(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041962
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】防錆塗料組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 171/10 20060101AFI20161206BHJP
C09D 5/08 20060101ALI20161206BHJP
C09D 7/12 20060101ALI20161206BHJP
C09D 163/02 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
C09D171/10
C09D5/08
C09D7/12
C09D163/02
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-209426(P2015-209426)
(22)【出願日】2015年10月23日
(65)【公開番号】特開2016-155995(P2016-155995A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2015年10月29日
(31)【優先権主張番号】特願2015-33692(P2015-33692)
(32)【優先日】2015年2月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390029698
【氏名又は名称】テック大洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鳥潟 浩司
【審査官】
西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開平5−320958(JP,A)
【文献】
特開2004−099943(JP,A)
【文献】
特開昭63−199884(JP,A)
【文献】
特開2014−037522(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/147437(WO,A1)
【文献】
特表2011−523431(JP,A)
【文献】
特開昭63−183971(JP,A)
【文献】
特開昭63−139952(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/081798(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−201/10
C23C 26/00
C23F 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアニリン成分と、塗膜成分とを含む防錆塗料組成物において、
該塗膜成分は、フェノキシ樹脂からなることを特徴とする防錆塗料組成物。
【請求項2】
請求項1記載の防錆塗料組成物において、前記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの重縮合物であることを特徴とする防錆塗料組成物。
【請求項3】
請求項1記載の防錆塗料組成物において、前記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールAとヒドロキシアルキルエーテルとの重縮合物であることを特徴とする防錆塗料組成物。
【請求項4】
請求項3記載の防錆塗料組成物において、前記ヒドロキシアルキルエーテルは、2−ヒドロキシプロピルエーテルであることを特徴とする防錆塗料組成物。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の防錆塗料組成物において、前記ポリアニリン成分は、ポリアニリン粒子であることを特徴とする防錆塗料組成物。
【請求項6】
請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の防錆塗料組成物において、前記ポリアニリン成分は、ポリアニリン粒子と、ポリビニルブチラールと、アルコール系溶媒とを含むことを特徴とする防錆塗料組成物。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の防錆塗料組成物において、前記ポリアニリン成分に含まれるポリアニリン100質量部に対し、前記塗膜成分を600〜13000質量部の範囲で含むことを特徴とする防錆塗料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防錆塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリアニリンと塗膜成分としてのエポキシ樹脂とを含む防錆塗料組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−324143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のポリアニリンと塗膜成分としてのエポキシ樹脂とを含む防錆塗料組成物は、鋼板に塗布して塗膜を形成した後、日本工業規格JIS Z 2371に定める方法に従って塩水噴霧試験を行うと576時間で激しく錆が発生するという不都合がある。
【0005】
本発明は、かかる不都合を解消して、前記塩水噴霧試験による錆の発生を低減することができ、優れた防錆性能を備える防錆塗料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記目的を達成するために、塗膜成分として前記エポキシ樹脂に代わる樹脂について鋭意検討した。この結果、塗膜成分としてフェノキシ樹脂を用いることにより所期の目的を達成できることを見い出し、本発明に到達した。
【0007】
そこで、本発明の防錆塗料組成物は、ポリアニリン成分と、塗膜成分とを含む防錆塗料組成物において、該塗膜成分はフェノキシ樹脂からなることを特徴とする。
【0008】
本発明の防錆塗料組成物は、鋼板等の被防錆物に塗布されると、前記塗膜成分を構成するフェノキシ樹脂が硬化し、前記ポリアニリン成分が分散された塗膜を形成する。本発明の防錆塗料組成物は、フェノキシ樹脂が硬化して形成された塗膜に前記ポリアニリン成分が分散されていることにより、塩水噴霧試験による錆の発生を低減することができ、優れた防錆性能を得ることができる。
【0009】
本発明の防錆塗料組成物において、前記フェノキシ樹脂として、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの重縮合物又は、ビスフェノールAとヒドロキシアルキルエーテルとの重縮合物を好適に用いることができる。本発明の防錆塗料組成物において、前記ヒドロキシアルキルエーテルとしては、例えば、2−ヒドロキシプロピルエーテルを用いることができる。
【0010】
また、本発明の防錆塗料組成物において、前記ポリアニリン成分は、ポリアニリン粒子であってもよく、ポリアニリン粒子と、ポリビニルブチラールと、アルコール系溶媒とを含むものであってもよい。
【0011】
また、本発明の防錆塗料組成物は、前記ポリアニリン成分に含まれるポリアニリン100質量部に対し、前記塗膜成分を600〜13000質量部の範囲で含むことが好ましい。
【0012】
前記ポリアニリン成分に含まれるポリアニリン100質量部に対し、前記塗膜成分の含有量が600質量部未満では十分な塗膜を形成できないことがある。また、前記ポリアニリン成分に含まれるポリアニリン100質量部に対し、前記塗膜成分の含有量が13000質量部を超えると十分な防錆性能を得ることができないことがある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例1の防錆塗料組成物により、鋼板の表面に形成された塗膜に対する塩水噴霧試験の結果を示す写真。
【
図2】実施例2の防錆塗料組成物により、鋼板の表面に形成された塗膜に対する塩水噴霧試験の結果を示す写真。
【
図3】比較例1の防錆塗料組成物により、鋼板の表面に形成された塗膜に対する塩水噴霧試験の結果を示す写真。
【
図4】比較例2の防錆塗料組成物により、鋼板の表面に形成された塗膜に対する塩水噴霧試験の結果を示す写真。
【
図5】比較例3の防錆塗料組成物により、鋼板の表面に形成された塗膜に対する塩水噴霧試験の結果を示す写真。
【
図6】比較例4の防錆塗料組成物により、鋼板の表面に形成された塗膜に対する塩水噴霧試験の結果を示す写真。
【
図7】比較例5の防錆塗料組成物により、鋼板の表面に形成された塗膜に対する塩水噴霧試験の結果を示す写真。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0015】
本実施形態の防錆塗料組成物は、ポリアニリン成分と、塗膜成分とを含み、該塗膜成分は、フェノキシ樹脂からなる。
【0016】
前記フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの重縮合物又は、ビスフェノールAとヒドロキシアルキルエーテルとの重縮合物を挙げることができる。
【0017】
前記フェノキシ樹脂がビスフェノールAとヒドロキシアルキルエーテルとの重縮合物である場合、該ヒドロキシアルキルエーテルは、下記一般式(1)で表される化合物である。
【0018】
HO−R−O−R−OH ・・・(1)
式中Rは、炭素数1〜5のアルキレン基であり、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、n−ブチレン基等を挙げることができる。
【0019】
本実施形態では、前記ヒドロキシアルキルエーテルは、下記式(2)で表される2−ヒドロキシプロピルエーテルを好適に用いることができる。
【0021】
前記ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの重縮合物として、例えば、三菱化学株式会社製jER1255HX30(商品名)を用いることができる。また、前記ビスフェノールAと2−ヒドロキシプロピルエーテルとの重縮合物として、例えば、新日鉄住金化学株式会社製フェノトートYP−50EK35(商品名)を用いることができる。
【0022】
また、前記フェノキシ樹脂として、フェノキシ・アソシエイツ社製フェノキシ樹脂PKHH(商品名)、フェノキシ・アソシエイツ社製フェノキシ樹脂PKHB(商品名)、日触スケネクタディ化学株式会社製ISOPOXY 506K(商品名)等を用いてもよい。
【0023】
本実施形態の防錆塗料組成物において、前記ポリアニリン成分は、ポリアニリン粒子自体であってもよく、ポリアニリン粒子と、ポリビニルブチラールと、アルコール系溶媒とを含むゲル状体であってもよい。
【0024】
前記ポリアニリン粒子は、例えば、アニリン硫酸塩とドデシル硫酸ナトリウムとの混合物に過硫酸化アンモニウムを添加して酸化重合させて得られた反応液から沈殿させることにより、直径10〜50nm程度の粒子として得ることができる。
【0025】
また、前記ゲル状体は、次のようにして得ることができる。まず、上述のようにして得られたポリアニリン粒子をポリビニルブチラール及びアルコール系溶媒と混合した後、該アルコール系溶媒を揮発させることにより固形混合物を形成する。前記固形混合物は、ポリビニルブチラールのマトリックス内にポリアニリンが均一に分散されて含有されている。
【0026】
次に、前記固形混合物を前記アルコール系溶媒に浸漬して膨潤させ、該アルコール系溶媒と共に、加圧分散装置に供給する。前記加圧分散装置は、試料を溶媒と共に狭隘な流路に供給し、5〜80MPaの範囲の圧力、例えば30〜50MPaの範囲の圧力をかけて該流路から噴出せしめることにより、該試料を該溶媒に均一に分散させる装置である。この結果、ポリアニリン粒子が前記ポリビニルブチラール及び前記アルコール系溶媒に均一に分散されたゲル状体を得ることができる。
【0027】
前記アルコール系溶媒としては、イソプロパノール、メトキシプロパノール等のアルコールと他の有機溶媒との混合溶媒を用いることができる。このような前記アルコール系溶媒として、例えば、イソプロパノール10〜45質量部、メトキシプロパノール10〜45質量部、ブタノール10〜35質量部、キシレン5〜25質量部、エチルベンゼン5〜25質量部からなるものを挙げることができ、さらに具体的には、イソプロパノール40質量部、メトキシプロパノール40質量部、ブタノール10質量部、キシレン5質量部、エチルベンゼン5質量部からなるものを挙げることができる。
【0028】
尚、前記ゲル状体の製造方法、物性については、特開2014−37522号公報に詳細な記載がある。
【0029】
また、本実施形態の防錆塗料組成物は、前記ポリアニリン成分に含まれるポリアニリン100質量部に対し、前記塗膜成分を600〜13000質量部の範囲、好ましくは700〜11000質量部の範囲で含んでいる。本実施形態の防錆塗料組成物は、前記ポリアニリン成分に含まれるポリアニリン100質量部に対し、前記塗膜成分を前記範囲で含むことにより、良好な塗膜を形成でき、しかも優れた防錆性能を得ることができる。
【0030】
本実施形態の防錆塗料組成物は、前記ポリアニリン成分と、前記フェノキシ樹脂とを混合して撹拌することにより容易に製造することができる。前記混合及び撹拌には、例えば、浅田鉄鋼株式会社製デスパ(商品名)、アシザワファインテック株式会社製ハイパー(商品名)等の撹拌装置を用いることができる。
【0031】
また、本実施形態の防錆塗料組成物は、乾燥状態で15〜60μm、例えば30μmの厚さとなるように鋼板等の被防錆物に塗布することにより、優れた防錆性能を備える塗膜を形成することができる。前記塗布は、例えば、スプレー、エアスプレー、はけ塗り、ローラー塗り等により行うことができる。
【0032】
また、本実施形態の防錆塗料組成物により塗膜を形成するときには、該塗膜の上にさらにトップコート層を設けるようにしてもよい。前記トップコート層は、例えばウレタン系樹脂により、15〜60μm、例えば30μmの厚さとなるように形成することが好ましい。
【0033】
また、本実施形態の防錆塗料組成物は、防錆性能に悪影響を及ぼさない範囲で、さらに他の添加物を含んでいてもよい。前記添加物として、例えば、有色系顔料、可塑剤、顔料分散剤、乳化剤、増粘剤、飛散防止剤等を挙げることができる。
【0034】
次に、本発明の実施例及び比較例を示す。
【実施例】
【0035】
〔実施例1〕
本実施例では、ポリアニリン成分としてのポリアニリン粒子3.0gと、塗膜成分としてのビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの重縮合物からなるフェノキシ樹脂(三菱化学株式会社製、商品名:jER1255HX30)40gとを混合、撹拌し、塗膜成分(本実施例ではフェノキシ樹脂)中にポリアニリン粒子が分散した防錆塗料組成物を調製した。
【0036】
次に、長さ150mm、幅75mm、厚さ1.6mmのSPC鋼板の表面に、本実施例で得られた防錆塗料組成物を乾燥状態の厚さが30μmになるように塗布し、前記塗膜成分を硬化させて塗膜を形成した。さらに、前記塗膜上にウレタン系樹脂(スズカファイン株式会社製、商品名:エポーレ)を乾燥状態の厚さが30μmになるように塗布し、硬化させてトップコート層を形成し、試料とした。
【0037】
次に、前記試料に長さ70mmで鋼板表面に達する深さの傷を2本、互いに交差するように形成し、塩水噴霧装置(板橋理化学工業株式会社製、商品名:複合腐食試験機BQ−1)を用い、日本工業規格JIS Z 2371に定める方法に従って、50g/リットルの濃度の食塩水を該鋼板表面に0.0028リットル/分の量で噴霧する塩水噴霧試験を600時間行った。結果を
図1に示す。
【0038】
〔実施例2〕
本実施例では、塗膜成分として、ビスフェノールAと2−ヒドロキシプロピルエーテルとの重縮合物からなるフェノキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製、商品名:フェノトートYP−50EK35)を用いた以外は、実施例1と全く同一にして防錆塗料組成物を調製した。
【0039】
次に、本実施例で得られた防錆塗料組成物を用いた以外は、実施例1と全く同一にして塗膜及びトップコート層を形成し、試料とした。
【0040】
次に、本実施例で得られた試料を用いた以外は、実施例1と全く同一にして前記塩水噴霧試験を600時間行った。結果を
図2に示す。
【0041】
〔比較例1〕
本比較例では、塗膜成分として、関西ペイント株式会社製エポキシ樹脂(商品名:エスコ)及び硬化剤としてのケチミン(関西ペイント株式会社製、商品名:エスコ硬化剤)を用いた以外は、実施例1と全く同一にして防錆塗料組成物を調製した。
【0042】
次に、本比較例で得られた防錆塗料組成物を用いた以外は、実施例1と全く同一にして塗膜及びトップコート層を形成し、試料とした。
【0043】
次に、前記試料を用い、時間を576時間とした以外は、実施例1と全く同一にして塩水噴霧試験を行った。結果を
図3に示す。
【0044】
〔比較例2〕
本比較例では、塗膜成分として、関西ペイント株式会社製エポキシ樹脂(商品名:エポマリンプラーマー)及び硬化剤としてのポリアミドアミンを用いた以外は、実施例1と全く同一にして防錆塗料組成物を調製した。
【0045】
次に、本比較例で得られた防錆塗料組成物を用いた以外は、実施例1と全く同一にして塗膜及びトップコート層を形成し、試料とした。
【0046】
次に、前記試料を用い、時間を576時間とした以外は、実施例1と全く同一にして塩水噴霧試験を行った。結果を
図4に示す。
【0047】
〔比較例3〕
本比較例では、塗膜成分として、日本ペイント株式会社製エポキシ樹脂(商品名:ハイボン20−HB)及びその専用硬化剤を用いた以外は、実施例1と全く同一にして防錆塗料組成物を調製した。
【0048】
次に、本比較例で得られた防錆塗料組成物を用いた以外は、実施例1と全く同一にして塗膜及びトップコート層を形成し、試料とした。
【0049】
次に、前記試料を用い、時間を576時間とした以外は、実施例1と全く同一にして塩水噴霧試験を行った。結果を
図5に示す。
【0050】
〔比較例4〕
本比較例では、塗膜成分として、神東塗料株式会社製エポキシ樹脂(商品名:ネオゴーセー#2300プライマー)及びその専用硬化剤を用いた以外は、実施例1と全く同一にして防錆塗料組成物を調製した。
【0051】
次に、本比較例で得られた防錆塗料組成物を用いた以外は、実施例1と全く同一にして塗膜及びトップコート層を形成し、試料とした。
【0052】
次に、前記試料を用い、時間を576時間とした以外は、実施例1と全く同一にして塩水噴霧試験を行った。結果を
図6に示す。
【0053】
〔比較例5〕
本比較例では、塗膜成分として、中国塗料株式会社製エポキシ樹脂(商品名:エコピンプライマーHB)及びその専用硬化剤を用いた以外は、実施例1と全く同一にして防錆塗料組成物を調製した。
【0054】
次に、本比較例で得られた防錆塗料組成物を用いた以外は、実施例1と全く同一にして塗膜及びトップコート層を形成し、試料とした。
【0055】
次に、前記試料を用い、時間を576時間とした以外は、実施例1と全く同一にして塩水噴霧試験を行った。結果を
図7に示す。
【0056】
図3〜7から、塗膜成分として硬化剤を含むエポキシ樹脂を用いた防錆塗料組成物(比較例1〜5)の場合には、該防錆塗料組成物により形成された塗膜を備える鋼板に、激しい錆の発生が認められることが明らかである。
【0057】
これに対し、
図1,2から、塗膜成分として、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの重縮合物からなるフェノキシ樹脂を用いた防錆塗料組成物(実施例1)、又はビスフェノールAと2−ヒドロキシプロピルエーテルとの重縮合物からなるフェノキシ樹脂を用いた防錆塗料組成物(実施例2)の場合には、該防錆塗料組成物により形成された塗膜を備える鋼板に、ごく僅かな錆の発生が認められるに過ぎず、優れた防錆性能を備えることが明らかである。