(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041983
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】車両用空気調和装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/00 20060101AFI20161206BHJP
B61D 27/00 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
B60H1/00 102S
B61D27/00 M
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-513485(P2015-513485)
(86)(22)【出願日】2013年11月26日
(86)【国際出願番号】JP2013081722
(87)【国際公開番号】WO2014174715
(87)【国際公開日】20141030
【審査請求日】2015年4月14日
(31)【優先権主張番号】特願2013-92273(P2013-92273)
(32)【優先日】2013年4月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098604
【弁理士】
【氏名又は名称】安島 清
(74)【代理人】
【識別番号】100087620
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 範夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125494
【弁理士】
【氏名又は名称】山東 元希
(74)【代理人】
【識別番号】100153936
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 健誠
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 元
(74)【代理人】
【識別番号】100166084
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 堅太郎
(72)【発明者】
【氏名】本川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】安達 次生
【審査官】
黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】
特開平5−16654(JP,A)
【文献】
特開平7−332758(JP,A)
【文献】
特開2008−190766(JP,A)
【文献】
特開2012−232691(JP,A)
【文献】
実開昭56−6612(JP,U)
【文献】
実開昭60−178274(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00
B61D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の屋根上に設けられ、前記車両の屋根に形成された開口から前記車両内の空気を吸い込む吸込口が形成された筐体と、前記筐体内に設置され、前記吸込口から吸い込んだ前記車両内の空気を調和する装置本体とを備えた車両用空気調和装置であって、
前記筐体の底板には、前記装置本体から延びる配線ケーブルを前記車両の屋根上と前記筐体下との間の空間に通す配線貫通穴が形成されており、
前記配線ケーブルは、前記装置本体から前記配線貫通穴を介して前記筐体の底板下と前記車両の屋根上との間の空間を通り、前記筐体の底板における前記車両の前記開口上の位置から前記開口内へ延びるように配置されている
ことを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項2】
車両の屋根上に設けられ、前記車両の屋根に形成された開口から前記車両内の空気を吸い込む吸込口が形成された筐体と、前記筐体内に設置され、前記吸込口から吸い込んだ前記車両内の空気を調和する装置本体とを備えた車両用空気調和装置であって、
前記装置本体は、圧縮機、室内送風機、室外送風機、及び分電箱を含み、
前記筐体の底板には、前記圧縮機、前記室内送風機、前記室外送風機、及び前記分電箱から延びる配線ケーブルを前記車両の屋根と前記筐体との間の空間に通す配線貫通穴がそれぞれ形成されており、
前記配線ケーブルは、前記装置本体から前記配線貫通穴を介して前記筐体の底板と前記車両の屋根との間の空間を通り、前記筐体の底板における前記車両の前記開口上の位置から前記開口内へ延びるように配置されている
ことを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項3】
前記配線貫通穴には、前記配線貫通穴と前記配線ケーブルとの隙間を埋める貫通穴シール部材が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空気調和装置。
【請求項4】
前記配線貫通穴の縁部には、前記筐体の内側に突出した堰部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用空気調和装置。
【請求項5】
前記配線貫通穴には、前記底板と前記屋根との間に配置された前記配線ケーブルの先端に接続された第1中継コネクタが固定されており、
前記筐体の内部側の前記配線ケーブルの先端には、前記第1中継コネクタに接続する第2中継コネクタが固定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車両用空気調和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
列車等において車両天井に搭載された車両用空気調和装置は、筐体内に圧縮機及び送風機等の複数の電気部品が配置されており(例えば特許文献1参照)、これらに駆動電力を供給し制御を行うための配線を接続する必要がある。その電気部品の配線回路は多岐にわたり、主回路及び制御回路等の配線に空気調和装置内部のスペースが多く使われている。さらに筐体内に制御器や分電箱及びインバータ等を搭載する空気調和装置もある。配線ケーブルは車両用空気調和装置の筐体内部の縦横にわたり這っており、その占有スペースは無視できなくなってきている。
【0003】
従来から、車両用空気調和装置の室外部の内側底面に配線配管ダクトが設けられており、配線配管ダクト内の配線が妻面部の配線用連結器に接続される車両用空気調和装置が開示されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−126351号公報
【特許文献2】実公昭59−21933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献2の場合、筐体の底板に配線配管ダクトが設けているため、筐体内部に配線用のスペースが必要になり、空気調和装置内に配線を通すスペースが必要であることから、空気調和装置寸法が大きくなる課題がある。また、一般的に、通風経路(リターン口)より落とし、車体配線と接続する方法がある。しかしながら、通風経路に配線が存在した場合には吸込口における通風抵抗が増加するという課題がある。さらに、車両用空気調和装置の内部に配線ケーブルを這わせる必要があるため、例えば室内熱交換器の清掃時や点検作業時の邪魔になるとともに、限られたスペースで配線を這わせる場合、組立の作業性が悪いという問題がある。
【0006】
本発明は、装置の小型化を図るとともに、配線ケーブルによる作業性の低下を防止することができる車両用空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用空気調和装置は、車両の屋根上に設けられ、車両の屋根に形成された開口から車両内の空気を吸い込む吸込口が形成された筐体と、筐体内に設置され、吸込口から吸い込んだ車両内の空気を調和する装置本体とを備えた車両用空気調和装置であって、筐体の底板には、装置本体から延びる配線ケーブルを車両の屋根
上と筐体
下との間の空間に通す配線貫通穴が形成されており、配線ケーブルは、装置本体から配線貫通穴を介して筐体の底板
下と車両の屋根
上との間の空間を通り、筐体の底板における車両の開口上の位置から開口内へ延びるように配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の車両用空気調和装置によれば、車両用空気調和装置の配線ケーブルが車両側の車両側配線ケーブルに繋がれる際に、配線ケーブルが吸込口を通らずに底板と車両の屋根との間の空間を通って車両の開口へ向かって引き回されるため、車両用空気調和装置の組立時や室内熱交換器の清掃や点検の作業時の作業性を向上させることができるとともに、筐体内に配線スペースを設ける必要がなく、装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態1に係る車両用空気調和装置が搭載された車両の模式図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る車両用空気調和装置が搭載された車両の模式図である。
【
図3】
図1の車両用空気調和装置の一例を示す上面図である。
【
図4】
図1の車両用空気調和装置の一例を示す下面図である。
【
図5】
図1の車両用空気調和装置の一例を示すX−Z断面模式図である。
【
図6】
図1の車両用空気調和装置における圧縮機の一例を示すY−Z断面模式図である。
【
図7】
図1の車両用空気調和装置における室内送風機の一例を示すY−Z断面模式図である。
【
図8】従来の車両用空気調和装置の一例を示す上面図である。
【
図9】従来の車両用空気調和装置の一例を示すX−Z断面模式図である。
【
図10】従来の車両用空気調和装置における圧縮機の一例を示すY−Z断面模式図である。
【
図11】従来の車両用空気調和装置における室内送風機の一例を示すY−Z断面模式図である。
【
図12】本発明の車両用空気調和装置における配線貫通穴の実施形態2を示す模式図である。
【
図13】本発明の車両用空気調和装置における配線貫通穴の実施形態2を示す模式図である。
【
図14】本発明の車両用空気調和装置における配線貫通穴の実施形態3を示す模式図である。
【
図15】本発明の車両用空気調和装置における配線貫通穴の実施形態3を示す模式図である。
【
図16】本発明の車両用空気調和装置における配線貫通穴の実施形態4を示す模式図である。
【
図17】本発明の車両用空気調和装置における配線貫通穴の実施形態4を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態1.
以下、図面を参照しながら本発明の車両用空気調和装置の実施形態について説明する。
図1及び
図2は車両用空気調和装置が搭載された車両の模式図である。車両用空気調和装置1は、車両2の屋根3に搭載される車両用の空気調和装置であって、筐体10内に収容されて車両2の屋根3上に固定されている。
【0011】
図3は
図1の車両用空気調和装置の一例を示す上面図、
図4は
図1の車両用空気調和装置の一例を示す下面図、
図5は
図1の車両用空気調和装置の一例を示すX−Z断面模式図、
図6は
図1の車両用空気調和装置における圧縮機の一例を示すY−Z断面模式図、
図7は
図1の車両用空気調和装置における室内送風機の一例を示すY−Z断面模式図である。車両用空気調和装置1は、車両2内の空気を吸い込む吸込口16が形成された筐体10と、筐体10内に設置され、吸込口16から吸い込んだ車両2内の空気を調和する装置本体1Aとを有している。また、
図7に示すように、車両2の屋根3には車両2内に通じる開口4が形成されており、開口4上に吸込口16が位置している。
【0012】
装置本体1Aは、冷媒サイクル回路を使用した冷房運転・暖房運転の選択が可能なものであって、構成機器として圧縮機11、室外熱交換器(熱源側熱交換器)12、室外送風機13、室内熱交換器(利用側熱交換器)14、室内送風機15を備えている。なお、筐体10は、圧縮機11、室外送風機13及び室内送風機15をそれぞれ隔てる隔壁10Bを有しており、圧縮機11、室外送風機13及び室内送風機15は、筐体10内において隔離して配置された状態になっている。
【0013】
圧縮機11は、冷媒を吸引し圧縮するものであり、室外熱交換器12は、圧縮機11から吐出された冷媒と室外送風機13から送風される外気との熱交換を行うものである。室内熱交換器14は、室内送風機15により取り込んだ車両2内の空気と冷媒との熱交換を行うものである。 なお、屋根3と筐体10との間にはシールパッキン60が設けられており、屋根3と筐体10との間の空間Sに雨水等が侵入するのを防止する。
【0014】
ここで、装置本体1Aの動作の一例として冷房運転時における冷媒の流れについて説明する。まず、冷媒は圧縮機11において高温・高圧にされ室外熱交換器12に流入する。室外熱交換器12に流入した冷媒は、室外送風機13により取り込まれた外気と熱交換を行い凝縮液化する。そして、凝縮液化した冷媒は、室内熱交換器14に流入する。室内熱交換器14に流入した冷媒は、図示しない膨張弁で減圧されて低圧二相状態の冷媒に変化する。その後、冷媒は室内熱交換器14で車両2内の空気と熱交換して蒸発ガス化する。そして、熱交換後の空気が車両2の吹出口5から車両2内に吹き込み、車両2の空気が冷却される。その後、蒸発ガス化した冷媒は、室内熱交換器14から再び圧縮機11に吸入される。
【0015】
上述した圧縮機11、室外送風機13、室内送風機15等の装置本体1Aには、駆動電力を供給しさらに動作を制御するための制御信号の送受信を行うために配線ケーブル40が接続されている。この配線ケーブル40は、装置本体1Aの各構成機器から底板10Aに形成された配線貫通穴31〜34を通り、屋根3と底板10Aとの間の空間S(底板10Aの裏側)の位置Pにおいて車両2の開口4へ通されている。
【0016】
具体的には、筐体10の底板10Aには、装置本体1Aから延びる配線ケーブル40を車両2の屋根3と筐体10との間の空間Sに通す配線貫通穴31〜34が形成されている。ここで、筐体10の底板10Aには圧縮機11、室外送風機13、室内送風機15、分電箱20毎に配線貫通穴31〜34はそれぞれ設けられており、圧縮機11、室外送風機13、室内送風機15、分電箱20の配置位置の近くに形成されていることが好ましい。これにより、筐体10の内部における配線の長さを最小限に抑えることができる。
【0017】
各装置本体1Aから配線貫通穴31〜34を通過した配線ケーブル40は、底板10Aと車両2の屋根3との間の空間Sにおいて、開口4上の位置Pまで引き回される。この際、シールパッキン60に挟まれた空間S内で引き回されるため、雨水等による不具合の発生を防止することができる。この開口4上の位置Pは、車両2の開口4上であって吸込口16の外周側、すなわち吸込口16内を通ることなく、開口4内へ落とされる。配線ケーブル40の端部には接続コネクタ50が固定されており、接続コネクタ50を介して車両2側の電気配線に接続されることになる。
【0018】
このように、配線ケーブル40が筐体10と車両2の屋根3との間に配置することにより、通風経路に配線ケーブル40が通ることによる組立作業や清掃作業の作業性を向上させることができる。具体的には、
図8は従来の車両用空気調和装置の一例を示す上面平面図、
図9は従来の車両用空気調和装置の一例を示すX−Z断面模式図、
図10は従来の車両用空気調和装置における圧縮機の一例を示すY−Z断面模式図、
図11は従来の車両用空気調和装置における室内送風機の一例を示すY−Z断面模式図である。
図8〜
図11に示すように、従来の車両用空気調和装置において、配線ケーブル40は、圧縮機11及び室外送風機13から筐体10内において隔壁10Bに設けられた穴61、62を介して室内送風機15側まで延びている。そして、圧縮機11、室外送風機13、室内送風機15及び分電箱20から延びる配線ケーブル40は、筐体10内において引き回されて、吸込口16内の位置P10から落とされる。このような場合、配線ケーブル40により通風抵抗が増加してしまうとともに、筐体10内において配線ケーブル40を這わせる必要があるため、例えば室内熱交換器14の清掃時や点検作業時の邪魔になる。また、限られたスペースで配線を這わせる場合、組立の作業性が悪いという問題がある。さらに、空気調和装置内に配線を通すスペースが必要であることから、空気調和装置の寸法が大きくなる課題がある。
【0019】
そこで、
図3〜
図7に示すように、装置本体1A(圧縮機11、室外送風機13、室内送風機15及び分電箱20)から延びる配線ケーブル40を屋根3と底板10Aとの間の空間に通す配線貫通穴31〜34が底板10Aに設けられるとともに、屋根3の吸込口16に通じる開口4上の位置Pにおいて底板10Aの裏側から車両2の開口4へと配線ケーブル40が延びている。なお、位置Pにおいても配線貫通穴が形成されており、この配線貫通穴から筐体10内へ配線が延びるような構成にしてもよい。これにより、配線ケーブル40が吸込口16を通らないので、配線ケーブル40による通風抵抗の増加を防止することができる。また配線ケーブル40は、屋根3と筐体10との間の空間に這わせることにより、筐体10の内部に配線ケーブル40を這わせるスペースが不要になり、作業効率の向上を図ることができるとともに、寸法の小型化を図ることができる。
【0020】
実施形態2.
図12及び
図13は本発明の車両用空気調和装置における配線貫通穴の実施形態2を示す模式図である。なお、
図12及び
図13の車両用空気調和装置において
図3〜
図7の車両用空気調和装置と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその構成の説明を省略する。また、
図12及び
図13において、圧縮機11に対応する配線貫通穴32を例示して説明するが、その他の配線貫通穴31、33、34についても同様に適用することができる。
図12及び
図13の配線貫通穴32が
図3〜
図7の配線貫通穴32と異なる点は、配線貫通穴32にシール部材132が設けられている点である。
【0021】
具体的には、
図11に示すように、配線貫通穴32と配線ケーブル40との隙間を埋めるパテ等のシール部材132が設けられている。これにより、圧縮機11から冷媒が漏れた場合であっても配線貫通穴32から車内に冷媒が流れるのを防止することができる。さらに、配線貫通穴32からのバイパス空気を遮断することができる。また、
図12及び
図13のような車両用空気調和装置であっても、作業効率の向上及び装置の小型化を図ることができる。
【0022】
実施形態3.
図14及び
図15は本発明の車両用空気調和装置における配線貫通穴の実施形態3を示す模式図である。なお、
図14及び
図15の配線貫通穴において
図3〜
図13の配線貫通穴と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその構成の説明を省略する。また、
図14及び
図15において、圧縮機11に対応する配線貫通穴32を例示して説明するが、その他の配線貫通穴31、33、34についても同様に適用することができる。
図14及び
図15の配線貫通穴32が
図3〜
図13の配線貫通穴32と異なる点は、堰部232Aが設けられている点である。
【0023】
具体的には、
図14及び
図15に示すように、配線貫通穴32の縁部には、筐体10の内側に突出した堰部232Aが形成されており、堰部232Aの上部には堰部232Aを塞ぐ蓋232Bが固定されている。さらに、蓋232Bにおける配線ケーブル40が貫通する部位にはシール部材132が設けられている。ドレン水が底板10A上に流れた場合であっても、堰部232Aにより配線貫通穴32を通り外部へ漏れることを防止することができる。さらに、圧縮機11から冷媒が漏れた場合であっても配線貫通穴32から車内に冷媒が流れるのを防止することができる。さらに、配線貫通穴32からのバイパス空気を遮断することができる。また、
図14及び
図15のような車両用空気調和装置であっても、作業効率の向上及び装置の小型化を図ることができる。
【0024】
実施形態4.
図16及び
図17は本発明の車両用空気調和装置における配線貫通穴の実施形態4を示す模式図である。なお、
図16及び
図17の配線貫通穴32において
図3〜
図15の配線貫通穴32と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその構成の説明を省略する。また、
図16及び
図17において、圧縮機11に対応する配線貫通穴32を例示して説明するが、その他の配線貫通穴31、33、34についても同様に適用することができる。
図16及び
図17の配線貫通穴32が
図3〜
図15の配線貫通穴32と異なる点は、配線貫通穴32において配線ケーブル40が第1中継コネクタ332A及び第2中継コネクタ332Bにより接続されている点である。
【0025】
具体的には、
図16及び
図17に示すように、配線貫通穴32には、底板10Aと屋根3との間に配置された配線ケーブル40の先端に接続された第1中継コネクタ332Aが固定されている。一方、筐体10の内側の配線ケーブル40の先端には、第1中継コネクタ332Aに接続される第2中継コネクタ332Bが固定されている。なお、予め車両2側から第1中継コネクタ332Aまでの配線ケーブル40を配置しておき、筐体10内での配線作業を行う際、作業者は装置本体1Aの構成機器から延びる第2中継コネクタ332Bを底板10Aの第1中継コネクタ332Aに接続すれば配線作業が完了することになる。
【0026】
これにより、配線ケーブル40を底板10Aと屋根3との間に這わせた場合であっても、装置本体1Aの構成部品及び配線の脱着を簡便に行うことができるため、配線作業及び組立作業を効率的に行うことができる。さらに、ドレン水が底板10A上に流れた場合であっても、堰部232Aにより配線貫通穴32を通り外部へ漏れることを防止することができる。また、圧縮機11から冷媒が漏れた場合であっても配線貫通穴32から車内に冷媒が流れるのを防止することができる。さらに、配線貫通穴32からのバイパス空気を遮断することができる。また、
図16及び
図17のような車両用空気調和装置であっても、作業効率の向上及び装置の小型化を図ることができる。
【0027】
本発明の実施形態は、上記実施形態に限定されない。たとえば、実施形態1〜4において、配線ケーブル40に接続された装置本体1Aの構成機器として室外送風機13、室内送風機15及び分電箱20について例示しているが、筐体10内に収容された電力の供給が必要な機器もしくは制御が必要な機器についても同様に適用することができる。また、装置本体1Aの構成機器(圧縮機11、室外送風機13、室内送風機15、分電箱20)毎にそれぞれ配線貫通穴31〜34を設けた場合について例示しているが、例えば複数の構成機器(室内送風機15、分電箱20)に対し1つの配線貫通穴33を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 車両用空気調和装置、1A 装置本体、2 車両、3 屋根、4開口、5 吹出口、10 筐体、10A 底板、10B 隔壁、11 圧縮機、12 室外熱交換器、13 室外送風機、14 室内熱交換器、15 室内送風機、16 吸込口、20 分電箱、31、32、33、34 配線貫通穴、40 配線ケーブル、50 接続コネクタ、60 シールパッキン、61、62 穴、132 シール部材、232A 堰部、232B 蓋、332A 第1中継コネクタ、332B 第2中継コネクタ、P 位置、S 空間。