(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
上述のように、本願はとりわけ、広帯域固体光源に使用するためのレンズ組立体について記載するものであり、その光源は、LEDなどの1つ以上の固体発光装置からの光によってポンピング又は励起される蛍光体層又は材料を利用するものである。光源はまた、LEDからの光の少なくとも一部を蛍光体層上に反射する二色性反射体を含む。光がLEDから二色性反射体に伝播するとき、それは蛍光体層を通過しない。しかしながら、二色性反射体によって反射されたLED光は次いで蛍光体層に衝突し、それによって蛍光体層はより長波長の蛍光を放射するようになる。蛍光は二色性反射体を通過して、光源の広帯域光出力を供給するかあるいはその広帯域光出力に寄与する。典型的には青色であるか又は同様の短波長のものであるLED光の一部も、反射されずに二色性反射体を通過してもよく、それにより、光源の広帯域光出力に寄与する。
【0020】
この点において、「発光ダイオード」又は「LED」は、最も実用的な実施形態では、放射光線が約430〜530nm、約440〜500nm、又は約445〜480nmの範囲内のピーク波長を有するが、可視光線、紫外線、赤外線にかかわらず、光を放射するダイオードを指す。LEDという用語は、通常のものかあるいは過放射性の変形形態かに関わらず、「LED」として市販されている非干渉性のケース入り又はカプセル化半導体装置を包含するだけでなく、限定するものではないが垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)を含めて、レーザダイオードなどの干渉性の半導体装置をも包含する。「LEDダイ」は、最も基本的な形態、即ち、半導体加工手順によって製造される個々の構成要素又はチップの形態のLEDである。例えば、LEDダイは、1つ以上のIII族元素の組み合わせ及び1つ以上のV族元素の組み合わせから形成され得る(III〜V族半導体)。好適なIII〜V族半導体材料の例には、窒化ガリウムなどの窒化物、及びリン化インジウムガリウムなどのリン化物が挙げられる。他のタイプのIII〜V族材料も使用可能であり、同様に周期表の他の族の無機物質も使用可能である。構成要素又はチップは、デバイスに電圧を加えるための電力の適用に好適な電気接点を含むことができる。例としては、ワイヤボンディング、テープ自動化ボンディング(TAB)、又はフリップチップボンディングが挙げられる。構成要素又はチップの個々の層及びその他の機能的要素は、通常、ウェハスケールで形成された後、仕上がったウェハは個々の小片部に切られて、多数のLEDダイとなることができる。LEDダイは、表面実装、チップオンボード、又は他の既知の実装形態を構成するように構成されてもよい。いくつかのパッケージ型LEDは、LEDダイの上のポリマーカプセル材料及びそれに関連付けられる反射体カップを形成することによって製造される。LEDは、いくつかの基板のうちの1つの上に成長させられ得る。例えば、GaN LEDは、エピタキシーによってサファイア、シリコン、及び窒化ガリウム上に成長させられ得る。本出願の目的の「LED」はまた、一般的にOLEDと呼ばれる、有機発光ダイオードを含むことを考慮される必要がある。
【0021】
図1に、レンズ組立体112を含む遠隔蛍光体広帯域光源110の概略透視図を見る。基準の目的のために、光源110はxyz直交座標系に関して示されている。組立体112は、基板116によって保持された2つのLED 114a、114bの上方に位置付けられる。LEDは、比較的短い波長の光、例えば、主に青色光及び/又は紫外光、を典型的に放射する。ただし、場合によっては、青緑色又は緑色光も使用され得る。LEDはそれらの外部表面からこのような光を全方向に放射してよく、この光の多くはレンズ組立体112へと(
図1の視点から見て)上方に伝播する。
【0022】
レンズ組立体112は、レンズ部材120と、二色性反射体(
図1では標識せず)と、蛍光体層124とを含む。レンズ部材は外部表面及び内部表面を含み、外部表面は、点121aにおいて外部表面と交差し、点121bにおいて内部表面と交差する光軸121を規定するように湾曲している。二色性反射体は、レンズ部材120の外部表面の少なくとも一部に取り付けられてよく、例えば、それは、レンズ部材の外部表面の面積の少なくとも50%、70%、又は80%を被覆してよく、場合によっては、二色性反射体は、実質的に外部表面全体に付着し、それを被覆してよい。更に、二色性反射体は、内部表面に隣接した基準面内の所与の光源点から発したLED光を基準面内の所与の像点へと反射するように、好ましくは成形され、さもなければそのように構成される。この構成は以下において
図4に関して更に説明される。
図1の実施形態及び本明細書に示されているその他の実施形態では、二色性反射体は好ましくはレンズ部材の外部表面に一致し、そのため、二色性反射体の形状(例えば曲率)はレンズ部材の外部表面の形状と実質的に同じである。
【0023】
蛍光体層124はレンズ部材の内部表面の一部に取り付けられ、LED光による照射及びその吸収に応答して蛍光を放射するように適合されている。更に、蛍光体層は、内部表面の第1部分を被覆し内部表面の第2部分を露出させるようにパターン化又は成形されている。LED 114a、114bは内部表面の第2(露出)部分の近傍に配設され、そのため、LEDからの光は、蛍光体層を通過せず、LEDからレンズ部材120を通って二色性反射体へ伝播する。二色性反射体によって反射されたLED光は蛍光体層上におおむね結像され(例えば集束又は集中され)、それに、蛍光を放射させる(すなわち、蛍光発光させる)。(換言すると、所与の像点は、内部表面の第1(被覆)部分に隣接して配設されると言ってよく、所与の光源点は、内部表面の第2(露出)部分に隣接して配設されると言ってよい。)蛍光体層内の蛍光体材料の適当な選択により、蛍光は、好ましくは人間の目に対して黄色又は白色の外観を有する、広帯域となるように調整することができる。蛍光体層124によって放射された蛍光はレンズ部材120を通過し、外部表面において二色性反射体に衝突する。すると、蛍光に対する二色性反射体の高い透過率により、それは実質的に透過される。
【0024】
二色性反射体によって透過された蛍光は、二色性反射体によって透過され得るあらゆるLED光と結合し、光源110の広帯域出力光を作り出す。
【0025】
図2は、
図1の光源110と同じであるか又は類似していてよい広帯域光源210を示すが、
図2の概略側面又は断面図の方が、レンズ組立体の構成部品が互いにどのように関連しているのか、及びレンズ組立体がLED(単数又は複数)とどのように関連しているのかを読者はもっと容易に理解することができる。この場合も先と同様に、基準のために、光源210はxyz直交座標系に関して示されている。光源210は、基板216によって保持されるLED 214の上方に位置付けられるレンズ組立体212を含む。レンズ組立体212は、外部表面220a及び内部表面220bを有するレンズ部材220と、外部表面220aに取り付けられた二色性反射体222と、内部表面220bの一部に取り付けられた蛍光体層224と、を含む。外部表面220aは、点221aにおいて外部表面220aと交差し、点221bにおいて内部表面220bと交差し、点221cにおいて、(内部表面に隣接した)基準面219と交差する光軸221又は対称軸を規定するように湾曲している。レンズ部材220は、LEDにごく接近した安定位置にレンズを維持するために、別個の構造体、又は連続したリングの一部であり得るスペーサ構造223a、223bも含む。LEDが、その上面に取り付けられたリード線等の電気接点を有する場合には、レンズが電気接点を損傷するのを阻止するために、LEDとレンズ220との間に小さな間隙が必要となる場合がある。
【0026】
LED 214はその外部表面から光を全方向に放射し、この光の多くはレンズ組立体212へと(
図2の視点から見て)上方に伝播する。LED 214から発出する2本の代表的LED光線231aが示されている。これらの光線はレンズ部材220にその内部表面220bを通って侵入し、レンズ部材を通って伝播し、外部表面220aにおいて二色性反射体222に衝突する。単純化のために、内部表面220bにおける光線231aの屈折は示されていない。これはLEDとレンズ部材との間の空間内に屈折率整合ゲル又はその他の材料が設けられている場合であり得る。さもなければ、その空間内に空隙が存在する場合には、表面220bにおいて光線231aの屈折が生じることがある。光線231aが二色性反射体222に衝突すると、光線は実質的に反射され、場合によっては完全反射さえされ、反射光線231bを作りだすことがある。しかし、二色性反射体222は典型的には、入射LED光の少なくともわずかな部分を透過させる。すると、光線231cとして示されるLED光のその部分は、レンズ部材の外部へと屈折され、光源210の全出力に寄与する。その一方で、反射されたLED光線231bは、二色性反射体222の(及び外部表面220aの)形状により、蛍光体層224によって被覆された内部表面220bの領域の方へ向けられる。蛍光体層によって吸収されたLED光はその内部の蛍光体材料(単数又は複数)を励起し、蛍光232aを生成する。蛍光は全方向に放射され、その多くは二色性反射体222によって透過蛍光232bとして透過される。透過蛍光232bは、あらゆる透過LED光231cと組み合わさり、光源210の広帯域光出力を提供する。
【0027】
次に、本発明者らは、光源210の構成要素の望ましい又は任意追加的な特性及び特徴をいくつか説明する。このような特性及び特徴は、本明細書に記載されている他の実施形態のいずれにも適宜、同様に関連し得ることに留意しつつ説明する。本発明者らは、レンズ組立体212のいくつかの重要な構成要素、すなわちレンズ部材220、二色性反射体222、及び蛍光体層224の説明から始める。
【0028】
レンズ部材220は好ましくは、LED光及び蛍光に対して高い光透過率を有する安定した、頑強な材料から構成される。透明な外観を有するか、又はさもなければLED光及び蛍光に対して高い光透過率を有するポリマー材料(プラスチック)及びガラス材料が特に好適である。場合によっては、外部及び内部表面220a、220bの形状が正確かつ安価に作製されるように、成形可能材料(単数又は複数)を使用し、成形プロセスを用いてレンズ部材を作製する方が有利である。このような場合には、液体前駆体材料を、適切に成形された金型内に注入又は別様に導入し、次に、冷却、又はその他の既知の手段によって凝固し、レンズ部材を作り出してよい。レンズ部材製造用のいくつかの例示的な材料としては、例えば、Zeon Chemicals L.P.によって市販されている、アクリル樹脂類及びZeonex(商標)シクロオレフィンポリマー類を含む、成形可能ガラス、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、シリコーン、並びにポリオレフィン類が挙げられる。
【0029】
二色性反射体222は好ましくは、レンズ部材220の外部表面220aに一致する。それ故、二色性反射体222及び表面220aはどちらも凹面及び/又は湾曲形状を有してよく、そのため、所与のLEDによって放射され、反射体222によって反射された光は、大部分、そのLEDに関連付けられる蛍光体層の局部的部分の上に向けられる。場合によっては、これらの要素は正確に又は実質的に半球形であってよい。場合によっては、それらは、半球ではなく、部分的に球形の形状であるか、又はそれに近似してよい。場合によっては、それらは、より小さな別個の平坦又は曲面状の小面の配列で形成されるドーム形構造の場合のように、区分的に凹面状及び/又は区分的に曲面状であってよい。場合によっては、以下において
図8、9、及び10に関して更に説明するように、それらは分割されてよい。反射体222の形状は好ましくは、内部表面220bと合致するか又はそれに近接した基準面219内の所与の光源点から発する光が、反射により、同じ基準面内の所与の像点上に(少なくともおおむね)結像されるように調整されている。所与の光源点及び像点は、中心が基準面219と光軸221との交点と実質的に合致する、すなわち、中心が点221cと実質的に合致する線分の端点を形成すると見なされてよい。反射体222がこのように成形されている場合、レンズ組立体212の直下において内部表面220b及び基準面219に近接して位置する所与のLEDからの光は、二色性反射体によって反射され、所与のLEDに排他的に関連付けられるか又は少なくとも大部分が関連付けられる蛍光体層の特定の部分の上に、LED光強度が高くなった像、スポット、又は同様の局部的エリアを作り出す。
【0030】
二色性反射体はまた、二色性ミラー又は二色性フィルタと呼ばれることもある。それらは、ある光学波長に対しては、高い反射率と低い透過率を有し、他の光学波長に対しては、低い反射率と高い透過率を有するように設計されている。そのような反射体は通常、反射されないいかなる光も少なくとも可視波長、近赤外波長、近紫外波長にわたって実質的に透過され、逆もまた同様であるように、ほとんど吸収しない。そのような反射体は、二酸化ケイ素及び二酸化チタンの交互層等の大きな屈折率ミスマッチを有する材料の交互配列内に典型的に、大量の光学的に薄いミクロ層を含むが、他の好適な無機材料又は有機材料も使用され得る。このような反射体は、ガラス又は他の好適な基板上に、例えば、レンズ部材220の外部表面220a上に直接、あるいは外部表面220aに後に付けることができる膜又は基板上に、交互層を真空蒸着することによって作製されてよい。代替的に、例えば、米国特許第5,882,774号(Jonza、他)及び同第6,783,349号(Neavin、他)に記載のように、交互ポリマー材料の共押出し及び得られた多層ポリマーウェブの引き伸ばしを含んでよい連続プロセスによって、好適な反射フィルムを作製してもよい。二色性反射体で使用される材料及び用いられる製造方法にかかわらず、本明細書の他の箇所で説明するように、反射体は、所望の反射特性を波長の関数としてもたらすように調整された、マイクロ層の積層体の層厚さ分布を与えられる。この点に関して、米国特許第6,967,778号(Wheatley、他)を参照する。厚さ分布は、例えば、ロングパスフィルタ又はノッチフィルタとして動作する二色性反射体が得られるように調整されてもよく、それにより、比較的長波長の蛍光は、ある範囲の入射角にわたって実質的に透過され、また比較的短波長のLED光は大部分を反射される。二色性反射体は例えば、蛍光に対して、少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%の透過率を有してよい。二色性反射体は、いくつかの例において、可視域の青色光を実質的に反射し、可視域の赤紫色光を実質的に透過させる。場合によっては、二色性反射体は、所定の波長で別に直交偏光状態を反射する、多層ミラーフィルム、反射偏光子、及び/又はミラー等の部分偏光反射体であってもよく、又は含んでもよい。
【0031】
二色性反射体の反射及び透過特性は通常、反射体に衝突する光の入射角が変化するにつれて変化する。例えば、二色性反射体222は、反射体に垂直に入射するLED光線と比較して、反射体に斜めに入射するLED光線に対しては、より高い透過性を有し得る。この特性は、本発明の譲受人に譲渡された係属中の国際出願PCT/US2011/065780号で更に完全に説明されているように、レンズ組立体の下方に配列された複数のLEDの相対駆動強度を制御することによって出力色を調節することができる遠隔蛍光式固体光源の製作に利用されてよい。
【0032】
蛍光体層224は、吸収したLED光に対してストークスシフトした光を蛍光発光するか、あるいは別様に放射する1種類以上の好適な蛍光体材料を含有している。蛍光体材料は好ましくは、LEDの発光スペクトルと波長が重なり合う範囲の光を吸収し、そのため、LEDは蛍光体を励起し、蛍光発光させるかあるいは別様に蛍光を放射させることができる。多くの場合、所定の蛍光体材料は、電磁スペクトルの紫外線、青色、及び/又は青緑色部分内の光を吸収することができ、可視領域又は近可視領域内の光を放射することができる。放射された蛍光は通常、広帯域であり、例えば、それは少なくとも100ナノメートルのスペクトル幅を有し得る。この広帯域の蛍光は、連続的な広帯域にて分布されてもよく、あるいは、離間した狭い輝線の一群の場合にはスパイク状の分布を有してもよく、あるいは、狭い輝線と連続的な広帯域との組み合わせであってもよい。例示的な蛍光体材料としては、既知の蛍光染料及び蛍光体が挙げられる。セリウムをドープしたイットリウムアルミニウムガーネット(Ce:YAG)は、使用され得る蛍光体の一例である。他の希土類をドープしたガーネット又は他の希土類をドープした材料も、光源の設計詳細及び制約に応じて、例えば、ユーロピウム及び/又はストロンチウムをドープしたケイ酸塩、窒化物、及びアルミン酸塩など、好適であり得る。好適な蛍光体材料には、ドープされた無機酸化物又は窒化物、量子ドット、並びにII〜VI族及びIII〜V族材料を含む半導体など、有機及び無機の蛍光又はリン光材料が挙げられる。
【0033】
典型的な蛍光の発光スペクトルが、
図3に曲線312として示されている。また、曲線310と標識された典型的なLED発光スペクトルが示されている。これらの曲線は、典型的な構成要素の典型であることを意図し、必ずしも限定的であることを意図しない。図に示すように、所与のLED/蛍光の対に対し、蛍光は一般に、LED光よりも長い波長で分布する。LED 214が青色光を放射し、二色性反射体222がこの光の一部を透過させる場合、蛍光体層224は黄色の蛍光を放射するように調整されることができ、それにより、青色のLED光と黄色の蛍光との組み合わせが名目上は白色の光を与える。
【0034】
レンズ組立体212の下に配設された構成要素に注目すると、LED 214は、出力光が蛍光体層224を励起することができる、現在知られている、又はいずれ開発される任意の好適なLEDであることができる。上述したように、LEDは、比較的短波長の光、例えば主として青色光及び/又は紫外光を放射してよいが、場合によっては、青緑色又は緑色光も用いられてよい。LEDをレンズ部材220(及び内部表面220b)に近接して実装するために、薄型パッケージ、例えば、LEDの底部又は実装面上に両電気接点が設けられたフリップチップLEDパッケージ、を有するLEDを用いることが時には望ましい。
【0035】
LED 214及びその他の構成要素を保持する基板216は、任意の好適な設計のものであることができる。基板は、必要に応じて可撓性又は剛性であってよい。基板は、1つ以上の導電トレース、及び/又は穴若しくは「ビア」を含んでもよく、それによって、光源のLED又は他の電子構成要素への電気的接続がなされ得る。電気的接続は、ワイヤボンド又は図面に示されていない他の好適な手段によってもなされ得る。基板は、LED 214及び蛍光体224を適度な動作温度に維持することができるように、ヒートシンクとしても機能してよく、又は独立したヒートシンクと結合してもよい。
【0036】
次に
図4を参照すると、レンズ組立体412の概略側面又は断面図が見られる。組立体412は
図1及び2のレンズ組立体と同じであるか又は類似していてよく、対応する部分は、対応する特徴及び属性を有してよい。ただし、凹面状二色性反射体の特性をより容易に説明し、理解することができるように、蛍光体層、LED、及び基板は図から省かれている。
【0037】
そのため、
図4では、レンズ組立体412は、外部表面420a及び内部表面420bを有するレンズ部材420と、外部表面420aに取り付けられた二色性反射体422と、を含む。内部表面420bの一部には、蛍光体層(
図2の層224等)が通常取り付けられるであろう。外部表面420aは、点421aにおいて外部表面420aと交差し、点421bにおいて内部表面420bと交差し、点421cにおいて、内部表面に隣接した基準面419と交差する光軸421又は対称軸を規定するように湾曲するか又は別様に成形されている。レンズ部材420は、
図2のスペーサ構造と同じであるか又は類似していてよい、スペーサ構造423a、423bも含む。
【0038】
内部表面に取り付けられていてよいあらゆる蛍光体層の効果を無視すると、基準面419は、二色性反射体によってそれ自身の上に少なくともおおよそ結像される平面と特徴付けられてよい。この平面の位置は、少なくとも二色性反射体の形状及びレンズ部材の形状によって決まる。例示的な実施形態では、基準面419はレンズ部材の内部表面420bに比較的近接している。基準面と内部表面との間の最小離隔距離(例えば点421b及び421cの間の距離)は、レンズ部材の最大横断又は横寸法D(例えば、直径)を用いて表されてよい。例えば、離隔距離はD/2未満、又はD/5未満、又はD/10未満であってよい。場合によっては、離隔距離はゼロであってよい。基準面は内部表面420bのどちらかの側に配されてもよく、又はこのような表面と合致してもよいことに留意されたい。内部表面は、実施形態によっては、平面状であり得るが、他の実施形態では、非平面状であり得ることにも留意されたい。
【0039】
この基準面内の点を、LED光が放射され得る仮想光源点として選択してよい。図には、あり得るものの無限の集合のうち、2つのこうしたあり得る光源点、すなわち点419a及び点419cを示している。これらの点のそれぞれから発出する光線が示されており、このような光線は内部表面420bにおいてレンズ部材420に侵入し、レンズ部材を横断し、外部表面420aにおいて二色性反射体422から反射する。反射体422(及び表面420a)の幾何形状の故に、点419aから発出した光線は、像点419bにおいて集束、集中、又は結像され、点419cから発出した光線は、像点419dにおいて集束、集中、又は結像される。集束、集中、又は結像は厳密である必要はなく、「像点」は、正確な回折限界点ではなく、(基準面に平行な)横寸法が内部表面420bの寸法に対して小さい、光の集中度が高くなった領域であってよいことに留意されたい。更に、軸外収差及び歪みの効果のために、一般的に、像点から光軸421までの(及び点421cからの)距離が増加するにつれて、ぼやけが増すか又はスポットサイズが大きくなる。
【0040】
対419a、419b、又は対419c、419d等の、対応する光源/像点のそれぞれの対は、基準面419内に存在するだけでなく、中心が点421cと実質的に合致する線分の端点も規定する。換言すると、所与の光源点及びその関連像点は、光軸421に関して、及び点421cに関して実質的に対称に配される。このような仕組みは、外部表面420a(及び二色性反射体422)が、曲率半径が点421a及び421bの間の物理的距離とちょうど又はほぼ等しい半球、又は球の他の部分として成形されている場合に、達成することができる。ただし、同様の結果をもたらすために、非球面形状、回折面などを含む、他の表面形状が代替的に用いられてもよい。この構成により、レンズ組立体412の下において内部表面420bに近接し、基準面419に近接して位置付けられているが、光軸421及び点421cから横方向に変位したLEDは、二色性反射体422によって、LEDの放射面と同様のサイズ及び形状を有する結像エリア又はゾーン内へと反射されるLED光を生成することになる。結像ゾーンは、内部表面420b又は基準面419又はその近傍に位置し、結像ゾーン及びLEDの放射面は、光軸421及び点421cに関して実質的に対称に配される。所望の場合には、レンズ組立体の下に複数のLEDをこのように位置付けることができ、内部表面420bの、LEDに関連付けられる結像ゾーン又は点に対応する部分を被覆するように蛍光体材料が設けられている限り、結像LED光は蛍光体材料によって吸収され、蛍光として再放射されることになる。
【0041】
図5に、レンズ組立体512の一部が概略的に示されている。このレンズ組立体は、
図1、2、又は4に示されるもののいずれと同じであってもよいか又は類似していてもよい。同図は、蛍光体層、並びに蛍光体層に関連付けられる他の層及び構成要素のために企図されている様々な構成のうちのいくつかの特定の構成を説明するために提供されている。
図5では、レンズ組立体512のレンズ部材520は、外部表面(不図示)及び内部表面520bを有する。内部表面に取り付けられているのは、パターン化された蛍光体層524である。図示のように、蛍光体層524は内部表面520bの一部を被覆し内部表面520bの別の部分は被覆しない(したがって、露出させる)。
【0042】
好ましくは、蛍光体層524は、レンズ組立体を照射するべく配置されてよいLED(単数又は複数)に対応する結像ゾーン(単数又は複数)の近傍に位置する内部表面のあらゆる部分(単数又は複数)を被覆する。蛍光体層は、内部に1種類以上の蛍光体を分散させた光安定性及び熱安定性の結合剤から作られてよい。結合剤は、例えばシリコーン及び/又はフルオロポリマーを含めたポリマーであってよく、また、シリコーン接着剤又はシリコーンゲルなどの接着剤又はゲルであってもよい。蛍光体材料(蛍光体)は、混合されても、積層されても、パターン化されてもよく、あるいはこれらの構成の2つ以上の組み合わせをなしてもよい。コーティングの好適な手段には、ナイフコーティング、押出しコーティング、及びバーコーティングが挙げられる。パターンコーティングを施すための好適な手段には、グラビア、凹版、シルクスクリーン、及びインクジェットを含めて、印刷に利用されるものが挙げられる。1枚以上の蛍光体層が、蛍光体の非パターン層上にパターン化されてもよく、あるいは種々の領域が主に1種類の蛍光体を有してもよい。例えば、赤色放射蛍光体と緑色放射蛍光体のピクセルパターンが使用されてもよく、ここで各ピクセルは、少なくとも1つの方向において、関連するLED(その蛍光体を作用させるかあるいは励起する)の寸法ほどの大きさである。ピクセルパターンは、1次元の列又は2次元の格子の形態をなしてよい。再吸収の損失は、種々の蛍光体を空間的に分離することによって低減され得る。種々の蛍光体は、場合によっては、その横又は横断寸法が蛍光体含有層の厚さの約2倍〜20倍の範囲にある領域へと分離されてよい。
【0043】
図5のレンズ組立体512では、蛍光体層524とレンズ部材520との間に接着剤層525が設けられている。接着剤層は好ましくは、LED光と蛍光の双方に対して、高い透過率と低い吸収率を有する。好適な接着剤層には、アクリレート及びシリコーンが挙げられる。接着剤は、熱又は放射線によって硬化され得る他の添加剤を含有してもよい。例えば、硬化されて永久的な付着を形成し得る感圧性接着剤を形成するために、熱硬化したエポキシが、B段階の硬化したアクリレートと混合されてもよい。接着剤はまた、熱で若しくは光分解で活性化された触媒を有するシリコーン樹脂のモノマーなどの硬化性の液体として塗布されてもよい。場合によっては、接着剤は、蛍光体層とレンズ部材との間に、実質的に永久的な付着をもたらしてもよい。以下において
図11及び12に関して更に説明される別の例では、接着剤は、取外し可能な付着をもたらしてもよい。この点で、接着剤は、最終用途における良好な耐久性をもたらすように十分に高く、かつ蛍光体層の1つ以上の部分を例えば打抜き及び剥離によって取外すことができるように十分に低い付着強度を有し得る。
【0044】
接着剤層525は、内部表面520bの、蛍光体層524によって被覆された部分、及び内部表面520bの、蛍光体層524によって露出させた部分の双方を被覆するように示されている。代替実施形態では、接着剤層は、内部表面の、蛍光体層によっても被覆されたそれらの部分のみを被覆するように範囲が限られてもよい。
【0045】
図5のレンズ組立体512では、蛍光体層524の反対側に反射層526が設けられ、それにより、蛍光体層は反射層526とレンズ部材520との間に存在する。反射層は、比較的短波長のLED光とそれよりも長波長の蛍光の両方に対して高い反射率を有する広帯域反射体であってよい。その場合には、蛍光体層を完全に貫いて伝播するLED光は全て再び蛍光体層へと反射されてよく、厚さを減じた蛍光体層内へのLED光の吸収を高める。更に、レンズ部材から遠ざかる方向に伝播するいかなる蛍光も、反射層によって遮り、蛍光体層を通ってレンズ部材に向かって戻るように進路変更することができ、それにより、光源の全出力の蛍光成分を増大させる。反射層は、鏡面反射体、拡散反射体、又は半鏡面反射体(鏡面反射体と拡散反射体との組み合わせ)であってよい。反射層は結合剤と顔料とを含んでもよく、また他の添加剤を含有してもよい。好適な結合剤には、蛍光体層に関連して述べたものと同じ結合剤が挙げられる。反射層に使用される結合剤は、蛍光体層に使用される結合剤と同じであっても異なってもよい。例示的な顔料には、アナターゼ又はルチルTiO
2が挙げられる。好ましくは、TiO
2は、シリカなどのコーティングで不動態化される。他の添加剤には、熱伝導性を改善するための無機充填剤を挙げることができる。好適な充填剤には、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ボロン、及び/又はダイヤモンドが挙げられる。反射層中のそのような充填剤は、望ましくは、LED光及び蛍光の低い吸収度を有する。鏡面の特性を優勢に有する好適な広帯域反射体には、可視領域の全体にわたって98%超の反射率を有する、3M Companyによって市販されているVikuiti(商標)Enhanced Specular Reflection Film(ESR)など、可視スペクトル全体にわたって高度な反射率が得られるように構成された多層光学フィルムが挙げられる。また、ナノ空洞ポリマー又は他のポリマー、MgF
2、TiO
2、SiO
2、Al
2O
3、及び/又はZrO
2など、高屈折率及び低屈折率材料の光学的に薄い層から作られた他の誘電体コーティング反射体が使用されてもよい。アルミニウム被覆ポリマーフィルム又は銀被覆ポリマーフィルムなど、より単純な金属被覆フィルムが使用されてもよい。金属被覆の反射率は、例えば、ナノ空洞ポリマー又は他のポリマー、無機ナノ粒子充填ポリマー、MgF
2、TiO
2、SiO
2、Al
2O
3、及び/又はZrO
2など、1種類以上の既知の誘電体被覆を加えることによって向上され得る。
【0046】
図5に示されているものに対する多種多様の代替的な構造体が企図されている。例えば、接着剤層525及び/又は反射層526が省かれてもよい。更に、追加の層を構造体に追加することができる。こうした追加の層は、1層以上の透明なスペーサ層、構造層、熱伝導層、及び付着層を含んでよい。
【0047】
したがって、透明スペーサ層が構造体内に含まれてもよい。このような層は好ましくはレンズ部材と蛍光体層との間に配設される。スペーサ層は、以下の機能のうちの1つ以上を果たすように調整されてよい:スペーサ層は、蛍光体層からレンズを通して放射された光の光学的出力特性を変化させることができる;スペーサ層は、蛍光体層を、レンズ部材から遠ざけ、熱伝導性基板(例えば、
図1の基板116及び
図2の基板216)により近接するように、変位させる又は位置付けることができる;並びに/あるいはスペーサ層は、装置の輝度を高めるために、レンズ部材と蛍光体層との間に低屈折率層を提供することができる。好適な低屈折率コーティングには、溶剤との組み合わせで硬化され、次いで乾燥されて低屈折率層を生成するフルオロポリマー、シリコーン、及び放射線硬化性材料が挙げられる。
【0048】
構造層が構造体内に含まれてもよい。この件に関する構造層とは、例えば、以下において
図11及び12に関して説明されるように、それが接着された蛍光体層の部分(単数又は複数)と共に(例えば剥離によって)機械的に取外すことができるように、自己支持型で十分に厚く強い層に言及する。取外しの前に、構造層は、取外すべき部分(単数又は複数)から維持すべき部分(単数又は複数)を分離するために、刻み目を付けられるか又は切断されてもよく、その後、レンズ部材の内部表面の諸部分を選択的に露出させるために、取外すべき部分(単数又は複数)は、レンズ部材から、蛍光体層の対応する部分(単数又は複数)と共に機械的に取外すことができる。好適な構造層は、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレート、フルオロポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びシリコーンを含むポリエステルを含有する。構造層はまた、セルロース、合成繊維、及びセラミック若しくはガラス繊維などの材料を含有する、織物又はランダム繊維マット製であってもよい。
【0049】
熱伝導層が構造体内に含まれてもよい。熱伝導層は好ましくは蛍光体層の後方に配設され、それにより、蛍光体層は熱伝導層とレンズ部材との間に存在する。熱伝導層は、熱伝導性基板(例えば、
図1の基板116及び
図2の基板216)と接触するか又は別様に結合してよく、それにより、蛍光体層をより低い動作温度に維持する。熱伝導層は、ポリマー層、特に、アルミナ、シリカ、窒化ホウ素、及び/又は窒化アルミニウムなど、適度な量の熱伝導性の粉末又は材料を充填されたものから作製され得る。ポリマー層は、シリコーン又はアクリレートなどのホモポリマーであっても、各ポリマーの混合物であっても、熱硬化したエポキシに放射線硬化したアクリレートを混合したものなど、B段階の硬化性材料であってもよい。
【0050】
(上述の接着剤層525以外の)付着層が構造体内に含まれてもよい。例えば、そのような層同士の付着を向上させるために、下塗り層が、隣接する機能層の間に含められてもよい。
【0051】
蛍光体層が一部をなすサンドイッチ構造体内の2層以上の層の機能が、単一の層に組み合わせられてもよい。例えば、接着剤層が、透明なスペーサ層として働いてもよい。代替的に又はそれに加えて、単一層として説明又は図示した層はいずれも、サンドイッチ構造内にこうした別個の層を2層以上設けるために、分離又は複製することができる。
【0052】
開示されている実施形態のいずれにおいても、蛍光体層は、少なくとも、反射層526等の広帯域反射体も含む蛍光体組立体の一部であってよい。広帯域反射体は、LED光及び蛍光に対して少なくとも90、94、又は98%の反射率を有してよい。更に、LED光に対する蛍光体層の透明度又は透過度は、照明システムの広帯域光出力を増加させるように調整することができる。このような増加は、蛍光体層に使用される蛍光体の量を減少させることによって達成することができる。LED光に対する蛍光体層の単光路透過率Tは30%〜65%、又は35〜60%、又は40〜50%であってよい。本願と同一譲受人に譲渡された国際出願PCT/US2011/065784号に、例示的な蛍光体組立体に関する更なる詳細がより完全に説明されている。
【0053】
図6は、蛍光体層が、レンズ部材の内部表面の選択部分を被覆するためにどのようにパターン化されてよいのか、及び二色性反射体によって反射されたLED光が蛍光体層を照射することができるように、LED群を内部表面の露出部分に隣接してどのように位置付けることができるのかについての1つの具体例を示す。図は、レンズ組立体の少し下の観察面から見て、レンズ組立体の方を見上げた通りの広帯域光源610の平面図と考えられてよい。光源610は、レンズ組立体612、及び基板(不図示)上においてレンズ組立体に隣接して配設された隣接LEDの群630a、630b、630cを含む。レンズ組立体612は、外部表面(不図示)及び内部表面620bを有するレンズ部材620と、レンズ部材の外部表面上に配設された二色性反射体(不図示)と、くさび形のセクタ内に配列された3つの別個の部分640、642、644を有する蛍光体層と、を含み、蛍光体層は、くさび形部分内の内部表面620bを被覆し、LED群によって占有される残りの(相補的な)くさび形領域内の内部表面を露出させるようにパターン化される。光源610及びそのそれぞれの構成要素の特性は、本明細書の別の箇所で説明されている対応する構成要素の特性と同じであるか又は類似していてよい。例えば、レンズ部材620の外部表面は、図の平面と垂直であり、図の中心における点(標識せず)を通過する光軸を規定するように成形されてよい。
【0054】
図6には、合計18個のLEDが示されている。LEDは6つの隣接LEDの3つのくさび形の群630a、630b、630c内に配列されており、隣接LEDのそれぞれの群は内部表面620bのくさび形領域の近傍に配設されている。LEDの3つのくさび形の群のレイアウト、並びに図示されている、それぞれの群内のLEDの数及び配向は、多くの可能な構成のうちの1つであり、限定的に解釈されるべきではない。例えば、くさびのような形状以外の形状もまた意図される。
【0055】
この平面図では、隣接LEDの群は、蛍光体層のくさび形部分640、642、644によって互いに分離される。更に、隣接LEDのそれぞれの群は、図の中心における点に対して、蛍光体層のくさび形部分のうちの1つのおおむね反対側となるくさび形領域内に存在する。LEDのくさび形領域、及び蛍光体層のその対応するくさび形部分のそれぞれの対は、図中の中心点に関しておおむね対称であってもよい。光軸が中心点を通過するように二色性反射体を構成することによって、かつ二色性反射体の好適な曲率半径を選択することによって、隣接LEDのそれぞれのくさび形群からのLED光の、二色性反射体によって反射される部分は、蛍光体層の対応するくさび形部分上に(少なくともおおむね)結像させることができる。3つのLED群のそれぞれの内部の隣接LEDは、中心点から(x−y平面に平行に測定して)異なる半径方向距離に配列されるようにも示されている。図示の配列では、例えば、それぞれの群内の1つのLED(LED 614a、614b、614c参照)は中心点に最も近接して配設され、それぞれの群内の3つのLED(LED 616a、616b、616c参照)は中心点から最も遠くに配設され、それぞれの群内の2つのLED(LED 615a、615b、615c参照)は中心点から中間の距離に配設されている。二色性反射体は、それぞれのLEDが蛍光体層の異なる小部分を第一に励起するように、各LEDからの少なくとも一部の光を蛍光体層の選択部分へと反射する。蛍光体部分640、642、644を、中心点から異なる半径方向距離にある小部分を含むものと見なせば、すなわち、部分640は小部分640−1、640−2、640−3、640−4を含み、部分642は小部分642−1、642−2、642−3、642−4を含み、部分644は小部分644−1、644−2、644−3、644−4を含むと見なせば、二色性反射体は、個々のLEDからのLED光を以下のように個々の蛍光体層の小部分上に優先的に反射してよい:
LED 614aからの光は蛍光体小部分640−2上に、
LED 615aからの光は蛍光体小部分640−3上に、
LED 616aからの光は蛍光体小部分640−4上に、
LED 614bからの光は蛍光体小部分642−2上に、
LED 615bからの光は蛍光体小部分642−3上に、
LED 616bからの光は蛍光体小部分642−4上に、
LED 614cからの光は蛍光体小部分644−2上に、
LED 615cからの光は蛍光体小部分644−3上に、及び
LED 616cからの光は蛍光体小部分644−4上に。
【0056】
読者に留意されたいこととして、LED光の優先的反射は、所与のLEDからの反射LED光の全てが指定の蛍光小部分に衝突することが要求されるほど狭く解釈されるべきではなく、このようなLEDからの一部の反射LED光は、他の蛍光小部分に、及び/又は他のLED若しくは光源の他の要素に衝突する場合がある。
【0057】
光源610の一実施形態では、18個全てのLEDが、同じLED発光スペクトルに従うLED光を放射してもよく、蛍光体層は、蛍光体層の組成及び構造が、くさび形部分640、642、644の全体にわたって、またそれらの間で同じとなるような、一様な組成及び構造をなしてよい。別の実施形態では、蛍光体層の、異なるLEDと関連付けられる部分に対して、異なる組成及び/又は構造を使用することによって、広帯域光の部分によって異なる色を達成することができる。加えて又は別の方法では、くさび形部分640、642、644のうちの1つ、いくつか、又は全ては、二色性反射体の光軸又は中心点(標識せず)からの半径方向距離によって異なる組成及び/又は構造を有し得る。別の実施形態では、異なる発光スペクトルを有する個々のLEDを選択し、次いで、異なる発光特性のLEDが励起される相対的な程度を制御又は調整することによって、広帯域光の部分によって異なる色を達成することができる。この点に関する更なる詳細が、本明細書の別の箇所において参照されている、本願と同一譲受人に譲渡された国際出願PCT/US2011/065780号に見出すことができる。
【0058】
図7は、レンズ組立体を1つ以上のLED装置と連結させることによって広帯域固体光源710をどのようにして作製することができるのかを分解図で示す。光源710の特性及びそのそれぞれの構成要素は、本明細書の別の箇所で説明されている対応する構成要素の特性と同じであるか又は類似していてよい。
【0059】
光源710では、レンズ組立体712がLED組立体と連結される。レンズ組立体は、外部表面720a及び内部表面720bを有するレンズ部材720であって、外部表面は、点721aにおいて外部表面と交差し、点721bにおいて内部表面と交差する対称軸又は光軸721を規定する、レンズ部材720と、外部表面720a上に配設された二色性反射体と、くさび形のセクタ状に構成された3つの別個の部分740、742、744を有する、蛍光体層と、を含み、蛍光体層は、くさび形部分内の内部表面720bを被覆し、残りの(相補的な)くさび形領域内の内部表面を露出させるようにパターン化されている。
【0060】
レンズ組立体が連結されるLED組立体は、基板716上に配設された隣接LEDの群730a、730b、730cを含む。この場合も先と同様に、LEDの3つのくさび形の群のレイアウト、並びに図示されている、それぞれの群内のLEDの数及び配向は、多くの可能な構成のうちの1つであり、限定的に解釈されるべきではない。隣接LEDの群は基板716のくさび形領域740a、742a、744aによって互いに分離され、レンズ組立体712をLED組立体と結合させると(例えば、それと接触させる、又は別様に近接近させると)、それらの領域はそれぞれ蛍光体層部分740、742、744とそろう。このような結合が果たされると、LED及び蛍光体層部分の配置は実質的に、
図6に関して示され、説明されている通りになってよい。レンズ組立体712の光軸721は、LED群730a、730b、730c及び領域740a、742a、744aの真ん中の中心点に対応する、基板上の点721cを通過することに留意されたい。
【0061】
本発明者らは、レンズ部材の外部表面のための様々な異なる構成方式を企図している。場合によっては、外部表面は、一部の用途において有利であってよい特定の設計特徴を提供するべく、分割されてよい。
図8、9、及び10に、分割された外部表面を有するレンズ組立体が概略的に示されている。これらの実施形態の特徴は、本明細書において説明されている他の実施形態において利用されてよく、その逆も同様である。
【0062】
図8では、レンズ組立体812が、外部表面820a及び内部表面820bを有するレンズ部材820を含む。外部表面は、円形境界構造825によって分割され、これらの境界構造825は、1本以上の溝若しくは切り込み及び/又は1本以上の隆起部若しくは突起部であるか又はそれらを含んでよい。外部表面820aの一部又は全てに二色性反射体が堆積されるか又は別様に取り付けられるが、境界構造825においては存在しなくてもよい。外部表面820aの分割はいくつかの目的を果たすことができ、すなわち、単一の途切れのない表面エリアの二色性コーティングを、連続した一連のより小さな途切れのないエリアに分けることによって、レンズ部材820と二色性コーティングとの間の熱膨張不一致の機械的衝撃を低減することができ、更に、境界構造は、被覆されていない面からの光散乱量を制御することができる。境界構造825の存在にもかかわらず、外部表面820aはなお、好ましくは、頂点821aにおいて外部表面820aと交差し、本明細書の別の箇所で説明されている集束又は結像特性を提供する対称軸又は光軸821を規定するように成形されている。
【0063】
図9では、レンズ組立体912が、外部表面920a及び内部表面920bを有するレンズ部材920を含む。外部表面は、弓状境界構造925a、925bによって分割される。これらの境界構造は、1本以上の溝若しくは切り込み及び/又は1本以上の隆起部若しくは突起部であるか又はそれらを含んでよい。境界構造925aはおおむね、x−z平面に平行な平面内に存在し、境界構造925bはおおむね、y−z平面に平行な平面内に存在し、それゆえ、境界構造925aと交差する。外部表面920aの一部又は全てに二色性反射体が堆積されるか又は別様に取り付けられるが、境界構造925a、925bにおいては存在しなくてもよい。外部表面920aの分割は、
図8に関して説明されたものを含む、いくつかの目的を果たすことができる。境界構造925a、925bの存在にもかかわらず、外部表面920aはなお、好ましくは、頂点921aにおいて外部表面920aと交差し、本明細書の別の箇所で説明されている集束又は結像特性を提供する対称軸又は光軸921を規定するように成形されている。
【0064】
図10では、レンズ組立体1012が、外部表面1020a及び内部表面1020bを有するレンズ部材1020を含む。外部表面は、
図8のものといくつかの点で同様の円形境界構造によって分割される。しかし、
図10では、境界構造は、外部表面の隣接部分間の急峻な接続壁部をそれぞれ含み、かくしてフレネルレンズ構造を作り出している。二色性反射体が外部表面1020aの一部又は全てに堆積されるか又は別様に取り付けられるが、境界構造においては存在しなくてもよい。急峻な壁部は外部表面の各部分をz軸に沿って平行移動させることを可能にし、それにより、レンズ部材1020の全体の高さ又は厚さは、
図8及び9のレンズ部材のものよりも大幅に小さくなっていることに留意されたい。したがって、外部表面1020aの分割は、
図8及び9に関して説明された目的を果たすだけでなく、レンズ部材及びレンズ組立体の全体高さを低減する役目を果たすこともできる。境界構造の存在にもかかわらず、外部表面1020aはなお、好ましくは、頂点1021aにおいて外部表面1020aと交差し、本明細書の別の箇所で説明されている集束又は結像特性を提供する対称軸又は光軸1021を規定するように成形されている。
【0065】
本明細書に開示されているレンズ組立体はいずれも、LED組立体にレンズ組立体を結合するのに備えた、蛍光体層、及び所望の場合にはその他の層、の迅速、簡便、かつ精密なパターン化を可能にするように調整することができる。こうした設計アプローチは、単一の種類のレンズ組立体を、複数の異なるLED組立体、例えば、異なる数のLED、及び/又は基板上のLEDの異なる空間的配置又はレイアウトを有するLED組立体、に用いることを可能にする。第1のこうしたLED組立体に対応した第1パターンで一方のレンズ組立体の蛍光体層をパターン化し、第2のこうしたLED組立体には対応するが、第1のLED組立体には対応しない第2パターンでもう一方のレンズ組立体の蛍光体層をパターン化することによって、同一のパターン化前のレンズ組立体をこうしたLED組立体のどちらにも用いることができる。これらの能力を備えたレンズ組立体は、在庫の削減、生産柔軟性の向上、及び固体照明メーカのコストの低減を助けることができる。
【0066】
図11は、この設計の融通性を織り込んだレンズ組立体1112を示す。レンズ組立体1112が、外部表面1120a及び内部表面1120bを有するレンズ部材1120を含む。二色性反射体(独立して標識せず)が外部表面1120aの一部又は全ての上に堆積されるか、又は別様にそれを被覆する。蛍光体層1124が、その一部は、例えば剥離によって、内部表面から物理的に分離することができ、一方、蛍光体層の残りの部分は内部表面に取り付けられたまま残るように、内部表面1120bに取外し可能に付着されるか又は別様に取外し可能に取り付けられている。
図11には示されていないが、
図5に関して上述したその他の層のいずれのものも構造体内に同様に含むことができることに留意されたい。例えば、蛍光体層と内部表面との間に、最終用途において良好な耐久性を提供するのに十分高いが、蛍光体層の1つ以上の部分を、例えば打ち抜き及び剥離によって取外すことを可能とするのに十分低くもある付着強度を有する、接着剤層が挟み込まれてよい。蛍光体層の取外し部分は内部表面1120bの対応部分を露出させ、それにより、1つ以上のLEDがレンズ部材のそれらの露出部分内に光を注入することができる。蛍光体層の残りの部分は内部表面の対応部分を被覆し、それにより、それは、二色性反射体によって反射されたLED光を受光することができる。
【0067】
蛍光体層の選択的取外しは、蛍光体層をパターン化する効果を有し、蛍光体層に所望の形状に刻み目を付けるか又は別様にそれを切断し、その後、刻み目部分を例えば剥離によって分離することによって実行することができる。このような作業が
図11に概略的に示されている。同図では、切断部材1102を有する打ち抜きツール1101がレンズ組立体1112に押し付けられ、それにより、切断部材は、レンズ部材1120の内部表面1120bにおける蛍光体層1124及び/又は隣接層(単数又は複数)を貫く。この作業に伴う、対抗し合う力が矢印1103として示されている。ツール1101上の切断部材1102は、内部表面1120bのための所望の露出エリア形状又は所望の被覆エリア形状を表す特定の形状に構成されている。レンズ組立体1112からツール1101を引っ込めた後、蛍光体層の一部は例えば剥離によって内部表面1120bから物理的に分離され、一方、蛍光体層の残りの部分は内部表面に取り付けられたまま残る。蛍光体層の分離部分と蛍光体層の残りの部分との間の境界は、打ち抜きツール1102の切断部材1102によって作り出される蛍光体層の刻み目部分によって提供される。打ち抜きツール1101を、異なる切断部材を有する打ち抜きツールと取り替えることで、照明装置メーカは、同じ初期レンズ組立体1112を用いて異なる露出エリア形状を作り出すことができ、それにより、その結果できたレンズ組立体を、異なるLED組立体と共に用いることができる。
【0068】
図12に、蛍光体層がパターン化されたレンズ組立体1212が概略透視図で示されている。このレンズ組立体は、打ち抜き及び剥離後の
図11のものと同じであるか又は類似していてよく、レンズ組立体1212の特徴は、本明細書において説明されている実施形態のいずれにおいて利用されてもよく、その逆も同様である。組立体1212は、外部表面1220a及び内部表面1220bを有するレンズ部材1220を含む。組立体は、外部表面1220aの全てまたは一部の上に配設された二色性反射体と、内部表面1220bの一部を被覆し内部表面1220bの別の部分1230を露出させるようにパターン化された蛍光体層1224も含む。部分1230の境界の形状は、
図11の打ち抜きツール等の打ち抜きツールの切断部材と同じ形状であってよい。蛍光体層の刻み目部分が剥離されると、露出部分1230が生じる。製作されたレンズ組立体1212は次に、遠隔蛍光体広帯域固体光源を提供するべく、
図7の下部に示されるもの等のLED組立体と連結されてよい。
【0069】
レンズ組立体1212はリング状つまみ1232も含む。つまみ1232は、蛍光体層の打ち抜きエリアの取外しを容易にするために、以下において
図13に関して説明されるように構成されてよい。
図13及び14は、追加のレンズ組立体を示す。その特徴は、本明細書に説明されている実施形態のいずれに利用されてもよく、その逆も同様である。
図13では、レンズ組立体1312が、外部表面1320a及び内部表面1320bを有するレンズ部材1320を含む。組立体は、外部表面1320aの全て又は一部の上に配設された二色性反射体と、内部表面1320bの一部に取り付けられた蛍光体層1324も含む。蛍光体層1324は、
図11及び12に示されているものと同様の方法で、あるいは任意の他の好適な方法でパターン化されてよい。レンズ部材1312はリング状つまみ1332を含む。つまみ1332は、打ち抜き等のパターン化作業後の蛍光体層の一部のリフトオフを容易にするように構成することができる。このようなリングは例えば、感圧接着剤を有し、レンズ部材1320の内部表面に付着されたポリエステル膜から作製されてよく、蛍光体層が、この蛍光体層がポリエステル膜にも取り付けられるようにして、レンズ部材1320の内部表面に同様に施されてよい。リングは後の蛍光体層の打ち抜きエリアの取外しを容易にする。
【0070】
代替的な構造体では、リングは、蛍光体層がレンズ部材1320の内部表面に付着された後に、蛍光体層の表面に付着されてよい。リングの構築に適した材料としては、ポリマー膜及び不織布マットが挙げられる。膜又はマットは蛍光体コーティングに直接付着されてもよく、又は接着剤層によって付着されてもよい。
【0071】
図14では、レンズ組立体1412が、外部表面1420a及び内部表面1420bを有するレンズ部材1420を含む。組立体1412はまた、外部表面1420aの全て又は一部の上に配設された二色性反射体と、内部表面1420bの一部に取り付けられた蛍光体層と、を含む。組立体1412は、蛍光体層及び内部表面1420bを被覆する構造層1434も含む。構造層1434は、パターン化後の蛍光体層の一部のリフトオフを容易にするために把持することができる離散的なつまみ1436に取り付けられる。例えば、打ち抜きツールによって構造層1434、蛍光体層、及び接着剤層(独立して存在する場合)に刻み目を付けてよく、その後、つまみ1436を用いて構造層1434の一部を持ち上げて取り去ることによって内部表面1420bから蛍光体層の不要な部分を分離してよい。つまみはポリマー膜又は不織布マットで作製されてよい。膜又はマットは蛍光体コーティングに直接付着されてもよく、又は接着剤層によって付着されてもよい。
【0072】
上述の教示に対する数多くの変更、又はその適合を行うことができる。例えば、打ち抜きに加えて又はその代わりに、接着剤付着強度をパターン的に変更するために、接着剤層に種々の処理を受けさせることができる。処理は、接着剤の付着強度を高める効果を有してよく、この場合には、それは、最終製品において蛍光体層によって被覆されていることを意図したエリア(単数又は複数)において用いられてよい。付着強度を高める1つの方法は、加熱時を除き、レンズ部材のガラス又はプラスチックに対して低い粘着力を有する接着剤を用いることである。好適な接着剤の一例は、光硬化アクリル接着剤と未硬化の熱硬化性エポキシとの混合物である。次に、ホットスタンプを用いて1つ以上の特定の領域内の付着力を高めることができ、付着強度は、例えば、つまみ(
図13又は14参照)を使用して膜を持ち上げることによって非加熱エリア内の蛍光体層を取外すのに十分となることができる。
【0073】
更に、蛍光体層をパターン化する際にレーザアブレ−ションを用いることもできる。好適な構造体は、蛍光体層、金属層、レーザ融除可能層、及び構造層を含んでよい。このような手法は、レーザアブレ−ションを用いてレーザ融除可能層をパターン化することを含んでよく、その後、レーザによって融除されていないエリア(単数又は複数)内において、構造層の非損傷部分(単数又は複数)を除去し、それにより、レンズから蛍光体の対応する非損傷部分(単数又は複数)を除去してよい。
【0074】
指示がない限り、本明細書及び請求項で使用される形体の大きさ、量、及び物理特性を示す全ての数字は、「約」と言う用語によって修飾されることを理解されたい。したがって、反することが示されない限り、本明細書及び添付特許請求の範囲に記載の数値的パラメータは、本発明の教示を利用して当業者により得ることが求められる所望の性質に応じて変化する近似値である。
【0075】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく本発明の様々な改変及び変形が当業者には明らかであり、本発明が本明細書に記載された例示的な実施形態に限定されるものではないことは理解されるはずである。本明細書において参照された公開及び非公開の特許出願並びに他の特許及び非特許文献は、これらが先行の開示に直接矛盾しない範囲において参照として組み込まれる。