特許第6041924号(P6041924)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6041924眼科装置、撮影領域決定方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041924
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】眼科装置、撮影領域決定方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   A61B3/10 R
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-80404(P2015-80404)
(22)【出願日】2015年4月9日
(62)【分割の表示】特願2013-226839(P2013-226839)の分割
【原出願日】2009年5月7日
(65)【公開番号】特開2015-128679(P2015-128679A)
(43)【公開日】2015年7月16日
【審査請求日】2015年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】守田 憲司
(72)【発明者】
【氏名】片山 昭宏
【審査官】 安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−185244(JP,A)
【文献】 特開2001−275979(JP,A)
【文献】 特開2008−154941(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/129863(WO,A1)
【文献】 特開2007−252692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00−3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼の眼底の第1断層画像の撮影領域を取得する取得手段と、
前記第1断層画像の撮影領域に基づいて、前記眼底の第2断層画像の撮影領域を決定する決定手段と、
を有し、
前記決定手段は、前記第1断層画像の撮影領域を含み且つ前記第1断層画像の撮影領域より大きい撮影領域を前記第2断層画像の撮影領域として決定し、
前記第1断層画像の撮影領域は視神経乳頭部および黄斑部のうち前記黄斑部のみを含み、前記第2断層画像の撮影領域は前記視神経乳頭部および前記黄斑部を含むことを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
被検眼の眼底の第1断層画像の撮影領域を取得する取得手段と、
前記第1断層画像の撮影領域に基づいて、前記眼底の第2断層画像の撮影領域を決定する決定手段と、
を有し、
前記決定手段は、前記第1断層画像の撮影領域を含み且つ前記第1断層画像の撮影領域より大きい撮影領域を前記第2断層画像の撮影領域として決定し、
前記第1断層画像の撮影領域は前記眼底における第1の部位および第2の部位のうち前記第1の部位のみを含み、前記第2断層画像の撮影領域は前記第1の部位および前記第2の部位を含むことを特徴とする眼科装置。
【請求項3】
前記決定手段により決定された前記第2断層画像の撮影領域に基づいて前記第2断層画像を撮影する断層画像撮影手段を更に有し、
前記第1断層画像は、前記断層画像撮影手段とは異なる他の断層画像撮影手段により撮影された画像であることを特徴とする請求項1または2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記断層画像撮影手段による前記第2断層画像の撮影可能領域は、前記第1断層画像の撮影領域よりも大きいことを特徴とする請求項に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記断層画像撮影手段および前記他の断層画像撮影手段のそれぞれは、Optical Coherence Tomographyであることを特徴とする請求項またはに記載の眼科装置。
【請求項6】
前記取得手段は、前記被検眼の眼底画像と前記第1断層画像から得られた積算画像との位置合わせ結果に基づいて、前記第1断層画像の撮影領域を取得することを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の眼科装置。
【請求項7】
前記第1断層画像は、前記第2断層画像より過去に撮影された画像であることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の眼科装置。
【請求項8】
前記第1断層画像の撮影領域および前記第2断層画像の撮影領域は、二次元の領域であることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の眼科装置。
【請求項9】
被検眼の眼底の第1断層画像の撮影領域を取得する取得工程と、
前記第1断層画像の撮影領域に基づいて、前記眼底の第2断層画像の撮影領域を決定する決定工程と、
を有し、
前記決定工程において、前記第1断層画像の撮影領域を含み且つ前記第1断層画像の撮影領域より大きい撮影領域を前記第2断層画像の撮影領域として決定し、
前記第1断層画像の撮影領域は視神経乳頭部および黄斑部のうち前記黄斑部のみを含み、前記第2断層画像の撮影領域は前記視神経乳頭部および前記黄斑部を含むことを特徴とする撮影領域決定方法。
【請求項10】
被検眼の眼底の第1断層画像の撮影領域を取得する取得工程と、
前記第1断層画像の撮影領域に基づいて、前記眼底の第2断層画像の撮影領域を決定する決定工程と、
を有し、
前記決定工程において、前記第1断層画像の撮影領域を含み且つ前記第1断層画像の撮影領域より大きい撮影領域を前記第2断層画像の撮影領域として決定し、
前記第1断層画像の撮影領域は前記眼底における第1の部位および第2の部位のうち前記第1の部位のみを含み、前記第2断層画像の撮影領域は前記第1の部位および前記第2の部位を含むことを特徴とする撮影領域決定方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の撮影領域決定方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科装置、当該眼科装置による撮影領域決定方法、及び、当該撮影領域決定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、眼科における画像診断では、従来から広く用いられてきた眼底画像に加えて、近年、断層画像を用いることにより、被検者の眼部における網膜層内部の状態を3次元的に観察することが可能である。したがって、断層画像を用いた診断は、疾病の診断をより的確に行うために有用であると期待されている。
【0003】
上述した眼底画像は、例えば、眼底カメラや走査型レーザー検眼鏡(Scanning_Laser_Ophthalmoscope:SLO)、IRなどを用いて撮像される。また、上述した断層画像は、光干渉断層計(Optical_Coherence_Tomography:OCT)などを用いて撮像される。
【0004】
図6は、OCTを用いて撮影された、眼部の網膜における黄斑部の断層画像600の一例を示す模式図である。
OCTによる眼部の断層画像600は、3次元的に得られる。図6において、断面画像T1〜Tnは、黄斑部の二次元断面画像(B−scan画像)である。
【0005】
図7は、図6に示す断面画像T1〜Tnを深度方向に積算して作成した積算画像700の一例を示す模式図である。
ここで、深度方向とは、図6のz方向であり、また、深度方向に積算する処理とは、図6のz方向の各深度位置における光強度(輝度値)を足し合わせる処理である。
【0006】
図8は、眼底画像800の一例を示す模式図である。
黄斑部の断層画像投影領域803は、図6に示す断層画像600を−z方向から投影し、当該眼底画像800中の、断層画像600に対応する領域を示したものである。
【0007】
このように断層画像では、眼底画像に比べて眼底部分の中の狭い領域のみしか撮影できず、図8に示す視神経乳頭部801及び黄斑部802の両方を撮像することが不可能であることが一般的である。
【0008】
従来、例えば、下記の特許文献1には、断層画像撮影装置において、眼底部の特定の位置を撮影するための技術が提案されている。また、例えば、下記の特許文献2には、眼底画像撮影装置において、過去に撮影した病変部分を設定しておき、次回の撮影時の関心領域の位置、大きさ、露出等を設定する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−185244号公報
【特許文献2】特開2001−275979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来の技術では、以下の課題があった。
【0011】
特許文献1では、同一の断層画像撮影装置で撮影された断層画像を利用することのみしか考慮されていない。そのため、例えば、断層画像撮影装置の性能が向上し、撮影可能領域が拡大した場合には、撮影領域を決定することができずに、操作者が撮影領域を指定する必要がある。また、その場合以前の撮影領域とその場合以後の撮影領域とがずれてしまい、経過観察が行い難くなる。また、例えば、視神経乳頭部や黄斑部等の、眼部の重要部位を考慮して、撮影領域を決定することもできない。
【0012】
また、特許文献2には、上述したように、過去に撮影した画像(以下、「過去画像」と呼ぶ)の関心領域の設定に応じて、次回の撮影時の関心領域の位置、大きさ、露出等の撮影条件を設定することが提案されている。しかしながら、特許文献2では、撮影対象が眼底画像であるため、そもそも撮影可能領域が広く、撮影可能領域が拡大することは考慮されていない。また、特許文献2では、撮影装置の性能が向上し、より広い領域が撮影可能になった場合、効果的な撮影領域を設定することは考慮されていない。
【0013】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、過去画像との比較による経過観察を可能とし、且つ、診断に有効な撮影領域の設定を可能とする仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の眼科装置は、被検眼の眼底の第1断層画像の撮影領域を取得する取得手段と、前記第1断層画像の撮影領域に基づいて、前記眼底の第2断層画像の撮影領域を決定する決定手段と、を有し、前記決定手段は、前記第1断層画像の撮影領域を含み且つ前記第1断層画像の撮影領域より大きい撮影領域を前記第2断層画像の撮影領域として決定し、前記第1断層画像の撮影領域は視神経乳頭部および黄斑部のうち前記黄斑部のみを含み、前記第2断層画像の撮影領域は前記視神経乳頭部および前記黄斑部を含む
本発明の眼科装置における他の態様は、被検眼の眼底の第1断層画像の撮影領域を取得する取得手段と、前記第1断層画像の撮影領域に基づいて、前記眼底の第2断層画像の撮影領域を決定する決定手段と、を有し、前記決定手段は、前記第1断層画像の撮影領域を含み且つ前記第1断層画像の撮影領域より大きい撮影領域を前記第2断層画像の撮影領域として決定し、前記第1断層画像の撮影領域は前記眼底における第1の部位および第2の部位のうち前記第1の部位のみを含み、前記第2断層画像の撮影領域は前記第1の部位および前記第2の部位を含む。
また、本発明は、上述した眼科装置による撮影領域決定方法、及び、当該撮影領域決定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、過去画像との比較による経過観察を可能とし、且つ、診断に有効な撮影領域の設定を可能とする仕組みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る眼部画像撮影システム(画像処理システム)の概略構成の一例を示す模式図である。
図2図1に示す第1の撮影領域算出部の内部構成の一例を示す模式図である。
図3】本発明の実施形態に係る眼部画像撮影装置(画像処理装置)の制御方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図4図3のステップS103における第1の撮影領域の位置算出処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
図5図1の画像撮影制御部に適用可能なハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図6】OCTを用いて撮影された、眼部の網膜における黄斑部の断層画像の一例を示す模式図である。
図7図6に示す断面画像T1〜Tnを深度方向に積算して作成した積算画像の一例を示す模式図である。
図8】眼底画像の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。なお、以下に示す実施形態においては、本発明に係る画像処理装置として、被検者の眼部における画像を撮影する眼部画像撮影装置を適用した例について説明する。また、以下に示す実施形態においては、被写体として眼部を適用した例について説明するが、本発明においてはこれに限定されるわけではなく、例えば、断層画像の撮影対象となるものであれば如何なる被写体も適用可能である。また、以下に示す実施形態は、一例に過ぎず、本発明は、図示された構成等に限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る眼部画像撮影システム(画像処理システム)10の概略構成の一例を示す模式図である。
眼部画像撮影システム10は、図1に示すように、眼部画像撮影装置(画像処理装置)100、LAN200、及び、画像データベース300を有して構成されている。
【0019】
眼部画像撮影装置100は、LAN200を介して、過去画像を格納する画像データベース300と接続されている。即ち、眼部画像撮影装置100は、画像データベース300から過去画像を取得し、また、画像データベース300に対して撮影した画像を過去画像として保存できるように構成されている。
【0020】
眼部画像撮影装置100は、図1に示すように、画像撮影制御部110、眼底画像撮影部120、及び、断層画像撮影部130を有して構成されている。
【0021】
また、画像撮影制御部110は、図1に示すように、断層画像取得部101、画像記憶部102、第1の撮影領域算出部104、撮影サイズ取得部105、撮影誤差取得部106、及び、第3の撮影領域算出部107を有して構成されている。さらに、画像撮影制御部110は、図1に示すように、重要部位の位置抽出部103、第2の撮影領域算出部108、撮影指示部109、画像情報出力部111、及び、画像表示部112を有して構成されている。
【0022】
眼底画像撮影部120は、例えば、走査型レーザー検眼鏡(Scanning_Laser_Ophthalmoscope:SLO)を利用して、被検者の眼部における眼底画像を撮影する。なお、本例では、眼底画像撮影部120がSLOを利用して眼底画像を撮影するものとしているが、例えば、IRなどを利用して眼底画像を撮影するものであってもよい。
【0023】
断層画像撮影部130は、被検者の眼部における断層画像を撮影する。なお、本例では、断層画像撮影部130がスペクトラルドメイン方式のOCTを利用して断層画像を撮影するものとするが、他方式を利用して断層画像を撮影するものであってもよい。
【0024】
眼底画像撮影部120と断層画像撮影部130とは、相互に接続されており、例えば特許文献1等に示されている既知の手法により、眼底画像を常に撮影しながら、断層画像の撮影を行うことができるように構成されている。具体的には、それぞれの画像の撮影に使うレーザーの位置関係を制御することによって、眼底画像上における任意の位置の断層画像を撮影することが可能に構成されている。
【0025】
断層画像取得部101は、画像データベース300から過去画像を取得して画像記憶部102に記憶する。ここで、断層画像取得部101において、画像データベース300から取得する過去の断層画像を第1の断層画像とする。なお、第1の断層画像としては、例えば、断層画像撮影部130以外の他の断層画像撮影部で撮影された画像も適用できる。
【0026】
画像記憶部102は、断層画像取得部101で取得した過去画像を記憶するとともに、眼底画像撮影部120で撮影された眼底画像及び断層画像撮影部130で撮影された断層画像を記憶して、格納する。
【0027】
重要部位の位置抽出部103は、画像記憶部102に記憶されている画像を取り込み、例えば視神経乳頭部や黄斑部などの重要部位の位置を抽出し、この情報を第2の撮影領域算出部108に出力する。
【0028】
第1の撮影領域算出部104は、画像記憶部102に記憶されている画像から過去画像の撮影領域(第1の撮影領域)の位置を算出し、この情報を第3の撮影領域算出部107に出力する。
【0029】
撮影サイズ取得部105は、断層画像撮影部130から当該断層画像撮影部130で撮影可能な最大撮影サイズの情報を取得し、この情報を第3の撮影領域算出部107及び第2の撮影領域算出部108に出力する。
【0030】
撮影誤差取得部106は、断層画像撮影部130で撮影するときに発生する撮影位置の誤差を取得し、この情報を第3の撮影領域算出部107に出力する。
【0031】
第3の撮影領域算出部107は、撮影サイズ取得部105及び撮影誤差取得部106からの情報を用いて第1の撮影領域算出部104から出力された第1の撮影領域における周囲の領域(第3の撮影領域)の位置を算出する。そして、第3の撮影領域算出部107は、第3の撮影領域の位置に係る情報を第2の撮影領域算出部108に出力する。
【0032】
第2の撮影領域算出部108は、重要部位の位置抽出部103からの重要部位の位置情報、撮影サイズ取得部105からの最大撮影サイズの情報及び第3の撮影領域算出部107からの第3の撮影領域の位置情報を用いて、第2の撮影領域の位置を算出する。ここで、第2の撮影領域は、断層画像撮影部130において実際に撮影を行う撮影領域である。
【0033】
撮影指示部109は、第2の撮影領域算出部108で算出された第2の撮影領域の位置情報を断層画像撮影部130に送信し、断層画像撮影部130に対して当該第2の撮影領域の断層画像の撮影を行う旨の指示を出す。これにより、断層画像撮影部130において、第2の撮影領域について断層画像(第2の断層画像)の撮影が行われ、この第2の断層画像が画像記憶部102に記憶される。
【0034】
画像情報出力部111は、画像記憶部102に記憶された第2の断層画像を取得して、LAN200を介して第2の断層画像を画像データベース300に出力する。
【0035】
画像表示部112は、画像記憶部102に記憶されている眼底画像や第2の断層画像等を表示する。
【0036】
次に、図1に示す第1の撮影領域算出部104の内部構成について説明する。
図2は、図1に示す第1の撮影領域算出部104の内部構成の一例を示す模式図である。この図2には、第1の撮影領域算出部104の内部構成以外に、第1の撮影領域算出部104と接続される画像記憶部102及び第3の撮影領域算出部107も図示している。
【0037】
第1の撮影領域算出部104は、図2に示すように、積算画像作成部1041、断層画像特徴抽出部1042、眼底画像特徴抽出部1043、及び、位置合わせ部1044を有して構成されている。これらの各構成部については、図4のフローチャートを用いた説明の中で併せて説明を行う。
【0038】
次に、眼部画像撮影装置100の制御方法における処理の流れについて説明する。
【0039】
図3は、本発明の実施形態に係る眼部画像撮影装置(画像処理装置)100の制御方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0040】
<ステップS101>
まず、ステップS101において、断層画像取得部101は、画像データベース300に保存されている第1の断層画像を取得する処理を行う。具体的に、断層画像取得部101は、画像データベース300に保存されている第1の断層画像の中から、撮影対象となる被検者の第1の断層画像を取得し、これを画像記憶部102に保存する。この際、断層画像取得部101は、画像データベース300が保持している当該第1の断層画像における被検眼に関する情報を取得し、この情報も画像記憶部102に保存する。ここで、被検眼に関する情報とは、例えば、被検者(患者)の氏名、年齢、性別や、検査対象が右眼であるか左眼であるかなどの情報である。
【0041】
<ステップS102>
続いて、ステップS102において、画像撮影制御部110は、眼底画像撮影部120で撮影された眼底画像を眼底画像撮影部120から取得し、当該眼底画像を画像記憶部102に記憶する処理を行う。ここで、眼底画像撮影部120で撮影された眼底画像は、断層画像取得部101で取得した第1の断層画像の撮影領域である第1の撮影領域を含む眼部の広範な撮影領域に係る広範画像に相当するものである。また、この眼底画像を画像記憶部102に記憶する処理を行う画像撮影制御部110は、記憶手段を構成する。
【0042】
<ステップS103>
続いて、ステップS103において、第1の撮影領域算出部104は、画像記憶部102に記憶されている眼底画像及び第1の断層画像を用いて、第1の断層画像の撮影領域(第1の撮影領域)の位置を算出する処理を行う。具体的に、例えば、眼底画像の撮影領域の中から、第1の断層画像に相当する領域を第1の撮影領域として算出する。そして、第1の撮影領域算出部104は、第1の撮影領域の位置情報を第3の撮影領域算出部107に出力する。
【0043】
図8は、上述したように眼底画像の模式図であり、第1の撮影領域803は、眼底画像の眼底画像中での対応領域である。即ち、図8の例では、第1の撮影領域算出部104は、第1の撮影領域803の眼底画像中での位置を算出する。また、本実施形態では、眼底画像中における第1の断層画像の位置によって、断層画像の位置を定義する。このように、眼底画像を利用することによって、第1の断層画像中に含まれていない重要部位に関する処理を正確に行うことができる。このステップS103の処理の詳細については、図4を用いて後述する。
【0044】
<ステップS104>
続いて、ステップS104において、重要部位の位置抽出部103は、画像記憶部102に記憶されている眼底画像の中から、重要部位の位置を抽出し、この情報を第2の撮影領域算出部108に出力する。
【0045】
本実施形態では、眼部の黄斑部及び視神経乳頭部の位置を重要部位として抽出(検出)する例について説明を行うが、検出する対象としては眼部の様々な重要部位が考えられ、本例で示す黄斑部と視神経乳頭部の抽出に限定されるものではない。
【0046】
ここで、ステップS104の処理の詳細について説明する。
まず、重要部位の位置抽出部103は、眼底画像から血管の抽出を行う。この際、血管は細い線状構造を有しているため、重要部位の位置抽出部103は、線状構造を強調するフィルタを用いて血管を抽出する。ここで、線状構造を強調するフィルタとしては、例えば、線分を構造要素としたときに構造要素内での画像濃度値の平均値と構造要素を囲む局所領域内での平均値の差を計算するフィルタを利用する。ただし、このフィルタに限らず、例えばSobelフィルタのような差分フィルタを利用してもよい。また、濃度値画像の画素ごとにヘッセ行列の固有値を計算し、結果として得られる2つの固有値の組み合わせから線分状の領域(即ち血管)を抽出してもよい。さらには、単純に線分を構造要素とするトップハット演算を行ってもよい。
【0047】
本実施形態において重要部位とする視神経乳頭部は、血管が集まっており、且つ、周辺部に比べてその画像の輝度が高い。したがって、重要部位の位置抽出部103は、視神経乳頭部の抽出に際しては、このような画像特徴に注目して抽出を行う。
【0048】
また、本実施形態において重要部位とする黄斑部は眼底部のほぼ中央にあり、本実施形態において重要部位とする視神経乳頭部は黄斑部よりも顔の中央寄り、即ち鼻寄りの位置にあり、視神経乳頭部に集まった血管は、黄斑部を取り囲むように走っている。したがって、重要部位の位置抽出部103は、黄斑部及び視神経乳頭部の抽出に際しては、このような解剖学的特徴に注目して抽出を行う。
【0049】
本実施形態では、重要部位の位置抽出部103は、視神経乳頭部及び黄斑部の位置を抽出し、その位置情報を第2の撮影領域算出部108に出力する。また、図7及び図8の画像中においては、第1の断層画像には黄斑部802が含まれているが視神経乳頭部801は含まれておらず、−x方向に視神経乳頭部801がある。このように、重要部位が第1の断層画像中に含まれているかどうか、また、含まれていない重要部位が、相対的に断層画像を撮影した部分からどちらの方向に含まれているかといった情報も、重要部位の位置抽出部103から第2の撮影領域算出部108に出力する。
【0050】
<ステップS105>
続いて、ステップS105において、撮影サイズ取得部105は、断層画像撮影部130から、断層画像(第2の断層画像)を撮影可能な領域のサイズ情報を取得し、これを第3の撮影領域算出部107及び第2の撮影領域算出部108に出力する。
【0051】
ここで、断層画像撮影部130の撮影可能領域は、図6のx、yのそれぞれの方向のサイズとして表すことが可能である。本実施形態では、第1の断層画像における撮影領域よりも、断層画像撮影部130の撮影可能領域の方が大きいことを前提としている。なお、z方向、つまり、網膜の厚み方向の位置及びサイズに関しては、現状の断層画像撮影部で、一般に十分な厚みの計測が可能である。そのため、従来の断層画像撮影部で一般的に行われているコヒーレンスゲートの自動調節により、網膜の深さ方向の位置を調整することによって、全網膜層を撮影可能である。この際、コヒーレンスゲートの調整は、手動で行ってもよい。
【0052】
<ステップS106>
続いて、ステップS106において、第3の撮影領域算出部107は、第1の撮影領域算出部104からの第1の撮影領域の位置情報、撮影サイズ取得部105からの撮影可能サイズ情報及び撮影誤差取得部106からの撮影誤差情報に基づいて、第1の撮影領域における周囲の領域である第3の撮影領域の位置を算出する。ここで、第3の撮影領域は、第1の撮影領域の周囲に、撮影誤差と同じか、それよりも大きな幅の領域を有するように算出される。そして、第3の撮影領域算出部107は、撮影誤差を考慮した第3の撮影領域の位置情報を第2の撮影領域算出部108に出力する。
【0053】
ここで、ステップS106の処理の具体例を説明する。
例えば、第1の撮影領域の位置を(x1、y1)、第1の撮影領域のサイズを(x1w、y1w)とする。
断層画像撮影部130において指定した位置から撮影誤差が(xd、yd)であるとし、当該撮影誤差を考慮した第3の撮影領域804の位置を(xr、yr)、そのサイズを(xrw、yrw)とする。すると、第3の撮影領域804の位置(xr、yr)、及び、そのサイズ(xrw、yrw)は、以下の(1)式、(2)式、(3)式、及び、(4)式により計算することができる。
xr=x1−xd ・・・ (1)
yr=y1−yd ・・・ (2)
xrw=x1w+xd*2 ・・・ (3)
yrw=y1w+yd*2 ・・・ (4)
【0054】
つまり、第1の撮影領域の周囲には、x方向にxd、y方向にydの誤差を吸収するための撮影領域(第3の撮影領域)が確保される。仮に、撮影誤差を考慮した第3の撮影領域804を断層画像撮影部130に撮影領域として撮影指示すれば、撮影時の誤差があっても過去画像と同じ領域が含まれる断層画像を取得することが可能である。なお、もし断層画像撮影部130における位置ずれによる撮影誤差が、画像診断上無視できる場合には、第3の撮影領域算出部107は、第1の撮影領域算出部104から入力された位置情報をそのまま第2の撮影領域算出部108に出力する。
【0055】
<ステップS107>
続いて、ステップS107において、第2の撮影領域算出部108は、まず、第3の撮影領域算出部107から必ず含むべき第3の撮影領域の位置情報を取得する。同様に、第2の撮影領域算出部108は、撮影サイズ取得部105から撮影可能なサイズ情報(最大撮影サイズ情報)を取得し、重要部位の位置抽出部103から実際の撮影領域に加えたい重要部位の位置情報を取得する。そして、第2の撮影領域算出部108は、これらの取得した情報を用いて、断層画像撮影部130において実際に撮影を行う第2の撮影領域の位置を算出し、この情報を撮影指示部109に出力する。
【0056】
ここで、ステップS107の処理の具体例を説明する。
第2の撮影領域算出部108は、第3の撮影領域算出部107からの第3の撮影領域(図8の804)を第1の断層画像に含まれていない重要部位の方向に領域を拡大して、第2の撮影領域の位置を算出する。例えば、撮影サイズ取得部105で取得した断層画像撮影部130で撮影可能なサイズを(x2w、y2w)とすると、撮影拡大可能なx方向、y方向の大きさ(xe、ye)は、以下の(5)式及び(6)式により計算することができる。
xe=x2w−xrw ・・・ (5)
ye=y2w−yrw ・・・ (6)
【0057】
本実施形態における第1の断層画像の例では、重要部位のうち、黄斑部が含まれる一方で視神経乳頭部は含まれていないため、ここでは、−x方向に視神経乳頭部があることが検出されている。そのため、第2の撮影領域算出部108は、第3の撮影領域に対して、y方向に関しては正負均等に撮影領域を拡張し、また、x方向に関しては負の方向に撮影領域を拡張して、第2の撮影領域の位置を算出する。具体的に、第2の撮影領域を(x2、y2)とすると、以下の(7)式及び(8)式により計算することができる。
x2=xr−xe ・・・ (7)
y2=yr−(ye/2) ・・・ (8)
【0058】
ここで、図8に示す眼底画像中では、第2の撮影領域805の部分に対応する撮影領域の位置が算出されることになる。
【0059】
<ステップS108>
続いて、ステップS108において、撮影指示部109は、断層画像撮影部130及び眼底画像撮影部120を制御して、第2の撮影領域算出部108で算出された第2の撮影領域に対応する眼部の領域の画像の撮影を行う。このステップS108の処理により、断層画像撮影部130で撮影された断層画像は、第2の断層画像を構成する。
【0060】
なお、本実施形態において、断層画像撮影部130は、眼底画像撮影部120と連動しており、例えば特許文献1に示されている方法により、眼底画像中の特定の位置の断層画像を撮影することができるように構成されている。また、断層画像撮影部130は、眼底画像中における任意の位置の断層画像が撮影可能であれば、どのような方式によって、断層画像の撮影位置決めを行ってもよい。
【0061】
次に、図3のステップS103における第1の撮影領域の位置算出処理の詳細な処理について説明する。
【0062】
図4は、図3のステップS103における第1の撮影領域の位置算出処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。以下、図2に示す第1の撮影領域算出部104の各構成部の説明とともに、図4のフローチャートの説明を行う。
【0063】
<ステップS201>
積算画像作成部1041は、画像記憶部102に記憶されている眼底画像と断層画像(第1の断層画像)との位置合わせを行うために、各断面画像(例えばB−scan画像)を深度方向に積算した積算画像を作成する処理を行う。そして、積算画像作成部1041は、作成した積算画像を断層画像特徴抽出部1042に出力する。
【0064】
図6には、上述したように、眼部の網膜における黄斑部の断面画像T1〜Tnが示されており、図7には、上述したように、図6の断面画像T1〜Tnから作成した積算画像が示されている。ここで、深度方向とは、図6のz方向であり、また、深度方向に積算する処理とは、図6のz方向の各深度位置における光強度(輝度値)を足し合わせる処理である。なお、事前に網膜層全体の検出が可能な場合には、ステップS201において、網膜層内の任意の層のみ加算し、より明瞭な積算画像を生成してもよい。
【0065】
ここで、図7の積算画像内の曲線は血管を示しており、また、画像中心の円形は黄斑部を示している。眼底の断層画像において、血管がある場所は、血管より深部の位置における光の反射光強度は弱くなりやすく、z方向に積算した値は、血管がない場所に比べて小さくなることが知られている。そのため、積算画像を作成することで、血管とそれ以外とでコントラストのある画像を得ることができる。
【0066】
<ステップS202>
続いて、ステップS202において、断層画像特徴抽出部1042及び眼底画像特徴抽出部1043は、それぞれ、第1の断層画像及び眼底画像の特徴を抽出する処理を行う。
【0067】
断層画像特徴抽出部1042は、積算画像作成部1041で作成された、第1の断層画像の積算画像に対して特徴抽出を行い、この情報を位置合わせ部1044に出力する。
【0068】
具体的に、断層画像特徴抽出部1042は、特徴抽出として血管抽出を行う。この際、血管は細い線状構造を有しているため、断層画像特徴抽出部1042は、線状構造を強調するフィルタを用いて血管を抽出する。ここで、線状構造を強調するフィルタとしては、例えば、線分を構造要素としたときに構造要素内での画像濃度値の平均値と構造要素を囲む局所領域内での平均値の差を計算するフィルタを利用する。ただし、このフィルタに限らず、例えばSobelフィルタのような差分フィルタを利用してもよい。また、濃度値画像の画素ごとにヘッセ行列の固有値を計算し、結果として得られる2つの固有値の組み合わせから線分状の領域(即ち血管)を抽出してもよい。さらには、単純に線分を構造要素とするトップハット演算でもよい。
【0069】
一方、眼底画像特徴抽出部1043は、画像記憶部102から入力した眼底画像に対して特徴抽出を行い、この情報を位置合わせ部1044に出力する。
【0070】
具体的に、眼底画像特徴抽出部1043は、断層画像特徴抽出部1042と同様に、特徴抽出として血管抽出を行う。
この際、血管は細い線状構造を有しているため、眼底画像特徴抽出部1043は、線状構造を強調するフィルタを用いて血管を抽出する。ここで、線状構造を強調するフィルタとしては、例えば、線分を構造要素としたときに構造要素内での画像濃度値の平均値と構造要素を囲む局所領域内での平均値の差を計算するフィルタを利用する。ただし、このフィルタに限らず、例えばSobelフィルタのような差分フィルタを利用してもよい。また、濃度値画像の画素ごとにヘッセ行列の固有値を計算し、結果として得られる2つの固有値の組み合わせから線分状の領域(即ち血管)を抽出してもよい。さらには、単純に線分を構造要素とするトップハット演算でもよい。
【0071】
<ステップS203>
続いて、ステップS203において、位置合わせ部1044は、断層画像特徴抽出部1042で抽出された断層画像の特徴と、眼底画像特徴抽出部1043で抽出された眼底画像の特徴とに基づいて、位置合わせの処理を行う。これにより、第1の撮影領域の位置が定まることになる。
【0072】
この位置合わせ部1044による位置合わせ処理の結果は、眼底画像を基準画像とした、積算画像のスケール(Sx、Sy)、位置座標(x、y)、回転(rot)のパラメータからなる第1の撮影領域の位置情報として第3の撮影領域算出部107に出力される。
【0073】
位置合わせ部1044では、画像同士の位置を合わせるため、本実施形態では、解剖学的に特徴的な領域として血管を用いている。具体的に、位置合わせ部1044は、積算画像と眼底画像からそれぞれ抽出された血管を用いて、画像間の位置合わせを行う。この位置合わせを行う際には、2つの画像間の類似度を表す評価値を事前に定義し、この評価値が最も良くなるように画像の変形を行う。評価値としては、前段の処理で得られた積算画像の血管領域と眼底画像の血管領域のと重なりの程度を表す値や、血管の分岐部など特徴的な幾何形状を有する領域に注目した時の対応ランドマーク間の距離などが利用できる。また、本実施形態では、解剖学的に特徴的な領域として血管を利用したが、視神経乳頭領域のようなその他の解剖学的特徴や、疾患により生じた白斑や出血領域を利用しても良い。さらに、血管などの解剖学的特徴にのみ注目するのではなく、画像全体から計算される評価値、例えば輝度値の平均2乗誤差、相関係数、相互情報量なども利用可能である。
【0074】
次に、図1の画像撮影制御部110に適用可能なハードウェア構成について説明する。
図5は、図1の画像撮影制御部110に適用可能なハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【0075】
画像撮影制御部110は、例えば、図5に示すように、CPU501、RAM502、ROM503、外部記憶装置504、モニタ505、キーボード506、マウス507、インターフェイス508、及び、バス509のハードウェア構成を有して構成される。
【0076】
ここで、図1の断層画像取得部101、撮影サイズ取得部105、撮影誤差取得部106、撮影指示部109及び画像情報出力部111は、例えば、図5のCPU501及び外部記憶装置504のプログラム並びにインターフェイス508から構成される。また、図1の画像記憶部102は、例えば、図5のRAM502、ROM503或いは外部記憶装置504から構成される。また、図1の重要部位の位置抽出部103、第1の撮影領域算出部104、第3の撮影領域算出部107及び第2の撮影領域算出部108は、例えば、図5のCPU501及び外部記憶装置504のプログラムから構成される。また、図1の画像表示部112は、例えば、図5のモニタ505から構成される。
【0077】
CPU501は、例えばROM503或いは外部記憶装置504に格納されたプログラムやデータを用いて、画像撮影制御部110全体の制御を行う。
【0078】
RAM502は、ROM503或いは外部記憶装置504からロードされたプログラムやデータを一時的に記憶するエリアを備えるとともに、CPU501が各種の処理を行うために必要とするワークエリアを備える。
【0079】
ROM503は、一般にコンピュータのBIOSや設定データなどを格納している。外部記憶装置504は、ハードディスクドライブなどの大容量情報記憶装置として機能する装置であって、ここにオペレーティングシステム(OS)やCPU501が実行するプログラム等が保存されている。また、本実施形態の説明において既知としている情報は、外部記憶装置504に保存されており、必要に応じてRAM502にロードされる。
【0080】
モニタ505は、液晶ディスプレイなどにより構成されており、CPU501の制御に基づいて、各種の情報や画像を表示する。
【0081】
キーボード506及びマウス507は、入力デバイスであり、操作者は、これらを用いて、各種の指示を画像撮影制御部110に与えることができる。
【0082】
インターフェイス508は、画像撮影制御部110と外部の機器(例えば、眼底画像撮影部120及び断層画像撮影部130や、LAN200を介した画像データベース300)との間で各種の情報やデータの送受信を行うためのものである。例えば、インターフェイス508は、IEEE1394やUSB、イーサネットポート(登録商標)等によって構成される。また、インターフェイス508を介して取得された各種の情報やデータは、外部記憶装置504に記憶され、必要に応じて、RAM502にロードされる。また、バス509は、上述した各構成部(501〜508)を相互に通信可能に接続する。
【0083】
本実施形態の眼部画像撮影装置100によれば、過去画像が存在し、より広い領域の撮影が可能な場合に、過去画像との比較による経過観察が可能であり、且つ、診断に有効な撮影領域の設定が可能である。診断に有効な撮影領域の設定の際に、撮影時の位置ずれ誤差を考慮しているため、過去画像における撮影領域を確実に撮影することができる。
【0084】
(本発明の他の実施形態)
前述した本発明の実施形態に係る眼部画像撮影装置100を構成する図1の各手段は、コンピュータのCPU501が外部記憶装置504に記憶されているプログラムを実行することによって実現できる。同様に、眼部画像撮影装置100の制御方法を示す図3及び図4の各ステップは、コンピュータのCPU501が外部記憶装置504に記憶されているプログラムを実行することによって実現できる。このプログラム及び当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明に含まれる。
【0085】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0086】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図3及び図4に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システム或いは装置に直接、或いは遠隔から供給するものを含む。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合も本発明に含まれる。
【0087】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0088】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0089】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などもある。
【0090】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、若しくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0091】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0092】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、ダウンロードした鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0093】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0094】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【0095】
なお、前述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0096】
10:眼部画像撮影システム(画像処理システム)、100:眼部画像撮影装置(画像処理装置)、101:断層画像取得部、102:画像記憶部、103:重要部位の位置抽出部、104:第1の撮影領域算出部、105:撮影サイズ取得部、106:撮影誤差取得部、107:第3の撮影領域算出部、108:第2の撮影領域算出部、109:撮影指示部、110:画像撮影制御部、111:画像情報出力部、112:画像表示部、120:眼底画像撮影部、130:断層画像撮影部、200:LAN、300:画像データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8