特許第6042010号(P6042010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6042010
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】ボイラー建屋の解体工法
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/08 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   E04G23/08 J
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-77532(P2016-77532)
(22)【出願日】2016年4月7日
【審査請求日】2016年4月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504059544
【氏名又は名称】株式会社トータル環境
(74)【代理人】
【識別番号】100108604
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 義人
(72)【発明者】
【氏名】川添 栄一
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−206703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 23/08
E04H 5/00−5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井梁と、天井梁を支える柱壁とを備えている建屋と、前記建屋の天井梁からその底が前記建屋の床から浮いた状態で吊り下げられている大型のボイラーである大型ボイラーと、を有するボイラー建屋を解体するためのボイラー建屋の解体工法であって、
前記大型ボイラーをその下方から支持する下支持体を配する下支持過程と、
前記大型ボイラーをその側方から支持する横支持体を配する横支持過程と、
前記下支持過程と前記横支持過程とを実行した後に、前記建屋、及び前記大型ボイラーを、前記下支持体、及び前記横支持体を含めて、それらの上側から順次解体する解体過程と、
を含み、
前記下支持過程では、前記コンクリートが前記大型ボイラーの周囲をその底から所定の高さまで覆うようにして前記コンクリートを打設し、前記大型ボイラーの下方における床と前記大型ボイラーの下面との間に打設され硬化させられたコンクリートを、前記大型ボイラーの底面の全面に対応しつつ前記大型ボイラーをその下方から支持する前記下支持体として配する、
ボイラー建屋の解体工法。
【請求項2】
廃棄物を前記コンクリートの中に埋設する、
請求項記載のボイラー建屋の解体工法。
【請求項3】
前記横支持過程では、前記横支持体の一端を前記建屋の壁に、前記横支持体の他端を前記大型ボイラーにそれぞれ接続するようにして、多数の横支持体を配する、
請求項1記載のボイラー建屋の解体工法。
【請求項4】
前記横支持過程では、前記横支持体の一端を前記建屋の壁沿いに設けられる昇降部に、前記横支持体の他端を前記大型ボイラーにそれぞれ接続するようにして、多数の横支持体を配する、
請求項1記載のボイラー建屋の解体工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型ボイラーと、大型ボイラーをその内部に吊り下げた状態で備える建屋とを有するボイラー建屋を解体する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
大型ボイラーが、例えば、火力発電所で用いられている。大型ボイラーは文字通り大型であり、場合によってはその高さが50mを超える。大型ボイラーの内部には配管が複雑に通されており、配管の中を通る水を沸騰させて水蒸気にするようになっている。もちろん大型ボイラーには、配管を加熱するための設備である例えばバーナーが接続されている。
大型ボイラーは通常、建屋内に、建屋の天井梁(天井梁とは言っても、梁による骨組みだけで板状体による屋根はない場合もある。)から吊り下げ、床(地面である場合もある。)から浮かせた状態で配置される。なお、大型ボイラーと建屋とを併せたものを本願ではボイラー建屋と定義する。
大型ボイラーを建屋の天井梁から吊り下げた状態とするのは、大型ボイラーの自重が余りにも大きい(場合により数千トンにも及ぶ。)割にはその内部に空隙が多く全体としての剛性が低いため、その自立が難しいこと、及び大型ボイラーはその縦方向の長さが非常に大きいため、バーナー等により加熱された場合には、その縦方向に生じる伸びの絶対量が非常に大きいこと、が理由となる。つまり、自立が難しい大型ボイラーを床に直置きした場合には、その外側から大型ボイラーを支持することが必要となるが、それは、加熱されたときに生じる大型ボイラーの縦方向の伸びにより難しい。他方、大型ボイラーを建屋の天井梁から吊り下げ、大型ボイラーと床との間に隙間を設けておけば、大型ボイラーの自立の問題を解消できるだけでなく、加熱された場合に生じる縦方向の伸びをその隙間により吸収することができる。そのような点を考慮すれば、大型ボイラーを建屋の天井梁から吊り下げ、且つ大型ボイラーの底面を床から浮かせるというのは、大型ボイラーの配置方法として極めて合理的なのである。
【0003】
ところで、大型ボイラーにも耐用年数がある。耐用年数が訪れたボイラーは、その建屋ごと解体しなければならない。つまり、大型ボイラーの耐用年数が訪れた場合には、ボイラー建屋を解体しなければならなくなる。
しかし、ボイラー建屋の解体は、それ程簡単ではない。大型ボイラーは上述のように、自立が難しいため、床におろしてから解体するという選択を採用しにくいからである。例えば、ボイラー建屋の建屋をその上方から解体しようとした場合には建屋の天井梁から解体することとなるが、そうすると大型ボイラーが床に落下してしまうから、かかる解体工法は採用できない。
そのような点を考慮して従来採用されているボイラー建屋の解体工法は、以下のようなものである。まず、天井梁に複数のジャッキを強固に固定する。各ジャッキは、一般的にはステップロッドと呼ばれる棒状体を、その長さ方向が鉛直方向となるようにして固定するものである。各ジャッキは、その棒状体を、鉛直方向で、少なくとも下方向に移動させることが可能となっており、徐々に下方に移動させた棒状体を任意の高さ位置で固定できるようにされている。ボイラー建屋を解体する場合には、ボイラー建屋の建屋の天井梁から吊り下げられている大型ボイラーの天井梁との接続を解きつつ、大型ボイラーの上端をジャッキで支持された棒状体の下端と接続する。その後、各棒状体を下方に移動させ、大型ボイラーの下端を床に近づけた状態とし、例えば重機により大型ボイラーの下端付近を解体する。その後、棒状体を下方に移動させ、大型ボイラーの解体されていない部分の下端を床に近づけた状態とし、再び大型ボイラーの下端付近を解体する。棒状体は、必要に応じて継ぎ足される。これを繰り返しながら、大型ボイラーはその下端側から順に解体される。大型ボイラーの解体が終わったら、ボイラー建屋の建屋の天井梁からジャッキと棒状体を外し、建屋を解体する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の如き解体工法により、吊り下げられた大型ボイラーを含むボイラー建屋の解体を行うことは可能である。
しかしながら、かかる解体を行うには、場合によっては数千トンにも及ぶボイラーを吊り下げた棒状体を落下させないように支持し、且つその棒状体を下方に移動させつつ任意の位置で固定することのできる特殊なジャッキが必要になる。そのような特殊なジャッキは高価であり、その結果上記ボイラー建屋の解体工法を実施する場合に必要となるコストは大きくなる。
また、上述の解体工法を実行するには、ジャッキを建屋の天井梁に固定したり、建屋の天井梁と大型ボイラーとの間の固定を解除し、また、ジャッキに固定された棒状体と大型ボイラーとの固定を行ったりするために、作業者が建屋の天井梁に登ることが必要となる。かかる作業は、安全性にやや難があることもあり、その安全性の確保も含めて、上述の解体工法を実行するのに必要なコストを引き上げる。
【0005】
本願発明は、吊り下げられた大型ボイラーを含むボイラー建屋を解体するための、安価な解体工法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本願発明者は以下の発明を提案する。
本願発明者が提案するのは、天井梁と、天井梁を支える柱壁とを備えている建屋と、前記建屋の天井梁からその底が前記建屋の床から浮いた状態で吊り下げられている大型のボイラーである大型ボイラーと、を有するボイラー建屋を解体するためのボイラー建屋の解体工法(以下、単に「解体工法」という場合がある。)である。
そしてこの解体工法は、前記大型ボイラーをその下方から支持する下支持体を配する下支持過程と、前記大型ボイラーをその側方から支持する横支持体を配する横支持過程と、前記下支持過程と前記横支持過程とを実行した後に、前記建屋、及び前記大型ボイラーを、前記下支持体、及び前記横支持体を含めて、それらの上側から順次解体する解体過程と、を含む。
このボイラー建屋の解体工法は、その解体過程において、建屋と大型ボイラーとをその上側から解体する。したがって、この解体工法は、従来技術で必須であったジャッキを用いる必要もないし、またジャッキの設置等のために作業者が建屋の天井梁に登ったりする必要もない。したがって、この解体工法は従来技術に比較して安価にボイラー建屋の解体を行うことが可能となる。
ここで、本願発明における上側からの建屋及び大型ボイラーの解体を可能としているのは、解体過程に先立って実行される下支持過程と、横支持過程である。下支持過程では、大型ボイラーを下支持体により下方から支持する。これにより大型ボイラーを建屋とともに上側から解体しても、大型ボイラーが建屋の床に落下することを防げるようになる。他方、横支持過程では大型ボイラーを横支持体によってその側方から支持する。従来技術で述べたように、大型ボイラーは自立することが難しいものとなっている。しかしながら、横支持過程で側方から大型ボイラーを支持することにより、下支持体の上に載った大型ボイラーが天井梁からの支持を失った場合であっても自立を保てるようになる。なお、従来技術で説明したように、大型ボイラーはその使用時には上下方向に伸びるという性質を持つが、解体工法が実施される時点ではもはや大型ボイラーが加熱されることがないから、大型ボイラーを横支持体で側方から支持するには支障はない。これら下支持体と横支持体との存在により、本願のボイラー建屋の解体工法では、その解体過程において、建屋と大型ボイラーとをその上側から解体することが可能となるのである。
なお、下支持過程と横支持過程とは、それらのいずれが先に行われても良いし、或いはそれらが同時に行われてもよい。
【0007】
上述するように、下支持過程では、大型ボイラーをその下方から支持する下支持体を配する。つまり、下支持体は大型ボイラーをその下方から支えることができることが必要であり、それが可能な限りにおいて、その構成は自由である。
前記下支持過程では、前記大型ボイラーをその下方から支持する複数の柱を前記下支持体として配することができる。柱はその下端が床(「床」が地面を含むことは背景技術の欄で既に述べた通りである。)にその上端が大型ボイラーの底付近(例えば下面)にそれぞれ接続される。多数の柱を下支持体として大型ボイラーの下方に配置することにより、大型ボイラーをその下方から支持することができるようになる。
前記下支持過程では、前記大型ボイラーの下方における床と前記大型ボイラーの下面との間に打設され硬化させられたコンクリートを、前記大型ボイラーをその下方から支持する前記下支持体として配することができる。大型ボイラーの底は一般に水平ではない。したがって、柱を多数配する上述の下支持過程を解体工法で採用した場合には、それが配される場所によって柱の長さを変えなければならないという疎ましさをまず回避することができない。これに対して、床と大型ボイラーの下面との間にコンクリートを打設し、それを硬化させたものを下支持体とすれば、そのような疎ましさを回避することが可能となる。しかもコンクリートは一般に引っ張りには弱いが圧縮には強いため、大型ボイラーの下方にコンクリートによる下支持体を配するのは合理的である。かかるコンクリートによる下支持体を配することによっても、大型ボイラーをその下方から支持することができるようになる。
下支持体がコンクリートにより構成される場合、廃棄物を前記コンクリートの中に埋設するようにしても良い。コンクリートは、建屋と大型ボイラーを解体する解体過程を実施する際に、建屋と大型ボイラーとともに解体されるものである。したがって、下支持体をコンクリートで構成する場合、下支持体の強度に問題の無い範囲で、コンクリートの嵩増しのために打設されるコンクリートに廃棄物を埋め込むことが可能である。ボイラー建屋が解体されるのであれば、使用されなくなった廃材等の廃棄物がボイラー建屋の周囲に存在するだろうから、廃棄物はこれには限られないが、ボイラー建屋内或いはその周辺で調達できるものだけで十分である。
コンクリートで下支持体を構成する場合、前記コンクリートが前記大型ボイラーの周囲をその底から所定の高さまで覆うようにして前記コンクリートを打設してもよい。これによれば、下支持体の上方は、大型ボイラーの側面の下方の部分を囲むことになる。言い換えれば、大型ボイラーの底は、下支持体の上方にできた凹部に嵌った状態となる。下支持体をこのようなものとすることで、下支持体に載った大型ボイラーの安定性を高めることができる。
【0008】
上述するように、横支持過程では、大型ボイラーをその側方から支持する横支持体を配する。つまり、横支持体は大型ボイラーをその側方から支えることができることが必要であり、それが可能な限りにおいて、その構成は自由である。
横支持体は、大型ボイラーの周囲に大型ボイラーを囲むようにして建てた例えばその高さが大型ボイラーの最上部或いはその付近にまで及ぶ複数の柱と、その複数の柱のそれぞれと大型ボイラーとを繋ぐ例えば棒状の部材である接続部材とからなるようにしても良い。
もっとも、前記横支持過程では、前記横支持体の一端を前記建屋の柱壁に、前記横支持体の他端を前記大型ボイラーにそれぞれ接続するようにして、多数の横支持体を配するようにしても良い。建屋の柱壁を横支持体の一端を固定する対象として用いることにより、上述した如き横支持体を介して大型ボイラーと接続される対象となる柱が不要となる。前記横支持過程では、前記横支持体の一端を前記建屋の柱壁沿いに設けられる昇降部に、前記横支持体の他端を前記大型ボイラーにそれぞれ接続するようにして、多数の横支持体を配するようにしてもよい。建屋の内部には、一般的には階段状の点検通路(例えばいわゆるキャットウォーク)である昇降部が建屋の柱壁沿いに設けられているのが通例である。かかる昇降部を横支持体の一端を固定するのに利用することが可能である。なお、これらの場合における横支持体は例えば、棒状体とすることができるが、これはこの限りではない。
いずれの場合においても、大型ボイラーは、複数の横支持体により、複数の高さ位置で側方から支持されるようになっているのが良い。大型ボイラーが上方から解体されていく過程で、横支持体も解体されて行く。横支持体が大型ボイラーの上方の一部でしか大型ボイラーをその側方から支持していないのであれば、大型ボイラー解体の過程で大型ボイラーが横支持体による側方からの支持を失う場合がある。したがって、横支持体は、大型ボイラーの複数の高さ位置で大型ボイラーを側方から支持することにより解体中の大型ボイラーの転倒を防ぐことが可能なように、それが可能となる位置に、それが可能となる数だけ設けるのが良い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態における解体工法で解体されるボイラー建屋の構成を概略的に示す正面図。
図2】第1実施形態における解体工法で横支持体を設置した状態を示す正面図。
図3】第1実施形態における解体工法で下支持体を設置した状態を示す正面図。
図4】第1実施形態における解体工法でボイラー建屋を解体する順序を示す正面図。
図5】第2実施形態における解体工法で下支持体を形成するために型枠を配した状態を示す正面図。
図6】第2実施形態における解体工法で下支持体を設置した状態を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい第1、第2実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各実施形態において共通する対象には共通する符号を付すものとし、共通する説明は場合により省略するものとする。
【0011】
≪第1実施形態≫
第1実施形態によるボイラー建屋の解体工法について説明する。
まず、この解体工法で解体されるボイラー建屋の構造について図1を用いて説明する。もっとも、この解体工法で解体されるボイラー建屋は、極普通のボイラー建屋であり、従来のものと変わらない。したがってその構造の説明は概略的なものに留める。なお、これには限られないが、この実施形態で説明するこのボイラー建屋は、火力発電所におけるボイラー建屋であるものとする。
【0012】
ボイラー建屋は、建屋10と大型ボイラー20とからなる。建屋10は大型ボイラー20を収納するための構造物である。
建屋10は、柱壁11と、天井梁12とを備えている。天井梁12は、例えば事実上水平であり、これには限られないがこの実施形態では平面視矩形である。天井梁12の下面が建屋10の天井梁にあたり、後述するようにして、天井梁の下面に大型ボイラー20が吊り下げられている。天井梁12は屋根を構成する板状の部材を備えていて良いが、必ずしも板状の部材を備えている必要はなく、大型ボイラーの吊り下げが可能であるのであれば、例えば、直交するような向きでそれぞれ水平に複数本ずつ走るようにされた、多数の棒状体を格子状に組んだものであっても構わない。
柱壁11は、天井梁12を支持するためのものである。柱壁11は、その正面から視た場合にそれぞれ矩形であり、平面視で矩形の天井梁12の各辺に対応する位置に設けられている。天井梁12の縁は柱壁11の上端に固定的に接続されている。柱壁11は、柱11によってできている壁状物という程度の意味であるが、壁といっても板状の部材を含む必要はなく、所定間隔で鉛直に立てられた複数本の柱と、それらを接続する例えば水平方向に走る複数本の梁とを格子状に組んだものとすることができる。なお、柱壁11の任意の位置に作業者が出入りするための出入り口が設けられる等の当たり前の工夫が、柱壁11のみならず天井梁12に対しても必要に応じてなされていてももちろん良い。
柱壁11の内側には、柱壁11の内側面に沿うようにして、これも公知の昇降部13が設けられている。昇降部13は階段である。昇降部13は、ボイラー建屋内で作業者が作業(ボイラー建屋の解体作業ではなく、ボイラー建屋が通常の状態で使用される際の作業:例えば大型ボイラーのメンテナンス)を行うために用いられるものであり、ボイラー建屋が解体される前から存在するものである。昇降部13は、所定の高さに設けられた複数の踊り場で折り返され、側面視でジグザグの形状となるようにされている。
【0013】
大型ボイラー20はよく知られているように、水蒸気を発生させるための設備である。大型ボイラー20の内部には、図示を省略の配管が複雑に通されており、配管の中を通る水を沸騰させて水蒸気にするようになっている。大型ボイラー20には配管を加熱するための設備である例えばバーナーが接続されている。配管の水を供給する側、及び水蒸気を排出する側の両端部はもちろん、大型ボイラーの外側に至っており、それぞれ所定の設備に接続されているが、大型ボイラーの外側に露出した配管、バーナー及び所定の設備については図示を省略している。
大型ボイラー20は、天井梁12に吊り下げられている。これには限られないがこの実施形態では、頑丈な棒状体である複数の吊り下げ体21により、大型ボイラー20は天井梁12に固定的に接続されている。
天井梁12の天井に吊り下げられた大型ボイラー20の底面は、床から浮いた状態となっている。大型ボイラー20と床との間の隙間は、使用時に加熱されることにより大型ボイラー20が上下方向に伸びた場合に、大型ボイラー20の底面が床と接触することを防止する機能を果たす。かかる隙間の大きさは、通常3m程度である。
大型ボイラー20は、その高さが50〜55m程度である。したがって、ボイラー建屋の高さは、大きい場合は60mを超える。
【0014】
以上で説明したボイラー建屋を、以下の解体工法により解体する。
ボイラー建屋を解体するには、以下のようにして、下支持体と、横支持体とを、大型ボイラー20に接続する。下支持体と、横支持体とは、いずれを先に大型ボイラー20に接続しても構わないし、或いは下支持体を大型ボイラー20に接続する作業と、横支持体を大型ボイラー20に接続する作業とを、同時並行して進めることも可能である。
【0015】
これには限られないが、この実施形態では、図2に示したようにして横支持体100を大型ボイラー20にまず接続することとする。なお、後述するようにこの実施形態における横支持体100は、横支持体100Aと横支持体100Bの2種類があるが、それらをまとめたものを指す場合には、横支持体100と称することにして以下の説明を行う。
横支持体100は、大型ボイラー20をその側方から支持するためのものである。図2及び以降の図では、横支持体100は図における左右から大型ボイラー20を支持するようになっているが、横支持体100は図における前後方向からも大型ボイラー20を支持するようになっていてももちろん構わず、この実施形態ではこれには限られないがそうすることとしている。横支持体100の形状、素材は上記の目的が達成できる限り任意に選択することができるが、この実施形態では、これには限られないが棒状体であり、これには限られないが剛性の高い金属製である。
これには限られないが、この実施形態では、横支持体100は、2種類存在する。
1種類目は、横支持体100Aである。横支持体100Aは、複数であり、その一端を柱壁11にその他端を大型ボイラー20の側面に、これには限られないがこの実施形態ではいずれも水平に固定されるものである。横支持体100Aの柱壁11及び大型ボイラー20に対する固定の方法は、公知又は周知の技法によれば良いが、例えば溶接によりかかる固定をなすことができる。
2種類目は、横支持体100Bである。横支持体100Bは、複数であり、その一端を昇降部13にその他端を大型ボイラー20の側面に、これには限られないがこの実施形態ではいずれも水平に固定されるものである。横支持体100Bの昇降部13及び大型ボイラー20に対する固定の方法は、公知又は周知の技法によれば良いが、例えば溶接によりかかる固定をなすことができる。
多数の横支持体100は、異なる高さに位置するものが存在するようにして、配置される。横支持体100は、大型ボイラー20の高さ方向において、大型ボイラー20の上下方向のすべての部分でまんべんなく配置されても良いし、そうでなくとも良い。この実施形態では、大型ボイラー20の上下方向のうちの下方に近い部分には横支持体100の数を減らす、より正確には横支持体100を設けないこととしている。
【0016】
これには限られないが、この実施形態では、横支持体100を大型ボイラー20に接続した後に、図3に示したように、下支持体200を大型ボイラー20に接続することとする。下支持体200は、大型ボイラー20をその下方から支持するためのものである。図3及び以降の図では、下支持体200は横一列に配列するようになっているが、下支持体200は平面視した場合において縦横に、例えば碁盤の目状に配置することができ、この実施形態ではこれには限られないがそうすることとしている。下支持体200の形状、素材は上記の目的が達成できる限り任意に選択することができるが、この実施形態では、これには限られないが棒状体であり、これには限られないが剛性の高い金属製である。
下支持体200は、複数であり、その下端を床に、その上端を大型ボイラー20の底面に、これには限られないがこの実施形態ではその長さ方向が鉛直となるようにして、それぞれ固定されている。仮に大型ボイラー20の縁付近に下支持体200が存在するのであれば、その上端は大型ボイラー20の側面に固定されても構わないが、大多数の下支持体200は大型ボイラー20の底面の下に位置し、その上端は大型ボイラー20の底面に固定される。下支持体200の床及び大型ボイラー20に対する固定の方法は、公知又は周知の技法によれば良い。下支持体200の床への固定の方法は例えば、アンカーの打込みによることができ、下支持体200の大型ボイラー20への固定の方法は例えば、溶接によることができる。
大型ボイラー20の底面には一般的に凹凸が存在する。各下支持体200の長さは、その凹凸に対応させて適宜調整する。
【0017】
以上のように横支持体100で側方から、下支持体200で下方から、大型ボイラー20は支持された状態となる。この状態において、大型ボイラー20は、仮に吊り下げ体21が存在しなくなったとしても、下支持体200に載置された状態で、安定して自立するようになる。
この状態で、ボイラー建屋をその上側から順に解体していく。解体の対象となるのは、建屋10、大型ボイラー20、横支持体100、及び下支持体200である。
例えば、図4に付した符号(1)〜(48)の順にしたがって、ボイラー建屋の全体を、破線で囲まれた各区画ごとに、上側から少しずつ解体していく。解体には、高所における解体を行うための公知又は周知の重機を用いることができる。重機の例は、超大型ビル解体専用機であり、より詳細には例えばコベルコ建機株式会社が販売するSK3500Dである。
図4の例では、(5)の符号が付された区画までボイラー建屋を解体すると、大型ボイラー20と建屋10の天井梁12との間の接続が切れ、大型ボイラー20の重さがそのまま下支持体200にかかることになる。しかしながら、大型ボイラー20は下支持体200により確実に支持される。他方、本来であれば大型ボイラー20は自立できないが、横支持体100の支持により、下支持体200の上に載った状態で問題なく自立する。
図4の例では、(36)の符号が付された区画までボイラー建屋を解体すると、大型ボイラー20は横支持体100による側方からの支持を失った状態となる。しかしながら、その時点で残っている大型ボイラー20は、その下方の僅かな部分だけなので、その自立には問題ない。横支持体100は、ボイラー建屋の解体途中におけるすべての時点で大型ボイラー20の自立が実現されるように配されることが必要であり、その条件が満足されるのであればそれ以上配される必要はない。例えば(36)の符号が付されたところまでボイラー建屋が解体されたときにおける大型ボイラー20の自立性に問題が生じるようであれば、大型ボイラー20の高さ方向におけるすべての部分にまんべんなく、言い換えれば大型ボイラー20の最下部に至る部分にまでまんべんなく、横支持体100を配するようにすればよい。
ボイラー建屋が解体されたことによって生じた廃材を適宜の方法で外部へ搬出することにより、ボイラー建屋の解体が終了する。
【0018】
≪第2実施形態≫
第2実施形態のボイラー建屋の解体工法について説明する。第2実施形態のボイラー建屋の解体工法は、第1実施形態の場合に解体の対象となった従来通りのボイラー建屋を解体するものであり、基本的には第1実施形態と変わらない。
特に、横支持体100を大型ボイラー20に接続するまでは、第1実施形態と変わらない。
【0019】
第2実施形態では、下支持体の構成、及びその作り方が第1実施形態の場合と異なる。
第2実施形態において下支持体はコンクリートによって形成される。第2実施形態において下支持体を形成するには、まず、図5に示したようにして型枠201を配置する。型枠201は、後に得られる下支持体の外面を規定するものであり、これには限られないがこの実施形態では、平面視した場合における大型ボイラー20の周囲をぐるりと一周囲むものとされる。また、型枠201の下端は床に固定され、またその上端の位置は、大型ボイラー20の底面の高さよりも幾らか高い位置に位置するようにする。この状態で、型枠201内に硬化前のコンクリートを流し込み、養生期間を経て硬化させ、型枠201を取り外すことにより、図6に示したようなコンクリートによる下支持体200を得る。下支持体200は、好ましくは大型ボイラー20の底面の全面に対応するように存在するのが好ましい。更には、図6に示したように、その周囲が大型ボイラー20の側面の下方のある高さまで包み込む用になっているのが好ましい。
なお、型枠201にコンクリートを流し込む前に、型枠201に廃棄物202を置いておき、最終的に得られるコンクリートによる下支持体200の中にその廃棄物202を埋め込んでも良い(図5図6)。この場合、廃棄物202は、最終的に得られる下支持体200の強度を低下させないようなものから選択する。例えば、中実な金属廃材や瓦礫などがその候補に挙げられる。
なお、第2実施形態の場合でも第1実施形態の場合と同様、下支持体200による大型ボイラー20の下方からの支持と、横支持体100による大型ボイラー20の側方からの支持とは、どちらが先に行われても良い。
【0020】
以上のように横支持体100で側方から、下支持体200で下方から、大型ボイラー20は支持された状態となる。この状態において、大型ボイラー20は、仮に吊り下げ体21が存在しなくなったとしても、下支持体200に載置された状態で、安定して自立するようになる。図6に示した例によれば、大型ボイラー20はその側面の下方の一定の範囲を、下支持体200によっても側方から支持されることになるので、その安定感は第1実施形態の場合を超えている。
この後、ボイラー建屋を解体するが、これ以降の過程は第1実施形態の場合と変わらない。解体の対象は、第1実施形態の場合と同様、建屋10、大型ボイラー20、横支持体100、下支持体200である。
【符号の説明】
【0021】
10 建屋
11 柱壁
12 天井梁
13 昇降部
20 大型ボイラー
21 吊り下げ体
100 横支持体
200 下支持体
201 型枠
202 廃棄物
【要約】
【課題】建屋内に吊り下げられた大型ボイラーを有するボイラー建屋を安価に解体する技術を提供する。
【解決手段】大型ボイラー20の下方に、大型ボイラー20を下方から支持するコンクリート製の下支持体200を配し、また大型ボイラー20の側面を、大型ボイラー20を側方から支持する、その一端が建屋10の柱壁11又は昇降部13に接続された横支持体100の他端と接続する。その状態でボイラー建屋の全体を上方から少しずつ解体する。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6