(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、各図面を参照しながら以下に説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る洗浄装置9の概略的な構成図である。本図に示すように洗浄装置は、清浄ノズル1、洗浄装置本体2、および給水タンク3を備えている。なお
図1に示す例では、給水タンク3は洗浄装置本体2から分離しているが、洗浄装置本体2と一体化されていても構わない。
【0016】
洗浄装置9は、洗浄装置本体2が陰圧を発生させることにより吸引力を生じさせ、給水タンク3内の洗浄水Wを、清浄ノズル1を介して洗浄装置本体2へ流動させる。この際に洗浄水Wが清浄ノズル1の前にある洗浄対象へ当たり、その汚れを洗い流す(洗浄する)ことが可能である。なおここでの洗浄対象は主に被介護者の身体が想定されるが、これに限られるものではなく、床や家具など様々なものが洗浄対象となり得る。
【0017】
洗浄装置本体2は、減圧装置21および汚水タンク22を有し、更に回収ホース23が設けられている。回収ホース23は、一端が清浄ノズル1(より具体的には、回収ホース取付部111)に取り付けられ、他端が汚水タンク22に繋がっている。減圧装置21は、汚水タンク22に繋がる回収ホース23内を減圧して陰圧状態とし、清浄ノズル1側から汚水タンク22への吸引力を発生させる。減圧装置21の吸引力(減圧の強さ)は、清浄ノズル1に洗浄水Wを適切に流動させるよう設定されることが望ましく、当該吸引力が調節可能となっていても良い。洗浄装置本体2は、一般的な湿式掃除機、或いはこれに準じたものが流用されても良い。例えば、湿式掃除機のノズル部分を本実施形態に係る洗浄ノズル1に付替えて、洗浄作業を行うことが可能である。
【0018】
給水タンク3は、洗浄水Wを溜めておくことの出来るタンクであり、給水ホース31が設けられる。給水ホース31の一端は給水タンク3内に挿入されており、他端は清浄ノズル1の所定部分(給水ホース取付部117a)に取付けられる。
【0019】
清浄ノズル1への洗浄水Wの供給は、洗浄装置本体2の陰圧発生によりなされるため、洗浄ノズル1へ洗浄水Wを積極的に送り出す仕組みを給水タンク3に設ける必要はない。そのため給水タンク3としては、洗浄水Wを入れたバケツ等を流用することも可能である。また洗浄水Wとしては、普通の水(常温の水や湯など)を用いれば良いが、洗浄対象の種類や汚れ度合等に応じて、例えば洗剤入りの水など種々の液体が採用され得る。
【0020】
なお、給水タンク3の代わりとなる容器(例えばカートリッジ式のもの)等が、清浄ノズル1に直接設けられるようにしても構わない。また給水タンク3側に、洗浄水Wを積極的に清浄ノズル1へ送り出すための装置が設けられても良い。
【0021】
清浄ノズル1は、使用者が手にとって先端部分(球状体14の部分)を洗浄対象へ押し当てることにより、洗浄対象の汚れを洗い流すことが出来るように工夫されている。以下、清浄ノズル1の構成について、より詳細に説明する。
【0022】
図2は清浄ノズル1の分解斜視図であり、
図3は清浄ノズル1の外観図である。
図2に示すように清浄ノズル1は、パイプ部材11、バネ部材12、支持部材13、8個の球状体14、およびカバー部材15を用いて形成されている。パイプ部材11、支持部材13、球状体14、およびカバー部材15は、樹脂などを用いて形成することができ、バネ部材12は、錆び難い金属などの弾性材質を用いて形成されることが好ましい。但し各部材の材質は、清浄ノズル1の機能を確保し得る限り、特に限定されるものではない。
【0023】
なお
図4は、パイプ部材11にバネ部材12を取り付けた状態を示し、
図5は、
図4の状態から更に支持部材13を取り付けた状態を示し、
図6は、
図5の状態から更に球状体14を取り付けた状態を示している。清浄ノズル1は、
図6の状態から更にカバー部材15を取り付けることによって形成可能である。
【0024】
またパイプ部材11の伸長部114、バネ部材12、支持部材13、およびカバー部材15は、
図2に示す前後方向へ伸びる破線を軸Xとして、概ね軸対称となるよう配置される。なお以下の説明における「径方向」は、特に断りの無い限り、軸Xを基準とした径方向(軸Xと直交する方向)であるとする。次に、清浄ノズル1を形成する各部材の構成について順に説明する。
【0025】
パイプ部材11は、概略的に見て「へ」の字に伸びた断面円形のパイプ状(内部が空洞となった形状)となっており、端から順に、回収ホース取付部111、掴み部112、屈曲部113、および伸長部114が形成されている。当該パイプ状の両端は開口している。パイプ部材11の内部空間は、回収ホース23とともに洗浄水Wの吸引に用いられる吸引経路を構成する。
【0026】
回収ホース取付部111は、回収ホース23の一端が嵌着等によって取付可能となるように形成されている。回収ホース取付部111の外径は、回収ホース23の内径と同等か少し大き目となっており、回収ホース取付部111を回収ホース23内に挿入すると、容易に抜けないよう取付可能である。なお回収ホース取付部111には、回収ホース23が容易に抜けないようにするための他の機構や仕組みが設けられても良い。
【0027】
掴み部112は、掴み易い程度のサイズに形成されており、使用者は掴み部112を手にとって、清浄ノズル1を快適に取扱うことが可能である。屈曲部113は、所定角度(例えば45度)だけ屈曲しており、清浄ノズル1の先端部分(球状体14の部分)を洗浄対象へ当て易くするように、使用者の使い勝手等を考慮して設けられている。なお清浄ノズル1は、屈曲部113の屈曲角度が調節自在となっていても良く、屈曲部113を設けない形態(ほぼ真直ぐな形態)となっていても構わない。
【0028】
伸長部114は、ほぼ真直ぐに伸びた部分であり、伸長部114の外面には、略輪状に形成された後側輪状部115および前側輪状部116が設けられている(
図4を参照)。つまり伸長部114は、後側輪状部115と前側輪状部116の内側に嵌め込まれた格好となっている。前側輪状部116は、後側輪状部115の前側に所定距離だけ離れて配置されている。
【0029】
またパイプ部材11における伸長部114の近傍には、真直ぐで細めの管状に形成された洗浄水搬送部117が、軸Xと平行となるように、後側輪状部115と前側輪状部116に支持される格好で設けられている。より具体的に説明すると、洗浄水搬送部117は、前側輪状部116から後側輪状部115を通って後方へ突き出るように配置されている。この突き出た部分は、給水ホース23の端部に取付可能な給水ホース取付部117aである。また洗浄水搬送部117の前端は、前側輪状部116の前面と面一となるように前方に開口した開口端117bとなっている。
【0030】
なお、後側輪状部115、前側輪状部116、および洗浄水搬送部117は、一つの部品となるように一体化されていても良く、別々の部品として用意されていても良い。またこれらの各部は、パイプ部材11との一体成形により設けられても良い。また本実施形態では、軸Xを基準とした給水ホース取付部117aの周方向位置は、屈曲部113が屈曲する方向の位置の反対側となっている。そのため、給水ホース取付部117aに取付けられる給水ホース31は、掴み部112を掴む使用者の手に触れ難くなっている。
【0031】
バネ部材12は、コイル状に形成されたバネであり、その内径寸法は伸長部114の外径寸法より大きくなっている。バネ部材12は、
図4に示すように、伸長部114の前側部分(前側輪状部117のすぐ前側)に配置され、支持部材13を前方へ付勢する役割を果たす。
【0032】
支持部材13は、球状に形成された球状体14を支持する部材であり、筒状部131、8個の窪み部132、および鍔部133を有している。筒状部131は、外径寸法が伸長部114の内径寸法より僅かに小さい筒状の部分である。筒状部131は、バネ部材12の配置後、伸長部114の内側に前後方向へ可動に嵌め込まれる。
図5は、筒状部131が伸長部114に嵌め込まれた状態を表している。筒状部131の内部空間は、パイプ部材11の内部空間と一体化し、洗浄水Wの吸引に用いられる吸引経路を構成する。
【0033】
8個の窪み部132は、筒状部131の前側に連接している。各窪み部132は、軸Xを中心とした円状に並ぶように等間隔で配置されており、
図6に示すように球状体14が一つずつ嵌められる。8個の窪み部132に囲まれた領域は、筒状部131の内部を前方に開口させる開口部13aとなっている。
【0034】
窪み部132それぞれは、球状体14表面の軸X寄りで、かつ、後方寄りの領域(概ね、球状体14表面全体の1/3〜1/4程度の領域)に面するよう窪んでいる。各窪み部132は、8個の球状体14それぞれを円状に並ぶよう支持するとともに、各球状体14を仕切る役割をも果たしている。これにより球状体14の動きは、窪み部132に収まったまま回転するだけに留まり、球状体14同士が接触することは無い。
【0035】
また各窪み部132の表面は、球状体14の表面形状に合わせた滑らかな曲面となっており、球状体14に面接触或いはこれに近い形態で接触し、球状体14を回転可能に支持する。これにより、球状体14と窪み部132の間に生じる押付力や摩擦力は分散され、双方に無理な力が加わることは極力防がれる。また各窪み部132のほぼ中央位置には、その表面側を筒状部131の内部空間に連接させる水抜き孔132aが設けられている。
【0036】
鍔部133は、窪み部132の後側近傍において、全周に亘って径方向外向きへ突出するように設けられている。また8個の球状体14は、それぞれ同じサイズの球状に形成されており、前側部分はカバー部材15の先端よりも前方へ位置する(
図3を参照)。これにより、清浄ノズル1の前側を洗浄対象へ押し当てると、球状体14が洗浄対象へ接触する。
【0037】
カバー部材15は、全体的に見て略円筒形状となっており、伸長部114およびその周辺に配された各部材をカバーする役割を果たす。カバー部材15は、
図6に示す状態のものに、前方から被せるように取り付けられる。これにより、カバー部材15の前側先端部が球状体14の径方向外側部分に当接可能となり、球状体14が清浄ノズル1に保持される。この状態においてカバー部材15の前側先端の前後方向位置は、支持部材13の前側先端(窪み部132の前側先端)と同等または少し後となる。
【0038】
なお球状体14は、カバー部材15を取り外せば、清浄ノズル1から容易に取出し可能である。そのため球状体14は、新しいものへ容易に交換可能である。カバー部材15は、内側の様子が視認できるように透明性を有した樹脂材質で形成すると良いが、透明性を有しない材質で形成しても構わない。
【0039】
なお清浄ノズル1における各部の具体的寸法等は、清浄ノズル1の機能が適切に確保される限り特に制限されるものではない。本実施形態の場合は一例として、各窪み部132を一体と見た部分の外径寸法(直径)の最大値は、筒状部131の外径寸法と同じく42mm程度である。また各窪み部132の曲面は、半径6.75mm程度の球の一部表面と同形状であり、各球状体14は半径6.5mm程度の球形状である。また、各窪み部132の壁の厚みは薄いところで1〜1.5mm程度であり、前方から見た水抜き穴132aの外縁は半径3mm程度の円状である。更に各窪み部132の深さは7.5〜8mm程度であり、球状体14は窪み部132の前側端部より5〜5.5mm程度前方へ突出する。
【0040】
洗浄装置9を使用する際は、洗浄装置本体2にある減圧装置21を駆動させる。これにより、回収ホース23およびこれに繋がる清浄ノズル1に、汚水タンク22側への吸引力が発生する。この状態で使用者が清浄ノズル1を洗浄対象へ軽く押し当てると、球状体14と洗浄対象に面する流動経路に洗浄水Wが流れ、洗浄対象が洗浄される。当該流動経路を経た洗浄水Wは、回収ホース23等の吸引経路を経て汚水タンク22へ回収される。
【0041】
洗浄装置9を使用する際の清浄ノズル1の様子について、
図7に示す概略的な断面図(軸Xを含む平面で切断した図)を参照しながらより詳細に説明する。
図7(a)は清浄ノズル1を洗浄対象へ押し当てる前の状態を、
図7(b)は清浄ノズル1を洗浄対象へ押し当てている状態を、それぞれ模式的に示している。なお
図7では見易さを考慮して、支持部材13および球状体14の表示を一部省略している。
【0042】
図7(a)に示すようにバネ部材12は、パイプ部材11、支持部材13、およびカバー部材15により囲まれたスペースSP内に配置されており、後側が前側輪状部116に接しており、前側が鍔部133に接している。またカバー部材15の内部の前側縁近傍には、全周に亘って後方に向いた後向き面151が設けられ、この後向き面151から前側縁までの間には、前方へ進むほど内径寸法が小さくなるようにテーパ面152が設けられている。
【0043】
清浄ノズル1を洗浄対象へ押し当てる前は、バネ部材12の付勢力によって、全周に亘り、鍔部133の前面が後向き面151に当接している。また、前側輪状部116の外径寸法は、カバー部材15の内径寸法と略同一である。そのためスペースSPは略密閉状態となっており、減圧装置21が陰圧を発生させても、スペースSPから球状体14側に向けて洗浄水Wが流れ出すことは無い。この状態では陰圧によって、主に開口部13aの前方から空気が吸引されるだけである。
【0044】
また
図7(a)に示すように、球状体14は、径方向内側においてやや前方寄り位置まで窪み部132に支持されており、径方向外側のやや前方寄り位置においてテーパ面152の先端近傍に支持されている。そのため球状体14は、これらへの引掛りによって前方への動きが拘束されており、前側に抜け出してしまうことは無い。
図7(a)に示す状態での球状体14は、回転自在となっていてもよく、支持部材13とカバー部材15に挟まれて回転しないようになっていても構わない。
【0045】
この状態で清浄ノズル1を前方の洗浄対象へ軽く押し当てると、清浄ノズル1は、
図7(a)に示す状態から
図7(b)に示す状態へ遷移する。なお8個の球状体14は、前側端部の前後方向位置が同一となるように配置されており、洗浄対象へ同時に接触させることが可能である。
【0046】
各球状体14が洗浄対象により前方から押されることで、各球状体14を後方から支持する支持部材13は、バネ部材12の付勢に抗して後方へ移動する。但し、支持部材13が所定量だけ(
図7(b)に示す状態まで)後方へ移動すると、鍔部133の後端部分が伸長部114の前端部分に当接し、それ以上は後方へ移動しないようになっている(
図7(b)のαを参照)。これにより、支持部材13が後方へ行き過ぎないようにし、球状体14がカバー部材15内へ埋没しないようになっている。
【0047】
上記のように支持部材13が後方へ移動すると、鍔部133の前面と後向き面151との当接は解除され、これらの間に洗浄水Wを流すことが可能となる。その結果、減圧装置21が発生させる陰圧によって、
図7(b)に点線矢印で示すように洗浄水Wが流動することになる。このように鍔部133は、洗浄水Wの流動を制御可能とする弁の役割をも果たす。
【0048】
給水タンク3から洗浄水搬送部117を介してスペースSP内に供給された洗浄水Wは、鍔部133の前面と後向き面151の間を通って球状体14の近傍(主に球状体14の径方向外側付近)に放出され、球状体14表面と洗浄対象に面した流動経路を流れて、吸引経路(筒状部131の内部空間)へ吸引されることになる。なお洗浄水Wが吸引経路へ至る経路としては、開口部13aを通る経路の他、水抜き孔132aを通る経路が存在する。
【0049】
図8は、上記流動経路を流れる洗浄水Wの様子(斜め前方視点による様子)を、模式的に示している。鍔部133の前面と後向き面151の間は、各球状体14表面の径方向外側寄りの近傍に位置し、開口部13aは、各球状体14表面の径方向内側寄りの近傍に位置する。そのため鍔部133の前面と後向き面151の間を通ってきた洗浄水Wの多くは、点線矢印で示すように、各球状体14において径方向の外側寄りから内側寄りに向かって流れ、この際に洗浄対象を洗浄する。その後に洗浄水Wは、開口部13aを介して吸引経路へ流入する。窪み部132と球状体14の間に洗浄水Wが進入しても、水抜き孔132aを設けたことにより、これを直ちに吸引経路へ流入させることが可能である。
【0050】
各球状体14の前側が洗浄対象に接触すると、基本的に開口部13aの前方は洗浄対象に塞がれた格好となる。しかし球状体14表面の曲面形状或いは球状体14同士の隙間により、各球状体14の径方向外側の空間と径方向内側の空間との間には、適度な連通スペースが上記流動経路の一部として適切に確保される。この状態では、上記陰圧による吸引力を利用して、効果的に洗浄水Wを流動させることが出来る。なお
図7(b)に太線矢印で示すように、陰圧によって各球状体14の径方向外側から吸引経路へ向けて外気も流入可能であり、この流れも手伝って洗浄水Wが径方向外側へ逸脱する事態は極力抑えられる。また上記連通スペースの確保により、上記陰圧によって清浄ノズル1が洗浄対象へ必要以上に強く吸付くことは抑えられる。
【0051】
また、鍔部133の前面と後向き面151の間を通ってきた洗浄水Wは、球状体14に近づくとコアンダ効果や表面張力などの作用により、球状体14の表面に沿って流れようとする。これにより、洗浄水Wが上記流動経路から極力逸脱しないようにするとともに、洗浄後の洗浄水Wを適切に吸引回収することが容易となっている。
【0052】
また
図7(b)に示す状態において、洗浄対象に軽く押し当てたまま清浄ノズル1を移動させると、洗浄対象の表面上を転がるように、球状体14を自在に回転させることが可能である。これにより、例えば被介護者の身体を洗浄する際に、清浄ノズル1を身体の上で転がすようにして移動させることができる。その結果、肌と清浄ノズル1の間の摩擦等による不快感は極力抑えられ、むしろ被介護者は、マッサージを受けているような心地よい使用感を得ることが可能である。
【0053】
以上に説明した通り本実施形態に係る清浄ノズル1は、供給された洗浄水W(液体)を用いて前方の洗浄対象を洗浄可能とする清浄ノズルであって、前方に凸となるように露出する球状体14表面(曲面)と、洗浄水Wの吸引回収に用いられる吸引経路と、を備える。そして清浄ノズル1は、吸引経路の減圧により、洗浄水Wが球状体14表面と洗浄対象に面した流動経路を流れて、吸引経路へ吸引されるように形成されている。
【0054】
そのため清浄ノズル1によれば、液体を適切に洗浄対象へ当てた上で回収することが容易となっている。清浄ノズル1は前方に凸となるように露出する曲面(本実施形態では各球状体14の表面)を有するため、洗浄対象が当該曲面の前方(凸の先端近傍)に位置した状態となる。この状態で、当該曲面の側方(本実施形態の径方向外側に相当)近傍に洗浄水Wを供給可能としておき、当該曲面の逆側の側方(本実施形態の径方向内側に相当)近傍の吸引経路を減圧すれば、コアンダ効果や表面張力なども利用し、当該曲面と洗浄対象に面した流動経路に洗浄水Wを流すことが出来る。こうして、洗浄水Wが洗浄対象に当たりながらも当該曲面に沿って流れるようにすれば、洗浄水Wを適切に洗浄対象へ当てた上で回収することが容易となる。
【0055】
出願人は研究の結果、前方に凸となるように露出する曲面として球状体の前側の表面を利用することが、洗浄水Wを適切に洗浄対象へ当てた上で回収するために非常に好ましいことを見出した。また球状体を利用することで、これを自在に転がすように清浄ノズル1を使用することや、古くなった球状体を新しいものへ容易に取替え可能とすることも出来る。但し当該曲面としては、本実施形態のように球面の一部の形状とすることが望ましいものの、これに準じた効果が得られる他形状の曲面(例えば、楕円体の一部の表面形状など)を採用することも可能である。また当該曲面は、本実施形態のような球状体(可動体)の一部とせず、清浄ノズルに固定(不動)のものとすることも可能である。
【0056】
また清浄ノズル1は、球状体14を回転可能に支持する支持部材13を備え、球状体14に接触した洗浄対象を洗浄可能とする。但し清浄ノズル1は、洗浄対象に非接触の状態でも洗浄水Wが流動経路を流れるようにし、洗浄対象を洗浄可能となっていても良い。この場合には、球状体14の前側先端と洗浄対象との間も洗浄水Wの流動経路となり得る。
【0057】
また支持部材13は、球状体14を後方から支持するとともに、前後方向へ可動であり、支持部材13が後方へ移動することにより、洗浄水Wが流動経路を流動可能となる。そして更に清浄ノズル1は、支持部材13を前方へ付勢するバネ部材12(付勢部)を備え、球状体14が前方から押されることにより、前記付勢に抗して支持部材13が後方へ移動するようになっている。そのため、清浄ノズル1を洗浄対象へ押し当てていない状態で洗浄水Wが勝手に流れ出すことを、未然に防ぐことが可能である。
【0058】
また清浄ノズル1では、複数の球状体14が、前側端部の前後方向位置が略同一となるように、かつ、前方に開口した吸引経路を囲むように配置されている。これにより各球状体14を洗浄対象へ同時に当てることが出来るとともに、共通の吸引経路により各球状体14において、洗浄水Wを径方向外側寄りから径方向内側寄りへ流動させることが可能である。なお本実施形態では、8個の球状体14を備えるようにしているが、球状体14の個数は特に限定されない。また清浄ノズル1は、球状体14を1個だけ備えるように形成されても構わない。
【0059】
なお本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【解決手段】供給された液体を用いて前方の洗浄対象を洗浄可能とする清浄ノズルであって、前方に凸となるように露出する曲面と、前記液体の吸引回収に用いられる吸引経路と、を備えるようにし、前記吸引経路の減圧により、前記液体が前記曲面と前記洗浄対象に面した流動経路を流れて、前記吸引経路へ吸引されるように形成された清浄ノズルとする。