【文献】
FILE REGISTRY ON STN, RN 64532-07-6, ENTERED STN: 16 NOV 1984
【文献】
CHEMISTRY OF HETEROCYCLIC COMPOUNDS,1999年,35(10),pp.1230-1236
【文献】
FILE REGISTRY ON STN, RN 857492-62-7, ENTERED STN: 28 JUL 2005
【文献】
COLLECT. CZECH. CHEM. COMMUN.,2002年,67,pp.365-372
【文献】
FILE REGISTRY ON STN, RN 459138-26-2, ENTERED STN: 04 OCT 2002
【文献】
FILE REGISTRY ON STN, RN 885189-94-6, ENTERED STN: 22 MAY 2006
【文献】
FILE REGISTRY ON STN, RN 914216-98-1, ENTERED STN: 29 NOV 2006
【文献】
FILE REGISTRY ON STN, RN 880443-39-0, ENTERED STN: 14 APR 2006
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記痛みが、片頭痛、炎症性疼痛、神経障害性の痛み、急性疼痛、慢性疼痛、激痛、術後疼痛、急性温熱性痛覚過敏、機械的な異痛症、内臓痛、または関節炎、心臓病、癌および糖尿病といった他の障害に関連する痛みである、請求項28に記載の薬学的組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特に断りがない限り、本明細書に使用される技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解される用語と同じ意味を有している。本明細書に参照されているすべての公開物および特許は、参照によってその全体が本明細書に援用される。
【0014】
A.定義
本明細書および添付の特許請求の範囲に使用されている不定冠詞「a」および「an」、ならびに定冠詞「the」は、文脈が明らかに指定していない限り、複数および単数の言及を包含している。
【0015】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「アルキル」という用語は、直鎖状または分枝鎖状の一価の飽和炭化水素ラジカルを指し、アルキルは、1つ以上の置換基によって任意に置換されていてもよい。「アルキル」という用語は、他に指定がない限り、直鎖状および分枝鎖状のアルキルの両方を包含している。一部の実施形態において、アルキルは、1〜20(C
1-20)、1〜15(C
1-15)、1〜12(C
1-12)、1〜10(C
1-10)もしくは1〜6(C
1-6)の炭素原子を有している、直鎖状の一価の飽和炭化水素ラジカル、または3〜20(C
3-20)、3〜15(C
3-15)、3〜12(C
3-12)、3〜10(C
3-10)もしくは3〜6(C
3-6)の炭素原子を有している、分枝鎖状の一価の飽和炭化水素ラジカルである。本明細書に使用されるとき、直鎖状のC
1-6および分枝鎖状のC
3-6アルキル基は、「低級アルキル」とも呼ばれる。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル(すべての異性体(例えば、n−プロピル、イソプロピル)を包含している)、ブチル(すべての異性体(例えば、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル)を包含している)、ペンチル(すべての異性体を包含している)およびヘキシル(すべての異性体を包含している)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、C
1-6アルキルは、1〜6の炭素原子の、直鎖状の一価の飽和炭化水素ラジカル、または3〜6の炭素原子の、分枝鎖状の一価の飽和炭化水素ラジカルを指す。一部の実施形態において、アルキルは、本明細書の他の箇所に記載されている通り、任意に置換されている。いくつかの実施形態において、アルキルは、1つ以上のハロによって任意に置換されている。
【0016】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「アルケニル」という用語は、1つ以上の、一実施形態において1〜5の炭素−炭素二重結合を有している、直鎖状または分枝鎖状の一価の炭化水素ラジカルを指す。アルケニルは、1つ以上の置換基によって任意に置換されていてもよい。また、「アルケニル」という用語は、当業者に理解される通り、「シス」および「トランス」立体配置(すなわち、代替的に「E」および「Z」立体配置)を有しているラジカルを包含している。本明細書に使用されるとき、特に断りがない限り、「アルケニル」という用語は、直鎖状または分枝鎖状のアルケニルを包含している。例えば、C
2-6アルケニルは、2〜6の炭素原子の、直鎖状の一価の不飽和炭化水素ラジカル、または3〜6の炭素原子の、分枝鎖状の一価の不飽和炭化水素ラジカルを指す。一部の実施形態において、アルケニルは、2〜20(C
2-20)、2〜15(C
2-15)、2〜12(C
2-12)、2〜10(C
2-10)もしくは2〜6(C
2-6)の炭素原子を有している、直鎖状の一価の炭化水素ラジカル、または3〜20(C
3-20)、3〜15(C
3-15)、3〜12(C
3-12)、3〜10(C
3-10)もしくは3〜6(C
3-6)の炭素原子を有している、分枝鎖状の一価の炭化水素ラジカルである。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペン−1−イル、プロペン−2−イル、アリル、ブテニルおよび4−メチルブテニルが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、アルケニルは、本明細書の他の箇所に記載されている通り、任意に置換されている。いくつかの実施形態において、アルケニルは、1つ以上のハロによって任意に置換されている。
【0017】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「アルキニル」という用語は、1つ以上(一実施形態において1〜5つ)の、炭素−炭素三重結合を有している、直鎖状または分枝鎖状の一価の炭化水素ラジカルを指す。アルキニルは、1つ以上の置換基によって任意に置換されていてもよい。特に断りがない限り、「アルキニル」という用語は、直鎖状または分枝鎖状のアルキニルを包含している。一部の実施形態において、アルキニルは、2〜20(C
2-20)、2〜15(C
2-15)、2〜12(C
2-12)、2〜10(C
2-10)、もしくは2〜6(C
2-6)の炭素原子を有している、直鎖状の一価の炭化水素ラジカル、または3〜20(C
3-20)、3〜15(C
3-15)、3〜12(C
3-12)、3〜10(C
3-10)、もしくは3〜6(C
3-6)の炭素原子を有している、分枝鎖状の一価の炭化水素ラジカルである。アルキニル基の例としては、エチニル(−C≡CH)およびプロパルギル(−CH
2C≡CH)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、C
2-6アルキニルは、2〜6の炭素原子の、直鎖状の一価の不飽和炭化水素ラジカル、または3〜6の炭素原子の、分枝鎖状の一価の不飽和炭化水素ラジカルを指す。一部の実施形態において、アルキニルは、本明細書の他の箇所に記載されている通り、任意に置換されている。いくつかの実施形態において、アルキニルは、1つ以上のハロによって任意に置換されている。
【0018】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「シクロアルキル」という用語は、1つ以上の置換基によって任意に置換されていてもよい、架橋および/または非架橋の、完全または部分的に飽和の環状の炭化水素ラジカルまたは環系を指す。一部の実施形態において、シクロアルキルは、3〜20(C
3-20)、3〜15(C
3-15)、3〜12(C
3-12)、3〜10(C
3-10)または3〜7(C
3-7)の炭素原子を有している。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、デカリニル、およびアダマンチルが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、シクロアルキルは、本明細書の他の箇所に記載されている通り、任意に置換されている。いくつかの実施形態において、シクロアルキルは、1つ以上のハロによって任意に置換されている。
【0019】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「ヘテロアルキル」という用語は、一定数の炭素原子および1つ以上(一実施形態において1〜3つ)の異種原子からなる安定な直鎖または分枝鎖を指す。上記異種原子は、O、N、SiおよびSからなる群から選択され、ここで、窒素原子および硫黄原子は任意に酸化され得、窒素異種原子は四級化され得る。一実施形態において、(複数の)異種原子OおよびNは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置に配置され得る。一実施形態において、(複数の)異種原子SおよびSiは、ヘテロアルキル基の任意の位置(例えば、内部位置または末端位置)(ヘテロアルキル基が分子の残部に結合している位置が挙げられる)に配置され得る。例としては、−CH
2−CH
2−O−CH
3、−CH
2−CH
2−NH−CH
3、−CH
2−CH
2−N(CH
3)−CH
3、−CH
2−S−CH
2−CH
3、−CH
2−CH
2−S(O)−CH
3、−CH
2−CH
2−S(O)
2−CH
3、−CH=CH−O−CH
3、−Si(CH
3)
3、−CH
2−CH=N−OCH
3、および−CH=CH−N(CH
3)−CH
3が挙げられるが、これらに限定されない。最大2つの異種原子は、連続し得る(例えば、−CH
2−NH−OCH
3および−CH
2−O−Si(CH
3)
3など)。一部の実施形態において、ヘテロアルキルは、本明細書の他の箇所に記載されている通り、任意に置換されている。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキルは、1つ以上のハロによって任意に置換されている。
【0020】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「アルコキシル」または「アルコキシ」という用語は、一定数の炭素原子および1つ以上(一実施形態において1〜3つ)のO原子からなる安定な、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭化水素ラジカルまたは環状の炭化水素ラジカル、またはそれらの組み合わせを指し、ここで、少なくとも1つのO原子は、アルコキシルまたはアルコキシ基が分子の残部に結合している位置に配置され得る。アルコキシルの例としては、−O−CH
3、−O−CF
3、−O−CH
2−CH
3、−O−CH
2−CH
2−CH
3、−O−CH(CH
3)
2、および−O−CH
2−CH
2−O−CH
3が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、アルコキシルは、本明細書の他の箇所に記載されている通り、任意に置換されている。いくつかの実施形態において、アルコキシルは、1つ以上のハロによって任意に置換されている。
【0021】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「アミノアルキル」または「アルキルアミノ」という用語は、一定数の炭素原子および1つ以上(一実施形態において1〜3つ)のN原子からなる安定な、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭化水素ラジカル、または環状の炭化水素ラジカル、またはそれらの組み合わせを指し、ここで、少なくとも1つのN原子は、アミノアルキルまたはアルキルアミノ基が分子の残部に結合している位置に配置され得る。アミノアルキルの例としては、−NH−CH
3、−N(CH
3)
2、−NH−CH
2−CH
3、−N(CH
3)−CH
2−CH
3、−NH−CH(CH
3)
2、および−NH−CH
2−CH
2−N(CH
3)
2が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、アミノアルキルは、本明細書の他の箇所に記載されている通り、任意に置換されている。いくつかの実施形態において、アミノアルキルは、1つ以上のハロによって任意に置換されている。
【0022】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「アリール」という用語は、少なくとも1つの芳香族炭化水素環を含んでいる、任意に置換されている単環式または多環式のラジカルまたは環系を指す。一部の実施形態において、アリールは、6〜20(C
6-20)、6〜15または6〜10の環原子を有している。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アズレニル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、ビフェニル、およびテルフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、アリールは、二環式、三環式または四環式の炭素環を指し、1つの環は芳香族であり、他の環は、飽和、部分的に不飽和または芳香族であり得る(例えば、ジヒドロナフチル、インデニル、インダニル、またはテトラヒドロナフチル(テトラリニル))。一部の実施形態において、アリールは、二環式、三環式または四環式の環系を指し、少なくとも1つ環は芳香族であり、1つ以上の環は、独立して、O、SおよびNから選択される1つ以上の異種原子を含有しており、飽和または部分的に不飽和である。一部の実施形態において、アリールは、本明細書の他の箇所に記載されている通り、1つ以上の置換基によって任意に置換されている。
【0023】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「アリールアルキル」または「アラルキル」という用語は、アリールによって置換されている一価のアルキル基を指す。アラルキルの例としてはベンジルが挙げられるが、これに限定されない。一部の実施形態において、アルキルおよびアリールはいずれも、本明細書の他の箇所に記載されている通り、1つ以上の置換基によって任意に置換されている。
【0024】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「ヘテロアルキル」または「ヘテロアラルキル」という用語は、ヘテロアリールによって置換されている一価のアルキル基を指す。一部の実施形態において、ヘテロアルキルおよびヘテロアリールはいずれも、本明細書の他の箇所に記載されている通り、1つ以上の置換基によって任意に置換されている。
【0025】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「ヘテロアリール」という用語は、それぞれが独立してO、S、およびNから選択される1つ以上の異種原子を有している少なくとも1つの芳香環を含んでいる、任意に置換されている単環式または多環式のラジカルまたは環系を指す。一部の実施形態において、各環における異種原子の総数が4以下であり、各環が少なくとも1つの炭素原子を含んでいる条件のもとに、ヘテロアリール基の各環は、1もしくは2つのO原子、1もしくは2つのS原子および/または1〜4つのN原子を含み得る。一部の実施形態において、ヘテロアリールは、5〜20、5〜15、または5〜10の環原子を有している。一部の実施形態において、ヘテロアリールは、二環式、三環式または四環式の炭素環を指し、ここで、1つの環は独立して、O、S、およびNから選択される1つ以上の異種原子を有している芳香族であり、他の環は、飽和、部分的に不飽和または芳香族であり得、かつ炭素環式であり得るか、または1つ以上の異種原子(独立して、O、SおよびNから選択される)を含み得る。単環式のヘテロアリール基の例としては、フラニル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、テトラゾリル、トリアジニル、およびトリアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。二環式のヘテロアリール基の例としては、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズオキサゾリル、フロピリジル、イミダゾピリジニル、イミダゾチアゾリル、インドリジニル、インドリル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソベンゾチエニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサゾロピリジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピリドピリジル、ピロロピリジル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、チアジアゾロピリミジル、およびチエノピリジルが挙げられるが、これらに限定されない。三環式のヘテロアリール基の例としては、アクリジニル、ベンズインドリル、カルバゾリル、ジベンゾフラニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナントリジニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、およびキサンテニルが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、ヘテロアリールは、本明細書の他の箇所に記載されている通り、1つ以上の置換基によって任意に置換されている。
【0026】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロシクリル」という用語は、少なくとも1つの非芳香族環を含んでいる、任意に置換されている単環式または多環式の環系を指し、ここで、当該非芳香族環は、1つ以上の異種原子を有しており、当該1つ以上の異種原子は独立して、O、SおよびNから選択される。一部の実施形態において、ヘテロシクリル基またはヘテロ環式基は、3〜20、3〜15、3〜10、3〜8、4〜7または5〜6の環原子を有している。一部の実施形態において、ヘテロシクリルまたはヘテロシクロアルキルは、縮合環系または架橋環系を含み得る単環式、二環式、三環式または四環式の環系であり、当該環系において、窒素または硫黄原子は任意に酸化され得、窒素原子は任意に四級化され得、環炭素はオキソによって任意に置換され得、いくつかの環は、部分的もしくは完全に飽和され得るか、または芳香族であり得る。ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクリルは、安定な化合物の生成をもたらしている主要構造に対して、異種原子または炭素原子において結合され得る。例としては、アゼピニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラノニル、ベンゾピラノニル、ベンゾピラニル、ベンゾテトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロチエニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾキサジニル、β−カルボリニル、クロマニル、クロモニル、シンノリニル、クマリニル、デカヒドロイソキノリニル、ジヒドロベンズイソチアジニル、ジヒドロベンズイソキサジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロピラニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジオキソラニル、1,4−ジチアニル、フラノニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、インドリニル、イソベンゾテトラヒドロフラニル、イソベンゾテトラヒドロチエニル、イソクロマニル、イソクマリニル、イソインドリニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルフォリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、オキサゾリジノニル、オキサゾリジニル、オキシラニル、ピペラジニル、ピペリジニル、4−ピペリドニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジニル、ピロリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、チアモルフォリニル、チアゾリジニル、テトラヒドロキノリニル、および1,3,5−トリチアニルが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、ヘテロシクリルまたはヘテロシクロアルキル環が1つ以上のOを含んでいる場合、ヘテロシクリルまたはヘテロシクロアルキルは、「シクロアルコキシル」と呼ばれ得る。一部の実施形態において、ヘテロシクリルまたはヘテロシクロアルキルは、本明細書の他の箇所に記載されている通り、1つ以上の置換基によって任意に置換されている。
【0027】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「ハロゲン」、「ハライド」または「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素および/またはヨウ素を指す。
【0028】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「水素」という用語は、陽子(
1H)、重水素(
2H)、トリチウム(
3H)および/またはそれらの混合物を包含している。本明細書に記載されている化合物において、水素によって占められている1つ以上の位置は、重水素および/またはトリチウムを用いて濃縮され得る。そのような同位体的に濃縮された類似体は、民間の供給源から入手されるか、または公知の文献の手法を用いて調製される、同位体的に標識された好適な出発物質から調製され得る。
【0029】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、本明細書に示されている化合物の原子は、安定な同位体またはその原子の放射性同位体を表すと意図されている。一部の実施形態において、本明細書に示されている化合物は、当該化合物の考えらえるすべての同位体的な変種を包含している。例えば、特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、水素は、陽子(
1H)、重水素(
2H)、トリチウム(
3H)および/またはそれらの混合物を包含している。一実施形態において、ある位置が「H」または「水素」と表されている場合、当該位置は、天然の同位体組成において水素を有していると理解される。一実施形態において、ある位置が「H」または「水素」と表されている場合、当該位置は、同位体的に濃縮された組成(すなわち、その原子の天然の同位体組成以外の同位体組成)において水素を有していると理解される。一実施形態において、本明細書に示されている化合物は、水素原子が存在する1つ以上の位置に重水素を任意に含んでおり、1つ以上の原子の重水素組成は、天然の同位体組成以外の組成である。一実施形態において、本明細書に示されている化合物は、1つ以上の位置に他の元素にとっての同位体を任意に含んでおり、これらの同位体としては、
13C、
14C、
33S、
34S、
36S、
15N、
17Oおよび/または
18Oが挙げられるが、これらに限定されず、1つ以上の原子の同位体組成は、天然の同位体組成以外の組成である。
【0030】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「同位体変種」という用語は、化合物を構成する1つ以上の原子において同位体を、異常な比率において含んでいる化合物を指す。一部の実施形態において、化合物の「同位体変種」は、異常な比率において1つ以上の同位体(水素(
1H)、重水素(
2H)、トリチウム(
3H)、炭素−11(
11C)、炭素−12(
12C)、炭素−13(
13C)、炭素−14(
14C)、窒素−13(
13N)、窒素−14(
14N)、窒素−15(
15N)、酸素−14(
14O)、酸素−15(
15O)、酸素−16(
16O)、酸素−17(
17O)、酸素−18(
18O)、フッ素−17(
17F)、フッ素−18(
18F)、リン−31(
31P)、リン−32(
32P)、リン−33(
33P)、硫黄−32(
32S)、硫黄−33(
33S)、硫黄−34(
34S)、硫黄−35(
35S)、硫黄−36(
36S)、塩素−35(
35Cl)、塩素−36(
36Cl)、塩素−37(
37Cl)、臭素−79(
79Br)、臭素−81(
81Br)、ヨウ素−123(
123I)、ヨウ素−125(
125I)、ヨウ素−127(
127I)、ヨウ素−129(
129I)、およびヨウ素−131(
131I)が挙げられるが、これらに限定されない)を含んでいる。一部の実施形態において、化合物の「同位体変種」は、安定型(すなわち非放射性)である。一部の実施形態において、化合物の「同位体変種」は、異常な比率において1つ以上の同位体(水素(
1H)、重水素(
2H)、炭素−12(
12C)、炭素−13(
13C)、窒素−14(
14N)、窒素−15(
15N)、酸素−16(
16O)、酸素−17(
17O)、酸素−18(
18O)、フッ素−17(
17F)、リン−31(
31P)、硫黄−32(
32S)、硫黄−33(
33S)、硫黄−34(
34S)、硫黄−36(
36S)、塩素−35(
35Cl)、塩素−37(
37Cl)、臭素−79(
79Br)、臭素−81(
81Br)、およびヨウ素−127(
127I)が挙げられるが、これらに限定されない)を含んでいる。一部の実施形態において、化合物の「同位体変種」は、不安定型(すなわち放射性)である。一部の実施形態において、化合物の「同位体変種」は、異常な比率において1つ以上の同位体(トリチウム(
3H)、炭素−11(
11C)、炭素−14(
14C)、窒素−13(
13N)、酸素−14(
14O)、酸素−15(
15O)、フッ素−18(
18F)、リン−32(
32P)、リン−33(
33P)、硫黄−35(
35S)、塩素−36(
36Cl)、ヨウ素−123(
123I)、ヨウ素−125(
125I)、ヨウ素−129(
129I)、およびヨウ素−131(
131I)が挙げられるが、これらに限定されない)を含んでいる。当業者の判断によって実行可能である場合、本明細書に示されているような化合物において、任意の水素は、例えば
2Hであり得るか、任意の炭素は、例えば
13Cであり得るか、任意の窒素は、例えば
15Nであり得るか、任意の酸素は、例えば
18Oであり得ることが理解される。一部の実施形態において、化合物の「同位体変種」は、異常な比率において重水素(D)を含んでいる。
【0031】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「任意に置換されている」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシル、アミノアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルといった基が、例えば以下の(a)および(b)から、それぞれ独立して選択される1つ以上の置換基を用いて置換され得ることを意味することが意図されている。(a)1つ以上(一実施形態において1、2、3または4つ)の置換基Q
1を用いて、それぞれが任意に置換されているC
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-7シクロアルキル、C
6-14アリール、C
7-15アラルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクリル;ならびに(b)ハロ、シアノ(−CN)、ニトロ(−NO
2)、オキソ(=O)、−C(O)R
a、−C(O)OR
a、−C(O)NR
bR
c、−C(NR
a)NR
bR
c、−OR
a、−OC(O)R
a、−OC(O)OR
a、−OC(O)NR
bR
c、−OC(=NR
a)NR
bR
c、−OS(O)R
a、−OS(O)
2R
a、−OS(O)NR
bR
c、−OS(O)
2NR
bR
c、−NR
bR
c、−NR
aC(O)R
d、−NR
aC(O)OR
d、−NR
aC(O)NR
bR
c、−NR
aC(=NR
d)NR
bR
c、−NR
aS(O)R
d、−NR
aS(O)
2R
d、−NR
aS(O)NR
bR
c、−NR
aS(O)
2NR
bR
c、−SR
a、−S(O)R
a、−S(O)
2R
a、−S(O)NR
bR
cおよび−S(O)
2NR
bR
c(ここで、R
a、R
b、R
cおよびR
dのそれぞれは独立して、(i)水素であるか;(ii)1つ以上(一実施形態において1、2、3または4つ)の置換基Q
1を用いて、それぞれが任意に置換されているC
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-7シクロアルキル、C
6-14アリール、C
7-15アラルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクリルであるか;または(iii)R
bおよびR
cは、それらが結合されているN原子とともに、1つ以上(一実施形態において1、2、3または4つ)の置換基Q
1を用いて、それぞれが任意に置換されているヘテロアリールまたはヘテロシクリルを形成している)。本明細書に使用されるとき、特に断りがない限り、置換され得るすべての基は、「任意に置換されている」。
【0032】
一実施形態において、Q
1のそれぞれは独立して、(a)シアノ、ハロ、オキソおよびニトロ;(b)C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-7シクロアルキル、C
6-14アリール、C
7-15アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクリル;ならびに(c)−C(O)R
e、−C(O)OR
e、−C(O)NR
fR
g、−C(=NR
e)NR
fR
g、−OR
e、−OC(O)R
e、−OC(O)OR
e、−OC(O)NR
fR
g、−OC(=NR
e)NR
fR
g、−OS(O)R
e、−OS(O)
2R
e、−OS(O)NR
fR
g、−OS(O)
2NR
fR
g、−NR
fR
g、−NR
eC(O)R
h、−NR
eC(O)OR
h、−NR
eC(O)NR
fR
g、−NR
eC(=NR
h)NR
fR
g、−NR
eS(O)R
h、−NR
eS(O)
2R
h、−NR
eS(O)NR
fR
g、−NR
eS(O)
2NR
fR
g、−SR
e、−S(O)R
e、−S(O)
2R
e、−S(O)NR
fR
g、および−S(O)
2NR
fR
gからなる群から選択され、ここで、R
e、R
f、R
gおよびR
hのそれぞれは独立して、(i)水素であるか;(ii)C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-7シクロアルキル、C
6-14アリール、C
7-15アラルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクリルであるか;または(iii)R
fおよびR
gは、それらが結合されているN原子とともに、ヘテロアリールもしくはヘテロシクリルを形成している。
【0033】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「薬学的に許容可能な塩」という用語は、薬学的に許容可能な無毒の酸(例えば、無機酸および有機酸)、または薬学的に許容可能な無毒の塩基(例えば、無機塩基および有機塩基)から調製される塩を指す。
【0034】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「溶媒和物」という用語は、共有結合ではない分子間力によって結合されている化学量論的または非化学量論的な量の溶媒をさらに含んでいる、本明細書に示されている化合物またはその塩を指す。溶媒が水のとき、溶媒和物は水和物である。
【0035】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「立体異性体」という用語は、本明細書に示されている、鏡像異性的/立体異性的に純粋なすべての化合物および鏡像異性的/立体異性的に富化されたすべての化合物を包含している。
【0036】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「立体異性的に純粋な」という用語は、化合物の立体異性体の1つを含んでおり、当該化合物の他の立体異性体を実質的に含んでいない組成を意味する。例えば、1つのキラル中心を有している化合物の立体異性的に純粋な組成は、当該化合物の逆の鏡像異性体を実質的に含んでいない。2つのキラル中心を有している化合物の立体異性的に純粋な組成は、当該化合物の他のジアステレオマーを実質的に含んでいない。標準的な、立体異性的に純粋な化合物は、(1)約80重量%を超える当該化合物の1つの立体異性体および約20重量%未満の当該化合物の他の立体異性体、(2)約90重量を超える当該化合物の1つの立体異性体および約10重量%未満の当該化合物の他の立体異性体、(3)約95重量%を超える当該化合物の1つの立体異性体および約5重量%未満の当該化合物の他の立体異性体、(4)約97重量%を超える当該化合物の1つの立体異性体および約3重量%未満の当該化合物の他の立体異性体、または(5)約99重量%を超える当該化合物の1つの立体異性体および約1重量%未満の当該化合物の他の立体異性体を含んでいる。
【0037】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「立体異性的に富化された」という用語は、約55重量%を超える化合物の1つの立体異性体、約60重量%を超える化合物の1つの立体異性体、約70重量%を超える化合物の1つの立体異性体、または約80重量%を超える化合物の1つの立体異性体を包含している。
【0038】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「鏡像異性的に純粋な」という用語は、1つのキラル中心を有している化合物の立体異性的に純粋な組成を意味する。同様に、「鏡像異性的に富化された」という用語は、1つのキラル中心を有している化合物の立体異性的に富化された組成を意味する。
【0039】
一部の実施形態において、特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「光学活性な」および「鏡像異性的に活性な」は、約50%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上の過剰な鏡像異性的を有している分子の集合を指す。一部の実施形態において、化合物は、注目しているラセミ体の総重量に基づいて、約95%以上の所望の鏡像異性体および約5%以下の好ましくない鏡像異性体を含んでいる。
【0040】
光学活性な化合物の説明において、前置記号RおよびSは、(複数の)そのキラル中心についての、分子の絶対立体配置を表すために使用される。(+)および(−)は、化合物の旋光性(すなわち偏光の平面が光学活性な化合物によって回転させられる方向)を表すために使用される。前置記号(−)は、化合物が左旋性である(すなわち、化合物が、左、時計と反対の方向に偏光面を回転させる)ことを表している。前置記号(+)は、化合物が右旋性である(すなわち、化合物が、右、時計方向に偏光面を回転させる)こと表している。しかし、旋光性の記号である(+)および(−)は、分子の絶対立体配置、RおよびSと関連しない。
【0041】
特に断りがない限り、本明細書において使用されるとき、「約」または「およそ」という用語は、当業者によって決定されるような特定の値についての許容可能な誤差を意味しており、当該誤差は、当該値が測定または決定される方法に部分的に依存している。一部の実施形態において、「約」または「およそ」という用語は、1、2、3または4の標準偏差の範囲内を意味する。一部の実施形態において、「約」または「およそ」という用語は、所定の値または範囲の、50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%または0.05%の範囲内を意味する。
【0042】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「薬学的に許容可能な担体」、「薬学的に許容可能な賦形剤」、「生理学的に許容可能な担体」、または「生理学的に許容可能な賦形剤」は、薬学的に許容可能な材料、組成物または媒体(例えば、液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、溶解剤またはカプセル化材料)を指す。一実施形態において、各成分は、薬学的製剤の他の成分と適合性であるという意味、ならびに過剰な毒性、刺激作用、アレルギー反応、免疫原性または他の問題もしくは合併症なしに、適当な利益/リスク比に見合って、ヒトおよび動物の組織または器官と接触させる使用にとって好適であるという意味において、「薬学的に許容可能」である。Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, Lippincott Williams & Wilkins: Philadelphia, PA, 2005; Handbook of Pharmaceutical Excipients, 5th Edition, Rowe et al., eds., The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association: 2005; and Handbook of Pharmaceutical Additives, 3rd Edition, Ash and Ash eds., Gower Publishing Company: 2007; Pharmaceutical Preformulation and Formulation, 2nd Edition, Gibson ed., CRC Press LLC: Boca Raton, FL, 2009を参照すればよい。
【0043】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「活性成分」および「活性物質」という用語は、好ましくない健康状態、障害または疾患の1つ以上の症状を処置するため、予防するため、または改善するために、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わせて、または単独に患者に対して投与される化合物を指す。本明細書に使用されるとき、「活性成分」および「活性物質」は、本明細書に示されている化合物の光学活性な異性体であり得る。
【0044】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「薬剤」および「治療薬」という用語は、好ましくない健康状態、障害または疾患の1つ以上の症状を処置するため、予防するため、管理するため、または改善するために、対象に対して投与される化合物またはその薬学的組成物を指す。
【0045】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「処置する」、「処置すること」および「処置」という用語は、疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害に関連する1つ以上の症状の根治または改善を指す。一部の実施形態において、上記用語は、疾患または障害を有している対象に1つ以上の予防薬または治療薬を投与した結果として生じる、当該疾患または障害の拡大または悪化を最小化することを指す。いくつかの実施形態において、この用語は、特定疾患の症状の発生後における、他の追加の活性成分のあり、またはなしの、本明細書に示されている化合物の投与を指す。
【0046】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「予防する」、「予防すること」および「予防」という用語は、疾患もしくは障害、またはその1つ以上の症状の発生、再発または拡大の予防を指す。一部の実施形態において、この用語は、特に本明細書に示されている疾患または障害のリスクのある患者に対する、他の追加の活性成分のあり、またはなしの、症状の発生前における本明細書に示されている化合物を用いた処置または当該化合物の投与を指す。この用語は、特定疾患の症状の抑制または軽減を包含している。特に家族歴を有している患者は、一部の実施形態において予防措置についての候補である。またさらに、反復性症状の病歴を有している患者は、予防についての候補である。この点について、「予防」という用語は、「予防処置」という用語と交換可能に使用され得る。
【0047】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「管理する」という用語は、疾患もしくは障害またはその1つ以上の症状の進行、拡大または悪化を予防すること、または遅延させることを指す。対象が予防薬および/または治療薬から受ける有益な作用は、しばしば疾患または障害の治癒をもたらさない。この点について、「管理する」という用語は、疾患の再発を予防するか、または最小にする試みにおいて、特定疾患の患者を処置することを包含している。
【0048】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、特定の薬学的組成物の投与による特定の障害の症状の「改善」という用語は、持続的または一時的、恒久的または一過性であるか否かにかかわらず、組成物の投与に起因するか、または関連する任意の軽減を指す。
【0049】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、化合物の「治療に有効な量」は、疾患もしくは障害の処置もしくは管理において治療上の利益をもたらすために十分な量、または疾患もしくは障害に関連する1つ以上の症状の遅延もしくは最小化に十分な量である。化合物の治療に有効な量は、他の治療法と組み合わせて、または単独に、疾患または障害の処置または管理において治療上の利益をもたらす治療薬の量を意味する。「治療に有効な量」という用語は、全体的な治療を改善させる量、疾患もしくは障害の症状もしくは原因を軽減もしくは回避する量、または他の治療薬の治療有効性を向上させる量を包含し得る。
【0050】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、化合物の「治療に有効な量」は、疾患もしくは障害を予防するために十分な量、またはその再発を予防するために十分な量である。化合物の予防に有効な量は、他の治療法と組み合わせて、または単独に、疾患の予防において予防上の利益をもたらす治療薬の量を意味する。「予防に有効な量」という用語は、全体的な予防を改善させる量、または他の予防薬の予防有効性を向上させる量を包含し得る。
【0051】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「対象」という用語は、動物(例えば、哺乳類(霊長類(例えばヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラットおよびマウスなどが挙げられるが、これらに限定されない))を包含するように、本明細書に規定されている。特定の実施形態において、対象はヒトである。
【0052】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「オピオイド受容体リガンド」または「オピオイドリガンド」という用語は、オピオイド受容体に結合する任意の化合物を指す。特に断りがない限り、オピオイド受容体としては、μ−オピオイド受容体が挙げられるが、これに限定されない。リガンドとしては、所定のオピオイド受容体の内因性リガンド、ならびに天然に存在するアヘン剤、薬剤分子、および他の化合物(例えば、特定のオピオイド受容体に結合すると知られている合成分子)が挙げられる。いくつかの実施形態において、リガンドはアロステリック調節物質である。一実施形態において、リガンドは、1つ以上の放射性同位体(例えば、トリチウムまたは
11C)を用いて標識されたリガンド、または他の標識(例えば蛍光)を施したリガンドが挙げられる。いくつかの実施形態において、リガンドは、ポジトロン放出断層撮影(PET)のリガンドである。いくつかの実施形態において、所定のオピオイド受容体にとって適切なリガンド(例えば、アゴニストまたはアンタゴニスト)を選択することは、当業者の能力範囲内である。
【0053】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「神経障害」という用語は、哺乳類の中枢神経系または末梢神経系の好ましくない任意の状態を指す。「神経障害」という用語は、神経変性障害(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、レボドバ誘発性運動障害、および筋萎縮性側索硬化症)、神経精神病(例えば、統合失調症および一般的な不安障害(例えば不安症))および情動障害(例えば、鬱病、不安症および注意欠如障害)を包含しているが、これらに限定されない。神経障害の例としては、MLS(小脳性運動失調症)、ハンチントン病、ダウン症、多発脳梗塞性痴呆、癲癇重積症、挫傷損傷(例えば、脊髄損傷および頭部損傷)、ウイルスによって起こる神経変性(例えば、AIDSおよび脳障害)、てんかん、良性果糖尿症、閉鎖性頭部外傷、睡眠障害、鬱病(例えば、大鬱病性障害、気分変調、双極性障害)、不安症、認知症、運動障害、発作、痙攣、精神病、統合失調症、アルコール依存症、物質乱用、強迫性障害、外傷後ストレス障害、摂食障害、および線維筋痛などが挙げられるが、これらに限定されない。「神経障害」は、障害と関連する好ましくない任意の状態を包含している。例えば、神経変性障害を処置する方法としては、神経変性障害と関連する記憶の喪失および/または認知の低下を処置する方法が挙げられる。また、例示的な方法としては、神経変性障害に特徴的な神経機能の低下を処置すること、または予防することが挙げられる。また、一実施形態において、「神経障害」は、オピオイド受容体(例えばμ−オピオイド受容体)の活性と少なくとも部分的に関連する任意の疾患または好ましくない状態を包含している。
【0054】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「精神病」、「統合失調症」、「強迫性障害」、「薬物乱用」、「不安症」、「摂食障害」、「片頭痛」という用語、および本明細書の他の箇所に記載されている他のCNS疾患または神経疾患は、当該技術において受け入れられている意味と一致するように、本明細書に使用されている。例えば、the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th Ed., American Psychiatric Association (1997) (DSM-IV(商標))を参照すればよい。
【0055】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「情動障害」という用語は、鬱病、注意欠陥障害、注意欠陥過活動性障害、双極性障害および躁病などを包含している。「注意欠陥障害」(ADD)および「注意欠陥過活動性障害」(ADDH)(すなわち注意欠陥/過活動性障害(AD/HD))という用語は、the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th Ed., American Psychiatric Association (1997) (DSM-IV(商標))に見られる通りに受け入れられている意味にしたがって、本明細書に使用されている。
【0056】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「鬱病」という用語は、鬱病のすべての型(大鬱病性障害(MDD)、双極性障害、季節性情動障害(SAD)、気分変調、および治療抵抗性の鬱病が挙げられるが、これらに限定されない)を包含している。「大鬱病性障害」は、本明細書において、「単極性鬱病」および「大鬱病」と交換可能に用いられる。また、「鬱病」は、鬱病と一般に関連する好ましくない任意の状態(例えば、疲労(例えば、慢性疲労症候群)および認知欠損のすべての型)を包含し得る。
【0057】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「痙攣(convulsion)」という用語は、神経障害を指し、「発作(seizure)」と交換可能に用いられるが、多くの種類の発作があり、発作のいくつかは、痙攣ではなくわずかな症状または穏やかな症状を有している。すべての種類の発作は、脳における突発的な乱れた電気的活動によって引き起こされ得る。いくつかの実施形態において、痙攣は、筋肉が繰返し収縮し、かつ弛緩する制御不能な急速な震動である。
【0058】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「線維筋肉痛」という用語は、疲労および広範な他の症状をともなう、びまん性または特異性の筋肉痛、関節痛または骨の痛みによって特徴づけられる、好ましくない慢性の状態を指す。これまで、線維筋肉痛は、他の名称(例えば、結合組織炎、慢性筋肉痛症候群、心因性リウマチおよび緊張性筋肉痛)によって知られていた。
【0059】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「痛み(痛)」という用語は、不快な感覚および情動経験を指す。本明細書に使用されるとき、「痛み(痛)」という用語は、刺激または神経反応によって表現される痛みを含め、すべての分類の痛み(刺激または神経反応について記載されている痛み(例えば、体性痛(侵害刺激に対する通常の神経反応)、および神経障害性の痛み(しばしば明らかな侵害入力のない、障害された感覚経路または変質した感覚経路の異常反応));時間的に分類される痛み(例えば、慢性疼痛および急性疼痛);その重篤度(例えば、軽度、中程度または重度)について分類される痛み;疾患状態または病理現象の症状または結果である痛み(例えば、炎症性疼痛、がん性疼痛、AIDSの痛み、関節症、片頭痛、三叉神経痛、心虚血、糖尿病性の末梢神経障害の痛み)が挙げられる)を指す(例えば、Harrison's Principles of Internal Medicine, pp. 93-98 (Wilson et al., eds., 12th ed. 1991); Williams et al., J. of Med. Chem. 42: 1481-1485 (1999) (参照によってその全体が本明細書に援用される)を参照すればよい)。また、「痛み(痛)」は、複合病因性の疼痛、二重機序の疼痛、異痛症、灼熱痛、中心性疼痛、感覚過敏、痛覚異常鋭敏症、知覚異常および痛覚過敏を包含していると意図されている。さらに、「痛み(痛)」という用語は、神経系の機能障害から生じる痛み:神経障害性の痛みの臨床的特徴および考えられる通常の病態生理学的な機序を共有しているが、神経系の任意の部位における特定可能な病変によって生じていない器質性疼痛の状態を包含している。
【0060】
「体性痛」という用語は、本明細書に使用されるとき、侵害刺激(例えば、損傷または病気(例えば、外傷、火傷、感染症、炎症または疾患の過程(例えば、がん)))に対する正常な神経応答を指し、体性痛としては、皮膚痛覚(例えば、皮膚、筋肉または関節に由来)および内臓痛(例えば器官に由来)の両方が挙げられる。
【0061】
本明細書に使用されるとき、「神経障害性の痛み」という用語は、神経系に対する損傷から生じる神経学的な状態の異種の一群を指す。また、この用語は、末梢および/または中枢の感覚経路に対する損傷または当該間隔経路の機能障害、ならびに神経系の機能障害から生じる痛みを指し、当該痛みは、明らかな傷害入力なしに、しばしば生じるか、または持続する。当該痛みとしては、これには、末梢神経障害に関する痛み、および中枢神経障害性の痛みが挙げられる。末梢神経障害性の痛みの一般的な種類としては、糖尿病性ニューロパシー(糖尿病性の末梢神経障害性の痛み(すなわちDN、DPN、またはDPNP)とも呼ばれる)、ヘルペス後神経痛(PHN)、および三叉神経痛(TGN)が挙げられる。脳または脊髄に対する損傷に関与する中枢神経障害性の痛みは、脳卒中を受けて、脊髄損傷を受けて、かつ多発性硬化症の結果として、起こり得、当該用語によって包含される。神経障害性の痛みの定義に包含されると意図されている他の種類の痛みとしては、神経障害性のがん性疼痛、HIV/AIDSに誘導される疼痛、幻肢痛および複合性の局所疼痛症候群に由来する痛みが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
また、この用語は、神経障害性の痛みの一般的な臨床徴候(知覚消失、異痛症(非侵害刺激を生じる痛み)、痛覚過敏および痛覚異常鋭敏症(知覚遅延、加重および有痛性の残感覚)が挙げられるが、これらに限定されない)を包含している。痛みは、しばしば、侵害受容性の種類および神経障害性の種類の組み合わせ(例えば、機械的な脊髄痛、および神経根症もしくは脊髄症)である。
【0063】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「急性疼痛」という用語は、侵襲的手法、外傷および疾患と典型的に関連する化学的、熱的または機械的な侵害刺激に対する、予測される正常な生理学的な反応を指す。急性疼痛は、一般的に期間に限りがあり、組織損傷の恐れのある刺激および/または組織損傷を生じる刺激に対する適切な反応とみなされ得る。また、この用語は、短期間または突発的な発生によって特徴づけられる痛みを指す。
【0064】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「慢性疼痛」という用語は、広範な障害において生じる痛み(例えば、外傷、悪性腫瘍および慢性の炎症性疾患(例えば関節リウマチ))を包含している。慢性疼痛は、約6ヶ月間を超えて持続し得る。さらに、慢性疼痛の強度は、侵害刺激または元になっている過程の強度に対して不均衡であり得る。また、この用語は、慢性障害と関連する痛み、および元になっている障害の回復もしくは損傷の治癒の後に持続し、かつしばしば元になっている過程が予測させる強度を超えている痛みを指す。慢性疼痛は、頻繁に再発しやすい。
【0065】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「炎症性痛覚」という用語は、組織損傷および生じた炎症性過程において生じる痛みである。炎症性痛覚は、治癒を促進する生理反応を誘導する点において調節性である。しかし、炎症は神経機能に影響を及ぼし得る。炎症性の媒介物質(COX2酵素、ブラジキニンおよび他の物質によって誘導されるPGE
2が挙げられる)は、痛覚伝達ニューロン上の受容体に結合し、かつそれらの機能を変化させて、それらの興奮性を増大させ、これによって痛覚を増幅させる。多くの慢性疼痛は、炎症性の要素を有している。また、この用語は、炎症または免疫系障害の症状または結果としてもたらされる痛みを指す。
【0066】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「内臓痛」という用語は、内部の器官に認められる痛みを指す。
【0067】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「複合病因性の疼痛」という用語は、炎症性および神経障害性の両方の要素を有している痛みを指す。
【0068】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「二重機序の疼痛」という用語は、末梢性および中枢性の過敏化の両方によって増幅され、かつ維持される痛みを指す。
【0069】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「灼熱痛」という用語は、血管運動および汗腺神経の機能障害、ならびに遅れて生じる栄養変化をしばしば同時に生じる、外傷性の神経病変の後における持続性の焼灼、異痛症、および痛覚異常鋭敏症の症候群を指す。特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「中心性疼痛」という用語は、中枢神経系における原発性病変または機能障害によって引き起こされる痛みを指す。
【0070】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「知覚過敏」という用語は、特殊感覚を除く刺激に対する感受性の増大を指す。
【0071】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「痛覚異常鋭敏症」という用語は、刺激(特に繰り返し刺激)に対する異常な有痛性の反応、および/または上昇した閾値によって特徴づけられる痛みの症候群を指す。痛覚異常鋭敏症は、異痛症、知覚過敏、痛覚過敏または知覚不全をともに生じ得る。
【0072】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「知覚不全」という用語は、自然発生であるか、または誘引性であるかにかかわらず、不快な知覚異常を指す。一部の実施形態において、知覚不全は、痛覚過敏および異痛症を包含している。
【0073】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「痛覚過敏」という用語は、一般的に有痛性である刺激に対する増大した反応を指す。痛覚過敏は、閾値上刺激に対する増幅された痛みを反映する。
【0074】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「異痛症」という用語は、一般的に痛みを起こさせない刺激に起因する痛みを指す。
【0075】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「糖尿病性の末梢神経障害性の痛み」(DPNP)(糖尿病性神経障害、DNまたは糖尿病性末梢神経障害とも呼ばれる)という用語は、糖尿病と関連する神経障害によって引き起こされる慢性疼痛を指す。DPNPのよく知られた症状は、「焼けるような痛み」または「刺すような痛み」だけでなく、激しくうずく痛みとしても説明され得る足の痛みまたはうずきである。やや一般的ではないが、患者は、痛みを、掻痒、引き裂き、または歯痛に類すると説明することもある。痛みは、異痛症および痛覚過敏、ならびに無症状(例えば、知覚麻痺)をともない得る。
【0076】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「帯状疱疹後神経痛」(「ヘルペス感染後神経痛(PHN)」とも呼ばれる)という用語は、神経繊維および皮膚を侵襲する、痛みをともなう好ましくない状態を指す。特定の理論によって縛られることなく、初期に水痘を引き起こす帯状疱疹の合併症、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の二次的な突発である。
【0077】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「神経障害性のがん性疼痛」という用語は、がんの後遺症としての末梢神経障害性の痛みを指し、腫瘍による神経の浸潤または圧迫によって直接的に引き起こされ得、がんの処置(例えば、放射線療法および化学療法(化学療法誘導性の神経障害))によって間接的に引き起こされ得る。
【0078】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「HIV/AIDSの末梢神経障害」または「HIV/AIDS関連神経障害」という用語は、HIV/AIDSによって引き起こされる末梢神経障害(例えば、急性の炎症性脱髄性神経障害または慢性の炎症性脱髄性神経障害(それぞれAIDPおよびCIDP))、およびHIV/AIDSを処置するために使用される薬剤の副作用として生じた末梢神経障害を指す。
【0079】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「幻肢痛」という用語は、切断された手足が以前にあった場所から来るように思われる痛みを指す。幻肢痛は、麻痺に(例えば、脊髄損傷)続いて手足に生じ得る。「幻肢痛」は、一般に、本質的に慢性である。
【0080】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「三叉神経痛」という用語は、神経の分岐がある顔面の領域(唇、目、鼻、頭皮、額、上顎および下顎)における、刺すような激しい電撃様の痛みを引き起こす第5脳(三叉)神経の障害を指す。三叉神経痛は「自殺病」としても知られている。
【0081】
特に断りがない限り、本明細書に使用されるとき、「複合性の局所疼痛症候群(CRPS)」(以前は、反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)として知られていた)という用語は、主な症状が、時間の経過とともに改善せずに悪化する、損傷の重症度と不釣り合いな持続性の強い痛みである慢性疼痛状態を指す。この用語は、タイプ1CRPS(末梢神経以外の組織損傷によって引き起こされる好ましくない状態が挙げられる)、および症状が主な神経損傷によって誘発され、ときに灼熱痛と呼ばれるタイプ2CRPSを包含している。
【0082】
B.化合物
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(I):
【0084】
の化合物、または薬学的に許容可能なその塩である。ここで、R
1は、(i)水素、ハロもしくはシアノであるか;または(ii)それぞれ任意に置換されているアルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、アルコキシル、アミノアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、もしくはヘテロアラルキルであるか;または(iii)−C(O)OR
3、−C(O)NR
3R
4、もしくは−C(NR
3)NR
3R
4であり;
R
2は、(i)水素であるか;または(ii)アルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、もしくはヘテロアラルキルであり、それぞれ任意に置換され得;
Z
1は、=O、=S、=NR
3、または=CR
5R
6であり;
Z
2は、水素、ハロ、シアノ、−NR
3R
4、−SR
3、−OR
3、または任意に置換されているアルキルであり;
Xのそれぞれは独立して、CR
7R
8、C=CR
7R
8、またはNR
9であり;
nは、1、2または3であり;
R
3およびR
4のそれぞれは独立して、(i)水素であるか;または(ii)それぞれ任意に置換されているアルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、もしくはヘテロアラルキルであるか;または(iii)R
3およびR
4が同じ窒素に結合するとき、R
3およびR
4は、それらが結合されている窒素原子とともに、任意に置換されている3〜8員環のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成しているか;(iv)R
3およびR
4が同じ窒素に結合するとき、R
3またはR
4のいずれか一方はOHであり、他方は水素であり;
R
5およびR
6のそれぞれは独立して、(i)水素、ハロもしくはシアノであるか;または(ii)それぞれ任意に置換されているアルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、アルコキシル、アミノアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、もしくはヘテロアラルキルであるか;または(iii)R
5およびR
6が同じ炭素と結合されているとき、R
5およびR
6は、それらが結合されている窒素原子とともに、任意に置換されている3〜8員環のヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、もしくはシクロアルキル環を形成しており;
R
7およびR
8のそれぞれは独立して、(i)水素、ハロもしくはシアノであるか;または(ii)それぞれ任意に置換されているアルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、アルコキシル、アミノアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、もしくはヘテロアラルキルであるか;または(iii)−OR
3、−C(O)OR
3、−C(O)NR
3R
4、もしくは−C(O)R
3であるか;または(iv)R
7およびR
8が同じ炭素と結合されているとき、R
7およびR
8は、それらが結合されている窒素原子とともに、任意に置換されている3〜8員環のヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、もしくはシクロアルキル環を形成しており;
R
9のそれぞれは独立して、(i)水素、ハロもしくはシアノであるか;または(ii)それぞれ任意に置換されているアルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、アルコキシル、アミノアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、もしくはヘテロアラルキルであり;
任意に、(i)Z
1およびR
7、R
8、もしくはR
9は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、もしくはシクロアルキル環を形成しているか;(ii)Z
1およびR
1は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、もしくはシクロアルキル環を形成しているか;(iii)Z
2およびR
1は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、もしくはシクロアルキル環を形成しているか;(iv)Z
2およびR
2は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成しているか;(v)R
2およびR
7、R
8、もしくはR
9は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成している。
【0085】
他の実施形態において、本明細書に示されているのは、式(II):
【0087】
の化合物、または薬学的に許容可能なその塩である。ここで、R
1は、(i)水素、ハロもしくはシアノであるか;または(ii)それぞれ任意に置換されているアルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、アルコキシル、アミノアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、もしくはヘテロアラルキルであるか;または(iii)−C(O)OR
3、−C(O)NR
3R
4、もしくは−C(NR
3)NR
3R
4であり;
R
2は、(i)水素であるか;または(ii)それぞれ任意に置換されているアルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、もしくはヘテロアラルキルであり;
Z
1は、=O、=S、=NR
3、または=CR
5R
6であり;
Z
2は、水素、ハロ、シアノ、−NR
3R
4、−SR
3、−OR
3、または任意に置換されているアルキルであり;
Xのそれぞれは独立して、CR
7R
8、C=CR
7R
8、またはNR
9であり;
nは、1、2、または3であり;
R
3およびR
4のそれぞれは独立して、(i)水素であるか;または(ii)それぞれ任意に置換されているアルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、もしくはヘテロアラルキルであるか;または(iii)R
3およびR
4が同じ窒素に結合するとき、R
3およびR
4は、それらが結合されている窒素原子とともに、任意に置換されている3〜8員環のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成しているか;(iv)R
3およびR
4が同じ窒素に結合するとき、R
3またはR
4の、一方はOHであり、他方は水素であり;
R
5およびR
6のそれぞれは独立して、(i)水素、ハロもしくはシアノであるか;または(ii)それぞれ任意に置換されているアルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、アルコキシル、アミノアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、もしくはヘテロアラルキルであるか;または(iii)R
5およびR
6が同じ炭素と結合されているとき、R
5およびR
6は、それらが結合されている窒素原子とともに、任意に置換されている3〜8員環のヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、もしくはシクロアルキル環を形成しており;
R
7およびR
8のそれぞれは独立して、(i)水素、ハロもしくはシアノであるか;または(ii)それぞれ任意に置換されているアルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、アルコキシル、アミノアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、もしくはヘテロアラルキルであるか;または(iii)−OR
3、−C(O)OR
3、−C(O)NR
3R
4、もしくは−C(O)R
3であるか;または(iv)R
7およびR
8が同じ炭素と結合されているとき、R
7およびR
8は、それらが結合されている窒素原子とともに、任意に置換されている3〜8員環のヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、もしくはシクロアルキル環を形成しており;
R
9のそれぞれは独立して、(i)水素、ハロもしくはシアノであるか;または(ii)それぞれ任意に置換されているアルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、アルコキシル、アミノアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、もしくはヘテロアラルキルであり;
任意に、(i)Z
2およびR
7、R
8、もしくはR
9は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、もしくはシクロアルキル環を形成しているか;(ii)Z
2およびR
1は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、もしくはシクロアルキル環を形成しているか;(iii)Z
1およびR
1は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、もしくはシクロアルキル環を形成しているか;(iv)Z
1およびR
2は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成しているか;(v)R
2およびR
7、R
8、もしくはR
9は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成している。
【0088】
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(Ia):
【0090】
の化合物、または薬学的に許容可能なその塩である。ここで、R
1、R
2、Z
1、Z
2、およびXは、本明細書の他の箇所に規定されている。
【0091】
他の実施形態において、本明細書において、式(IIa):
【0093】
の化合物、または薬学的に許容可能なその塩である。ここで、R
1、R
2、Z
1、Z
2およびXは、本明細書の他の箇所に規定されている。
【0094】
以下に示されているのは、本開示の化合物のさらなる実施形態である。当該実施形態としては、本明細書に示されている式(I)、(II)、(Ia)、(Ib)、(Ib−1)、(Ib−2)、(Ic)、(Ic−1)、(Id)、(Id−1)、(Id−2)、(Ie)、(If)、(Ila)、(IIb)、(IIc)、または(III)が挙げられる。本明細書に示されているX、Z
1、Z
2、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、m、kおよび/またはnの種々の実施形態は、式(I)、(II)、(Ia)、(Ib)、(Ib−1)、(Ib−2)、(Ic)、(Ic−1)、(Id)、(Id−1)、(Id−2)、(Ie)、(If)、(Ila)、(IIb)、(IIc)、または(III)に適用され得、これらの組み合わせのいずれもが、本開示に包含されており、本明細書に具体的に開示される。
【0095】
一実施形態において、nは1である。一実施形態において、nは2である。一実施形態において、nは3である。一実施形態において、nは1または2である。一実施形態において、nは2または3である。
【0096】
一実施形態において、Z
1は=Oまたは=NR
3である。特定の実施形態において、R
3は、水素または任意に置換されているメチル(例えば、CH
3またはCF
3)である。
【0097】
特定の実施形態において、Z
1は=O、=NH、または=NCH
3である。
【0098】
一実施形態において、Z
2は、水素、ハロ、シアノ、−NR
3R
4、または−OR
3である。一実施形態において、Z
2は−NR
3R
4または−OR
3である。一実施形態において、Z
2はOHである。他の実施形態において、Z
2はOHではない。一実施形態において、Z
2は、NH
2である。他の実施形態において、Z
2は、NH
2ではない。一実施形態において、Z
2はNHCH
3である。一実施形態において、Z
2はN(CH
3)
2である。一実施形態において、Z
2は−NH−OHである。一実施形態において、Z
2は、−NR
3R
4であり、ここで、R
4は、水素または任意に置換されている(C
1−C
4)アルキル(例えば、CH
3、CF
3、もしくはEt)であり、R
3は、本明細書に規定されている。特定の実施形態において、R
3は、水素、任意に置換されている(C
1−C
4)アルキル(例えば、CH
3、CF
3、Et、Pr、Bu、CH
2−シクロアルキル、CH
2CH
2−シクロアルキル、CH
2−アルコキシル、CH
2CH
2−アルコキシル、CH
2−アミノアルキル、CH
2CH
2−アミノアルキル、CH
2CH=CH
2、CH
2Ph、もしくはCH
2−ジメトキシフェニル)、または任意に置換されているアリール(例えば、フェニル)である。一実施形態において、R
4は、水素または任意に置換されているメチル(例えば、CH
3もしくはCF
3)である。一実施形態において、R
3およびR
4が同じ窒素と結合されているとき、R
3およびR
4は、それらが結合されている窒素原子とともに、任意に置換されているヘテロアリールまたはヘテロシクリル環を形成している一実施形態において、R
3およびR
4は共に、任意に置換されているヘテロアリール環(例えば、イミダゾリルまたはピロリル)を形成している一実施形態において、R
3およびR
4は共に、任意に置換されているヘテロシクリル環(例えば、ピロリジニルまたはジヒドロピロリル)を形成している。
【0099】
特定の実施形態において、Z
2は、それぞれ任意に置換されているNH
2、NHMe、NHEt、NHnPr、NHiPr、NHPh、NHOH、NHCH
2シクロプロピル、NHCH
2シクロブチル、NHCH
2Ph、NHCH
2CH=CH
2、NHCH
2CH
2OMe、もしくはN(Me)
2であるか;またはNHCH
2Phであり、ここで、Phは、任意に置換されている(例えば、1つ以上のハロ、シアノ、Me、OMe、CF
3、もしくは、OCF
3によって任意に置換されている(例えば、3,5−ジメトキシフェニル))。特定の実施形態において、Z
2は、OHである。特定の実施形態において、Z
2は、−NH−OHである。特定の実施形態において、Z
2は、任意に置換されているヘテロシクリルであり(例えば、Z
2は、−NR
3R
4であり、ここで、R
3およびR
4は共に、任意に置換されているヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成する)、以下の化合物:
【0101】
(ここで、それぞれが、本明細書に示されている1つ以上の置換基によって任意に置換されている)を包含しているが、これらに限定されない。
【0102】
一実施形態において、R
1は、水素、ハロ、またはシアノである。
【0103】
一実施形態において、R
1は、−C(O)OR
3、−C(O)NR
3R
4、または−C(NR
3)NR
3R
4である。R
1の具体例としては、以下の化合物:
【0105】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
一実施形態において、R
1は任意に置換されているアリールまたはヘテロアリールである。一実施形態において、R
1は任意に置換されているアリール(例えば、フェニル)である。一実施形態において、R
1は任意に置換されている5〜10員環のヘテロアリール(例えば、ベンズイミダゾリル)である。R
1の具体例としては、以下の化合物:
【0108】
(ここで、それぞれが、本明細書に示されている1つ以上の置換基(例えば、ハロ、シアノ、CH
3、CF
3、Et、Ph、アリル、ベンジル、CH
2−シクロアルキル、OCH
3、OCF
3、OEt、OPh、OH、またはNMe
2)によって任意に置換されている)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
一実施形態において、R
1は、任意に置換されているベンズイミダゾリルである。R
1の具体例としては、以下の化合物:
【0111】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
一実施形態において、R
1は、任意に置換されているイミダゾリルである。R
1の具体例としては、以下の化合物:
【0114】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
一実施形態において、R
1は、任意に置換されているトリアゾリルである。R
1の具体例としては、以下の化合物:
【0117】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
一実施形態において、R
2は、水素、任意に置換されているアルキル、任意に置換されているシクロアルキル、任意に置換されているアラルキル、任意に置換されているアリール、任意に置換されているヘテロアリール、または任意に置換されているヘテロシクリルである。
【0119】
一実施形態において、R
2は水素である。
【0120】
一実施形態において、R
2は、任意に置換されているアルキルである。一実施形態において、R
2は、任意に置換されている(C
1−C
4)アルキル(例えば、本明細書に示されている1つ以上の置換基によって任意に置換されている(例えば、メトキシによって任意に置換されている)メチル、エチルまたはブチル)である。一実施形態において、R
2は、任意に置換されているアラルキル(例えば、本明細書に示されている1つ以上の置換基によって任意に置換されている(例えば、メトキシによって任意に置換されている)ベンジルまたはフェネチル)である(例えば、R
2は、CH
2−ジメトキシフェニルまたはCH
2CH
2−ジメトキシフェニルである)。一実施形態において、R
2は、メチルによって任意に置換されている。一実施形態において、R
2は、イソプロピルによって任意に置換されている。R
2の具体例としては、以下の化合物:
【0122】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
一実施形態において、R
2は、任意に置換されているヘテロシクリルである。一実施形態において、R
2は、任意に置換されている5〜12員環のヘテロシクリルである。R
2の具体例としては、以下の化合物:
【0125】
(ここで、それぞれが本明細書に示されている1つ以上の置換基によって任意に置換されている(例えば、アルキル、アシル、またはスルホニルによって任意に置換されている))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
一実施形態において、R
2は、任意に置換されているシクロアルキルである。一実施形態において、R
2は、任意に置換されている3〜7員環のシクロアルキル(例えば、本明細書に示されている1つ以上の置換基によって任意に置換されているシクロブチル)である。
【0127】
一実施形態において、R
2は、任意に置換されているアリールまたはヘテロアリールである。一実施形態において、R
2は、任意に置換されているアリール(例えば、フェニルまたはナフチル)である。一実施形態において、R
2は、任意に置換されているヘテロアリールである。一実施形態において、R
2は、任意に置換されている5〜10員環のヘテロアリール(例えば、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、またはピラゾリル)である。R
2の具体例としては、以下の化合物:
【0129】
(ここで、それぞれが、本明細書に示されている1つ以上の置換基によって任意に置換されている(例えば、ハロ、シアノ、CH
3、CF
3、Et、Pr、Bu、Ph、アリル、ベンジル、OCH
3、OCF
3、OEt、OPr、OBu、OPh、OH、またはNMe
2によって任意に置換されている))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
一実施形態において、R
2は、任意に置換されているフェニルである。一実施形態において、R
2は、1つ以上の置換基によって置換され得るフェニルである。一実施形態において、R
2は、2つ以上の置換基によって置換され得るフェニルである。一実施形態において、R
2が2つ以上の置換基によって置換されているフェニルであるとき、上記置換基のうちの少なくとも2つは同じである。一実施形態において、R
2が2つ以上の置換基によって置換されているフェニルであるとき、上記置換基は異なっている。一実施形態において、R
2は、3−および5−二置換フェニルである。一実施形態において、R
2は、2−および5−二置換フェニルである。一実施形態において、R
2は、2−および4−二置換フェニルである。一実施形態において、R
2は、3−および4−二置換フェニルである。一実施形態において、R
2は、2−二置換フェニルである。一実施形態において、R
2は、3−二置換フェニルである。一実施形態において、R
2は、4−二置換フェニルである。特定の実施形態において、上記フェニルの少なくとも1つの置換基は、メトキシである。特定の実施形態において、上記フェニルの少なくとも1つの置換基は、OCF
3である。特定の実施形態において、上記フェニルの2つの置換基は、OCH
3である。特定の実施形態において、R
2は、3,5−二置換フェニルであり、ここで、上記置換基のうちの少なくとも1つは、ハロ、OH、CH
3、OCH
3、OCF
3、Et、およびOEtから選択され、その他の置換基は、本明細書の他の箇所に示されている。特定の実施形態において、R
2は、3,5−二置換フェニルであり、ここで、上記置換基は、同じか、または異なり得、各置換基は独立して、ハロ、OH、CH
3、OCH
3、OCF
3、Et、およびOEtから選択される。特定の実施形態において、R
2は、3,5−二置換フェニルであり、ここで、上記置換基のうちの少なくとも1つは、OCH
3であり、その他の置換基は、本明細書の他の箇所に示されている。R
2の具体例としては、以下の化合物:
【0132】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
特定の実施形態において、R
2は、以下の化合物:
【0136】
いくつかの実施形態において、R
2は、以下の化合物:
【0139】
特定の実施形態において、R
2は、任意に置換されているピリジルである。R
2の具体例としては、以下の化合物:
【0141】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
一実施形態において、Xは、NR
9である。一実施形態において、R
9は、水素、任意に置換されているアルキル、任意に置換されているシクロアルキル、任意に置換されているヘテロシクリル、任意に置換されているアリール、または任意に置換されているヘテロアリールである。一実施形態において、R
9は、水素である。一実施形態において、R
9は、任意に置換されている(C
1−C
4)アルキル(例えば、本明細書に示されている1つ以上の置換基によって任意に置換されている(例えば、ヒドロキシ、メトキシ、またはアミドによって任意に置換されている)メチル、エチル、プロピル、またはブチル)である。一実施形態において、R
9は、任意に置換されているアリール(例えば、本明細書に示されている1つ以上の置換基によって任意に置換されている(例えば、ヒドロキシ、メトキシ、またはアミドによって任意に置換されている)フェニル)である。一実施形態において、R
9は、任意に置換されている(C
3−C
7)シクロアルキル(例えば、本明細書に示されている1つ以上の置換基によって任意に置換されている(例えば、ヒドロキシ、メトキシまたはアミドによって任意に置換されている)シクロアルキル)である。一実施形態において、R
9は、任意に置換されているヘテロシクリル(例えば、本明細書に示されている1つ以上の置換基によって任意に置換されている(例えば、ヒドロキシ、メトキシ、またはアミドによって任意に置換されている)ヘテロシクリル)である。R
9の具体例としては、任意に置換されているMe、nPr、iPr、CH
2CH
2OH、CH
2CH
2OMe、CH
2CH
2NHC(O)Me、CH
2CH
2CH
2OH、Ph、シクロブチル、またはオキセタニル(例えば、3,5−ジメトキシフェニル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0143】
一実施形態において、Xは、CR
7R
8である。特定の実施形態において、Xは、CH
2である。特定の実施形態において、Xは、CHMeである。特定の実施形態において、Xは、CMe
2である。
【0144】
一実施形態において、Xは、C=CR
7R
8である。特定の実施形態において、Xは、C=CH
2である。
【0145】
一実施形態において、R
7は、水素、任意に置換されているメチル、または任意に置換されているエチル(例えば、Me、EtもしくはCH
2OH)であり、R
8は、本明細書に規定されている。一実施形態において、R
7は、水素、MeまたはEtであり、R
8は、本明細書に規定されている。一実施形態において、R
7は、水素であり、R
8は、本明細書に規定されている。一実施形態において、R
7は、任意に置換されているメチルであり、R
8は、本明細書に規定されている。一実施形態において、R
7は、Meであり、R
8は、本明細書に規定されている。一実施形態において、R
7は、任意に置換されているエチルであり、R
8は、本明細書に規定されている。一実施形態において、R
7は、Etであり、R
8は、本明細書に規定されている。一実施形態において、R
7は、−OR
3(例えば、−OHまたは−OMe)であり、R
8は、本明細書に規定されている。
【0146】
一実施形態において、R
8は、水素、−OR
3(例えば、OHもしくはOMe)、−C(O)OR
3(例えば、COOH、COOMe、もしくはCOOEt)、−C(O)R
3(例えば、C(O)HもしくはC(O)Me)、任意に置換されているアルキル(例えば、1つ以上の置換基(ハロ、任意に置換されているアリール、任意に置換されているヘテロシクリル、任意に置換されているヘテロアリールが挙げられる)を用いて任意に置換されている(C
1−C
4)アルキル、OR
3、NR
3R
4、C(O)R
3、C(O)OR
3、C(O)NR
3R
4、もしくはNR
3C(O)R
4であり、ここで、R
3およびR
4は、本明細書に規定されている)、任意に置換されているアリール(例えば、任意に置換されているフェニル(例えば、フェニル、ヒドロキシフェニル、メトキシフェニル、もしくはジメトキシフェニル))、または任意に置換されているヘテロアリール(例えば、任意に置換されているフラニル)である。
【0147】
R
8の具体例としては、任意に置換されているH、Me、Et、nPr、iPr、Ph、フラニル、−CH
2−フラニル、−CH
2Cl、−CH
2NH
2、−CH
2OH、−CH
2OMe、−CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2OH、−CH
2CH
2OMe、−CH
2CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2CH
2OH、−CH
2CH
2CH
2OMe、−CH
2CH
2CH
2CH
2NH
2、−CH
2CH
2CH
2CH
2OH、−CH
2CH
2CH
2CH
2OMe、−CH
2NHC(O)CH
3、−CH
2NHC(O)Ph、−CH
2NHC(O)CH
2CH
3、−CH
2NHC(O)CH
2OCH
3、−CH
2N(CH
3)C(O)CH
3、−CH
2N(CH
3)C(O)Ph、−CH
2N(CH
3)C(O)CH
2CH
3、−CH
2N(CH
3)C(O)CH
2OCH
3、−CH
2CH
2NHC(O)CH
3、−CH
2CH
2NHC(O)Ph、−CH
2CH
2NHC(O)CH
2CH
3、−CH
2CH
2NHC(O)CH
2OCH
3、−CH
2CH
2N(CH
3)C(O)CH
3、−CH
2CH
2N(CH
3)C(O)Ph、−CH
2CH
2N(CH
3)C(O)CH
2CH
3、−CH
2CH
2N(CH
3)C(O)CH
2OCH
3、−CH
2CH
2N(CH
3)
2、−CH
2CH
2Ph、−CH
2CH
2OPh、−CH
2CH
2NHPh、−CH
2CH
2−モルフォリニル、−CH
2CH
2−ピロリジニル、−CH
2CH
2−イミダゾリル、CH
2CH
2−フタルイミジル、−CH
2CH(OH)CH
3、−CH
2COOH、−CH
2CONH
2、−CH
2CONHCH
3、−CH
2CONHCH
2CH
3、−CH
2C(O)CH
3、−OH、−OMe、−COOH、−COOMe、−COOEt、−C(O)H、または−C(O)Me(例えば、任意に置換されているPh(例えば、3−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシフェニル、または3,5−ヒドロキシフェニル))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0148】
一実施形態において、R
7およびR
8が同じ炭素と結合されているとき、R
7およびR
8は、それらが結合されている窒素原子とともに、任意に置換されている3〜8員環のヘテロシクリル環、ヘテロアリール環、アリール環またはシクロアルキル環(例えば、シクロアルキル環またはヘテロアルキル環(例えば、任意に置換されているシクロプロピル環、シクロブチル環、シクロペンチル環、シクロヘキシル環、オキセタニル環、アゼチジニル環、テトラヒドロフラニル環、ピロリジニル環、テトラヒドロピラニル環、またはピペリジニル環))を形成している上記3〜8員環のヘテロシクリル環、ヘテロアリール環、アリール環、またはシクロアルキル環の任意の置換基の例としては、1つ以上のハロ、シアノ、OH、=O、OR
3、NR
3R
4、C(O)OR
3、C(O)NR
3R
4、C(O)R
3、NR
4C(O)R
3、S(O)R
3、S(O)
2R
3、S(O)
2NR
3R
4、または任意に置換されている(C
1−C
4)アルキルが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、Xは、CR
7R
8であり、R
7およびR
8は、任意に置換されているらせん状の環を形成している。他の実施形態において、Xは、C=CR
7R
8であり、R
7およびR
8は、二重結合に対する任意に置換されている環外環を形成している。CR
7R
8の具体例としては、以下の化合物:
【0150】
(ここで、破線の結合は、他の分子への結合点を表し、例えば、XがC=CR
7R
8であるとき、破線の結合は、一緒になって二重結合となり、XがCR
7R
8であるとき、上記破線の結合は、分子の中心環の一部である)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0151】
特定の実施形態において、R
3は、水素、任意に置換されている(C
1−C
6)アルキル、任意に置換されている(C
1−C
6)ヘテロアルキル、または任意に置換されているフェニルである。特定の実施形態において、R
4は、水素、任意に置換されている(C
1−C
6)アルキル、任意に置換されている(C
1−C
6)ヘテロアルキル、または任意に置換されているフェニルである。特定の実施形態において、R
3は、水素、任意に置換されているメチル、または任意に置換されているエチルである。特定の実施形態において、R
3は、水素、メチル、またはエチルである。特定の実施形態において、R
4は、水素、任意に置換されているメチル、または任意に置換されているエチルである。特定の実施形態において、R
4は、水素、メチル、またはエチルである。いくつかの実施形態において、R
3は、任意に置換されているメチルまたは任意に置換されているエチルである。いくつかの実施形態において、R
4は、任意に置換されているメチル、または任意に置換されているエチルである。いくつかの実施形態において、R
3は、メチルまたはエチルである。いくつかの実施形態において、R
4は、メチルまたはエチルである。
【0152】
いくつかの実施形態において、R
3は、水素ではない。いくつかの実施形態において、R
4は、水素ではない。いくつかの実施形態において、R
3およびR
4はいずれも、水素ではない。
【0153】
いくつかの実施形態において、Z
2は、NH
2ではない。一実施形態において、Z
2は、OHではない。
【0154】
一実施形態において、Z
1およびR
7、R
8またはR
9は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、またはシクロアルキル環を形成している一実施形態において、Z
1が=NR
3であるとき、R
3およびR
7は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成している。一実施形態において、Z
1が=NR
3であるとき、R
3およびR
8は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成している。一実施形態において、Z
1が=NR
3であるとき、R
3およびR
9は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成している。具体例としては、以下の化合物:
【0156】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0157】
一実施形態において、Z
1およびR
1は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、またはシクロアルキル環を形成している。一実施形態において、Z
1が=NR
3であるとき、R
3およびR
1は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成している。
【0158】
一実施形態において、Z
2およびR
1は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、またはシクロアルキル環を形成している。一実施形態において、Z
2が−NR
3R
4であるとき、R
3およびR
1は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成している。具体例としては、以下の化合物:
【0160】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0161】
実施形態において、Z
2およびR
2は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成している。一実施形態において、Z
2が−NR
3R
4であるとき、R
3およびR
2は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成している。具体例としては、以下の化合物:
【0163】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
一実施形態において、R
2およびR
7、R
8、またはR
9は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成している。一実施形態において、R
2およびR
7は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成している。一実施形態において、R
2およびR
8は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成している。一実施形態において、R
2およびR
9は、それらが結合されている原子とともに、任意に置換されているヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成している。具体例としては、以下の化合物:
【0166】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0167】
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(Ib)の化合物、または薬学的に許容可能なその塩である。ここで、R
1、R
2、R
3、R
4、およびXは、本明細書の他の箇所に規定されている。
【0169】
一実施形態において、Xは、CR
7R
8であり、ここで、R
7およびR
8のそれぞれは独立して、水素または任意に置換されているアルキルである。具体例としては、以下の化合物:
【0180】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0181】
一実施形態において、Xは、CR
7R
8であり、ここで、R
7またはR
8のいずれか一方はOR
3であり、他方は水素または任意に置換されているアルキルである。具体例としては、以下の化合物:
【0183】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0184】
一実施形態において、Xは、CR
7R
8であり、ここで、R
7またはR
8のいずれか一方は任意に置換されているアリールまたは任意に置換されているヘテロアリールであり、他方は水素または任意に置換されているアルキルである。具体例としては、以下の化合物:
【0186】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0187】
一実施形態において、Xは、CR
7R
8であり、ここで、R
7またはR
8のいずれか一方は−C(O)OR
3または−C(O)R
3であり、他方は水素、−OR
3、または任意に置換されているアルキルであり、ここで、R
3は、同じか、または異なり得る。具体例としては、以下の化合物:
【0189】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0190】
一実施形態において、Xは、CR
7R
8であり、ここで、R
7およびR
8は、それらが結合されている窒素原子とともに、任意に置換されている3〜8員環のシクロアルキルまたはヘテロシクリル環を形成している。具体例としては、以下の化合物:
【0194】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0195】
一実施形態において、Xは、C=CR
7R
8である。特定の実施形態において、R
7およびR
8のうちの少なくとも一方は水素であり、他方は本明細書の他の箇所に規定されている。特定の実施形態において、R
7もR
8も水素である。具体例としては、以下の化合物:
【0197】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0198】
一実施形態において、Xは、NR
9である。具体例としては、以下の化合物:
【0200】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0201】
一実施形態において、Xは、式(Ib)の化合物におけるNHである。上記化合物は、1つ以上の互変異性体(例えば、式(Ib−1):
【0203】
の化合物)を有している。具体例としては、以下の化合物:
【0205】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0206】
一実施形態において、R
2は、式(Ib)の化合物における水素である。上記化合物は、1つ以上の互変異性体(例えば、式(Ib−2):
【0208】
の化合物)を有している。一実施形態において、Xは、NR
9である。具体例としては、以下の化合物:
【0210】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0211】
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(Ic):
【0213】
(ここで、R
1、R
2、R
3、R
4、およびXは、本明細書の他の箇所に規定されており、各R
3は、同じか、または異なり得る)の化合物、または薬学的に許容可能なその塩である。具体例としては、以下の化合物:
【0215】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0216】
一実施形態において、Xは、式(Ic)の化合物におけるNHである。上記化合物は、1つ以上の互変異性体(例えば、式(Ic−1):
【0218】
の化合物)を有している。具体例としては、以下の化合物:
【0220】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0221】
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(Id):
【0223】
(ここで、R
1、R
2、R
3、R
4、およびXは、本明細書の他の箇所に規定されている)の化合物、または薬学的に許容可能なその塩である。一実施形態において、R
3は、は、式(Id)の化合物における水素である。上記化合物は、1つ以上の互変異性体(例えば、式(Id−1)または(Id−2):
【0225】
の化合物)を有している。具体例としては、以下の化合物:
【0227】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0228】
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(Ie):
【0230】
の化合物、または薬学的に許容可能なその塩である。ここで、R
3、R
4、およびXは、本明細書の他の箇所に規定されており、
mは、0、1、2、または3であり、
kは、0、1、2、または3であり、
R
10およびR
12のそれぞれは独立して、(a)1つ以上(一実施形態において1、2、3、または4つ)の置換基Q
1によって任意に置換されているC
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-7シクロアルキル、C
6-14アリール、C
7-15アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクリル;ならびに(b)ハロ、シアノ(−CN)、ニトロ(−NO
2)、オキソ(=O)、−C(O)R
a、−C(O)OR
a、−C(O)NR
bR
c、−C(NR
a)NR
bR
c、−OR
a、−OC(O)R
a、−OC(O)OR
a、−OC(O)NR
bR
c、−OC(=NR
a)NR
bR
c、−OS(O)R
a、−OS(O)
2R
a、−OS(O)NR
bR
c、−OS(O)
2NR
bR
c、−NR
bR
c、−NR
aC(O)R
d、−NR
aC(O)OR
d、−NR
aC(O)NR
bR
c、−NR
aC(=NR
d)NR
bR
c、−NR
aS(O)R
d、−NR
aS(O)
2R
d、−NR
aS(O)NR
bR
c、−NR
aS(O)
2NR
bR
c、−SR
a、−S(O)R
a、−S(O)
2R
a、−S(O)NR
bR
c、および−S(O)
2NR
bR
cから選択され、
R
11は、(a)1つ以上(一実施形態において1、2、3または4つ)の置換基Q
1によって任意に置換されているC
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-7シクロアルキル、C
6-14アリール、C
7-15アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクリル;ならびに(b)水素、ハロ、シアノ(−CN)、ニトロ(−NO
2)、オキソ(=O)、−C(O)R
a、−C(O)OR
a、−C(O)NR
bR
c、−C(NR
a)NR
bR
c、−OR
a、−OC(O)R
a、−OC(O)OR
a、−OC(O)NR
bR
c、−OC(=NR
a)NR
bR
c、−OS(O)R
a、−OS(O)
2R
a、−OS(O)NR
bR
c、−OS(O)
2NR
bR
c、−NR
bR
c、−NR
aC(O)R
d、−NR
aC(O)OR
d、−NR
aC(O)NR
bR
c、−NR
aC(=NR
d)NR
bR
c、−NR
aS(O)R
d、−NR
aS(O)
2R
d、−NR
aS(O)NR
bR
c、−NR
aS(O)
2NR
bR
c、−SR
a、−S(O)R
a、−S(O)
2R
a、−S(O)NR
bR
c、および−S(O)
2NR
bR
cから選択され、
R
a、R
b、R
c、およびR
dのそれぞれは独立して、(i)水素であるか;(ii)1つ以上(一実施形態において1、2、3、もしくは4つ)の置換基Q
1によって任意に置換されているC
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-7シクロアルキル、C
6-14アリール、C
7-15アラルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクリルであるか;または(iii)R
bおよびR
cは、それらが結合されているN原子とともに、1つ以上(一実施形態において1、2、3、もしくは4つ)の置換基Q
1によって任意に置換されているヘテロアリールもしくはヘテロシクリルを形成し、
Q
1のそれぞれは独立して、(a)シアノ、ハロ、オキソ、およびニトロ;(b)C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-7シクロアルキル、C
6-14アリール、C
7-15アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクリル;ならびに(c)−C(O)R
e、−C(O)OR
e、−C(O)NR
fR
g、−C(=NR
e)NR
fR
g、−OR
e、−OC(O)R
e、−OC(O)OR
e、−OC(O)NR
fR
g、−OC(=NR
e)NR
fR
g、−OS(O)R
e、−OS(O)
2R
e、−OS(O)NR
fR
g、−OS(O)
2NR
fR
g、−NR
fR
g、−NR
eC(O)R
h、−NR
eC(O)OR
h、−NR
eC(O)NR
fR
g、−NR
eC(=NR
h)NR
fR
g、−NR
eS(O)R
h、−NR
eS(O)
2R
h、−NR
eS(O)NR
fR
g、−NR
eS(O)
2NR
fR
g、−SR
e、−S(O)R
e、−S(O)
2R
e、−S(O)NR
fR
g、および−S(O)
2NR
fR
g;からなる群から選択され、
R
e、R
f、R
g、およびR
hのそれぞれは独立して、(i)水素であるか;(ii)C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-7シクロアルキル、C
6-14アリール、C
7-15アラルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクリルであるか;または(iii)R
fおよびR
gは、それらが結合されているN原子とともに、ヘテロアリールもしくはヘテロシクリルを形成している。
【0231】
特定の実施形態において、mは0である。特定の実施形態において、mは1である。特定の実施形態において、mは2である。特定の実施形態において、mは3である。特定の実施形態において、kは0である。特定の実施形態において、kは1である。特定の実施形態において、kは2である。特定の実施形態において、kは3である。特定の実施形態において、R
11は水素である。特定の実施形態において、R
11は水素または任意に置換されているアルキルである。特定の実施形態において、R
12はOMeであり、kは2である。他の実施形態において、R
12はOMeであり、kは1である。他の実施形態において、R
12はOMeであり、kは3である。特定の実施形態において、kは2または3であり、R
12の少なくとも1つはOMeである。
【0232】
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(If):
【0234】
(ここで、R
3、R
4、R
7、およびR
8は、本明細書の他の箇所に規定されている)の化合物、または薬学的に許容可能なその塩である。
【0235】
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(IIb):
【0237】
(ここで、R
1、R
2、R
3、R
4、およびXは、本明細書の他の箇所に規定されている)の化合物、または薬学的に許容可能なその塩である。具体例としては、以下の化合物:
【0239】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0240】
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(IIc)の化合物、または薬学的に許容可能なその塩である。
【0242】
式中、R
1、R
2、R
3、およびXは、本明細書の他の箇所に規定されている。具体例としては、以下の化合物:
【0244】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0245】
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(III):
【0247】
(ここで、R
1、R
2、およびZ
2は、本明細書の他の箇所に規定されており、Z
2のそれぞれは、同じか、または異なり得る)の化合物、または薬学的に許容可能なその塩である。具体例としては、以下の化合物:
【0249】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0250】
一実施形態において、Xは、NHではない。一実施形態において、R
2は、水素ではない。一実施形態において、Z
2は、OHではない。
【0251】
X、Z
1、Z
2、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、m、k、およびnの組み合わせのいずれもが、本開示に包含されており、本明細書に詳細に示されている。
【0252】
描写されている構造およびその構造に与えられた化学名の間に相違がある場合、描写されている構造がより重視されるべきである。さらに、構造または構造の部分の原子の空間的配置が、例えば太線または破線によって示されていない場合、その構造または構造の部分は、すべての立体異性体を包含していると解釈される。本明細書に示されている化合物がアルケニルまたはアルケニレン基を含んでいる場合、当該化合物は、1つの幾何(すなわち、シス/トランスまたはE/Z)異性体、または幾何(すなわち、シス/トランスまたはE/Z)異性体の混合物として存在し得る。他に断りがない限り、本明細書に示されている化合物は、すべての幾何異性体を包含していることを意図している。
【0253】
構造異性体が相互に交換可能である場合、上記化合物は、単一の互変体または互変体の混合物として存在し得る。これは、例えばイミノ、ケト、またはオキシム基を含んでいる化合物におけるプロトン互変異性の形態;または、例えば芳香族部分を含んでいる化合物におけるいわゆる原子価互変異性の形態を取り得る。単一の化合物は、2種以上の異性を示し得ることになる。他に断りがない限り、本明細書に示されている化合物は、考えられるすべての互変異性体を包含していると意図されていることが理解される。同様に、他に断りがない限り、本明細書に示されている化合物は、考えられるすべての立体異性体を包含していると意図されている。
【0254】
本明細書に示されている化合物は、光学異性的に純粋(例えば、単一の鏡像異性体または単一のジアステレオマー)、または立体異性的な混合物(例えば、鏡像異性体の混合物(例えば、2つの鏡像異性体のラセミ混合物))であり得る。個々の鏡像異性体の調製/分離のための従来の手法としては、例えば、キラルクロマトグラフィー、再結晶、分解、ジアステレオマー塩の形成、またはジアステレオマー付加生成物への誘導に続く分離による、好適な光学的に純粋な前駆体からの合成、非掌性の出発物質からの不斉合成、または鏡像異性体混合物の分離が挙げられる。いくつかの例において、インビボにおいてエピマー化される化合物について、(R)体における化合物の投与は、(S)体における化合物の投与と等価であり、逆もまた同様であることを、当業者は認識する。
【0255】
本明細書に示されている化合物が酸性部分または塩基部分を含んでいるとき、それは、薬学的に許容可能な塩として提供され得る(例えば、Berge et al., J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1-19; および"Handbook of Pharmaceutical Salts, Properties, and Use," Stahl and Wermuth, Ed.; Wiley-VCH and VHCA, Zurich, 2002を参照すればよい)。
【0256】
薬学的に許容可能な塩の調製に用いられる好適な酸としては、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ホウ酸、(+)−ショウノウ酸、カンファースルホン酸、(+)−(1S)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、蟻酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、L−グルタミン酸、α−オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモイン酸、過塩素酸、リン酸、L−ピログルタミン酸、糖酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、琥珀酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸、および吉草酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0257】
薬学的に許容可能な塩の調製に用いられる好適な塩基としては、無機塩基(例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化銅、または水酸化ナトリウム);および有機塩基(例えば、第1級、第2級、第3級および第4級の、脂肪族および芳香族アミン(L−アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、イソプロピルアミン、N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン、1H−イミダゾール、L−リジン、モルフォリン、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルフォリン、メチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、プロピルアミン、ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、ピリジン、キヌクリジン、キノリン、イソキノリン、第2級アミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチル−D−グルカミン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、およびトロメタミンが挙げられる))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0258】
本明細書に示されている化合物はまた、例えば式(I)の、化合物の機能的な誘導体であり、インビボにおいて直ちに親化合物に変換可能なプロドラッグとして提供され得る。プロドラッグは、有益であることが多いが、これは、場合によっては、親化合物より投与が容易であり得るためである。例えば、プロドラッグは、経口投与によって体内に吸収され利用され得るが、親化合物はそうではない。プロドラッグはまた、親化合物より、薬学的組成物における溶解性が高いこともある。プロドラッグは、酵素処理および代謝加水分解を含んでいる種々の機序によって親薬に変換される。Harper, Progress in Drug Research 1962, 4, 221-294; Morozowich et al. in "Design of Biopharmaceutical Properties through Prodrugs and Analogs," Roche Ed., APHA Acad. Pharm. Sci. 1977; "Bioreversible Carriers in Drug in Drug Design, Theory and Application," Roche Ed., APHA Acad. Pharm. Sci. 1987; "Design of Prodrugs," Bundgaard, Elsevier, 1985; Wang et al., Curr. Pharm. Design 1999, 5, 265-287; Pauletti et al., Adv. Drug. Delivery Rev. 1997, 27, 235-256; Mizen et al., Pharm. Biotech. 1998, 11, 345-365; Gaignault et al., Pract. Med. Chem. 1996, 671-696; Asgharnejad in "Transport Processes in Pharmaceutical Systems," Amidon et al., Ed., Marcell Dekker, 185-218, 2000; Balant et al., Eur. J. Drug Metab. Pharmacokinet. 1990, 15, 143-53; Balimane and Sinko, Adv. Drug Delivery Rev. 1999, 39, 183-209; Browne, Clin. Neuropharmacol. 1997, 20, 1-12; Bundgaard, Arch. Pharm. Chem. 1979, 86, 1-39; Bundgaard, Controlled Drug Delivery 1987, 17, 179-96; Bundgaard, Adv. Drug Delivery Rev. 1992, 8, 1-38; Fleisher et al., Adv. Drug Delivery Rev. 1996, 19, 115-130; Fleisher et al., Methods Enzymol. 1985, 112, 360-381; Farquhar et al., J. Pharm. Sci. 1983, 72, 324-325; Freeman et al., J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1991, 875-877; Friis and Bundgaard, Eur. J. Pharm. Sci. 1996, 4, 49-59; Gangwar et al., Des. Biopharm. Prop. Prodrugs Analogs, 1977, 409-421; Nathwani and Wood, Drugs 1993, 45, 866-94; Sinhababu and Thakker, Adv. Drug Delivery Rev. 1996, 19, 241-273; Stella et al., Drugs 1985, 29, 455-73; Tan et al., Adv. Drug Delivery Rev. 1999, 39, 117-151; Taylor, Adv. Drug Delivery Rev. 1996, 19, 131-148; Valentino and Borchardt, Drug Discovery Today 1997, 2, 148-155; Wiebe and Knaus, Adv. Drug Delivery Rev. 1999, 39, 63-80および Waller et al., Br. J. Clin. Pharmac. 1989, 28, 497-507を参照すればよい。
【0259】
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(I)、(II)、(Ia)、(Ib)、(Ib−1)、(Ib−2)、(Ic)、(Ic−1)、(Id)、(Id−1)、(Id−2)、(Ie)、(If)、(Ila)、(IIb)、(IIc)、または(III)の同位体濃縮された化合物、またはこれらの互変異性体である。
【0260】
薬物動態学的(「PK」)、薬力学的(「PD」)、および毒性プロファイルを向上させるための医薬品の同位体濃縮(例えば重水素化)は、いくつかの種類の薬を用いて、以前から実証されている。例えば、Lijinsky et. al., Food Cosmet. Toxicol., 20: 393 (1982); Lijinsky et. al., J. Nat. Cancer Inst., 69: 1127 (1982); Mangold et. al., Mutation Res. 308: 33 (1994); Gordon et. al., Drug Metab. Dispos., 15: 589 (1987); Zello et. al., Metabolism, 43: 487 (1994); Gately et. al., J. Nucl. Med., 27: 388 (1986); Wade D, Chem. Biol. Interact. 117: 191 (1999)を参照すればよい。
【0261】
薬の同位体濃縮を用いて、例えば、(1)不要な代謝物質を削減または除去する、(2)親薬の半減期を延長する、(3)所望の効果を奏するのに必要な服用回数を減少させる、(4)所望の効果を奏するのに必要な1回分の服用量を減少させる、(5)もしなにか形成されれば、活性代謝物の形成を増加させる、および/または(6)特定の組織における有毒な代謝物質の発生を減少させる、および/または併用療法が計画的であるかそうではないかにかかわらず、併用療法向けのより有効な薬および/またはより安全な薬を作り出すことができる。
【0262】
同位体のうちの1つへの原子の置換は、化学反応の反応速度の変化をしばしば生じる。この現象は、反応速度同位体効果(「KIE」)として知られている。例えば、化学反応における速度決定段階(すなわち、最高遷移状態エネルギーを有している段階)の間にC−H結合が破壊される場合、重水素への水素の置換は、反応速度の低下を引き起こし、プロセスは衰える。この現象は、重水素反応速度同位体効果(「DKIE」)として知られている。例えば、Foster et al., Adv. Drug Res., vol. 14, pp. 1-36 (1985); Kushner et al., Can. J. Physiol. Pharmacol., vol. 77, pp. 79-88 (1999)を参照すればよい。
【0263】
C.治療、予防および/または管理の方法
(1.オピオイド受容体への結合)
種々の実施形態において、本明細書において、本明細書に示されている化合物を、オピオイド受容体(例えば、μ−オピオイド受容体)に結合させる方法である。この方法は、オピオイド受容体を、本明細書に示されている化合物と接触させることを包含している。
【0264】
一実施形態において、本明細書に示されているのは、オピオイド受容体へのリガンドの結合を介してオピオイド受容体の活性を調節する方法である。一実施形態において、この方法は、オピオイド受容体を、本明細書に示されている化合物と接触させることを包含している。他の実施形態において、リガンドは、薬物分子、またはオピオイド受容体に対して結合親和性を有していることが知られている他の小分子である。他の実施形態において、リガンドは、オピオイド受容体に結合することが知られている、放射線ラベルされた化合物である。他の実施形態において、オピオイド受容体への結合は、従来知られているPET画像診断を用いて(例えば、適切なPETリガンドを利用して)評価できる。いくつかの実施形態において、オピオイド受容体のアロステリック調節因子、アゴニスト、アンタゴニスト、もしくは、逆アゴニストである。いくつかの実施形態において、リガンドは、オピオイド受容体(例えば、μ−オピオイド受容体)のアゴニストである。
【0265】
(2.オピオイド受容体の活性の調節)
種々の実施形態において、本明細書に示されているのは、オピオイド受容体(例えば、μ−オピオイド受容体)の活性を調節(例えば、向上または抑制)する方法である。この方法は、オピオイド受容体(例えば、μ−オピオイド受容体)を、本明細書に示されている化合物とインビトロまたはインビボにおいて接触させることを包含している。一実施形態において、本明細書に示されている化合物(薬学的に許容可能なその塩が挙げられる)を、治療に有効な量において対象に投与することによって、オピオイド受容体(例えば、μ−オピオイド受容体)を、本明細書に示されている化合物と接触させる。対象はヒトであり得る。
【0266】
一実施形態において、本明細書に示されている化合物は、オピオイド受容体(例えば、μ−オピオイド受容体)の活性を向上させる。オピオイド受容体の活性の向上は、従来知られているアッセイを用いて測定され得る。いくつかの実施形態において、μ−オピオイド受容体の活性は、本明細書に示されている化合物との接触なしに得られた活性と比べて、約1%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約99%、またはそれ以上だけ向上する。一実施形態において、受容体の活性の向上は、用量に依存する。例示的なアッセイ方法としては、本明細書の他の箇所に記載されたインビボの機能的アッセイが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、機能的アッセイは、所望のオピオイド受容体(例えば、μ−オピオイド受容体)を発現している適切な細胞株を利用する。他の実施形態において、機能的アッセイは、適切な生物の脳組織から単離されたシナプトソームを利用する。他の実施形態において、オピオイド受容体の活性の向上は、従来知られている受容体結合実験を用いて(例えば、適切な膜調製物を利用して)、評価され得る。一実施形態において、アッセイは、本明細書に示されている化合物だけでなく基準化合物を用いて対象(例えば、マウスまたはラット)を処理し、その後、脳組織を単離し、受容体の使用を体外分析する。
【0267】
一部の実施形態において、本明細書に示されているのは、対象(例えばヒト)におけるオピオイド受容体(例えば、μ−オピオイド受容体)の活性を向上させる方法である。当該方法は、本明細書に示されている化合物を、治療に有効な量において対象に投与することを包含している。いくつかの実施形態において、オピオイド受容体(例えば、μ−オピオイド受容体)の活性は、従来知られているアッセイを用いて測定した場合と比べて、約1%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約99%、またはそれ以上だけ向上する。
【0268】
一実施形態において、本明細書に示されているのは、オピオイド受容体リガンドによってオピオイド受容体(例えば、μ−オピオイド受容体)の活性を向上させる方法である。一実施形態において、当該方法は、オピオイド受容体のアゴニストまたはアロステリック調節因子を、オピオイド受容体と接触させることを包含している。他の実施形態において、オピオイド受容体のアゴニストまたはアロステリック調節因子は、本明細書に示されている化合物である。
【0269】
一実施形態において、本明細書に示されている化合物は、オピオイド受容体(例えば、μ−オピオイド受容体)の活性を抑制する。オピオイド受容体の活性の抑制は、従来知られているアッセイを用いて測定され得る。いくつかの実施形態において、μ−オピオイド受容体の活性は、本明細書に示されている化合物との接触なしに得られた活性と比べて、約1%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約99%、またはそれ以上だけ抑制される。一実施形態において、受容体の活性の抑制は、用量に依存する。例示的なアッセイとしては、本明細書の他の箇所に記載されたインビトロ機能的アッセイが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、機能的アッセイは、所望のオピオイド受容体(例えば、μ−オピオイド受容体)を発現している適切な細胞株を利用する。他の実施形態において、機能的アッセイは、適切な生物の脳組織から単離されたシナプトソームを利用する。他の実施形態において、オピオイド受容体の活性の抑制は、従来知られている受容体結合実験を用いて(例えば、適切な膜標本を利用して)評価できる。一実施形態において、アッセイは、本明細書に示されている化合物だけでなく基準化合物を用いて対象(例えば、マウスまたはラット)を処置し、その後、脳組織を単離し、受容体使用を体外分析する。
【0270】
一部の実施形態において、本明細書に示されているのは、対象(例えば、ヒト)におけるオピオイド受容体(例えば、μ−オピオイド受容体)の活性を抑制する方法である。当該方法は、本明細書に示されている化合物を治療に有効な量において対象に投与することを包含している。いくつかの実施形態において、オピオイド受容体(例えば、μ−オピオイド受容体)の活性は、従来知られているアッセイを用いて測定した場合と比べて、約1%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約99%、またはそれ以上だけ抑制される。
【0271】
一実施形態において、本明細書に示されているのは、オピオイド受容体リガンドによってオピオイド受容体(例えば、μ−オピオイド受容体)の活性を抑制する方法である。一実施形態において、この方法は、オピオイド受容体のアンタゴニスト、逆アゴニスト、またはアロステリック調節因子を、オピオイド受容体と接触させることを包含している。他の実施形態において、オピオイド受容体のアンタゴニスト、逆アゴニスト、またはアロステリック調節因子は、本明細書に示されている化合物である。
【0272】
(3.オピオイド受容体関連障害の処置、予防および/または管理)
いくつかの実施形態において、本明細書に示されているのは、オピオイド受容体関連障害(例えば、神経障害)を治療、予防および/または管理する方法である。治療、予防および/または管理は、特定の理論に縛られることなく、本明細書に示されている組成物または化合物を用いて、オピオイド受容体の活性を調節することによって行われる。一実施形態において、本明細書に示されているのは、本明細書に示されているオピオイド受容体関連障害(例えば、神経障害)の処置、予防および/または管理のための薬剤の製造における、本明細書に示されている化合物または組成物の使用である。一実施形態において、本明細書に示されているのは、本明細書に示されているオピオイド受容体関連障害(例えば、神経障害)の処置、予防および/または管理に使用するための化合物または組成物の使用である。
【0273】
一実施形態において、上記方法は、本明細書に示されている化合物または組成物を治療または予防に有効な量において対象(例えばヒト)に投与することを包含している。一実施形態において、対象はヒトであり得る。他の実施形態において、本明細書に示されている化合物は、オピオイド受容体(例えば、μ−オピオイド受容体)の活性を調節する。一部の実施形態において、本明細書に示されている化合物は、μ−オピオイド受容体のアゴニストである。一部の実施形態において、本明細書に示されている化合物は、μ−オピオイド受容体のアンタゴニストである。一部の実施形態において、本明細書に示されている化合物は、オピオイド受容体のアロステリック調節因子である。一部の実施形態において、本明細書に示されている化合物は、他のCNS関連標的を超えて、μ−オピオイド受容体に対して選択的である。一実施形態において、本明細書に示されている化合物は、動物(例えばげっ歯類)およびヒトにおいて脳透過性が高い。いくつかの実施形態において、オピオイド受容体の活性は、本明細書の他の箇所に記載された機能的アッセイによって評価され得る。一部の実施形態において、本明細書に示されている化合物の有効濃度は、10nM未満、100nM未満、1μM未満、10μM未満、100μM未満、または1mM未満である。他の実施形態において、各化合物の活性は、種々の当該技術分野において承認されている動物モデルにおいて評価され得る。
【0274】
いくつかの実施形態において、本明細書に示されているのは、本明細書に記載されているか、または従来公知のオピオイド受容体関連障害を治療、予防および/または管理する方法である。当該方法は、本明細書に示されている化合物を有効な量において対象に投与することを包含している。
【0275】
いくつかの実施形態において、本明細書に示されているのは、痛みを治療、予防および/または管理する方法である。当該方法は、本明細書に示されている化合物を有効な量において対象に投与することを包含している。上記痛みとしては、片頭痛、炎症性疼痛、神経因性疼痛、術後疼痛、急性温熱性痛覚過敏、機械的異痛、内臓痛、病態生理学的な侵害受容性疼痛、激痛および慢性疼痛、または痛みを伴う本明細書に記載の他の障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0276】
いくつかの実施形態において、本明細書に示されているのは、下痢を治療、予防および/または管理する方法である。当該方法は本明細書に示されている化合物を有効な量において対象に投与することを包含している。
【0277】
いくつかの実施形態において、本明細書に示されているのは、線維筋痛を治療、予防および/または管理する方法である。当該方法は、本明細書に示されている化合物を有効な量において対象に投与することを包含している。
【0278】
いくつかの実施形態において、本明細書に示されている化合物のそれぞれは、少なくとも1つのモデルにおいて活性があり、これらの化合物の活性を測定し、オピオイド受容体関連障害の処置におけるこれらの化合物の効果を評価するために使用され得る。例えば、疼痛のモデルの場合、これらの化合物は、痛み刺激に対する試験対象による反応を抑制するときに、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約99%、またはそれ以上までビヒクルと比べて活性である。一部の実施形態において、本明細書に示されている化合物のそれぞれは、処置された動物およびビヒクルを投与された動物の間において、測定の終点において同様の差異を生成する。
【0279】
他の実施形態において、本明細書に示されているのは、本明細書の他の箇所に記載された治療効果を実現する方法である。この方法は、本明細書に示されている化合物を治療に有効な量において対象(例えば、哺乳類)に投与することを包含している。特定の治療効果は、本明細書に記載されているか、または従来公知のモデル系(例えば、疾患の動物モデルに関するモデル系)を用いて測定され得る。
【0280】
一実施形態において、本明細書に示されている化合物のそれぞれは、当該化合物への依存を引き起こすことなく、中枢神経障害を治療、予防および/または管理する。
【0281】
投与の任意の経路は、治療または予防に有効な量の活性成分を患者に与えるために、採用され得る。例えば、経口経路、粘膜(例えば、鼻、舌下、口腔、直腸、膣)経路、腸管外(例えば、静脈、筋肉)経路、経皮経路、皮下経路が採用され得る。投与の例示的な経路としては、経口、経皮、および粘膜が挙げられる。このような経路のための適切な剤形としては、経皮パッチ、点眼剤、スプレー、およびエアロゾルが挙げられるが、これらに限定されない。また、経皮組成物は、この目的にとって当該技術において通常のようなマトリックスもしくは蓄積型の経皮パッチに含ませられ得るクリーム、ローションおよび/または乳液の形態を取り得る。例示的な剤形は、活性成分の所望される量の浸透を可能にするために、皮膚に適用され、特定の期間にわたって装着される、「蓄積型」または「マトリックス型」のパッチである。パッチは、患者に対する活性成分の不断の投与を必要とするとき、新しいパッチと交換され得る。
【0282】
本明細書に示されている障害を治療、予防および/または管理するために患者に投与される量は、種々の要因((1)採用される特定の化合物、またはそのエステル、その塩もしくはそのアミドの活性、(2)投与経路、(3)投与期間、(4)採用される特定の化合物の排出もしくは代謝の速度、(5)処置の期間、(6)採用される特定の化合物と組み合わせて使用される他の薬剤、化合物および/または材料、(7)処置される患者の年齢、性別、体重、状態、全身の健康および以前の病歴、ならびに(8)医術において周知の同様の要因が挙げられる)に依存する。
【0283】
当該技術において通常の技能を有している医師または獣医は、必要な有効量を容易に決定および指定し得る。例えば、医師または獣医は、用いる化合物の投与を、所望の治療効果を達成するために必要なレベルより低いレベルにおいて開始し得、少なく設定し、所望の効果が得られるまで投与量を徐々に増加させ得る。
【0284】
一般に、本明細書に示されている化合物の適切な毎日の投与量は、治療的または予防的な作用をもたらすために有効な最少の投与量である、化合物の量である。このような有効量は、一般的に上述の要因に依存する。一般的に、本明細書に示されている化合物の経口、静脈注射、脳室内および皮下の投与量は、1日につき体重1キログラムあたり約0.005mg〜約5mgの範囲である。一実施形態において、本明細書に示されている化合物の経口投与量は、1日につき約10mg〜約300mgの範囲である。他の実施形態において、本明細書に示されている化合物の経口投与量は、1日あたり、約20mg〜約250mgの範囲である。他の実施形態において、本明細書に示されている化合物の経口投与量は、1日につき約100mg〜約300mgの範囲である。他の実施形態において、本明細書に示されている化合物の経口投与量は、1日につき約10mg〜約100mgの範囲である。他の実施形態において、本明細書に示されている化合物の経口投与量は、1日につき約25mg〜約50mgの範囲である。他の実施形態において、本明細書に示されている化合物の経口投与量は、1日につき約50mg〜約200mgの範囲である。上記各用量範囲は、単回または複数回の単位投与剤形として調剤され得る。
【0285】
いくつかの実施形態において、本明細書に示されている化合物は、本明細書に示されている障害を治療、予防および/または管理するために、1つ以上の第2の活性薬剤と組み合わせて用いられ得る。一実施形態において、第2の活性物質は、当業者に公知である(例えば、参照によってその全体が本明細書に援用されるhttp://www.fda.gov/、The Merck Manual, 18th ed. 2006、およびPDR: Physician Desk Reference 2010, 64th ed. 2009に記載の物質)。一実施形態において、第2の活性薬剤は、ルラシドン、オランザピン、リスペリドン、アリピプラゾール、ドネペジル、リバスチグミン、メナンチン、アンフェタミン、メチルフェニデート、アトモキセチン、モダフィニル、セルトラリン、フルオキセチン、またはL−DOPAである。一実施形態において、第2の活性薬剤としては、ルラシドン、オランザピン、リスペリドン、アリピプラゾール、ドネペジル、リバスチグミン、メナンチン、アンフェタミン、メチルフェニデート、アトモキセチン、モダフィニル、セルトラリン、フルオキセチン、またはL−DOPAが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、第2の活性薬剤は、抗精神病薬(例えば、ハロペリドール、ドロペリドール、クロルプロマジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、チオリダジン、トリフルオ、メソリダジン、ペリシアジン、プロマジン、トリフル、レボメプロマジン、プロメタジン、ピモジド、シアメマジン、クロルプロチキセン、クロペンチキソール、フルペンチキソール、チオチキセン、ズクロペンチキソール、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、ジプラシドン、アミスルプリド、アセナピン、イロペリドン、セルチンドール、アリピプラゾール、またはルラシドン)、抗鬱剤(例えば、ドキセピン、クロミプラミン、アモキサピン、ノルトリプチリン、シタロプラム、デュロキセチン、トラゾドン、ベンラファキシン、アミトリプチリン、エスシタロプラム、アミトリプチリン/クロルジアゼポキシド、デシプラミン、ノルトリプチリン、トラニルシプロミン、パロキセチン、フルオキセチン、ミルタザピン、トリミプラミン、イミプラミン、プロトリプチリン、ブプロピオン、セルトラリン)、非ステロイド系抗炎症薬(例えば、アスピリン、ジフルニサル、サルサレート、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ジクロフェナク、ナブメトン、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、イソキシカム、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、ニメスリド、またはリコフェロン)、COX−2阻害剤(例えば、セレコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、フィロコキシブ)、抗痙攣剤(例えば、ガバペンチン、プレガバリン、ラモトリジン、カルバマゼピン、ラコサミド、およびトピラマート)、末梢性(非中枢神経系浸透性)μ−アンタゴニスト(例えばアルビモパン)、筋弛緩薬、または下剤である。
【0286】
(4.薬学的組成物および製剤)
薬学的組成物は、個々の単回の単位投薬形態の調製に使用され得る。本明細書に示されている薬学的組成物および製剤は、本明細書に示されている化合物または薬学的に許容可能なその塩を含んでいる。薬学的組成物および製剤は、1つ以上の賦形剤をさらに含み得る。
【0287】
いくつかの実施形態において、本明細書において開示される化合物は、製剤から化合物を抽出することが対象にとって困難な乱用防止製剤として調剤され得る。例は当業者に公知である。
【0288】
本明細書に示されている薬学的組成物および製剤は、1つ以上の付加的な活性成分を含み得る。また、任意の第2の(すなわち付加的な)活性成分の例は、本明細書に開示されている。
【0289】
本明細書に示されている単回の単位投薬形態は、患者への経口投与、粘膜(例えば、鼻、舌下、膣、口腔、または直腸)投与、非経口(例えば、皮下、静脈内、大量瞬時、筋肉内、または動脈内)投与、局所(例えば、点眼薬または他の眼病用調合液)投与、経皮投与、または皮下投与に適している。製剤の例としては、カプセル剤(例えば、錠剤、カプレット、軟弾性ゼラチンカプセル);カシェ剤;トローチ剤;薬用ドロップ;分散液;座剤;粉末剤;エアロゾル(例えば、鼻腔スプレーまたは吸入器);ゲル;患者への経口投与または粘膜投与に適した液体製剤(懸濁剤(例えば、水溶性または非水溶性の液体懸濁液、水中油型乳濁液、または油中水型乳濁液)、溶液剤、およびエリキシル剤が挙げられる);患者への非経口的投与に適した液体製剤;局所投与に適した点眼薬または他の眼科調合物;ならびに患者への非経口的投与に適した液体製剤をもたらすために再構成され得る滅菌固体(例えば、結晶または非晶質固体)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0290】
製剤の組成、形状および種類は、一般的に用途によって異なる。例えば、障害の急性処置に用いられる製剤は、同じ障害の長期にわたる処置に用いられる製剤より多量の1つ以上の活性成分を含有し得る。同様に、非経口製剤は、同じ障害を処置するために用いられる経口用製剤より少量の1つ以上の活性成分を含有し得る。特定の製剤が用いられるこれらまたは他の方法は、互いに異なり、当業者にとって容易に明らかになる。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., Mack Publishing, Easton PA (1990)を参照すればよい。
【0291】
一実施形態において、薬学的組成物および製剤は、1つ以上の賦形剤を含んでいる。適切な賦形剤は、薬学分野の当業者にとって周知であり、適切な賦形剤の非限定的な例は、本明細書に示されている。特定の賦形剤が薬学的組成物または製剤への混合に適しているか否かは、当該技術に周知の種々の要因(製剤を患者に投与する方法が挙げられるが、これに限定されない)に依存する。例えば、経口製剤(例えば錠剤)は、非経口製剤として適さない賦形剤を含有し得る。また、特定の賦形剤の適切さは、製剤における特定の活性成分に依存する。例えば、いくつかの活性成分の分解は、いくつかの賦形剤(例えば乳糖)によって、または水にさらされたときに、促進され得る。第1級または第2級アミンを含んでいる活性成分は、そのような促進された分解に影響を特に受けやすい。したがって、乳糖、他の単糖または二糖類を、たとえあってもわずかに含んでいる薬学的組成物および製剤が、提供される。本明細書に使用されるとき、「乳糖なしの」という用語は、たとえあっても存在する乳糖の量が、活性成分の分解速度を実質的に向上させるために不十分であることを意味する。
【0292】
乳糖なしの組成物は、当該技術に周知の賦形剤(例えば、U. S. Pharmacopeia(USP)25−NF20(2002)に列挙されている賦形剤)を含み得る。一般的に、乳糖なしの組成物は、薬学的に適合性、かつ薬学的に許容可能な量において、活性成分、結合剤/充填剤、および潤滑剤を含んでいる。一実施形態において、乳糖なしの製剤は、活性成分、微結晶セルロース、アルファ化デンプン、およびステアリン酸マグネシウムを含んでいる。
【0293】
また、水がいくつかの化合物の分解を促進し得るので、活性成分を含んでいる無水の薬学的組成物および製剤が提供される。例えば、水の添加(例えば5%)は、特性(例えば、保存期限または長期にわたる製剤の安定性)を決定するために、長期保存をシミュレートする手段として、薬学技術に広く受け入れられている。例えば、Jens T. Carstensen, Drug Stability: Principles & Practice, 2d. Ed., Marcel Dekker, NY, NY, 1995, pp. 379-80を参照すればよい。実際、水および熱は化合物の分解を促進する。したがって、水分および/または湿気が、製剤の製造、取り扱い、包装、保存、輸送および使用の間に接触するので、製剤に対する水の作用は非常に重要である。
【0294】
無水の薬学的組成物および製剤は、無水の成分もしくは低水分含有の成分および低水分条件または低湿度条件を用いて調製され得る。製造、包装および/または保存の間における水分および/または湿気との大量の接触が予想される場合、乳糖、ならびに第1級または第2級アミンを含んでいる少なくとも1つの活性成分を含んでいる薬学的組成物および製剤は、無水であることが好ましい。
【0295】
無水の薬学的組成物は、その無水の性質が維持されるように、調製され、かつ保存されるべきである。したがって、無水の組成物は、一実施形態において、好適な処方のキットにそれらが含められ得るように、水に対する暴露を防ぐための公知の材料を用いて包装されている。適切な包装の例としては、密封箔、プラスチック、単回用量の容器(例えば、バイアル)、ブリスター包装、およびストリップ包装が挙げられるが、これらに限定されない。
【0296】
また、本発明は、活性成分が分解する速度を低下させる1つ以上の化合物を含んでいる薬学的組成物および製剤を提供する。このような化合物(以下、「安定化剤」と称する)としては、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、pH緩衝剤、または塩緩衝剤)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0297】
賦形剤の量および種類と同様に、製剤における活性成分の量および特定の種類は、複数の要因(患者への投与経路が挙げられる)によって異なり得る。
【0298】
他の実施形態において、製剤は第2の活性成分を含んでいる。第2の活性物質の具体的な量は、用いられる特定の薬剤、治療、または管理されている疾患もしくは障害、本明細書に示されている化合物の量、および患者に同時投与される任意の付加的な活性薬剤に依存する。
【0299】
(a)経口製剤
経口投与に好適な薬学的組成物は、分離した製剤(例えば、錠剤(例えば、チュアブル錠)、カプレット、カプセル、および液体(例えば、味付きシロップ)が挙げられるが、これらに限定されない)として提供され得る。このような製剤は、所定量の活性成分を含有し、従来公知の薬学的方法によって調製され得る。一般的には、Remington's The Science and Practice of Pharmacy, 21st Ed., Lippincott Williams & Wilkins (2005)を参照すればよい。
【0300】
本明細書に示されている経口製剤は、従来の薬学的な複合技術にしたがって、本質的な混合物において活性成分を、少なくとも1つの賦形剤と組み合わせることによって調製される。賦形剤は、投与に望ましい調製形態に依存して、種々の広範な形態を取り得る。例えば、経口の液体製剤またはエアロゾル製剤における使用に好適な賦形剤としては、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、防腐剤、および着色剤が挙げられるが、これらに限定されない。経口の固体製剤における使用に好適な賦形剤(例えば、粉末、錠剤、カプセル、およびカプレット)の例としては、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、粒剤、潤滑剤、バインダー、および崩壊剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0301】
一実施形態において、経口製剤は、固体の賦形剤が採用される錠剤またはカプセルである。他の実施形態において、錠剤は、標準的な湿式または乾式技術によってコーティングされ得る。このような製剤は、任意の薬学的方法によっても調製され得る。一般に、薬学的組成物および製剤は、活性成分、および液体担体、微細に分割された固体担体もしくはその両方を均質かつ本質的に混合し、その後、必要に応じて生成物を所望の状態に成型することによって調製される。
【0302】
例えば、錠剤は、圧縮または成型によって調製され得る。圧縮された錠剤は、自由に流動する形態(例えば、粉状または粒状)における活性成分を、適切な機械において圧縮することによって調製され得、必要に応じて賦形剤と混合され得る。成型された錠剤は、適切な機械において、不活性の液体希釈剤を用いて湿らせた粉末状化合物の混合物を形成することによって作製され得る。
【0303】
本明細書に示されている経口製剤に用いられ得る賦形剤の例としては、結合剤、充填剤、崩壊剤、および潤滑剤が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的組成物および製剤における使用に好適な結合剤としては、限定されないが、コーンスターチ、バレイショデンプン、または他のデンプン、ゼラチン、天然ゴムおよび合成ゴム(例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末化したトラガカントゴム、グアーゴム、セルロース、およびそれらの誘導体(例えば、エチルセルロース、アセチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、2208号、2906号、2910号)、微結晶セルロース、ならびにこれらの混合物)が挙げられる。
【0304】
微結晶セルロースの適切な形態としては、AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103 AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105(FMC Corporation, American Viscose Division, Avicel Sales, Marcus Hook, PAから入手可能)として販売されている原料、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。特定の結合剤は、AVICEL RC-581として販売されている微結晶セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムの混合物である。適切な無水もしくは低水分の賦形剤、または添加剤としては、AVICEL-PH-103(商標)およびStarch 1500 LMが挙げられる。
【0305】
本明細書に示されている薬学的組成物および製剤における使用に好適な充填剤の例としては、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストレイト、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、薬学的組成物における結合剤または充填剤は、薬学的組成物または製剤の約50重量%から約99重量%までの範囲に存在する。
【0306】
水性の環境にさらされたときに崩壊する錠剤を提供するために、組成物において崩壊剤が使用され得る。多量の崩壊剤を含んでいる錠剤は、保管時に崩壊し得るが、崩壊剤を極めて微量に含んでいる錠剤は、所望の速度または所望の条件において崩壊しないことがある。したがって、固体の経口製剤を形成するために、活性成分の放出を不都合に変化させるには多くも少なくもない十分な量の崩壊剤が用いられる。用いられる崩壊剤の量は、製剤の種類に依存して異なり、当業者にとって容易に理解される。一実施形態において、薬学的組成物は、約0.5〜約15重量%の崩壊剤、または約1〜約5重量%の崩壊剤を含む。
【0307】
薬学的組成物および製剤に用いることができる崩壊剤としては、限定されないが、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、バレイショまたはタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、クレイ、他のアルギン、他のセルロース、ゴム、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0308】
薬学的組成物および製剤に用いることができる潤滑剤としては、限定されないが、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、硬化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、とうもろこし油、および大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、およびそれらの混合物が挙げられる。付加的な潤滑剤としては、シロイドシリカゲル(W.R. Grace Co. of Baltimore, MD製AEROSIL200)、合成シリカの凝結エアロゾル(Degussa Co. of Plano, TXによって市販されている)、CAB-O-SIL(Cabot Co. of Boston, MAによって市販されている発熱性の二酸化ケイ素製品)、およびそれらの混合物が挙げられる。潤滑剤は、少しでも使用される場合、それが混合される薬学的組成物または製剤の約1重量%未満の量を用いられ得る。
【0309】
一実施形態において、固体経口製剤は、本明細書に示されている化合物、ならびに無水乳糖、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、膠質の無水シリカ、およびゼラチン等の任意の賦形剤を含む。
【0310】
(b)放出制御製剤
本明細書に示されている活性成分は、当業者によく知られている放出制御手段または輸送装置によって投与することができる。例としては、限定されないが、米国特許第3,845,770号、米国特許第3,916,899号、米国特許第3,536,809号、米国特許第3,598,123号、米国特許第4,008,719号、米国特許第5,674,533号、米国特許第5,059,595号、米国特許第5,591,767号、米国特許第5,120,548号、米国特許第5,073,543号、米国特許第5,639,476号、米国特許第5,354,556号、および米国特許第5,733,566号に記載されているものが挙げられ、それぞれ参照することにより本明細書に組み込まれる。例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、ゲル、透析膜、浸透系、多層コーティング、微粒子、リポソーム、マイクロスフェア、またはこれらの組み合わせを用いてさまざまな割合で所望の放出プロファイルを提供して、このような製剤を用いて、1つ以上の活性成分を持続放出または放出制御することができる。本明細書において開示されるものを含む、当業者に公知の適切な放出制御製剤は、本明細書に示されているものも含めて、本明細書に示されている活性成分との併用のために容易に選択することができる。一実施形態において、限定されないが、放出制御に適合させた錠剤、カプセル、ジェルキャップ、およびカプレット等の経口投与に適した一体型製剤である。
【0311】
一実施形態において、放出制御医薬品は、非制御型の対応物以上に薬物療法を改善する。他の実施形態において、治療における放出制御製剤の使用は、最短時間で症状を治療または制御するのに用いられる最少量の薬によって特徴づけられている。放出制御製剤の利点としては、薬の活性を拡大し、投薬頻度を減少させ、患者の服用順守を拡大することである。さらに、放出制御製剤を用いて、作用開始時間または薬の血中濃度等の他の特徴に影響を与えることができるため、副次的影響(例えば、副作用)の発生に影響を与えることができる。
【0312】
他の実施形態において、放出制御製剤は、所望の治療効果または予防効果を迅速に生み出す量の薬(活性成分)が初めに放出され、長期間にわたって治療効果または予防効果のレベルを維持するための薬が少しずつかつ連続して放出されるように設計されている。一実施形態において、体内の薬を一定のレベルに維持するために、該薬は、代謝されて体から排出される薬量に取って代わるような速度で、製剤から放出され得る。活性成分の放出制御は、限定されないが、pH、温度、酵素、水、もしくは他の生理学的条件、または化合物を含む、種々の条件によって刺激することができる。
【0313】
(c)非経口製剤
非経口製剤は、限定されないが、皮下、静脈内(大量瞬時投与を含む)、筋肉内、および動脈内等を含む、種々の経路によって患者に投与することができる。いくつかの実施形態において、非経口製剤を投与することによって、汚染物質に対する患者の自然防御を介さないため、それらの実施形態において、非経口製剤は、無菌であるか、患者への投与に先立って無菌化することができる。非経口製剤の例としては、限定されないが、注射用溶液、医薬的に許容される注射用賦形剤に溶解または懸濁された乾燥製品、注射用懸濁液、および乳液が挙げられる。
【0314】
非経口製剤を提供するのに用いることができる適切な賦形剤は、当業者によく知られている。例としては、限定されないが、注射用水USP、水性賦形剤(限定されないが、塩化ナトリウム注射、リンゲル注射、デキストロース注射、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射、ならびに乳酸化リンゲル注射等)、水溶性賦形剤(限定されないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコール等)、ならびに非水性賦形剤(限定されないが、コーン油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、および安息香酸ベンジル等)が挙げられる。
【0315】
本明細書で開示される1つ以上の活性成分の溶解性を向上させる化合物もまた、非経口製剤に混合することができる。例えば、シクロデキストリンおよびその誘導体は、本明細書に示されている化合物の溶解性を向上させるために用いることができる。例えば、参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第5,134,127号を参照すればよい。
【0316】
(d)局所および粘膜製剤
本明細書に示されている局所および粘膜製剤としては、限定されないが、噴霧、エアロゾル、溶液、乳液、懸濁液、点眼薬、他の眼病の調合液、または当業者に公知の他の形式が挙げられる。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th and 18th eds., Mack Publishing, Easton PA (1980 & 1990)、Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms, 4th ed., Lea & Febiger, Philadelphia (1985)を参照すればよい。口腔内の粘膜組織を処置するのに適した製剤は、口内洗浄剤または経口ゲルとして調製することができる。
【0317】
本明細書に包含される局所および粘膜製剤を提供するのに用いることができる適切な賦形剤(例えば、担体および希釈剤)および他の材料は、医薬の当業者にとってよく知られており、ある薬学的組成物または製剤が適用される特定の組織に依存する。一実施形態において、賦形剤は、限定されないが、非毒性の医薬的に許容される溶液、乳液、またはゲルを形成するための、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、およびそれらの混合物が挙げられる。保湿剤または湿潤剤もまた、薬学的組成物および製剤に添加することができる。付加的な成分の例は、従来よく知られている。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th and 18th eds., Mack Publishing, Easton PA (1980 & 1990)を参照すればよい。
【0318】
薬学的組成物または製剤のpHを調整して、1つ以上の活性成分の送達を改善し得る。また、溶剤担体の極性、そのイオン強度、または張性を調整して、送達を改善することもできる。ステアリン酸塩等の化合物を薬学的組成物または製剤に添加して、送達を改善するように1つ以上の活性成分の親水性または親油性を変化させることができる。他の実施形態において、ステアリン酸塩は、製剤用の脂質賦形剤として、乳化剤もしくは界面活性剤として、または送達促進剤もしくは浸透促進剤として用いることができる。他の実施形態において、活性成分の塩、プロドラッグ、または包接化合物を用いて、得られる組成物の特性をさらに調整することができる。
【0319】
(5.キット)
一実施形態において、本明細書に示されている活性成分は、同時または同じ投与経路では患者に投与されない。他の実施形態において、適量の活性成分の投与を簡素化できるキットである。
【0320】
一実施形態において、キットは、本明細書に示されている化合物の製剤を含む。キットは、本明細書に開示される1つ以上の第2の活性薬剤、薬理活性突然変異体、もしくはその誘導体、またはそれらの組み合わせをさらに含む。
【0321】
他の実施形態において、キットは、活性成分を投与するのに用いられる装置をさらに含むことができる。このような装置の例としては、限定されないが、シリンジ、ドリップバッグ、パッチ、および吸入器が挙げられる。
【0322】
キットは、1つ以上の活性成分を投与するのに用いることができる医薬的に許容される賦形剤のみならず、移植のための細胞または血液をさらに含むことができる。例えば、活性成分が非経口的投与のために水で戻さなければならない固体の形で提供される場合は、キットは、活性成分を溶解して、非経口的投与に適した微粒子を含まない滅菌溶液を形成することができる適切な賦形剤の密封容器を備えることができる。医薬的に許容される賦形剤の例としては、限定されないが、注射用水USP、水性賦形剤(限定されないが、塩化ナトリウム注射、リンゲル注射、デキストロース注射、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射、ならびに乳酸化リンゲル注射等)、水溶性賦形剤(限定されないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコール等)、ならびに非水性賦形剤(限定されないが、コーン油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、および安息香酸ベンジル等)が挙げられる。
【実施例】
【0323】
一部の実施形態は、以下の非限定的な例によって説明される。
【0324】
A.化合物の合成
以下の例において、特に断りがない限り、すべての温度は摂氏において示され、すべての割合およびパーセントは質量によって示されている。試薬は、民間の業者(例えば、Sigma-Aldrich Chemical Company)から購入され得、特に断りがない限り、さらなる精製なしに使用され得る。また、試薬は、当業者に公知の標準的な、文献に記載の手法にしたがって調製され得る。溶媒は、Sure-Sealに入れられてAldrichから購入され得、受け取った状態のまま使用され得る。すべての溶媒は、特に断りがない限り、当業者に公知の標準的な方法を用いて精製され得る。
【0325】
特に断りがない限り、以下に示されている反応は、周囲温度において通常に行われた。反応フラスコは、シリンジによる基質および試薬の導入用のゴム隔壁が取り付けられた。分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)を、ガラスに支持されたシリカゲルの被覆前のプレート(Merck Art 5719)を用いて実施し、適切な溶媒比(v/v)を用いて溶出した。反応を、TLCまたはLCMSによって定量化し、出発物質の消費によって判断されるときに停止させた。TLCプレートの可視化を、紫外線(254波長)または適切なTLC可視化溶媒(例えば、熱によって活性化された塩基性のKMnO
4水溶液)を用いて実施した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(例えば、Still et al., J. Org. Chem., 43: 2923 (1978) を参照すればよい)を、シリカゲル60(Merck Art 9385)または種々のMPLCシステムを用いて実施した。
【0326】
以下の例における化合物の構造を、以下の方法:プロトン磁気共鳴分析、質量分析および融点の1つ以上によって確認した。プロトン磁気共鳴(
1H NMR)スペクトルを、400MHzの電界強度において動作NMRスペクトル計を用いて決定した。化学シフトは、内部標準(例えばテトラメチルシラン(TMS))に対する百万分率(ppm)において示されているデルタ(δ)値の形式において記録した。また、以下:CDCl
3=7.25ppm;DMSO-d
6=2.49ppm;C
6D
6=7.16ppm;CD
3OD=3.30ppmのように、
1H NMRスペクトルを、重水素化された溶媒における残余のプロトンからのシグナルに対して参照した。ピーク多様性を、以下:s、一重項;d、二重項;dd、複数の二重項のうちの二重項;t、三重項;dt、複数の三重項のうちの二重項;q、四重項;br、広がっている;およびm、多重項;のように表す。質量スペクトル(MS)データを、APCIイオン化またはESIイオン化を用いた質量分析計を用いて得た。
【0327】
B.合成スキーム
以下のスキームは、本明細書に示されている化合物を調製するための例示的な合成方法を示している。当業者は、類似の方法が、本明細書に示されている化合物を調製するために作用され得ることを理解する。すなわち、言い換えれば、当業者は、試薬、保護基、反応条件および反応手順に対する適切な修正が所望の実施形態を調製するために採用され得ることを認識している。反応を、調製される材料の量に適合させるために、拡大または縮小し得る。
【0328】
一実施形態において、式(I)、(II)または(III)の化合物は、当業者に公知の好適な出発物質および/または民間の業者から入手可能な適切な出発物質を用いて、以下に示されているスキームにしたがって調製され得る。一実施形態において、本明細書に示されているスキームの出発物質は、当業者に公知の手順および条件を用いて、市販の化合物から調製され得る。以下に示されているスキームにおける置換基(例えば、A、B、R、Raa、Rab、およびX);および整数(例えばq)が、本明細書に示されている化合物の特定の実施形態を調製するために変更され得ることを、当業者は理解する。以下のスキームが、特定の分子の2以上の位置に、ある置換基(例えばR)を採用するとき、存在するそのような置換基は、同じか、または異なり得る。例示的な手順および条件は、本明細書に示されている。
【0329】
(1.一般的な手順A)
【0330】
【化62】
【0331】
アクリル化を達成するために、置換されているニトリルを、適切な場合に追加の塩基を用い、かつ加熱して、活性化されたカルボニル化合物(すなわち酸塩化物)と縮合させた。第2のステップにおいて、アミン化合物を、適切な場合に塩基とともに加えた。中間生成物は、反応条件または追加の加熱によって環化して、標的化合物を生じさせた。
【0332】
(2.一般的な手順B)
【0333】
【化63】
【0334】
手順Aのステップは、適切な場合に追加の塩基および加熱によって第1のステップにおいてアミノエステルが合成されるように、逆行され得る。活性化されたニトリルを、適切な場合に塩基および加熱を用いて、第2のステップにおいて加えて、標的分子を生じさせた。
【0335】
(3.一般的な手順C)
【0336】
【化64】
【0337】
官能化アセトニトリル(すなわち、ニトリルとのクロロギ酸塩の縮合から得られた)を、ヒドラジンと縮合させて、位置異性体のピラゾロンの混合物を生じさせた。これらの混合物をクロマトグラフィーによって分離した。
【0338】
(4.一般的な手順D)
【0339】
【化65】
【0340】
他の実施形態において、官能性ハロエステルとのアミンの縮合から始まって、アミド結合を形成するための生成物のアシル化に続く多段階の手順によって、化合物を生成した。ジカルボニル化合物を塩基とともに環化させて、ピロロン化合物を形成するために他のアミンを用いて処理される環状ビニル酸を形成した。
【0341】
(5.一般的な手順E)
【0342】
【化66】
【0343】
他の実施形態において、ヒドラジンを、クロロギ酸エステルと反応させて、ヒドラジンのカルボン酸塩を生成させた。中間生成物を、アセトニトリル化合物と縮合させて、標的分子を生じさせた。
【0344】
(6.一般的な手順F)
【0345】
【化67】
【0346】
マロノニトリルおよび2−塩化クロロアセチルのカップリング反応の生成物を、アミンと縮合させて、ピロリノン中間体生成物F−1を生じさせた。この中間生成物を、標準方法によっていくつかの化合物(例えば、第一級アミド、ヒドロキシアミド、アミジン、酸、第二級アミド、は第三級アミド、または複素環)に合成した。一実施形態において、複素環形成の前に、F−1を炭素および窒素によってメチル化した。
【0347】
(7.一般的な手順G)
【0348】
【化68】
【0349】
一実施形態において、2−クロロ−3−ニトロピリジンを、ベンゾアセトニトリルを用いて塩基性条件においてアルキル化し、ベンゾイミダゾールの窒素を、ベンジル基を用いて保護して、G−4を生じさせた。ニトロ基を還元し、結果物のアニリンをニトリルと反応させて、G−5を生じさせた。環窒素を、標準的な条件においてアルキル化し、ベンジル基を除去して、G−7を生じさせた。
【0350】
(8.一般的な手順H)
【0351】
【化69】
【0352】
他の実施形態において、2−クロロ−3−ニトロピリジンを、エチルシアノアセテートを用いて塩基性条件においてアルキル化して、H−3を生じさせた。ニトロ基を還元し、結果物のアニリンをニトリルと反応させて、H−4を生じさせた。環窒素を、標準的な条件においてアルキル化した。エステルを、O−フェニレンジアミンと反応させて、ヒドロキシルへの環外にあるアミノ基の同時変換を用いてベンゾイミダゾールを形成するために環化されるアミドを生じさせた。
【0353】
(9.一般的な手順I)
【0354】
【化70】
【0355】
ジエチルマロネートを、イソチオシアネートと反応させ、結果物のチオールをヨウ化メチルでアルキル化して、化合物I−3を生じさせた。化合物I−3を、それからヒドラジンと縮合させて、クロマトグラフィーによって分離される位置異性体のピラゾロンの混合物を生じさせた。いくつかの場合に、エステルを、標準的な条件においてさらに合成して、複素環(例えば、ベンゾイミダゾール)を生じさせた。
【0356】
(10.一般的な手順J)
【0357】
【化71】
【0358】
いくつかの場合に、置換されているマロネートを、ヒドラジンと反応させて、クロマトグラフィーによって分離される位置異性体のヒドロキシピラゾロンの混合物を生じさせた。ヒドロキシ基を、標準的な操作を用いて塩化物に変換し、種々のアミンと反応させて、アミノピラゾロンを生じさせた。
【0359】
(11.一般的な手順K)
【0360】
【化72】
【0361】
化合物のオキセタン環を、高濃度の無機酸と反応させて、クロマトグラフィーによって分離されるジオール、ニハロゲン化物、およびハロ−アルコールの混合物を生じさせた。標準的な手順によって、臭化物を除去した。
【0362】
(12.一般的な手順L)
【0363】
【化73】
【0364】
一部の化合物のヒドロキシ置換基を、標準的な手順(例えば、ヒドロキシによって占められている位置に脱離基(LG)を有している化合物への変換)によって活性化させ、求核試薬(Nuc)と反応させて、合成の類似物を生じさせた。求核試薬がアミンである場合、窒素を、アシル基と反応させて、アミドを生じさせる。
【0365】
(13.アルファ酸化の一般的な手順)
【0366】
【化74】
【0367】
一部の化合物は、酸化剤(酸素分子が挙げられる)に対して塩基性条件において反応性であった。アルコール溶媒が使用される場合、アルコールは、標的化合物に組み込まれることがわかった。
【0368】
(14.N−アルキル化(N-alk)の一般的な手順)
【0369】
【化75】
【0370】
一部の化合物における環外にある窒素および/またはベンゾイミダゾールの窒素を、標準的な条件を用いてアルキル化した。両方の窒素がアルキル化される場合、結果物の位置異性体の混合物を、クロマトグラフィーによって分離した。
【0371】
(15.O−脱アルキル化(O-dealk)の一般的な手順)
【0372】
【化76】
【0373】
一部の化合物に、標準的な条件において除去される1つまたは2つの芳香族性のメチルエーテルを含めて、1つまたは2つのフェノールを生じさせた。
【0374】
C.アッセイ
(1.インビトロアッセイ)
GTPγS結合アッセイ:GTPγS結合アッセイは、特異的なG−タンパク質結合受容体に対するリガンドの作用の機能的な評価のための方法である。μ−オピオイド受容体に関連するG−タンパク質媒介シグナル伝達の作用強度および効力を評価するアッセイの使用が、説明されている。例えば、Rogers et al. 2003, Assay and Drug Development Technologies, 1(5)を参照すればよい。
【0375】
組み換えμ−オピオイド受容体は、分離された細胞膜調製物の内部に供給された。μ−オピオイド受容体と会合したGα G−タンパク質サブユニットに結合するGTPは、アゴニストに誘導される受容体活性化の指標である。アッセイのために、GTPを、受容体に局在化されている活性化Gタンパク質と可逆的に結合する[
35S]標識GTPγSによって置き換えた。アゴニストへの暴露後に、膜を、シンチレーションビーズの存在下における遠心分離によって沈殿させた。シンチレーションビーズと会合した、沈殿された[
35S]標識GTPγSの膜複合体を、受容体活性化の指標としての放射性の定量化のためのシンチレーションカウンターに置いた。用量反応実験は、試験された化合物についての効能および有効性の値をもたらした。
【0376】
酵素断片補完(EFC)アッセイ(BArr活性):酵素断片補完は、受容体、この場合、μ−オピオイド受容体に、ベータ−アレスチン2を捕捉させるリガンドの能力についての、作用強度および効力の測定値をもたらし得る。培養細胞は、2つの組み換えコンストラクトを含んでいる。第1のコンストラクトは、ベータ−ガラクトシダーゼ酵素の部分にC末端融合しているμ−オピオイド受容体をコードしているDNAを含んでいる。第2のコンストラクトは、ベータ−ガラクトシダーゼ遺伝子の異なる部分に融合されたベータ−アレスチン2遺伝子をコードしているDNAを含んでいる。ベータ−ガラクトシダーゼ遺伝子の部分はいずれも自ら活性ではないが、2つの異なる部分が近づくと酵素活性が得られる。μ−オピオイド受容体の融合タンパク質に対するベータ−アレスチンの融合タンパク質の捕捉は、ベータ−ガラクトシダーゼ酵素についての、活性な酵素を生じる酵素断片補完をもたらした。活性を指示するために、発光基質を供給した。
【0377】
一実施形態において、β−アレスチンは、β−gal(EAの酵素受容体と称される)のN末端欠失変異体に融合され、所定のGPCRは、ProLink(商標)と呼ばれる、より小さい(42アミノ酸の)、弱く補完するフラグメントに融合された。これらの融合タンパク質を安定に発現している細胞において、リガンド刺激は、ProLinkタグ付きのGPCR、およびβ−アレスチンの相互作用を生じさせ、β−galの2つの断片の補完を引き起こし、基質を検出可能なシグナルに変換する機能的な酵素の形成をもたらした。例えば、DiscoverX CorporationによるPathHunter(商標)β-Arrestin Assayを参照すればよい。
【0378】
(2.インビボアッセイ)
マウスにおけるテールフリック試験:
動物:行動実験の少なくとも1週間前に研究室に到着したTaconic Farms Inc.からの、実験未経験の7〜8週齢のオスのB6マウス。マウスを、Alpha-driセルロースの床敷きの入っているケージにつき、n=4の群において収容した。動物は、げっ歯類用の標準的な固形飼料および水を自由に入手できた。動物収容室および試験室は、制御された環境条件に維持され、互いに近接していた。動物収容室は、午前6時に点灯される12時間の明暗サイクルにあり、20%〜40%の湿度範囲をともなう華氏70度(範囲:華氏68度〜72度)に維持された。試験室は、20%〜40%の湿度範囲をともなう華氏60度〜70度に維持された。
【0379】
手順:各処理群は8匹〜12匹の動物を含んでいた。すべての処理群を、時刻および試験日の全体にわたって無作為化した。試験日に、動物を、実験環境に順化させるために、試験開始の少なくとも1時間前に、行動試験領域に、ホームケージに入れて移した。動物を、ホームケージから短時間だけ取り出して、識別標識が尾に付され、体重が記録された。基準のテールフリック反応時間は、すべてのマウスについて投与の60分前に決定された(Tail-Flick Analgesia Meter, IITC Life Science, Woodland Hills, CA, USA)。個々の動物は、実験者によって固く握られ、マウスの尾を、高強度の放射熱の有害刺激にさらした。この刺激を、すべての動物の尾の先端から1cm〜2cmに適用した。刺激強度を、2〜4秒の間に基準のテールフリック反応時間を生じるレベルまでソースを調節することによって設定した。離脱テールフリック反応が起きたら、熱刺激を自動的に終了し、反応時間を電子的に測定した。テールフリック反応のないとき、刺激を、10秒後(カットオフ時間)に自動的に終了させて、組織の損傷を回避した。基準テールフリック反応時間の決定後、動物をホームケージに戻した。マウスを、ホームケージから短時間だけ取り出して、経口胃管栄養(PO)、腹腔内注射(IP)または皮下注射(SC)によって、mg/kg(遊離塩基)単位において10mL/kgの試験物を投与した。一実施形態において、実験者は、動物の受けている処理を知らなかった。テールフリック反応時間を、投与から30分後および120分後にふたたび測定した。投与後の反応時間測定の時刻は、投与経路、照射量、試験物の薬物動態プロファイルに基づくが、同じ動物における90分間の間隔が、反応の学習/条件付けを回避するために、推奨される。行動試験の最後に、脳および血漿の試料を、各動物から回収し、化合物の濃度について分析されるまで−20℃または−80℃に保存した。テールフリック用器具を、水および70%アルコール溶液を用いて、各動物の間において洗浄した。テールフリック反応時間(秒)を、各動物について各時点に記録し、以下の式:
%MPE=[(処理後の反応時間−基準の反応時間)/(カットオフ反応時間−基準の反応時間)]×100
を用いて、最大予想効果のパーセント(%MPE)に変換した。テールフリック反応時間および%MPE値を、処理条件および時間を群間係数および群内係数としてそれぞれ用いた二元分散分析によって分析し、必要に応じて、試験化合物の処理群およびビヒクルの処理群を比較する事後検定によって分析した(ANOVA, GraphPad Prism, GraphPad Software Inc., La Jolla, CA, USA)。
【0380】
マウスにおける排便蓄積アッセイ:
動物:試験の少なくとも1週間前に研究室に到着したTaconic Farms Inc.からの、実験未経験の7〜8週齢のオスのC57BL/6マウス。マウスを、Alpha-driセルロースの床敷きの入っているケージにつき、n=2の群において収容した。動物は、げっ歯類用の標準的な固形飼料および水を自由に入手できた。動物収容室および試験室は、制御された環境条件に維持され、互いに近接していた。動物収容室は、午前6時に点灯される12時間の明暗サイクルにあり、20%〜40%の湿度範囲をともなう華氏70度(範囲:華氏68度〜72度)に維持された。試験室は、20%〜40%の湿度範囲をともなう華氏60度〜70度に維持された。
【0381】
手順:各処理群は8匹の動物を含んでいた。各試験日の前日に、飼料を、試験動物のホームケージから取り出し、試験前の24時間にわたる飼料の消費を決定可能にするために、速やかに既知量の飼料と置き換えた。試験前24時間の食物消費量を測定するために、食物を試験動物のホームケージから取り出し、既知量の食物と即座に入れ替えた。すべての処理群を、各ケージの動物(n=2)が同一の処理条件において投与され、試験されることを注意して、試験容器および試験日の全体にわたって無作為化され、試験前の24時間の食物摂取を、単回投与条件と関連付けられるようにした。試験日に、n=8の動物(n=2匹/ケージの4ケージ)を、短い順化時間(15〜30分間)にわたって試験室に、ホームケージに入れて移した。動物を、ホームケージから短時間だけ取り出して、識別標識が尾に付され、体重が記録された。それから、経口胃管栄養(PO)、腹腔内注射(IP)または皮下注射(SC)によって、mg/kg(遊離塩基)単位において10mL/kgの試験物を用いて、マウスを処理した。試験物投与の直後に、排便が、高架状の格子床を通過して落下し得、受け皿に回収される個々の試験容器に、マウスを入れた。一実施形態において、実験者は、動物の受ける処理を知らなかった。処理後の6時間にわたって1時間を置き、動物に対する妨害を最小にしながら、各試験容器の回収受け皿を短時間だけ取り出して、清潔な計量容器に排便を移し、空の回収受け皿を試験容器に戻した。排便は、回収直後に数えて計量(g単位)し、両方のパラメータを各動物について各時点において記録した。さらに、それまでの24時間の全体における摂食量を決定するために、各ホームケージに残っている飼料を計量(g単位)し、値を記録した。試験の間、動物には食物も水も与えられなかった。試験終了時に、脳および血漿の試料を各動物から回収し、化合物の濃度についての分析まで−20℃または−80℃に保存した。すべての試験容器を、試験終了時に、水および70%アルコール溶液を用いて洗浄した。以下のパラメータ:24時間の摂食量(g単位)および各時点における排便の総蓄積量(すなわち、投与から1、2、3、4、5および6時間後に蓄積された排便のg単位の総質量および数)を、処理条件および時間を群間係数および群内係数としてそれぞれ用いた二元分散分析によって分析し、必要に応じて、試験化合物の処理群およびビヒクルの処理群を比較する事後検定によって分析した(ANOVA, GraphPad Prism, GraphPad Software Inc., La Jolla, CA, USA)。例えば、Raehal et al., 2005, J. Pharmacol. Exp. Ther., 314(3), 1195-1201を参照すればよい。
【0382】
ラットのホルマリン試験:
試験時に250g〜300gの体重の、成体のオスのスピローグダウリーラットを、試験前の少なくとも5日間にわたって設備に順化させた。試験日に、各動物の体重を測定し、“C”の字型の軽量な金属帯を、動物の後足の一方にはめ、少量の接着剤を用いて固定した。足帯の適用直後に、ラットを、ホルマリン投与前の60分間にわたって試験同様の環境に順化させるために、清潔な吸収性のベンチペーパーの敷かれている個々のPlexiglasシリンダーに入れた。各動物は、順化シリンダーから短時間だけ取り出され、試験物の投与を受けた。典型的に、化合物は、ホルマリン注射の30分前に腹腔内経路によって投与された。ラットを、以下の処理群:ビヒクル(45%(w/v)2−ヒロドキシプロピル−β−シクロデキストリン、ネガティブコントロール)、モルヒネ(3mg/kg、ポジティブコントロール)、および3つの投与量レベルの試験化合物に、無作為に分けた。各処理群は、6〜8匹のラットを含んでいた。ラットは、6匹から8匹ずつ各処理群に分けられた。順化に続いて、希釈したホルマリン溶液(5%、50μL)を、金属帯つきの後足の背側面の皮下に投与し、動物を、試験シリンダーに直ちに置いて、試験セッションを開始した。ホルマリン投与した金属帯つきの後ろ足の引っ込め(flinch)の、60分間における回数を、自動痛覚分析器(UCSD, San Diego, CA;参考のためにYaksh et al. (2001)を参照すればよい)によって記録した。引っ込めの回数を、2つの時間間隔(すなわち、I期=ホルマリン投与後の0〜9分間およびII期=ホルマリン投与後の10〜60分間)にわたって各動物について合計した。I期およびII期の引っ込めの合計値を、各処理群について平均した。各期について、p<0.05に事前に設定した有意水準を有している、分散の一元配置分散分析(ANOVA, GraphPad Prism Version 4.03, GraphPad Software, Inc., La Jolla, CA)を用いて、データを統計的に比較した。有意な全体のANOVAに続いて、ビヒクルコントロール群に対する複数の比較を行った。例えば、Yaksh et al., (2001), J. Appl. Physiol., 90, 2386-2402を参照すればよい。
【0383】
一実施形態において、EC
50値は、選択された例のために得られた。以下の表は、選択された例のために2つ1組において得られたEC
50値を要約している。以下の略記が使用されている:
【0384】
【表1】
【0385】
D.化合物、調製方法および生物学的な活性
本明細書に示されている手順を用いて、以下の化合物を調製した。生物学的な活性を測定した。
【0386】
【表2】
【0387】
【表3】
【0388】
【表4】
【0389】
【表5】
【0390】
【表6】
【0391】
【表7】
【0392】
【表8】
【0393】
【表9】
【0394】
【表10】
【0395】
【表11】
【0396】
【表12】
【0397】
【表13】
【0398】
【表14】
【0399】
【表15】
【0400】
【表16】
【0401】
【表17】
【0402】
【表18】
【0403】
【表19】
【0404】
【表20】
【0405】
【表21】
【0406】
【表22】
【0407】
【表23】
【0408】
【表24】
【0409】
【表25】
【0410】
【表26】
【0411】
【表27】
【0412】
【表28】
【0413】
【表29】
【0414】
【表30】
【0415】
【表31】
【0416】
【表32】
【0417】
【表33】
【0418】
【表34】
【0419】
【表35】
【0420】
【表36】
【0421】
【表37】
【0422】
【表38】
【0423】
【表39】
【0424】
【表40】
【0425】
【表41】
【0426】
【表42】
【0427】
【表43】
【0428】
【表44】
【0429】
上述の実施形態は、単に例示を目的としており、当業者は、特定の化合物、材料および手法の多数の均等物を認識しているか、または定法に過ぎない実験を用いて、特定の化合物、材料および手法の多数の均等物を確認し得る。このような均等物のすべては、開示の範囲内にあるとみなされ、添付の特許請求の範囲に包含されている。
【0430】
本明細書に引用されている特許、特許出願および公開物のすべては、参照によってその全体が本明細書に援用される。本願における任意の参考文献の引用または特定は、このような参考文献が本願に対する先行技術として有効であることの自認ではない。本開示の全範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、よく理解される。