(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の開口又は前記第2の開口から暴露される前記感光ユニットの面積は、前記ホログラフィック記憶層の面積の50%〜99%を占める請求項1に記載のホログラフィック記憶層。
前記複数のキャビティのそれぞれの少なくとも1つの側壁と前記ホログラフィック記憶層の法線ベクトルとの間に、−45度〜45度の夾角がある請求項1に記載のホログラフィック記憶層。
前記感光ユニットの一部は、対応する前記第1の開口から対応する前記第2の開口へ向かって広くなり、他の前記感光ユニットは、対応する前記第1の開口から対応する前記第2の開口へ向かって狭くなる請求項1又は請求項6に記載のホログラフィック記憶層。
前記感光ユニットの一部に対応する前記第1の開口及び他の前記感光ユニットに対応する前記第2の開口に設けられる複数の反射ユニットを更に備え、前記感光ユニットの一部と他の前記感光ユニットとは、互に交互に配列する請求項1に記載のホログラフィック記憶層。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ホログラフィックメモリー技術は、信号光及び参照光によって干渉を発生させ、映像データを記憶媒体(感光材料)に書き込む。データを読み取る場合、改めて参照光を記憶媒体(感光材料)に照射することによって、映像データを生成させることができる。そして、生成された映像データが検出器に読み取られる。つまり、ホログラフィックメモリー技術の記憶容量とその記憶媒体(感光材料)とに関連性があり、ホログラフィックメモリー技術の記憶容量を如何に向上させるかについても、現在の関連分野で研究される目標となっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態は、書き込みビームの拡散面積を制限するためのキャビティを含む反射構造を備えるホログラフィックディスクを提供する。従って、ホログラフィック記憶層に対して書き込む場合、参照光と信号光からなるビームは、キャビティが定義する領域内に限定されて、参照光と信号光との混合程度が向上し、これにより、キャビティにおける感光材料の使用率が向上する。
【0005】
本発明の一実施形態は、キャビティを含む格子状の反射構造と、前記キャビティの中に設けられる感光ユニットと、を備え、前記反射構造は、複数の感光ユニットのそれぞれを囲み、それぞれ前記感光ユニットを暴露する第1の開口及び第2の開口を定義するホログラフィック記憶層を提供する。
【0006】
ある実施形態では、第1の開口及び第2の開口の面積は、0.1平方マイクロメートル(μm
2)〜24平方ミリメートル(mm
2)にある。
【0007】
ある実施形態では、反射構造は、円状であり、キャビティは、反射構造の円の中心に対して対称であるように配置される。
【0008】
ある実施形態では、キャビティは、扇形であり、それぞれ反射構造と同一の中心を有する2つの弧状境界を有する。
【0009】
ある実施形態では、前記第1の開口又は第2の開口から暴露される感光ユニットの面積は、ホログラフィック記憶層の面積の50%〜99%を占める。
【0010】
ある実施形態では、複数のキャビティのそれぞれの少なくとも1つの側壁とホログラフィック記憶層の法線ベクトルとの間の夾角はゼロではない。
【0011】
ある実施形態では、夾角は、−45度〜45度にある。
【0012】
ある実施形態では、感光ユニットの一部は、対応する第1の開口から対応する第2の開口へ向かって広くなり、他の感光ユニットは、対応する第1の開口から対応する第2の開口へ向かって狭くなる。
【0013】
ある実施形態では、ホログラフィック記憶層は、反射構造における第1の開口及び第2の開口以外の領域に位置するように、反射構造の表面に設けられる吸光ユニットを更に備える。
【0014】
ある実施形態では、ホログラフィック記憶層は、感光ユニットの一部に対応する第1の開口及び他の感光ユニットに対応する第2の開口に設けられる反射ユニットを更に備える。
【0015】
ある実施形態では、感光ユニットの一部と他の感光ユニットとは、互に交互に配列する。
【0016】
ある実施形態では、キャビティがホログラフィック記憶層に垂直な形状は、円状、矩形、三角形又は多角形である。
【0017】
ある実施形態では、反射構造は、キャビティを定義するための側壁と、前記側壁の間に設けられて側壁を固定する固定用接着剤と、を更に含む。
【0018】
本発明の一実施形態は、第1の基板と、第2の基板と、ホログラフィック記憶層と、を備えるホログラフィックディスクを提供する。
【0019】
ある実施形態では、第1の基板及び第2の基板の何れも透過性基板である。
【0020】
ある実施形態では、第1の基板は透過性基板であり、第2の基板は反射性基板である。
【0021】
本発明の一実施形態は、線状の感光媒体の表面を覆う反射層を形成する工程と、線状の感光媒体を束状となるように平行配列し、反射層の間に固定用接着剤を埋め込み、束状となる感光媒体を定形する工程と、感光媒体を、感光媒体の束状の方向に垂直であるように切断する工程と、を備えるホログラフィック記憶層の製造方法を提供する。
【0022】
本発明の一実施形態は、反射材料をモールドに埋め込み、反射材料からダイキャストによってキャビティを有する反射構造を形成する工程と、感光材料をキャビティの中に埋め込み、感光材料を硬化させる工程と、を備えるホログラフィック記憶層の製造方法を提供する。
【0023】
ある実施形態では、ホログラフィック記憶層の製造方法は、硬化した感光材料及び反射構造を平坦化することを更に備える。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係るホログラフィックディスクの第1の実施例を示す分解図である。
【
図3】本発明に係るホログラフィックディスクの第2の実施例を示す側面模式図である。
【
図4A】本発明に係るホログラフィックディスクの第3の実施例を示す上面模式図である。
【
図4B】
図4Aに示す反射構造における単一のキャビティを示す拡大図である。
【
図5A】本発明に係るホログラフィックディスクの第4の実施例を示す立体模式図である。
【
図5B】本発明に係るホログラフィックディスクの第4の実施例におけるキャビティが径方向に沿って配列される様子を示す側面模式図である。
【
図5C】本発明に係るホログラフィックディスクの第4の実施例におけるキャビティが接線方向に沿って配列される様子を示す側面模式図である。
【
図6A】本発明に係るホログラフィック記憶層の反射構造の複数の実施例における上面模式図である。
【
図6B】本発明に係るホログラフィック記憶層の反射構造の複数の実施例における上面模式図である。
【
図6C】本発明に係るホログラフィック記憶層の反射構造の複数の実施例における上面模式図である。
【
図6D】本発明に係るホログラフィック記憶層の反射構造の複数の実施例における上面模式図である。
【
図7A】本発明に係るホログラフィック記憶層の製造方法の一実施形態を示す立体模式図である。
【
図7B】本発明に係るホログラフィック記憶層の製造方法の一実施形態を示す立体模式図である。
【
図7C】本発明に係るホログラフィック記憶層の製造方法の一実施形態を示す立体模式図である。
【
図7D】本発明に係るホログラフィック記憶層の製造方法の一実施形態を示す立体模式図である。
【
図8A】本発明に係るホログラフィック記憶層の製造方法の別の実施形態を示す側面模式図である。
【
図8B】本発明に係るホログラフィック記憶層の製造方法の別の実施形態を示す側面模式図である。
【
図8C】本発明に係るホログラフィック記憶層の製造方法の別の実施形態を示す側面模式図である。
【
図8D】本発明に係るホログラフィック記憶層の製造方法の別の実施形態を示す側面模式図である。
【
図8E】本発明に係るホログラフィック記憶層の製造方法の別の実施形態を示す側面模式図である。
【
図8F】本発明に係るホログラフィック記憶層の製造方法の別の実施形態を示す側面模式図である。
【
図8G】本発明に係るホログラフィック記憶層の製造方法の別の実施形態を示す側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面及び詳しい説明で本発明の精神を明らかに説明する。当業者であれば、本発明の好適な実施例を理解する上で、本発明の教示した技術によって、本発明の精神と範囲から逸脱せずに、変更や修正を加えることができる。
【0026】
ホログラフィックメモリーシステムにおいて、ホログラフィックメモリーディスクが記憶データを書き込む場合、信号光と参照光からなるビームが一定範囲の感光材料に対して干渉及び露出を行う必要がある。しがしながら、実際に、記憶データに必要な感光材料の範囲がこの露出範囲より小さいため、余分の感光材料が使用されず、更に、感光材料の使用率が減少する。ホログラフィック記憶ディスクにおける感光材料の使用率が減少すると、ホログラフィックメモリーディスクの記憶容量も同時に削減する。
【0027】
これに鑑みて、本発明に係るホログラフィック記憶層は、書き込みビームの拡散面積を制限するためのキャビティを含む反射構造を備える。反射構造におけるキャビティによって、ビームは、記憶層に入射する場合、特定領域のみに限定されて、ビームの干渉する露出領域がこの領域内にある。従って、参照光と信号光との混合程度が向上し、感光材料の使用率も向上する。同様に、ホログラフィック記憶層における感光材料の使用率が向上すると、ホログラフィックディスクの記憶容量も向上する。
【0028】
図1及び
図2を同時に参照されたい。
図1は、本発明に係るホログラフィックディスクの第1の実施例を示す分解図である。
図2は、
図1に示す領域Aを示す拡大図である。
【0029】
ホログラフィックディスク100は、第1の基板102と、第2の基板104と、ホログラフィック記憶層110と、を備える。ホログラフィック記憶層110は、第1の基板102と第2の基板104との間に設けられており、反射構造120と、感光ユニット132と、を含む。反射構造120は、キャビティ130を含む格子状のものである。感光ユニット132は、キャビティ130の中に設けられる。反射構造120は、複数の感光ユニット132のそれぞれを囲み、それぞれ感光ユニット132を暴露する第1の開口122及び第2の開口124を定義する。
【0030】
図2において、反射構造120は、複数のキャビティ130のそれぞれを定義し、複数のキャビティ130のそれぞれおける感光ユニット132を隔てるための側壁134を含む。感光ユニット132は、光学記憶材料又は感光材料より構成される。この配置では、信号光Sと参照光Rからなる書き込みビームがキャビティ130に入る場合、書き込みビームは、キャビティ130の側壁134で反射される。つまり、キャビティ130は、書き込みビームの拡散面積を限定し、書き込みビームを単一のキャビティ130内に限定することに用いる。
【0031】
例としては、ホログラフィックディスク100の書き込み(又は、読み取り)の場合、信号光Sと参照光Rからなる書き込みビームは、キャビティ130に入って、感光ユニット132において干渉する。書き込みビームが単一のキャビティ130内に限定されるため、信号光Sと参照光Rとの混合程度が向上し、感光ユニット132の使用率が向上し、ホログラフィックディスク110の記憶容量も向上する。
【0032】
ある実施形態では、第1の基板102は透過性基板であり、第2の基板104は反射性基板である。従って、書き込みビームは、第1の基板102に向かう第1の開口122から、ホログラフィック記憶層110に入る。第1の開口122からキャビティ130に入る信号光Sと参照光Rは、第2の開口124によりホログラフィック記憶層110から射出する場合、第2の基板104の設置によって、反射させてホログラフィック記憶層110に戻る。
【0033】
また、書き込みビームが第1の基板102からホログラフィック記憶層110に入る場合、第1の開口122は、ビームのキャビティ130への入口と見なされ、この入口の面積が書き込みビームの必要な最小集束領域(Nyquist Aperture)の大きさに相当する。
【0034】
信号光S及び参照光Rが干渉する領域には、前記領域のキャビティ130における分布の最狭幅部の幅が、最小集束領域の幅の1倍〜2倍である。従って、信号光S及び参照光Rがキャビティ130の寸法からの影響を受けずに書き込みを完成できるように、ビームの入口である第1の開口122は、面積が信号光S及び参照光Rのキャビティ130での干渉の最狭幅部よりも大きくなければならない。以下、集束領域に対する制限について、更に説明する。
【0035】
集束領域の計算式は、
Dv=(fλ)/δv………………………………(1)であり、
D
vはv方向における口径幅であり、fは集束レンズの焦点距離であり、λは光波の媒体における波長であり、δは信号のv方向における最小解像度である。
【0036】
ホログラフィックディスク100の空間光変調器(Spatial light modulAtoR;SLM)による書き込みを例として、SLMの画素ユニットは、3.5マイクロメートル(μm)×3.5マイクロメートル(μm)である。中継レンズを介して書き込みビームを3.5倍小さくして結像した後で、焦距4mm、光波の媒体における波長0.4がマイクロメートル(μm)である対物レンズの前焦平面に、解像度1マイクロメートル(μm)×1マイクロメートル(μm)の入力信号が発生する。これにより、書き込みビームにキャビティ130を通過させるために、対物レンズの集束平面は1.6ミリメートル(mm)×1.6ミリメートル(mm)の口径が必要であることが判明される。つまり、この条件では、キャビティ130にビームを書き込む入口の面積として、少なくとも2.56平方ミリメートル(mm
2)が必要である。
【0037】
そして、対物レンズの書き込みビームがまったく変調していない平面波である場合を例とする。この場合、この光分布の最狭幅部は、回折限界の集束スポットの大きさであり、つまりD
v=0.61λである。この条件では、書き込みビームの波長が0.4マイクロメートル(μm)である場合、キャビティ130にビームを書き込む入口の面積としては、少なくとも約0.244平方マイクロメートル(μm
2)が必要である。
【0038】
また、キャビティ130の最小入口面積は、全ての映像データの再建を確保しなければならない。例としては、集束領域の大きさが最小映像データを通過させるための寸法であるが、理論的に、キャビティ130の最小入口面積がおおよそ集束領域の1倍〜2倍である。しがしながら、Runlength‐limiteDコード(RLL CoDe)を適用すれば、キャビティ130は、口径を更に小さくすることができる。一方、入力信号が2次元強度又は位相コード情報であれば、その光照視野の対物レンズ集束面における分布が軸対称となるため、キャビティ130の口径は、更に小さくされてもよい。
【0039】
前記と同じように、キャビティ130の入口の面積は、書き込みビームの必要な最小集束領域の大きさに相当する。条件によっては、異なる書き込み方式に対応して、キャビティ130にビームを書き込む最小入口面積も少し異なっている。従って、異なる書き込み方式に対応できるために、ある実施形態では、第1の開口122及び第2の開口124の面積は、0.1平方マイクロメートル(μm
2)〜24平方ミリメートル(mm
2)にある。
【0040】
また、感光ユニット132のホログラフィック記憶層110に占める比例とホログラフィック記憶層110の記憶容量とが高い関連性を有するため、ある実施形態では、第1の開口122又は第2の開口124から暴露される感光ユニット132の面積は、ホログラフィック記憶層110の面積の50%〜99.9%を占める。感光ユニット132の面積がホログラフィック記憶層110の面積の50%より小さい場合、ホログラフィック記憶層110は、記憶容量が不足であることがある。一方、感光ユニット132の面積がホログラフィック記憶層110の面積の95%より大きい場合、反射構造120における側壁134には複雑すぎる製造プロセスが必要であるかもしれないため、ホログラフィック記憶層110の製造歩留まりが不足となる。
【0041】
ある実施形態では、ホログラフィック記憶層110は、吸光ユニット160を更に含む。吸光ユニット160は、反射構造120における第1の開口122及び第2の開口124以外の領域に位置するように、反射構造120の表面に設けられる。具体的には、吸光ユニット160は、反射構造120の表面における側壁134に対応する領域を覆って、書き込みビームがホログラフィック記憶層110へ放射する場合、第1の開口122又は第2の開口124に入らない分は、吸光ユニット160より吸収される。また、吸光ユニット160は、感光ユニット132が設けられた後で吸光ユニット160と感光ユニット132との表面が面一となるように、反射構造120を製造する時に埋め込まれ、又は感光ユニット132がキャビティ130に設けられていない時に塗布されてもよい。
【0042】
つまり、信号光Sと参照光Rとの入射位置が第1の開口122及び第2の開口124以外に当たる場合、吸光ユニット160は、信号光S及び参照光Rを吸収して、ホログラフィック記憶層110が書き込む時に発生するノイズを減少する。例としては、
図2において、ホログラフィック記憶層110が書き込む期間、信号光S及び参照光Rがホログラフィック記憶層110の表面の側壁134に放射すると、吸光ユニット160は、信号光S及び参照光Rが側壁134の表面で反射しないように、信号光S及び参照光Rを吸収する。
【0043】
図1及び
図3を同時に参照されたい。
図3は、本発明に係るホログラフィックディスクの第2の実施例を示す側面模式図である。本実施例は、ホログラフィックディスク100のホログラフィック記憶層110には、複数のキャビティ130のそれぞれが書き込みビームに対応して単一の入口しか有しないように、第1の開口122の一部及び第2の開口124の一部に設けられる反射ユニット170を更に含むことにおいて、第1の実施例と異なっている。
【0044】
ある実施形態では、
図1に示す第1の基板102及び第2の基板104は、何れも透過性基板であってもよい。従って、書き込みビームは、第1の基板102に向かう第1の開口122からホログラフィック記憶層110に入る以外に、第2の基板104に向かう第2の開口124からホログラフィック記憶層110に入ってもよい。
【0045】
本実施例では、感光ユニット132は、感光ユニット132a及び感光ユニット132bの2つの部分に分けられ、反射ユニット170は、感光ユニット132aに対応する第1の開口122及び感光ユニット132bに対応する第2の開口124に設けられる。反射ユニット170の設置によって、感光ユニット132a及び感光ユニット132bの位置は、それぞれ第1の基板102及び第2の基板104からの書き込みビームを反射する。従って、感光ユニット132aは、第2の開口124によって第2の基板104からの書き込みビームを受け入れ、感光ユニット132bは、第1の開口122によって第1の基板102からの書き込みビームを受け入れる。
【0046】
また、反射ユニット170は、反射ユニット170と第1の開口122又は第2の開口124によって暴露される感光ユニット132との表面が面一となるように、反射構造120を製造すると同時に形成されてもよい。又は、反射ユニット170は、感光ユニット132が設けられた後で形成され、また、形成された反射ユニット170を更に感光ユニット132と共に平坦化して、感光ユニット132の表面と面一となるようにしてもよい。
【0047】
この配置では、信号光Sと参照光Rからなる書き込みビームは、同時にホログラフィックディスク100の上方及び下方から入射して書き込みを完成してもよい。また、感光ユニット132aの一部と他の感光ユニット132bとは、互に交互に配列する。具体的には、第2の開口124によって書き込みビームを受け入れる感光ユニット132aと第1の開口122によって書き込みビームを受け入れる感光ユニット132bとは、互に交互に配列する。
【0048】
図4A及び
図4Bを同時に参照されたい。
図4Aは、本発明に係るホログラフィックディスクの第3の実施例の上面模式図である。
図4Bは、
図4Aに示す反射構造における単一のキャビティを示す拡大図である。本実施例は、ホログラフィック記憶層110及び反射構造120が円状であり、反射構造120におけるキャビティ130が円状の軌道に沿って設けられることにおいて、第1の実施例と異なっている。
【0049】
本実施例では、ホログラフィック記憶層110及び反射構造120は、円状であり、キャビティ130は、反射構造120の円の中心に対して対称であるように配置される。つまり、反射構造120におけるキャビティ130は、ホログラフィック記憶層110及び反射構造120と同心の複数の円状の軌道となるように配列される。なお、キャビティ130は、扇状であり、それぞれホログラフィック記憶層110及び反射構造120と同心の2つの弧状境界を含む。更に言えば、反射構造120に対して、複数のキャビティ130は、2つの弧状で反射構造120と同心円上の側壁134を含む。
【0050】
この配置では、反射構造120におけるキャビティ130は、より高密度の配列方式が実現される。一方、感光ユニット132がキャビティ130の中に設けられるため、この配列方式により感光ユニット132のホログラフィック記憶層110に占める比率も同様に増加し、ホログラフィック記憶層110の記憶容量が向上する。以下に、ホログラフィック記憶層110におけるキャビティ130の密度を向上させるための配列方式について、更に説明する。
【0051】
図5Aを参照されたい。
図5Aは、本発明に係るホログラフィックディスクの第4の実施例を示す立体模式図である。本実施例は、キャビティ130の対応する第1の開口122と第2の開口124とが異なる面積を有することにおいて、第3の実施例と異なっている。
【0052】
前述の通り、キャビティ130の上面形状は、扇形である。キャビティ130が互いに最も密接に積み重ねられるように配列されるために、キャビティ130に対応する第1の開口122と第2の開口124とは、異なる面積を有し、キャビティ130及びキャビティ130の中に設けられる感光ユニット132は第1の開口122から第2の開口124へと、広く又は狭くなっていく。また、この配置では、キャビティ130を定義する2つの側壁134については、ホログラフィック記憶層110の表面との間でなす角が、直角ではない。
【0053】
図5A及び
図5Bを同時に参照されたい。
図5Bは、本発明に係るホログラフィックディスクの第4の実施例におけるキャビティが径方向に沿って配列される様子を示す側面模式図である。本実施例に係るキャビティ130の形状は、
図5Aと同じであり、簡単に説明するように、
図5A及び
図5Bにおいて、同一の円柱座標系の径方向X、接線方向Y及び軸方向Zが付けられる。また、同じく簡単に説明できるように、キャビティ130に対応する4つの側壁134の中で、2つの弧状の側壁134が側壁134aと付けられ、別の2つの側壁134が134bと付けられる。
【0054】
ある実施形態では、複数のキャビティ130のそれぞれの少なくとも1つの側壁134とホログラフィック記憶層110の法線ベクトル150との間に、−45度〜45度の夾角θがある。具体的には、複数の扇状キャビティ130の2つの弧状側壁134aはホログラフィック記憶層110の表面に対して傾斜し、前記2つの弧状側壁134aはホログラフィック記憶層110の径方向のX方向に沿って設けられる。扇状キャビティ130の別の2つの側壁134bはホログラフィック記憶層110の表面に対して垂直であり、前記2つの側壁134bはホログラフィック記憶層110の接線方向のY方向に沿って設けられる。
【0055】
この配置では、感光ユニット132は、感光ユニット132aと、感光ユニット132bとの2つの部分に分けられてもよい。第1部分の感光ユニット132aは、対応する第1の開口122から対応する第2の開口124へ向かって広くなり、第2部分の感光ユニット132bは、対応する第1の開口122から対応する第2の開口124へ向かって狭くなる。
【0056】
また、本実施例に係るホログラフィック記憶層110も、同様に第1の開口122の一部及び第2の開口124の一部に設けられる反射ユニット170を含むことは第2の実施例と同じである。反射ユニット170は、感光ユニット132aの対応する第1の開口122及び感光ユニット132bの対応する第2の開口124に設けられる。つまり、本実施例に係るホログラフィック記憶層110は、同様にホログラフィック記憶層110の上方及び下方から書き込みビームを受け入れて書き込んでもよい。なお、側壁134aとホログラフィック記憶層110の法線ベクトルとの間に夾角θがあるため、信号光及び参照光(
図2参照)が側壁134aで反射するチャンスは増加し、信号光と参照光との混合程度が更に向上し、更に、ホログラフィックディスク110の記憶容量も向上する。
【0057】
図5A及び
図5Cを同時に参照されたい。
図5Cは、本発明に係るホログラフィックディスクの第4の実施例におけるキャビティが接線方向に沿って配列される様子を示す側面模式図である。本実施例におけるキャビティ130の形状は、
図5Aと同じであり、簡単に説明できるように、
図5A及び
図5Cにおいて、同一の円柱座標系の径方向X、接線方向Y及び軸方向Zが付けられる。また、
図5Cに示す配列方式は、キャビティ130が接線方向に沿って展開する模式図である。
【0058】
前述の通り、キャビティ130の弧状境界に対向する別の2つの側壁134bは、ホログラフィック記憶層110に垂直である。従って、接線方向において、キャビティ130の間の側壁134bは、ホログラフィック記憶層110の表面に垂直であり、軸方向のZ方向と平行する。
【0059】
要するに、本実施例に係る反射構造120のキャビティ130が互いに最も密接に積み重ねられるように配列され、この配列方式により、ホログラフィック記憶層110が上方及び下方からの書き込みビームを受け入れる(信号光及び参照光を含む)ようにすることができる。また、本実施例のキャビティ130において、径方向のX方向に沿って設けられる2つの側壁134aは、ホログラフィック記憶層110の表面に対して傾斜し、接線方向のY方向に沿う2つの側壁134bがホログラフィック記憶層110の表面に垂直である。しがしながら、理解すべきなのは、以上で挙げられた側壁134の傾斜方式は例示だけであり、本発明を制限するためのものではなく、当業者であれば、実際の要求に応じて、側壁134の傾斜方式を柔軟的に選択してもよい。例えば、キャビティ130の弧状境界の2つの側壁134aがホログラフィック記憶層110の表面に垂直であり、キャビティ130の弧状境界に対向する別の2つの側壁134bがホログラフィック記憶層110の表面に対して傾斜しているものが挙げられる。
【0060】
図6A〜
図6Dを参照されたい。
図6A〜
図6Dは、本発明に係るホログラフィック記憶層の反射構造を複数実施例に示す上面模式図である。ある実施形態では、反射構造120におけるキャビティ130のホログラフィック記憶層及び反射構造120に垂直な方向から見た形状は、円状、三角形、矩形又は多角形(別々に
図6A、
図6B、
図6C及び
図6Dに示す)である。同様に、キャビティ130の間に、依然として最も密接に積み重ねるように配列されるため、感光ユニット132の使用率が向上し、更に、ホログラフィック記憶層の記憶容量が増加する。
【0061】
また、ある実施形態では、反射構造120は、側壁134及び固定用接着剤180を更に含む。側壁134は、キャビティ130を定義することに用いる。固定用接着剤180は、側壁134を接続するように側壁134の間に設けられる。
図6Aを例として、複数の円状のキャビティ130のそれぞれの境界に、対応する側壁134があり、固定用接着剤180が側壁134の間の隙間に設けられて、側壁134が固定されてから反射構造120を構成する。しがしながら、理解すべきなのは、以上で挙げられた反射構造120が例示だけで、本発明を制限するためのものではなく、当業者であれば、実際の要求に応じて、反射構造120の構成方式を柔軟的に選択してもよい。例えば、反射構造120の側壁134は、一体成形してもよい。
【0062】
図7A〜
図7Dを参照されたい。
図7A〜
図7Dは、本発明に係るホログラフィック記憶層の製造方法の一実施形態を示す立体模式図である。ホログラフィック記憶層の製造方法は、下記の工程を備える。まず、線状の感光媒体192の表面を覆う反射層190を形成する。そして、線状の感光媒体192を束状となるように平行配列して、固定用接着剤180を反射層190の間に埋め込み、束状となる感光媒体192を定形する。最後に、感光媒体192の束状の方向に垂直である切断方向に感光媒体192を切断する。以下、各工程について更に説明する。
【0063】
図7Aにおいて、感光媒体192は、光学記憶材料又は感光材料からなる帯状のものである。そして、感光媒体192の表面に、塗布又は反射材料をめっきすることによって形成される反射層190を形成する。
【0064】
図7Bにおいて、反射層190が覆う感光媒体192を束状又はアレーとなるように平行配列する。そして、反射層190が覆う感光媒体192を束状に定形するように、固定用接着剤180を反射層190が覆う感光媒体192の間に埋め込む。
【0065】
図7Cにおいて、感光媒体192の束状の方向に垂直であり、つまり横切る切断方向に、束状に定形された感光媒体192を切断する。
図7Dに示すように、切断の後、反射層190が覆う感光媒体192は、板状構造となる。この板状構造は、表裏の両面を更にポリッシングすることによって、
図1に示すホログラフィック記憶層における反射構造となる。
【0066】
図8A〜
図8Gを参照されたい。
図8A〜
図8Gは、本発明に係るホログラフィック記憶層の製造方法の別の実施形態を示す側面模式図である。ホログラフィック記憶層の製造方法は、下記の工程を備える。まず、反射材料194をモールド196に埋め込み、反射材料194がダイキャストによってキャビティ130を有する反射構造120を形成する。そして、感光材料200をキャビティに埋め込み、感光材料200を硬化させる。以下、各工程について更に説明する。
【0067】
図8Aにおいて、反射材料194を、成形した溝198を有するモールド196に埋め込む。また、反射材料194がモールド196の溝198に埋め込まれる前に、反射材料194のダイキャスト成形に寄与するために、反射材料194をあらかじめ加熱してもよい。
【0068】
図8Bにおいて、反射材料194は、モールド196の溝198に埋め込まれた後、溝198の中に染み込む。反射材料194の製造歩留まりを上げるために、このダイキャスト工程を少なくとも低真空環境において行ってもよく、これにより、鋳型196に残る空気を減らす。
【0069】
図8Cにおいて、反射材料194に対して離型を行って、それをモールド196と分離させて反射構造120にする。同様に、反射材料194の製造歩留まりを上げるために、この離型工程を高真空環境において行ってもよく、これにより、モールド196に残る空気と外界とに圧力差を発生させて、成形した反射材料194の取り出しに寄与する。また、成形した反射材料194は、溝198に対応するキャビティ130を有する反射構造120である。
【0070】
図8D及び
図8Eにおいて、感光材料200を反射構造120のキャビティ130に埋め込み、感光材料200を硬化させて感光ユニット132を形成する。感光ユニット132の製造歩留まりを上げるために、この工程を高真空環境において行ってもよく、これにより、反射構造120のキャビティ130に残る空気を減らす。
【0071】
また、ある実施形態では、製造方法は、硬化した感光材料200及び反射構造120を平坦化することを更に含む。硬化プロセスの真空環境が不足である場合、感光材料200は、収縮し変形して、
図8Fに示すように、形成された感光ユニット132の表面が平らではなくなる。
【0072】
図8Gにおいて、例えば、ポリッシャー202によって感光ユニット132及び反射構造120の表面をポリッシング又は平滑化するように、表面が平らではない感光ユニット132及び反射構造120の表面を平坦化する。
【0073】
上記の工程によって、反射構造120及び反射構造120のキャビティ130内に位置する感光ユニット132を形成することができ、反射構造120と感光ユニット132との共通配置は、
図1に示す全像記憶層配置と類似している。
【0074】
要するに、本発明に係るホログラフィック記憶層は、書き込みビームの領域を制限するためのキャビティを含む反射構造を備える。ホログラフィック記憶層に書き込む場合、書き込みビームの干渉する露出領域がこの領域内にあり、書き込みビームにおける参照光と信号光との混合程度が向上する。従って、キャビティによって書き込みビームの領域を制限することで、ホログラフィック記憶層における感光材料の使用率が向上し、ホログラフィックディスク又はホログラフィック記憶層の記憶容量も向上する。
【0075】
本発明を実施形態で前述の通り開示したが、これは本発明を限定するためのものではなく、当業者であれば、本発明の精神と範囲から逸脱しない限り、各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とするものである。