特許第6042004号(P6042004)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6042004インバータ装置に用いる高圧ユニット及びこれを用いたインバータ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6042004
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】インバータ装置に用いる高圧ユニット及びこれを用いたインバータ装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20161206BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-15446(P2016-15446)
(22)【出願日】2016年1月29日
【審査請求日】2016年3月11日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年1月13日 オートモーティブワールド2016に展示。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502169478
【氏名又は名称】公益財団法人岡山県産業振興財団
(74)【代理人】
【識別番号】100114535
【弁理士】
【氏名又は名称】森 寿夫
(74)【代理人】
【識別番号】100075960
【弁理士】
【氏名又は名称】森 廣三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155103
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 厚
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194755
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀明
(72)【発明者】
【氏名】吉田 寛
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−176634(JP,A)
【文献】 特開2015−139333(JP,A)
【文献】 特開2007−195384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42 − 7/98
H02M 3/155
H02M 7/797
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車の車輪駆動用のモータを駆動するインバータ装置に用いる高圧ユニットであって、
冷却部と、
高圧系のパワー部とを備えており、
前記高圧ユニットはボックス内に収容されるものであり、
前記冷却部は、水路を有する水冷ジャケットで構成されており、
1ユニットの高圧ユニットに前記冷却部及び前記パワー部を含んでおり、
前記1ユニット分の高圧ユニットは、前記ボックス内に組み込む前に前記冷却部と前記パワー部とが組み立てられて、1車輪分のモータに対応した独立したユニットとして完結しており、
複数の車輪分の各モータに対して、前記1ユニット分の高圧ユニットをモータの個数分用いることにより、前記各高圧ユニットを複数の車輪分の各モータ用の高圧ユニットとして使用可能であり、
前記1ユニット分の高圧ユニットは、前記ボックスに組み込む前に、少なくとも冷却機能とインバータ機能とを発揮でき、かつ前記両機能を検査可能なユニットとして完結しており、
前記高圧ユニットを前記ボックスに組み込む前の開放状態で前記検査が可能になるようにしたことを特徴とするインバータ装置に用いる高圧ユニット。
【請求項2】
前記高圧ユニットに、高圧ケーブルを接続するためのバスバーが前記高圧ユニットの端部に並列的に配置されている請求項1に記載のインバータ装置に用いる高圧ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のインバータ装置に用いる高圧ユニットを備えるインバータ装置であって、前記高圧ユニットが前記ボックス内に収容されているインバータ装置。
【請求項4】
複数の車輪分の各モータの個数分に対応した前記高圧ユニットが、1つの前記ボックス内に収容されている請求項に記載のインバータ装置。
【請求項5】
前記ボックスの底面側に開口が形成されており、前記高圧ユニットの構成部品の搭載側を前記ボックス内に向けて通過させた状態で、前記水冷ジャケットを前記ボックスの外部から前記ボックスに固定して前記開口を前記水冷ジャケットで塞ぐことができるように構成されている請求項又はに記載のインバータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車のモータ駆動に用いられるインバータ装置に用いる高圧ユニット及びこれを用いたインバータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車のモータ駆動に用いられるインバータは、水冷却部、パワーモジュール、電流センサ、パワーモジュール駆動用制御基板(ドライバー基板)及びコンデンサなどを備えた高圧系と、モータ制御部を備えた低圧系とで主要部が構成されている。インバータには直流電源であるバッテリから電力が供給され、インバータは直流を3相交流に変換するとともに、運転操作(アクセル等)、走行状態及びモータの回転速度に基づいて、3相交流の電流値を制御してモータのトルクを制御する。
【0003】
例えばインホイールモータ車では、左右輪に対応した各モータの駆動力・制動力を独立して制御するため、各モータにインバータが必要である。特許文献1には、それぞれインバータ回路を内蔵した2つのパワーモジュールを1つの筐体内に収容した電力変換装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−100532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成は、筐体内に組み込んで初めて装置としての機能を発揮するため、筐体内に組み込む前に装置の機能・性能を確認するのは困難であり生産性向上に不利であるとともに、品質確保の点でも不利であった。
【0006】
本発明は、前記のような従来の問題を解決するものであり、生産性の向上や品質の確保に有利なインバータ装置に用いる高圧ユニット及びこれを用いたインバータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のインバータ装置に用いる高圧ユニットは、電気自動車の車輪駆動用のモータを駆動するインバータ装置に用いる高圧ユニットであって、冷却部と、高圧系のパワー部とを備えており、1ユニットの高圧ユニットに前記冷却部及び前記パワー部を含んでおり、前記1ユニット分の高圧ユニットは1車輪分のモータに対応した独立したユニットとして完結しており、複数の車輪分の各モータに対して、前記1ユニット分の高圧ユニットをモータの個数分用いることにより、前記各高圧ユニットを複数の車輪分の各モータ用の高圧ユニットとして使用可能であることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、1ユニット分の高圧ユニットは1車輪分のモータに対応した独立したユニットとして完結しているので、インバータ装置に対応するモータが複数であっても、各モータに対応する高圧系の部品は、同一の高圧ユニットをモータの数と同じ個数だけ用意するだけでよく、複数の高圧ユニットの取付作業は、同一の取付作業を繰り返すだけでよく、取付作業の単純化により生産性の向上に有利になる。また、取付作業の単純化は組立品の品質確保に有利になることに加え、高圧ユニット自体の品質についても、1種類の高圧ユニットについて品質を確保しておけばよいので、品質確保に有利になる。
【0009】
また、1ユニット分の高圧ユニットが1車輪分のモータに対応した独立したユニットとして完結していることにより、高圧ユニット1個分のみで高圧ユニット1個分の検査が完結する。すなわち、高圧ユニットをボックスに収容する場合は、左右の車輪分の高圧ユニットがそれぞれそれボックスに組み込まれて初めて検査が可能になるのではなく、ボックスに組み込む前に1つの高圧ユニット単体で検査が可能になる。このため、高圧ユニットをボックスに組み込む前の開放状態で検査が可能になり、このことも生産性向上に有利になる。
【0010】
さらに、1ユニット分の高圧ユニットに1車輪分のモータ駆動に必要なパワー部とこれを冷却する冷却部とが集約されているので、高圧ユニットは小型化が可能になり、容積及び重量の削減に有利になる。高圧ユニットの小型化は、あわせて高圧ユニットをボックスに収容する場合のボックスの小型化にもなる。
【0011】
前記本発明のインバータ装置に用いる高圧ユニットにおいては、前記1ユニット分の高圧ユニットは、少なくとも冷却機能とインバータ機能とを発揮でき、かつ前記両機能を検査可能なユニットとして完結していることが好ましい。この構成によれば、1ユニット分の高圧ユニットは、最終的な組立品であるインバータ装置に求められる主要な機能を発揮できることに加え、かつ検査可能に完結しており、前記本発明のインバータ装置に用いる高圧ユニットで実現できる生産性の向上や品質の確保が一層有利になる。
【0012】
また、前記高圧ユニットに、高圧ケーブルを接続するためのバスバーが前記高圧ユニットの端部に並列的に配置されていることが好ましい。この構成によれば、高圧ユニットをボックスに収容する場合は、ボックスの外部から配線孔を挿通させた直後の高圧ケーブルの端子をバスバーに接続可能であり、ボックス内に特別な配線スペースは不要になり、ボックス内の限られた空間を有効活用でき、ボックスの大型化を防止することができる。
【0013】
本発明のインバータ装置は、前記各本発明のインバータ装置に用いる高圧ユニットを備えるインバータ装置であって、前記高圧ユニットがボックス内に収容されていることを特徴とする。この構成によれば、前記のとおり本発明に係る高圧圧ユニットは小型化が可能になるので、これを収容するボックスも小型化できるとともに、1ユニット分の高圧ユニットは、1車輪分のモータ駆動に必要な高圧ユニットとして完結しているので、ボックス内の高圧ユニットのレイアウトやスペース確保が容易になり、このこともボックスの小型化に役立ち、あわせてボックス内の配線処理が容易になる。
【0014】
前記本発明のインバータ装置においては、複数の車輪分の各モータの個数分に対応した前記高圧ユニットが、1つの前記ボックス内に収容されていることが好ましい。この構成によれば、高圧ユニット毎にボックスに収容する構成と比べると、ボックスが一体化することにより小型、軽量、低コスト化が図られる。また、ボックス間の仕切り無くなることにより、コネクタ取り付け面及びコネクタ取り付け孔がなくなり、配線(信号線、高圧線)及びコネクタが削減され、このことによっても小型、軽量、低コスト化が図られる。あわせて、配線及びコネクタの削減は、配線不良による不具合を排除でき、品質の確保に有利になる。
【0015】
また、前記本発明のインバータ装置においては、前記ボックスの底面側に開口が形成されており、前記高圧ユニットの構成部品の搭載側を前記ボックス内に向けて通過させた状態で、前記高圧ユニットを前記ボックスの外部から前記ボックスに固定できるように構成されていることが好ましい。この構成によれば、ボックスの外部から高圧ユニットを固定できるので、固定作業が容易になり、生産性向上により有利になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果は前記のとおりであり、要約すれば、本発明によれば高圧ユニットの取付作業の単純化により生産性の向上に有利になり、インバータ装置の組立品の品質確保に有利になる。また、高圧ユニット自体の品質確保にも有利になることに加え、高圧ユニットをボックスに収容する場合は、ボックスに組み込む前に高圧ユニット単体で検査が可能になり、このことも生産性向上に有利になる。さらに、1ユニット分の高圧ユニットに1車輪分のモータ駆動に必要なパワー部とこれを冷却する冷却部とが集約されているので、高圧ユニットは小型化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る高圧ユニットの斜視図。
図2図1に示した高圧ユニットを裏面側から見た斜視図。
図3】本発明の一実施形態に係るボックスの斜視図。
図4図3に示したボックスを底面側から見た斜視図。
図5図4の状態からボックスに2ユニット分の高圧ユニットを取り付けた状態を示した斜視図。
図6】本発明の一実施形態において、ボックスに2ユニット分の高圧ユニットを取り付けた状態をボックスの上側から見た斜視図。
図7】本発明の一実施形態において、ボックスに2ユニット分の高圧ユニットを取り付けた状態を真上から見た平面図。
図8】本発明の一実施形態において、高圧ケーブルを高圧ユニットに接続する様子を示す拡大斜視図。
図9】本発明の一実施形態において、高圧ケーブルを配線孔に挿通させた後のボックス内の状態を示す要部斜視図。
図10】本発明の一実施形態において、高圧ケーブルと高圧ユニットとの接続が完了した状態のボックスの斜視図。
図11】本発明の一実施形態において、電磁遮蔽板及び仕切り板を取り付ける前の状態を示す斜視図。
図12】本発明の一実施形態において、モータ制御部を組み立てる前の状態を示す斜視図。
図13】本発明の一実施形態において、カバーを取り付ける前の状態を示す斜視図。
図14】本発明の一実施形態に係るインバータ装置の完成状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係るインバータ装置は、電気自動車用のインバータ装置の例で説明し、本実施形態に係る高圧ユニットは、このインバータ装置に用いるものである。図1は、本発明の一実施形態に係る高圧ユニット1の斜視図であり、図2図1に示した高圧ユニット1を裏面側から見た斜視図である。詳細は後に説明するとおり、高圧ユニット1は冷却部3と高圧系のパワー部10とが組み立てられたものである。本実施形態では、高圧ユニット1をボックス20内に収容したもの(図14参照)をインバータ装置2という。
【0019】
冷却部3は、水冷ジャッケット4に、水管接続用の水栓5が取り付けられたものである。水冷ジャッケット4の内部には、図2に示したように水路6が構成されており、水路6には水栓5に取り付けた水供給管からの冷却水が流動する。水路6の途中には冷却水溜まり部7が形成されており、図1に示したように冷却水溜まり部7は水冷ジャッケット4の表面側から延出している。この延出部にパワー部10を構成するパワーモジュール11の発熱部が対応しており、パワーモジュール11が冷却されるようになっている。
【0020】
図1において、パワー部10は、主にパワーモジュール11、ドライバ基板12及びコンデンサ13で構成されており、これらの付属部品としてバスバー16及び電流センサ18を備えている。バスバー16は、高圧ケーブル40(図8参照)に接続するための部品である。電流センサ18は、車輪駆動用のモータに送られる電流値を計測するセンサである。パワーモジュール11とドライバ基板12とでインバータを構成しており、インバータによりバッテリーからの直流が3相交流に変換される。ドライバ基板12にはPWM(Pulse Width Modulation)制御のための回路が組み込まれ、パワーモジュール11にはスイッチング素子が組み込まれている。
【0021】
インバータで生成された交流電流は、左右輪のそれぞれを回転駆動させるためのモータの駆動に用いられる。モータとしては、例えばインホイールモータが挙げられる。インホイールモータは車輪の内側に内蔵して用いられ、その回転により車輪が回転しこれと一体に車輪に装着されたタイヤが回転する。コンデンサ13は、直流電圧の変動を抑制して平滑化させるためのものである。
【0022】
高圧ユニット1は、図1の状態では、各構成部品同士が組み立てられて、各構成部品が一体となった1ユニット分の高圧ユニット1で構成されている。各構成部品同士の組み立て方法は特に限定はなく、ボルト・ナット等による機械的結合でもよく、接着でもよい。例えば、コンデンサ13は支持プレート8の一部に固定したナット9に固定プレート31の端部に挿通させたボルト19を締め付けて固定されている。
【0023】
1ユニット分の高圧ユニット1は、左右の車輪駆動用のモータ1つ分に対応した独立したユニットであり、1ユニット分の高圧ユニット1を2つ用いることにより、左右輪のモータ2つ分に対応した高圧ユニット1として使用できる。すなわち、1ユニット分の高圧ユニット1は、1車輪分のモータ駆動に必要な高圧ユニット1として完結している。したがって、1ユニット分の高圧ユニット1をモータの個数分用いることにより、各高圧ユニット1を各モータ用の高圧ユニット1として使用可能となる。
【0024】
より具体的には、本実施形態に係る高圧ユニット1によれば、対応するモータが複数であっても、各モータに対応する高圧系の部品は、同一の高圧ユニット1をモータの数と同じ個数だけ用意するだけでよい。この場合、複数の高圧ユニット1の取付作業は、同一の取付作業を繰り返すだけでよく、取付作業の単純化により生産性の向上に有利になる。また、取付作業の単純化は組立品の品質確保に有利になることに加え、高圧ユニット1自体の品質は、1種類の高圧ユニット1について品質を確保しておけばよいので、品質確保に有利になる。
【0025】
特に本実施形態においては、1ユニット分の高圧ユニット1は、冷却機能とインバータ機能とを発揮でき、かつ両機能を検査可能に完結している。このため、1ユニット分の高圧ユニット1は、インバータ装置1(図14参照)に求められる主要な機能を発揮できることに加え、かつ検査可能に完結しているので、前記のような生産性の向上や品質の確保が一層有利になる。冷却機能とは、パワー部10の発熱部を冷却するための必要最小限の機能のことであり、インバータ機能とは、直流を3相交流に変換する必要最小限の機能のことである。本実施形態では、パワー部10はインバータ機能を発揮できる構成であるが、コンデンサ13を省いても、インバータ機能を発揮でき、かつインバータ機能の検査も可能である。
【0026】
また、1ユニット分の高圧ユニット1に1車輪分のモータ駆動に必要なパワー部10とこれを冷却する冷却部3とが集約されているので、高圧ユニット1は小型化が可能になり、容積及び重量の削減に有利になる。高圧ユニット1の小型化は、あわせて高圧ユニット1をボックスに収容する場合のボックスの小型化にもなる。
【0027】
以下、高圧ユニット1をボックス20(図3参照)に収容して使用する例を工程順に説明する。高圧ユニット1をボックス20に収容する前において(図1の状態)、高圧ユニット1を構成する冷却部3及びパワー部10の性能、機能及び品質の検査を行う。
【0028】
前記のとおり、高圧ユニット1はそれぞれ1車輪分のモータ駆動に必要な高圧ユニット1として完結しているので、左右の車輪分の高圧ユニット1がボックス20に組み込まれて初めて検査が可能になるのではなく、ボックス20に組み込む前に1つの高圧ユニット1単体で検査が可能になる。このため、高圧ユニット1をボックス20に組み込む前の開放状態で検査が可能になり、このことも生産性向上に有利になる。特に、本実施形態は1ユニット分の高圧ユニット1が冷却機能とインバータ機能とを発揮できるユニットとして完結しているので、1ユニット分の高圧ユニット1の検査で主要項目の検査が可能になる。



【0029】
高圧ユニット1の検査が完了すると、高圧ユニット1をボックス20内に収容する。図3は本発明の一実施形態に係るボックス20の斜視図であり、図4図3に示したボックス20を底面側から見た斜視図である。図3に示したように、ボックス20の上側全体が開口になっており、図4に示したように、ボックス20の底面には2つの開口26が形成されている。
【0030】
図4に示したボックス20の底面の2つの開口26にそれぞれ、高圧ユニット1の構成部品の搭載側を通過させる。図5は、ボックス20に2ユニット分の高圧ユニット1を取り付けた状態を示している。この状態において、水冷ジャッケット4に形成された孔31にボルトを締め付けて、高圧ユニット1をボックス20に固定する。合わせて、各高圧ユニット1の水栓5同士を水管30で接続し、各高圧ユニット1に順次冷却水が流れるようにする。
【0031】
高圧ユニット1はそれぞれ1車輪分のモータ駆動に必要な高圧ユニット1として完結しているので、ボックス20への取り付けは、それぞれ単体の同一の高圧ユニット1を2つ用意し、それぞれ独立した取付作業を行えばよい。すなわち、2つの高圧ユニット1に共用の新たな部品を高圧ユニット1間に取り付ける等の追加作業は不要であり、このことも生産性向上に有利になる。特に、本実施形態のように、ボックス20の裏面側の2つの開口26にそれぞれ、高圧ユニット1の構成部品の搭載側を通過させる構成では、ボックス20の外部から高圧ユニット1を固定できるので、固定作業が容易になり、生産性向上により有利になる。
【0032】
図6は、ボックス20に2ユニット分の高圧ユニット1を取り付けた状態をボックス20の上側から見た斜視図であり、図7は真上から見た平面図である。図6及び図7に示したように、仕切り板21及び仕切り板22がT字状に交差して配置されており、図7に示したように、ボックス20内の空間が3分割されている。仕切り板21及び仕切り板22を配置したことにより、各高圧ユニット1の全周が壁面で囲まれている。このことにより、隣接する高圧ユニット1間の電磁波による影響を防止している。
【0033】
また、図7に示したように、仕切り22を介して、ボックス20内の空間は高圧ユニット1の配置空間35とこれに隣接する中継空間36とに区画されている。中継空間36は、バッテリーからの電源を2つの高圧ユニット1に分岐するための電気的接続部分を収容する空間である。中継空間36において、2つのコンデンサ13の端子14は、各端子14の孔15の位置でボルトを締め付けることにより、ジョイントバー34で連結される。
【0034】
図6及び図7のように、ボックス20内に高圧ユニット1を設置した状態において、ボックス20の側面から、モータ及びバッテリーに結合する高圧ケーブル40を高圧ユニット1に接続する。図8は、高圧ケーブル40を高圧ユニット1に接続する様子を示す拡大斜視図である。高圧ケーブル40は先端に端子41が取り付けられており、端子41の近傍に高圧ケーブル40をボックス20に固定するための留め具43が取り付けられている。図8の状態から、高圧ケーブル40をボックス20に形成された配線孔24に挿通させる。
【0035】
図9は、高圧ケーブル40を配線孔24に挿通させた後のボックス20内の状態を示す要部斜視図である。本図の状態において、端子41とバスバー16を重ね合わせて、孔42及び孔17の位置でボルトを締め付けることにより端子41とバスバー16とを接続する。同じ作業を繰り返して、すべてのバスバー16に、高圧ケーブル40の端子41を接続して高圧ケーブル40と高圧ユニット1との接続が完了する。図10は、高圧ケーブル40と高圧ユニット1との接続が完了した状態のボックス20の斜視図を示している。
【0036】
高圧ユニット1はそれぞれ1車輪分のモータ駆動に必要な高圧ユニット1として完結しているので、高圧ケーブル40の接続についても、一方の高圧ユニット1への接続作業が終われば、同じ接続作業を他方の高圧ユニット1に行えば足り、煩雑な配線作業は不要になる。また、バスバー16は高圧ユニット1の端部に並列的に配置されているので、ボックス20の外部から配線孔24を挿通させた直後の高圧ケーブル40の端子41をバスバー16に接続可能である。このことにより、特別な配線スペースは不要になり、ボックス20内の限られた空間を有効活用でき、ボックス20の大型化を防止することができる。
【0037】
以後の工程を図11図13を参照しながら説明する。図11図13はインバータ装置の組立途中の状態を示す斜視図であり、図11は電磁遮蔽板50を取り付ける前の状態を示している。電磁遮蔽板50は高圧部と低圧部とを隔離するものであり、これにより高圧ユニット1(高圧部)と後に搭載するモータ制御部52(低圧部)とが隔離される。図12は、モータ制御部52を組み立てる前の状態を示している。この状態では、電磁遮蔽板50が取り付けられている。
【0038】
図12において、モータ制御部52はモータ制御基板で構成されている。モータ制御基板は、電流センサ18(図1参照)の計測値を監視しながら、車輪駆動用のモータに送る電流を制御するものであり、例えばMCU基板(Micro Controller Unit)である。2つのモータ制御部52は、電磁遮蔽板50上取り付けられる。図13は、カバー53を取り付ける前の状態を示している。この状態では、モータ制御部52は取り付けられており、ボックス20の側面に形成された複数の配線孔27に、低圧線、信号線などを挿入して、モータ制御部52の基板のコネクタに接続する。
【0039】
図14は、インバータ装置1の完成状態を示す斜視図である。本図の状態では、カバー53がボルト54によりボックス20に固定されている。以上、2つの高圧ユニット1を1つのボックス20に収容して使用する構成を説明したが、この構成では、高圧ユニット1毎にボックスに収容する構成と比べると、ボックスが一体化することにより小型、軽量、低コスト化が図られる。また、ボックス間の仕切りが無くなることにより、コネクタ取り付け面及びコネクタ取り付け孔がなくなり、配線(信号線、高圧線)及びコネクタが削減され、このことによっても、小型、軽量、低コスト化が図られる。あわせて、配線及びコネクタの削減は、配線不良による不具合を排除でき、品質の確保に有利になる。
【0040】
また、前記のとおり、高圧ユニット1は小型化が可能になり、このことはこれを収容するボックス20の小型化にもなる。さらに、1ユニット分の高圧ユニット1は、1車輪分のモータ駆動に必要な高圧ユニット1として完結しているので、ボックス20内の高圧ユニット1のレイアウトやスペース確保が容易になり、このこともボックス20の小型化に役立ち、あわせてボックス20内の配線処理が容易になる。
【0041】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限るものではなく適宜変更した構成も含まれる。具体的には、高圧ユニット1は少なくとも冷却部3及びパワー部10に相当するもので構成されていればよく、その構成部品に特に限定はない。したがって、高圧ユニット1は、前記実施形態から構成部品の一部を省いたものでもよく、構成部品を追加したものでもよい。例えば、コンデンサ13は高圧ユニット1から省いてもよい。この場合、コンデンサ13は後付けすればよく、電気的に問題がないことを確認した上で、複数の高圧ユニット1用に一体化したものを後付けしてもよい。
【0042】
また、高圧ユニット1は、1車輪分に対応した独立したユニットとして完結しているが、インバータ装置1としての完成状態で完結していてばよい。例えば、高圧ユニット1をボックス20内に収容する場合は、図13のように最終的にカバー53を取り付ける際に、高圧ユニット1が完結状態になっていればよい。
【符号の説明】
【0043】
1 高圧ユニット
2 インバータ装置
3 冷却部
4 水冷ジャッケット
10 パワー部
11 パワーモジュール
12 ドライバ基板
13 コンデンサ
16 バスバー
20 ボックス
21,22 仕切り板
40 高圧ケーブル
50 電磁遮蔽板
52 モータ制御部
53 カバー

【要約】
【課題】生産性の向上や品質の確保に有利なインバータ装置に用いる高圧ユニット及びこれを用いたインバータ装置を提供する。
【解決手段】冷却部3と、高圧系のパワー部10とを備えており、1ユニットの高圧ユニット10に冷却部3及びパワー部10を含んでおり、1ユニット分の高圧ユニット1は1車輪分のモータに対応した独立したユニットとして完結しており、複数の車輪分の各モータに対して、前記1ユニット分の高圧ユニット1をモータの個数分用いることにより、各高圧ユニット1を複数の車輪分の各モータ用の高圧ユニット1として使用可能である。このことにより、高圧ユニット1の取付作業が単純化され、生産性の向上及び品質確保に有利になることに加え、ボックスに組み込む場合は組み込む前に高圧ユニット1単体で検査が可能になり、このことも生産性向上に有利になる。
【選択図】図1
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