(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の一対のFPC押さえは樹脂製でありしかも薄肉である。しかもFPC押さえは、その一端のみがインシュレータ(本体)に固定されかつ他端が自由端をなす片持ち状のアーム状部である。そのためFPC押さえの機械的強度は大きくない。
さらに特許文献1のコネクタは、樹脂性のFPC押さえを補強するための補強金具を備えている。この補強金具は、その先端部がアクチュエータと係合するアーム状の係合部分を備えている。しかしこのコネクタは、アクチュエータが閉位置に位置するときに係合部分の先端部(カール部)を上方から押さえる構成を備えていない。そのためFPCのめくり上がり力によって補強金具(係合部分)がめくれ上がり方向に動いてしまい、補強金具が塑性変形したり破損する可能性がある。
従って、FPCに及ぶめくり上がり方向の外力が大きい場合は、FPCのめくり上がり力によってFPC押さえ(コネクタ)が破損するおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、アクチュエータが閉位置に位置する状態でインシュレータに挿入したケーブルに対してめくり上がり方向の外力が掛かったときに、コネクタが変形したり破損するのを抑えつつケーブルのインシュレータに対するめくり上がり方向の離脱を抑止可能なケーブル用コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のケーブル用コネクタは、平板状ケーブルの挿入方向への挿入と脱出方向への脱出が可能なケーブル挿入溝を有するインシュレータと、前記インシュレータに支持され且つ前記ケーブル挿入溝に挿入された前記平板状ケーブルに接触するコンタクトと、前記インシュレータに支持され且つ開位置と閉位置の間を回転可能なアクチュエータと、前記インシュレータに支持された固定金具と、を有し、前記固定金具は、前記挿入方向と前記脱出方向に亘って延び且つ前記平板状ケーブルに対向する平板状のケーブル押さえ片を有し、前記インシュレータは、前記アクチュエータが閉位置にあるときに前記ケーブル押さえ片の前記挿入方向側の端部を支持する挿入方向側支持部を有し、前記アクチュエータは、前記アクチュエータが閉位置にあるときに前記ケーブル押さえ片の前記脱出方向側の端部を支持する脱出方向側支持部を有する、ことを特徴としている。
【0008】
前記アクチュエータの前記脱出方向側支持部は、前記ケーブル押さえ片の前記脱出方向側の端部の上面に対向する保護壁部から構成することができる。
【0009】
前記保護壁部は、前記平板状ケーブルとの間に前記ケーブル押さえ片の前記脱出方向側の端部を挟み込むようにして、前記ケーブル押さえ片の前記脱出方向側の端部の上面に対向することができる。
【0010】
前記アクチュエータは、前記脱出方向側支持部が前記ケーブル押さえ片の前記脱出方向側の端部を支持した状態で前記アクチュエータの回転を規制するロック手段を有することができる。
【0011】
前記アクチュエータの前記ロック手段は、前記インシュレータまたは前記固定金具に形成されたロック用凹部と係合するロック用突起から構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
アクチュエータが閉位置に位置しかつインシュレータにケーブルを挿入してある状態でケーブルに対してインシュレータからのめくり上がり方向の外力が掛かると、ケーブルが固定金具のケーブル押さえ片に係合する。
ケーブル押さえ片は金属製であり変形し難く、しかもケーブルの厚み方向に見たときのケーブルとのオーバーラップ面積が大きい(ケーブルがめくり上がったときのケーブルとの接触態様が面接触になり易い)平板状である。
そのためケーブルに対して及んだめくり上がり方向の外力が大きくない場合は、ケーブル押さえ片によってケーブルのめくり上がりによるインシュレータからの離脱を抑制できる。
【0013】
インシュレータに対向部を設けた場合は、ケーブルに及ぶめくり上がり方向の外力が大きい場合に、ケーブルによって押圧されたケーブル押さえ片が変形してケーブル押さえ片の先端部が対向部と係合する。即ち、ケーブル押さえ片の一方の端部が固定金具の一部により支持されかつ他方の端部(先端部)がインシュレータによって支持される(ケーブル押さえ片が両持ち状態となる)。またインシュレータに固定部を設けた場合は、(ケーブルがめくり上がるか否かに拘わらず)ケーブル押さえ片の一方の端部が固定金具の一部により支持されかつ他方の端部(先端部)がインシュレータによって支持される(ケーブル押さえ片が両持ち状態となる)。
このようにケーブル押さえ片が両持ち状態となると、ケーブル押さえ片は(片持ち状態のときより)さらに変形や破損し難くなる。そのためケーブルに及ぶめくり上がり方向の外力が大きい場合であっても、ケーブルはインシュレータからめくり上がり方向に抜けにくく、しかもケーブル押さえ片(コネクタ)が破損するおそれは小さい。
またケーブルに及ぶめくり上がり方向の外力が大きい場合は、閉位置に位置していたアクチュエータがケーブルによって開位置側に回転させられることがある。しかしアクチュエータは回転することによりケーブルの移動力を吸収するので、この際にアクチュエータが変形したり破損するおそれも小さい。
【0014】
また本発明のケーブル用コネクタは、ケーブル押さえ片の挿入方向側の端部を支持する挿入方向側支持部と脱出方向側の端部を支持する脱出方向側支持部を有しているので、ケーブルにめくり上がり方向の外力が加わったときであっても、両支持部によってケーブル押さえ片の過剰な変位を軽減することができる。さらに、脱出方向側支持部を構成する保護壁部がケーブル押さえ片の脱出方向側の端部の上面に対向してこれを隠すので、ケーブル押さえ片の脱出方向側の端部が露出せず、作業者が怪我をすること、他部品との不要な短絡を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の説明中の前後、左右、及び上下の方向は、図中の矢印の方向を基準としている。図中の「後方」が特許請求の範囲の「挿入方向」に対応し、図中の「前方」が特許請求の範囲の「脱出方向」に対応している。
本実施形態のコネクタ10は、大きな構成要素としてインシュレータ20、シグナルコンタクト30、アクチュエータ40、及び固定金具55を具備している。
インシュレータ20は絶縁性かつ耐熱性の合成樹脂材料を射出成形したものである。インシュレータ20の上面の前部にはFPC70(薄板状ケーブル(平板状ケーブル)。接触対象物)とほぼ同幅のケーブル挿入溝21が凹設してある。ケーブル挿入溝21の前面及び上面は開放している。インシュレータ20の左右両側部には一対の側壁22が形成してあり、左右の側壁22の内側面の前端部には閉位置保持用凹部23が凹設してある。さらにインシュレータ20の左右両側部近傍には、左右の側壁22のすぐ内側に位置する左右一対のアーム収納凹部24が形成してある。インシュレータ20は左右のアーム収納凹部24の内側に位置しかつ前後方向に延びる金具固定溝25を備えている。金具固定溝25の前面は開放しており、金具固定溝25の前部(アーム収納凹部24に形成した部分)の上下両面も開放している。さらに金具固定溝25はアーム収納凹部24よりも後方まで延びている。金具固定溝25の後部(アーム収納凹部24より後方に位置する部分)の上下両面及び左右両面はインシュレータ20によって塞がれており、その後端はインシュレータ20の後端面にまで及んでいる(
図3、
図9等を参照)。ケーブル挿入溝21の上面の前端部には左右一対の回転規制凹部26が凹設してある。インシュレータ20には前後方向に延びる計6本のコンタクト挿入溝27が形成してある。各コンタクト挿入溝27の後部はインシュレータ20の後部を前後方向に貫通しており、各コンタクト挿入溝27の前部はケーブル挿入溝21の底面に凹設してある。さらにインシュレータ20の後部の前端面20aには左右一対のケーブル押さえ片挿入孔28が穿設してある。左右のケーブル押さえ片挿入孔28は後方に向かって直線的に延びており、その後端はインシュレータ20の後端面において開口している(
図3、
図10、
図15参照)。ケーブル押さえ片挿入孔28の断面形状は略矩形である。またインシュレータ20の後部には左右一対の傾斜支持面29が形成してある(
図2、
図6、
図9参照)。
【0017】
計6本のシグナルコンタクト30(コンタクト)は、ばね弾性を備えた銅合金(例えばリン青銅、ベリリウム銅、チタン銅)やコルソン系銅合金の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて図示形状に成形加工したものであり、表面にニッケルメッキで下地を形成した後に、金メッキを施している。
図2、
図3、
図11、
図16等に示すようにシグナルコンタクト30は側面視略コ字形であり、先端に接触突部32を有する接触アーム31と、接触アーム31の直上に位置し下面の先端近傍に支持凹部34を有する押えアーム33と、後端に突設したテール片35と、を備えている。
各シグナルコンタクト30は、インシュレータ20の各コンタクト挿入溝27に対して後方から圧入してある。
図11等に示すように各シグナルコンタクト30をコンタクト挿入溝27に圧入すると、接触アーム31がコンタクト挿入溝27の前部に位置(接触突部32はケーブル挿入溝21内に位置)し、押えアーム33の上面に突設した係止突起36が対応するコンタクト挿入溝27の上面に食い込むことにより、シグナルコンタクト30がコンタクト挿入溝27に対して固定状態となる。テール片35はインシュレータ20の後方に突出し、その下面はインシュレータ20の下面より下方に位置する。
【0018】
左右方向に延びる板状部材である回転式のアクチュエータ40は、耐熱性の合成樹脂材料を金属製の成形型を利用して射出成形したものである。左右両側部には側部アーム41がそれぞれ設けてある。左右の側部アーム41の外側面にはロック用突起(ロック手段)42がそれぞれ突設してある。アクチュエータ40の幅方向(左右方向)の中央部の下端部近傍には、アクチュエータ40を板厚方向に貫通する計6個のアーム挿通用貫通孔43が左右方向に並べて形成してあり、各アーム挿通用貫通孔43の直下には各アーム挿通用貫通孔43の下端を塞ぐ中央回転軸44が形成してある(
図2、
図11、
図16参照)。また隣り合うアーム挿通用貫通孔43の間に位置する部分の下端部には計6個のカム部45が設けてある。アクチュエータ40の下端部には左右一対の金具逃がし凹部46が設けてある。アクチュエータ40の後面(閉位置に位置するときは上面)には開位置保持面49が形成してある。アクチュエータ40の左右両端近傍には、アクチュエータ40を板厚方向に貫通する側部貫通孔50が形成してあり、各側部貫通孔50の直下には各側部貫通孔50の下端を塞ぎかつ中央回転軸44と同軸をなす側部回転軸51(回転軸)が形成してある(
図2、
図9、
図14参照)。さらにアクチュエータ40の前面(閉位置に位置するときは下面)には左右一対の抜け止め用突起53が突設してある。
さらにアクチュエータ40の前面(閉位置に位置するときは下面)には、左右一対の抜け止め用突起53に連続(隣接)してそれより一段低い位置に形成された左右一対の平面状の保護壁部54が形成されている(
図1、
図2、
図4、
図19、
図20参照)。この左右一対の保護壁部54は、アクチュエータ40が閉位置にあるときに、後述する左右一対の固定金具55のケーブル押さえ片61の前端部(脱出方向側の端部)を支持する「脱出方向側支持部」を構成する。より具体的に、左右一対の保護壁部(脱出方向側支持部)54は、FPC70との間にケーブル押さえ片61の前端部(脱出方向側の端部)を挟み込むようにして、ケーブル押さえ片61の前端部(脱出方向側の端部)の上面に対向する(
図19、
図20参照)。
アクチュエータ40は、
図2、
図3に示すようにインシュレータ20に対して略直交させた状態でその基端部(中央回転軸44側の端部)を前方からケーブル挿入溝21内に挿入し、各アーム挿通用貫通孔43に対応するシグナルコンタクト30の押えアーム33を挿入しつつ中央回転軸44に支持凹部34を係合し(
図11、
図16参照)、さらに左右の側部アーム41の基端部を左右のアーム収納凹部24内に位置させる(
図12参照)ことにより、シグナルコンタクト30(及びインシュレータ20)に取り付けてある。
【0019】
左右一対の固定金具55は金属板のプレス成形品であり、断面略円弧状の基部56と、基部56から後方に向かって延びる圧入部57と、基部56の内側縁部から後方(FPC70のケーブル挿入溝21に対する挿入方向)に向かって延びる(挿入方向(後方)と脱出方向(前方)に亘って延びる)ケーブル押さえ片61と、基部56の下縁部から側方に延びるテール片63と、圧入部57の上面に突設した側面視略L字形の回転軸押さえ片65と、を一体的に備えている。圧入部57の後部の上面には抜止突部58が突設してある。圧入部57の前部の上面には水平面からなる支持面59が形成してある。基部56の内側縁部の前部とケーブル押さえ片61の前端面の間には抜け止め用突起逃げ用凹部60が形成してある。ケーブル押さえ片61はその板厚方向が上下方向(FPC70の厚み方向と平行又は略平行。特許請求の範囲の「平行」は略平行も含む)である平板状部であり、その下面は自身の板厚面(左右両面)より面積が広くかつ上下方向に対して直交(又は略直交)する平面により構成してある。ケーブル押さえ片61(及び基部56)の機械的強度は押えアーム33(シグナルコンタクト30)より大きく、そのためケーブル押さえ片61は押えアーム33よりも上下方向に弾性変形し難い。回転軸押さえ片65の上部は略水平な押さえ部66により構成してある。
固定金具55は、テール片63を側壁22の直前に位置させかつケーブル押さえ片61をケーブル挿入溝21の左右両側縁部の直上に位置させながら圧入部57を左右の金具固定溝25に対して前方から後方(FPC70のインシュレータ20に対する挿入方向)へ圧入することによりインシュレータ20に固定してある。圧入部57を金具固定溝25に圧入すると、圧入部57の上面に突設した抜止突部58が金具固定溝25の後部の上面に食い込むので、固定金具55がインシュレータ20に対して固定される(
図9参照)。さらに固定金具55のテール片63の下面がシグナルコンタクト30のテール片35の下面と同じ高さに位置する。また左右の固定金具55のケーブル押さえ片61の先端部(後端部、挿入方向側の端部)が、アクチュエータ40の左右の金具逃がし凹部46を後方に通り抜けながらインシュレータ20の左右のケーブル押さえ片挿入孔(挿入方向側支持部)28に対してそれぞれ前方から挿入されて支持される。
図10に示すようにケーブル押さえ片61の板厚(上下寸法)はケーブル押さえ片挿入孔28の上下寸法より僅かに小さく、さらにケーブル押さえ片61の左右幅はケーブル押さえ片挿入孔28の左右幅より僅かに狭い。そのためケーブル押さえ片挿入孔28の上面を構成する天井面28a(対向部)とケーブル押さえ片61の先端部との間には上下方向の隙間が形成される(
図10、
図15参照)。
【0020】
そして固定金具55をインシュレータ20に固定すると、アーム収納凹部24の底面より上方に位置する支持面59がアクチュエータ40の左右の側部回転軸51の底部を下方から回転可能に支持する。さらに回転軸押さえ片65の押さえ部66が、側部回転軸51との間にクリアランスを形成しながら側部回転軸51の上方(FPC70の厚み方向の一方側)から対向する(
図9、
図14参照)。このように支持面59によって左右の側部回転軸51を支持すると、各シグナルコンタクト30の支持凹部34と対応する中央回転軸44の係合関係及び支持面59による側部回転軸51の支持状態が(押さえアーム33の下向きの弾性力によって)維持されるので、アクチュエータ40はインシュレータ20(FPC70の挿脱方向)に対して中央回転軸44及び側部回転軸51回りに回転可能になる。具体的には、直交した位置よりやや後方に傾斜しかつ開位置保持面49がインシュレータ20の傾斜支持面29に当接する開位置(アンロック位置。
図1、
図5、
図7−
図13に示す位置)と、開位置から前方に倒れてアクチュエータ40全体が略水平となる閉位置(ロック位置。
図6、
図14−
図18に示す位置)との間を回転可能である。アクチュエータ40が閉位置まで回転すると、左右の抜け止め用突起53がインシュレータ20の左右の回転規制凹部26に対して上方から嵌合し、抜け止め用突起53の端面が回転規制凹部26の底面に当接する。そのためアクチュエータ40のインシュレータ20に対する下方回転は回転規制凹部26と抜け止め用突起53によって閉位置で規制される。さらにアクチュエータ40の左右のロック用突起42がインシュレータ20の左右の閉位置保持用凹部(ロック用凹部)23と係合するので、意図的にアクチュエータ40を開位置側へ回転させない限りアクチュエータ40は閉位置に保持される。
【0021】
コネクタ10は前後方向と略平行な回路基板CB(
図9−11、
図14−16の仮想線参照)の上面(回路形成面)に対して実装可能である。具体的には、各シグナルコンタクト30のテール片35を回路基板CB上の回路パターン(図示略)に塗布したはんだペーストに載せ、左右の固定金具55のテール片63を回路形成面上の回路パターンとは別の部位に塗布したはんだペーストに載せる。そしてリフロー炉において各はんだペーストを加熱溶融し、各テール片35及び各テール片63を上記回路形成面にはんだ付けすれば、コネクタ10の回路基板CBへの実装が完了する。
このときテール片63に施したはんだの余剰部がテール片63の表面を伝って基部56側へ這い上がろうとすることがある。しかし溶融した当該余剰部は表面張力の作用によりテール片63のはんだ逃がし孔64内に集まるので、はんだの一部が基部56側へ這い上がるおそれは低い。そのためはんだがアクチュエータ40の開閉動作に悪影響を与えることはない。
【0022】
以上構成のコネクタ10には図示したFPC70を挿脱可能である。
図示するようにFPC70は複数の薄膜材を互いに接着して構成した積層構造であり、FPC70の長手方向の両端部を構成しかつその他の部分に比べて硬い端部補強部材71と、端部補強部材71の両側縁部にそれぞれ凹設した抜止凹部72と、FPC70の延長方向に沿って直線的に延びかつ端部補強部材71の下面まで延びる計6本の回路パターン73と、回路パターン73の両端部を除くFPC70の両面全体を覆う絶縁カバー層74と、を備えている。端部補強部材71の抜止凹部72の直後に位置する部位は被ロック部72aを構成している。
FPC70をコネクタ10に対して接続するには、まずアクチュエータ40を開位置まで回転させ、その後にFPC70の後端部をケーブル押さえ片61の下側に位置させながらケーブル挿入溝21に対して正規位置(
図1、
図6、
図8、
図9−11、
図14−16)まで挿入する。するとFPC70の左右の抜止凹部72が、回転規制凹部26及び抜け止め用突起逃げ用凹部60の直上に位置する。さらにFPC70の抜止凹部72より後方に位置する部位の左右両側縁部に対して、左右のケーブル押さえ片61が上方(FPC70の厚み方向の一方側)から隙間を形成しながら対向する。
そしてこの状態でアクチュエータ40を閉位置まで前方に回転させると、各カム部45がFPC70の上面に面接触してFPC70を下方に押圧するので(
図18参照)、FPC70の回路パターン73が各シグナルコンタクト30の接触アーム31を下方に弾性変形させながら接触突部32に対して確実に接触する(
図16参照)。
【0023】
アクチュエータ40が閉位置に位置する状態でインシュレータ20に挿入したFPC70が引き抜き方向に移動すると、FPC70の抜止凹部72の直後に位置する被ロック部72aがアクチュエータ40の抜け止め用突起53に対して当接するので、抜け止め用突起53によってFPC70のインシュレータ20からの抜けを確実に阻止できる。
【0024】
またアクチュエータ40が閉位置に位置する状態でFPC70の後端部(ケーブル挿入溝21内に位置する部位及びその直前の部位)に対して上向き(めくり上がり方向)の外力が掛かると、FPC70の後端部がインシュレータ20に対して上方へ移動する。そのためFPC70の後端部によってアクチュエータ40が閉位置から上方へ僅かに(閉位置保持用凹部23とロック用突起42の係合関係が維持される範囲内で)強制的に回転させられる(
図19参照)。
しかしアクチュエータ40が僅かに回転したときにFPC70の後端部の左右両側部が左右のケーブル押さえ片61の下面に対して接触する。ケーブル押さえ片61は(押えアーム33よりも)弾性変形(及び塑性変形)し難く、しかも上下方向に見たときのFPC70とのオーバーラップ面積が大きい(FPC70がめくり上がったときのFPC70との接触態様が面接触になり易い)。従って、FPC70の後端部の上方への移動力がそれ程大きくない場合は、FPC70の後端部の上方への移動(めくり上がり)をこの位置で確実に規制できる(
図19参照)。従って、FPC70のめくり上がりによるインシュレータ20(コネクタ10)からの離脱を防止できる。
【0025】
FPC70の後端部の上方への移動力がある程度大きい場合は、FPC70の後端部の上方への移動力によって左右のケーブル押さえ片61が上側に弾性変形する。するとケーブル押さえ片61の先端部に対して上方(FPC70と反対側)から対向する天井面28a(対向部)に対してケーブル押さえ片61の先端部が下方から当接する(
図20参照)。即ち、ケーブル押さえ片61の前端部が基部56により支持されかつケーブル押さえ片61の後端部がケーブル押さえ片挿入孔28の天井面28aと係合する(ケーブル押さえ片61の前後両端部が両持ちされる)。しかもケーブル押さえ片61は金属製である(押え片33より機械的強度が大きい)。従って、ケーブル押さえ片61は天井面28aと係合した後にそれ以上上側に弾性変形することは殆どない。そのため、ケーブル押さえ片61によってFPC70のめくり上がりによるインシュレータ20(コネクタ10)からの離脱を抑制できる。
【0026】
アクチュエータ40が閉位置に位置するコネクタ10に対して挿入したFPC70の後端部に及ぶめくり上がり方向の外力が極めて大きい場合(例えばコネクタ10が搭載される電気機器や電子機器の組立作業中に、組立作業者の手や組立用の治工具が不意にFPC70に引っかかり、FPC70にめくれ上がりの瞬間的な大きな力が加わった場合など)は、FPC70の後端部が、ケーブル押さえ片61の後端部の上面をケーブル押さえ片挿入孔28の天井面28aに当接させ、かつ自身を変形させつつ左右のケーブル押さえ片61の間を通り抜けながらインシュレータ20から上方へ離脱する。
しかし金属製かつ前後両端部を基部56とケーブル押さえ片挿入孔28の天井面28aによって支持されたケーブル押さえ片61は弾性変形(及び塑性変形)し難いので、この際にケーブル押さえ片61が変形したり破損するおそれは小さい。
【0027】
またFPC70の後端部がインシュレータ20から上方へ離脱すると、FPC70の後端部によって、閉位置に位置していたアクチュエータ40が閉位置保持用凹部23とロック用突起42の係合関係を解除しながら開位置側に強制的に回転させられることがある。しかしアクチュエータ40は回転することによりFPC70の上方への移動力を吸収するので、この際にアクチュエータ40(コネクタ10)が変形したり破損するおそれも小さい。
さらにFPC70の移動力によってアクチュエータ40が開位置側へ強制的に回転させられる場合は、アクチュエータ40の中央回転軸44によってシグナルコンタクト30の押えアーム33が上向きに弾性変形する。そのため従来のコネクタでは、アクチュエータ40全体がインシュレータ20に対して過剰に上方へ浮き上がり、押さえアームが塑性変形したりアクチュエータがインシュレータ20から脱落したりすることがあった。しかし、本実施形態の場合はアクチュエータ40の左右の側部回転軸51が左右の固定金具55の押さえ部66に対して衝突するので、押えアーム33のそれ以上の変形や破損が防止される。さらに側部回転軸51は金属からなる略L字の回転軸押さえ片65によって前方及び上方から抱え込まれているため、アクチュエータ40がインシュレータ20から脱落するおそれは小さい。即ち、コネクタ10は、FPC70に対してコネクタ10からめくり上がり方向に抜けてしまうような過剰なめくり上がりの外力が加わった場合においても、コネクタ10の構成部品(例えば固定金具55)が破損したりアクチュエータ40が脱落したりすることがない(コネクタとしての機能を維持できる)。
【0028】
以上、本発明を上記実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形を施しながら実施可能である。
例えば、ケーブル押さえ片挿入孔28の上下寸法とケーブル押さえ片61の上下寸法(板厚)を略同一としたり、ケーブル押さえ片61の後端部にケーブル押さえ片挿入孔28の内壁に食い込む係止突起を形成したりすることにより、ケーブル押さえ片61の後端部をケーブル押さえ片挿入孔28に対して固定状態で圧入してもよい(この場合のケーブル押さえ片挿入孔28は「固定部」として機能する)。
インシュレータ20にケーブル押さえ片挿入孔28を設ける代わりに又はケーブル押さえ片挿入孔28と併設する態様で、インシュレータ20の後部の前端面20aに前方へ突出する突片を形成し(ケーブル押さえ片挿入孔28と併設する場合は、ケーブル押さえ片挿入孔28より上方に突片を位置させる)、この突片(対向部)を上方からケーブル押さえ片61と対向させたり、この突片(固定部)を上方からケーブル押さえ片61に対して固定状態で係合させてもよい。
ケーブル押さえ片挿入孔28の後端部を(例えばインシュレータ20の後端部によって)閉塞してもよい。
またケーブル押さえ片挿入孔28の天井面28aの一部に、インシュレータ20の上端面にまで到達しかつその左右幅がケーブル押さえ片61より狭いスリット(図示略)を入れてもよい。
ケーブル押さえ片61の後端部とインシュレータ20をケーブル押さえ片挿入孔28とを別の手段(固定部)を利用して互いに固定してもよい。例えば、インシュレータ20の上面に上端が開放した凹溝(固定部)を形成し、ケーブル押さえ片61の後端部をこの凹溝に対して上方から固定状態で圧入してもよい。またケーブル押さえ片61の後端部とインシュレータ20を接着剤(固定部)や溶着(熱溶着、超音波溶着など)により固定してもよい。
インシュレータ20の左右のアーム収納凹部24の底面を固定金具55の支持面59と同じ上下位置又は支持面59より上方に位置させることにより、側部回転軸51の底部をアーム収納凹部24の底面や支持面59及びアーム収納凹部24の底面によって回転可能に支持してもよい。
薄板状ケーブルはFPC以外のケーブル、例えばフレキシブルフラットケーブル(FFC)であってもよい。