(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、例示的な一実施形態に従って形成されるコネクタアセンブリ100の斜視図である。コネクタアセンブリ100は、車両又は機械の筐体、隔壁、ケーシング等のパネル102にパネル取付されるように構成される。コネクタアセンブリ100は、耐久性があり、屋外や、過酷な環境又は極端な環境において使用することができる。
【0020】
コネクタアセンブリ100は、キャップコネクタ104及びプラグコネクタ106を含む。例示的な一実施形態において、キャップコネクタ104は、パネル102に取り付けられるように構成され、プラグコネクタ106は、キャップコネクタ104と嵌合するように構成される。
【0021】
本書に記述されるコネクタアセンブリ100の実施形態は、道具を必要としない取付装置を提供する。コネクタアセンブリ100の実施形態は、コンポーネントの適切な配置及び配向を可能にする一時的な保持機能部を提供し、これらのコンポーネントは、その後更に固定されて、コネクタ104,106の嵌合が完了する。本書に記述される実施形態は、組立のためにコネクタ104,106の周囲に大きなアクセス領域を必要としない機能部を有し、コネクタアセンブリ100が、他のコンポーネントに近接配置される、又はパネル102のより小さな領域に取り付けられることができるようになる。コネクタアセンブリ100の実施形態は、キャップコネクタ及びプラグコネクタ104,106の端子台を安定させることにより、コネクタ104,106の端子に対する振動や損傷を減少するために使用される機能部を提供する。コネクタアセンブリ100の実施形態は、端子台に端子を保持するために使用される端子位置保証(TPA)ラッチを解除することを可能にして使い易くする。コネクタアセンブリ100の実施形態は、多様な材料を扱う様々なコンポーネントを接続するための低応力ヒンジ設計を提供する。
【0022】
図2(a)及び
図2(b)は、キャップコネクタ104とプラグコネクタ106を示すコネクタアセンブリ100の分解図を示す。例示的な一実施形態では、キャップコネクタ104は、キャップハウジング110、ワイヤカバー112、取付クリップ114、ワイヤシール116、キャップ端子台118、及びキャップTPA装置120を含む。例示的な一実施形態では、プラグコネクタ106は、プラグハウジング130、ワイヤカバー132、スライドロック機構134、ワイヤシール136、プラグ端子台138、及びプラグTPA装置140を含む。コネクタ104,106の間のインターフェースを封止するために、プラグハウジング130とキャップハウジング110の間に配置されるインターフェースシール142が設けられる。キャップコネクタ及びプラグコネクタ104,106は、他の実施形態では他のコンポーネントを含んでもよい。キャップコネクタ及びプラグコネクタ104,106は、
図2(a)及び
図2(b)に示す1個以上のコンポーネントを含まずに、例えばTPA装置120,140を含まずに用いられてもよい。これらのコンポーネントの幾つかは、
図2(a)及び
図2(b)に示すように別体のコンポーネントとしてではなく、他のコンポーネントと一体としてもよい。
【0023】
キャップハウジング110は、キャップコネクタ104のワイヤや端子144を保持する。ワイヤカバー112は、キャップハウジング110の後端に固定され、ワイヤを被覆し、それらのワイヤにキャップコネクタ104のケーブル出口150を通過させる。ケーブル出口150は、キャップハウジング110は、キャップハウジング110によって部分的に、且つワイヤカバー112によって部分的に画定されてもよい。ワイヤカバー112は、高圧噴霧やほこり、ごみがキャップハウジング110に入らないようにする。例示的な一実施形態では、キャップハウジング110は、内部を貫通するチャネル152を含む。チャネル152内及びキャップ端子台118内へ、ワイヤや端子144が装填される。チャネル152の後端から延出するワイヤは、ワイヤカバー112によってケーブル出口150へ導かれる。
【0024】
キャップハウジング110は、パネル102に取り付けられるように構成される。取付クリップ114は、キャップハウジング110をパネル102に固定的に結合させるために使用される。ラッチやファスナ等の他の種類の保持機能部を使用してキャップハウジング110をパネル102に固定してもよい。例示的な一実施形態では、キャップハウジング110は、取付クリップ114がキャップハウジング110に対して配置されて固定されることができるまで、パネル102に対してキャップハウジング110を一時的に固定する一時的な保持機能部を含んでもよい。
【0025】
組立中、ワイヤシール116、キャップ端子台118、及びキャップTPA装置120は、キャップハウジング110の前端内に装填される。ワイヤシール116は、キャップコネクタ104のキャップ端子144に関連するワイヤに対して封止する。ワイヤシール116は、キャップハウジング110を通過したほこり、ごみや水分にキャップ端子144が露出することを防止する。他の一実施形態では、キャップ端子台118は、キャップハウジング110と一体化してキャップハウジング110に保持されてもよく、別体としてキャップハウジング110内に装填するようにしなくてもよい。
【0026】
キャップ端子台118は、キャップ端子144を保持するために使用される。キャップ端子台118は、対応するキャップ端子144を受容する、複数の個別のキャップ端子チャネル154を有してもよい。各キャップ端子チャネル154内のラッチ158は、キャップ端子チャネル154内で端子144と当接し、それを保持する。キャップTPA装置120は、キャップ端子台118の前面に結合される。キャップTPA装置120は、キャップ端子台118内に延出する支持壁156を含む。支持壁156は、キャップ端子チャネル154内のラッチ158を支持し、ラッチ158が外れないようにすることによって、キャップ端子144がキャップ端子チャネル154内に留まることを保証する。例示的な一実施形態では、キャップTPA装置120は、阻止位置と後退位置との間を移動可能である。阻止位置では、ラッチ158は、支持壁156によって移動を阻止される。後退位置では、支持壁156はラッチ158から離れ、ラッチ158が外れるようにし、キャップ端子144がキャップ端子チャネル154から外れるようにする。任意ではあるが、キャップTPA装置120を備えずにキャップコネクタ104を使用してもよい。
【0027】
プラグハウジング130は、プラグコネクタ106のワイヤや端子164を保持する。ワイヤカバー132は、プラグハウジング130の後端に固定され、ワイヤを被覆し、これらのワイヤにプラグコネクタ106のケーブル出口170を通過させる。ケーブル出口170は、プラグハウジング130によって部分的に、且つワイヤカバー132によって部分的に画定されてもよい。ワイヤカバー132は、高圧噴霧やほこり、ごみがプラグハウジング130に入らないようにする。プラグハウジング130からプラグ端子台138内へワイヤや端子164が装填される。ワイヤは、ワイヤカバー132によってケーブル出口170へ導かれる。
【0028】
プラグハウジング130は、キャップハウジング110に結合されるように構成される。スライドロック機構134は、プラグハウジング130をキャップハウジング110に固定的に結合するために使用される。例示的な一実施形態では、プラグハウジング130は、スライドロック機構134がプラグハウジング130をキャップハウジング110に固定するように作動させることができるまで、プラグハウジング130をキャップハウジング110に一時的に固定する一時的な保持機能部を含んでもよい。
【0029】
組立中、ワイヤシール136、キャップ端子台138、及びキャップTPA装置140は、プラグハウジング130の前端内に装填される。ワイヤシール136は、プラグコネクタ106のプラグ端子164に関連するワイヤに対して封止する。ワイヤシール136は、プラグハウジング130を通過したほこり、ごみや水分にプラグ端子164が露出することを防止する。他の実施形態では、プラグ端子台138は、プラグハウジング130と一体化してプラグハウジング130に保持されてもよく、別体としてキャップハウジング130に装填するようにしなくてもよい。
【0030】
プラグ端子台138は、プラグ端子を保持するために使用される。プラグ端子台138は、対応するプラグ端子を受容する複数の個別のプラグ端子チャネル174を有してもよい。各プラグ端子チャネル174内のラッチ178は、プラグ端子チャネル174内で端子と当接してそれを保持する。プラグTPA装置140は、プラグ端子台138の前面に結合される。プラグTPA装置140は、プラグ端子台138内に延出する支持壁176を含む。支持壁176は、プラグ端子チャネル174内のラッチ178を支持し、ラッチ178が外れないようにすることによって、プラグ端子がプラグ端子チャネル174内に留まることを保証する。例示的な一実施形態では、プラグTPA装置140は、阻止位置と後退位置との間を移動可能である。阻止位置では、ラッチ178は、支持壁176によって移動を阻止される。後退位置では、支持壁176はラッチ178から離れ、ラッチ178が外れるようにし、プラグ端子がプラグ端子チャネル174から外れるようにする。任意ではあるが、キャップTPA装置140を備えずにプラグコネクタ106を使用してもよい。
【0031】
図3は、キャップハウジング110の斜視図である。キャップハウジング110は、キャップハウジング110の前部に内側シュラウド200を含み、キャップハウジング110の後部に近接する外側フランジ
(第1フランジ)202を含む。
【0032】
例示的な一実施形態では、キャップハウジング110は、内側シュラウド200と外側フランジ202との間に内側フランジ
(第2フランジ)204を含む。内側フランジ204は、内側シュラウド200を包囲する。任意ではあるが、内側フランジ204は内側シュラウド200とは異なる外周を有してもよい。例えば、内側フランジ204は、内側シュラウド200よりも厚くてもよい。内側フランジ204は、内側シュラウド200の1つ以上の側面から外方に延出してもよい。内側フランジ204は、内側シュラウド200とは異なる形状を有してもよい。
【0033】
図示の実施形態では、内側シュラウド200は、角を丸めた略矩形状である。内側シュラウド200は、他の実施形態では他の形状でもよい。内側シュラウド200は、上部210、底部212、第1の側面214、及び第1の側面214とは反対側の第2の側面216を含む。内側シュラウド200は、側面214,216に沿うガイドレール218を含む。ガイドレール218によってプラグコネクタ106(
図2(b)に示す)とキーイング嵌合させてもよい。
【0034】
図示の実施形態では、内側フランジ204は、角を丸めた略矩形状である。内側フランジ204は、上部210、底部212及び側面214,216よりも外方に延在している。内側フランジ204は、キャップハウジング110をパネル102(
図4及び
図5に示す)に対して一時的に保持するために使用されるパネル保持機能部220を含む。パネル保持機能部220は、各々、互いに対して個別に可動な複数のリブ222と、対応するリブ222から延出する戻り止め224を含む。リブ222及び戻り止め224は、異なる厚みのパネルを収容可能なように、外側フランジ202から異なる距離に段階的に配置される。例示的な一実施形態では、パネル保持機能部220は、内側フランジ204の側面同士間の略中心に配置される内側フランジ204の上部及び底部に沿って設けられる。他の実施形態では他の位置でも可能である。例えば、パネル保持機能部220は、内側フランジ204の上部と底部の中心に配置されることに加えて、又はその代わりに、角に配置されてもよい。パネル保持機能部220は、内側フランジ204の上部と底部に沿って配置されることに加えて、又はその代わりに、内側フランジ204の側面に沿って配置されてもよい。
【0035】
図4及び
図5は、キャップハウジング110がパネル102に取り付けられる様子を示す。パネル102は、縁232によって画定される開口230を含む。パネル102は、前面234及び後面236を含む。開口230は、前面234と後面236との間に延在する。キャップハウジング110は、開口230を通して内側シュラウド200を装填することによって、パネル102に取り付けられる。キャップハウジング110が開口230内に装填されると、パネル保持機能部220は、パネル102に係合し、キャップハウジング110をパネル102に一時的に保持する。図示の実施形態では、パネル保持機能部220は、内側フランジ204の上部及び底部に沿った中心ではなく角に設けられている。キャップハウジング110は、外側フランジ202がパネル102の後面236に係合するまで、開口230に装填されてもよい。1つ以上の戻り止め224が前面234に係合し(例えば、上部の1つの戻り止め224及び底部の一つの戻り止め224)、キャップハウジング110が、外側フランジ202と戻り止め224との間のパネル102に対して適切な位置に保持される。戻り止め224は、作業者がキャップハウジング110を補助したり動かしたりすることなく、キャップハウジング110を適切な位置に保持するのに十分な強度を有してもよい。従って、作業者は、両手を使用して取付クリップ114(
図2(a)に示す)を設置することができ、キャップハウジング110まで把持する必要がない。キャップハウジング110は一時的に自らを支持しているため、キャップハウジング110をパネル102の位置に設置するために、もう一人の作業者が補助する必要がない。
【0036】
例示的な一実施形態では、パネル保持機能部220は、異なる厚みのパネルを収容可能なように、外側フランジ202から異なる距離に段階的に配置される。図示の実施形態では、パネル保持機能部220は、各々が対応する戻り止め224を備える3つのリブ222を含む。リブ222は、戻り止め224がパネル102に係合する時、ある程度の可撓性が得られるように個別に移動可能である。戻り止め224は、組立中に戻り止め224が容易に開口230を通過することができるように傾斜している。戻り止め224は、パネル102に係合して、パネル102に対して適切な位置にキャップハウジング110を保持する、略垂直な面を含む。
【0037】
図6は、キャップコネクタ104の一部を示しており、パネル102に一時的に取り付けられたキャップハウジング110と、キャップハウジング110に結合される前の取付クリップ114とを示す。取付クリップ114は、キャップハウジング110をパネル102に固定的に結合するために使用される。取付クリップ114は、キャップハウジング110の上部を装填方向に(例えば、ほぼ外側フランジ202及びパネル102に向かって)通過し、パネル102に係合し、パネル102に沿って固定方向に(例えば、外側フランジ202及びパネル102に略平行に)スライドするように設計される。取付クリップ114が固定方向にスライドされると、キャップハウジング110(例えば外側フランジ202)がパネル102に対して強く引っ張られる。取付クリップ114がキャップハウジング110に固定されると、キャップハウジング110は、パネル102に対してきつく保持され、取付クリップ114を取り外さなければ、取り外すことができなくなる。一方、パネル保持機能部220がキャップハウジング110をパネル102に対して一時的に保持している時は、キャップハウジング110は戻り止め224の保持力を超えることによって、開口230から押し出されることができる。
【0038】
取付クリップ114は、開口240を包囲するフランジ部238を有する略矩形の板である。フランジ部238は、パネル102に対して押圧され、キャップコネクタ104をパネル102に固定するように構成される。開口240は、縁242によって包囲される。縁242は、上壁244、下壁246、第1の側壁248、及び第2の側壁250によって画定される。開口240は、壁244,246,248,250によって四方を完全に囲繞される。開口240は、内側シュラウド200や内側フランジ204の高さにほぼ等しい高さ252を有する。開口240は、内側シュラウド200や内側フランジ204の長さよりも長い長さ254を有する。取付クリップ114の厚みは、パネル102と、取付クリップ114を保持するために使用されるキャップハウジング110の機能部との間に取付クリップ114を固定的に嵌合させるように、パネル102の厚みに対応していてもよい。取付クリップ114は、内側シュラウド200に沿って横方向にスライドされ、開口240の更なる長さ254によって、取付クリップ114がキャップハウジング110に対してスライドすることができる。
【0039】
内側シュラウド200は、外側フランジ202から離間した戻り止め256を含む。例示的な一実施形態において、戻り止め256は、上部210及び底部212から延出するが、戻り止め256は、キャップハウジング110のその他の部分から延出してもよい。戻り止め256は、取付クリップ114をキャップハウジング110に固定するために使用される。
【0040】
取付クリップ114は、戻り止め256と整合する窓258を含む。窓258は、取付クリップ114がキャップハウジング110に装填される際に、戻り止め256が通過できる大きさ及び形状を有する。取付クリップ114は、ほぼ外側フランジ202に向かう装填方向にキャップハウジング110に装填される。取付クリップ114は、パネル102に対して戻り止め256の背後でキャップハウジング110に装填される。窓258により、取付クリップ114が内側シュラウド200上に真っ直ぐに装填されることができ、取付クリップ114が戻り止め256の背後に配置されることができる。
【0041】
図7は、取付クリップ114が装填されているがロックされていない状態のキャップコネクタ104を示す。装填位置では、取付クリップ114は、内側シュラウド200上に装填され、パネル102の前面234に当接する。取付クリップ114は、内側シュラウド200の片側に(例えば右側)に移動され、内側シュラウド200が、第2の側壁250に近接配置され、第1の側壁248から離れて配置される。
【0042】
取付クリップ114は、上壁244及び下壁246から延出するレール260を含む。レール260は、キャップハウジング110から延出する戻り止め256に係合し、キャップハウジング110をパネル102に固定するように構成される。組立中、取付クリップ114は、パネル102及びキャップハウジング110に沿って固定方向にスライドされる。図示の実施形態では、取付クリップ114は、取付クリップ114を固定方向に移動させると、開口240内の内側シュラウド200の位置が変化するように、左側にスライドされる。例示的な一実施形態では、この固定方向は、外側フランジ202及びパネル102に対して略平行である。取付クリップ114を固定方向に移動させると、レール260が戻り止め256と係合する。レール260や戻り止め256は、キャップハウジング110を前進させるように傾斜又は角度が付けられ、外側フランジ202をパネル102の後面236に寄せる。取付クリップ114が固定方向にスライドされると、取付クリップ114は、ほぼ外側フランジ202に向かって押圧され、外側フランジ202と取付クリップ114との間隔を減少する。外側フランジ202及び取付クリップ114は、パネル102に対して押圧され、キャップハウジング110をパネル102に対してきつく保持する。
【0043】
図8は、装填されてロックされた位置の取付クリップ114を示す、キャップコネクタ104を示す。取付クリップ114は、パネル102に沿って横方向にスライドされ、キャップハウジング110をパネル102に固定した後の状態で示されている。例示的な一実施形態では、取付クリップ114は、手動パッド262を含み、手動パッド262は、作業者によって取付クリップ114を固定方向に押進又は押圧するために使用される。取付クリップ114上の第1の側壁248から延出するラッチ264が内側フランジ204に係合し、取付クリップ114の固定方向への移動を停止させる。ラッチ264は、取付クリップ114をキャップハウジング110に対してロック位置に配置させる。ロック位置では、レール260が戻り止め256に係合する。任意ではあるが、戻り止め256やレール260は、取付クリップ114をロック位置に保持するような形状であってもよい。
【0044】
キャップコネクタ104がパネル102に対して一旦固定的に結合されると、キャップコネクタ104はプラグコネクタ106(
図1に示す)と嵌合するように構成される。略C字形状に設計された現在の取付クリップでは、取付クリップは、キャップハウジング110の側面から延出するように位置合わせされ、C字形の取付クリップの開放端を内側シュラウド200にスライドさせる。現在のC字形の取付クリップとは異なり、閉じた形状の取付クリップ114は、内側シュラウド200が開口240内に嵌合するように、正面から内側シュラウド200に装填される。
図6乃至
図8に示す閉じた形状の取付クリップの設計により、C字形状の取付クリップと比較して、取付クリップ114をキャップハウジング110上に配置するために必要な空間が著しく小さくなる。キャップコネクタ104の片側に(例えば右側に)必要な空き空間の量は、C字形設計の他の取付クリップと比較して、閉じた形状の取付クリップ設計の取付クリップ114によって大幅に減少する。このような設計を用いることにより、その他のコンポーネントをコネクタアセンブリ100付近に配置させてもよい。
【0045】
図9(a)及び
図9(b)は、キャップ端子台118に取り付けられる前のキャップTPA装置120を示す、キャップコネクタ104の一部を示す。キャップ端子台118は、上部270、底部272、及び上部270と底部272との間に延在する側面274(
図9(a)及び
図9(b)には一方の側面274のみを示す)を含む。キャップ端子台118は、上部270及び底部272が側面274よりも長くなるように細長い形状である。キャップ端子台118は、側面274から延出する複数の戻り止め276を含む。戻り止め276は、キャップTPA装置120をキャップ端子台118に固定するために使用される。戻り止め276は、斜面278及び係止面280を含む。斜面278は略前方に面し、係止面280は略後方に面している。
【0046】
例示的な一実施形態では、キャップ端子台118の各側面274は、キャップ端子台118の前部282から異なる距離に段階的に配置された複数の戻り止め276を含む。例えば、図示の実施形態では、戻り止め276は、戻り止め276の係止面280が前部282から2つの異なる距離にあるように2段階に配置されている。近い方の段(例えば、前部282に近い方)は、各々上部270と底部272に向かう垂直方向に離れた2つの戻り止め276を含む。遠い方の段(例えば、前部282から遠い方)は、上部270と底部272のほぼ中心に1つの戻り止め276を含む。各段は戻り止め276を幾つ含んでいてもよい。段は、幾つ設けられていてもよい。
【0047】
戻り止め276の段階は、キャップ端子台118に対して異なる段階的位置にキャップTPA装置120を保持するために使用される。キャップTPA装置120の段階的保持は、例えばキャップ端子をキャップ端子台118に対して脱着する際など、キャップコネクタ104の組み付けにおいて使用される。例えば、キャップ端子は、キャップTPA装置120が前方位置にある時にのみ、キャップ端子台118から脱着され、キャップTPA装置120が後方位置即ちロック位置にある時は、キャップ端子台118に対するキャップ端子の挿抜が規制されるようにしてもよい。近い方の戻り止め276は、キャップTPA装置120を前進位置に保持するために使用され、遠い方の戻り止め276は、キャップTPA装置120を後方位置即ちロック位置に保持するために使用されてもよい。
【0048】
例示的な一実施形態では、キャップTPA装置120は、キャップTPA装置120の側面292から延出するヒンジラッチ290を含む(
図9(a)及び
図9(b)にはラッチ290と側面292が1つずつしか示されていないが、キャップTPA装置120の反対側の側面に同様のラッチが設けられていてもよい)。ラッチ290は、各々、多数のヒンジ296によって支持されたストラップ294を含む。ヒンジ296により、ストラップ294は、キャップ端子台118からキャップTPA装置120を解除するためにキャップ端子台118に対して回転又は移動することができる。ヒンジ296は、ラッチ290をキャップTPA装置120の側面292に接続するための多数の接続点を画定する。キャップTPA装置120は、ヒンジラッチ290がキャップ端子台118の対応する戻り止め276に係合するようにキャップ端子台118に結合される。
【0049】
ヒンジラッチ290は、キャップTPA装置120をキャップ端子台118から結合解除するために戻り止め276から解放されるように、例えば、キャップTPA装置120を後方位置即ちロック位置から前方位置に移動させたり、キャップTPA装置120をキャップ端子台118から完全に取り外させたりするように構成される。支持壁156(
図2(
b)に示す)は、キャップTPA装置120がキャップ端子台118から結合解除され、前方位置即ち非阻止位置に移動されたり、キャップ端子台118から完全に取り外されたりする時に、阻止位置から移動する。非阻止位置即ち前方位置では、キャップ端子台118のラッチ158(
図2(
b)に示す)は、キャップ端子チャネル154(
図2(
b)に示す)からキャップ端子を取り外すために解除されることができる。
【0050】
例示的な一実施形態では、ラッチ290は、キャップTPA装置120をキャップ端子台118に固定することによる応力を大きな表面積に分散することによって、ラッチの破損につながる応力の集中を低減する。例えば、多数のヒンジ296を設けることにより、ラッチ290とキャップTPA装置120との間の接続の表面積を増加させる多数の接続点が設けられる。例示的な一実施形態では、ラッチ290はロッカーラッチ(rocker latch)設計であり、ロッカーラッチのように直接的に係合解除することができない可撓壁(flexible wall)は使用しない。ヒンジ296は、ねじり及び曲げの両ヒンジ運動を行い、大きな面積に応力を分散させ、素材によってはヒンジの破壊を招きかねない応力の集中を低減する。
【0051】
図10は、プラグコネクタ106がキャップコネクタ104と嵌合する前の様子を示す、コネクタアセンブリ100の部分的な分解図である。
図11は、プラグコネクタ106がキャップコネクタ104と嵌合する前の様子を示す、コネクタアセンブリ100の部分的な分解図である。キャップコネクタ104とプラグコネクタ106は組み立てられた状態で示されている。
【0052】
キャップTPA装置120は、キャップ端子台118(
図2(
b)に示す)に完全に結
合され、キャップハウジング110に収容されている。ワイヤカバー112は、キャップ
ハウジング110に結合されている。取付クリップ114は、キャップコネクタ104を
パネル102に固定するようにロックされている。同様に、プラグPTA装置140は、
プラグ端子台138(
図2(
a)に示す)結合された状態で示されている。プラグTPA
装置140は、キャップTPA装置120と同様の方法によってプラグ端子台138に固
定されてもよい。例えば、プラグTPA装置140は、プラグ端子台138から延出する
戻り止めに固定されるヒンジラッチを含んでもよい。ワイヤカバー132は、プラグハウ
ジング130に結合されている。
【0053】
図示の実施形態では、スライドロック機構134は、作動位置にある状態で示されている。スライドロック機構134は、プラグコネクタ106をキャップコネクタ104に結合するために使用される。スライドロック機構134が作動されると、スライドロック機構134によってプラグコネクタ106がキャップコネクタ104内に引き込まれてもよい。
【0054】
例示的な一実施形態では、キャップコネクタ104は、キャップ端子台118から延出する複数の安定化ポスト300を含む。安定化ポスト300は、キャップTPA装置120を貫通する。例示的な一実施形態では、安定化ポスト300は、キャップ端子台118に結合される。任意ではあるが、安定化ポスト300は、キャップ端子台118と一体的に形成されてもよい。他の実施形態では、安定化ポスト300は、キャップハウジング110に結合され、キャップ端子台118及びキャップTPA装置120を貫通する。更に他の実施形態では、安定化ポスト300は、キャップTPA装置120に結合され、キャップTPA装置120からキャップ端子台118内に延出し、組立中にキャップ端子台118に対してキャップTPA装置120を配置するようにしてもよい。
【0055】
安定化ポスト300は、キャップTPA装置120の前部を越えて延出しており、安定化ポスト300が、プラグコネクタ106内に延出するようにしてもよい。例示的な一実施形態では、プラグTPA装置140及びプラグ端子台138は、安定化ポスト300を受容するために貫通孔302を含む。プラグコネクタ106が、キャップコネクタ104に結合される際、安定化ポスト300が、孔302内に延出する。安定化ポスト300は、キャップ端子台118、キャップTPA装置120、プラグTPA装置140、及びプラグ端子台138を連結し、プラグ端子とキャップ端子の間の接続を安定させる。キャップ端子及びプラグ端子を保持する、キャップ端子台118及びプラグ端子台138を結び付けることにより、プラグ端子とキャップ端子との間のインターフェースにおいて、コネクタアセンブリ100の振動の影響が減少する。任意ではあるが、安定化ポスト300によって、キャップ端子台118の動きがプラグ端子台138に伝達され、或いはその反対にプラグ端子台138の動きがキャップ端子台118に伝達されるように、安定化ポスト300は、締まり嵌めによって孔302に受容されるようにしてもよい。
【0056】
図示の実施形態では、安定化ポスト300及び対応する孔302は、端子台118、138の各角、及び端子台118の上部と底部に沿う中心位置に存在する。他の実施形態ではその他の位置も可能である。安定化ポスト300は、振動に対する安定をもたらす。他の実施形態では、安定化ポスト300は、TPA装置120,140ではなく、端子台118,138同士を連結するために使用されてもよい。例えば、実施形態によっては、TPA装置120,140を含まなくてもよく、安定化ポスト300は、TPA装置120,140を直接的に係合して保持しなくてもよい。
【0057】
図12は、キャップハウジング110及びプラグハウジング130を示す、プラグコネクタ100の一部を示す。プラグコネクタ106の内部のコンポーネントは、プラグハウジング130の内側壁面を明確に示すために取り除かれている。プラグハウジング130は、プラグハウジング130の上部及び底部の内側に一時的保持ラッチ310を含む。一時的保持ラッチ310は、組立中にプラグハウジング130をキャップハウジング110に一時的に固定するために使用され、その後、キャップスライドロック機構134(
図2(b)に示す)を使用して、プラグコネクタ106がキャップコネクタ104に対してより永続的に固定される。
【0058】
図示の実施形態では、一時的保持ラッチ310は、プラグハウジング130がキャップハウジング110上に装填される時に、外方に偏位されることができる、可撓性ストラップ312を含む。キャップハウジング110は、上部210及び底部212(
図3に示す)から延出する戻り止め314を含む。戻り止め314は、プラグハウジング130がキャップハウジング110上に装填される時に、ストラップ312を外方に撓ませる。戻り止め314は、ストラップ312の後側に係合し、プラグハウジング130をキャップハウジング110に対して一時的に固定する。戻り止め314と一時的保持ラッチ310との間に付与される固定力は、キャップハウジング110上にプラグハウジング130を支持するのに十分であるが、この固定力は、プラグハウジング130をキャップハウジング110から引き抜くことによって克服されてもよい。戻り止め314と一時的保持ラッチ310の間の保持力は、作業者がプラグハウジング130をキャップハウジング110上に一時的に保持するためにプラグハウジング130を更に支持する必要がないほど十分なものでもよい。スライドロック機構134は、プラグコネクタ106をキャップコネクタ104により永続的に固定するために使用される。
【0059】
例示的な一実施形態では、キャップハウジング110は、上部210及び底部212から延出するガイドポスト320を含む。プラグハウジング130がキャップハウジング110に結合される時、ガイドポスト320は、プラグコネクタ106内に装填される。スライドロック機構134は、ガイドポスト320と係合し、プラグコネクタ106をキャップコネクタ104に固定する。例示的な一実施形態では、プラグハウジング130は、プラグハウジング130の上部及び底部に開口322を含む。ガイドポスト320は、開口322を通ってスライドロック機構134内に進入する。
【0060】
図2(a)及び
図2(b)を更に参照すると、スライドロック機構134は、一対のスライドロック330と、スライドロック330を作動するために使用されるレバー332とを含む。レバー332は、スライドロック330をプラグハウジング130内でスライド方向に平行移動させる。スライドロック330は、ガイドポスト320(
図12に示す)を受容する。スライドロック330がスライド方向に移動すると、スライドロック330は、プラグコネクタ106をキャップコネクタ104上に引っ張り上げる、所定の経路に沿ってガイドポスト320を押し進める。レバー332が作動されると、プラグコネクタ106は、キャップコネクタ104内に引き込まれる。プラグコネクタ106がキャップコネクタ104内に引き込まれると、プラグ端子がキャップ端子と嵌合する。プラグコネクタ106をキャップコネクタ104に完全に締結するために、レバー332によって加えられる力が、多くのプラグ端子とキャップ端子との間の嵌合力に勝っている。
【0061】
パネル取付型コネクタアセンブリの実施形態は、キャップコネクタをパネル取付開口内に保持する、一連の保持ラッチを含むので、パネルの反対側で固定装置を使用することができる。保持ラッチは、キャップコネクタをパネル取付開口内に一時的に保持するので、作業者は単独で挿入した後、パネルの反対側に回り込み、パネルを適切な位置に固定することができる。保持機能部は、キャップコネクタ及びレバー即ちプラグコネクタを適切な位置に保持するので、作業者は、手を離して、レバー補助ハンドルを握り替えて嵌合手順を完成させることができる。例示的な一実施形態では、1つのパネル保持機能部で複数のパネルの厚みに対応することができる。
【0062】
パネル取付型コネクタアセンブリの実施形態は、道具を用いない取付方法を提供し、この方法では、大きなアクセス可能領域が専有されず、端子台から端子台へ直接的に接触させることによって一方の端子台が他方の端子台に対して安定し、端子位置保証(TPA)ラッチの解除が可能になって使い易くなり、様々な材料に対応する低応力ヒンジ設計が提供される。
【0063】
当然のことながら、上記の記述は一例であって制限的なものではない。例えば、上述の実施形態(やその態様)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。更に、本発明の範囲から逸脱することなく、特定の状況や材料を本発明の教示に適応させるように、多くの実施形態が考えられる。様々なコンポーネントの寸法、材料の種類、向き、及び本書に記述された様々なコンポーネントの数及び位置は、特定の実施形態のパラメータを定義するものであり、限定的なものではなく、例示的な実施形態に過ぎない。本請求項の真髄及び範囲内の他の多くの実施形態及び修正形態は、本明細書を検討すれば当業者には明らかである。