(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
図1は、本発明の遊技機の実施形態としてのスロットマシンである。
スロットマシン1は、
図1に示すように、筐体10を備えている。この筐体10の正面には、前面扉100が設けられている。
【0012】
前面扉100は、その中央部分に透光性のリール窓200を備える。このリール窓200は、後述する各回転リール20の表面に表示された複数の図柄が視認可能に配置されている。
【0013】
リール窓200の上方には、液晶表示部3と、電飾部(図示略)と、スピーカ(図示略)とが設けられている。液晶表示部3は、遊技中に各種の演出動画を表示する。電飾部は、所定の条件を満たした場合に、所定のパターンで点灯または消灯する。スピーカは、所定の条件を満たした場合に、所定のBGMおよびSE(サウンドエフェクト)を出力する。すなわち、遊技中の各種の演出は、液晶表示部3、電飾部、およびスピーカによって行われる。
【0014】
リール窓200の下方には、操作部4が設けられている。操作部4は、遊技媒体の一例としてのメダルを投入するための投入口41と、メダルをベットするためのベットスイッチ42と、各回転リール20を回転させるスタートスイッチとしてのレバー43と、各回転リール20に対応して設けられ回転中の各回転リール20を停止させるための各回転停止スイッチ40とで構成されている。これらの操作部4の各スイッチは、遊技者の操作に基づいて操作信号を出力する。また、投入口41にはメダルセンサ(図示略)が設けられている。メダルセンサは遊技者による投入口41へのメダルの投入を検出し、検出信号を出力する。また、操作部4には、これらに加えて精算スイッチ(図示略)、および貯留メダル表示部(図示略)等が設けられている。
【0015】
さらに、操作部4の下部には、メダルを払い出すための払出口51と、払出口51から払い出されたメダルを貯留するための下皿52とが設けられている。
【0016】
図2は、スロットマシン1の機能ブロック図である。
図3は、スロットマシン1の回転リール20の図柄の配列を示す図である。また、
図4は、スロットマシンの有効ラインLを示す模式図である。
図5は、スロットマシン1のRT遷移を説明するための図である。
【0017】
スロットマシン1は、前記ベットスイッチ42、レバー43、および回転停止スイッチ40のほか、
図2に示すように、回転リールユニット2と、スロットマシン1全体を制御する制御部6とを備えている。回転リールユニット2および制御部6は、スロットマシン1の主電源をオン/オフする電源装置(図示略)等とともに、筐体10の内部に配置されている。
【0018】
<遊技の説明>
スロットマシン1で遊技をするに当たって、遊技者は、まず、メダルを投入口41から投入する、あるいは、ベットスイッチ42を操作することにより貯留しているメダル(クレジット)を使用して、スロットマシン1にメダルをベットする。スロットマシン1に所定の枚数のメダルがベットされると、有効ラインLが有効化され、レバー43の操作が可能な状態、すなわち、遊技が開始可能な状態になる。
【0019】
有効ラインLは、例えば、
図4に示すように、水平方向の上段ライン1本で構成されている。本実施形態では、Max Bet(マックスベット)となる3枚掛けをした場合に、1本の有効ラインL(上段ライン)が有効化される。
【0020】
本実施形態における1ゲームとは、遊技者がベットスイッチ42、レバー43および回転停止スイッチ40を操作して、遊技の結果を得る一連の動作をいう。具体的には、遊技が開始可能な状態でレバー43を操作すると、役の抽せんが行われるとともに、各回転リール20の回転が開始する。この状態で、回転停止スイッチ40のいずれかが操作されると、その操作された回転停止スイッチ40に対応する回転リール20が停止する。すべての回転リール20が停止し、有効ラインL上に揃った(入賞した)図柄の組み合わせに応じて、所定の枚数のメダルが払い出される。これにより、1ゲームが終了する。
【0021】
また、遊技状態は、
図5に示すように、通常遊技状態(RT0、RT1)、ARTおよびボーナス準備状態(RT2)、ボーナス状態(RT3)、および、ART遊技状態(RT4)で構成されている。遊技状態の移行は、各移行リプレイの入賞、あるいは所定の役(ここではベル)を取りこぼした場合に行われる。なお、所定の役の取りこぼしとは、所定の役に当せんしたが、有効ラインL上に所定の役に対応する図柄が揃わなかったことをいう。
【0022】
通常遊技状態は、ARTおよびボーナス準備状態移行役(RT2移行リプレイ)、ボーナス移行役(RT3移行リプレイ)、ならびにART移行役(RT4移行リプレイ)に当せんしていない場合の遊技状態である。
【0023】
ARTおよびボーナス準備状態は、通常遊技状態からARTおよびボーナス準備状態移行役(RT2移行役リプレイ)に当せんしたが、遊技状態がボーナス状態あるいはART遊技状態に移行していない(RT3移行リプレイおよびRT4移行リプレイのいずれもが当せんしていない)ときの遊技状態である。
【0024】
ART遊技状態は、通常遊技状態よりも再遊技(リプレイ)の確率が上がり、メダルが減りにくい状態であるRT(リプレイタイム)であって、かつ、通常遊技状態では獲得が困難な小役(押し順役等)を確実に獲得するためのナビゲーションであるAT(アシストタイム)が行われる遊技状態である。また、ボーナス状態は、ART遊技状態とは異なる、遊技者にとって有利な状態である。
【0025】
<回転リールユニットの説明>
回転リールユニット2は、
図2に示すとおり、3つの回転リール20a、20b、20cと、これらを駆動する3つのステッピングモータ21a、21b、21cとで構成されている。この回転リールユニット2は、筐体10の内部の中央付近に配置されている。
【0026】
回転リール20には、それぞれの表面に図柄が表示されるとともに、回転リール20の回転位置検出用の基準点(
図6参照)が設けられている。この基準点は、本実施形態においては回転リール20の図柄1の中心に配置されている。
【0027】
本実施形態におけるステッピングモータ21は、回転停止スイッチ40が操作されてから、190ms以内に回転を停止させるように設定されている。また、ステッピングモータ21は、504ステップで1回転し、回転リールを80回転/分の速度で回転させる。すなわち、190ms以内で進めるステップは、127ステップとなる。
【0028】
これらの回転リール20およびステッピングモータ21は、後述する回転開始制御部611および回転停止制御部612によって、その回転および停止の制御がなされる。
【0029】
<制御部の説明>
制御部6は、演算等を行うCPU、遊技の進行等に必要なプログラムあるいはデータ等を記憶しておくROMおよびRAM等を備えている。この制御部6は、
図2に示すように、メイン制御部61と、サブ制御部62とで構成されている。
【0030】
メイン制御部61は、遊技を進行させるための制御を行う。メイン制御部61は、遊技者による、ベットスイッチ42、レバー43および回転停止スイッチ40への操作に基づいて、ステッピングモータ21の制御、および、回転リール20の回転開始または終了の制御を行う。
【0031】
また、サブ制御部62は、各種演出等を行うための制御を行う。サブ制御部62は、メイン制御部61から送信された信号に基づいて演出内容の決定をするとともに、報知部621、電飾部、およびスピーカの制御、ならびに、決定された演出内容の出力といった制御を行う。
【0032】
[メイン制御部]
メイン制御部61は、
図2に示すように、複数の役抽せんテーブルT1を有する役抽せん部610、回転開始制御部611、回転停止制御部612、遊技結果判定部613、ホッパー制御部614、状態移行判定部615、ART制御部616、特定区間設定部617、および滑りコマ数算出部618で構成されている。
【0033】
役抽せん部610は、レバー43の操作信号に基づいて、回転リール20の図柄の組み合わせに対応する役の抽せんを行う。具体的には、レバー43の操作信号が出力されたときに取得される乱数と役抽せんテーブルT1とに基づいて役を抽せんし、抽せんにより当せんした役を判定する。役の抽せん結果は、役抽せん結果信号として出力される。出力された役抽せん結果信号は、役抽せん部610から回転リールユニット2、およびサブ制御部62に送信される。
【0034】
ベットスイッチ42の操作信号は、所定の枚数のメダルが貯留されており、かつ、ベット受付期間において、ベットスイッチ42の操作が行われた場合(ベットスイッチがオンされた場合)に出力される。
【0035】
なお、各スイッチの操作信号が出力されたか否かの判定は、1ゲームごとに行われる。また、本実施形態において、各スイッチへの操作は、各スイッチの操作信号が出力される操作を意味する。
【0036】
図7、
図8は、役抽せんテーブルT1に含まれる情報のフォーマットを説明した図である。役抽せんテーブルT1は、
図7に示すような遊技状態における役の抽せん条件の情報、および、
図8に示すような入賞役および押し順に対応する図柄の組み合わせの情報を含んでいる。また、役抽せんテーブルT1は、レバー43の操作が行われた場合に取得される乱数に対応する役が記憶されている複数の領域(置数領域)を有している。なお、役抽せん部610は、遊技状態(RT遷移状態)等に応じて、異なる役抽せんテーブルを選択する。
【0037】
以下に、役抽せんテーブルT1を詳細に説明する。
役抽せんテーブルT1は、
図7に示すように、RT0〜RT4の遊技状態(各RT遷移)ごとに設けられる。また、役抽せんテーブルT1は、役抽せん部610の役の抽せんにより当せんの可能性がある抽せん区分の情報を備える。役抽せんテーブルT1において、RT遷移ごとに「○」となっている欄が当せんする可能性のある抽せん区分であり、空欄となっている欄が当せんする可能性のない抽せん区分である。例えば、
図7の「純はずれ」の欄から、「純はずれ」は、RT0およびRT1では当せんする可能性があるが、RT2〜RT4では当せんしないことがわかる。
【0038】
図8に示すように、役抽せんテーブルT1に記憶されている役のうち、一部の小役およびリプレイは、所定の順序で回転停止スイッチ40が操作された場合に入賞する押し順役、および押し順に関係なく入賞可能な押し順不問役を含んでいる。押し順役の押し順は、所定の条件を満たした場合に、報知される。
【0039】
小役は、入賞した場合に一定枚数のメダルの払出が行われる図柄の組み合わせである。また、リプレイは、入賞した場合にメダルをベットすることなく次の遊技が可能となる図柄の組み合わせである。
【0040】
前述のとおり、役抽せんテーブルT1には、レバー43の操作が行われた場合に取得される乱数に対応する役が記憶されている複数の領域が設けられている。この領域の各々が、
図7において「○」となっている欄の抽せん区分に対応付けられている。
【0041】
また、
図8に示すように、役抽せんテーブルT1に記憶されている抽せん区分の情報には、各抽せん区分に設定されている1以上の役の情報が含まれている。例えば、当せん役が所定の順序で回転停止スイッチ40が操作された場合に入賞可能な役である押し順役の情報には、設定されている押し順役の情報と、対応する回転停止スイッチ40の操作の順番の情報とが含まれている。
【0042】
なお、
図8では、押し順役が入賞可能となる回転停止スイッチ40の操作の順番が、テーブルの上部の3個の数字で示されている。例えば、「123」であれば、左の回転リール20aに対応する回転停止スイッチ40a、中の回転リール20bに対応する回転停止スイッチ40b、右の回転リール20cに対応する回転停止スイッチ40cの順に回転停止スイッチを操作することを示している。押し順役の押し順は、所定の条件を満たした場合に、ナビゲーション(押し順の報知)される。
【0043】
本実施形態では、当せんした抽せん区分に対応付けられている役が、すべて同時に当せんする。例えば、役抽せん部610の役抽せんの結果、抽せん区分「中ベル1」に当せんした場合、中段ベルと中ベル1とが同時に当せんする。そして中段ベルを入賞させるための押し順(「213」あるいは「231」)に従って遊技者が回転停止スイッチ40を押した場合、「213」および「231」のいずれの押し順によっても中段ベルが揃う。同様に、例えば中ベル1を入賞させるための押し順(「123」、「132」、「312」、または「321」)に従って遊技者が回転停止スイッチ40を押した場合、いずれの押し順によっても中ベル1が入賞する可能性がある(後述するように、ベルこぼしとなる可能性がある。)。
【0044】
図8において、抽せん区分「中ベル1」に設定された押し順役の欄に「中ベル1orベルこぼし」とあるのは、中ベル1が、遊技者の回転停止スイッチ40に対する操作タイミングによっては入賞しない押し順役、すなわち、取りこぼす可能性のある押し順役であることを示している。具体的には、抽せん区分「中ベル1」に当せんし、中ベル1が入賞可能な順番で回転停止スイッチ40の操作が行われたが、遊技者が操作タイミングを誤り、中ベル1を取りこぼした場合にベルこぼしとなる。ベルこぼしの場合には、メダルの払い出しはない。なお、後述するスイカ等は、押し順に関係なく、遊技者による操作タイミングによっては取りこぼす可能性のある役である。
【0045】
回転開始制御部611は、レバー43の操作信号に基づいて、回転リールユニット2のステッピングモータ21を制御して回転リール20の回転を開始させる。なお、回転開始制御部611は、回転リール20が、例えば、80回転/分の速度で回転するように、ステッピングモータ21を制御する。
【0046】
回転停止制御部612は、回転リール検出部612aと、図柄テーブル612bと、図柄判定部612cとを備える。回転停止制御部612は、役抽せん部610により出力された役抽せん結果信号と遊技者による回転停止スイッチ40の操作信号と図柄テーブル612bとに基づいて、回転リールユニット2のステッピングモータ21を制御する。これにより、回転リール20の回転が停止する。
【0047】
回転リール検出部612aは、回転中の回転リール20の位置を検出する。具体的には、回転リール検出部612aは、回転リール20の回転が開始されたあと、各回転リール20の基準点の通過を検出する。各回転リール20の基準点の通過が検出されると、回転リール検出部612aは、各回転リール20の基準点が通過したことを表す検出信号を出力する。本実施形態のスロットマシン1では、有効ラインLがスロットマシン1の絶対的な位置である検出位置として設定されている。また、検出信号は、各回転リール20の基準点がこの検出位置を通過するたびに検出される。
【0048】
また、回転リール検出部612aは、回転リール20の基準点が有効ラインLを通過したことを示す検出信号を受信するたびに(すなわち、回転リールが1回転するたびに)、各ステッピングモータ21のステップ(以下、単にステップという)の計測値をゼロクリアし、再び0からステップを計測する。これにより、回転リール検出部612aは、ステップを計測する。
【0049】
また、回転リール検出部612aは、計測されたステップに基づいて、スロットマシン1における絶対的な位置である検出位置からの各回転リール20の基準点のステップを検出する。この検出された基準点のステップから、回転リール20の位置が検出される。検出された回転リール20の位置は、回転リール検出部612aによって、回転リール位置検出信号として出力される。なお、この回転リール検出部612aは、回転リール20の基準点が検出位置を通過したことを検出できる位置であれば、スロットマシン1の設計等に応じて任意に配置することができる。出力された検出信号は、回転リール検出部612aから制御部6に送信される。
【0050】
図柄テーブル612bは、
図6に示すように、各回転リール20に表示されている各図柄に割り当てられたステップの情報を含んでいる。この図柄テーブル612bでは、1つの図柄に対して、それぞれ24ステップが割り当てられている。そして、回転リール20の基準点をゼロとして、図柄に割り当てられているステップを0から503の番号で規定している。
【0051】
なお、
図6には、各図柄の中心のステップのみが示されている。各図柄に割り当てられたステップは、中心のステップから、回転方向上流側に12ステップ、回転方向下流側に11ステップである。例えば、回転リール20が方向Xに向かって回転する場合、図柄1に割り当てられているステップは、493〜503ステップおよび0〜12ステップとなる。また、
図6に示す図柄1〜21は、
図3に示す番号0〜20に対応する図柄である。
【0052】
また、図柄テーブル612bは、役抽せん部610の役の抽せんの結果当せんした役と回転停止スイッチ40の操作信号が出力されたときの有効ラインL上の図柄とに応じて定められている回転リール20の停止位置の情報をも有している。この回転リール20の停止位置の情報には、役抽せん部610の役の抽せんの結果当せんした役と、回転停止スイッチ40が操作されたときの回転リール20の位置とに応じて、回転停止スイッチ40が操作されてから回転リール20が停止するまでのステッピングモータ21のステップの情報(図柄の滑りコマ数)が含まれている。
【0053】
図柄判定部612cは、回転リール検出部612aにより出力された回転リール位置検出信号と、図柄テーブル612bとに基づいて、すべての回転リール20が停止したときの有効ラインL上の図柄を判定する。この判定結果は、図柄判定部612cにより、図柄判定信号として出力される。
【0054】
回転リール20の回転停止制御は、回転停止制御部612によって、役抽せん部610により出力された役抽せん結果信号と、図柄判定部612cにより出力された図柄検出信号と、図柄テーブル612bとに基づいて行われる。例えば、当せんした役に対応する図柄が有効ラインL上に揃うように回転リール20の回転停止制御(いわゆる引き込み制御)が行われたり、あるいは、当せんしていない役に対応する図柄が有効ラインL上に揃わないように回転リール20の回転停止制御(いわゆる蹴飛ばし制御)が行われたりする。回転停止制御部612は、この回転リール20の回転停止制御の結果を回転リール停止信号として出力する。出力された回転リール停止信号は、回転停止制御部612から遊技結果判定部613等に送信される。
【0055】
また、
図8に示す抽せん区分のうち「中ベル1」に当せんした場合、役抽せん結果信号、図柄検出信号および図柄テーブル612bに加えて、さらに、回転停止制御部612から出力される押し順判定信号と、図柄判定部612cから出力された図柄判定信号とに基づいて、回転リール20の回転停止制御が行われる。
【0056】
遊技結果判定部613は、役抽せん部610から出力された役抽せん結果信号と、回転停止制御部612から出力された回転リール停止信号とに基づいて、遊技の結果を判定する。すなわち、遊技結果は、有効ラインL上に揃った図柄に基づいて、当せんした役が入賞したか否かを判定する。具体的には、遊技結果判定部613は、有効ラインL上に停止した図柄の組み合わせが所定の図柄の組み合わせと一致した場合に当せんした役が入賞したと判定する。この判定結果は、遊技結果判定信号として出力される。出力された遊技結果判定信号は、遊技結果判定部613からホッパー制御部614およびサブ制御部62に送信される。
【0057】
ホッパー制御部614は、遊技結果判定部により出力された遊技結果判定信号、あるいは操作部4の精算スイッチ(図示略)を操作することにより出力される操作信号に基づいて、ホッパーユニット(図示略)を制御する。これにより、メダルの払い出しが行われる。遊技結果判定信号に基づいて払い出されたメダル(役の当せん、入賞により得られたメダル)は、まず、クレジットとして貯留される。そして、メダルを貯留した結果、クレジットの上限(例えば50枚)を超える場合には、ホッパー制御部614によりホッパーユニットが制御される。そして、その上限を超えた分のメダルがホッパーユニットから払い出される。また、1枚以上の貯留メダルがある場合(クレジットが1以上の場合)に精算スイッチが操作された場合には、ホッパー制御部614によりホッパーユニットが制御され、貯留されているメダルがホッパーユニットから払い出される。
【0058】
状態移行判定部615は、遊技状態がART遊技状態であるときに、所定の役に当せんしたことを表す役抽せん結果信号を受信した場合、ARTゲーム数の上乗せ等の抽せんを行う。この抽せんの結果は、ART抽せん結果信号として状態移行判定部615からART制御部616および演出制御部620に送信される。なお、本実施形態においては、状態移行判定部615がARTの上乗せ抽せんに関する制御を行っているが、これとは異なり、後述するART制御部616に状態移行判定部615の機能を持たせることもできる。
【0059】
また、状態移行判定部615は、例えば、遊技状態を有利状態であるART遊技状態(あるいはボーナス状態)に移行させるか否かの抽せん(ART抽せん)、あるいは、当せんした役に応じた確率でART遊技状態(RT4)への移行確率を高確率状態へ移行させるか否かの抽せん(高確率状態移行抽せん)を行う。これらの抽せんは、役抽せん部610から出力される役抽せん結果信号等に基づいて行われる。
【0060】
なお、前述の有利状態は、通常の遊技状態よりもメダル獲得の期待度の高い状態である。有利状態には、例えば、ボーナス状態(RT3)およびART遊技状態(RT4)のほか、通常遊技状態(RT1)におけるART当せん高確率状態も含まれる。
【0061】
ART抽せんでは、具体的には、例えば、所定の役に当せんした場合に、この所定の役の当せん時におけるARTの抽せん状態に基づいて、遊技状態をART遊技状態に移行させるか否かの抽せんを行う。状態移行判定部615によってART抽せんに当せんしたと判定された場合、ART遊技状態で遊技可能な遊技期間(ARTゲーム数)等もあわせて決定される。
【0062】
高確率状態移行抽せんでは、具体的には、例えば、ART抽せんに当せんしなかった場合に、当せんした役に応じた確率で、ARTの抽せん状態を高確率状態へ移行させるか否かの抽せんを行う。状態移行判定部615は、高確率状態移行抽せんの結果を高確率状態抽せん結果信号として出力する。出力された高確率状態抽せん結果信号は、状態移行判定部615からサブ制御部62の演出制御部620に送信される。
【0063】
ART制御部616は、遊技状態を通常遊技状態からART遊技状態に、あるいはART遊技状態から通常遊技状態に移行(転落)させるか否かを判定する。そしてART制御部616はその判定結果に基づいて、遊技状態を、通常遊技状態からART遊技状態に、あるいはART遊技状態から通常遊技状態に移行させる。
【0064】
遊技状態を通常遊技状態からART遊技状態に移行させるか否かは、状態移行判定部615から出力されたART抽せん結果信号に基づいて判定される。遊技状態を通常遊技状態からART遊技状態に移行させると判定された場合、ART制御部616は、この判定結果をART準備信号として出力する。出力されたART準備信号は、ART制御部616から演出制御部620および報知部621に送信される。
【0065】
遊技状態をART遊技状態から通常遊技状態に移行させるか否かは、例えば、以下のように行われる。まず、ART遊技状態に移行後の遊技期間(ART消化ゲーム数)と、ART抽せんに当せんした場合に決定されたARTゲーム数に上乗せされたARTゲーム数を加えた総ARTゲーム数とに基づいて、ART消化ゲーム数が総ARTゲーム数に達したか否かが判定される。
【0066】
そして、ART消化ゲーム数が総ARTゲーム数に達したと判定され、かつ、遊技状態をART遊技状態から通常遊技状態に移行させると判定された場合、ART制御部616は、この判定結果を通常遊技状態準備信号として出力する。出力された通常遊技状態準備信号は、ART制御部616から演出制御部620および報知部621に送信される。具体的には、ART遊技状態中に特定の押し順役が当せんしたが、この特定の押し順役が入賞しなかったと判定された場合、ART制御部616は、遊技状態をART遊技状態から通常遊技状態に移行させる。
【0067】
また、ART制御部616は、遊技状態がART遊技状態から通常遊技状態に移行したことを表すART終了信号を出力する。出力されたART終了信号は、ART制御部616から演出制御部620等に送信される。
【0068】
特定区間設定部617は、ART遊技状態中に、滑りコマ数の累積値を算出するための特定区間を設定するか否かを決定する。特定区間とは、ART遊技状態になってからART遊技状態が終了するまでの間に設定される区間であって、ART遊技状態のために付与されたゲーム数から消化したゲーム数を差し引いたゲーム数以下のゲーム数が付与される区間である。この特定区間として、あらかじめ定められたゲーム数(例えば20G)が付与される。なお、特定区間設定部617は、特定区間を設定する際に、抽せんで特定区間として付与するゲーム数を決定してもよい。
【0069】
滑りコマ数算出部618は、回転リール検出部612aが検出したステップと、図柄テーブル612bとに基づいて、回転停止スイッチ40を操作してから、対応する回転リール20が停止するまでの図柄の滑りコマ数を算出する。なお、本明細書中では、ある1ゲーム中の3つの回転リール20の滑りコマ数を合算したものを合算値といい、さらに特定区間の間その合算値を累積したものを累積値という。
【0070】
このように算出された滑りコマ数の累積値信号が状態移行判定部615に送信される。そして、状態移行判定部615において、以下のような上乗せ抽せんが行われる。
【0071】
本実施形態において、レア役であるスイカには、弱スイカおよび強スイカがある。
図9に示すように、ART遊技状態中において弱スイカが当せんした場合、通常時は20%の確率でARTのゲーム数の上乗せ抽せん処理が行われる。また、ART遊技状態中において強スイカが当せんした場合、通常時は50%の確率でARTのゲーム数の上乗せ抽せん処理が行われる。
【0072】
これに対し、後述する特殊上乗せ抽せん処理を行う場合、以下の処理が行われる。例えば、特定区間の全区間を通じて弱スイカに計1回当せんし、かつ、滑りコマ数の累積値が6以下であった場合には、上乗せ抽せん確率が20%から40%に上昇する。また、特定区間の全区間を通じて弱スイカに計2回当せんし、かつ、滑りコマ数の累積値が14以下の場合には、上乗せ抽せん確率が20%から40%に上昇する。
【0073】
また、特定区間の全区間を通じて強スイカに計1回当せんし、かつ、滑りコマ数の累積値が6以下であった場合、上乗せ抽せん確率が50%から70%に上昇する。また、強スイカに計2回当せんし、かつ、滑りコマ数の累積値が14以下の場合、上乗せ抽せん確率が50%から70%に上昇する。なお、
図9において、弱スイカまたは強スイカに3回以上当せんした場合については、説明の便宜上、省略してある。
【0074】
[サブ制御部]
サブ制御部62は、
図2に示すように、演出制御部620と、報知部621とを備える。演出制御部620は、例えば、役抽せん部610から出力される役抽せん結果信号、状態移行判定部615から出力されるART抽せん結果信号、または、ART制御部616から出力されるART移行信号および通常遊技状態移行信号に応じて、1ゲームごとに、演出パターンを選択する。演出パターンの選択は、当せんした役、あるいは遊技状態等に対応する演出の内容が記憶されているテーブル(演出テーブルT2)に基づいて行われる。演出制御部620は、選択された演出パターンに基づいて、報知部621、電飾部、およびスピーカを制御して、演出を出力する。なお、演出テーブルT2は、例えば、ART抽せんに当せんした場合に選択されるART演出テーブルをも含んでいる。
【0075】
<通常遊技状態処理>
以下に、スロットマシン1の通常状態遊技処理について説明する。
図10に示すように、遊技者によりベットスイッチ42の操作が行われると、ベットスイッチ42の操作信号が出力される(ステップS10)。
【0076】
ベットスイッチ42の操作信号が出力されたのち、遊技者によりレバー43が操作されると(レバーオン)、レバー43の操作信号が出力される(ステップS11)。レバー43の操作信号が出力されると、役抽せん部610が、役の抽せんを行う(ステップS12)。役の抽せん結果は、役抽せん部610によって役抽せん結果信号として出力される。出力された役抽せん結果信号は、役抽せん部610から演出制御部620等に送信される。
【0077】
ついで、回転開始制御部611は、ステッピングモータ21を制御して、回転リール20の回転を開始させる(ステップS13)。そして、遊技者により回転停止スイッチ40が操作されると、回転停止スイッチ40の操作信号が出力される(ステップS14)。回転停止スイッチ40の操作信号が出力されると、回転停止制御部612は、ステッピングモータ21を制御して、回転リール20を停止させる(ステップS15)。
【0078】
回転リール20の回転中に回転停止スイッチ40が操作されると、役抽せん結果信号に基づいて、回転停止スイッチ40が操作された位置から4コマ(4図柄)以内、あるいは190ms以内に停止するように、引込制御または蹴飛ばし制御が行われる。
【0079】
また、回転停止制御部612は、回転停止スイッチ40の操作信号が出力されると、すべての回転リール20が停止したか否かを判定する(ステップS16)。すべての回転リール20が停止していないと判定された場合(S16:NO)、処理はステップS14へと戻る。そして、すべての回転リール20が停止するまで、ステップS14〜S16が繰り返される。
【0080】
一方、すべての回転リール20が停止したと判定された場合(S16:YES)、回転リール停止信号が遊技結果判定部613に送信されたのち、処理はステップS17へと進む。ステップS17では、遊技結果判定部613が、役抽せん結果信号および回転リール停止信号に基づいて、役の抽せんの結果当せんした役が入賞したか否か等の結果判定を行う。この結果判定に基づいてメダルの払い出し等の処理が行われる。
【0081】
ステップS10〜S17の処理が実行されると、メイン制御部61は、1ゲーム(1遊技期間)が終了したと判定する。すなわち、ステップS17の後、処理はステップS10へと戻り、メイン制御部61は、遊技者によるベットスイッチの操作を待つ。
【0082】
<特殊上乗せ抽せん処理>
つぎに、ART遊技状態において、本発明を適用した特殊上乗せ抽せんを行った場合の処理について説明する。
【0083】
まず、
図11に示すとおり、特定区間設定部617が特定区間を設定するか否かを決定する(ステップS201)。特定区間設定部617が特定区間を設定しない場合(S201:NO)、通常の上乗せ抽せん処理が行われる(S202)。一方、特定区間設定部617が特定区間を設定することを決定した場合(S201:YES)、特定区間設定部617が特定区間で付与するゲーム数を決定し、特定区間を設定する(ステップS203)。
【0084】
つづくステップS204〜S208までは通常遊技状態処理(すなわち、
図10におけるステップS10〜S15の処理)と同様である。ついで、レア役(スイカ)が当せんしているか否かが判断される(ステップS209)。レア役が当せんしている場合(S209:YES)には、滑りコマ数算出部618により、ある1ゲーム中の3つの回転リール20の滑りコマ数の合算値が算出されるとともに、特定区間中の滑りコマ数の累積値が算出される(ステップS210)。ついで、全回転リール20が停止されたか否かが判定される(ステップS211)。全回転リール20が停止していない場合(S211:NO)、処理はステップS208へと戻る。
【0085】
一方、全回転リール20が停止している場合(S211:YES)、遊技結果が判定される(ステップS212)。ついで、特定区間が終了したか否かが判断される(ステップS213)。特定区間が終了していない場合には(S213:NO)、処理はステップS204へと戻る。一方、特定区間が終了している場合には(S213:YES)、滑りコマ数の累積値が所定値以下であるか否かが判断される(ステップS214)。滑りコマ数の累積値が所定値以下であると判断された場合(S214:YES)には、上乗せ抽せん確率が高く設定された特殊上乗せ抽せん確率を参照して特殊上乗せ抽せんが行われる(ステップS215)。なお、滑りコマ数の累積値が所定値を超えると判断された場合(S214:NO)には、特定区間が設定されなかった場合(S201:NO)と同様、通常の上乗せ抽せん処理が行われる(ステップS202)。なお、通常の上乗せ抽せん処理においては、レア役の当せん時に、通常の上乗せ抽せん確率を用いて上乗せ抽せんが行われる。
【0086】
(他の実施形態)
前記実施形態においては、特定区間中の滑りコマ数の累積値が所定値以下である場合に上乗せ抽せん確率を上げる例(特殊上乗せ抽せん処理)を記載したが、本発明はこれには限られない。例えば、特定区間においてレア役が当せんした際に、遊技者がいわゆるビタ押しによって当該レア役を入賞させた場合には、100%の確率でゲーム数の上乗せを行うこともできる。また、それとは異なり、上乗せ抽せん確率を変動させることなく、上乗せ数を通常の20Gから100Gに変更することもできる。さらには、上乗せ抽せん確率を上げつつ、上乗せ数を増加させることもできる。
【0087】
また、前記実施形態では、ART遊技状態中の特殊上乗せ抽せん処理の例が記載されているが、本発明はこれには限られない。すなわち、ART遊技状態中のみならず、通常遊技状態中であっても滑りコマ数の累積値を算出するよう本発明を構成してもよい。この場合、例えば、通常遊技状態中に設けられた特定区間中の滑りコマ数の累積値に応じて、ART遊技状態への移行確率が高い高確率ゾーンを遊技者に提供することができる。
【0088】
また、前記実施形態では、滑りコマ数の累積値が小さいほど遊技者にとって有利な結果がもたらされる例を記載したが、本発明はこれには限られない。例えば、滑りコマ数の累積値が大きいほど遊技者に有利な結果をもたらすこともできる。
【0089】
さらに、制御部に、滑りコマ数の累積値が大きいほど有利な状態に移行するか、不利な状態に移行するかを決定する決定手段を設けることもできる。この決定手段は、例えば、特定区間が設定された後、遊技者に有利な状態を付与するか、不利な状態を付与するかの抽せんを行う。
【0090】
また、前記実施形態では、3つの回転リールの滑りコマ数の累積値を算出する例を記載したが、本発明はこれには限られない。すなわち、遊技者がはじめに操作した回転停止スイッチに対応する回転リールの滑りコマ数の累積値のみを算出する構成を採用することもできる。これ以外にも、例えば、左の回転リールのみの滑りコマ数の累積値を算出することもできる。なお、この構成は、左の回転リールの停止形次第で入賞が確定するチェリーのみならず、他のスイカ等の役にも適用することができる。また、複数ゲームからなる特定区間ではなく、ある1ゲーム中の3つの回転リールの滑りコマ数の累積値のみに基づいて状態移行を判定する構成を採用することもできる。また、いずれの回転リールの滑りコマ数の累積値を算出するかをランダムに決定する構成を採用することもできる。さらに、当せん役に応じていずれの回転リールの滑りコマ数の累積値を算出するかを変更するように構成することもできる。
【0091】
また、前記実施形態においては、有効ラインを上段の1ラインとしたが、5ラインなど複数ラインであっても本発明を適用することができる。
【0092】
なお、前記実施形態において、報知部が、特定区間に入ったか否かの報知を行ってもよい。この場合には、特定区間に入ったのち、レア役の当せんを示唆する報知が行われたときに、遊技者は目押しを行って滑りコマ数を少なくするように(あるいは、多くするように)回転リールの停止操作を行うことができる。
【0093】
さらに、目標とする滑りコマ数の累積値を報知部によって報知する構成を採用することもできる。この場合には、遊技者は、その目標とする滑りコマ数となるように回転停止スイッチを操作するという、従来とは異なる遊技を楽しむことができる。
【0094】
前記実施形態においては、滑りコマ数を算出する契機となる当せん役をレア役としたが、本発明はこれには限られない。例えば、いわゆるボーナス役など、当せんフラグが次のゲームにまで持ち越される特別役を用いて本発明を実施することもできる。また、純はずれを含む、すべての当せん役に対する滑りコマ数の累積値に基づいて本発明を適用することもできる。
【0095】
また、前記実施形態においては、弱スイカまたは強スイカなど、1種類の役の当せんを契機として特殊上乗せ抽せんを行う例を記載したが、本発明はこれには限られない。すなわち、特定区間中に当せんする複数種類のレア役の任意の組み合わせについても特殊上乗せ抽せんを行う契機とすることができる。例えば、強スイカおよび弱チェリーのいずれかの当せん時、または、弱スイカ、強スイカおよび弱チェリーのいずれかの当せん時に、滑りコマ数の算出が行われてもよい。
【0096】
また、前記実施形態においては、滑りコマ数の累積値に基づいて現在の遊技状態とは異なる遊技状態に移行するか否かを決定したが、本発明はこれには限られない。すなわち、滑りコマ数の累積値ではなく、ステッピングモータのステップの累積値に基づいて遊技状態移行の判定を行ってもよい。
【解決手段】スロットマシンは、図柄が配列された複数の回転リール20と複数のステッピングモータ21とを備える回転リールユニット2と、回転リール20の回転を開始させるスタートスイッチ43と、回転リール20を停止させる回転停止スイッチ40と、ステッピングモータ21のステップを検出する回転リール検出部612aと、回転停止スイッチ40が操作されてから回転リール20が停止するまでのステップの情報を備える図柄テーブル612bと、ステップと図柄テーブル612bとに基づいて回転停止スイッチ40を操作してから回転リール20が停止するまでの、一以上の回転リール20における図柄の滑りコマ数を算出する滑りコマ数算出部618と、滑りコマ数に応じて現在の遊技状態とは異なる遊技状態に移行するか否かの判定を行う状態移行判定部615とを備える。