(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーの固有粘度は0.385〜0.425dL/gであり、シロキサン取り込み量は4〜6%であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
前記抗紫外線剤は、ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤、トリアジン型紫外線吸収剤およびヒンダードアミン光安定剤またはこれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、ポリ(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノール−アルト−1,4−ブタン二酸)、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノールまたはこれらの混合物から構成される群から選択された、2〜5質量%の抗紫外線剤を含むことを特徴とする請求項5に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本明細書で開示された範囲は、別途明示がある場合を除き、すべて終点を含むものであり、該終点は互いに独立に組み合わせできる。本発明の記述文脈(特に請求項の文脈)における単数表現は、本明細書で別途明示がある場合または文脈上明らかに矛盾する場合を除き、単数および複数を含むものと解釈される。また、本明細書で用いられる、「第1の」「第2の」などの用語は、いかなる順序や量あるいは重要度を表すものではなく、ある成分と他の成分とを区別するために用いられるものである。量に関連して用いた「約」は、記載された数値を含むものであり、文脈上決定される意味(すなわち、特定の量の測定に関連した誤差の程度を含む)を有するものである。本明細書での質量%は、100質量%の組成物に対するものである。
【0006】
[成分]
(ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマー)
本発明の組成物は、ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーを含む。一実施形態では、該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーはブロックコポリマーである。この実施形態では、該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンブロックコポリマーは、ポリ(フェニレンエーテル)ホモポリマーと該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンブロックコポリマーとの混合物である。
【0007】
(ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンブロックコポリマー)
一実施形態では、該組成物は、ポリ(フェニレンエーテル)ホモポリマーとポリ(フェニレンエーテル)ポリシロキサンコポリマーとの混合物を含む。該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーはブロックコポリマーであり得る。該ポリ(フェニレンエーテル)ポリシロキサンブロックコポリマーは、ポリ(フェニレンエーテル)ブロックと、米国特許第8,017,697号に開示されているようなポリシロキサンブロックと、を含む。
【0008】
ポリ(フェニレンエーテル)ブロックとポリシロキサンブロックとを含むブロックコポリマーは、その数が平均で35〜80個の1〜8質量%のシロキサン繰り返し単位と、12〜99質量%のフェニレンエーテル繰り返し単位と、を含む。該混合物は、一価フェノールとヒドロキシアリール末端ポリシロキサンとを含むモノマー混合物を酸化共重合するステップを備えたプロセスの生成物である。該ブロックコポリマーの質量平均分子量は、典型的には少なくとも30,000原子質量単位である。
【0009】
該混合物の一部であるポリ(フェニレンエーテル)ホモポリマーは、一価フェノール単独の重合生成物であり、該ブロックコポリマー合成時の副生成物である。該一価フェノールが単一の化合物(他の置換一価フェノールでもよいが、例えば2,6−ジメチルフェノール)から構成される場合、該ポリ(フェニレンエーテル)は、その単一の一価フェノールのホモ重合生成物である。該一価フェノールが2つ以上の別個の一価フェノール種(例えば、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの混合物)を含む場合、該ポリ(フェニレンエーテル)は、この2つ以上の別個の一価フェノール種の共重合生成物である。ポリ(フェニレンエーテル)とポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンブロックコポリマー間のフェニレンエーテル残基の割り付けは、核磁気共鳴法を用いてもできなかった。しかしながら、ポリ(フェニレンエーテル)の存在は、分離生成物中の、以下で定義される「尾部」基(例えば、一価フェノールが2,6−ジメチルフェノールの場合は2,6−ジメチルフェノキシ基)の存在から、およびまたは以下で定義される「ビフェニル」基(例えば3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールの残基)の存在から推測される。
【0010】
該混合物は、ポリ(フェニレンエーテル)ホモポリマーに加えて、ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンブロックコポリマーを含む。該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンブロックコポリマーは、ポリ(フェニレンエーテル)ブロックとポリシロキサンブロックとを含む。該ポリ(フェニレンエーテル)ブロックは、一価フェノール重合の残基である。一部の実施形態では、該ポリ(フェニレンエーテル)ブロックは、下式の構造を有するフェニレンエーテル繰り返し単位を含む:
【化1】
式中、各繰り返し単位に対し、Z
1はそれぞれ独立に、ハロゲン、ヒドロカルビル基が第三級ヒドロカルビルではない未置換または置換C
1−C
12ヒドロカルビル、C
1−C
12ヒドロカルビルチオ、C
1−C
12ヒドロカルビルオキシ、あるいは少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを分離しているC
1−C
12ハロヒドロカルビルオキシであり;Z
2はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル基が第三級ヒドロカルビルではない未置換または置換C
1−C
12ヒドロカルビル、C
1−C
12ヒドロカルビルチオ、C
1−C
12ヒドロカルビルオキシ、あるいは少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを分離しているC
1−C
12ハロヒドロカルビルオキシである。
【0011】
一部の実施形態では、該ポリ(フェニレンエーテル)ブロックは、2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル繰り返し単位、すなわち、下式の構造
【化2】
を有する繰り返し単位、あるいは2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル繰り返し単位、あるいはこれらの組み合わせを含む。
【0012】
該ポリシロキサンブロックは、ヒドロキシアリール末端ポリシロキサンの残基である。一部の実施形態では、該ポリシロキサンブロックは、下式の構造:
【化3】
(式中、R
1とR
2はそれぞれ独立に、水素、C
1−C
12ヒドロカルビルまたはC
1−C
12ハロヒドロカルビル)を有する繰り返し単位を含み、さらに、下式の構造
【化4】
(式中、Yは、水素、C
1−C
12ヒドロカルビル、C
1−C
12ヒドロカルビルオキシまたはハロゲンであり、R
3とR
4はそれぞれ独立に、水素、C
1−C
12ヒドロカルビルまたはC
1−C
12ハロヒドロカルビル)を有する末端単位を含む。一部の実施形態では、R
1とR
2は、C
1−C
6アルキルであり、具体的にはC
1−C
3アルキルであり、より具体的にはメチルである。一部の実施形態では、該ポリシロキサン繰り返し単位はジメチルシロキサン(−Si(CH
3)
2O−)単位を含む。一部の実施形態では、該ポリシロキサンブロックは、下式の構造を有する:
【化5】
式中、nは35〜60である。
【0013】
該ヒドロキシアリール末端ポリシロキサンは、少なくとも1つのヒドロキシアリール末端基を含む。ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンジブロックコポリマーが形成される一部の実施形態では、該ヒドロキシアリール末端ポリシロキサンは、単一のヒドロキシアリール末端基を有する。ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンジブロックおよびまたはトリブロックコポリマーが形成される他の実施形態では、該ヒドロキシアリール末端ポリシロキサは、2つのヒドロキシアリール末端基を有する。また、該ヒドロキシアリール末端ポリシロキサンは、3つ以上のヒドロキシアリール末端基が可能であり、対応する分枝鎖コポリマーの形成が可能な分岐構造を有し得る。
【0014】
前述のように、該ポリシロキサンブロックは、平均で35〜80個のシロキサン繰り返し単位を含む。この範囲内で、シロキサン繰り返し単位の数は35〜60個であり得、より具体的には40〜50個であり得る。該ポリシロキサンブロック中のシロキサン繰り返し単位の数は、共重合および単離条件には本質的に影響されず、従って、ヒドロキシアリール末端ポリシロキサン出発原料中のシロキサン繰り返し単位の数に等しい。等しくないことが判明した場合、ヒドロキシアリール末端ポリシロキサン1分子当たりのシロキサン繰り返し単位の平均数は、シロキサン繰り返し単位に伴う信号強度とヒドロキシアリール末端基に伴うそれとを比較するNMR法によって決定できる。例えば、該ヒドロキシアリール末端ポリシロキサンがオイゲノールキャップ化ポリジメチルシロキサンの場合、ジメチルシロキサン共鳴プロトンの積分とオイゲノールメトキシ基プロトンの積分とを比較するプロトン核磁気共鳴(
1H NMR)法で、シロキサン繰り返し単位の平均数が求められる。
【0015】
ポリ(フェニレンエーテル)ホモポリマーとポリ(フェニレンエーテル)ポリシロキサンブロックコポリマーとの混合物は、熱可塑性組成物の合計質量に対して、1〜8質量%のシロキサン繰り返し単位と、12〜99質量%のフェニレンエーテル繰り返し単位と、を含む。これらの範囲内で、シロキサン繰り返し単位の質量%は、2〜7質量%であり得、具体的には3〜6質量%であり得、より具体的には4〜5質量%であり得;フェニレンエーテル繰り返し単位の質量%は、50〜98質量%であり得、具体的には70〜97質量%であり得、より具体的には90〜96質量%であり得る。
【0016】
前述のように、ポリ(フェニレンエーテル)ホモポリマーとポリ(フェニレンエーテル)ポリシロキサンブロックコポリマーとの混合物は、一価フェノールとヒドロキシアリール末端ポリシロキサンとを含むモノマー混合物の酸化共重合ステップを備えたプロセスの生成物である。そのため、該プロセスは、事前形成されたポリ(フェニレンエーテル)とポリシロキサンブロックとのカップリングが必要なポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンブロックコポリマー合成法より簡単である。
【0017】
ポリ(フェニレンエーテル)ホモポリマーとポリ(フェニレンエーテル)ポリシロキサンブロックコポリマーとを含む、本明細書に記載の混合物の質量平均分子量は、少なくとも30,000原子質量単位である。一部の実施形態では、該質量平均分子量は、30,000〜150,000原子質量単位であり、具体的には35,000〜120,000原子質量単位であり、より具体的には40,000〜90,000原子質量単位であり、さらにより具体的には45,000〜70,000原子質量単位である。一部の実施形態では、数平均分子量は、10,000〜50,000原子質量単位であり、具体的には10,000〜30,000原子質量単位であり、より具体的には14,000〜24,000原子質量単位である。分子量決定には、クロマトグラフ法が用いられる。
【0018】
また、該混合物は、比較的少量の非常に低分子量種も含み得る。従って、一部の実施形態では、該混合物は、25質量%未満の、具体的には5〜25質量%の、より具体的には7〜21質量%の、分子量が10,000原子質量単位未満の分子を含む。一部の実施形態では、分子量が10,000原子質量単位未満の分子は、平均で5〜10質量%の、具体的には6〜9質量%のシロキサン繰り返し単位を含む。
【0019】
同様に、該混合物は、比較的少量の非常に高分子量種も含み得る。従って、一部の実施形態では、該混合物は、25質量%未満の、具体的には5〜25質量%の、より具体的には7〜23質量%の、分子量が100,000原子質量単位超の分子を含む。一部の実施形態では、分子量が100,000原子質量単位超の分子は、平均で3〜6質量%の、具体的には4〜5質量%のシロキサン繰り返し単位を含む。
【0020】
一部の実施形態では、ポリ(フェニレンエーテル)ホモポリマーとポリ(フェニレンエーテル)ポリシロキサンブロックコポリマーとの混合物の固有粘度は、25℃のクロロホルム中で測定して、少なくとも0.3dL/gである。該固有粘度は、0.3〜0.6dL/gであり、具体的には0.3〜0.5dL/gであり、より具体的には0.31〜0.55dL/gであり、さらにより具体的には0.35〜0.47dL/gであり、さらにより具体的には0.385〜0.425dL/gである。
【0021】
ヒドロキシアリール末端ポリシロキサンのブロックコポリマーへの組み込み効率を表すものの1つとして、所謂ポリ(フェニレンエーテル)「尾部」基が低濃度であることが挙げられる。2,6−ジメチルフェノールの単独重合において、生成物分子の大部分は、線状生成物分子の一端が3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル「頭部」で末端化され、他端が2,6−ジメチルフェノキシ「尾部」で末端化された所謂頭−尾構造を有する。従って、該一価フェノールが2,6−ジメチルフェノールで構成される場合、該ポリ(フェニレンエーテル)尾部基は下式の構造を有する:
【化6】
式中、環の3−、4−および5−位置は水素原子で置換されている(すなわち、該2,6−ジメチルフェノキシには、二価の2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル基は含まれない)。一価フェノールとヒドロキシアリール末端ポリシロキサンとの共重合では、ヒドロキシアリール末端ポリシロキサンのブロックコポリマーへの取り込みによって、フェニレンエーテル「尾部」基の濃度は低減するであろう。従って、一部の実施形態では、該一価フェノールは2,6−ジメチルフェノールから構成され、熱可塑性組成物は、その質量に対して、0.4質量%以下の、具体的には0.2〜0.4質量%の2,6−ジメチルフェノキシ基を含む。
【0022】
該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンブロックコポリマーを含む混合物は、それ自体が該一価フェノールの酸化生成物であるジフェノキノンから誘導された基をさらに含み得る。例えば、該一価フェノールが2,6−ジメチルフェノールの場合、該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンは、1.1〜2.0質量%の2,6−ジメチル−4−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)フェノキシ基を含み得る。
【0023】
該混合物は、揮発性および不揮発性の混入物質を最小化する単離法によって溶液から単離され得る。一部の実施形態では、該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーの全揮発成分量は、後述の実施例に記載の方法に準拠して測定して、例えば1質量%以下であり、具体的には0.2〜1質量%である。一部の実施形態では、該モノマー混合物は、金属(銅またはマンガンなど)を含む触媒の存在下で酸化共重合され、該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーは、100質量ppm以下の、具体的には5〜100質量ppmの、より具体的には10〜50質量ppmの、さらにより具体的には20〜50質量ppmの該金属を含む。
【0024】
該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサン)を含む混合物は、一価フェノールとヒドロキシアリール末端ポリシロキサンを酸化共重合してポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサン)を形成するステップを備えた方法で調製でき、ここで、該酸化共重合は反応時間80分以上で行われ、該ヒドロキシアリール末端ポリシロキサンは、平均で35〜80個のシロキサン繰り返し単位を含み、一価フェノールとヒドロキシアリール末端ポリシロキサンの合計質量の1〜8質量%を構成する。
【0025】
他の実施形態では、該ヒドロキシアリール末端ポリシロキサンは、平均で35〜80個のシロキサン繰り返し単位を含み、一価フェノールとの合計質量の20質量%超〜80質量%を構成する。
【0026】
一部の実施形態では、該ヒドロキシアリール末端ポリシロキサンは、平均で40〜70個の、具体的には40〜60個の、より具体的には40〜50個のシロキサン繰り返し単位を含む。
【0027】
前述のように、一実施形態では、該ヒドロキシアリール末端ポリシロキサンは、一価フェノールとの合計質量の1〜8質量%、9〜20質量%、および20質量%超〜80質量%を構成する。この範囲内で、該ヒドロキシアリール末端ポリシロキサンは、一価フェノールとの合計質量の2〜7質量%、具体的には3〜6質量%、より具体的には4〜6質量%を構成する。
【0028】
一部の実施形態では、該酸化共重合は、少なくとも80質量%の、具体的には少なくとも90質量%の、より具体的には100質量%の該ヒドロキシアリール末端ポリシロキサンの存在下で開始される。
【0029】
一部の実施形態では、該酸化共重合は、0〜50質量%の、具体的には1〜30質量%の、より具体的には2〜20質量%の、さらにより具体的には5〜10質量%の該一価フェノールの存在下で開始される。
【0030】
該酸化共重合は、反応時間約80分以上〜約100分で行われる。該反応時間は、酸素流開始から終了までの経過時間である。簡略化のために、本明細書では「酸素」または「酸素流」が繰り返して記載されるが、空気を含む任意の酸素含有ガスを該酸素源として使用し得ることは理解されるであろう。一部の実施形態では、該反応時間は110〜300分であり、具体的には140〜250分であり、より具体的には170〜220分である。
【0031】
該酸化共重合は、モノマー添加完了から酸素流終了までの時間である「形成時間」を含み得る。一部の実施形態では、該反応時間は、80〜160分の形成時間を含む。一部の実施形態では、該形成時間の少なくとも一部の間の反応温度は40〜60℃であり得、具体的には45〜55℃であり得る。
【0032】
該混合物は、共重合化反応終了後に、当分野で既知の溶液からのポリ(フェニレンエーテル)類の単離方法を用いて溶液から単離できる。例えば、該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーは、メタノール、エタノール、n−プロパノールおよびイソプロパノールを含むC
1−C
6アルカノールなどの逆溶媒を用いた沈殿によって単離できる。本発明者らは、イソプロパノールが未反応のヒドロキシアリール末端ポリシロキサンには良好な溶媒であることから、その使用が好都合であることを見出した。従って、イソプロパノールで沈殿・洗浄することによって、単離生成物からヒドロキシアリール末端ポリシロキサンが実質的に除去される。該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーは、沈殿に代わって、脱揮押出を含む直接単離方法によって単離できる。
【0033】
一部の実施形態では、該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンは、1〜8質量%のシロキサン繰り返し単位を含む。
【0034】
一部の実施形態では、該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーの質量平均分子量は、少なくとも30,000原子質量単位であり、具体的には30,000〜150,000原子質量単位であり、より具体的には35,000〜120,000原子質量単位であり、さらにより具体的には40,000〜90,000原子質量単位であり、さらにより具体的には45,000〜70,000原子質量単位である。
【0035】
非常に特定的な実施形態では、該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーの固有粘度は約0.385〜0.425dL/gであり、取り込まれたシロキサンの質量%は少なくとも約4〜6%である。別の実施形態では、該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーの固有粘度は約0.41dL/gである。別の非常に特定的な実施形態では、該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーは、米国特許第8017,697号に実施例16として記載されている。従って、一実施形態では、該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーの固有粘度は約0.39dL/gであり、取り込まれたシロキサンの質量%は少なくとも約4.78%である。
【0036】
一部の実施形態では、本発明の組成物は、約5〜約55質量%の、より具体的には約10〜約40質量%の該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーを含む。より具体的には、本発明の組成物は、約10〜約25質量%の、より具体的には約15〜約25質量%の該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーを含む。
【0037】
(水素化ブロックコポリマー)
該組成物は、ポリ(アリーレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーに加えて、1種または複数種の、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーをさらに含む。簡略化のために、本明細書では、この成分を「水素化ブロックコポリマー」と呼ぶ。
【0038】
該水素化ブロックコポリマーでは、ポリ(アルケニル芳香族)含量が約10〜約90質量%であり、ポリ(共役ジエン)含量が約10〜約90質量%であってもよい。一部の実施形態では、該ポリ(アルケニル芳香族)含量は、約10〜45質量%であり、具体的には約20〜約40質量%である。他の実施形態では、該ポリ(アルケニル芳香族)含量は、45質量%超〜約90質量%であり、具体的には約55〜約80質量%である。該水素化ブロックコポリマーの質量平均分子量は、約40,000〜約400,000原子質量単位であり得る。該ポリ(フェニレンエーテル)成分と同じように、数平均分子量と質量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィによって、およびポリスチレン標準との比較に基づいて求めてもよい。一部の実施形態では、該水素化ブロックコポリマーの質量平均分子量は、200,000〜約400,000原子質量単位であり、具体的には220,000〜約350,000原子質量単位である。他の実施形態では、該水素化ブロックコポリマーの質量平均分子量は、約40,000〜200,000原子質量単位未満であり得、具体的には約40,000〜約180,000原子質量単位であり得、より具体的には約40,000〜約150,000原子質量単位であり得る。
【0039】
該水素化ブロックコポリマーの調製に用いるアルケニル芳香族モノマーは下式の構造を有し得る:
【化7】
式中、R
20およびR
21はそれぞれ独立に、水素原子、C
1−C
8アルキル基またはC
2−C
8アルケニル基を表し;R
22およびR
26はそれぞれ独立に、水素原子、C
1−C
8アルキル基、塩素原子または臭素原子を表し;R
23、R
24およびR
25はそれぞれ独立に、水素原子、C
1−C
8アルキル基またはC
2−C
8アルケニル基を表し、あるいはR
23およびR
24は中央の芳香環と共にナフチル基を形成し、あるいはR
24およびR
25は、それぞれ結合する炭素と共にナフチル基を形成する。具体的なアルケニル芳香族モノマーとしては、例えば、スチレン、p−クロロスチレンなどのクロロスチレン、およびα−メチルスチレンやp−メチルスチレンなどのメチルスチレンが挙げられる。一部の実施形態では、該アルケニル芳香族モノマーはスチレンである。
【0040】
該水素化ブロックコポリマーの調製に用いる共役ジエンはC
4−C
20共役ジエンであり得る。好適な共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなど、およびこれらの組み合わせが挙げられる。一部の実施形態では、該共役ジエンは、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンあるいはこれらの組み合わせである。一部の実施形態では、該共役ジエンは1,3−ブタジエンから構成される。
【0041】
該水素化ブロックコポリマーは、(A)アルケニル芳香族化合物から誘導された少なくとも1つのブロックと、(B)共役ジエンから誘導された少なくとも1つのブロックと、を含み、ブロック(B)中の脂肪族不飽和基含量が水素化によって少なくとも部分的に低減されているコポリマーである。一部の実施形態では、(B)ブロック中の脂肪族不飽和は少なくとも50%、具体的には少なくとも70%低減されている。ブロック(A)と(B)の配置としては、リニア構造、グラフト構造、および分枝鎖の有無に拘わらないラジアルテレブロック構造がある。リニアブロックコポリマーには、傾斜型リニア構造および非傾斜型リニア構造がある。一部の実施形態では、該水素化ブロックコポリマーは傾斜型リニア構造を有する。一部の実施形態では、該水素化ブロックコポリマーは非傾斜型リニア構造を有する。一部の実施形態では、該水素化ブロックコポリマーは、アルケニル芳香族モノマーがランダムに取り込まれたBブロックを含む。リニアブロックコポリマー構造には、ジブロック(A−Bブロック)構造、トリブロック(A−B−AブロックまたはB−A−Bブロック)構造、テトラブロック(A−B−A−Bブロック)構造、ペンタブロック(A−B−A−B−AブロックあるいはB−A−B−A−Bブロック)構造、およびA−Bが合計で6個以上含まれたリニア構造などがあり、ここで、各Aブロックの分子量は、他のAブロックのそれと同じであっても異なっていてもよく、各Bブロックの分子量は、他のBブロックのそれと同じであっても異なっていてもよい。一部の実施形態では、該水素化ブロックコポリマーは、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマーまたはこれらの組み合わせである。
【0042】
一部の実施形態では、該水素化ブロックコポリマーは、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマーである。一部の実施形態では、該ブロックコポリマーは、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)ジブロックコポリマーである。これらの水素化ブロックコポリマーは、その名称で示されるもの以外のいかなる官能化剤あるいはいかなるモノマーの残基も含まない。
【0043】
一部の実施形態では、該水素化ブロックコポリマーは、該アルケニル芳香族化合物と共役ジエン以外のモノマーの残基を含まない。一部の実施形態では、該水素化ブロックコポリマーは、該アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとから誘導されたブロックから構成される。該ブロックコポリマーは、これらで形成されたグラフト、あるいは他の任意のモノマーで形成されたグラフトを含まない。また、該ブロックコポリマーは炭素原子と水素原子から構成され、従って、ヘテロ原子を含まない。
【0044】
一部の実施形態では、該ブロックコポリマーは、無水マレイン酸などの1つまたは複数の酸官能化剤の残基を含む。
【0045】
水素化ブロックコポリマーの調製方法は当分野で既知であり、多くの水素化ブロックコポリマーが市販されている。市販の水素化ブロックコポリマーの具体的なものとしては、Kraton Performance Polymers社からKraton G1701およびG1702として販売されているポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)ジブロックコポリマー;Kraton Performance Polymers社からKraton G1641、G1650、G1651、G1654、G1657、G1726、G4609、G4610、GRP−6598、RP6924、A1636、MD6932M、MD6933およびMD6939として販売されているポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;Kraton Polymers社からKraton A1535およびA1536として販売されているポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン−スチレン)−ポリスチレ(S−EB/S−S)トリブロックコポリマー;Kraton Performance Polymers社からKraton G1730、A1635HUおよびA1636HUとして販売されているポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;Kraton Performance Polymers社からKraton FG1901、FG1924およびMD−6684として販売されている無水マレイン酸−グラフト化ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;Kraton Performance Polymers社からKraton MD6670として販売されている無水マレイン酸−グラフト化ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン−スチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;旭化成ケミカルズ(株)からTUFTEC H1043として販売されている、ポリスチレン含量が67質量%のポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;旭化成ケミカルズ(株)からTUFTEC H1051として販売されている、ポリスチレン含量が42質量%のポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;旭化成ケミカルズ(株)からTUFTEC P1000およびP2000として販売されているポリスチレン−ポリ(ブタジエン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;旭化成ケミカルズ(株)からS.O.E.−SS L601として販売されているポリスチレン−ポリブタジエン−ポリ(スチレン−ブタジエン)−ポリブタジエンブロックコポリマー;Chevron Phillips Chemical社からK−Resin KK38、KR01、KR03およびKR05として販売されているラジアルブロックコポリマー;(株)クラレからSEPTON S8104として販売されている約60質量%のポリスチレンを含むポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;(株)クラレからSEPTON S4044、S4055、S4077およびS4099として販売されているポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;および(株)クラレからSEPTON S2104として販売されている約65質量%のポリスチレンを含むポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレントリブロックコポリマーなどが挙げられる。複数のブロックコポリマーの混合物を用いてもよい。
【0046】
一部の実施形態では、該水素化ブロックコポリマーの少なくとも一部は、例えば、住友化学(株)のTPE−SB2400などの、水素化ブロックコポリマーと、エチレン−プロピレンコポリマーと、鉱油と、を含む溶融混錬ブレンドの形態で提供される。この文脈において、「溶融混錬ブレンド」とは、水素化ブロックコポリマー、エチレン−プロピレンコポリマーおよび鉱油が、他の成分との溶融混錬前に、互いに溶融混錬されていることを意味する。この溶融混錬ブレンド中のエチレン−プロピレンコポリマーは、エラストマーコポリマー(すなわち、所謂エチレン−プロピレンゴム(EPR))である。好適なエチレン−プロピレンコポリマーは、後述の、任意成分としてのエチレン/α−オレフィンコポリマーの文脈に記載されている。これらの溶融混錬ブレンドにおいて、水素化ブロックコポリマー量は、その合計質量に対して、約20〜約60質量%、具体的には約30〜約50質量%であってもよく;エチレン−プロピレンコポリマー量は、その合計質量に対して、約2〜約20質量%、具体的には約5〜約15質量%であってもよく;鉱油量は、その合計質量に対して、約30〜約70質量%、具体的には約40〜約60質量%であってもよい。
【0047】
一部の実施形態では、該組成物は、約1〜約65質量%の、より具体的には約5〜約25質量%の水素化ブロックコポリマーを含む。より具体的には、該組成物は、約10〜約15質量%の該水素化ブロックコポリマーを含む。この範囲内で、該水素化ブロックコポリマーの量は、具体的には、組成物の合計質量に対して約11〜約20質量%であってもよい。
【0048】
一部の実施形態では、該組成物は、その合計質量に対して、Kraton Performance Polymers社のG1650などの線状トリブロックポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレンコポリマーを約5〜30質量%含む。別の実施形態では、該組成物は、その合計質量に対して、Kraton Performance Polymers社のG1650を約5〜15質量%含む。
【0049】
(難燃剤)
本発明の組成物は、少なくとも1種が水酸化マグネシウムである1種または複数種の難燃剤を含む。一部の実施形態では、水酸化マグネシウムは、アミノポリシロキサンで表面処理された高純度水酸化マグネシウムである。一部の実施形態では、該水酸化マグネシウムは、Albemarle社からMagnifin H−5IVとして入手できる。
【0050】
典型的には、難燃剤の量は30〜60質量%である。より典型的には、難燃剤の量は32〜58質量%である。より典型的には、難燃剤の量は35〜55質量%である。より典型的には、難燃剤の量は35〜48質量%である。
【0051】
(他の難燃剤)
他の実施形態では、本発明の組成物は、後述の他の金属水酸化物、リン酸塩、有機ホスフェート、ホスフィネートおよびホスホネートから構成される群から選択された追加の難燃剤の1種または複数種を任意に含んでいてもよい。
【0052】
(金属水酸化物)
好適な金属水酸化物としては、難燃性を付与できるものすべて、およびそれらの組み合わせが挙げられる。該金属水酸化物は、難燃剤添加組成物およびまたは難燃性熱可塑性組成物の処理中に実質的に分解しないように選択できる。実質的に分解しないとは、本明細書では、該難燃剤添加組成物による所望の水準の難燃性付与を妨げない分解量として定義される。典型的な金属水酸化物としては、これに限定されないが、水酸化アルミニウム(例えばCAS登録番号第21645−51−2号)、水酸化コバルト(例えばCAS登録番号第21041−93−0号)およびこれらのものの2つ以上の組み合わせが挙げられる。一部の実施形態では、該金属水酸化物は水酸化マグネシウムを含む。一部の実施形態では、該金属水酸化物の平均粒径は10μm以下であり、およびまたはその純度は90質量%以上である。一部の実施形態では、該金属水酸化物が実質的に水分を含まない、すなわち、120℃×1時間で乾燥時の質量損失が1質量%未満であることが望ましい。一部の実施形態では、該金属水酸化物は、例えばステアリン酸あるいは他の脂肪酸で被覆され得る。他の実施形態では、該金属水酸化物はアミノシランで被覆される。
【0053】
(リン酸塩)
一部の実施形態では、該難燃剤は1つまたは複数のリン酸塩を含む。
【0054】
前述のように、該リン酸塩は、リン酸メラミン(例えばCAS登録番号第20208−95−1号)、ピロリン酸メラミン(例えばCAS登録番号第15541−60−3号)、ポリリン酸メラミン、オルトリン酸メラミン(例えばCAS登録番号第20208−95−1号)、リン酸モノアンモニウム(例えばCAS登録番号第7722−76−1号)、リン酸ジアンモニウム(例えばCAS登録番号第7783−28−0号)、リン酸アミド(例えばCAS登録番号第680−31−9号)、ポリリン酸メラミン(例えばCAS登録番号第218768−84−4号または同第56386−64−2号)、ポリリン酸アンモニウム(例えばCAS登録番号第68333−79−9号)、ポリリン酸アミドおよびこれらのリン酸塩類の2つ以上の組み合わせから構成される群から選択され得る。該リン酸塩は、メラミンモノマー、メラミン樹脂、変性メラミン樹脂、グアナミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂などから選択された1つまたは複数の化合物で表面被覆され得る。表面被覆が用いられる場合、そのアイデンティティは、典型的には、難燃性熱可塑性組成物中の熱可塑性成分のアイデンティティに基づいて選択される。一部の実施形態では、該リン酸塩はポリリン酸メラミンを含む。一部の実施形態では、該リン酸塩は、ポリリン酸メラミンとリン酸メラミンとの組み合わせを含む。
【0055】
リン酸塩は、市販されており、あるいは当分野で教示されるように、リン酸と対応するアミン含有化合物との反応によって合成できる。
【0056】
(有機ホスフェート)
一部の実施形態では、該難燃剤は、1つまたは複数の有機ホスフェートを含む。
【0057】
該有機ホスフェートは、下式の芳香族ホスフェート化合物であり得る:
【化8】
式中、Rは、少なくとも1つのRがアリールまたはアルキル置換アリールであることを条件として、それぞれ独立に、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルキル置換アリール、ハロゲン置換アリール、アリール置換アルキル、ハロゲンあるいはこれらの任意のものの組み合わせである。
【0058】
該有機ホスフェートの例としては、フェニルビスドデシルホスフェート、フェニルビスネオペンチルホスフェート、フェニル−ビス(3,5,5’−トリ−メチル−ヘキシルホスフェート)、エチルジフェニルホスフェート、2−エチル−ヘキシルジ(p−トリル)ホスフェート、
ビス−(2−エチルヘキシル)p−トリルホスフェート、トリトリルホスフェート、ビス−(2−エチルヘキシル)フェニルホスフェート、トリ−(ノニルフェニル)ホスフェート、ジ(ドデシル)p−トリルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジブチルフェニルホスフェート、2−クロロエチルジフェニルホスフェート、p−トリルビス(2,5,5’−トリメチルヘキシル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェートなどが挙げられる。一部の実施形態では、該ホスフェートは、トリフェニルホスフェートおよびトリス(アルキルフェニル)ホスフェートなどの、Rがそれぞれアリールおよびまたはアルキル置換アリールであるホスフェートである。
【0059】
あるいは、該有機ホスフェートは、以下の式の1つまたはこれらの混合物を有する二官能性または多官能性化合物あるいはポリマーであり得る:
【化9】
式中、R
1、R
3およびR
5は独立に炭化水素であり;R
2、R
4、R
6およびR
7は独立に、炭化水素またはヒドロカルボノキシであり;X
1、X
2およびX
3は独立にハロゲンであり;mおよびrは0または1〜4の整数であり、nおよびpは1〜30である。
【0060】
該ホスフェートの例としては、レゾルシノール、ヒドロキノンおよびビスフェノール−Aそれぞれのビスジフェニルホスフェートおよびそれらのポリマー相当物が挙げられる。前述の二官能性および多官能性芳香族ホスフェートの調製方法は、英国特許第2,043,083号に記載されている。
【0061】
典型的な有機ホスフェートとしては、これに限定されないが、置換フェニル基含有ホスフェート、例えばレゾルシノールビス−ジフェニルホスフェートなどのレゾルシノール系ホスフェートおよび、例えばビス−フェノールAビス−ジフェニルホスフェートなどのビス−フェノール系ホスフェートなどが挙げられる。一部の実施形態では、該有機ホスフェートは、トリス(ブチルフェニル)ホスフェート(例えばCAS登録番号第89492−23−9号および同第78−33−1号)、レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェート(RDP、CAS登録番号第57583−54−7号)、ビス−フェノールAビス−ジフェニルホスフェート(BDADP、CAS登録番号第181028−79−5号)、トリフェニルホスフェート(例えばCAS登録番号第115−86−6号)、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート(例えばCAS登録番号第68937−41−7号)およびこれらの複数のものの組み合わせから選択される。
【0062】
(ホスフィネートおよびホスホネート塩)
一部の実施形態では、該難燃剤は、ホスフィネートおよびホスホネートの金属塩の1種または複数種を含む(所謂「金属リン系」難燃剤)。金属ホスフィネートまたはホスホネート塩の金属成分は、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、NaまたはKのカチオンであり得る。該ホスフィネートまたはホスホネート成分は、ジメチルホスフィネート、ジエチルホスフィネート、ジ−n−プロピルホスフィネート、ジ−n−ブチルホスフィネート、ジ−n−ヘキシルホスフィネート、ジシクロヘキシルホスフィネート、ジ−2−エチルヘキシルホスフィネート、ジフェニルホスフィネート、ジ−o−トリルホスフィネート、ジメチルホスホネート、ジエチルホスホネート、ジ−n−プロピルホスネート、ジ−n−ブチルホスホネート、ジ−n−ヘキシルホスホネート、ジシクロヘキシルホスホネート、ジ−2−エチルヘキシルホスフェート、ジフェニルホスホネート、ジ−o−トリルホスホネート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジ−n−プロピルホスフェート、ジ−n−ブチルホスフェート、ジ−n−ヘキシルホスフェート、ジシクロヘキシルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルホスフェート、ジフェニルホスフェート、ジ−o−トリルホスフェートなど、およびこれらの混合物であり得る。好適な金属リン系難燃剤は、アルミニウムトリス(ジエチルホスフィネート)である。金属リン系難燃剤の調製は、例えば、Schlosserらの米国特許第6,255,371号と同第6,547,992号およびWeferlingらの同第6,355,832号と同第6,534,673号に記載されている。
【0063】
該難燃性添加剤組成物の上記の成分の一部は、室温(25℃)で液体であり、一部は固体である。
【0064】
(抗紫外線剤)
該組成物は、ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマー、水素化ブロックコポリマー、ポリブテンおよび水酸化マグネシウムに加えて、本明細書で「抗紫外線剤」と呼ぶ、組成物を紫外線劣化から保護する剤をさらに含んでいてもよい。抗紫外線剤は、最終製品がケーブルの外被材料などのように淡色物品の場合に、本発明の組成物中に使用される。暗色の物品が望ましい場合は、抗紫外線剤の使用は必要ではない。
【0065】
抗紫外線剤は、以下の表に示すものなどの、ベンゾトリアゾールコア(すなわち、以下の化学式で示す)を有する特別の化合物などの紫外線吸収剤を含む。
【化10】
【0067】
一実施形態では、本発明の組成物に使用される抗紫外線剤は、Tinuvin234などのベンゾトリアゾール型抗紫外線剤である。
【0068】
一実施形態では、本発明の組成物に使用される抗紫外線剤は、以下の化合物におけるような、トリアジンコア(以下の化学式で示す)を有する化合物であるトリスアリール−1,3,5−トリアジン紫外線吸収剤を含む。
【化11】
【0070】
一実施形態では、本発明の組成物に使用される抗紫外線剤は、Chiguard1064などのベンゾトリアゾール型抗紫外線剤である。
【0071】
別の実施形態では、本発明の組成物に使用される抗紫外線剤は、脂環式のエポキシ紫外線安定剤と紫外線吸収剤ペンタエリスリトールテトラキス(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート)との組み合わせを含む。ペンタエリスリトールテトラキス(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート)の構造を以下に示す。
【0073】
紫外線安定剤である脂環式のエポキシ化合物としては、例えば、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、4−ビニルシクロヘキセンオキシド、4−ビニルシクロヘキセンジオキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(CAS登録番号第2386−87−0号)、4−アルコキシメチルシクロヘキセンオキシド、アシルオキシメチルシクロヘキセンオキシド、1,3−ビス(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、2−エポキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンなどが挙げられる。
【0074】
別の実施形態では、本発明の組成物に使用される抗紫外線剤は、ヒンダードアミン光安定剤(HALS):ポリ(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノール−アルト−1,4−ブタン二酸)を含む。その構造および他のいくつかのHALS安定剤の構造を以下に示す。
【0076】
一実施形態では、抗紫外線剤の量は0〜20質量%である。別の実施形態では、抗紫外線剤の量は0〜10質量%である。別の実施形態では、抗紫外線剤の量は1〜10質量%である。別の実施形態では、抗紫外線剤の量は2〜5質量%である。
【0077】
[他の成分]
(ポリブテン)
本発明の組成物はさらにポリブテンを含んでいてもよい。本明細書での「ポリブテン」は、1−ブテン、2−ブテン、2−メチルプロペン(イソブテン)またはこれらの組み合わせから誘導された単位を75質量%超、具体的には80質量%超含むポリマーを指す。該ポリブテンは、ホモポリマーであっても(以下に示すように)コポリマーであってもよい。一部の実施形態では、該ポリブテンは、1−ブテン、2−ブテン、2−メチルプロペン(イソブテン)またはこれらの組み合わせから誘導された単位で構成される。他の実施形態では、該ポリブテンは、エチレン、プロピレンまたは1−オクテンなどの共重合性モノマーを1〜25質量%未満含むコポリマーである。
【0078】
一実施形態では、該ポリブテンはホモポリマーである。
【0079】
別の実施形態では、該ポリマーは、イソブチレンと1−ブテンまたは2−ブテンとのコポリマーである。
【0080】
別の実施形態では、該ポリブテンは、ポリブテンホモポリマーとポリブテンコポリマーとを含む混合物である。
【0081】
別の実施形態では、該ポリブテンはコポリマーであって、イソブチレン由来の単位は該コポリマーの40〜99質量%であり、1−ブテン由来の単位は2〜40質量%であり、2−ブテン由来の単位は0〜30質量%である。さらに別の実施形態では、該ポリブテンは3つの単位のターポリマーであり、イソブチレン由来の単位は該コポリマーの40〜96質量%であり、1−ブテン由来の単位は2〜40質量%であり、2−ブテン由来の単位は2〜20質量%である。さらに別の実施形態では、該ポリブテンはイソブチレンと1−ブテンとのコポリマーであり、イソブチレン由来の単位はホモポリマーまたはコポリマーの65〜100質量%であり、1−ブテン由来の単位はコポリマーの0〜35質量%である。
【0082】
別の実施形態では、該ポリブテンは、エチレン、プロピレンまたは1−オクテンなどの共重合性モノマーを1〜25質量%未満含むコポリマーである。一部の実施形態では、該ポリブテンの数平均分子量は、約700〜約1,000原子質量単位である。好適なポリブテンとしては、例えば、Indopol H50などの、数平均分子量が約800原子質量単位のイソブテン−ブテンコポリマーが挙げられる。
【0083】
別の実施形態では、該組成物は液状ポリオレフィンを含む。該液状ポリブテンは、数平均分子量が約800原子質量単位のポリイソブテンである。さらなる実施形態では、該ポリブテンは、INEOS Oligomers社のIndopol H50あるいはDaelim社(韓国)のPB800である。さらなる実施形態では、該組成物は、その合計質量に対して、約2〜約20質量%の、好適には約3〜約18質量%のIndopol H50を含む。
【0084】
一実施形態では、本発明の組成物は、その合計質量に対して、約0〜約20質量%の、より具体的には約0〜約10質量%の、さらにより具体的には約1〜約10質量%の、さらにより具体的には約3〜約8質量%の本明細書に記載のポリブテンを含む。
【0085】
(ポリオレフィンホモポリマー)
本発明の組成物は、1種または複数種のポリオレフィンホモポリマーをさらに含んでいてもよい。該ポリオレフィンホモポリマーは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)およびポリイソブテン(PIB)から構成される群から選択されてもよい。ホモポリマーであってもコポリマーであってもよいポリブテンは、前述のものである。このように、「ポリエチレンホモポリマー」は、エチレンのホモポリマーを意味する。「ポリプロピレンホモポリマー」は、プロピレンのホモポリマーを意味する。「ポリブテンホモポリマー」は、上記で議論したブチレンのホモポリマーを意味する。「ポリイソブテンホモポリマー」は、ポリイソブテンのホモポリマーを意味する。一部の実施形態では、該組成物は、ポリエチレンホモポリマー、ポリプロピレンホモポリマーあるいはそれらの混合物を1質量%未満含む。一部の実施形態では、該組成物は、これらのホモポリマーを0.5質量%未満または0.1質量%未満含むか、あるいは全く含まない。ポリエチレンホモポリマーとしては、高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレン(ただし、コポリマーである線状低密度ポリエチレンは除く)が挙げられる。ここで定義されたポリエチレンホモポリマーおよびポリプロピレンホモポリマーは非エラストマー材料である。
【0086】
一部の実施形態では、ポリエチレン、ポリプロピレンあるいはこれらの混合物の合計量は、組成物の合計質量に対して、0〜40質量%であり、より具体的には0〜30質量%であり、さらにより具体的には0〜25質量%でり、さらにより具体的には0〜20質量%であり、さらにより具体的には約2〜約6質量%である。別の実施形態では、ポリエチレン、ポリプロピレンあるいはこれらの混合物の合計量は、組成物の合計質量に対して、1〜35質量%であり、より具体的には約1〜30質量%である。
【0087】
一部の実施形態では、該組成物は、ポリエチレンホモポリマーおよびポリプロピレンホモポリマーを含まない。一部の実施形態では、該組成物は、ポリエチレンホモポリマーとポリプロピレンホモポリマーを実質的に含まない。この文脈において、「実質的に含まない」とは、ポリエチレンホモポリマーまたはポリプロピレンホモポリマーが組成物に意図的に添加されていないことを意味する。
【0088】
別の実施形態では、該ポリオレフィンホモポリマーは、ポリプロピレンおよびポリエチレンまたはこれらの混合物から構成される群から選択される。
【0089】
別の実施形態では、該ポリオレフィンホモポリマーはポリプロピレンであり、その量は、組成物の合計質量に対して約2〜約10質量%である。
【0090】
(エチレンのコポリマー)
該組成物は、さらにエチレンのコポリマーを含む。例えば、該コポリマーは、エチレンとC
3−C
12α−オレフィン、あるいはエチレンと酢酸ビニルなどを含んでいてもよい。
【0091】
本明細書では簡略化のために、エチレンとC
3−C
12α−オレフィンとのコポリマーをエチレン/α‐オレフィンコポリマーとも呼ぶ。本明細書では、該エチレン/α‐オレフィンコポリマーは、エチレン由来の単位を25〜95質量%、具体的には60〜85質量%と、C
3−C
12α−オレフィン由来の単位を5〜75質量%、具体的には15〜40質量%含むコポリマーとして定義される。一部の実施形態では、該エチレン/α‐オレフィンコポリマーは、例えば、エチレン−プロピレンゴム(「EPR」)、線状低密度ポリエチレン(「LLDPE」)あるいは超低密度ポリエチレン(「VLDPE」)などのランダムコポリマーである。
【0092】
他の実施形態では、該エチレン/α‐オレフィンコポリマーは、エチレンホモポリマーまたはプロピレンホモポリマーから構成される少なくとも1つのブロックと、エチレンとC
3−C
12α−オレフィンとのランダムコポリマーである1つのブロックと、を含むブロックコポリマーである。好適なα‐オレフィンとしては、プロペン、1−ブテンおよび1−オクテンが挙げられる。一部の実施形態では、該エチレン/α‐オレフィンコポリマーのメルトフローインデックスは、温度200℃、荷重2.16kgで測定して、約0.1〜約20g/10分である。一部の実施形態では、該エチレン/α‐オレフィンコポリマーの密度は約0.8〜約0.9g/mLである。一部の実施形態では、該エチレン/α‐オレフィンコポリマーはエチレン−プロピレンゴムである。一部の実施形態では、該エチレン/α‐オレフィンコポリマーは、ブロックコポリマーと、エチレン/α‐オレフィンコポリマーと、鉱油と、を含む溶融混錬ブレンドの形態で提供される。
【0093】
実施形態では、該組成物は、その合計質量に対して、0超〜約50質量%のエチレン/C
3−C
12α−オレフィンコポリマーを含む。別の実施形態では、該組成物は、1〜10質量%のエチレン/C
3−C
12α−オレフィンコポリマーを含む。
【0094】
一実施形態では、該エチレン/α‐オレフィンコポリマーは、エチレン−オクテンコポリマーと、無水マレイン酸グラフト化エチレン−オクテンコポリマーと、LLDPEと、の混合物を含み、その量は、組成物の合計質量に対して約15〜30質量%であり、エチレン−オクテンコポリマーの質量%は、無水マレイン酸グラフト化エチレン−オクテンコポリマーのそれより大きい。一実施形態では、エチレン−オクテンコポリマーと無水マレイン酸グラフト化エチレン−オクテンコポリマーとの質量%比は約2.5:1〜5:1である。一実施形態では、エチレン−オクテンコポリマーとLLDPEとの質量%比は約5:1〜10:1である。
【0095】
一部の実施形態では、本発明の組成物は、約0〜50質量%の、より具体的には約0〜40質量%の、さらにより具体的には約1〜約50質量%の、さらにより具体的には約1〜約40質量%の、さらにより具体的には約1〜約35質量%の該エチレン/α‐オレフィンコポリマーを含む。より具体的には、本発明の組成物は、その合計質量に対して、約1〜約10質量%の該エチレン/α‐オレフィンコポリマーを含む。
【0096】
(着色剤)
本発明の組成物は、任意に1種または複数種の着色剤を含む。
【0097】
本発明の組成物に好適な着色剤は、顔料およびまたは染料を含む。有用な顔料としては、例えば、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物および混合金属酸化物などの無機顔料;硫化亜鉛などの硫化物;アルミン酸塩;スルホケイ酸ナトリウム、硫酸塩、クロム酸塩など;カーボンブラック;亜鉛フェライト;群青;アゾ、ジアゾ、キナクリドン、ペリレン、ナフタレンテトラカルボン酸、フラバントロン、イソインドリノン、テトラクロロイソインドリノン、アントラキノン、アントロン、ジオキサジン、フタロシアニンおよびアゾレーキなどの有機顔料;ピグメントレッド101、ピグメントレッド122、ピグメントレッド149、ピグメントレッド177、ピグメントレッド178、ピグメントレッド179、ピグメントレッド202、ピグメントバイオレット29、ピグメントブルー15、ピグメントブルー29、ピグメントブルー60、ピグメントグリーン7、ピグメントイエロー119、ピグメントイエロー147、ピグメントイエロー150およびピグメントブラウン24;あるいはこれらの顔料の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。顔料の量は、一般に、ポリカーボネートおよび任意の追加のポリマー100質量部に対して、0.001〜3質量部である。
【0098】
典型的な染料は一般に有機材料であり、その例としては、例えば、クマリン460(ブルー)、クマリン6(グリーン)、ナイルレッドなどのクマリン染料;ランタニド錯体;炭化水素および置換炭化水素染料;多環式芳香族炭化水素染料;オキサゾールまたはオキサジアゾール染料などのシンチレーション染料;アリール−またはヘテロアリール置換ポリ(C
2−8)オレフィン染料;カルボシアニン染料;インダントロン染料;フタロシアニン染料;オキサジン染料;カルボスチリル染料;ナフタレンテトラカルボン酸染料;ポルフィリン染料;ビス(スチリル)ビフェニル染料;アクリジン染料;アントラキノン染料;シアニン染料;メチン染料;アリールメタン染料;アゾ染料;インジゴイド染料、チオインジゴイド染料、ジアゾニウム染料;ニトロ染料;キノンイミン染料;アミノケトン染料;テトラゾリウム染料;チアゾール染料;ペリレン染料、ペリノン染料;ビス−ベンゾオキサゾリルチオフェン(BBOT);トリアリールメタン染料;キサンテン染料;チオキサンテン染料;ナフタルイミド染料;ラクトン染料;近赤外線波長を吸収し可視波長を放射する反ストークスシフト染料などの発蛍光団;7−アミノ−4−メチルクマリンなどの発光染料;3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン;2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール;2,5−ビス−(4−ビフェニリル)−オキサゾール;2,2’−ジメチル−p−クアテルフェニル;2,2−ジメチル−p−テルフェニル;3,5,3’’’’,5’’’’−テトラ−t−ブチル−p−キンキフェニル;2,5−ジフェニルフラン;2,5−ジフェニルオキサゾール;4,4’−ジフェニルスチルベン;4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン;1,1’−ジエチル−2,2’−カルボシアニンヨージド;3,3’−ジエチル−4,4’,5,5’−ジベンゾチアトリカルボシアニンヨージド;7−ジメチルアミノ−1−メチル−4−メトキシ−8−アザキノロン−2;7−ジメチルアミノ−4−メチルキノロン−2;2−(4−(4−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル)−3−エチルベンゾチアゾリウム過塩素酸塩;3−ジエチルアミノ−7−ジエチルイミノフェノキサゾニウム過塩素酸塩;2−(1−ナフチル)−5−フェニルオキサゾール;2,2’−p−フェニレン−ビス(5−フェニルオキサゾール);ローダミン700;ローダミン800;ピレン、クリセン、ルブレン、コロネンなど;あるいはこれらの染料の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。染料の量は、一般に、組成物の合計質量100質量部に対して0.0001〜5質量部である。
【0099】
一実施形態では、該着色剤は白色顔料である。該白色顔料は、組成物のホワイトまたはオフホワイト色に寄与する。好適な白色顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチン白、ケイ酸アルミニウム、ケイソウ土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、変性アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムおよびこれらの混合物が挙げられる。一部の実施形態では、該白色顔料は、硫化亜鉛、二酸化チタン(ルチル型二酸化チタンを含む)あるいはこれらの混合物である。一部の実施形態では、該白色顔料は二酸化チタンである。
【0100】
該組成物は、その合計質量に対して、約0.5〜約25質量%の白色顔料を含む。この範囲内で、該白色顔料は、組成物の合計質量に対して、約4〜約20質量%の、より具体的には約1〜約8質量%の、さらにより具体的には約4〜約8質量%の二酸化チタンであり得る。
【0101】
別の実施形態では、該着色剤は、着色剤の混合物を含む。着色剤の混合物は、TiO
2などの白色顔料と1種または複数種の追加の着色剤とを含んでいてもよい。一実施形態では、該着色剤は、TiO
2カーボンブラックと、ピグメントブルー29と、ピグメントレッド101と、任意に1種または複数種の追加の着色剤と、を含む。この実施形態では、着色剤の合計量は、組成物の合計質量に対して約5〜約10質量%である。別の実施形態では、該着色剤は、TiO
2カーボンブラックと、ピグメントブルー29と、ピグメントレッド101と、を含む。この実施形態では、着色剤の合計量は、組成物の合計質量に対して約5〜約10質量%である。
【0102】
(他の添加剤)
該組成物は、ポリ(フェニレンエーテル)とブロックコポリマーに加えて、可塑剤を含む。本明細書での「可塑剤」は、組成物全体の、あるいは組成物の少なくとも1成分の過疎化に有効な化合物を指す。一部の実施形態では、該可塑剤は、ポリ(フェニレンエーテル)の可塑化に有効である。該可塑剤は、典型的には低分子量でポリマーに溶解する比較的不揮発性の分子であり、ポリマー鎖を互いに分離してレプテーションを容易にし、組成物のガラス転移温度を低下させる。一部の実施形態では、該可塑剤は、ガラス転移温度(Tg)が約−110〜−50℃であり、主にポリ(フェニレンエーテル)樹脂に対して混和性であり、分子量は1,000g/モル以下である。
【0103】
好適な可塑剤としては、例えば、ベンゾエートエステル(ジベンゾエートエステルを含む)、ペンタエリスリトールエステル、リン酸トリアリール(ハロゲン置換リン酸トリアリールを含む)、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステルなど、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0104】
一部の実施形態では、該可塑剤はリン酸トリアリールである。好適なリン酸トリアリールとしては、該構造を有するものが挙げられる。
【0105】
該組成物は任意に、熱可塑性分野で既知の1種または複数種の他の添加剤をさらに含んでいてもよい。有用な添加剤としては、例えば、安定剤、離型剤、加工助剤、防滴剤、成核剤、染料、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、発泡剤、金属不活性化剤、ブロッキング防止剤、ナノクレイ、香料(香料カプセル化ポリマーを含む)など、およびこれらの組み合わせが挙げられる。添加剤は、組成物の所望の外観および物性を許容できないほど低下させない量で添加され得る。こうした量は、当業者であれば、過度な実験なしに決定できる。
【0106】
一部の実施形態では、該組成物は、前述の成分以外の成分を除外あるいは実質的に含まないものにできる。例えば、該組成物は、ホモポリスチレン(シンジオタクチックポリスチレンを含む)、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートおよびポリプロピレン−グラフト−ポリスチレンなどの他のポリマー材料を実質的に含まないものにできる。この文脈において、「実質的に含まない」とは、指定された成分が意図的に添加されていないことを意味する。
【0107】
該組成物は多数の成分を含むと定義されているので、特に、単一の化合物が複数の成分の定義を満たし得る場合、各成分が化学的に異なるものであることは理解されるであろう。
【0108】
[組成物]
前述のように、一態様では、本発明は、
(a)5〜55質量%のポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーと、
(b)1〜65質量%の、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーと、
(c)0〜20質量%のポリブテンと、
(d)30〜60質量%の水酸化マグネシウムと、
(e)0〜20質量%の抗紫外線剤と、
(f)0〜50質量%の、エチレンとC
3−C
12α‐オレフィンとのコポリマーと、
(g)0〜40質量%のポリオレフィンホモポリマーと、
を含むポリマー組成物を含む。
【0109】
この態様の一実施形態では、該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーは、ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンブロックコポリマーである。
【0110】
さらなる実施形態では、該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンブロックコポリマーの固有粘度は0.385〜0.425dL/gであり、シロキサン取り込み量は4〜6%である。この実施形態では、該ポリ(フェニレンエーテル)ブロックは、下式の構造
【化12】
を有するフェニレン単位を含み、該ポリシロキサンブロックは下式の構造
【化13】
を有する。
【0111】
この実施形態および他の実施形態では、該組成物は、10〜45質量%のポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーを含む。より具体的には、該組成物は、15〜35質量%のポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーを含む。より具体的には、該組成物は、18〜32質量%のポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーを含む。
【0112】
この実施形態および他の実施形態では、該組成物は、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーを含む。さらなる実施形態では、該水素化ブロックコポリマーは、Kraton Peformance Polymers社からA1536HUおよびA1536HSとして供給されているものなどの、ポリスチレン含量が約37〜44質量%、数平均分子量が160,000原子質量単位の線状トリブロックポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレンコポリマーである。さらなる実施形態では、該水素化ブロックコポリマーは、Kraton Performance Polymers社からA1535として供給されているものなどの、ポリスチレン含量が58%の線状トリブロックポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレンコポリマーである。さらなる実施形態では、該水素化ブロックコポリマーは、Kraton Performance Polymers社からG1650として供給されているものなどの、ポリスチレン含量が30%の線状トリブロックポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレンコポリマーである。さらなる実施形態では、該水素化ブロックコポリマーは、住友化学(株)からSEBS SB2400として供給されているものなどの、約35質量%のポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレンと、約20質量%のエチレン−プロピレンゴムと、約45質量%の鉱油と、を含む溶融混錬ブレンドである。
【0113】
この実施形態および他の実施形態では、該組成物は、その合計質量に対して、約5〜約50質量%の、より好適には約10〜約35質量%の該水素化ブロックコポリマーを含む。この範囲内で、該水素化ブロックコポリマーの量は、具体的には、組成物の合計質量に対して約11〜約20質量%であってもよい。
【0114】
この実施形態および他の実施形態では、該組成物はポリブテンを含む。さらなる実施形態では、該ポリブテンは、Indopal H50と同仕様であり、Daelim社から販売されているPIB PB800である。さらなる実施形態では、該組成物は、その合計質量に対して、約2〜約20質量%の、好適には約3〜約18質量%のポリブテンを含む。
【0115】
この実施形態および他の実施形態では、該組成物は、1種または複数種の難燃剤を含み、その内の少なくとも1種は水酸化マグネシウムである。典型的には、該難燃剤の量は30〜60質量%である。さらなる実施形態では、該難燃剤は、水酸化マグネシウム、RDPおよびBDADPを含む。
【0116】
この実施形態および他の実施形態では、該組成物は、ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤、トリアジン型紫外線吸収剤およびヒンダードアミン光安定剤またはこれらの組み合わせから構成される群から選択された抗紫外線剤を含む。さらなる実施形態では、該抗紫外線剤は、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、ポリ(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノール−アルト−1,4−ブタン二酸)、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノールまたはこれらの混合物から構成される群から選択される。
【0117】
この実施形態および他の実施形態では、該組成物は0〜8質量%の着色剤を含む。さらなる実施形態では、該着色剤は、単独であるいは1つ以上の追加の着色剤と共に使用されるTiO
2である。さらなる実施形態では、該着色剤は、TiO
2、ピグメントブルー29およびピグメントレッド101を含む。さらなる実施形態では、該着色剤は、TiO
2、ピグメントブルー29およびピグメントレッド178を含む。さらなる実施形態では、該着色剤は、TiO
2、ピグメントブルー29、ピグメントレッド178およびピグメントブラウン24を含む。さらなる実施形態では、該着色剤は、TiO
2、ピグメントブルー29、ピグメントレッド178、ピグメントブラウン24およびカーボンブラックを含む。
【0118】
さらなる実施形態では、該組成物は、
(a)15〜40質量%のポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーと、
(b)5〜25質量%の、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーと、
(c)1〜10質量%のポリブテンと、
(d)30〜50質量%の水酸化マグネシウムと、
(e)1〜10質量%の抗紫外線剤と、
を含む。
【0119】
さらなる実施形態では、該組成物は、
(a)15〜40質量%のポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーと、
(b)5〜25質量%の、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーと、
(c)1〜10質量%のポリブテンと、
(d)30〜50質量%の、単独であるいはRDPまたはBDADPと共に使用される水酸化マグネシウムと、
(e)ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤、トリアジン型紫外線吸収剤およびヒンダードアミン光安定剤あるいはこれらの組み合わせから構成される群から選択された、1〜10質量%の抗紫外線剤と、
を含む。
【0120】
さらなる実施形態では、該組成物は、
(a)15〜40質量%のポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーと、
(b)5〜25質量%の、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーと、
(c)1〜10質量%のポリブテンと、
(d)30〜50質量%の、単独であるいはRDPまたはBDADPと共に使用される水酸化マグネシウムと、
(e)2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、ポリ(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノール−アルト−1,4−ブタン二酸)、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノールまたはこれらの混合物から構成される群から選択された、1〜10質量%の抗紫外線剤と、
を含む。
【0121】
さらなる実施形態では、該組成物は、
(a)ポリ(フェニレンエーテル)ブロックが下式の構造
【化14】
を有するフェニレン単位を含み、ポリシロキサンブロックが下式の構造
【化15】
を有しており、固有粘度が0.385〜0.425dL/g、シロキサン取り込み量が4〜6%のポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンブロックコポリマーである、10〜40質量%のポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーと、
(b)5〜25質量%の、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーと、
(c)0〜10質量%のポリブテンと、
(d)アミノポリシロキサンで表面処理された高純度水酸化マグネシウムである、30〜60質量%の水酸化マグネシウムと、
(e)ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤、トリアジン型紫外線吸収剤およびヒンダードアミン光安定剤またはこれらの組み合わせから構成される群から選択された、0〜10質量%の抗紫外線剤と、
(f)1〜40質量%の、エチレンとC
3−C
12α‐オレフィンとのコポリマーと、
(g)0〜30質量%のポリオレフィンホモポリマーと、
を含む。
【0122】
さらなる実施形態では、該抗紫外線剤は、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、ポリ(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノール−アルト−1,4−ブタン二酸)、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノールまたはこれらの混合物から構成される群から選択される。
【0123】
さらなる実施形態では、該組成物は、その合計質量に対して、1〜8質量%の着色剤を含む。別の実施形態では、該組成物は、その合計質量に対して4〜8質量%の、単独であるいは他の着色剤と共に用いられるTiO
2を含む。
【0124】
さらなる実施形態では、該組成物は、
(a)15〜25質量%のポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーと、
(b)10〜25質量%の、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーと、
(c)3〜8質量%のポリブテンと、
(d)30〜45質量%の水酸化マグネシウムと、
(e)2〜5質量%の抗紫外線剤と、
(f)1〜10質量%の、エチレンとC
3−C
12α‐オレフィンとのコポリマーと、
(g)1〜30質量%のポリオレフィンホモポリマーと、
を含む。
【0125】
さらなる実施形態では、該組成物は、
(a)15〜25質量%のポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーと、
(b)10〜15質量%の、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーと、
(c)3〜8質量%のポリブテンと、
(d)30〜45質量%の水酸化マグネシウムと、
(e)ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤、トリアジン型紫外線吸収剤およびヒンダードアミン光安定剤またはこれらの組み合わせから構成される群から選択された、2〜5質量%の抗紫外線剤と、
(f)1〜10質量%の、エチレンとC
3−C
12α‐オレフィンとのコポリマーと、
(g)1〜30質量%のポリオレフィンホモポリマーと、
を含む。
【0126】
さらなる実施形態では、該組成物は、
(a)10〜25質量%のポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーと、
(b)10〜15質量%の、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーと、
(c)3〜8質量%のポリブテンと、
(d)30〜45質量%の水酸化マグネシウムと、
(e)2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、ポリ(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノール−アルト−1,4−ブタン二酸)、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノールまたはこれらの混合物から構成される群から選択された、2〜5質量%の抗紫外線剤と、
(f)1〜10質量%の、エチレンとC
3−C
12α‐オレフィンとのコポリマーと、
(g)1〜30質量%のポリオレフィンホモポリマーと、
を含む。
【0127】
さらなる実施形態では、該組成物は、
(a)10〜25質量%のポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーと、
(b)10〜15質量%の、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーと、
(c)3〜8質量%のポリブテンと、
(d)30〜45質量%の水酸化マグネシウムと、
(e)2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、ポリ(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノール−アルト−1,4−ブタン二酸)、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノールまたはこれらの混合物から構成される群から選択された、2〜5質量%の抗紫外線剤と、
(f)1〜10質量%の、エチレンとC
3−C
12α‐オレフィンとのコポリマーと、
(g)1〜30質量%のポリオレフィンホモポリマーと、
(h)0〜8質量%の着色剤と、
を含む。
【0128】
さらなる実施形態では、該組成物は、
(a)10〜25質量%のポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーと、
(b)10〜15質量%の、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーと、
(c)3〜8質量%のポリブテンと、
(d)30〜45質量%の水酸化マグネシウムと、
(e)2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、ポリ(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノール−アルト−1,4−ブタン二酸)、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノールまたはこれらの混合物から構成される群から選択された、2〜5質量%の抗紫外線剤と、
(f)1〜10質量%の、エチレンとC
3−C
12α‐オレフィンとのコポリマーと、
(g)1〜30質量%のポリオレフィンホモポリマーと、
(h)1〜8質量%の着色剤と、
を含む。
【0129】
さらなる実施形態では、該組成物は、2〜6質量%のポリオレフィンホモポリマーを含む。
【0130】
さらなる実施形態では、該組成物は、
(a)10〜25質量%のポリ(フェニレンエーテル)−ポリシロキサンコポリマーと、
(b)10〜15質量%の、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーと、
(c)3〜8質量%のポリブテンと、
(d)30〜45質量%の水酸化マグネシウムと、
(e)2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、ポリ(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノール−アルト−1,4−ブタン二酸)、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノールまたはこれらの混合物から構成される群から選択された、2〜5質量%の抗紫外線剤と、
(f)1〜10質量%の、エチレンとC
3−C
12α‐オレフィンとのコポリマーと、
(g)2〜6質量%のポリオレフィンホモポリマーと、
(h)4〜8質量%の、TiO
2を含む着色剤と、
を含む。
【0131】
これらおよび他の実施形態では、該水酸化マグネシウムは、アミノポリシロキサンで表面処理された高純度水酸化マグネシウムである。
【0132】
[プロセスと物品]
別の態様では、本発明によって、電気ケーブルまたはプラグの被覆プロセスが提供される。該プロセスは、電気ケーブルまたはプラグを前述の実施形態で説明した組成物で押出被覆するステップを備える。
【0133】
別の態様では、本発明によって、前述の実施形態で説明した組成物を含む押出被覆物品が提供される。一実施形態では、該物品は、本発明の組成物で被覆された電線である。
【0134】
別の態様では、本発明によって、前述の実施形態で説明した組成物を含む射出成形物品が提供される。
【0135】
本発明の範囲を以下の実施例によって例証する。以下の実施例および調製は、当業者が本発明をより明白に理解し実施できるように提供される。これらは、本発明の範囲を限定するものではなく、単に本発明を例証し代表するものと考えられるべきである。
【0136】
[実施例]
表1に記載の材料を使用した、本発明の組成物の実施例には「EX」を付し、比較実施例には「CE」を付す。明記されない限り、実施例で用いた質量%はすべて、組成物全体の質量%に対するものである。
【0140】
(ポリ(フェニレンエーテル)−シロキサンコポリマーの合成)
実施例で使用される材料は、米国特許第8,017,697号の実施例16に記載のように調製した。
【0141】
リアクタと2,6−ジメチルフェノール添加タンクを温かいトルエンですすいで確実に清浄にした。反応は、酸素濃度が1%未満となるように窒素パージして行った。初期トルエン(未使用品または再利用品)をリアクタに入れ、500rpmで撹拌した。該初期トルエンの温度を「初期充填」温度である30℃に調整し、添加タンクから反応槽への2,6−ジメチルフェノールの初期充填添加の間、この温度に維持した。2,6−ジメチルフェノールの初期充填添加終了後、オイゲノールキャップ化ポリジメチルシロキサン、ジ−n‐ブチルアミン、ジメチル−n−ブチルアミン、ジアミンおよび銅触媒を反応槽に投入した。酸素流およびモノマーのさらなる添加を開始し、酸素流を調節してヘッドスペース濃度を17%未満に維持した。モノマーのさらなる添加の間、冷却水供給温度を調節して、表2の「添加温度(℃)」に示す温度に維持した。モノマーの添加終了後、モノマー添加ラインをトルエンでフラッシングし、反応温度を表2の「形成温度(℃)」に示す温度まで上げた。表2の「傾斜時間(分)」に示す時間をかけ、また同表の「傾斜勾配(℃/分)」に示す速度で、この温度調節を行った。所定の時点に到達するまで反応を継続させた。該所定の時点は、目的の固有粘度とシロキサンの最大取り込みが達成される時間であり、典型的には、2,6−ジメチルフェノールの添加終了後80〜160分である。この時点に到達後、酸素流を停止した。その後、反応混合物を60℃に加熱し、キレート水溶液を含むキレート化タンクに移送した。得られた混合物を60℃に保持し1〜2時間撹拌した。軽い相(有機系)と重い相(水系)とをデカンテーションで分離し、重い相は捨てた。分析用に、軽い相の少量をサンプリングしてイソプロパノール沈殿させ、残りを沈殿タンクに移送して、逆溶媒と軽い相との質量比が3:1となる量のメタノール逆溶媒と混合した。沈殿物をろ過して湿潤ケーキとし、それを同じ逆溶媒で3度再スラリー化し、トルエン濃度が1質量%未満になるまで窒素下で乾燥させた。
【0142】
反応条件および得られた生成物の特性を表2に示す。単離生成物中の揮発性物質の質量%を表す「全揮発性物質(%)」は、減圧下での110℃×1時間の乾燥に伴う質量ロス%を測定して求め;銅元素量を質量ppm単位で表した残存触媒濃度を表す「残存銅(ppm)」は、原子吸光分析法で求め;反応時間の関数としての特性については、リアクタからサンプルを取出し、(触媒金属の事前のキレート化は行わずに)反応混合物1容積を室温のイソプロパノール3容積に添加して沈殿させ、この沈殿物をろ過、イソプロパノール洗浄、乾燥させて、
1H NMR分析(シロキサン質量%とシロキサン取り込み効率決定のため)と固有粘度分析を行った。
【0144】
(方法)
組成物と比較実施例は、37mmの東芝SE二軸押出機(東芝TSE37BS)で混合して調製した。液状難燃剤はサイドフィーダから供給し、他のすべての材料は、互いに混合してメインフイーダから供給した。複合材のストランドをペレット状に切断し乾燥させて、成形およびワイヤー押出操作を行った。試験は、ペレット、成形部品および押出ワイヤーで行った。
【0145】
ワイヤーサンプルは、銅導体の予熱なく、溶融温度240℃のWai Tak Lung Machinery社の押出機(WTL EXL50)で押し出した。ワイヤー用のライン速度は70m/minに設定した。ワイヤー構成は、被覆厚が0.55mmのAWG18銅導体とした。ケーブル用のライン速度は20m/minに設定した。ケーブル構成はH03Z1Z1H2−Fとした。
【0150】
(試験)
本発明の組成物および比較実施例のキャラクタリゼーションに用いたASTM試験およびUL試験を以下の表5に示す。
【0152】
(結果)
比較実施例および本発明の組成物の実施例の試験結果を以下の表6〜7に示す。
【0155】
表7において、垂直燃焼試験および光透過率は、絶縁体を備えたACコードであるケーブルの性能に関する。該ケーブルは、銅導体の予熱なく、溶融温度240℃のWai Tak Lung Machinery社の押出機(WTL EXL50)で調製した。ライン速度は70m/minに設定した。ワイヤー構成は、被覆厚が0.74mmのAWG24銅導体とした。
【0156】
実施例6のΔEおよび光透過率値は、対応する比較実施例5に比べて良好であった。実施例6は垂直燃焼試験に合格したが、比較実施例5は不合格であった。
【0157】
明確化と理解の目的で、前述の発明を例証と実施例を用いて少し詳細に説明した。本発明を種々の特定的な実施形態と技術を参照して説明した。本発明の趣旨および範囲内で、多くの変形と修正が可能であることは理解されるべきである。当業者にとっては、添付の請求項の範囲内で、変更と修正が可能であることは明らかであろう。上記の説明は例証であり、限定的なものではないと意図される。従って、本発明の範囲は、上記の説明を参照して決定されるべきでなく、以下の請求項と、こうした請求項が権利化される範囲と均等な全範囲とを参照して決定されるべきである。本出願中の用語が援用された参考文献の用語と矛盾するか対立する場合、本出願の用語が援用された参考文献の矛盾する用語に優先する。