染症を治療又は予防する方法であって、上記ウイルス感染症がC型肝炎ウイルス(遺伝子型1〜7型)及び日本脳炎ウイルスからなる群から選ばれるフラビウイルスによるものであり、上記患者又は患畜に実施形態30〜32のいずれか1つに係る化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物及びその重水素化体のうちの少なくとも1種を治療上有効な量投与することを含む方法。
【0207】
実施形態34:患者又は患畜のウイルス感染症を治療又は予防する方法であって、上記ウイルス感染症がC型肝炎ウイルスによるものであり、上記患者又は患畜に実施形態30〜32のいずれか1つに係る化合物、その薬学的に許容される塩及びその溶媒和物のうちの少なくとも1種を治療上有効な量投与することを含む方法。
【0208】
本開示の化合物は、医薬品と共に使用できる従来の手段であればどのような手段で投与してもよく、単一治療薬として投与しても、併用治療薬として投与してもよい。上記化合物は単独で投与してもよいが、一般的には、選択した投与経路や標準薬務に基づいて選択される医薬担体と共に投与される。上記化合物は、他の治療薬と併用して投与してもよい。
【0209】
本明細書における薬学的に許容される担体、例えばビヒクル、アジュバント、賦形剤、希釈剤等は当業者に周知である。典型的には、薬学的に許容される担体は、活性化合物に対して化学的に不活性であり、使用条件下で有害な副作用や毒性を示さない。薬学的に許容される担体としては、ポリマーやポリマーマトリックスが挙げられる。
【0210】
本開示の化合物は、医薬品と共に使用できる従来の方法であればどのような方法で投与してもよく、単一治療薬として投与しても、併用治療薬として投与してもよい。
【0211】
投薬量は、言うまでもないが、個々の薬剤の薬力学的特性、その投与方式及び経路;レシピエントの年齢、健康状態及び体重;症状の性質及び程度;併用治療の種類;治療の頻度;並びに、所望の効果など、公知の要因により異なるものである。有効成分の1日の投薬量は、体重1キログラム(kg)あたり約0.001〜1000ミリグラム(mg)と予想され、好ましくは0.1〜約30mg/kgである。
【0212】
投薬形態(投与に適した組成物)には、有効成分が1単位あたり約1mg〜約500mg含まれているのが典型的である。このような医薬組成物では、通常、有効成分は組成物の総重量に対して約0.5〜95重量%の量で含まれることになる。
【0213】
有効成分は、カプセル剤、錠剤及び粉末剤等の固体状投与形態や、エリキシル剤、シロップ剤及び懸濁剤等の液状投与形態で経口投与することができる。また、滅菌した液状投与形態で非経口投与することもできる。さらに、有効成分は、鼻腔内への投与(点鼻薬)や、粉末噴霧剤の吸入による投与も可能である。パッチメカニズムや軟膏による経皮投与など、他の投与形態が可能な場合もある。
【0214】
経口投与に適した剤形としては、(a)水、生理食塩水又はオレンジジュース等の希釈剤に化合物を有効量溶解させたもの等の溶剤、(b)固形物や顆粒として所定量の有効成分を含有するカプセル剤、サシェ剤、錠剤、薬用ドロップ剤(ロゼンジ)及びトローチ剤、(c)粉末剤、(d)好適な液体に懸濁させた懸濁剤、並びに、(e)好適な乳剤が挙げられる。液体製剤の場合は、希釈剤として、水やアルコール(例えば、エタノール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン及びポリエチレンアルコール類)等を含んでいてもよく、薬学的に許容される界面活性剤、懸濁化剤又は乳化剤を添加しても添加しなくてもよい。カプセル剤としては、通常のハードシェル又はソフトシェルのゼラチンタイプのものが挙げられ、これらは、例えば界面活性剤、滑沢剤及び不活性充填剤(例えばラクトース、スクロース、リン酸カルシウム及びコーンスターチ)等を含有する。錠剤は以下の1種以上を含有してもよい。ラクトース、スクロース、マンニトール、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、アルギン酸、微晶質セルロース、アラビアゴム、ゼラチン、グアールガム、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸等の賦形剤、着色料、希釈剤、緩衝剤、崩壊剤、湿潤剤、保存料、フレーバー剤及び薬理学的に適合する担体。薬用ドロップ剤(ロゼンジ)は、フレーバー剤(通常は、スクロースとアラビアゴム又はトラガカントゴム)中に有効成分を含んでいてもよい。トローチ剤も同様に、不活性基材(ゼラチン及びグリセリン、又は、スクロース及びアラビアゴム等)に有効成分を含んでいてもよい。乳剤やジェル剤は、有効成分に加えて、当該技術分野において公知の担体を含んでもよい。
【0215】
本開示の化合物は、単独で又は他の好適な成分と併用して、吸入によって投与されるエアロゾル製剤に調製してもよい。このエアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン及び窒素等の使用可能な高圧充填ガス中に含ませることができる。また、上記製剤は、ネブライザーやアトマイザー等に入れて使用する無加圧製剤用の医薬品として調剤してもよい。
【0216】
非経口投与に適した製剤としては、水性及び非水性の等張性無菌注射溶液が挙げられ、この溶液は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び、製剤の浸透圧を対象レシピエントの血液の浸透圧と等しくする溶質を含んでいてもよい。さらに、非経口投与に適した製剤としては、水性及び非水性の無菌懸濁液が挙げられ、この懸濁液は、懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤及び保存料を含んでいてもよい。上記化合物は、医薬担体中の生理学的に許容される希釈剤、例えば滅菌済みの液体や液体混合物等に含有させた状態で投与することができる。上記液体や液体混合物としては、水、生理食塩水、デキストロース水溶液及び関連の糖溶液、アルコール類(例えばエタノール、イソプロパノール又はヘキサデシルアルコール等)、グリコール類(例えばプロピレングリコール、又は、ポリ(エチレングリコール)400等のポリエチレングリコール等)、グリセロールケタール類(例えば2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール等)、エーテル類、オイル、脂肪酸、脂肪酸エステル又はグリセリド、及び、アセチル化脂肪酸グリセリド等が挙げられ、薬学的に許容される界面活性剤(例えば石鹸又は洗浄剤等)、懸濁化剤(例えばペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はカルボキシメチルセルロース等)又は乳化剤や他の医薬アジュバントを添加しても添加しなくてもよい。
【0217】
非経口製剤中で使用することができるオイルとしては、石油、動物油、植物油又は合成油が挙げられる。オイルの具体例としては、落花生油、大豆油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、ペトロラタム及び鉱油が挙げられる。非経口製剤に用いるのに好適な脂肪酸としては、オレイン酸、ステアリン酸及びイソステアリン酸が挙げられる。オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルは好適な脂肪酸エステルの例である。非経口製剤中で使用するのに好適な石鹸としては、脂肪族アルカリ金属塩、アンモニウム塩及びトリエタノールアミン塩が挙げられる。また好適な洗浄剤としては、(a)カチオン性洗浄剤、例えばジメチルジアルキルアンモニウムハライド及びアルキルピリジニウムハライド等、(b)アニオン性洗浄剤、例えばアルキル、アリール又はオレフィンスルホン酸塩、アルキル、オレフィン、エーテル又はモノグリセリド硫酸塩及びスルホコハク酸塩等、(c)非イオン性洗浄剤、例えば脂肪酸アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミド、及び、ポリオキシエチレンポリプロピレン共重合体等、(d)両性洗浄剤、例えばアルキルβ−アミノプロピオン酸塩及び2−アルキルイミダゾリン四級アンモニウム塩等、並びに、(e)これらの混合物が挙げられる。
【0218】
非経口製剤は、典型的には、溶液中に約0.5〜約25重量%の有効成分を含有する。そのような製剤中で、好適な保存料及び緩衝剤を使用してもよい。注射部位での刺激を最小限にする又は刺激をなくすために、上記組成物は、親水親油バランス(HLB)が約12〜約17の非イオン性界面活性剤を1種以上含んでいてもよい。上記製剤中の界面活性剤の量は約5〜約15重量%である。好適な界面活性剤としては、ソルビタンモノオレエート等のポリエチレンソルビタン脂肪酸エステルや、プロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合により形成される疎水性塩基とエチレンオキシドとの高分子量付加物が挙げられる。
【0219】
薬学的に許容される賦形剤もまた、当業者には周知である。賦形剤は、具体的な化合物や、組成物を投与するのに用いる具体的な方法などによって選択されるものである。よって、本開示の医薬組成物の好適な製剤は多種多様である。以下の方法や賦形剤は単なる例示であって、これらに限定されるものではない。薬学的に許容される賦形剤としては、有効成分の作用を妨げることなく、有害な副作用を生じないものが好ましい。好適な担体や賦形剤には、水、アルコール及びプロピレングリコール等の溶媒、固体吸収剤及び希釈剤、界面活性剤、懸濁化剤、錠剤用結合剤、滑沢剤、フレーバー剤及び着色料が含まれる。
【0220】
上記製剤は、単回投与用又は反復投与用の密閉容器(アンプル、バイアル等)に封入してもよく、注射で使用する直前に無菌液状賦形剤(例えば水)を加えるだけでよいフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存してもよい。要時調製注射溶液及び懸濁液は、無菌粉末剤、顆粒剤又は錠剤から調製できる。注射用組成物に対して効果的な医薬担体が必要とする条件は当業者に周知である。“Pharmaceutics and Pharmacy Practice”,J.B.Lippincott Co.,Philadelphia,PA,Banker and Chalmers,Eds.,238−250(1982)、及び、“ASHP Handbook on Injectable Drugs”,Toissel,4th ed.,622−630(1986)を参照されたい。
【0221】
局所投与に適した製剤としては、フレーバー剤(通常は、スクロースとアラビアゴム又はトラガカントゴム)に有効成分を含む薬用ドロップ剤(ロゼンジ);不活性基材(ゼラチン及びグリセリン、又は、スクロース及びアラビアゴム等)中に有効成分を含むトローチ剤;並びに、好適な液体担体中に有効成分を含む口内洗浄剤の他、有効成分に加えて当該技術分野において公知の担体を含むクリーム剤、乳剤及びジェル剤が挙げられる。
【0222】
さらに、経直腸投与に適した製剤は、乳化基材又は水溶性基材等の種々の基材を混合した坐剤であってもよい。経膣投与に適した製剤は、有効成分に加えて当該技術分野において公知の適切な担体を含む膣坐剤、タンポン剤、クリーム剤、ジェル剤、ペースト剤、フォーム剤又はスプレー剤であってもよい。
【0223】
好適な医薬担体は、当該分野の標準参考書であるRemington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Companyに記載されている。
【0224】
本開示において、動物、特にヒトへの投与量は、ある一定の適切な時間枠にわたって上記動物に治療反応をもたらすのに充分な量であるべきである。投与量が種々の要因、例えば動物の健康状態、動物の体重の他、治療する症状の重症度及びステージ等によって異なることは当業者には理解されよう。
【0225】
好適な投与量とは、患者又は患畜において、有効成分の濃度が所望の応答をもたらすことが知られている濃度となる量である。投薬量としては、制御の難しい副作用を引き起こすことなく、治療する症状を最大限に阻害することになる量が好ましい。
【0226】
投与サイズについても、投与経路、投与時期、投与頻度や、化合物の投与に伴う可能性のある副作用及び所望の生理学的効果の有無、性質及び程度によって決定されるものである。
【0227】
本開示に係る化合物を投与する際に有用な医薬投与形態は以下のように説明される。
【0228】
ハードシェルカプセル剤
標準的な2ピースハードゼラチンカプセル毎に、粉末状の有効成分100mg、ラクトース150mg、セルロース50mg、ステアリン酸マグネシウム6mgを充填して、多数のカプセル単位を調製する。
【0229】
ソフトゼラチンカプセル剤
有効成分を可消化油(大豆油、綿実油、オリーブ油等)中に含ませて混合物を調製し、容積移送型ポンプを用いて溶かしたゼラチン内に注入することにより、有効成分を100mg含有するソフトゼラチンカプセルを形成する。カプセルを洗浄し、乾燥する。有効成分は、ポリエチレングリコール、グリセリン及びソルビトールの混合物に溶解させて、水混和性の薬剤混合物を調製することもできる。
【0230】
錠剤
有効成分100mg、コロイド状二酸化ケイ素0.2mg、ステアリン酸マグネシウム5mg、微晶質セルロース275mg、澱粉11mg、ラクトース98.8mgを含む投与単位となるように、多数の錠剤を従来の手順で調製する。飲みやすくしたり、エレガンス(簡潔さ)や安定性を向上させたり、吸収速度を遅延させたりするために、適宜水性又は非水性のコーティングを施してもよい。
【0231】
即放性錠剤/カプセル剤
これらは従来の方法や新規方法で製造される経口投与用固体投与形態である。これらの投与単位は、すぐに溶解して薬物を送達するので、水無しで経口摂取される。砂糖、ゼラチン、ペクチン、甘味料等の成分を含む液体に有効成分を混合する。これらの液体を凍結乾燥法や固体抽出法によって固体化して、固体状の錠剤やカプレット剤にする。医薬化合物は、粘弾性又は熱弾性を有する糖やポリマー又は発泡性成分と共に打錠することにより、水なしでもすぐに放出されることを目的とした多孔性マトリックスを製造してもよい。
【0232】
さらに、本開示の化合物は、点鼻薬、又は、経鼻用若しくは経口用の定量噴霧式吸入器の形態で投与することもできる。薬剤は、細かい霧状の点鼻液として、又は、エアロゾル状の粉末として送達される。
【0233】
本明細書において、「含む(含有する)(comprising)」という語(及びその文法的変化形)は、「有する(having)」又は「含む(包含する)(including)」という非限定的な意味で使用するものであり、「のみからなる(consisting only of)」という排他的な意味ではない。本開示において、“a”及び“the”は、単数だけでなく複数も包含すると理解される。
【0234】
なお、請求項で使用される用語が本明細書中で定義されていない場合、その用語には、少なくとも1つの刊行物や発行済み特許公報に開示されるような当業者における最も広い定義を与えるものとする。本明細書中で引用した全出版物、特許及び特許出願は、あらゆる目的のために、その個々の出版物、特許又は特許出願が具体的かつ個別に示されて参照により引用されるように参照により本明細書に引用される。矛盾がある場合は、本開示が優先される。
【0235】
本開示の上述の説明は本開示を例示し、説明するものである。また、本開示は好ましい実施形態のみを示し、説明したものであるが、上述の通り、種々の他の組み合わせ、改変及び条件において使用可能なものであり、本明細書で示した本発明の概念の範囲内において、上記教示及び/又は関連分野のスキルや知見に応じた変更又は改変が可能であることは理解されるべきである。
【0236】
さらに、本明細書において上述した実施形態は、本発明を実施するための、出願人の知る限り最良の実施形態を説明し、当業者が、特定の用途や応用で必要な種々の改変を施して上記実施形態や他の実施形態において本開示を利用できるよう意図したものである。従って、本明細書は、本発明を本明細書で開示した形態に限定することを意図していない。また、添付の特許請求の範囲は、代替可能な実施形態も含むと解されることを意図している。