特許第6041979号(P6041979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6041979鉱山機械の管理システム、及びダンプトラック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041979
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】鉱山機械の管理システム、及びダンプトラック
(51)【国際特許分類】
   G07C 5/02 20060101AFI20161206BHJP
   B60S 5/00 20060101ALI20161206BHJP
   E02F 9/20 20060101ALN20161206BHJP
【FI】
   G07C5/02
   B60S5/00
   !E02F9/20 N
【請求項の数】11
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2015-507271(P2015-507271)
(86)(22)【出願日】2014年11月27日
(86)【国際出願番号】JP2014081476
(87)【国際公開番号】WO2015076420
(87)【国際公開日】20150528
【審査請求日】2015年12月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】浅田 寿士
(72)【発明者】
【氏名】土井下 健治
(72)【発明者】
【氏名】坪根 大
(72)【発明者】
【氏名】秋山 鉄也
(72)【発明者】
【氏名】黒河 亮明
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−065753(JP,A)
【文献】 特開2013−105278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 5/02
B60S 5/00
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤが装着され、運転者の操作により鉱山を走行する鉱山機械の管理システムであって、
前記タイヤにダメージを与えるダメージ操作が実施されたか否かを判定する判定部と、
前記ダメージ操作の実施を示すダメージ操作データと、前記ダメージ操作を実施した前記運転者を示す運転者識別データ及び前記ダメージ操作が実施された前記鉱山機械の位置を示す位置データの一方又は両方と、を取得するデータ取得部と、
前記運転者識別データ及び前記位置データの一方又は両方に対応付けられた前記ダメージ操作データを含む対応データを出力するデータ出力部と、
前記鉱山機械の走行速度及び減速度を検出する速度検出装置と、
前記タイヤに作用する荷重を検出する荷重検出装置と、を備え、
前記ダメージ操作は、単位時間当たりに第1速度以上で前記鉱山機械を減速させる急減速操作を含み、
前記判定部は、前記速度検出装置の検出信号に基づいて、前記ダメージ操作が実施されたか否かを判定し、前記鉱山機械の前記減速度を示す減速度データと、前記タイヤに作用する荷重を示す荷重データとに基づいて、前記急減速操作が実施されたか否かを判定する、
鉱山機械の管理システム。
【請求項2】
タイヤが装着され、運転者の操作により鉱山を走行する鉱山機械の管理システムであって、
前記タイヤにダメージを与えるダメージ操作が実施されたか否かを判定する判定部と、
前記ダメージ操作の実施を示すダメージ操作データと、前記ダメージ操作を実施した前記運転者を示す運転者識別データ及び前記ダメージ操作が実施された前記鉱山機械の位置を示す位置データの一方又は両方と、を取得するデータ取得部と、
前記運転者識別データ及び前記位置データの一方又は両方に対応付けられた前記ダメージ操作データを含む対応データを出力するデータ出力部と、
前記鉱山機械の走行速度及び減速度を検出する速度検出装置と、
前記タイヤの向きを変える操舵力を検出する操舵力検出装置と、を備え、
前記ダメージ操作は、第2速度以下で前記タイヤの向きを変えるすえ切り操作を含み、
前記判定部は、前記速度検出装置の検出信号に基づいて、前記ダメージ操作が実施されたか否かを判定し、前記鉱山機械の前記走行速度を示す走行速度データと、前記操舵力を示す操舵力データとに基づいて、前記すえ切り操作が実施されたか否かを判定する、
鉱山機械の管理システム。
【請求項3】
タイヤが装着され、運転者の操作により鉱山を走行する鉱山機械の管理システムであって、
前記タイヤにダメージを与えるダメージ操作が実施されたか否かを判定する判定部と、
前記ダメージ操作の実施を示すダメージ操作データと、前記ダメージ操作を実施した前記運転者を示す運転者識別データ及び前記ダメージ操作が実施された前記鉱山機械の位置を示す位置データの一方又は両方と、を取得するデータ取得部と、
前記運転者識別データ及び前記位置データの一方又は両方に対応付けられた前記ダメージ操作データを含む対応データを出力するデータ出力部と、
前記鉱山機械の走行速度及び減速度を検出する速度検出装置と、
前記タイヤに作用する荷重を検出する荷重検出装置と、を備え、
前記ダメージ操作は、第3速度以上で所定値以下の曲率半径のカーブを前記鉱山機械に走行させる攻撃的コーナリング操作を含み、
前記判定部は、前記速度検出装置の検出信号に基づいて、前記ダメージ操作が実施されたか否かを判定し、前記鉱山機械の前記走行速度を示す走行速度データと、前記タイヤに作用する荷重を示す荷重データと、前記カーブの曲率半径とに基づいて、前記攻撃的コーナリング操作が実施されたか否かを判定する、
鉱山機械の管理システム。
【請求項4】
前記鉱山機械は、車両本体と前記車両本体に支持されるベッセルとを有するダンプトラックを含み、
前記タイヤに作用する荷重は、前記ベッセルに積載される積荷に基づいて変化する請求項又は請求項に記載の鉱山機械の管理システム。
【請求項5】
前記データ取得部は、前記ダメージ操作が実施された前記鉱山機械を示す鉱山機械識別データを取得し、
前記対応データは、前記鉱山機械識別データに対応付けられた前記ダメージ操作データを含む請求項1から請求項のいずれか一項に記載の鉱山機械の管理システム。
【請求項6】
前記データ取得部は、前記ダメージ操作が実施された時点を示す時点データを取得し、
前記対応データは、前記時点データに対応付けられた前記ダメージ操作データを含む請求項1から請求項のいずれか一項に記載の鉱山機械の管理システム。
【請求項7】
前記鉱山において複数の前記鉱山機械が走行した実走行経路の位置データに基づいて前記鉱山の基準走行経路を生成する走行経路演算部を備え、
前記データ取得部は、前記鉱山機械が前記基準走行経路に存在するときの前記ダメージ操作データを取得する請求項1から請求項のいずれか一項に記載の鉱山機械の管理システム。
【請求項8】
前記データ出力部は、前記対応データのレポートを作成するレポート作成部を含む請求項1から請求項のいずれか一項に記載の鉱山機械の管理システム。
【請求項9】
タイヤが装着され、運転者の操作により鉱山を走行するダンプトラックであって、
前記タイヤにダメージを与えるダメージ操作が実施されたか否かを判定する判定部と、
前記ダメージ操作の実施を示すダメージ操作データと、前記ダメージ操作を実施した前記運転者を示す運転者識別データ及び前記ダメージ操作が実施された前記鉱山機械の位置を示す位置データの一方又は両方と、を取得するデータ取得部と、
前記運転者識別データ及び前記位置データの一方又は両方に対応付けられた前記ダメージ操作データを含む対応データを出力するデータ出力部と、
前記鉱山機械の走行速度及び減速度を検出する速度検出装置と、
前記タイヤに作用する荷重を検出する荷重検出装置と、を備え、
前記ダメージ操作は、単位時間当たりに第1速度以上で前記鉱山機械を減速させる急減速操作を含み、
前記判定部は、前記速度検出装置の検出信号に基づいて、前記ダメージ操作が実施されたか否かを判定し、前記鉱山機械の前記減速度を示す減速度データと、前記タイヤに作用する荷重を示す荷重データとに基づいて、前記急減速操作が実施されたか否かを判定する、
ダンプトラック。
【請求項10】
タイヤが装着され、運転者の操作により鉱山を走行するダンプトラックであって、
前記タイヤにダメージを与えるダメージ操作が実施されたか否かを判定する判定部と、
前記ダメージ操作の実施を示すダメージ操作データと、前記ダメージ操作を実施した前記運転者を示す運転者識別データ及び前記ダメージ操作が実施された前記鉱山機械の位置を示す位置データの一方又は両方と、を取得するデータ取得部と、
前記運転者識別データ及び前記位置データの一方又は両方に対応付けられた前記ダメージ操作データを含む対応データを出力するデータ出力部と、
前記鉱山機械の走行速度及び減速度を検出する速度検出装置と、
前記タイヤの向きを変える操舵力を検出する操舵力検出装置と、を備え、
前記ダメージ操作は、第2速度以下で前記タイヤの向きを変えるすえ切り操作を含み、
前記判定部は、前記速度検出装置の検出信号に基づいて、前記ダメージ操作が実施されたか否かを判定し、前記鉱山機械の前記走行速度を示す走行速度データと、前記操舵力を示す操舵力データとに基づいて、前記すえ切り操作が実施されたか否かを判定する、
ダンプトラック。
【請求項11】
タイヤが装着され、運転者の操作により鉱山を走行するダンプトラックであって、
前記タイヤにダメージを与えるダメージ操作が実施されたか否かを判定する判定部と、
前記ダメージ操作の実施を示すダメージ操作データと、前記ダメージ操作を実施した前記運転者を示す運転者識別データ及び前記ダメージ操作が実施された前記鉱山機械の位置を示す位置データの一方又は両方と、を取得するデータ取得部と、
前記運転者識別データ及び前記位置データの一方又は両方に対応付けられた前記ダメージ操作データを含む対応データを出力するデータ出力部と、
前記鉱山機械の走行速度及び減速度を検出する速度検出装置と、
前記タイヤに作用する荷重を検出する荷重検出装置と、を備え、
前記ダメージ操作は、第3速度以上で所定値以下の曲率半径のカーブを前記鉱山機械に走行させる攻撃的コーナリング操作を含み、
前記判定部は、前記速度検出装置の検出信号に基づいて、前記ダメージ操作が実施されたか否かを判定し、前記鉱山機械の前記走行速度を示す走行速度データと、前記タイヤに作用する荷重を示す荷重データと、前記カーブの曲率半径とに基づいて、前記攻撃的コーナリング操作が実施されたか否かを判定する、
ダンプトラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱山機械の管理システム、鉱山機械の管理方法、及びダンプトラックに関する。
【背景技術】
【0002】
鉱山の採掘現場においては、特許文献1に開示されているような、タイヤを有する鉱山機械が稼動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/130866号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉱山機械が運転者に操作される場合、不適切な操作が実施されると、鉱山機械のタイヤにダメージを与える可能性がある。タイヤにダメージが与えられ、そのタイヤの耐用期間が短縮すると、鉱山の生産性の低下及び生産コストの増大をもたらす。
【0005】
本発明の態様は、タイヤの耐用期間の短縮を抑制できる鉱山機械の管理システム、鉱山機械の管理方法、及びダンプトラックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に従えば、タイヤが装着され、運転者の操作により鉱山を走行する鉱山機械の管理システムであって、前記タイヤにダメージを与えるダメージ操作が実施されたか否かを判定する判定部と、前記ダメージ操作の実施を示すダメージ操作データと、前記ダメージ操作を実施した前記運転者を示す運転者識別データ及び前記ダメージ操作が実施された前記鉱山機械の位置を示す位置データの一方又は両方と、を取得するデータ取得部と、前記運転者識別データ及び前記位置データの一方又は両方に対応付けられた前記ダメージ操作データを含む対応データを出力するデータ出力部と、を備える鉱山機械の管理システムが提供される。
【0007】
本発明の第1の態様において、前記鉱山機械の位置を検出する位置検出装置を備え、前記データ取得部は、前記位置検出装置から前記位置データを取得してもよい。
【0008】
本発明の第1の態様において、前記ダメージ操作は、単位時間当たりに第1速度以上で前記鉱山機械を減速させる急減速操作、第2速度以下で前記鉱山機械の前記タイヤの向きを変えるすえ切り操作、及び第3速度以上で所定値以下の曲率半径のカーブを前記鉱山機械に走行させる攻撃的コーナリング操作の少なくとも一つを含んでもよい。
【0009】
本発明の第1の態様において、前記鉱山機械の走行速度及び減速度を検出する速度検出装置を備え、前記判定部は、前記速度検出装置の検出信号に基づいて、前記ダメージ操作が実施されたか否かを判定してもよい。
【0010】
本発明の第1の態様において、前記タイヤに作用する荷重を検出する荷重検出装置を備え、前記ダメージ操作は、単位時間当たりに第1速度以上で前記鉱山機械を減速させる急減速操作を含み、前記判定部は、前記鉱山機械の前記減速度を示す減速度データと、前記タイヤに作用する荷重を示す荷重データとに基づいて、前記急減速操作が実施されたか否かを判定してもよい。
【0011】
本発明の第1の態様において、前記急減速操作によって前記タイヤに与えられるダメージ量を推測する第1推測部を備え、前記鉱山機械の減速度をA、前記タイヤに作用する荷重をLDとしたとき、前記第1推測部は、演算(LD×A)の結果に基づいて、前記ダメージ量を推測し、前記急減速操作の実施を示す急減速操作データは、前記第1推測部によって推測された前記ダメージ量を含んでもよい。
【0012】
本発明の第1の態様において、前記タイヤの向きを変える操舵力を検出する操舵力検出装置を備え、前記ダメージ操作は、第2速度以下で前記タイヤの向きを変えるすえ切り操作を含み、前記判定部は、前記鉱山機械の前記走行速度を示す走行速度データと、前記操舵力を示す操舵力データとに基づいて、前記すえ切り操作が実施されたか否かを判定してもよい。
【0013】
本発明の第1の態様において、前記すえ切り操作によって前記タイヤに与えられるダメージ量を推測する第2推測部を備え、前記タイヤに作用する荷重をLDとしたとき、前記第2推測部は、前記LDに基づいて、前記ダメージ量を推測し、前記すえ切り操作の実施を示すすえ切り操作データは、前記第2推測部によって推測された前記ダメージ量を含んでもよい。
【0014】
本発明の第1の態様において、前記タイヤに作用する荷重を検出する荷重検出装置を備え、前記ダメージ操作は、第3速度以上で所定値以下の曲率半径のカーブを前記鉱山機械に走行させる攻撃的コーナリング操作を含み、前記判定部は、前記鉱山機械の前記走行速度を示す走行速度データと、前記タイヤに作用する荷重を示す荷重データと、前記カーブの曲率半径とに基づいて、前記攻撃的コーナリング操作が実施されたか否かを判定してもよい。
【0015】
本発明の第1の態様において、前記攻撃的コーナリング操作によって前記タイヤに与えられるダメージ量を推測する第3推測部を備え、前記鉱山機械の走行速度をV、前記タイヤに作用する荷重をLD、前記カーブの曲率半径をRとしたとき、前記第3推測部は、演算(LD×V)/Rの結果に基づいて、前記ダメージ量を推測し、前記攻撃的コーナリング操作の実施を示す攻撃的コーナリング操作データは、前記第3推測部によって推測された前記ダメージ量を含んでもよい。
【0016】
本発明の第1の態様において、前記鉱山機械は、車両本体と前記車両本体に支持されるベッセルとを有するダンプトラックを含み、前記タイヤに作用する荷重は、前記ベッセルに積載される積荷に基づいて変化してもよい。
【0017】
本発明の第1の態様において、前記データ取得部は、前記ダメージ操作が実施された前記鉱山機械を示す鉱山機械識別データを取得し、前記対応データは、前記鉱山機械識別データに対応付けられた前記ダメージ操作データを含んでもよい。
【0018】
本発明の第1の態様において、前記データ取得部は、前記ダメージ操作が実施された時点を示す時点データを取得し、前記対応データは、前記時点データに対応付けられた前記ダメージ操作データを含んでもよい。
【0019】
本発明の第1の態様において、前記鉱山において複数の前記鉱山機械が走行した実走行経路の位置データに基づいて前記鉱山の基準走行経路を生成する走行経路演算部を備え、前記データ取得部は、前記鉱山機械が前記基準走行経路に存在するときの前記ダメージ操作データを取得してもよい。
【0020】
本発明の第1の態様において、前記データ出力部は、前記対応データのレポートを作成するレポート作成部を含んでもよい。
【0021】
本発明の第2の態様に従えば、タイヤが装着され、運転者の操作により鉱山を走行する鉱山機械の管理方法であって、前記タイヤにダメージを与えるダメージ操作が実施されたか否かを判定することと、前記ダメージ操作の実施を示すダメージ操作データと、前記ダメージ操作を実施した前記運転者を示す運転者識別データ及び前記ダメージ操作が実施された前記鉱山機械の位置を示す位置データの一方又は両方と、を取得することと、前記運転者識別データ及び前記位置データの一方又は両方に対応付けられた前記ダメージ操作データを含む対応データを出力することと、を含む鉱山機械の管理方法が提供される。
【0022】
本発明の第3の態様に従えば、タイヤが装着され、運転者の操作により鉱山を走行するダンプトラックであって、前記タイヤにダメージを与えるダメージ操作が実施されたか否かを判定する判定部と、前記ダメージ操作の実施を示すダメージ操作データと、前記ダメージ操作を実施した前記運転者を示す運転者識別データ及び前記ダメージ操作が実施された位置を示す位置データの一方又は両方と、を取得するデータ取得部と、前記運転者識別データ及び前記位置データの一方又は両方に対応付けられた前記ダメージ操作データを含む対応データを出力するデータ出力部と、を備えるダンプトラックが提供される。
【発明の効果】
【0023】
本発明の態様によれば、タイヤの耐用期間の短縮を抑制できる鉱山機械の管理システム、鉱山機械の管理方法、及びダンプトラックが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本実施形態に係る鉱山機械が稼動する鉱山の一例を模式的に示す図である。
図2図2は、本実施形態に係る管理システムの管理装置の一例を示す機能ブロック図である。
図3図3は、本実施形態に係るダンプトラックの一例を模式的に示す図である。
図4図4は、本実施形態に係るダンプトラックの制御システムの一例を示す機能ブロック図である。
図5図5は、本実施形態に係るダンプトラックの走行経路の一例を示す図である。
図6図6は、本実施形態に係る基準走行経路の一例を示す図である。
図7図7は、本実施形態に係る基準走行経路の一例を示す図である。
図8図8は、本実施形態に係る基準走行経路を用いて求められるダンプトラックの移動距離の一例を示す図である。
図9図9は、本実施形態に係る管理方法の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、本実施形態に係る出力装置の出力例を示す図である。
図11図11は、本実施形態に係る出力装置の出力例を示す図である。
図12図12は、本実施形態に係る出力装置の出力例を示す図である。
図13図13は、本実施形態に係る出力装置の出力例を示す図である。
図14図14は、本実施形態に係る出力装置の出力例を示す図である。
図15図15は、本実施形態に係る出力装置の出力例を示す図である。
図16図16は、本実施形態に係る出力装置の出力例を示す図である。
図17図17は、本実施形態に係る出力装置の出力例を示す図である。
図18図18は、本実施形態に係る出力装置の出力例を示す図である。
図19図19は、本実施形態に係る出力装置の出力例を示す図である。
図20図20は、本実施形態に係る出力装置の出力例を示す図である。
図21図21は、本実施形態に係る出力装置の出力例を示す図である。
図22図22は、本実施形態に係る出力装置の出力例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0026】
<鉱山及び鉱山機械>
図1は、本実施形態に係る鉱山機械が稼動する鉱山の一例を模式的に示す図である。
【0027】
鉱山機械は、鉱山の作業に使用される。鉱山機械は、運搬車両、掘削機械、及び積込機械の少なくとも一つを含む。本実施形態においては、鉱山機械が、主にダンプトラック20である例について説明する。ダンプトラック20は、運搬車両の一種であり、鉱山において積荷を運搬する。積荷は、砕石の採掘で発生した土砂又は岩石を含む。なお、鉱山機械は、ダンプトラック20に限定されない。鉱山機械は、掘削機械又は積込機械として機能する油圧ショベル、電気ショベル、及びホイールローダの少なくとも一つでもよい。
【0028】
本実施形態において、ダンプトラック20は、運転室(キャブ)を有する。ダンプトラック20は、運転室に搭乗した運転者(オペレータ)によって操作される。すなわち、本実施形態において、ダンプトラック20は、所謂、有人ダンプトラックである。ダンプトラック20は、運転者の操作により、鉱山を走行する。ダンプトラック20は、運転者の操作により、積荷を排出する。なお、ダンプトラック20が、管理システム1によって運行管理される無人ダンプトラックでもよい。
【0029】
ダンプトラック20は、タイヤ23Tを含む車輪23を有する。鉱山において、ダンプトラック20は、積荷の積込作業が行われる積込場LPA、積荷の排出作業が行われる排土場DPA、積込場LPAに通じる走行経路Rg、及び排土場DPAに通じる走行経路Rrの少なくとも一部を走行する。積込場LPAにおいて、ダンプトラック20は、油圧ショベルのような積込機械4によって積荷を積まれる。排土場DPAにおいて、ダンプトラック20は、積荷を排出する。ダンプトラック20は、走行経路Rg及び走行経路Rrの少なくとも一方を走行して、積込場LPAと排土場DPAとの間を移動する。
【0030】
<管理システムの概要>
次に、本実施形態に係る管理システム1の概要について説明する。管理システム1は、鉱山機械の運行の管理、鉱山機械の生産性の評価、鉱山機械の運転者の操作技術の評価、鉱山機械の予防保全、及び鉱山機械の異常診断の少なくとも一つを実施する。本実施形態においては、管理システム1が、主にダンプトラック20を管理する例について説明する。
【0031】
本実施形態において、管理システム1は、ダンプトラック20が走行した実走行経路に基づいて、鉱山の基準走行経路を生成する。また、本実施形態において、管理システム1は、ダンプトラック20のタイヤ23Tにダメージを与えるダメージ操作を管理する。
【0032】
管理システム1は、コンピュータシステムを含む管理装置10を有する。管理装置10は、鉱山の管理施設に設置される。管理装置10は、ダンプトラック20の稼動状態を示す稼動データをダンプトラック20から取得する。管理装置10は、無線通信により、ダンプトラック20から稼動データを取得する。
【0033】
管理装置10は、ダンプトラック20の稼動データを収集する。ダンプトラック20の稼動データは、ダンプトラック20の位置を示す位置データ、ダンプトラック20の走行状態を示す走行データ、及びダンプトラック20の異常を示す異常データの少なくとも一つを含む。
【0034】
ダンプトラック20の位置データは、ダンプトラック20の緯度、経度、及び高度の座標を含む。ダンプトラック20の位置データは、3次元の位置データを含む。
【0035】
ダンプトラック20の走行データは、ダンプトラック20の走行速度、走行の加速度(単位時間当たりの走行速度の上昇量)、走行の減速度(単位時間当たりの走行速度の低下量)、走行時間、及び走行距離の少なくとも一つを含む。
【0036】
管理装置10は、管理側無線通信装置18に接続される。管理側無線通信装置18は、アンテナ18Aを有する。ダンプトラック20は、車載無線通信装置27を有する。車載無線通信装置27は、アンテナ28Aを有する。管理側無線通信装置18及び車載無線通信装置27により、管理装置10とダンプトラック20との間でデータが通信される。管理装置10は、管理側無線通信装置18及び車載無線通信装置27を介して、鉱山で作業するダンプトラック20の稼動データを収集する。ダンプトラック20は、管理側無線通信装置18及び車載無線通信装置27を介して、管理装置10との間でデータを通信する。
【0037】
ダンプトラック20は、GPS衛星5からの電波を受信するアンテナ28Bを有する。GPS衛星5は、全地球航法衛星システムを構成する。GPS衛星5は、GNSS(Global Navigation Satellite Systems)用衛星である。アンテナ28Bは、GNSS用アンテナである。ダンプトラック20は、アンテナ28Bで受信した電波に基づいて、自己の位置を計測する。なお、ダンプトラック20が自己の位置を計測する衛星は、GNSS衛星に限られず、他の測位用衛星が用いられてもよい。例えば、RTK−GNSS(Real Time Kinematic - Global Navigation Satellite Systems)用衛星が用いられてもよい。
【0038】
ダンプトラック20がアンテナ28Aから送信する電波の出力は、鉱山全域をカバーできるほどの通信可能範囲を有していない。また、アンテナ28Aから送信する電波は、波長の関係から高い山などの障害物を越えて遠方まで送信することができない。もちろん、高出力の電波を出力できる無線通信装置を用いれば、このような通信障害が解消し、通信可能範囲は広がり通信不可能な場所をなくすことはできる。しかし、鉱山は広大であるため、中継器や通信装置のコストを抑える必要があること及び鉱山がある地域によっては整備された通信インフラを確保することが期待できないといった状況に対応する必要がある。このために、管理システム1は、無線LAN(Local Area Network)等の、限られた範囲内でデータ通信網を形成できる無線システムを用いる。無線LANなどによれば、低コストで鉱山機械と管理施設(管理装置10)との相互通信を整えることは可能ではあるものの通信障害の問題を解決する必要がある。なお、無線システムは、無線LANに限定されない。無線システムとして、携帯電話網のような通信インフラが使用されてもよい。
【0039】
ダンプトラック20がアンテナ28Aから送信する電波の到達範囲は限られている。したがって、ダンプトラック20と管理装置10との距離が離れていたり、両者間に山M等の障害物が存在していたりすると、管理側無線通信装置18は、ダンプトラック20から送信される電波を受信することが困難になる。このため、管理システム1は、ダンプトラック20のアンテナ28Aから送信される電波を中継して、管理側無線通信装置18に送信する中継器3を有している。鉱山内の複数の所定箇所に中継器3を設置することにより、管理装置10は、自身から離れた位置で稼動しているダンプトラック20から、無線通信を用いて稼動データを収集することができる。
【0040】
中継器3から管理側無線通信装置18までの距離が遠い場合、中継器3と管理側無線通信装置18との間に、両者を中継するための中間中継器6が配置される。本実施形態において、中間中継器6は、中継器3と管理側無線通信装置18とを中継するのみであり、ダンプトラック20がアンテナ28Aから送信する電波を中継するものではない。本実施形態において、中間中継器6は、対応する中継器3以外からは電波を中継しないようになっている。例えば、図1に示すように、給油所2の中継器3からの電波を中継するのは、1台の中間中継器6のみである。なお、中間中継器6は、図1では、1つの中継器3と一対一の関係であるように表現しているが、一対一の関係に限定されるものではなく、各中間中継器6は、対応する複数の中継器3から送られる電波を中継することができる。
【0041】
中継器3の配置場所を中心とする周囲の所定領域、図1では円形で示される領域は、ダンプトラック20が備える第1無線通信装置が中継器3との間で相互に無線通信が可能な範囲、すなわち、通信可能範囲7である。通信可能範囲7に存在しているダンプトラック20は、中継器3等を介して管理側無線通信装置18と相互に無線通信することができる。前述した第1無線通信装置は、図3に示される車載無線通信装置27である。
次に、管理装置10について、より詳細に説明する。
【0042】
<管理装置>
次に、本実施形態に係る管理装置10の一例について説明する。図2は、本実施形態に係る管理システム1の管理装置10の一例を示す機能ブロック図である。
【0043】
管理装置10は、コンピュータシステムを含む。図2に示すように、管理装置10は、管理側処理装置12と、管理側記憶装置13と、入出力部(I/O)15と、を有する。また、管理装置10は、出力装置16と、入力装置17と、管理側無線通信装置18と、を有する。管理側処理装置12は、入出力部15を介して、出力装置16、入力装置17、及び管理側無線通信装置18と接続される。
【0044】
管理側処理装置12は、CPU(Central Processing Unit)を含む。管理側記憶装置13は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、及びハードディスクドライブの少なくとも一つを含む。入出力部15は、管理側処理装置12と、出力装置16、入力装置17、及び管理側無線通信装置18とのインターフェースに使用される。
【0045】
管理側処理装置12は、走行経路演算部12aと、推測部12bと、タイマー12cと、判定部12dと、データ取得部12eと、データ出力部12fと、を含む。
【0046】
走行経路演算部12aは、鉱山の複数のダンプトラック20のそれぞれから取得した実走行経路の位置データに基づいて、鉱山の基準走行経路を生成する。実走行経路は、ダンプトラック20が実際に走行した走行経路である。走行経路演算部12aは、実走行経路の位置データを新たに取得した場合、その新たに取得した実走行経路の位置データを用いて、基準走行経路を再生成する。
【0047】
推測部12bは、ダンプトラック20が走行する基準走行経路のカーブの曲率半径、基準走行経路におけるダンプトラック20の走行速度、走行するダンプトラック20の減速度(負の加速度)、及びダンプトラック20に装着されているタイヤ23Tに作用する荷重の少なくとも一つに基づいて、タイヤ23Tに与えられるダメージ量DMを推測する。
【0048】
タイマー12cは、時刻(時点)及び時間を計測する。
【0049】
判定部12dは、ダンプトラック20が走行する基準走行経路のカーブの曲率半径、基準走行経路におけるダンプトラック20の走行速度、走行するダンプトラック20の減速度(負の加速度)、ダンプトラック20に装着されているタイヤ23Tに作用する荷重、及びタイヤ23Tの向きを変える操舵力の少なくとも一つに基づいて、タイヤ23Tにダメージを与えるダメージ操作が実施されたか否かを判定する。
【0050】
データ取得部12eは、タイヤにダメージを与えるダメージ操作の実施を示すダメージ操作データ、ダメージ操作を実施した運転者を示す運転者識別データ、ダメージ操作が実施されたダンプトラック20の基準走行経路における位置データ、ダメージ操作が実施されたダンプトラック20を示すダンプトラック識別データ、及びダメージ操作が実施された時点を示す時点データの少なくとも一つを取得する。
【0051】
データ出力部12fは、運転者識別データに対応付けられたダメージ操作データを含む対応データを出力する。データ出力部12fは、位置データに対応付けられたダメージ操作データを含む対応データを出力する。なお、データ出力部12fから出力される対応データは、ダンプトラック識別データに対応付けられたダメージ操作データを含んでもよい。データ出力部12fから出力される対応データは、時点データに対応付けられたダメージ操作データを含んでもよい。データ出力部12fは、対応データを出力装置16に出力する。
【0052】
データ出力部12fは、対応データのレポートを作成するレポート作成部として機能する。また、データ出力部12fは、推測部12bによって推測されたダンプトラック20のタイヤ23Tのダメージ量DMのレポートを作成可能である。データ出力部12fは、作成したレポートを出力装置16に出力する。
【0053】
管理側記憶装置13は、管理側処理装置12の処理を実行するためのコンピュータプログラムを記憶する。管理側記憶装置13に記憶されているコンピュータプログラムは、ダンプトラック20の実走行経路の位置データから基準走行経路を生成する基準走行経路生成用コンピュータプログラム、及びダンプトラック20の稼動データを収集する稼動データ収集用コンピュータプログラムを含む。
【0054】
管理側記憶装置13は、LP/DPデータベース14RD、基準走行経路データベース14CS、及び稼働情報データベース14Iを記憶する。LP/DPデータベース14RDは、ダンプトラック20の積込場LPA及び排土場DPAの位置データを保持する。基準走行経路データベース14CSは、走行経路演算部12aで生成された基準走行経路データを保持する。稼働情報データベース14Iは、ダンプトラック20から収集した稼動データを保持する。
【0055】
出力装置16は、データ出力部12fから出力されデータを可視化する。出力装置16は、データ出力部12fから出力された対応データを出力(可視化)する。出力装置16は、データ出力部12fから出力されたレポートを出力(可視化)する。本実施形態において、出力装置16は、表示装置16A及び印刷装置16Bを含む。表示装置16Aは、液晶ディスプレイのようなフラットパネルディスプレイを含み、対応データ又はレポートを表示する。印刷装置16Bは、インクジェットプリンタのようなプリンタ装置を含み、対応データ又はレポートを印刷する。表示装置16Aは、対応データを表示して、その対応データを可視化する。表示装置16Aは、レポートを表示して、そのレポートを可視化する。印刷装置16Bは、対応データを印刷して、その対応データを可視化する。印刷装置16Bは、レポートを印刷して、その対応データを可視化する。なお、出力装置16は、データ出力部12fから出力されデータを音声で出力(可聴化)してもよい。
【0056】
入力装置17は、例えば、キーボード、タッチパネル、及びマウスのような入力デバイスを含む。
【0057】
管理側無線通信装置18は、アンテナ18Aを有する。管理側無線通信装置18は、ダンプトラック20の車載無線通信装置27との間で無線通信する。
【0058】
<ダンプトラック>
次に、本実施形態に係るダンプトラック20の一例について説明する。図3は、本実施形態に係るダンプトラック20の一例を模式的に示す図である。ダンプトラック20は、車両本体21と、車両本体21に支持されるベッセル22と、タイヤ23T及びホイール23Hを含む車輪23と、サスペンションシリンダ24と、回転センサ25と、圧力センサ(サスペンション圧力センサ)26と、無線通信用のアンテナ28Aが接続された車載無線通信装置27と、GNSS用のアンテナ28Bが接続された位置検出装置29と、車載データ収集装置30と、を備えている。本実施形態において、位置検出装置29は、GNSS用の受信機を含む。
【0059】
本実施形態において、ダンプトラック20は、リジッド式のダンプトラックである。なお、ダンプトラック20が、前部と後部とに分割された車体と、車体の前部と後部とを結合する自由関節とを有するアーティキュレート式ダンプトラックでもよい。
【0060】
ダンプトラック20は、ディーゼルエンジンのようなエンジン(内燃機関)34Gを有する。エンジン34Gは、トルクコンバータ34TC及びトランスミッション34TMを介して、ドライブシャフト34DSを駆動する。ドライブシャフト34DSの駆動により、車輪23が駆動する。
【0061】
本実施形態において、ダンプトラック20は、所謂、機械駆動方式である。なお、ダンプトラック20の駆動方式は、機械駆動方式でなくてもよい。ダンプトラック20の駆動方式は、所謂、電気駆動方式でもよい。
【0062】
ベッセル22は、荷台として機能する。ベッセル22に積荷が積載される。ベッセル22は、車両本体21の上部に傾動可能に配置される。積込機械4は、ベッセル22に積荷を積載する。
【0063】
車輪23は、タイヤ23Tと、タイヤ23Tが支持されるホイール23Hと、を含む。車輪23は、車両本体21に回転可能に装着される。
【0064】
サスペンションシリンダ24は、車輪23と車両本体21との間に配置される。サスペンションシリンダ24の内部に作動油が封入されている。サスペンションシリンダ24は、積荷の重量に応じて伸縮する。車両本体21及びベッセル22(積荷を含む)の質量に応じた負荷が、サスペンションシリンダ24を介して車輪23に作用する。
【0065】
回転センサ25は、車輪23を駆動するドライブシャフト34DSの回転速度を検出して、ダンプトラック20の走行速度(車速)を検出する。
【0066】
圧力センサ26は、サスペンションシリンダ24に作用する負荷を検出する。圧力センサ26は、ダンプトラック20のサスペンションシリンダ24に設けられる。圧力センサ26は、サスペンションシリンダ24の作動油の圧力を検出して、積荷の重量(積載量)を検出する。圧力センサ26は、ダンプトラック20に装着されたタイヤ23T(車輪23)に作用する荷重を検出する。
【0067】
GNSS用のアンテナ28Bは、GNSS(Global Navigation Satellite Systems)を構成する複数のGPS衛星5から出力される電波を受信する。アンテナ28Bは、受信した電波を位置検出装置29に出力する。位置検出装置29は、アンテナ28Bが受信した電波を電気信号に変換して、自己の位置を算出する。位置検出装置29は、ダンプトラック20に配置されている。位置検出装置29が自己の位置を算出することによって、ダンプトラック20の位置が算出される。位置検出装置29は、ダンプトラック20の位置データを取得する。
【0068】
ダンプトラック20の位置データは、緯度、経度、及び高度の座標を含む。ダンプトラック20の位置データは、ダンプトラック20の3次元の位置データである。位置検出装置29は、所定時間毎にダンプトラック20の位置データを取得する。ダンプトラック20の実走行経路データは、所定時間毎に取得されたダンプトラック20の複数の位置データを含む。
【0069】
なお、ダンプトラック20の位置データは、位置検出装置29によって取得されなくてもよい。例えば、ダンプトラック20の走行速度を検出する速度センサ、ダンプトラック20の加速度を検出する加速度センサ、及びダンプトラック20の姿勢を検出する姿勢検出センサの少なくとも一つのセンサから取得されるデータに基づいて、ダンプトラック20の位置データが求められてもよい。
【0070】
車載無線通信装置27は、管理装置10の管理側無線通信装置18と無線通信する。
【0071】
<ダンプトラックの制御システム>
次に、本実施形態に係るダンプトラック20の制御システム19の一例について説明する。図4は、本実施形態に係るダンプトラック20の制御システム19の一例を示す機能ブロック図である。
【0072】
制御システム19は、ダンプトラック20の稼動データを収集する車載データ収集装置30と、車載記憶装置31と、を備えている。車載データ収集装置30は、ダンプトラック20に搭載される。車載データ収集装置30は、コンピュータシステムを含む。車載データ収集装置30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む。車載記憶装置31は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、及びハードディスクドライブの少なくとも一つを含む。
【0073】
制御システム19は、ダンプトラック20の稼動データを取得する状態取得装置50を有する。車載データ収集装置30は、状態取得装置50と接続される。車載データ収集装置30は、状態取得装置50から稼動データを収集する。
【0074】
車載データ収集装置30は、車載記憶装置31と接続される。車載データ収集装置30は、車載無線通信装置27と接続される。車載データ収集装置30で収集されたダンプトラック20の稼動データは、車載記憶装置31に記憶される。車載データ収集装置30で収集されたダンプトラック20の稼動データは、車載無線通信装置27を介して、管理装置10に送信される。
【0075】
状態取得装置50は、ダンプトラック20の稼動データを取得する複数の装置を含む。状態取得装置50は、ダンプトラック20の位置を検出する位置検出装置29と、ダンプトラック20の走行速度、加速度、及び減速度を検出する速度検出装置39と、タイヤ23Tに作用する荷重を検出する荷重検出装置41と、ダンプトラック20を操作する運転者の識別データ(運転者識別データ)を取得する運転者ID取得装置38と、ダンプトラック20の識別データ(ダンプトラック識別データ)を取得するダンプトラックID取得装置40と、タイヤ23T(車輪23)の向きを変える操舵力を検出する操舵力検出装置33Dと、を含む。
【0076】
また、状態取得装置50は、エンジン制御装置32A、走行制御装置32B、油圧制御装置32C、及び操舵装置32Dを含む。車載データ収集装置30は、このような状態取得装置50からダンプトラック20の様々な稼動データを取得し、取得したこれらのデータを稼動データとして収集する。
【0077】
位置検出装置29は、GNSS用のアンテナ28Bを含み、アンテナ28Bで受信した電波に基づいて、ダンプトラック20の位置を検出する。位置検出装置29で検出されたダンプトラック20の位置データは、車載無線通信装置27及び管理側無線通信装置18を介して、管理装置10に出力される。また、ダンプトラック20の位置データは、車載記憶装置31に記憶される。
【0078】
速度検出装置39は、回転センサ25を含み、ダンプトラック20の走行速度(車速)、加速度(正の加速度)、及び減速度(負の加速度)を検出する。ダンプトラック20の加速度は、単位時間当たりの走行速度の上昇量を含む。ダンプトラック20の減速度は、単位時間当たりの走行速度の低下量を含む。速度検出装置39で検出されたダンプトラック20の走行速度データ、ダンプトラック20の加速度データ、及びダンプトラック20の減速度データは、車載無線通信装置27及び管理側無線通信装置18を介して、管理装置10に出力される。また、ダンプトラック20の走行速度データ、加速度データ、及び減速度データは、車載記憶装置31に記憶される。
【0079】
荷重検出装置41は、圧力センサ26を含み、タイヤ23Tに作用する荷重を検出する。荷重検出装置41で検出されたダンプトラック20のタイヤ23Tに作用する荷重データは、車載無線通信装置27及び管理側無線通信装置18を介して、管理装置10に出力される。また、タイヤ23Tに作用する荷重データは、車載記憶装置31に記憶される。
【0080】
荷重検出装置41は、圧力センサ26が検出したサスペンションシリンダ24の作動油に作用する圧力を取得することにより、ベッセル22に積載された積荷の重量データを取得する。サスペンションシリンダ24は、複数の車輪23のそれぞれに配置される。圧力センサ26は、複数のサスペンションシリンダ24のそれぞれに配置される。荷重検出装置41は、複数のサスペンションシリンダ24のそれぞれに配置された圧力センサ26の検出信号に基づいて、積荷の重量データ(積載量データ)を取得する。
【0081】
また、荷重検出装置41は、圧力センサ26が検出したサスペンションシリンダ24の作動油に作用する圧力の変化に基づいて、ダンプトラック20のベッセル22の積荷の有無を検出することができる。また、荷重検出装置41は、圧力センサ26が検出したサスペンションシリンダ24の作動油に作用する圧力の変化に基づいて、ベッセル22から積荷が排出前であるか排出中であるか排出後であるかを検出することができる。
【0082】
すなわち、本実施形態においては、ベッセル22に積載される積荷に基づいて、タイヤ23Tに作用する荷重が変化する。荷重検出装置41は、ベッセル22の積荷の重量に応じて変化するタイヤ23Tに作用する荷重を検出可能である。荷重検出装置41は、ベッセル22の積荷の有無を検出可能である。荷重検出装置41は、ベッセル22に積荷が有るときのタイヤ23Tに作用する荷重、及びベッセル22に積荷が無いときのタイヤ23Tに作用する荷重を検出可能である。
【0083】
圧力センサ26が検出した圧力が上昇し、所定の値(例えば、ダンプトラック20の規定積載量の半分に相当する値)を超えた場合、荷重検出装置41は、積込場LPAで積荷を積み込まれていると判断することができる。また、圧力センサ26が検出した圧力が低下し、所定の値(例えば、ダンプトラック20の規定積載量の1/4に相当する値)を下回った場合、荷重検出装置41は、排土場DPAで排土している(あるいは排土された)と判断することができる。圧力センサ26が検出した圧力を用いることに加え、例えば、ダンプレバー33Cの操作状態(操作位置あるいは操作量)又はダンプトラック20の位置データ等を併用して、排土又は積載判定することにより、ベッセル22に対する積荷の積載の状態を判定する精度を向上させることができる。なお、ダンプレバー33Cの操作状態のみに基づいて排土作業の判断をしてもよい。
【0084】
車載データ収集装置30は、圧力センサ26が検出したサスペンションシリンダ24の作動油に作用する圧力を取得することにより、サスペンションシリンダ24の上方からそれぞれのタイヤ23T(車輪23)に作用する荷重を把握することができる。サスペンションシリンダ24とそれぞれの車輪23との間にある構造物の質量を、それぞれの車輪23に配分することにより、前述した構造物がそれぞれの車輪23に与える荷重を求めることができる。それぞれの車輪23に作用する荷重は、前述した構造物がそれぞれの車輪23に与える荷重と、サスペンションシリンダ24の上方からそれぞれの車輪23に作用する荷重との和である。車載データ収集装置30は、それぞれの車輪23に作用する荷重を求めて、稼動データとして車載記憶装置31に記憶する。
【0085】
運転者ID取得装置38は、ダンプトラック20の運転者を特定するための運転者識別データを取得する。ダンプトラック20は、複数の運転者により交代で運転されることがある。運転者識別データは、例えば、個々の運転者のIDキー(運転者識別データが記憶された電子キー)又は個々の運転者のIDカード(運転者識別データが記憶されたカード)から取得することができる。この場合、運転者ID取得装置38は、磁気読み取り装置又は無線通信装置等が用いられる。また、運転者ID取得装置38として指紋認証装置を備え、予め記憶した運転者の指紋と、個々の運転者の指紋との指紋認証を行い、運転者識別データを取得することもできる。また、個々の運転者が、入力装置で自身の運転者識別データ(暗証番号等の運転者識別データ)を入力し、予め記憶されているIDデータとの照合によっても運転者識別データを取得することができる。このように、運転者ID取得装置38は、IDキー又はIDカードの読み取り装置、指紋認証装置又はIDデータ入力装置等であり、ダンプトラック20の運転室内の運転席近傍に設けていてもよいし、運転者が運転室にアクセスする際に近づく車両本体21の任意の場所に設けてもよい。なお、鉱山の日々の生産計画にしたがって、各ダンプトラック20に搭乗する運転者の運転者識別データが、管理装置10から無線通信でダンプトラック20に送信されることもある。この場合、車載無線通信装置27が運転者ID取得装置38を兼ねることになる。運転者ID取得装置38が取得した運転者識別データにより、どの運転者がダンプトラック20を運転しているかを特定することができる。運転者ID取得装置38で取得された運転者識別データは、車載無線通信装置27及び管理側無線通信装置18を介して、管理装置10に出力される。また、運転者ID取得装置38で取得された運転者識別データは、車載記憶装置31に記憶される。
【0086】
ダンプトラックID取得装置40は、ダンプトラック20を特定するためのダンプトラック識別データを取得する。鉱山において、複数のダンプトラック20が稼動する。複数のダンプトラック20のそれぞれに、ダンプトラック識別データが付与される。ダンプトラックID取得装置40で取得されたダンプトラック識別データは、車載無線通信装置27及び管理側無線通信装置18を介して、管理装置10に出力される。また、ダンプトラックID取得装置40で取得されたダンプトラック識別データは、車載記憶装置31に記憶される。
【0087】
操舵装置32Dは、ダンプトラック20の操舵輪(本実施形態おいては、前方の車輪23)を操舵する。操舵装置32Dは、車輪23(タイヤ23T)の向きを変えるための操舵力を発生する油圧シリンダを含む。
【0088】
操舵力検出装置33Dは、操舵輪(タイヤ23T)の向きを変える操舵力を検出する。本実施形態において、操舵力検出装置33Dは、操舵装置32Dの油圧シリンダの作動油の圧力を、操舵力として検出する。操舵力検出装置33Dで検出された操舵力データは、車載無線通信装置27及び管理側無線通信装置18を介して、管理装置10に出力される。また、操舵力検出装置33Dで検出された操舵力データは、車載記憶装置31に記憶される。
【0089】
また、車載データ収集装置30は、エンジン制御装置32Aから燃料噴射装置(FI)34Fの制御量を取得することにより、燃料噴射量を示すデータを取得することができる。燃料噴射量を示すデータによって、燃費に関するデータを得ることができる。また、車載データ収集装置30は、エンジン制御装置32Aを介してアクセル33Aの操作量を示すデータを取得することができる。ダンプトラック20の運転者によるアクセル33Aの操作量を示すデータにより、ダンプトラック20の運転者の操作状態を把握することができる。また、車載データ収集装置30は、エンジン制御装置32Aから、エンジン34Gの回転速度、冷却水温度、及び潤滑油圧力等といった各種データを取得することができる。エンジン34Gの回転速度のデータは、エンジン34Gの出力軸に取り付けられた回転センサ等により検出された回転速度により取得され、冷却水温度及び潤滑油圧力等といった各種データも、図示しない温度センサ又は圧力センサにより取得される。
【0090】
また、車載データ収集装置30は、走行制御装置32Bから走行装置37の各種データを得ることができる。本実施形態において、ダンプトラック20は機械駆動方式であるため、走行装置37は、図3に示すエンジン34Gによって駆動されるトルクコンバータ34TC、トランスミッション34TM、及びこのトランスミッション34TMからの駆動力を図3に示す車輪23に伝達するドライブシャフト34DSを含む。
【0091】
走行装置37の各種データは、例えば、前述したトランスミッション34TMの速度段切替状態及び出力軸回転速度並びにドライブシャフト34DSの回転速度等である。また、車載データ収集装置30は、走行制御装置32Bを介してシフトレバー33Bの操作位置又は操作量を取得することにより、ダンプトラック20の運転者の操作状態を把握することができる。シフトレバー33Bは、運転者がダンプトラック20の前進、後進又は走行速度段の変更を走行制御装置32Bに対して指示する際に用いられるものである。
【0092】
さらに、車載データ収集装置30は、油圧制御装置32Cから作動油コントロールバルブ35の開閉状態を取得することができる。この例において、作動油コントロールバルブ35はベッセル22を傾動させるホイストシリンダ(油圧シリンダ)36に、エンジン34Gが稼動することにより駆動されるオイルポンプ34Pから吐出される作動油を供給したり、ホイストシリンダ36から作動油を排出したりする。このため、車載データ収集装置30は、作動油コントロールバルブ35の開閉状態に基づいて、ベッセル22の傾動状態を把握することができる。ベッセル22は、運転者がダンプレバー33Cを操作することにより傾動する。このため、車載データ収集装置30は、油圧制御装置32Cを介してダンプレバー33Cの操作量又は操作位置を取得することによっても、ベッセル22の傾動状態を把握することができる。
【0093】
車載記憶装置31は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ若しくはハードディスクドライブ等又はこれらを組み合わせて構成されている。車載記憶装置31は、車載データ収集装置30が稼動データを収集するための命令が記述されたコンピュータプログラム及び管理システム1を運用するための各種設定値等を記憶している。車載データ収集装置30は、コンピュータプログラムを読み出し、所定のタイミングで各状態取得装置から稼動データを取得して、車載記憶装置31に一時的に記憶させる。このとき、車載データ収集装置30は、同一項目のデータについて平均値、最頻値又は標準偏差等を求める統計処理を施したりしてもよい。
【0094】
以上のように、本実施形態において、稼動データは、ダンプトラック20の位置を示す位置データ、ダンプトラック20の走行速度を示す走行速度データ、ダンプトラック20の加速度を示す加速度データ、ダンプトラック20の減速度を示す減速度データ、タイヤ23Tに作用する荷重を示す荷重データ、ダンプトラック20の運転者を示す運転者識別データ、ダンプトラック20を示すダンプトラック識別データ、及びタイヤ23Tの向きを変える操舵力を示す操舵力データを含む。
【0095】
また、本実施形態において、車載データ収集装置30にタイマー42が接続されており、稼動データは、タイマー42によって計測される時点データ(時間データ)を含む。
【0096】
また、本実施形態において、稼動データは、排土データ、積込データ、燃費データ、操作履歴データ、及びイベントデータを含む。イベントデータは、異常運転データ、車両エラーデータ、及び特定運転操作データを含む。これら稼動データも、管理装置10に出力され、車載記憶装置31に記憶される。なお、これらの稼動データは例示であり、稼動データはこれらに限定されるものではない。
【0097】
ダンプトラック20の位置を示す位置データ、ダンプトラック20の走行速度を示す走行速度データ、ダンプトラック20の加速度を示す加速度データ、ダンプトラック20の減速度を示す減速度データ、タイヤ23Tに作用する荷重を示す荷重データ、ダンプトラック20の運転者を示す運転者識別データ、ダンプトラック20を示すダンプトラック識別データ、及びタイヤ23Tの向きを変える操舵力を示す操舵力データを含む稼動データは、時点(時間経過)に対応付けて管理装置10に出力され、車載記憶装置31に記憶される。
【0098】
本実施形態においては、車載データ収集装置31で収集された稼動データは、時点に対応付けて車載記憶装置31に記憶される。車載データ収集装置30は、管理装置10からの要求信号を、車載無線通信装置27を介して受信する。要求信号を受信することにより、車載データ収集装置30は、車載無線通信装置27を介して、車載記憶装置31に記憶された稼動データを管理装置10へ送信する。
【0099】
<走行経路>
次に、本実施形態に係るダンプトラック20の走行経路について説明する。図5は、本実施形態に係るダンプトラックの走行経路の一例を示す図である。ダンプトラック20は、図5に示す排土場DPAで積荷を下ろした後、積込場LPAに向かって走行する。積込場LPAに到着したダンプトラック20は、油圧ショベル等の積込用の鉱山機械によって積荷がベッセル22に積み込まれる。積荷が積み込まれたダンプトラック20は、排土場DPAに向かって走行する。排土場DPAに到着したダンプトラック20は、排土場DPAで積荷を下ろす。このように、ダンプトラック20が所定の場所から積込場LPAに向かって出発し、積込場LPAで積荷を積み込まれた後、排土場DPAに到着して積荷を下ろすまでの一連の作業を、ダンプトラック20の運搬作業の1サイクルとする。ダンプトラック20が積込場LPAに向かって出発する所定の場所を第1位置といい、積込場LPAを第2位置、排土場DPAの積荷が下ろされる位置を第3位置という。本実施形態において、第1位置は、排土場DPA内の所定の位置であってもよいし、排土場DPAとは異なる所定の位置であってもよい。
【0100】
運搬作業の1サイクルにおいてダンプトラック20が走行した実走行経路CSrのうち、ダンプトラック20が第1位置としての走行開始位置SPrから積込場LPAにおいて積荷の積込を受ける第2位置としての積込位置LPrに移動する経路を往路CSr1という。また、実走行経路CSrのうち、ダンプトラック20が第2位置としての積込位置LPrから、排土場DPAにおいて積荷を下ろす第3位置としての排土位置DPrに移動する経路を復路CSr2という。往路CSr1は、走行開始位置SPrを起点とし、積込位置LPrを終点とする。復路CSr2は、積込位置LPrを起点とし、排土位置DPrを終点とする。
【0101】
ダンプトラック20に搭載されている位置検出装置29は、ダンプトラック20が走行開始位置SPrを出発して積込位置LPrに到達し、その後、排土位置DPrに至るまでの間、ダンプトラック20の位置データPIを求める。位置データPIは、GNSSにより得られたダンプトラック20の位置のデータである。位置検出装置29は、例えば、所定時間(例えば、1秒)毎にダンプトラック20の現在の位置データを取得し、車載記憶装置31に記憶させる。位置検出装置29によって得られた複数の位置データPIの群(以下、適宜位置データ群という)は、ダンプトラック20の実走行経路CSrに含まれる。このため、実走行経路CSrは、複数の位置データPIによって表現することができる。
【0102】
<基準走行経路の生成>
図6は、基準走行経路CSBを示す図である。ダンプトラック20は、走行すると車輪23、より具体的にはタイヤ23Tが摩耗する。走行によりタイヤ23Tが受けるダメージ(以下、適宜タイヤダメージと称する)は、ダンプトラック20の走行速度、タイヤ23Tに作用する荷重、及びダンプトラック20が走行した実走行経路CSrのカーブの曲率半径と相関が高い。このため、図2に示される管理装置10の推測部12bがタイヤダメージを推定するためには、ダンプトラック20が走行した走行経路のデータが必要になる。
【0103】
鉱山によっては、計画に基づく走行経路データに沿ってダンプトラック20が走行する走行経路を施工しているものがある。しかし、計画に基づく走路データを有さない鉱山もある。また、鉱石の採掘の進行に応じてダンプトラック20の走行経路が変更されることもある。このため、鉱山においては、ダンプトラック20の位置データPIが得られても、走行経路の形状は得られないことがある。
【0104】
本実施形態においては、図2に示す管理装置10の走行経路演算部12aが、GNSSにより得られたダンプトラック20の位置データPIをダンプトラック20から取得する。そして、走行経路演算部12aは、取得した複数の位置データPIから、例えば、最小二乗法を用いて近似曲線を生成する。この近似曲線を、基準走行経路とする。図6に示す例において、走行経路演算部12aは、GNSSにより得られた複数の位置データPI1(X1、Y1、Z1)、PI2(X2、Y2、Z2)、・・・PIn(Xn、Yn、Zn)から、最小二乗法により実線で示される近似曲線を求める。位置データPIは、3次元の位置データである。この近似曲線が基準走行経路CSBとなる。得られた基準走行経路CSBは、図2に示される管理装置10の管理側記憶装置13の基準走行経路データベース14CSに記憶される。基準走行経路CSBは、緯度、経度及び高度の座標の集合である。
【0105】
GNSSに固有の精度ばらつきにより、異なるダンプトラック20又は同一のダンプトラック20が同一の走路を走行している場合、得られた位置データPIからは異なった形状又は曲率半径の基準走行経路CSBが生成される可能性がある。この場合、同一のコーナーであっても形状又は曲率が異なる可能性がある。また、ダンプトラック20がGNSSから取得した位置データPIを、管理装置10がダンプトラック20から取得する場合、通信回線による通信量の限界から、管理装置10が取得できる位置データPIのデータ量は制限される。
【0106】
このため、管理装置10は、ダンプトラック20の位置検出装置29がGNSSを用いて検出したダンプトラック20の位置データPIすべての転送を受けるのではなく、一部を取得して基準走行経路CSBを生成する。例えば、ダンプトラック20の位置検出装置29は、0.1秒周期でGNSSから位置データPIを取得するが、管理装置10は、例えば10秒周期でダンプトラックから位置データPIを取得する。結果として、管理装置10が取得する位置データPIのデータ量が少なくなるので、走行経路演算部12aは、少ない位置データPIから基準走行経路CSBを生成することになり、精度低下を招く可能性がある。
【0107】
このため、管理装置10の走行経路演算部12aは、鉱山で稼動する複数のダンプトラック20から、複数のタイミングで位置データPIを取得し、得られた複数の位置データPIから基準走行経路CSBを求める。その結果、走行経路演算部12aは、多くの位置データPIを近似して基準走行経路CSBを求めることができるので、基準走行経路CSBの精度低下を抑制できる。
【0108】
走行経路演算部12aが基準走行経路CSBを生成する場合、基準走行経路CSBからの偏差が所定の閾値(例えば3m)よりも大きい位置データであるPIa、PIb、及びPIcは、最小二乗法による近似計算において除外される。このようにすることで、走行経路演算部12aは、生成する基準走行経路CSBの精度を向上させることができる。
【0109】
このように、本実施形態において、走行経路演算部12aは、複数のダンプトラック20からの粒度の粗いGNSSの位置データPIを集め、漠然とした走行経路の形状から基準走行経路CSBの形状を作り出す。このとき、走行経路演算部12aは、偏差の大きい位置データPIa、PIb、及びPIcは、例えば、GNSSの受信状態が不良であるときのデータとして取り除くことにより、より確かな基準走行経路CSBを生成する。
【0110】
走行経路演算部12aは、複数のダンプトラック20からこれらが走行したときの位置データPIを収集し、基準走行経路CSBすることにより、鉱山において、ダンプトラック20が走行する走行経路を基準走行経路CSBに特定することができる。走行経路演算部12aは、同一のダンプトラック20から及び異なるダンプトラック20から、新たな走行経路の位置データPIを新たに取得すると、新たに取得した位置データPIも用いて基準走行経路CSBを再生成する。このため、図5に示す積込場LPA又は排土場DPAの位置が変更されたり、ダンプトラック20の走行経路に障害物が存在したりすることによりダンプトラック20の走行経路が変化した場合でも、新たな位置データPIに対応した基準走行経路CSBを生成することができる。このため、管理システム1は、ダンプトラック20の走行経路が変化する機会が多い鉱山で用いられると好適である。
【0111】
<ダメージ操作について>
次に、本実施形態に係るダメージ操作の判定方法及びタイヤ23Tのダメージの評価方法の一例について説明する。本実施形態においては、ダンプトラック20に装着されているタイヤ23Tにダメージを与えるダメージ操作が運転者により実施されたか否かが判定部12dにより判定される。
【0112】
ダメージ操作が実施されたと判定された場合、ダメージ操作の実施を示すダメージ操作データ及びダメージ操作を実施した運転者を示す運転者識別データがデータ取得部12eに取得される。運転者識別データに対応付けられたダメージ操作データを含む対応データがデータ出力部12fから出力される。
【0113】
また、ダメージ操作が実施されたと判定された場合、ダメージ操作の実施を示すダメージ操作データ及びダメージ操作が実施されたダンプトラック20の位置を示す位置データがデータ取得部12eに取得される。位置データに対応付けられたダメージ操作データを含む対応データがデータ出力部12fから出力される。
【0114】
本実施形態において、ダメージ操作は、ダンプトラック20が基準走行経路に存在するときに実施されるダメージ操作である。データ取得部12eは、ダンプトラック20が基準走行経路に存在するときのダメージ操作データを取得する。データ出力部12fは、ダンプトラック20が基準走行経路に存在するときの対応データを出力する。
【0115】
本実施形態において、ダメージ操作は、単位時間当たりにある速度(第1速度)以上でダンプトラック20を減速させる急減速操作、ある速度(第2速度)以下でダンプトラック20のタイヤ23Tの向きを変えるすえ切り操作、及びある速度(第3速度)以上で所定値以下の曲率半径の基準走行経路CSBのカーブをダンプトラック20に走行させる攻撃的コーナリング操作の少なくとも一つを含む。
【0116】
ダメージ操作は、ダンプトラック20の走行速度と相関が高い。判定部12dは、速度検出装置39の検出信号に基づいて、ダメージ操作が実施されたか否かを判定することができる。
【0117】
また、本実施形態においては、稼動データに基づいて、推測部12bにより、タイヤ23Tに与えられるダメージ量DMが推測される。ダメージ量DMは、タイヤ23Tの摩耗量を含む。推測されたダメージ量DMに基づいて、タイヤ23Tにダメージを与えるダメージ操作が実施されたか否かが判定される。
【0118】
(ダメージ操作の第1態様:急減速操作)
ダメージ操作のうち、急減速操作が実施されたか否かを判定するときの判定方法について説明する。急減速操作は、単位時間当たりにある速度(第1速度)以上でダンプトラック20を減速させる操作である。換言すれば、急減速操作は、ある減速度以上でダンプトラック20を減速させる操作である。急減速操作は、例えば、1秒間に時速10km以上減速させる操作である。推測部12bは、ダンプトラック20の減速度(単位時間当たりの走行速度の低下量)を示す減速度データと、タイヤ23Tに作用する荷重を示す荷重データとに基づいて、急減速操作によってタイヤ23Tに与えられるダメージ量DM1を推測する。
【0119】
急減速操作によりタイヤ23Tに与えられるダメージ量をDM1、ダンプトラック20の減速度をA、タイヤ23Tに作用する荷重をLDとしたとき、以下の(1)式の関係が成立する。
【0120】
DM1 ∝ LD×A …(1)
【0121】
本実施形態において、推測部12bは、(1)式の演算を実施して、急減速操作によるダメージ量DM1を推測する。
【0122】
判定部12dは、推測部12bで推測されたダメージ量DM1に基づいて、急減速操作が実施されたか否かを判定する。判定部12dは、ダメージ量DM1が予め定められている第1閾値以上であると判断したとき、急減速操作が実施されたと判定する。判定部12dは、ダメージ量DM1が予め定められている第1閾値を超えていないと判断したとき、急減速操作は実施されていないと判定する。
【0123】
このように、判定部12dは、ダンプトラック20の減速度Aを示す減速度データと、タイヤ23Tに作用する荷重LDを示す荷重データとに基づいて、急減速操作が実施されたか否かを判定する。
【0124】
また、(1)式に示したように、推測部12bは、ダンプトラック20の減速度Aを示す減速度データと、タイヤ23Tに作用する荷重LDを示す荷重データとに基づいて、急減速操作に起因するダメージ量DM1を推測する。
【0125】
(ダメージ操作の第2態様:すえ切り操作)
ダメージ操作のうち、すえ切り操作が実施されたか否かを判定するときの判定方法について説明する。すえ切り操作は、ある速度(第2速度)以下でタイヤ23Tの向きを変える操作である。すえ切り操作は、例えば、ダンプトラック20の走行速度が時速1km以下でタイヤ23Tの向きを変える操作である。すえ切り操作は、ダンプトラック20が停止した状態(走行速度が時速0kmの状態)でタイヤ23Tの向きを変える操作を含む。推測部12bは、タイヤ23Tに作用する荷重を示す荷重データに基づいて、すえ切り操作によってタイヤ23Tに与えられるダメージ量DM2を推測する。
【0126】
すえ切り操作によりタイヤ23Tに与えられるダメージ量をDM2、タイヤ23Tに作用する荷重をLDとしたとき、以下の(2)式の関係が成立する。
【0127】
DM2 ∝ LD…(2)
【0128】
本実施形態において、推測部12bは、(2)式の演算を実施して、すえ切り操作によるダメージ量DM2を推測する。
【0129】
すえ切り操作が実施されたか否かは、操舵力を示す操舵力データに基づいて判定される。ダンプトラック20の走行速度が低速(零を含む)のときにステアリング操作されたときの操舵力は、ダンプトラック20の走行速度が高速のときにステアリング操作されたときの操舵力よりも大きい。すなわち、すえ切り操作は、ダンプトラック20が走行しているときの操舵と比較して、大きい操舵力が必要である。本実施形態においては、操舵力検出装置33Dによって検出される操舵力が予め定められた閾値を超えるとき、すえ切り操作が実施されたと判定される。例えば、操舵装置32Dの油圧シリンダの作動油の圧力が5000kPaを超えたとき、すえ切り操作が実施されたと判定される。
【0130】
このように、本実施形態においては、判定部12dは、ダンプトラック20の走行速度を示す走行速度データと、操舵力を示す操舵力データとに基づいて、すえ切り操作が実施されたか否かを判定する。
【0131】
また、(2)式に示したように、推測部12bは、タイヤ23Tに作用する荷重LDを示す荷重データに基づいて、すえ切り操作に起因するダメージ量DM2を推測する。
【0132】
(ダメージ操作の第3態様:積極コーナリング操作)
ダメージ操作のうち、積極コーナリング操作が実施されたか否かを判定するときの判定方法について説明する。積極コーナリング操作は、ある速度(第3速度)以上で所定値以下の曲率半径の基準走行経路CSBのカーブをダンプトラック20に走行させる操作である。積極コーナリング操作は、例えば、曲率半径100m以下のカーブを時速50km以上で走行させる操作である。推測部12bは、ダンプトラック20の走行速度を示す走行速度データと、タイヤ23Tに作用する荷重を示す荷重データと、カーブの曲率半径とに基づいて、積極コーナリング操作によってタイヤ23Tに与えられるダメージ量DM3を推測する。
【0133】
積極コーナリング操作によりタイヤ23Tに与えられるダメージ量をDM3、ダンプトラック20の走行速度をV、タイヤ23Tに作用する荷重をLD、カーブの曲率半径をRとしたとき、以下の(3)式の関係が成立する。
【0134】
DM3 ∝ (LD×V)/R …(3)
【0135】
本実施形態において、推測部12bは、(3)式の演算を実施して、積極コーナリング操作によるダメージ量DM3を推測する。
【0136】
判定部12dは、推測部12bで推測されたダメージ量DM3に基づいて、積極コーナリング操作が実施されたか否かを判定する。判定部12dは、ダメージ量DM3が予め定められている第3閾値以上であると判断したとき、積極コーナリング操作が実施されたと判定する。判定部12dは、ダメージ量DM3が予め定められている第3閾値を超えていないと判断したとき、積極コーナリング操作は実施されていないと判定する。
【0137】
このように、判定部12dは、ダンプトラック20の走行速度Vを示す走行速度データと、タイヤ23Tに作用する荷重LDを示す荷重データと、カーブの曲率半径Rとに基づいて、攻撃的コーナリング操作が実施されたか否かを判定する。
【0138】
また、(3)式に示したように、推測部12bは、ダンプトラック20の走行速度Vを示す走行速度データと、タイヤ23Tに作用する荷重LDを示す荷重データと、カーブの曲率半径Rとに基づいて、攻撃的コーナリング操作に起因するダメージ量DM3を推測する。
【0139】
図7は、攻撃的コーナリング操作に起因するタイヤ23Tのダメージ量DM3を推測する方法の一例を示す図である。図7に示すように、基準走行経路CSBにカーブCN(CN1、CN2)が設けられている。
【0140】
図7に示される基準走行経路CSBは、位置CT1を中心とした曲率半径R1のカーブCN1と、位置CT2を中心とした曲率半径R2のカーブCN2とを含む。基準走行経路CSBは、方向のデータも含む。ダンプトラック20が図7に示される基準走行経路CSBを走行した場合、推測部12bは、攻撃的コーナリング操作に起因するタイヤ23Tのダメージ量DM3を推測するにあたって、基準走行経路CSB、より具体的には基準走行経路CSBに含まれる各位置データPca、Pcb、Pcc、Pcd、Pceの座標を、基準走行経路データベース14CSから読み出す。
【0141】
基準走行経路CSBの位置データPca、Pcb、Pcc、Pcd、Pceを区別しない場合、位置データPcと称する。基準走行経路データベース14CSに記憶されている基準走行経路CSBのデータは、前述した位置データPcと、基準走行経路CSBのカーブCN1、CN2の曲率半径R1、R2とを含む。
【0142】
また、ダンプトラック20のタイヤ23Tのダメージ量DM3を推測するにあたり、推測部12bは、ダメージDM3を推測する対象であって基準走行経路CSBを走行したダンプトラック20の位置データPI、速度データ、及びタイヤ23Tの荷重LDを稼動データベース14Iから読み出す。ダンプトラック20の速度データは、ダンプトラック20が基準走行経路CSBを走行したときの実際の走行速度である。
【0143】
推測部12bは、ダンプトラック20の位置データPIと、基準走行経路CSBの位置データPcとから、ダンプトラック20が走行した基準走行経路CSBの位置を特定する。ダンプトラック20が走行した基準走行経路CSBの位置から、ダンプトラック20が基準走行経路CSBのカーブCN1、CN2を走行したのか、直線部分を走行したのかが特性される。ダンプトラック20が、例えばカーブCN1を走行した場合、推測部12bは、基準走行経路CSBのカーブCN1の曲率半径R1と、カーブCN1を走行したときのダンプトラック20の走行速度V及びタイヤ23Tに作用する荷重LDとを(3)式に与えてダメージ量DM3を求める。ダメージ量DM3は、ダンプトラック20が備えるそれぞれのタイヤ23T毎に求められる。
【0144】
(3)式から分かるように、基準走行経路CSBのカーブCNの曲率半径Rが無限大である場合、ダメージ量DM3は0になる。基準走行経路CSBのカーブCNの曲率半径Rが無限大であるのは直線部分なので、直線部分においてダメージ量DM3は0になる。推測部12bは、基準走行経路CSBを走行したダンプトラック20のダメージDM3を、例えば基準走行経路CSB全体にわたって求め、タイヤ23T毎に加算する。このようにして得られた値を、累積ダメージ量と称する。累積ダメージ量によって、タイヤ23Tに蓄積されたダメージが分かるので、タイヤ23Tの摩耗量が推測される。
【0145】
推測部12bが求めた累積ダメージ量は、ダンプトラック20毎に集計されたり、ダンプトラック20の運転者毎に集計されたりする。運転者毎に累積ダメージ量が集計される場合、運転者毎に割り当てられた運転者識別データ毎に、累積ダメージ量が集計される。運転者識別データは、図4に示される運転者ID取得装置38によって取得されて、車載無線通信装置27を介して図2に示される管理装置10に送信される。運転者毎に累積ダメージ量が集計されることにより、運転者に起因する累積ダメージ量を区別できるので、例えば、累積ダメージ量が大きい運転者に対して運転指導をすることができる。
【0146】
ダンプトラック20毎に累積ダメージ量が集計される場合、ダンプトラック20毎に割り当てられたダンプトラック識別データ毎に、累積ダメージ量が集計される。ダンプトラック識別データは、図4に示されるダンプトラックID取得装置40によって取得されて、車載無線通信装置27を介して図2に示される管理装置10に送信される。ダンプトラック20毎に累積ダメージ量が集計されることにより、ダンプトラック20に起因する累積ダメージ量を区別できるので、例えば、累積ダメージ量が大きいダンプトラック20の改善をすることができる。
【0147】
推測部12bは、図5に示される走行開始位置SPrをダンプトラック20が出発し、積荷を積み込む積込位置LPrまで移動したときの経路全体でダメージ量DM3を推測してもよいし、ダンプトラック20が積込位置LPrを出発し積荷を下ろす排土位置DPrまで移動したときの経路全体でダメージ量DM3を推測してもよい。また、推測部12bは、ダンプトラック20が図5に示される走行開始位置SPrを出発し、積荷を積み込む積込位置LPrを経て前記積荷を下ろす排土位置DPrまで移動したときの経路全体でダメージ量DM3を推測してもよい。
【0148】
図8は、基準走行経路CSBを用いてダンプトラック20の移動距離を求める例を説明する図である。推測部12bは、ダンプトラック20の位置データPI1、PI2、PI3と、ダンプトラック20の走行速度Vとから、基準走行経路CSB上におけるダンプトラック20の位置データPc1、Pc2、・・・Pcn(nは1以上の整数)を求めることができる。位置データPc1、Pc2、・・・Pcnを区別しない場合、適宜、位置データPcと称する。
【0149】
例えば、位置データPI1、PI2、PI3は、t1秒周期でダンプトラック20の車載データ収集装置30に取得され、走行速度Vはt1秒よりも小さいt2秒周期で取得されるとする。位置データPI1、PI2、PI3及び走行速度Vは、ダンプトラック20から管理装置10に送信されて、管理装置10の管理側記憶装置13の稼動情報データベース14Iに記憶されている。ダンプトラック20の位置データPI1、PI2、PI3は、GNSSによって得られたものである。
【0150】
推測部12bは、稼働情報データベース14Iから位置データPI1、PI2、PI3を読み出す。推測部12bは、ダンプトラック20の位置データPI1、PI2、PI3と最も近い基準走行経路CSB上の位置データPc1、Pc6、Pcnを選択する。ダンプトラック20の連続する位置データPI1、PI2、PI3は、t1秒毎に連続して得られたものである。ダンプトラック20は、位置データPI1、PI2、PI3が得られる間は基準走行経路CSB上を走行していると仮定できる。このため、推測部12bは、ダンプトラック20の走行速度Vと走行時間trとから、移動距離Lを求めることができる。推測部12bは、この移動距離Lを用いて、基準走行経路CSB上におけるダンプトラック20の位置データPc2、Pc3、Pc4、Pc5を求めることができる。
【0151】
例えば、ダンプトラック20の位置データPI1に対応する基準走行経路CSBの位置データPc1から基準走行経路CSBに沿って移動距離Lだけ進んだ位置の座標が、基準走行経路CSB上におけるダンプトラックの位置データPc2となる。同様に、Pc2から基準走行経路CSBに沿って移動距離Lだけ進んだ位置の座標が、基準走行経路CSB上におけるダンプトラックの位置データPc3となる。このようにすることで、GNSSによって得られたダンプトラック20の位置データPI1、PI2、PI3の数を低減できるので、通信回線の通信の負荷を低減できる。
【0152】
管理装置10が取得するダンプトラック20の稼動データが、何らかの原因で欠落することがある。ダンプトラック20が積荷を積載してから下ろすまでの1サイクルにおいて、例えば複数のダンプトラック20の間で走行速度Vの頻度分布を比較する際に、正常なダンプトラックと稼動データが欠落したダンプトラック20との間で比較が困難になる。管理装置10が、GNSSによって得られたダンプトラック20の位置データPI及びダンプトラック20の走行速度Vを正常に取得できない場合でも、ダンプトラック20は基準走行経路CSB上を走行していたと仮定することにより、ダンプトラック20の位置データPIを推定できる。
【0153】
例えば、走行速度Vが欠落した場合、走行速度Vが欠落する直前の位置データPIと回復した直後の位置データPIとの間をダンプトラック20が基準走行経路CSBに沿って等速度で走行した又は1サイクルの平均走行速度で走行したと仮定する。この仮定のもと、管理装置10の管理側処理装置12は、走行速度Vが欠落する直前の位置データPIに最も近い基準走行経路CSBの位置データPcを基準として、走行時間tr及び仮定したダンプトラック20の走行速度から移動距離を求める。そして、管理側処理装置12は、基準とした位置データPcから基準走行経路CSBに沿って、前述した移動距離だけ離れた位置を、欠落したダンプトラック20の位置データの一つとする。この処理を順次繰り返すことにより、走行速度Vが欠落した間におけるダンプトラック20の位置データPIが得られる。
【0154】
例えば、GNSSの受信状態不良により、ダンプトラック20の位置データPIが欠落した場合、位置データPIが欠落する直前の位置データPIと回復した直後の位置データPIとの間をダンプトラック20が基準走行経路CSBに沿って等速度で走行した又は1サイクルの平均走行速度で走行したと仮定する。この仮定の下、管理装置10の管理側処理装置12は、位置データPIが欠落する直前の位置データPIに最も近い基準走行経路CSBの位置データPcを基準として、走行時間tr及び仮定したダンプトラック20の走行速度から移動距離を求める。そして、管理側処理装置12は、基準とした位置データPcから基準走行経路CSBに沿って、前述した移動距離だけ離れた位置を、欠落したダンプトラック20の位置データの一つとする。この処理を順次繰り返すことにより、位置データPIが欠落した間におけるダンプトラック20の位置データPIが得られる。
【0155】
このように、管理装置10は、基準走行経路CSBを用いることで、ダンプトラック20の位置データPIが少ない場合及び位置データPIが欠落した場合であっても、位置データPIが存在しない部分の位置データPIを求めることができる。
【0156】
<管理方法>
次に、本実施形態に係るダンプトラック20の管理方法の一例について説明する。図9は、本実施形態に係る管理方法の一例を示すフローチャートである。以下の説明では、急減速操作、すえ切り操作、及び攻撃的コーナリング操作を適宜、ダメージ操作、と総称する。また、以下の説明においては、急減速操作に起因するダメージ量DM1、すえ切り操作に起因するダメージ量DM2、及び攻撃的コーナリング操作に起因するダメージ量DM3を適宜、ダメージ量DM、と総称する。
【0157】
管理側処理装置12のデータ取得部12dは、ダンプトラック20の稼動データを取得する(ステップSP1)。推測部12bは、取得された稼動データの少なくとも一部に基づいて、タイヤ23Tのダメージ量DMを推測する(ステップSP2)。
【0158】
判定部12dは、ダメージ操作が実施されたか否かを判定する(ステップSP3)。上述したように、本実施形態においては、推測部12bで推測されたダメージ量DM1が予め定められている第1閾値以上であると判断されたとき、ダメージ操作のうち急減速操作が実施されたと判定される。ダンプトラック20の走行速度が第2速度以下で操舵力が予め定められている閾値を超えるとき、ダメージ操作のうちすえ切り操作が実施されたと判定される。推測部12bで推測されたダメージ量DM3が予め定められている第3閾値以上であると判断されたとき、ダメージ操作のうち積極コーナリング操作が実施されたと判定される。
【0159】
ダメージ操作が実施されたと判定された場合(ステップSP3:Yes)、データ取得部12eは、ダメージ操作の実施を示すダメージ操作データ、及びダメージ操作を実施した運転者を示す運転者識別データを取得する(ステップSP4)。
【0160】
ダメージ操作が実施されていないと判定された場合(ステップSP3:No)、ステップSP1に戻る。
【0161】
ダメージ操作データは、ダメージ操作の有無データを含む。ダメージ操作データは、ダメージ操作が実施された回数を示す回数データを含む。
【0162】
例えば、ダメージ操作データが、急減速操作の実施を示す急減速操作データである場合、その急減速操作データは、急減速操作が実施された回数を示す回数データを含む。本実施形態において、急減速操作データは、更に、推測部12bによって推測されたダメージ量DM1を含む。
【0163】
ダメージ操作データが、すえ切り操作の実施を示すすえ切り操作データである場合、そのすえ切り操作データは、すえ切り操作が実施された回数を示す回数データを含む。本実施形態において、すえ切り操作データは、更に、推測部12bによって推測されたダメージ量DM2を含む。
【0164】
ダメージ操作データが、積極コーナリング操作の実施を示す積極コーナリング操作データである場合、その積極コーナリング操作データは、積極コーナリング操作が実施された回数を示す回数データを含む。本実施形態において、積極コーナリング操作データは、更に、推測部12bによって推測されたダメージ量DM3を含む。
【0165】
データ取得部12eによって、ダメージ操作データ及び運転者識別データが取得された後、データ出力部12fは、運転者識別データに対応付けられたダメージ操作データを含む対応データを出力する(ステップSP5)。すなわち、データ出力部12fは、ダメージ操作を実施した運転者を示す運転者識別データを、ダメージ操作データ(回数データ)に対応付けて出力する。
【0166】
データ出力部12fは、対応データを出力装置16に出力する。出力装置16は、表示装置16A及び印刷装置16Bの一方又は両方を含む。表示装置16Aは、データ出力部12fから出力された対応データを表示する。印刷装置16Bは、データ出力部12fから出力された対応データを印刷する。
【0167】
なお、ここでは、データ取得部12eは、ダメージ操作データ及び運転者識別データを取得し、データ出力部12fは、運転者識別データとダメージ操作データとが対応付けられた対応データを出力する例について説明した。
【0168】
データ取得部12eは、ダメージ操作の実施を示すダメージ操作データ、及びダメージ操作が実施されたダンプトラック20の位置を示す位置データを取得することができる。データ取得部12eは、位置検出装置29から位置データを取得することができる。データ出力部12fは、位置データに対応付けられたダメージ操作データを含む対応データを出力することができる。出力装置16は、位置データとダメージ操作データとが対応付けられた対応データを出力(可視化)する。
【0169】
データ取得部12eは、ダメージ操作の実施を示すダメージ操作データ、ダメージ操作を実施した運転者を示す運転者識別データ、及びダメージ操作が実施されたダンプトラック20の位置を示す位置データを取得してもよい。データ出力部12fは、ダメージ操作データと運転者識別データと位置データとが対応付けられた対応データを出力してもよい。
【0170】
また、データ取得部12eは、ダメージ操作データと、運転者識別データ及び位置データの一方又は両方と、ダメージ操作が実施されたダンプトラック20を示すダンプトラック識別データと、を取得してもよい。データ出力部12fは、ダメージ操作データと、運転者識別データ及び位置データの一方又は両方と、ダンプトラック識別データと、が対応付けられた対応データを出力してもよい。
【0171】
また、データ取得部12eは、ダメージ操作データと、運転者識別データ及び位置データの一方又は両方と、ダメージ操作が実施された時点を示す時点データと、を取得してもよい。データ出力部12fは、ダメージ操作データと、運転者識別データ及び位置データの一方又は両方と、時点データと、が対応付けられた対応データを出力してもよい。
【0172】
ダメージ操作データは、ダメージ量DMを基準走行経路CSB全体にわたって求め、タイヤ23T毎に加算して得られる累積ダメージ量でもよい。累積ダメージ量は、ダメージ量DM1の累積ダメージ量でもよいし、ダメージ量DM2の累積ダメージ量でもよいし、ダメージ量DM3の累積ダメージ量でもよい。累積ダメージ量によって、タイヤ23Tに蓄積されたダメージが分かるので、タイヤ23Tの摩耗量が推測される。本実施形態において、ダメージ量DMは、タイヤ23Tの摩耗量を含む。
【0173】
累積ダメージ量は、ダンプトラック20の運転者毎に集計されてもよいし、ダンプトラック20毎に集計されてもよい。運転者毎に累積ダメージ量が集計される場合、運転者毎に割り当てられた運転者識別データ毎に、累積ダメージ量が集計される。運転者識別データは、運転者ID取得装置38によって取得されて、車載無線通信装置27を介して管理装置10に送信される。運転者毎に累積ダメージ量が集計されることにより、運転者に起因する累積ダメージ量を区別できるので、例えば、累積ダメージ量が大きい運転者に対して運転指導をすることができる。
【0174】
ダンプトラック20毎に累積ダメージ量が集計される場合、ダンプトラック20毎に割り当てられたダンプトラック識別データ毎に、累積ダメージ量が集計される。ダンプトラック識別データは、ダンプトラックID取得装置40によって取得されて、車載無線通信装置27を介して管理装置10に送信される。ダンプトラック20毎に累積ダメージ量が集計されることにより、ダンプトラック20に起因する累積ダメージ量を区別できるので、例えば、累積ダメージ量が大きいダンプトラック20の改善をすることができる。
【0175】
推測部12bは、図5に示される走行開始位置SPrをダンプトラック20が出発し、積荷を積み込む積込位置LPrまで移動したときの経路全体でダメージ量DMを推測してもよいし、ダンプトラック20が積込位置LPrを出発し積荷を下ろす排土位置DPrまで移動したときの経路全体でダメージ量DMを推測してもよい。また、推測部12bは、ダンプトラック20が図5に示される走行開始位置SPrを出発し、積荷を積み込む積込位置LPrを経て前記積荷を下ろす排土位置DPrまで移動したときの経路全体でダメージ量DMを推測してもよい。
【0176】
<出力装置の出力例>
次に、本実施形態に係る出力装置16の出力例について、図10から図23を参照して説明する。本実施形態において、出力装置16は、データ出力部12fから出力された対応データを、レポートとして出力する。出力装置16は、データ出力部12fで作成された対応データのレポートを表示または印刷して可視化する。
【0177】
以下、図10から図23を参照して、表示装置16Aの表示画面の一例について説明する。なお、図10から図23に示す内容は、印刷装置16Bによって印刷された印刷物でもよい。
【0178】
図10から図14は、急減速操作データの出力例を示す。
【0179】
図10は、基準走行経路において、急減速操作が実施された位置、及びその位置において実施された急減速操作の実施回数を示す。実施回数は、例えば1ヵ月間における実施回数である。
【0180】
図11は、生成された複数の基準走行経路と、各基準走行経路において急減速操作が実施された頻度との関係を示す。一般に、鉱山においては、積込場LPA及び排土場DPAは、複数設けられる。それら複数の積込場LPAと排土場DPAとを結ぶ基準走行経路も複数生成される。図11に示す例は、複数の基準走行経路(コース1からコース15)と、それらコースを1サイクル走行したときの急減速操作が実施された回数の平均値を示す頻度との関係を示す。横軸は、複数のコースを示し、縦軸は、頻度を示す。
【0181】
図12は、ダンプトラック20の運転者識別データと、その運転者によって基準走行経路において急減速操作が実施された頻度との関係を示す。横軸は、複数の運転者を示し、縦軸は、頻度を示す。図12に示すように、出力装置16は、運転者識別データに対応付けられたダメージ操作データの急減速操作データ(回数データ)を含む対応データを出力することができる。また、図12に示すように、頻度の平均値が算出され、その平均値が出力されてもよい。
【0182】
図13は、ダンプトラック識別データと、急減速操作によってそのダンプトラック20のタイヤ23Tに与えられるダメージ量DM1との関係を示す。横軸は、複数のダンプトラック20を示し、縦軸は、複数回の急減速操作に起因するダメージ量DM1の累積値を示す。図13に示すように、出力装置16は、ダンプトラック識別データに対応付けられたダメージ操作データの急減速操作データ(ダメージ量DM1)を含む対応データを出力することができる。また、出力装置16は、ダンプトラック識別データのかわりに、横軸をコースにかえてコース別のダメージ量を出力してもよい。これにより、どのコースでダメージが発生しやすいかが分かる。
【0183】
図14は、ダンプトラック識別データと、そのダンプトラック20のサイクル回数との関係を示す。上述のように、サイクル(1サイクル)とは、ダンプトラック20が所定の場所から積込場LPAに向かって出発し、積込場LPAで積荷を積み込まれた後、排土場DPAに到着して積荷を下ろすまでの一連の作業をいう。サイクル回数とは、その1回のサイクルを何回実施したかを示す値である。サイクル回数が多いほど、そのダンプトラック20の走行距離は長くなる傾向にあり、そのダンプトラック20の稼動量が多いことを示す。このように、ダンプトラック識別データとそのダンプトラック20の稼動量との関係が出力されてもよい。また、出力装置16は、コース毎に距離が異なることを考慮して、サイクル回数のかわりに、ダンプトラック識別データ毎の走行距離の関係を出力してもよい。
【0184】
また、図13のグラフから、ダメージ量が等しい2台のダンプトラック20の存在が判明した場合、図14のグラフを参照して、その2台のダンプトラック20のうち、一方のダンプトラック20の稼動量が多く、他方のダンプトラック20の稼動量が少ない場合、一方のダンプトラック20は、稼動量が多いにもかかわらず、ダメージ量は少ないと評価することができる。他方のダンプトラック20は、稼動量が少ないにもかかわらず、ダメージ量は多いと評価することができる。このように、図13のグラフ及び図14のグラフを組み合わせて評価することにより、稼動量とダメージ量DM1とダンプトラック識別データとの関係を表することができる。図14で走行距離を採用すれば、走行距離とダメージ量DM1とダンプトラック20との関係を表すことができる。
【0185】
図15から図18は、すえ切り操作データの出力例を示す。
【0186】
図15は、基準走行経路において、すえ切り操作が実施された位置、及びその位置において実施されたすえ切り操作の実施回数を示す。実施回数は、例えば1ヵ月間における実施回数である。
【0187】
図16は、生成された複数の基準走行経路と、各基準走行経路においてすえ切り操作が実施された頻度との関係を示す。図16に示す例は、複数の基準走行経路(コース1からコース15)と、それらコースを1サイクル走行したときのすえ切り操作が実施された回数の平均値を示す頻度との関係を示す。横軸は、複数のコースを示し、縦軸は、頻度を示す。
【0188】
図17は、ダンプトラック20の運転者識別データと、その運転者によって基準走行経路においてすえ切り操作が実施された頻度との関係を示す。横軸は、複数の運転者を示し、縦軸は、頻度を示す。図17に示すように、出力装置16は、運転者識別データに対応付けられたダメージ操作データのすえ切り操作データ(回数データ)を含む対応データを出力することができる。また、図17に示すように、頻度の平均値が算出され、その平均値が出力されてもよい。
【0189】
図18は、ダンプトラック識別データと、すえ切り操作によってそのダンプトラック20のタイヤ23Tに与えられるダメージ量DM2との関係を示す。横軸は、複数のダンプトラック20を示し、縦軸は、複数回のすえ切り操作に起因するダメージ量DM2の累積値を示す。図18に示すように、出力装置16は、ダンプトラック識別データに対応付けられたダメージ操作データのすえ切り操作データ(ダメージ量DM2)を含む対応データを出力することができる。
【0190】
図18のグラフ及び図14のグラフを組み合わせて評価することにより、稼動量とダメージ量DM2とダンプトラック識別データとの関係を表することができる。図14で走行距離を採用すれば、走行距離とダメージ量DM2とダンプトラック20との関係を表すことができる。
【0191】
図19から図22は、攻撃的コーナリング操作データの出力例を示す。
【0192】
図19は、基準走行経路において、攻撃的コーナリング操作が実施された位置(カーブ)、及びそのカーブの曲率半径を示す。
【0193】
図20は、生成された複数の基準走行経路と、各基準走行経路において攻撃的コーナリング操作が実施された頻度との関係を示す。図20に示す例は、複数の基準走行経路(コース1からコース15)と、それらコースを1サイクル走行したときの攻撃的コーナリング操作が実施された回数の平均値を示す頻度との関係を示す。横軸は、複数のコースを示し、縦軸は、頻度を示す。
【0194】
図21は、ダンプトラック20の運転者識別データと、その運転者によって基準走行経路において攻撃的コーナリング操作が実施された頻度との関係を示す。横軸は、複数の運転者を示し、縦軸は、頻度を示す。図21に示すように、出力装置16は、運転者識別データに対応付けられたダメージ操作データの攻撃的コーナリング操作データ(回数データ)を含む対応データを出力することができる。また、図21に示すように、頻度の平均値が算出され、その平均値が出力されてもよい。
【0195】
図22は、ダンプトラック識別データと、攻撃的コーナリング操作によってそのダンプトラック20のタイヤ23Tに与えられるダメージ量DM3との関係を示す。横軸は、複数のダンプトラック20を示し、縦軸は、複数回の攻撃的コーナリング操作に起因するダメージ量DM3の累積値を示す。図22に示すように、出力装置16は、ダンプトラック識別データに対応付けられたダメージ操作データの攻撃的コーナリング操作データ(ダメージ量DM3)を含む対応データを出力することができる。
【0196】
図22のグラフ及び図14のグラフを組み合わせて評価することにより、稼動量とダメージ量DM3とダンプトラック識別データとの関係を表することができる。図14で走行距離を採用すれば、走行距離とダメージ量DM3とダンプトラック20との関係を表すことができる。
【0197】
なお、図13は、ダンプトラック識別データとダメージ量DM1との関係が出力される例を示すが、運転者識別データとダメージ量DM1との関係が出力されてもよい。この場合、運転者別のサイクル回数(図14に対応)のグラフと組み合わせて評価してもよい。
【0198】
<作用>
以上説明したように、本実施形態によれば、ダメージ操作を実施した運転者識別データとダメージ操作データとを対応付けて出力するようにしたので、例えば、ダメージ操作を実施する頻度が高い運転者に対して運転指導をすることができる。これにより、ダメージ操作の実施が低減され、タイヤ23Tの耐用期間の短縮が抑制される。したがって、鉱山の生産性の低下及び生産コストの増大が抑制される。
【0199】
また、ダメージ操作が実施されるダンプトラック20の位置データとダメージ操作データとを対応付けて出力するようにしたので、例えば、ダメージ操作が実施される頻度が高い基準走行経路上の位置を特定することができる。これにより、例えば、走行経路の改善など、ダメージ操作の実施を低減するための措置を講ずることができる。これにより、タイヤ23Tの耐用期間の短縮が抑制され、鉱山の生産性の低下及び生産コストの増大が抑制される。
【0200】
また、本実施形態によれば、位置データは、ダンプトラック20の位置検出装置29によって適切に取得することができる。
【0201】
本実施形態においては、ダメージ操作として、急減速操作、すえ切り操作、及び攻撃的コーナリング操作が評価される。これにより、タイヤ23Tに与えられるダメージを適切に評価することができる。
【0202】
ダメージ操作は、ダンプトラック20の走行速度と相関が高い。そのため、判定部12dは、速度検出装置39の検出信号に基づいて、ダメージ操作が実施されたか否かを適切に判定することができる。
【0203】
また、本実施形態においては、急減速操作に起因するダメージ量DM1は、(1)式に基づいて評価される。これにより、ダメージ量DM1と運転者識別データ及び位置データの少なくとも一方との関係が適切に把握される。
【0204】
また、本実施形態においては、すえ切り操作に起因するダメージ量DM2は、(2)式に基づいて評価される。これにより、ダメージ量DM2と運転者識別データ及び位置データの少なくとも一方との関係が適切に把握される。
【0205】
また、本実施形態においては、攻撃的コーナリング操作に起因するダメージ量DM3は、(3)式に基づいて評価される。これにより、ダメージ量DM3と運転者識別データ及び位置データの少なくとも一方との関係が適切に把握される。
【0206】
また、本実施形態において、対応データは、ダンプトラック識別データに対応付けられたダメージ操作データを含むことにより、ダメージ操作が、例えばダンプトラック20の性能の変化(劣化)に起因するのか否かを判定することができる。すなわち、ダメージ操作の原因が、運転者にあるのか、基準走行経路の位置(カーブの位置、登り坂の位置、及び下り坂の位置を含む)にあるのか、ダンプトラック20にあるのかを、適切に判定することができる。
【0207】
また、ダメージ操作が実施された時点を示す時点データが取得され、ダメージ操作データが、時点データに対応付けられて出力することにより、ダメージ操作が、ダンプトラック20の稼動時間帯に起因するのか否かを判定することができる。例えば、ダメージ操作の実施が夜間に頻出する場合、労務条件の改善など、ダメージ操作の実施を低減するための措置を講ずることができる。
【0208】
なお、上述の実施形態においては、基準走行経路CSBが、GPS位置から近似曲線を使って求められる例について説明した。基準走行経路CSBは、事前に設定されたコースデータに基づいて決められてもよい。例えば、鉱山の設計データ(CADデータを含む)のような、事前に設定されている鉱山の施工データに基づいて、基準走行経路CSBが決められてもよい。鉱山の施工データは、複数の設計位置データを含む。
【0209】
なお、上述の実施形態においては、鉱山の管理施設に設定された管理装置10が、タイヤ23Tのダメージに関するデータ処理を実行することとした。ダメージ操作データ、運転者識別データ、及び位置データの少なくとも一つを含む、タイヤ23Tのダメージに関するデータ処理について必要なデータが、インターネット経由で、鉱山から離れたコンピュータシステム(サーバ)に送信されてもよい。そのコンピュータシステムが、タイヤ23Tのダメージに関するデータ処理を実行してもよい。鉱山とコンピュータシステムとは、同一の国に設けられてもよい。鉱山が第1の国に設けられ、コンピュータシステムが第2の国(外国)に設けられてもよい。
【0210】
なお、上述の実施形態においては、管理装置10を含む管理システム1が、タイヤ23Tのダメージに関するデータ処理を実行することとした。上述の実施形態で説明した、管理システム1によって実行されるタイヤ23Tのダメージに関するデータ処理が、ダンプトラック20に搭載されたコンピュータシステムを含む処理装置で実行されてもよい。すなわち、ダンプトラック20に搭載された処理装置が、タイヤ23Tにダメージを与えるダメージ操作が実施されたか否かを判定する判定部と、ダメージ操作の実施を示すダメージ操作データと、ダメージ操作を実施した運転者を示す運転者識別データ及びダメージ操作が実施されたダンプトラック20の位置を示す位置データの一方又は両方と、を取得するデータ取得部と、運転者識別データ及び位置データの一方又は両方に対応付けられたダメージ操作データを含む対応データを出力するデータ出力部と、を備えてもよい。ダンプトラック20のデータ出力部は、運転室に配置された表示装置(モニタ)に対応データを出力(表示)させてもよい。ダンプトラック20のデータ出力部は、車載無線通信装置27を介して、管理装置10に対応データを出力(送信)してもよい。
【符号の説明】
【0211】
1 管理システム
2 給油所
3 中継器
4 積込機械
5 GPS衛星
6 中間中継器
7 通信可能範囲
10 管理装置
12 管理側処理装置
12a 走行経路演算部
12b 推測部
12c タイマー
12d 判定部
12e データ取得部
12f データ出力部
13 管理側記憶装置
15 入出力部
16 出力装置
16A 表示装置
16B 印刷装置
17 入力装置
18 管理側無線通信装置
18A アンテナ
19 制御システム
20 ダンプトラック
21 車両本体
22 ベッセル
23 車輪
23M ホイール
23T タイヤ
24 サスペンションシリンダ
25 回転センサ
26 サスペンション圧力センサ
27 車載無線通信装置
28A アンテナ
28B GNSS用アンテナ
29 位置情報検出装置
30 車載情報収集装置
31 車載記憶装置
32A エンジン制御装置
32B 走行制御装置
32C 油圧制御装置
32D 操舵装置
33A アクセル
33B シフトレバー
33C ダンプレバー
33D 操舵力検出装置
34F 燃料噴射装置
34G エンジン
34TC トルクコンバータ
34TM トランスミッション
34DS ドライブシャフト
34P オイルポンプ
35 作動油コントロールバルブ
36 ホイストシリンダ
37 走行装置
38 運転者ID取得装置
39 速度検出装置
40 ダンプトラックID取得装置
41 荷重検出装置
42 タイマー
50 状態取得装置
CN1 カーブ
CN2 カーブ
CSB 基準走行経路
CSr 実走行経路
CSr1 往路
CSr2 復路
CT1 位置
CT2 位置
DPA 排土場
DPr 排土位置
LPA 積込場
LPr 積込位置
M 山
PI 位置データ
R1 曲率半径
R2 曲率半径
Rg 走行経路
Rr 走行経路
SPr 走行開始位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22