特許第6041884号(P6041884)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6041884非接触プラグコネクタ及び非接触プラグコネクタシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041884
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】非接触プラグコネクタ及び非接触プラグコネクタシステム
(51)【国際特許分類】
   H04B 5/02 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   H04B5/02
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-535031(P2014-535031)
(86)(22)【出願日】2012年10月9日
(65)【公表番号】特表2015-502676(P2015-502676A)
(43)【公表日】2015年1月22日
(86)【国際出願番号】EP2012069974
(87)【国際公開番号】WO2013053714
(87)【国際公開日】20130418
【審査請求日】2015年8月3日
(31)【優先権主張番号】11185081.4
(32)【優先日】2011年10月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503168201
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ネーデルランド ビーヴイ
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Nederland BV
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(72)【発明者】
【氏名】リーゼボス、 ディルク ヤン
(72)【発明者】
【氏名】バークナー、 バート
(72)【発明者】
【氏名】ハブラーケン、 ギード
【審査官】 前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−022640(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/048063(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/013638(WO,A1)
【文献】 特開昭61−072401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対応する相手コネクタを電磁的に接続するための非接触プラグコネクタであって、
ベースバンド入力信号を入力するための少なくとも一つの入力端子(105)と、
前記非接触プラグコネクタの嵌合端に配置されたアンテナ部材(120)と、
入力された前記ベースバンド入力信号を所定の搬送周波数に変調するため及び前記アンテナ部材を介して変調された前記ベースバンド入力信号を前記所定の搬送周波数を有する電波として送信するための送信回路(115)と、
記非接触プラグコネクタの前記嵌合端に開口を形成する周縁部を有する電磁遮蔽部材(125)と
電源への接続のための電力端子(140)と、
電力の前記対応する相手コネクタ(200)への送信や電力の前記対応する相手コネクタ(200)からの受信のために前記電力端子(140)に接続された誘導結合部材(135)と
を備え、
前記誘導結合部材(135)は、前記相手コネクタ(200)の対応する誘導結合部材(135)との誘導ループを形成するように配置され、
前記電磁遮蔽部材(125)は、前記送信回路(115)、前記アンテナ部材(120)及び前記誘導結合部材(135)を囲むように配置される非接触プラグコネクタ。
【請求項2】
前記遮蔽部材(125)の周縁部(130)は、嵌合状態において、該周縁部が前記所定の搬送周波数の波長の4分の1に対応する距離だけ前記相手コネクタ(200)の対応する遮蔽部材(225)と重なるように配置される請求項1に記載の非接触プラグコネクタ。
【請求項3】
更に、
前記アンテナ部材(120)又は他のアンテナ部材(120)を介して受信された電波をベースバンド出力信号へ復調するための受信回路と、
前記ベースバンド出力信号を出力するための少なくとも一つの出力端子(110)と
を備える請求項1又は2に記載の非接触プラグコネクタ。
【請求項4】
前記送信回路(115)は前記電力端子(140)に接続される請求項1に記載の非接触プラグコネクタ。
【請求項5】
対応する相手コネクタを電磁的に接続するための非接触プラグコネクタであって、
前記非接触プラグコネクタの嵌合端に配置されたアンテナ部材(120)と、
前記アンテナ部材を介して受信した所定の搬送周波数の電波をベースバンド出力信号へ復調するための受信回路(115)と、
前記復調された電波を前記ベースバンド出力信号として出力するための少なくとも1個の出力端子(110)と、
前記非接触プラグコネクタの前記嵌合端に開口を形成する周縁部(130)を有する電磁遮蔽部材(125)と、
電源への接続のための電力端子(140)と、
電力の前記対応する相手コネクタ(200)への送信や電力の前記対応する相手コネクタ(200)からの受信のために前記電力端子(140)に結合された誘導結合部材(135)と
を備え、
前記誘導結合部材(135)は、前記相手コネクタ(200)の対応する誘導結合部材(235)との誘導ループを形成するように配置され、
前記電磁遮蔽部材(125)は、前記受信回路(115)、前記アンテナ部材(120)及び前記誘導結合部材(135)を囲むように配置される非接触プラグコネクタ。
【請求項6】
前記遮蔽部材の周縁部(130)は、嵌合状態において、該周縁部が前記所定の搬送周波数の波長の4分の1に対応する距離だけ前記相手コネクタ(200)の対応する遮蔽部材(225)と重なるように配置される請求項5に記載の非接触プラグコネクタ。
【請求項7】
更に、
ベースバンド入力信号を入力するための少なくとも一つの入力端子(105)と、
前記入力されたベースバンド入力信号を所定の搬送周波数へ変調するため及び前記変調されたベースバンド入力信号を前記アンテナ部材又は他のアンテナ部材を介して前記所定の搬送周波数を有する電波として送信するための送信回路と
を備える請求項5又は6に記載の非接触プラグコネクタ。
【請求項8】
前記受信回路(115)は前記電力端子(140)に接続される請求項5に記載の非接触プラグコネクタ。
【請求項9】
前記アンテナ部材(120)は円偏波アンテナである請求項1乃至8の一項に記載の非接触プラグコネクタ。
【請求項10】
前記遮蔽部材(125)が前記対応する相手コネクタ(200)の前記対応する遮蔽部材と直接に接触することを防止するように配置されたハウジング構造体を更に備える請求項1乃至9の一項に記載の非接触プラグコネクタ。
【請求項11】
前記遮蔽部材(125)は誘電材料によって囲まれる請求項1乃至10の一項に記載の非接触プラグコネクタ。
【請求項12】
前記コネクタは、水の侵入に抗して封止されたハウジングに埋め込まれる請求項1乃至11の一項に記載の非接触プラグコネクタ。
【請求項13】
前記コネクタは、前記コネクタが嵌合状態において回転できるラジアルコネクタとして設けられ、
前記遮蔽部材(125)は円筒形状を有する請求項1乃至12の一項に記載の非接触プラグコネクタ。
【請求項14】
請求項1乃至13の一項に記載の非接触プラグコネクタと対応する相手コネクタを備える非接触プラグコネクタシステムであって、
前記非接触プラグコネクタの前記遮蔽部材の前記周縁部(130)は、前記相手コネクタ(200)の前記対応する遮蔽部材(225)の回りに密に嵌合するように配置される非接触プラグコネクタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対応する相手コネクタに電磁的に接続するための非接触プラグコネクタに関する。特に、本発明は、所定の搬送周波数の電波を送信や受信をするための送信回路や受信回路を含む非接触プラグコネクタ及び非接触プラグコネクタシステムを提供する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、本発明は、データ伝送用の非接触プラグコネクタに関する。例えば、本発明の非接触プラグコネクタは、公知の接続インターフェース規格、例えば、イーサネット、USB、CAN、IO−リンク及びRS485に準拠することができる。より詳細には、本発明の非接触プラグコネクタは、とりわけ、ロボット、材料ハンドリングシステム、射出成形装置、採鉱及び収穫装置及び搬送車両のような産業用装置のため、及びモバイルフォーン、モバイル記憶ユニット、モバイル音楽プレーヤー、モバイル映像表示装置、のようなポータブルデータ処理装置のため、即ち不良環境の影響下でのデータ及び電力接続を可能にするために利用されることができる。
【0003】
産業用装置は、摩耗し裂けてこれらの装置の移動の自由を制限する回転を可能としない、不良環境で動作するケーブル及びコネクタにしばしば依存している。
【0004】
ポータブルデータ処理装置は、過去には、疑似固定ラップトップコンピュータから屋内使用および屋外使用を可能とするモバイル装置まで展開していた。可搬性のために、モバイル装置は携行され、それによって不良環境の影響、例えば、ごみ、埃、湿度、雨、酸性液、熱、冷気、衝撃及び機械的ストレスに曝される。これに関して、モバイル装置の外側と内側の境界に配置されるモバイル装置のコネクタは、新たに多様化された動作環境への適合が求められる。
【0005】
過去において、プラグコネクタは電気コネクタとして実現されており、そこでは、プラグコネクタと対応する相手コネクタ、即ち、レセプタクルコネクタとの間に電気接触が確立されていた。
【0006】
しかしながら、電気接続は2個の電気コンタクト間の直接接続に制限されており、コンタクト間の整合不良に関する許容範囲はあまり高くない。ごみ、埃、衝撃及び機械的ストレスは、プラグコネクタとレセプタクルコネクタとの間の電気接続の確立に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0007】
また、電気接続部は湿度に対して敏感であり、例えば、水のような雨が意図せずに電気コンタクトを短絡する可能性がある。更に、環境の影響は、接触表面を劣化させて嵌合状態においてコネクタの導電性を低下させる可能性がある。
【0008】
従って、屋内動作環境に妥当である電気コンタクトは、より不良な環境の影響下で動作できるポータブル装置にとって不利である。
【0009】
最近では、ワイヤレスインターフェースは、それらが電気接続に固有の不利を克服するので、モバイル装置にとって一般的になっている。電波は、直接接触(即ち、電気接続)を必要としない。
【0010】
従って、モバイル装置は、適切な電波トランシーバモジュールをモバイル装置ハウジングに組み込むように設計されている。特に、モバイル装置のハウジング内のトランシーバモジュールと他の電気回路を封止することによって、不良な環境の影響下でモバイル装置とのデータ接続を確立することもできる。
【0011】
しかしながら、ワイヤレス接続部は、電磁干渉によって悪影響を及ぼされる。電磁気の影響は、複数の原因を有し、ワイヤレス通信が実行される無線バンドに依存する。産業用、科学用及び医療用(ISM)無線バンドは、通信以外の目的を有する器具(例えば、電子レンジ)からの無線周波エネルギーの放射のために確保されている。
【0012】
電磁干渉はISM無線バンドにおいて予想されているので、政府は、電磁放射をISM無線バンドのみに制限し幾つかの電力要件を満たす機器に対する無資格オペレーションを許可した。
【0013】
財政上の刺激策は、多くの装置の動作に対する重要な見地であり、ISM無線バンドで通信する種々のワイヤレス接続された装置の存在のためと考えられる。現在、同じISM無線バンドで動作する装置の数が増加し、全体で、膨大な量の電磁干渉が放射されている。
【0014】
このような制約下で、ワイヤレス接続は、電気接続程堅牢ではない。特に、ワイヤレスインターフェースに対しては、ユーザには、ワイヤレス接続が確立されることができるか否かの明確な回答がない。干渉の量は、ワイヤレス接続の確立の成功と不成功との間で決定することができる。しかしながら、干渉の量は推定するのが困難であり、また長期間にわたって変化し得るので、ワイヤレスインターフェースは電気コネクタインターフェース程堅牢ではないと考えられる。換言すれば、屋内環境に対して、電気プラグコネクタは接続確立の成功に鑑みフェールセーフと考えられるが、これはワイヤレスインターフェースには当てはまらない。
【0015】
従って、ワイヤレス接続の堅牢性に対する技術的な先入観は、電波アンテナを有する非接触プラグコネクタの提供する本発明に到達して克服されるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の根底にある目的は、不良環境の影響に対する感受性を低減して、それによって例えば、腐食、擦過、接触力及びめっきのような電気コネクタの周知の不都合を克服する非接触プラグコネクタを提案することである。
【0017】
本発明の他の目的は、接地接続を排除して従来必要であった接地ループ補償回路を排する非接触プラグコネクタを提案することである。
【0018】
本発明の更なる目的は、良好な信号完全性を有する高度に信頼性があり且つ堅牢なデータ接続性を確保できる非接触プラグコネクタを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
これらの目的の少なくとも一つは独立の請求項の主題によって解決される。有利な実施形態は従属の請求項の対象となる。
【0020】
本発明の第1の態様は、能動送信器回路や受信器回路とアンテナ部材の非接触プラグコネクタへの組み込みである。能動送信器回路や受信器回路は、アンテナ部材を介して所定の搬送周波数を有する電波を送信することや受信することを可能とする。電波は、直接接触に依存せず、従って、非接触プラグコネクタのハウジング内での送信器回路や受信器回路及びアンテナ部材の組み込みを可能とする。
【0021】
非接触プラグコネクタの嵌合表面の構造に関するフレキシビリティのこの利益は、環境の影響に対する感度が最小にされるように機械的に堅牢な設計を可能とする。
【0022】
本発明の第2の態様は、非接触プラグコネクタと対応するレセプタクルコネクタとの間の電気接続の排除である。非接触プラグコネクタが対応するレセプタクルコネクタとのワイヤレス接続を確立することによって、電気接続が不要になる。従って、提案された非接触プラグコネクタは、非接触プラグコネクタとレセプタクルコネクタとの接地接続の必要性を無くし、それによって、接続された装置同士間の接地ループに起因する問題を克服する。
【0023】
本発明の第3の態様は、所定の搬送周波数の変調や復調を実行する非接触プラグコネクタの送信回路や受信回路である。変調動作や復調動作は、電磁遮蔽部材と共に、外部干渉から非接触プラグコネクタとレセプタクルコネクタとの間の電波伝送を遮蔽することを可能とし、良好な信号完全性を有する高度に信頼性があり且つ堅牢なデータ接続性を確保できる。
【0024】
本発明の第1の態様、第2の態様及び第3の態様は、詳細な記述から明らかになるように、非接触プラグコネクタにおいて互いに容易に組み合わされることができる。
【0025】
本発明の例示的実装によれば、対応する相手コネクタと電磁的に接続するための非接触プラグコネクタが提供される。この非接触プラグコネクタは、ベースバンド入力信号を入力するための少なくとも一つの入力端子と、この非接触プラグコネクタの嵌合端に配置されたアンテナ部材と、入力されたベースバンド入力信号を所定の搬送周波数へ変調するため及び前記アンテナ部材を介してその変調されたベースバンド入力信号を前記所定の搬送周波数を有する電波として送信するための送信回路と、前記送信回路とアンテナ部材を囲むように配置され、前記非接触プラグコネクタの嵌合端に開口を形成する周縁部を有する電磁遮蔽部材を備える。
【0026】
より詳細な実施形態によれば、前記遮蔽部材の周縁部は、その周縁部が、嵌合状態において、前記所定の搬送周波数の波長の4分の1に対応する距離だけ相手コネクタの対応する遮蔽部材に重なるように配置される。
【0027】
4分の1波長の重なりによって、遮蔽効果は向上し、信号は電気接続を必要とすることなく2個の遮蔽部材間を伝搬できる。
【0028】
より詳細な一実施形態において、この非接触プラグコネクタは、前記アンテナ部材又は他のアンテナ部材を介して受信された電波をベースバンド出力信号に復調する受信回路と、前記ベースバンド出力信号を出力するための少なくとも一つの出力端子とを備える。
【0029】
双方向通信回路を備えることによって、本非接触プラグコネクタは、よりフレキシブルに利用されることができる。本実施形態の非接触プラグコネクタは、既知のデータ伝送規格で容易に使用されることができる。
【0030】
他のより詳細な実施形態では、非接触プラグコネクタは、電源への接続用の電力端子と、対応する相手コネクタへの電力の送信や対応する相手コネクタからの電力の受信のために電力端子へ接続された誘導結合部材を備える。誘導結合部材は、嵌合状態において、相手コネクタの対応する誘導結合部材と誘導ループを形成するように配置される。
【0031】
双方向通信回路と電力伝送能力を備えることによって、本実施形態の非接触プラグコネクタは、公知の接続インターフェース規格、例えば、イーサネット、USB、CAN,IO−リンク及びRS485で容易に使用されることができる。
【0032】
更なるより詳細な実施形態では、前記送信回路はその電力端子へ接続される。
【0033】
電力端子と送信回路との間の内部接続によって、本非接触プラグコネクタは外部インターフェースの数を最小限まで減少する。
【0034】
本発明の他の例示的実施形態によれば、対応する相手コネクタと電磁的に接続するための非接触プラグコネクタが提供される。この非接触プラグコネクタは、本非接触プラグコネクタの嵌合端に配置されたアンテナ部材と、そのアンテナ部材を介して受信された所定の搬送周波数を有する電波をベースバンド出力信号に復調する受信回路と、前記復調された電波を前記ベースバンド出力信号として出力するための少なくとも一つの出力端子と、前記受信回路と前記アンテナ部材を囲むように配置され、この非接触プラグコネクタの嵌合端で開口を形成する周縁部を備える電磁遮蔽部材を備える。
【0035】
より詳細な実施形態によれば、前記遮蔽部材の周縁部は、その周縁部が、嵌合状態において、前記所定の搬送周波数の波長の4分の1に対応する距離だけ相手コネクタの対応する遮蔽部材に重なるように配置される。
【0036】
4分の1波長の重なりによって、遮蔽効果は向上し、信号は電気接続を必要とすることなく2個の遮蔽部材間を伝搬できる。
【0037】
より詳細な実施形態では、非接触プラグコネクタは、ベースバンド入力信号を入力するための少なくとも一つの入力端子と、前記入力されたベースバンド入力信号を所定の搬送周波数へ変調するため及び前記変調されたベースバンド入力信号を前記アンテナ部材又は他のアンテナ部材を介して前記所定の搬送周波数を有する電波として送信するための送信回路を備える。
【0038】
双方向通信回路を備えることによって、本非接触プラグコネクタは、よりフレキシブルに利用されることができる。本実施形態の非接触プラグコネクタは、既知のデータ伝送規格で容易に使用されることができる。
【0039】
より詳細な別の実施形態において、この非接触プラグコネクタは、電源に接続された電力端子と、対応する相手コネクタへの電力の送信や対応する相手コネクタからの電力の受信のために電力端子へ接続された誘導結合部材とを備える。誘導結合部材は、嵌合状態において、相手コネクタの対応する誘導結合部材と誘導ループを形成するように配置される。
【0040】
双方向通信回路と電力伝送能力を備えることによって、本実施形態の非接触プラグコネクタは、公知の接続インターフェース規格、例えば、イーサネット、USB、CAN,IO−リンク及びRS485で容易に使用されることができる。
【0041】
更なるより詳細な実施形態では、その受信回路が前記電力端子に接続される。
【0042】
電力端子と送信回路との間の内部接続によって、本非接触プラグコネクタは外部インターフェースの数を最小限まで減少する。
【0043】
他の実施形態によれば、本非接触プラグコネクタの前記アンテナ部材は円偏波アンテナである。
【0044】
円偏波アンテナを備えることで、本非接触プラグコネクタと、対応する相手コネクタとの回転角度から独立した嵌合が可能とされる。この円偏波アンテナは適切な接続を生成するために左回り偏波でも右回り偏波でもよい。2個のアンテナ部材(即ち、第1のアンテナ部材が変調されたベースバンド信号の送信用であり、第2のアンテナ部材が変調されたベースバンド信号の受信用である)を含む非接触プラグコネクタの場合、第1のアンテナ部材は、好ましくは、第2のアンテナ部材とは異なる回りの偏波を有する。
【0045】
他の実施形態では、本非接触プラグコネクタは、前記遮蔽部材が前記対応する相手コネクタの対応する遮蔽部材と直接に接触することを防止するように配置されたハウジング構造体を備える。
【0046】
ガイドを備えるハウジング構造体を設けることによって、案内された嵌合移動が可能となり、遮蔽部材同士の相互接続を防止する。それによって、コネクタ同士は、絶縁材料を必要とすることなく、常に互いから電気絶縁状態にある。
【0047】
更に詳細な実施形態では、本非接触プラグコネクタの遮蔽部材は誘電材料によって囲まれる。
【0048】
誘電材料を設けることによって、嵌合状態にあるコネクタ同士間の耐久性があり堅牢な電気絶縁が可能とされる。
【0049】
他の更に詳細な実施形態によれば、本非接触プラグコネクタは水の侵入に対して封止されるハウジングに埋め込まれる。
【0050】
水の侵入に対して封止されるハウジングにこの非接触プラグコネクタを埋め込むことによって、本非接触プラグコネクタは、この非接触プラグコネクタの回路を短絡するリスクを生じることなく、不良環境の影響下で利用されることができる。
【0051】
更により詳細な実施形態において、このコネクタは、嵌合状態においてそのコネクタが回転できるラジアルコネクタとして設けられ、そこでは、前記遮蔽部材は円筒形状を有する。
【0052】
ラジアルコネクタとして、本非接触プラグコネクタは、対応する相手コネクタにより容易に取り付けることができる。
【0053】
本発明の更なる例示的実施形態によれば、この非接触プラグコネクタと、対応する相手コネクタとを備える非接触プラグコネクタシステムが提供される。この非接触プラグコネクタの遮蔽部材の周縁部は、相手コネクタの対応する遮蔽部材回りに密に嵌合するように配置される。
【0054】
添付の図面は、明細書に組み込まれ、本発明の幾つかの実施形態を示すために明細書に一部を形成する。これらの図面は、明細書と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。図面は、本発明がどのように行われ且つ使用されるかの好適な及び他の例を示す目的のためであり、図示され且つ記述された実施形態のみに本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。更に実施形態の幾つかの態様は、本発明に従う解決策を個別に又は異なる組合せで形成することができる。更なる特徴と利点は、添付の図面に示される本発明の種々の実施形態の以下のより特定の記載から明らかとなり、図面中では、類似の参照符号が類似の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】本発明の例示的実施形態に係る例示的非接触プラグコネクタシステムの概略図を示す。
図2】本発明の例示的実施形態に係る、対応する相手コネクタとの嵌合状態にある非接触プラグコネクタを示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1を参照すると、本発明の例示的実施形態に係る非接触プラグコネクタシステムの概略図が示されている。本実施形態の非接触プラグコネクタシステムは、公知の伝送規格、例えば、イーサネット、USB、CAN、IO−リンク及びRS485に準拠するデータ接続のために使用されることができる。この非接触プラグコネクタシステムは、非接触プラグコネクタ100と、対応する相手コネクタ200とを備える。対応する相手コネクタは、レセプタクルコネクタ(即ち、ソケットコネクタ)として又は逆プラグコネクタとして実現されることができる。
【0057】
図1に示される実施形態の非接触プラグコネクタ100は、少なくとも1個の入力端子105、少なくとも1個の出力端子110、送信回路や受信回路115、及びアンテナ部材120を備える。この非接触プラグコネクタが構成されるデータ接続に依存して、1個以上の入力端子及びそれに対応する数の1個以上の出力端子があってもよい。例えば、USB規格は、2本の差分データラインを指定している。従って、USB接続用の非接触プラグコネクタ100は、2個の入力端子と2個の出力端子を含む。
【0058】
しかしながら、本発明の非接触プラグコネクタ100は、必ずしも双方向データ伝送コネクタである必要はない。本発明の他の実施形態によれば、非接触プラグコネクタは、少なくとも一つの入力端子、送信回路及びアンテナ部材を備え、他方、対応する相手コネクタは、少なくとも一つの出力端子、受信回路及びアンテナ部材を含むに過ぎない。本発明に係る非接触プラグコネクタのこのような具現化は、スピードが重視される伝送、高フェールセーフ機器、又はコスト最適化の理由のために有利である。この実施形態の非接触プラグコネクタは一方向データ伝送のみを可能とする。
【0059】
送信動作のために、ベースバンド入力信号は、少なくとも一つの入力端子105を介して図1に示される実施形態の非接触プラグコネクタ100の送信回路や受信回路115へ入力される。送信回路や受信回路115は、ベースバンド入力信号を所定の搬送周波数へ変調する。その後、送信回路や受信回路115は、変調された入力信号を所定の搬送周波数の電波として放射するように変調された入力信号をアンテナ部材120に出力する。
【0060】
同様に、受信動作のために、図1に示される実施形態の非接触プラグコネクタ100の送信回路や受信回路115は、アンテナ部材120を介して所定の搬送周波数の電波を受信する。その後、送信回路や受信回路115は、受信した電波を復調して復調された電波を少なくとも一つの出力端子110へベースバンド出力信号として出力する。
【0061】
送信回路や受信回路115が電波の変調動作や復調動作のみを実行する事実のため、非接触プラグコネクタシステムに導入される遅延は非常に小さい。特に、送信回路や受信回路115は、例えば、WiFiプロトコルスタックで要求されるような、周知のワイヤレス伝送規格に固有のデータ処理を実行しない。
【0062】
換言すれば、送信回路や受信回路115は、プロトコルスタック(即ち、No.OS12層や3層)に準拠する間欠処理無しで、入力された信号を直接に変調する。それによって、信号パスにおける遅延が回避されることができ、同時に、信号に対する透過性が提供される。信号に対する透過性に起因して、「導電性ベース」のコネクタと同様に動作する非接触プラグコネクタとの非接触でベースバンド信号を転送できる。
【0063】
非接触プラグコネクタは、送信回路や受信回路115がベースバンド信号を変調する又は復調する前に、例えば、送信回路や受信回路115の要求事項に従うように、例えばピーク電圧レベルの適合やベースバンド信号の電圧範囲のシフトとして入力信号に対する僅かな信号変換を実行してもよいことに留意すべきである。
【0064】
図1に示される実施形態の例示的具現化において、送信回路や受信回路115が約60GHzの搬送周波数の入力ベースバンド信号を変調や復調するために有利であることが証明されている。60GHzのISMバンドは、非接触プラグコネクタ100と、対応する相手コネクタ200との間の高速データ伝送を可能とし、且つデータ伝送において導入される遅延の量を約10nsに制限する。例えば、60.5GHzの搬送周波数を使用することによって、57乃至64GHzのISMバンド内で単一のキャリアシステムのバンド幅が最大にされる。従って、非接触プラグコネクタシステムは、例えばUSB規格で定義された許容範囲に準拠する。
【0065】
データ伝送の成功にために、図1に示される実施形態の非接触プラグコネクタ100は嵌合状態に配置され、それによって、非接触プラグコネクタ100のアンテナ部材120によって放射された電磁波が、対応する相手コネクタ200のアンテナ部材220によって受信されることができる。従って、嵌合状態において、非接触プラグコネクタ100は、対応する相手コネクタ200へ電磁的に接続される。
【0066】
特に、非接触プラグコネクタ100のアンテナ部材120と、対応する相手コネクタ200のアンテナ部材220との間の距離の最適化と整合は、非接触プラグコネクタ100と、対応する相手コネクタ200との間のデータ伝送を有利に実行できる。非接触プラグコネクタ100と対応する相手コネクタ200との間の最適化された距離と整合によって、非接触プラグコネクタ100のハウジング内のアンテナ部材の配置及び対応する相手コネクタ200に影響が及ぼされる。一般的に、アンテナ部材120を非接触プラグコネクタ100の嵌合端に配置することが好ましい。
【0067】
図1に示される実施形態の非接触プラグコネクタシステムは、データ接続のみに制限されない。図1に示される実施形態の非接触プラグコネクタシステムは、非接触プラグコネクタ100と対応する相手コネクタ200との間の電力の伝送を可能とする。その結果、図1に示される実施形態の非接触プラグコネクタシステムは、フル機能データと電力接続を実現でき、既知の伝送規格、例えば、イーサネット、USB、CAN IO−リンク及びRS485と互換性がある。
【0068】
このために、図1の非接触プラグコネクタ100は誘導結合部材135と電力端子140を含み、そこでは、誘導結合部材135は電力端子140と結合される。同様に、対応する相手コネクタ200は対応する誘導結合部材235と電力端子240を含み、そこでは、対応する誘導結合部材235は出力端子240と結合される。
【0069】
図1に示されるように、非接触プラグコネクタ100は、加えて、電力端子140及び誘導結合部材135に接続された中間電圧レギュレータ(PTx)を含むことができる。中間電圧レギュレータ(PTx)は、誘導結合部材135を介する伝送に有利な予め定められた電圧レベルへ電力端子140の電圧レベルを変換できる。加えて又は代わりに、中間電圧レギュレータ(PTx)は、誘導結合部材135を介する伝送を可能とするように電力端子140からのDC入力電圧をAC出力電圧へ変換するためのDC/AC変換器を含むことができる。
【0070】
従って、対応する相手コネクタ200もまた、電力端子240及び誘導結合部材235に結合された中間電圧レギュレータ(PRx)を含むことができる。対応する相手コネクタ200の電圧レギュレータ(PRx)は、非接触プラグコネクタ100の電圧レギュレータ(PTx)とは逆に構成される。
【0071】
本発明に係る他の実施形態において、非接触プラグコネクタシステムは、両方向への電力の伝送を可能とする。この目的のために、非接触プラグコネクタ100と対応する相手コネクタ200は、各々、夫々の電力端子(140,240)を介する電力の受信か夫々の誘導結合部材(135,235)を介する電力の受信かを検出するための検出器を含む。
【0072】
図1に示される実施形態の非接触プラグコネクタ100は、所定の周波数を有する電波の送信や受信のために電力端子140で電力を利用するように、電力端子140と送信回路や受信回路115との間の電気接続部を更に含む。
【0073】
同様に、図1に示される実施形態の対応する相手コネクタ200は、所定の周波数を有する電波の送信や受信のために電力端子240で電力を利用するように、電力端子240と送信回路や受信回路との間の電気接続部を含む。
【0074】
図1に示される実施形態の非接触プラグコネクタ100と、対応する相手コネクタ200との間の良好な誘電結合のために、非接触プラグコネクタ100の誘導結合部材135と相手コネクタ200の対応する誘導結合部材235は、互いに対して整合される。これに関して、誘導結合部材135は、誘導結合部材135が、嵌合状態において、相手コネクタ200の対応する誘導結合部材235と誘導ループを形成するように、非接触プラグコネクタ100のハウジング内に配置される。
【0075】
非接触プラグコネクタ100の誘導結合部材135と相手コネクタ200の対応する誘導結合部材235との間の距離の減少は、伝送電力ロスの減少のために有利である。従って、誘導結合部材135を非接触プラグコネクタ100の嵌合端に配置することが好ましい。
【0076】
他のより詳細な実施形態によれば、コネクタは、所定量の電力の受信によって、予め定められた情報、例えば状態情報や初期化情報を起動するように構成される。より詳細には、非接触プラグコネクタ100が対応する相手コネクタ200への電力の送信を開始すると、対応する相手コネクタ200は、誘導結合部材235を介して所定量の電力の受信を検出し、受信した電力を送信回路や受信回路215へ供給し、それで非接触プラグコネクタ100の予め定められた情報の送信を開始する。それによって、嵌合状態が非接触プラグコネクタ100によって及び対応する相手コネクタ200によって検出可能である。好ましくは、予め定められた情報の送信は、接続部の高速起動を可能とするために短時間である。
【0077】
ここで、図2を参照すると、本発明の例示的実施形態の非接触プラグコネクタ100が嵌合状態において対応する相手コネクタ200と共に示されている。図2の非接触プラグコネクタは図1の非接触プラグコネクタに基づいており、そこでは、対応する部品は対応する参照番号及び用語が与えられる。対応する部品の詳細な記述は簡潔のために省略された。
【0078】
詳細には、図2に示される実施形態の非接触プラグコネクタ100は、アンテナ部材120と誘導結合部材135を含む。簡略化のために、アンテナ部材120と誘導結合部材135は、駆動回路145へ接続されているものとして示されている。駆動回路145は送信回路や受信回路115を含み、データと電力を送信や受信するための接続部を具現化しており、夫々の端子105,110及び140を実装している。他の実施形態によれば、駆動回路145はまた、図1に関連して説明された電圧レギュレータ(PTx)を含むことができる。
【0079】
同様に、図2に示される実施形態の対応する相手コネクタ200は、アンテナ部材220と誘導結合部材235を含む。簡略化のために、アンテナ部材220と誘導結合部材235は、駆動回路245へ接続されているものとして示されている。駆動回路245は送信回路や受信回路215を含み、データと電力を送信や受信するための接続部を具現化しており、夫々の端子205,210及び240を実装している。他の実施形態によれば、駆動回路245はまた、図1に関連して説明された電圧レギュレータ(PRx)を含むことができる。
【0080】
非接触プラグコネクタ100のアンテナ部材120は円偏波アンテナとして具現化されてもよい。同様に、非接触プラグコネクタ200のアンテナ部材220は円偏波アンテナとして具現化されてもよい。
【0081】
左回り偏波と右回り偏波との間の区別によって、非接触プラグコネクタの送信回路(Tx)と非接触コネクタの受信回路(Rx)が同じ周波数で動作している時に、それらの両回路間の意図しない接続を回避できる。
【0082】
一例によれば、非接触プラグコネクタの送信回路(Tx)から非接触コネクタの受信回路(Rx)への接続が左回り円偏波として具現化され、且つ非接触コネクタの受信回路(Rx)から非接触プラグコネクタの送信回路(Tx)への接続が右回り円偏波として具現化され、或いはその逆として具現化される。この例では、非接触プラグコネクタの送信回路(Tx)と非接触コネクタの受信回路(Rx)とが互いに異なる回り円偏波を有するので、非接触コネクタの受信回路(Rx)は送信回路(Tx)から変調された信号を受信せず(おそらく反射)、従って、非接触プラグコネクタの送信回路(Tx)と非接触コネクタの受信回路(Rx)との間の意図しない接続を回避する。
【0083】
アンテナ部材120と送信回路や受信回路115を実装するための異なる可能性がある。まず、アンテナ部材120は、トランシーバユニット115の給電部へ直接に接続されることができる。或いは、アンテナ部材120及び送信回路や受信回路115はモジュールとして具現化されてもよい。他の代替の例によれば、円偏波の電磁波の送信や受信のためのアンテナ部材120は送信回路や受信回路へ非偏波電磁接続又は線状偏波電磁接続を介して接続されることができる。この代替えの具現化では、アンテナ部材は、送信回路や受信回路115からの非偏波又は線形偏波の電波を受信しそれを円偏波の電波へ変換する、及びその逆を行う部材として理解されることができる。
【0084】
更に、図2に示される実施形態の非接触プラグコネクタ100は、アンテナ部材120、誘導結合部材135及び駆動回路145を囲む遮蔽部材125を含む。遮蔽部材125は、嵌合状態において、外部電磁干渉から、非接触プラグコネクタ100のアンテナ部材120と相手コネクタ200の対応するアンテナ部材220との間の電磁伝送を遮蔽するために設けられる。このために、遮蔽部材125は、導電性材料や磁性材料で、又は電磁界に対する障壁として働く特性を有する他の材料で具現化されることができる。
【0085】
図2に示される実施形態の非接触プラグコネクタ100の遮蔽部材125は、非接触プラグコネクタ100の嵌合端に開口を有する。遮蔽部材125のこの開口は、嵌合状態において非接触プラグコネクタ100のアンテナ部材120と相手コネクタ200の対応するアンテナ部材220との間で無影響の電磁伝送を可能とする。
【0086】
より詳細には、非接触プラグコネクタ100の遮蔽部材125は、非接触プラグコネクタ100の嵌合端に開口を形成する周縁部130を有するように具現化される。非接触プラグコネクタ100の周縁部130は、非接触プラグコネクタ100の嵌合端から突出してもよいし、又は非接触プラグコネクタ100の嵌合端と面一であってもよい。
【0087】
図2に示される実施形態において、非接触プラグコネクタ100の遮蔽部材125は、嵌合状態において、予め定められた距離の重なりを形成するように相手コネクタ200の対応する遮蔽部材225と相互作用する。換言すれば、非接触プラグコネクタ100の遮蔽部材125の周縁部130は、嵌合状態において、相手コネクタ200の対応する遮蔽部材225の周縁部と重なる。
【0088】
詳細には、非接触プラグコネクタ100の遮蔽部材125の周縁部130は、非接触プラグコネクタ100の嵌合端と面一であるように具現化され、且つ相手コネクタ200の対応する遮蔽部材225の周縁部は、相手コネクタ200の嵌合端を越えて突出する。特に、相手コネクタ200の対応する遮蔽部材225の周縁部は、嵌合状態において非接触プラグコネクタ100の遮蔽部材125に重なるようにある距離だけ相手コネクタ200の嵌合端を越えて突出する。
【0089】
この重なりに起因して、嵌合状態において、非接触プラグコネクタ100の送信回路や受信回路115、アンテナ部材120及び誘導結合部材135、並びに対応する相手コネクタ200の送信回路や受信回路215、アンテナ部材220及び誘導結合部材235は、非接触プラグコネクタ100の遮蔽部材125によって並びに対応する相手コネクタ200の遮蔽部材225によって封入される。
【0090】
その結果、非接触プラグコネクタ100の遮蔽部材125及び対応する相手コネクタ200の遮蔽部材225は、嵌合状態のために、外部電磁干渉に対する、静電放電に対する及び他の外部サージに対する不感受性を向上する。同時に、非接触プラグコネクタ100の遮蔽部材125及び対応する相手コネクタ200の遮蔽部材225の相互作用は、嵌合状態において、非接触プラグコネクタ100への及び対応する相手コネクタ200への近接状態において電磁エネルギーと磁束の放射を減少する。
【0091】
図2の実施形態において、非接触プラグコネクタ100の遮蔽部材125の周縁部130は、更に、対応する相手コネクタ200の遮蔽部材225の回りやその下へ緊密に嵌合するように構成される。換言すれば、非接触プラグコネクタ100の遮蔽部材125の周縁部130は、僅かにより大きな直径や僅かにより小さな直径を有する対応する相手コネクタ200の遮蔽部材225の周縁部と基本的に同じ輪郭を有する。それによって、遮蔽部材125と225の遮蔽効果が更に向上する。
【0092】
非接触プラグコネクタ100の遮蔽部材125と対応する相手コネクタ200の遮蔽部材225との重なりについての考察から明らかなように、この重なりは、非接触プラグコネクタ100が対応する相手コネクタ200と嵌合する時に存在するに過ぎない。従って、非接触プラグコネクタと対応する相手コネクタ200の各々に対して、その重なりは、夫々のコネクタ100,200の遮蔽部材125,225の周縁部とコネクタ100,200の対応する嵌合端(即ち、嵌合端によって画定される嵌合位置)との間の距離関係に基づく。
【0093】
議論を進めるために、対応する相手コネクタは、遮蔽部材225の周縁部と嵌合端(即ち、嵌合端によって画定される嵌合位置)との間に固定の距離関係を有すると仮定すると、非接触プラグコネクタ100の遮蔽部材125の周縁部130の距離が非接触プラグコネクタ100の遮蔽部材125と対応する相手コネクタ200の遮蔽部材225との重なりの長さを決定する。
【0094】
図2に示される実施形態に対して、更に、非接触プラグコネクタ100の遮蔽部材125と対応する相手コネクタ200の遮蔽部材225との重なりの距離は、所定の搬送周波数の波長の4分の1に対応する。特に、4分の1波長の重なりは、開口の4分の1チョークセクションの入力インピーダンスがゼロであり且つ遮蔽部材125,225の一方の信号が効果的にゼロインピーダンスに見え最小の電力ロスでギャップを通って流れると共に非接触プラグコネクタを対応する相手コネクタ200に対する電気絶縁を維持するので、有利である。
【0095】
従って、非接触プラグコネクタ100は、遮蔽部材125に接続された任意の接地端子からの信号が、嵌合状態において、任意の接地端子に接続された対応する相手コネクタ200の遮蔽部材225へ最小の電力ロスでギャップを通って流れることを可能とする。それによって、非接触プラグコネクタ100と対応する相手コネクタ200との間の接地ループを必要とすることなく、遮蔽効果が向上する。
【0096】
送信回路や受信回路115と、約60GHzの搬送周波数を有する電波の放射や受信のために構成されたアンテナ部材120とを含む非接触プラグコネクタ100に対して、相手コネクタ200の対応する遮蔽部材225との嵌合状態にある非接触プラグコネクタ100の遮蔽部材125の距離の重なりは、略λ/4=1.25mmの長さを有し、波長λが以下のように決定される。
λ=3e+9m/6e+10=5e−3m
【0097】
図2に示されるより詳細な実施形態によれば、非接触プラグコネクタ100は、この非接触プラグコネクタ100を対応する相手コネクタ200と嵌合するための嵌合移動の軸に整合された回転軸を有するラジアルコネクタとして具現化されることができる。ラジアルコネクタとしての具現化のおかげで、非接触プラグコネクタ100の利用可能性は、非接触プラグコネクタ100が対応する相手コネクタへより容易に取り付けることができるので、向上する。換言すれば、ラジアルコネクタ設計は、非接触プラグコネクタ100と対応する相手コネクタ200の非接触プラグコネクタシステムの堅牢性を向上できる。ラジアルコネクタ設計は、ケーブルがもつれることなく、非接触プラグコネクタが360°n回回転できなければならない用途を可能とする。
【0098】
非接触プラグコネクタ100がラジアルコネクタとして具現化される場合、その非接触プラグコネクタ100の遮蔽部材125は円筒形状で設けられることができる。
【0099】
他のより詳細な実施形態によれば、非接触プラグコネクタ100は、更に、非接触プラグコネクタ100の遮蔽部材125が対応する相手コネクタ200の対応する遮蔽部材225と直接に接触することを防止するように配置されたハウジング構造体を含む。特に、非接触プラグコネクタ100と対応する相手コネクタ200の電気絶縁を何時でも確保するために、非接触プラグコネクタ100の遮蔽部材125が対応する相手コネクタ200の遮蔽部材225と直接に接触することを防止することは有利である。
【0100】
更なるより詳細な実施形態では、非接触プラグコネクタ100のハウジング構造体は、対応する相手コネクタ200との嵌合を案内された移動のみ許容するように設けられる。案内された移動は、嵌合状態にある対応するプラグコネクタ100の遮蔽部材125と対応する相手コネクタ200の遮蔽部材225との間の横方向空間未満である所定の横方向変位値へ対応する相手コネクタとの嵌合中の非接触プラグコネクタ100の横方向変位を制限するために実施されることができる。
【0101】
他の更に詳細な実施形態は、誘電材料によって完全に封止された外側を有する非接触プラグコネクタ100の遮蔽部材125を備える。誘電材料に対して、製造では、非接触プラグコネクタ100のための単一の誘電材料、即ち、ハウジング構造体のために使用されることができる材料と外側封止材料のみを使用する。それによって、非接触プラグコネクタ100の製造コストと製造工程を減少することができる。或いは、非接触プラグコネクタ100の遮蔽部材125は、その非接触プラグコネクタ100のハンドリングを向上するためにゴムベースの誘電材料で外側から及び内側から封止されてもよい。
【0102】
更なるより詳細な実施形態では、非接触プラグコネクタ100と対応する相手コネクタ200のいずれか一方、具体的には、レセプタクルコネクタとして働くコネクタが水や他の物質の侵入に抗して封止されたハウジングに埋め込まれることができる。
【符号の説明】
【0103】
100 非接触プラグコネクタ
105 入力端子
110 出力端子
115 送信回路や受信回路
120 アンテナ部材
125 遮蔽部材
130 遮蔽部材の周縁部
135 誘電結合部材
140 電力端子
145 駆動回路
200 相手コネクタ
205 出力端子
210 入力端子
215 送信回路や受信回路
220 アンテナ部材
225 遮蔽部材
235 誘導部材
240 電力端子
245 駆動回路
図1
図2