(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記混合部材の前記導入口に対向する前記側壁に設けられる前記孔は、前記導入口に対向しない前記側壁に設けられる前記孔よりも数が少ないことを特徴とする請求項2に記載の舶用ディーゼル機関用過給機。
前記混合部材の前記導入口に対向する前記側壁に設けられる前記孔は、前記導入口に対向しない前記側壁に設けられる前記孔よりも孔径が小さいことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の舶用ディーゼル機関用過給機。
前記混合部材の前記導入口に対向する前記側壁に設けられる前記孔の孔面積は、前記導入口に対向しない前記側壁に設けられる前記孔の孔面積の0.3倍から0.8倍の大きさであることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の舶用ディーゼル機関用過給機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、舶用ディーゼル機関や陸上発電用ディーゼル機関等に搭載される大型の過給機の場合には、
図7に示すように、過給機100は、サイレンサ101を介して吸引した外気(新気)を圧縮機102手前の吸込み口103へと導く構造となっており、吸引管を有しない構造となっている。そのため、大型の過給機の場合には、特許文献1に開示されている発明のように、吸引管に排気ガスを循環させることができないという問題があった。
【0007】
また、
図7の吸込み口103と圧縮機102との間に排気ガスを循環させる配管を接続した場合には、吸込み口103と圧縮機102との距離が短いため偏流が生じて、吸引された空気と排気ガスとが混合した混合空気に温度の偏りが生じてしまう。
【0008】
このように圧縮機102に吸引される混合空気に温度の偏りが生じた場合には、混合空気の密度にも偏りが生じて過給機100の効率が低下してしまうという問題があった。また、温度に偏りを有する混合空気を吸引した圧縮機102内では、熱膨張が生じることとなり、これにより局所的な応力が発生して過給機100の信頼性の低下を誘因する可能性も考えられる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、再循環された排気ガスと吸引した空気とを混合した混合空気の温度の偏りを防止して、効率の低下および信頼性の低下を抑制することが可能な
舶用ディーゼル機関用過給機およびこれを備えた
舶用ディーゼル機関を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の
舶用ディーゼル機関用過給機およびこれを備えた
舶用ディーゼル機関は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る
舶用ディーゼル機関用過給機によれば、
舶用ディーゼル機関が排出する排気ガスにより回転駆動されるタービンと、一端に前記タービンを設けた回転軸と、該回転軸の他端に設けられて、前記タービンが回転駆動することにより吸込み口から吸引した空気を圧縮する圧縮機と、前記吸込み口の上流に設けられる混合手段と、を備え、該混合手段は、前記空気が導入されるサイレンサと前記圧縮機との間に設けられ、前記該混合手段が、前記空気と前記排気ガスの一部とを混合して前記吸込み口へと導くことを特徴とする。
【0011】
自動車等のディーゼル機関に搭載される小型の過給機には、過給機に接続されている吸入管にディーゼル機関から排出される排気ガスの一部を循環させて燃焼温度を低下させる排ガス再循環(EGR)方式が実現されている。しかし、舶用や陸上発電用のディーゼル機関に搭載される大型の過給機は、圧縮機の手前に吸込み口が設けられており吸入管を有していない。そのため、吸込み口と圧縮機との間にディーゼル機関から排出される排気ガスの一部を導いた場合には、吸込み口と圧縮機との距離が短いため偏流が生じて、吸引された空気と排気ガスとの混合が不均一となり温度に偏りが生じる。
【0012】
そこで、圧縮機の吸込み口の上流に、圧縮機が吸引する空気と、ディーゼル機関から排出される排気ガスの一部とを混合する混合手段を設けることとした。これにより、空気と排気ガスとを均一に混合させて、圧縮機に導くことができる。そのため、圧縮機に導かれる空気と排気ガスとによる偏流を防止して、空気と排気ガスとが均一に混合し温度が均一化した空気(混合空気)を吸込み口に導くことができる。したがって、過給機の効率低下や信頼性の低下を抑制することができる。
【0013】
本発明に係る
舶用ディーゼル機関用過給機によれば、前記混合手段は、その内部に設けられて側壁に複数の孔を有する略円筒状の混合部材と、前記排気ガスの一部が導入される導入口と、を備え、前記混合部材は、その軸方向の一端部が前記吸込み口に接続され、他端部が前記サイレンサに接続されて前記空気が吸入されることを特徴とする。
【0014】
側壁に複数の孔を有する略円筒状の混合部材を用いて、混合部材の軸方向の一端部を吸込み口に接続して、他端部から空気を吸入させることとした。これにより、導入口から混合手段の内部に導かれた排気ガスを混合部材の側壁に設けられる孔から混合部材の内部へと導いて、混合部材の内部で空気と排気ガスとを混合させることができる。したがって、吸込み口には、混合部材を通過して均一に混合した混合空気を供給することができる。
【0015】
本発明に係る
舶用ディーゼル機関用過給機によれば、前記混合部材の前記導入口に対向する前記側壁に設けられる前記孔は、前記導入口に対向しない前記側壁に設けられる前記孔よりも数が少ないことを特徴とする。
【0016】
導入口に対向する混合部材の側壁に設けられる孔の数を、導入口に対向しない側壁に設けられる孔の数よりも少なくすることとした。これにより、導入口から混合手段内に導かれた排気ガスを導入口に対向していない混合部材の側壁側に回り込ませて、混合部材の内部に導くことができる。そのため、混合部材の内部を通過する空気の略円周方向から均一に排気ガスを混合させることができる。したがって、吸込み口には、混合部材を通過して均一に混合した混合空気を供給することができる。
【0017】
本発明に係る
舶用ディーゼル機関用過給機によれば、前記混合部材の前記導入口に対向する前記側壁に設けられる前記孔は、前記導入口に対向しない前記側壁に設けられる前記孔よりも孔径が小さいことを特徴とする。
【0018】
導入口に対向する混合部材の側壁に設けられる孔径を、導入口に対向しない側壁に設けられる孔径よりも小さくすることとした。これにより、導入口から混合手段内に導かれた排気ガスを導入口に対向しない混合部材の側壁側に回り込ませて、混合部材の内部に導くことができる。そのため、混合部材の内部を通過する空気の略円周方向から均一に排気ガスを混合させることができる。したがって、吸込み口には、混合部材を通過して均一に混合した混合空気を供給することができる。
【0019】
本発明に係る複数の
舶用ディーゼル機関用過給機によれば、前記混合部材の前記導入口に対向する前記側壁に設けられる前記孔の孔面積は、前記導入口に対向しない前記側壁に設けられる前記孔の孔面積の0.3倍から0.8倍の大きさであることを特徴とする。
【0020】
導入口に対向する混合部材の側壁に設けられる孔の孔面積を、導入口に対向しない側壁に設けられる孔の孔面積の0.3倍から0.8倍にすることとした。これにより、導入口から混合手段内に導かれた排気ガスを導入口に対向しない混合部材の側壁側に回り込ませて、混合部材の内部に導くことができる。そのため、混合部材の内部を通過する空気の略円周方向から均一に排気ガスを混合させることができる。したがって、吸込み口には、混合部材を通過して均一に混合した混合空気を供給することができる。
【0021】
本発明の参考例に係る過給機によれば、ディーゼル機関が排出する排気ガスにより回転駆動されるタービンと、一端に前記タービンを設けた回転軸と、該回転軸の他端に設けられて、前記タービンが回転駆動することにより吸込み口から吸引した空気を圧縮する圧縮機と、前記吸込み口の上流に設けられる混合手段と、を備え、該混合手段は、前記空気と前記排気ガスの一部とを混合して前記吸込み口へと導き、前記混合手段は、前記空気が側壁から導入される略円筒状のサイレンサであって、該サイレンサの内部には、側壁に複数の孔を有する略円錐状の混合部材を備え、該混合部材は、その軸方向と前記サイレンサの軸方向とが略同軸になるように設けられて、略円錐状の末広がり側の端部から前記ディーゼル機関から排出された前記排気ガスの一部が導入されることを特徴とする。
【0022】
サイレンサの内部には、側壁に複数の孔を有する略円錐状の混合部材を設けて、略円錐状の末広がり側の端部から排気ガスを導入することとした。末広がり側の端部から混合部材の内部に導かれた排気ガスは、混合部材の側壁に設けられた複数の孔から導出されて、サイレンサの側壁からサイレンサの内部に導入された空気とサイレンサの内部で均一に混合する。そのため、圧縮機に導かれる空気と排気ガスとの偏流を防止して、温度が均一化した混合空気を吸込み口に導くことができる。したがって、供給される混合空気の温度不均一を起因とする過給機効率の低下や信頼性の低下を抑制することができる。
【0023】
本発明に係る
舶用ディーゼル機関は、上記のいずれかに記載の
舶用ディーゼル機関用過給機を備えたことを特徴とする。
【0024】
混合が均一化された混合空気を吸引することが可能な
舶用ディーゼル機関用過給機を用いることとした。そのため、過給機から十分に混合した圧縮混合空気を
舶用ディーゼル機関へと導くことができる。したがって、混合空気の不均一による気筒毎のバラつきがなくなり、
舶用ディーゼル機関の性能悪化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、圧縮機の吸込み口の上流に、圧縮機が吸引する空気と、ディーゼル機関から排出される排気ガスの一部とを混合する混合手段を設けることとした。これにより、空気と排気ガスとを均一に混合させて、圧縮機に導くことができる。そのため、圧縮機に導かれる空気と排気ガスとによる偏流を防止して、空気と排気ガスとが均一に混合し温度が均一化した空気(混合空気)を吸込み口に導くことができる。したがって、過給機の効率低下や信頼性の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1実施形態]
以下に、本発明の第1実施形態について、
図1を参照して説明する。
図1には、船舶の主機として用いられている大型の舶用ディーゼル機関(図示せず)に搭載されている過給機1が示されている。
舶用ディーゼル機関には、複数台の過給機1が搭載されている。
【0028】
過給機1は、舶用ディーゼル機関が排出する排気ガスによって駆動されるタービン2と、タービン2によって回転駆動される回転軸6と、回転軸6が回転駆動されることによって空気を圧縮する圧縮機3と、タービン2と圧縮機3との間に設けられ回転軸6を支持する軸受台4とを有している。
【0029】
タービン2は、タービンケーシング7と、舶用ディーゼル機関から供給された排気ガス(排ガス)によって回転するタービンディスク8と、タービンディスク8の周方向に設けられているタービン翼9とを有している。
タービンケーシング7は、タービンディスク8とタービン翼9とを覆うように設けられている。タービンケーシング7は、舶用ディーゼル機関の排気ガス集合管(図示せず)から排気ガスが導かれるタービンケーシング入口7aと、舶用ディーゼル機関の排気ガスをタービン翼9へと導く排気ガス通路7bと、タービン翼9を通過した排気ガスをタービン2外へと導くタービンケーシング出口7cとを有している。
【0030】
タービンディスク8は、円盤形状をなしており、回転中心から径方向外側に向けて延びているタービン翼9が周方向に沿って複数設けられている。タービン翼9は、タービンケーシング7によって径方向の外側を囲むように覆われている。タービン翼9には、排気ガス通路7bから排気ガスが導かれる。タービン翼9に導かれた排気ガスによって、タービンディスク8および回転軸6が回転駆動される。タービンディスク8および回転軸6を回転駆動した排気ガスは、タービン翼9からタービンケーシング出口7cへと流出する。
【0031】
圧縮機3は、圧縮機ケーシング11と、回転駆動されることで空気(新気)を圧縮するインペラ12とを有している。
圧縮機ケーシング11は、インペラ12を覆うように設けられている。圧縮機ケーシング11は、サイレンサ13および後述する戻りガス用ケーシング(混合手段)20を介して外部からの空気および排気ガス(以下、「EGRガス」という。)を取り入れる圧縮機ケーシング入口(吸込み口)11aと、インペラ12が圧縮した空気が導かれる渦巻き室11bと、インペラ12が圧縮した空気(新気)を排出する圧縮機ケーシング出口11cとを有している。
【0032】
インペラ12は、略円盤形状をなしており、その一面には中心から径方向外側に向けて延びている翼(図示せず)が複数設けられている。インペラ12は、渦巻き室11bによって径方向外側を囲むように覆われている。インペラ12には、圧縮機ケーシング入口11aから吸入された空気およびEGRガスが導かれる。インペラ12は、回転軸6を介して同軸上に設けられているタービン2が回転駆動することによって回転駆動される。回転駆動されたインペラ12によって、圧縮機ケーシング入口11aから吸入された空気およびEGRガスが圧縮され、圧縮された空気およびEGRガスは、インペラ12の径方向外側へと送出される。インペラ12によって圧縮された空気およびEGRガスは、渦巻き室11bを通過して圧縮機ケーシング出口11cから導出される。
【0033】
圧縮機ケーシング11は、サイレンサ13との間に戻りガス用ケーシング20を挟むように設けられている。戻りガス用ケーシング20は、その外壁の一部に舶用ディーゼル機関の排気ガスの一部であるEGRガスを導くEGR戻り配管(図示せず)が接続される導入口20aが開口している。戻りガス用ケーシング20は、その内部に略円筒状の混合部材21が設けられている。
【0034】
混合部材21は、略円筒状とされており、その径が圧縮機ケーシング入口11aの直径と略同等とさている。混合部材21は、その軸方向の一端部を圧縮機ケーシング入口11aに接続して、他端部をサイレンサ13に接続することによって、混合部材21の内部をサイレンサ13から導入された空気が圧縮機ケーシング入口11aへと通過できるようになっている。混合部材21は、その側壁に複数の孔22が設けられている多孔板を円筒状に形成したものである。混合部材21に設けられている複数の孔22は、例えば、各々が略円形状とされている。
【0035】
軸受台4には、一端をタービン2側に突出させ、他端を圧縮機3側に突出させた回転軸6が貫通している。また、軸受台4には、タービンケーシング7と、圧縮機ケーシング11とが接続されている。これらタービンケーシング7と、軸受台4と、圧縮機ケーシング11とは、複数のボルト(図示せず)によって一体に締結されている。
【0036】
軸受台4には、ジャーナル軸受(図示せず)と、スラスト軸受(図示せず)が設けられている。これらジャーナル軸受は、タービン2側の近傍と、圧縮機3側の近傍とに設けられている。これらジャーナル軸受によって、回転軸6は、軸回りの回転が可能とされ、かつ、軸受台4によって支持されている。
【0037】
さらに回転軸6の半径方向外周に向かって突出して設けられているスラストカラー(図示せず)の両側に配置されているスラスト軸受によって、排気ガスがタービン翼9に作用して回転軸6が軸方向へ移動することを規制するとともに、回転軸6回りの回転が可能とされている。
【0038】
次に、過給機1に供給されたEGRガスと空気との流れについて、
図1を用いて説明する。
舶用ディーゼル機関の排気ガス集合管からタービンケーシング7のタービンケーシング入口7aへと排気ガスが導かれる。タービンケーシング入口7aに導かれた排気ガスは、排気ガス通路7bを経てタービン翼9へと導かれる。タービン翼9に導かれた排気ガスによってタービンディスク8および回転軸6が回転駆動される。タービンディスク8および回転軸6を回転駆動した排気ガスは、タービン翼9からタービンケーシング出口7cへと流出する。
【0039】
回転軸6には、タービンディスク8が設けられている端部と反対端にインペラ12が設けられているので、排気ガスによって回転軸6が回転駆動することによって、インペラ12が回転駆動する。インペラ12が回転駆動することによって、サイレンサ13の外周から空気がサイレンサ13内へと吸引される。また、サイレンサ13と圧縮機ケーシング11との間に設けられている戻りガス用ケーシング20の導入口20aから、舶用ディーゼル機関の排気ガスの一部がEGRガスとして戻りガス用ケーシング20内へと導入される。
【0040】
戻りガス用ケーシング20の内部に設けられている略円筒状の混合部材21の内部には、インペラ12が回転駆動することによってサイレンサ13を経て吸引された空気(新気)が導かれる。また、戻りガス用ケーシング20の導入口20aから戻りガス用ケーシング20内に導入されたEGRガスは、混合部材21に設けられている複数の孔22から混合部材21の内部へと導かれる。これによって、混合部材21の内部を通過する空気にEGRガスを均一に混合することができる。
【0041】
このように、混合部材21の内部で均一に混合された空気とEGRガスとは、混合空気とされて圧縮機ケーシング入口11aから圧縮機ケーシング11の内部へと吸引される。圧縮機ケーシング11の内部に吸引された混合空気は、回転駆動しているインペラ12によって圧縮される。インペラ12によって圧縮された混合空気は、渦巻き室11bを経て圧縮機ケーシング出口11cから排出される。
【0042】
このように過給機1から排出された圧縮された混合空気は、舶用ディーゼル機関へと供給される。舶用ディーゼル機関には、過給機1によって空気とEGRガスとが十分に混合した混合空気が供給されることとなる。
【0043】
以上の通り、本実施形態に係る過給機1およびこれを備えている舶用ディーゼル機関によれば、以下の作用効果を奏する。
圧縮機3の圧縮機ケーシング入口(吸込み口)11aの上流であってサイレンサ13との間に、圧縮機3が吸引する空気(新気)と、舶用ディーゼル機関(ディーゼル機関)から排出される排気ガスの一部であるEGRガスとを混合する戻りガス用ケーシング(混合手段)20を設けることとした。これにより、空気とEGRガスとを均一に混合させて、圧縮機ケーシング入口11aに導くことができる。そのため、圧縮機ケーシング入口11aに導かれる空気と排気ガスとを混合した混合空気の偏流を防止して、温度が均一化した混合空気を圧縮機ケーシング入口11aに導くことができる。したがって、吸引される混合空気の温度不均一を起因とする過給機1の効率低下や信頼性の低下を抑制することができる。
【0044】
側壁に複数の孔22を有している略円筒状の混合部材21を用いて、混合部材21の軸方向の一端部を圧縮機ケーシング入口11aに接続して、混合部材21の軸方向の他端部から空気を吸入させることとした。これにより、混合部材21の側壁に設けられている孔22からEGRガスを混合部材21の内部へと導いて、混合部材21の内部で空気とEGRガスとを混合させることができる。したがって、圧縮機ケーシング入口11aには、混合部材21を通過して均一に混合した混合空気を供給することができる。
【0045】
混合が均一化された混合空気を吸引することが可能な過給機1を用いることとした。そのため、過給機1から均一に混合された圧縮混合空気を舶用ディーゼル機関(図示せず)へと導くことができる。したがって、混合空気の不均一による気筒毎のバラつきがなくなり、舶用ディーゼル機関の性能悪化を抑制することができる。
【0047】
[第2実施形態]
本実施形態の過給機およびこれを備えている舶用ディーゼル機関は、戻りガス用ケーシングの導入口に対向している混合部材の側壁に設けられる孔数がそれ以外の位置の側壁に設けられる孔数と異なる点で、第1実施形態と相違しその他は同様である。したがって、同一の構成およびEGRガスと空気との流れについては、同一の符号を付してその説明を省略する。
図2には、本実施形態に係る戻りガス用ケーシング(混合手段)に設けられている混合部材の側壁の斜視図が示されている。
【0048】
図2は、戻りガス用ケーシング(図示せず)に設けられている導入口(図示せず)に対向している混合部材21の側壁を示しており、
図2中に示す破線は、導入口に対向している側壁と反対側の側壁に設けられている孔22を示している。
【0049】
導入口に対向している混合部材21の側壁には、
図2のように、6つの孔22a、22b、22c、22d、22e、22fが略等間隔に円状に設けられている。
導入口に対向している混合部材21の側壁以外の位置に設けられる孔22は、略等間隔に円状に設けられている6つの孔22a、22b、22c、22d、22e、22fに加えて、6つの孔22a、22b、22c、22d、22e、22fによって形成される円の略中心部に破線で示すように孔22gが設けられている。
【0050】
すなわち、導入口に対向している混合部材21の側壁に設けられている孔22a、22b、22c、22d、22e、22fの数(6つ)に対して、導入口に対向している混合部材21の側壁以外の位置に設けられる孔22a、22b、22c、22d、22e、22f、22gの数(7つ)が多くなっている。
【0051】
このように導入口に対向している混合部材21の側壁に設けられている孔22の数を、それ以外の側壁に設けられている孔22の数よりも少なくすることによって、戻りガス用ケーシングの導入口から戻りガス用ケーシングの内部に導入されたEGRガス(排気ガスの一部)は、混合部材21と戻りガス用ケーシングとの間を移動して、導入口側とは反対側にまで回り込んで、混合部材21の内部に導かれることとなる。
【0052】
そのため、EGRガスの濃度が導入口側の混合部材21内において高くなることを抑制して、混合部材21の内部の円周方向において均一にすることができる。
【0053】
以上の通り、本実施形態に係る過給機およびこれを備えている舶用ディーゼル機関によれば、以下の作用効果を奏する。
導入口(図示せず)に対向している混合部材21の側壁に設けられている孔22a、22b、22c、22d、22e、22fの数(6つ)を、導入口に対向していない混合部材21の側壁に設けられている孔22a、22b、22c、22d、22e、22f、22gの数(7つ)よりも少なくすることとした。これにより、導入口から戻りガス用ケーシング(混合手段)内に導かれたEGRガス(排気ガスの一部)を導入口に対向していない混合部材21の側壁側に回り込ませて、混合部材21の内部に導くことができる。そのため、混合部材21の内部を通過する空気(新気)に混合部材21の略円周方向から均一に排気ガスを混合させることができる。したがって、圧縮機ケーシング入口(吸込み口)には、混合部材21を通過して均一に混合した混合空気を供給することができる。
【0054】
なお、本実施形態では、導入口に対向している混合部材21の側壁以外の側壁には、孔22a、22b、22c、22d、22e、22fによって形成されている円状の略中心部に孔22gを設けるとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく。
図3の破線で示す本実施形態の変形例1のように、導入口に対向している混合部材21の側壁には、混合部材21の軸方向の端部近傍の孔22を設けないものとしたり、
図4の破線で示す変形例2のように混合部材21の軸方向の略中心部に複数の孔22を設けないものとしても良い。
【0055】
[第3実施形態]
本実施形態の過給機およびこれを備えている舶用ディーゼル機関は、戻りガス用ケーシングの導入口に対向している混合部材の側壁に設けられる孔の径がそれ以外の位置の側壁に設けられる孔の径よりも小さい点で、第1実施形態と相違しその他は同様である。したがって、同一の構成およびEGRガスと空気との流れについては、その説明を省略する。
【0056】
戻りガス用ケーシング(導入手段)の導入口に対向している混合部材の側壁に設けられている孔の径は、導入口に対向している側壁以外の位置に設けられている孔の径よりも小さいものとされている。このように導入口に対向している混合部材の側壁に設けられている孔の径を、それ以外の側壁に設けられている孔の径よりも小さくすることによって、戻りガス用ケーシング(図示せず)の導入口から戻りガス用ケーシングの内部に導入されたEGRガス(排気ガスの一部)が、混合部材と戻りガス用ケーシングとの間を移動して、導入口側の反対側にまで回り込んで混合部材の内部に導かれることとなる。
【0057】
以上の通り、本実施形態に係る過給機およびこれを備えている舶用ディーゼル機関によれば、以下の作用効果を奏する。
戻りガス用ケーシング(導入手段)の導入口に対向している混合部材の側壁に設けられている孔径を、導入口に対向していない側壁に設けられている孔径よりも小さくすることとした。これにより、導入口から混合手段内に導かれたEGRガス(排気ガスの一部)を導入口に対向していない側壁側に回り込ませて、混合部材の内部に導くことができる。そのため、混合部材の内部を通過する空気(新気)の略円周方向から均一にEGRガスを混合させることができる。したがって、圧縮機ケーシング入口(吸込み口)には、混合部材を通過して均一に混合した混合空気を供給することができる。
【0058】
[第
4実施形態]
本実施形態の過給機およびこれを備えている舶用ディーゼル機関は、戻りガス用ケーシングの導入口に対向している混合部材の側壁に設けられる孔面積がそれ以外の位置の側壁に設けられる孔面積と異なる点で、第1実施形態と相違しその他は同様である。したがって、同一の構成およびEGRガスと空気との流れについては、同一の符号を付してその説明を省略する。
図5には、本実施形態に係る戻りガス用ケーシング(混合手段)に設けられている混合部材の側壁の斜視図が示されている。
【0059】
混合部材21の側壁には、
図5に示すよう、混合部材21の長手方向に長軸を有するように略長方形状の孔23が複数設けられている。長方形状の孔23は互いに長軸同士が平行になるように混合部材21の側壁に設けられている。
【0060】
また、戻りガス用ケーシング(図示せず)の導入口(図示せず)に対向している混合部材21の側壁には、圧縮機ケーシング入口(吸込み口)近傍(
図5において右側)の一部に略長方形状の孔23の代わりに略円状の孔22が設けられている。この孔22の内径は、略長方形状の孔23の短軸と略同等とされており、孔22の孔面積は、略長方形状の孔23の孔面積の0.3倍とされている。
【0061】
以上の通り、本実施形態に係る過給機およびこれを備えている舶用ディーゼル機関によれば、以下の作用効果を奏する。
戻りガス用ケーシング(導入手段)の導入口(図示せず)に対向している混合部材21の側壁に設けられている孔22の孔面積を、導入口に対向していない側壁に設けられている孔23の孔面積の0.3倍にすることとした。これにより、導入口から混合部材21内に導かれたEGRガス(排気ガスの一部)を導入口に対向していない混合部材21の側壁側に回り込ませて、混合部材21の内部に導くことができる。そのため、混合部材21の内部を通過する空気(新気)の略円周方向から均一にEGRガスを混合させることができる。したがって、圧縮機ケーシング入口(吸込み口)には、混合部材21を通過して均一に混合した混合空気を供給することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、戻りガス用ケーシングの導入口に対向している混合部材21の側壁に設けられている孔22の孔面積を導入口に対向していない側壁に設けられている孔23の孔面積の0.3倍にするとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、孔22の孔面積は孔23の孔面積の0.3倍から0.8倍であれば良く、混合部材21内部での空気とEGRガスとの混合を均一にすることが可能な大きさであれば良い。
【0063】
[
参考例]
本
参考例の過給機およびこれを備えている舶用ディーゼル機関は、サイレンサの内部に混合部材を設ける点で、第1実施形態と相違しその他は同様である。したがって、同一の構成およびEGRガスと空気との流れについては、同一の符号を付してその説明を省略する。
図6には、本
参考例に係る過給機の概略構成を示した縦断面図が示されている。
【0064】
圧縮機ケーシング11の圧縮機ケーシング入口(吸込み口)11aには、圧縮機ケーシング11の外径と略同径のサイレンサ(混合手段)13が設けられている。サイレンサ13は、略円筒状を形成しており、その側壁から空気(新気)が導入されて消音するものである。また、サイレンサ13の圧縮機3側と反対側の面(
図6において左端面)には、EGRガス(排気ガスの一部)が導入されるサイレンサ用導入口13aが開口している。
【0065】
このようなサイレンサ13の内部には、略円錐状の混合部材30が設けられている。混合部材30は、その側壁に複数の孔31を有しており、混合部材30の軸方向とサイレンサ13の軸方向とが略同軸になるように設けられている。サイレンサ13内部に設けられている混合部材30は、略円錐状の末広がり側の他端部に舶用ディーゼル機関(ディーゼル機関)から排出されたEGRガスが導入される導入口30aを有している。導入口30aはフランジ構造となっており、サイレンサ13の内側からサイレンサ用導入口13aにボルト(図示せず)によって固定されている。
【0066】
EGRガスは、図示しないEGR戻り配管からサイレンサ用導入口13aを経て混合部材30の導入口30aから混合部材30の内部へと導かれる。混合部材30の内部に導かれたEGRガスは、混合部材30の側壁に設けられている複数の孔31からサイレンサ13内へと導出する。
【0067】
サイレンサ13内部には、圧縮機3が回転駆動することによって、サイレンサ13の側壁から空気が吸引される。サイレンサ13に吸引された空気は、混合部材30の孔31から導出されたEGRガスと混合されて、圧縮機ケーシング入口11aへと導かれる。
【0068】
以上の通り、本
参考例に係る過給機および1これを備えている舶用ディーゼル機関によれば、以下の作用効果を奏する。
サイレンサ(混合手段)13の内部には、側壁に複数の孔31を有している略円錐状の混合部材30を設けて、混合部材30の末広がり側の端部に設けられている導入口30aからEGRガス(排気ガスの一部)を導入することとした。導入口30aから混合部材30の内部に導かれたEGRガスは、混合部材30の側壁に設けられている複数の孔31からサイレンサ13の内部に導出されて、サイレンサ13の側壁からサイレンサ13の内部に導入された空気(新気)と均一に混合する。そのため、圧縮機3の圧縮機ケーシング入口(吸込み口)11aに導かれる空気とEGRガスとの偏流を防止して、温度が均一化した混合空気を圧縮機ケーシング入口11aに導くことができる。したがって、供給される混合空気の温度不均一を起因とする過給機1の効率の低下や信頼性の低下を抑制することができる。