特許第6042100号(P6042100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6042100筆記具レフィル及びそれを収容した筆記具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042100
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】筆記具レフィル及びそれを収容した筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43K 7/02 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   B43K7/02 A
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-111295(P2012-111295)
(22)【出願日】2012年5月15日
(65)【公開番号】特開2013-237189(P2013-237189A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2015年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】牧 雅久
(72)【発明者】
【氏名】早川 尚利
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−30050(JP,A)
【文献】 特公平8−11477(JP,B2)
【文献】 特開2003−094878(JP,A)
【文献】 実公昭39−028216(JP,Y1)
【文献】 特開2002−293084(JP,A)
【文献】 実開平7−35089(JP,U)
【文献】 実開昭63−201792(JP,U)
【文献】 特開2010−36483(JP,A)
【文献】 特開2010−76281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 5/00− 8/24
B43K 24/00−24/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記具の筒状レフィル保持部の数に応じて軸筒内に一本又は二本以上で収容され、後方外面が前記レフィル保持部に着脱可能に保持される筆記具レフィルであって、
前記筆記具レフィルが、ペン先と、鉛筆芯やインキを内蔵する円筒状収容部と、前記円筒状収容部後方外面で着脱可能に嵌合するアダプタとからなり、前記アダプタが内面に軸方向のリブを複数備えた円筒部材であり、前記アダプタ外面が筒状レフィル保持部内面に嵌合保持されることを特徴とする筆記具レフィル。
【請求項2】
前記筆記具レフィルが、円筒状収容部とアダプタの嵌合力F1を、アダプタとレフィル保持部の嵌合力F2に対して、F1>F2となるように設定されることを特徴とする請求項1記載の筆記具レフィル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の筆記具レフィルが、筒状レフィル保持部によりアダプタ外面を嵌合保持した状態で収容される筆記具。
【請求項4】
筆記具レフィルの円筒状収容部とアダプタの嵌合力F1が、アダプタとレフィル保持部の嵌合力F2に対して、F1>F2となることを特徴とする請求項記載の筆記具。
【請求項5】
前記筒状レフィル保持部が、軸方向に複数本の嵌合リブを備えており、その本数がアダプタの内面リブの本数より少ないことを特徴とする請求項又はに記載の筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は筆記具レフィルとそれを収容した筆記具に関する。詳細には、筆記具接続用のアダプタを備えた筆記具レフィルとそれを収容した筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボールペンレフィルやシャープペンレフィル等の筆記具レフィルを交換可能に収容する筆記具が広く用いられている。前記筆記具レフィルには、内蔵する筆記体に応じてレフィル外径が異なるものが存在するため、この種の筆記具においては、外径の異なる二種類のレフィルに対応できるように、筆記具本体内のレフィル保持部を前後方向で内径の異なる嵌着孔を段状に形成したものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
前記筆記具では、筆記具製造時に対応するレフィルの種類を決めておかなくてはならないため、外径の異なる新たなレフィルが追加された場合には対応できないものであった。更に、レフィルを嵌合する嵌着孔が前後方向に形成されるため、対応する嵌着孔に応じてレフィルをそれぞれ異なる長さに設定することが必要となり、形状(外径及び全長)が大きく異なるレフィルを多種類販売することになる。また、各レフィルに全長差が生じることから、陳列販売時に不具合を生じることがあった。
【0003】
これに対して、レフィル後端から後方に延設される継手部材を接続箇所として設けることで、単一のレフィル保持部に外径の異なるレフィルを接続保持できるものとした筆記具レフィルが開示されている(例えば、特許文献2,3参照)。
前記レフィルでは、継手部材の接続部分の外径を、対応する筆記具本体のレフィル保持部内径に合わせて設定することで、着脱自在に嵌合保持される。そのため、先に発売された筆記具本体に、想定されていなかった外径のレフィルを収容保持することが可能なものとなる。
しかしながら、接続部分となる継手部材がレフィル後方に形成されるため、筆記具収容状態の全長(即ち、レフィル先端から継手部材後端の長さ)を一定にするべく、レフィルの長さを短寸化しなければならず、結果的に特別な種類(寸法)のレフィルが必要となる。
更に、レフィル外径と異なる外径の接続部分(保持部分)を有する継手部材の前端が、レフィル後端の開口部内に圧入嵌合されることで、レフィルと継手部材が接続されているため、継手後方の突出部分(保持部分)に負荷がかかった際に変形し易く、レフィル交換時の抜き差しによって折れ易いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−201792号公報
【特許文献2】特開2009−286018号公報
【特許文献3】特開2010−36483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、外径の異なる複数種のレフィルを、筆記具本体が備えるレフィル外面と嵌合するレフィル保持部に対して接続保持できる筆記具レフィルと、それを収容した筆記具を提供するものである。
尚、本発明において「前」とは、ペン先側を示し、「後」とは、筆記具収容時に接続されるレフィル保持部側を示す。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、筆記具の筒状レフィル保持部の数に応じて軸筒内に一本又は二本以上で収容され、後方外面が前記レフィル保持部に着脱可能に保持される筆記具レフィルであって、
前記筆記具レフィルが、ペン先と、鉛筆芯やインキを内蔵する円筒状収容部と、前記円筒状収容部後方外面で着脱可能に嵌合するアダプタとからなり、前記アダプタが内面に軸方向のリブを複数備えた円筒部材であり、前記アダプタ外面が筒状レフィル保持部内面に嵌合保持されることを要件とする。
更に、前記筆記具レフィルが、円筒状収容部とアダプタの嵌合力F1を、アダプタとレフィル保持部の嵌合力F2に対して、F1>F2となるように設定されることを要件とする。
更には、前記いずれかに記載の筆記具レフィルが、筒状レフィル保持部によりアダプタ外面を嵌合保持した状態で収容される筆記具を要件とし、筆記具レフィルの円筒状収容部とアダプタの嵌合力F1が、アダプタとレフィル保持部の嵌合力F2に対して、F1>F2となること、前記筒状レフィル保持部が、軸方向に複数本の嵌合リブを備えており、その本数がアダプタの内面リブの本数より少ないことを要件とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、外径の異なる筆記具レフィルであっても、単一形状のレフィル保持部に接続保持させることが可能となる。また、接続用のアダプタがレフィル外面を被覆するように取り付けられるため、レフィル交換時の抜き差しによって負荷がかかった場合であっても変形することや折れることがなく、長期間の使用に適したものとなる。そのため、外径の異なる複数種のレフィルを、筆記具のレフィル保持部に特別な加工を施すことなく取り付けることが可能となり、様々な構造の筆記具に対して広く適用できる汎用性の高い筆記具レフィルと、それを収容した筆記具となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の筆記具レフィルの一例を示す断面図である。
図2図1のアダプタの軸方向断面拡大図(a)及び径方向断面拡大図(b)である。
図3図1の筆記具レフィルを収容する筆記具の断面図である。
図4図3の要部A−A断面拡大図である。
図5図3の筆記具に他の筆記具レフィルを収容した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の筆記具レフィル1とそれを収容する筆記具7の実施形態について図面を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の実施形態における筆記具レフィル1と、そのレフィル1を収容した筆記具7を図1乃至図4に示す。
【0010】
図1に示す筆記具レフィル1は、前端にボールを回転可能に抱持させたボールペンチップ(ペン先3)と、該ボールペンチップ3を前端に備え且つ後端が開口された樹脂製パイプからなる円筒状収容部2と、該円筒状収容部2の後方外面に嵌合する樹脂製アダプタ4から構成され、円筒状収容部2とペン先3とは、樹脂製接続部材であるホルダー5によって接続されている。
【0011】
前記円筒状収容部2は、筆跡を形成するための鉛筆芯やインキ等の筆記体を内蔵する箇所であり、ステンレスや真鍮等からなる金属製パイプや、合成樹脂の成形パイプ(本形態ではポリプロピレン樹脂パイプ)から構成されている。尚、本形態においては筆記体として油性インキ6を内蔵し、更にインキ6の後端にインキ追従体を接触状態で配設している。
前記円筒状収容部2の前端開口にはペン先3が設けられ、後端開口は筆記具への接続が可能な開口部となっているが、前記開口部には尾栓を嵌合することもできる。
尚、金属製パイプを適用する場合、後端開口部近傍の外面には、ポンチ形態、ローレット形態等の窪みを形成して内面に筆記具嵌合用の縮径部を形成することもできる。
【0012】
前記ペン先3はボールペンチップであり、金属材料をドリル等による切削加工を施して形成したボール抱持部に超硬合金ボールを抱持したものである。尚、前記ボールをバネ体により前方に付勢させることもできる。
更にボールペンチップとしては、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップや、金属又はプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたチップ、或いは、前記各チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用することもできる。
また、マーキングペンチップを用いることも可能であり、例えば、繊維の樹脂加工体、熱溶融性繊維の融着加工体、フェルト体等の従来汎用の多孔質部材が用いられ、前端を砲弾形状、長方形状、チゼル形状等の目的に応じた形状に加工して実用に供される。
更に、シャープペンシル用ユニットを介在させることにより、ペン先にチャック体(鉛筆芯保持部)を用いることもできる。
【0013】
前記ペン先3は、ポリプロピレン樹脂からなるホルダー5を介して円筒状収容部2の前端開口に接続されている。尚、前記ホルダー5は、透明性を有する樹脂として、内蔵するインキの残量を目視により確認できる構成とすることや、内蔵するインキの色相と同色に着色し、内蔵するインキの色相がホルダーを目視することで確認できる構成とすることもできる。
尚、前記ボールペンチップ3は、円筒状収容部2の前端開口部に圧入等により直接取り付けて固着することもできる。
【0014】
前記円筒状収容部2の内部に収容される筆記体としては、低粘度の油性インキの他、高粘度の油性インキ、剪断減粘性を有する水性ゲルインキ、低粘度の水性インキ、エマルションインキ等から選ばれるインキ6や、各インキを保持するインキ吸蔵体や流量調整部材、更にレフィルの機構に応じて鉛筆芯や着色ワックス体等の固形芯が用いられる。更に、前記インキ6を収容する場合には、必要に応じてインキ6の後端に、インキ6の消費に伴って前進する高粘度流体からなるインキ追従体が接触充填され、更には高粘度流体と共に固体の追従体を併用することもできる。
また、前記インキに適用される着色剤としては、汎用の染料、顔料、金属光沢調顔料、蛍光顔料、酸化チタン、熱変色材料、フォトクロミック材料等、いずれを用いることもできる。
尚、本形態においては低粘度の油性インキ6と、その後端に液状インキ追従体が配設されている。
【0015】
前記円筒状収容部2の後方外面に着脱可能に取り付けられるアダプタ4は、内面に複数本の嵌合用リブA(41)を備えた円筒部材であり、具体的には、軸方向に形成される同形状のリブ41が等間隔に8本配置されるポリプロピレン樹脂成形体である(図2参照)。
また、各リブ41の軸心方向端面を仮想円とする円の直径が、円筒状収容部2の外径と略等しく、アダプタ4の外径と筆記具7のレフィル保持部9(筒部部材)の内径が略等しくなるように設計されている。特に、嵌合状態においては、前記円筒状収容部2とアダプタ4の嵌合力F1が、アダプタ4とレフィル保持部9の嵌合力F2に対して、F1>F2となるように設定される。これによりレフィル交換時の抜き差しによってアダプタ4が円筒状収容部2から外れることなく嵌合状態を保持できるため、外径の異なる汎用レフィル(アダプタ4を有さないもの)と同等のレフィル交換性を維持できる。
【0016】
また、筒状のレフィル保持部9にレフィル1を嵌合する際、従来のレフィル後方に延設される継手部材では該継手部材のみが圧入嵌合されるために、成形時の寸法誤差によって抜け易くなったり、継手部材とレフィルとの接続部分に負荷がかかり変形し易いものであった。
これに対し、前記アダプタ4を用いた本発明のレフィル1では、従来のレフィル後方に延設される継手部材を用いたものとは異なり、筒状のレフィル保持部9にレフィル1(アダプタ4部分)を圧入嵌合した際、円筒状収容部2の軸心方向全体に負荷がかかるため、成形寸法による誤差を緩和でき、最適な嵌合状態を維持できる。また、アダプタ4内面と円筒状収容部2の外面が広域で接触しているため、変形し難く、長期的に高い嵌合力を維持できるものとなる。
【0017】
尚、前記筆記具レフィル1は、前述のアダプタ4を外すことで、細径レフィルを収容する筆記具に適用できる。この場合の筆記具との接続構造としては、円筒状収容部2後方外周を細径筒状のレフィル保持部に嵌挿して接続する他、円筒状収容部2の後端開口に嵌合可能な突起状のレフィル保持部を接続する構造等が用いられる。
【0018】
前記筆記具レフィル1を収容した筆記具7を図3,4に示す。尚、本実施形態の筆記具7は、摺動体10のスライド押圧操作によって回転カムを可動し、収容する一本の筆記具レフィル1のペン先3を出没させる出没式筆記具である。
具体的には、軸筒8内の摺動体10前方に配設されるレフィル保持部9にレフィル1後方(アダプタ4部分)が接続されることで、筆記具レフィル1(例えば前述のボールペンレフィル、マーキングペンレフィル、シャープペンシルレフィル等のいずれも可)が前後方向に移動可能な状態で軸筒8内に収容されている。
【0019】
前記軸筒8は、筆記具レフィル1のペン先3を突出可能な先端開口部84が軸方向に貫設される円筒体である前軸81と、該前軸81の後端部に螺合または圧入により取り付けられる円筒状の後軸82によって構成され、出没機構が内設される。尚、前記後軸82は、摺動体10を組み付けるために前後方向に分割可能な二部材から構成されており、更に内面には、回転カム誘導用の軸方向溝部が、内周に亘って等間隔に複数本形成されている(図示せず)。
前記軸筒8は、ポリカーボネート、ポリエチレン、ABS等の合成樹脂や金属により形成される(本実施形態においては透明ポリカーボネート樹脂の射出成形物)。
【0020】
前記後軸82の後方側壁(即ち、分割可能部分)には、前後方向に延びる細長状の窓孔83が径方向に貫設され、該窓孔83から外部に突出するように摺動体10の操作部101が配設される。
【0021】
前記摺動体10は、窓孔83から外部に突出する操作部101を備え、該操作部101のスライド(押圧)操作によりレフィル保持部9(回転カム)を前方に移動するとともに回転を誘導するように先端に複数の鋸歯状凸部を形成した樹脂成形物である。そのため操作部101を前方に移動することで、レフィル1のペン先3が先端開口部84から突出する。
本実施形態において、突出部分である操作部101は、筆記具載置時の転がり防止突起を兼ねた略板状樹脂成形物であるが、チャームを付けるための孔部を設けることや、別体のクリップを取り付けることもできる。また、軸方向前方に延設する形状とし、クリップを一体とすることもできる。
【0022】
前記摺動体10前方に配設されるレフィル保持部9は、レフィル1を挿嵌する接続部材であるとともに、出没機構を構成する回転カムとして機能するものである。
前記レフィル保持部9は、摺動体前端の鋸歯状凸部と係合可能な段部を後端に備え、前方の略中心にレフィルが圧入嵌合される挿嵌孔91が形成される略円筒状樹脂成形物である。また、円筒外面には、回転カム機構を構成する複数本のリブが、外周に亘って等間隔に形成されている(図示せず)。
更に、前端外縁には、外周に亘って段部が形成され、該段部により圧縮コイルスプリングからなる弾発部材11の後端を係止している。尚、前記弾発部材11の前端は、軸筒8内に固設される樹脂製の係止部材85によって係止される。そのため、レフィル保持部9が弾発部材11により後方に付勢されており、加えてレフィル保持部9外周と軸筒8内面とで回転カム機構が構成されることで、出没可能な筆記具構造となっている。
【0023】
次に、前記レフィル保持部9の挿嵌孔箇所の径方向A−A断面図である図4に従って、筆記具レフィル1の嵌挿状態を説明する。
前記レフィル保持部9の挿嵌孔91の内面には、複数本のリブB(92)が内周面に等間隔に形成されている(具体的には六本のリブを対向する位置に一体成形する)。尚、各リブBの軸心方向端面を仮想円とする円の直径は、アダプタ4の外径と略等しくなるように設計されている(アダプタ4外面とリブBとの嵌合力をF2とする)。これに対して、筆記具レフィル1を構成する円筒状収容部2とアダプタ4が八本のリブA(41)によって嵌合され、こちらのリブ本数が多く、嵌合力F1(円筒状収容部2外面とアダプタ4のリブAとの嵌合力)がF1>F2となる。そのため、レフィル交換時の抜き差しによってアダプタ4が円筒状収容部2から外れて挿嵌孔91内に残ることがないものとなる。そのため、外径の異なる汎用レフィル(アダプタ4を有さないもの)と同等のレフィル交換性を維持できる。
【0024】
前記構造からなる筆記具7の使用時(筆記時)には、摺動体10の操作部101を前方にスライド押圧することで、回転カムを兼ねるレフィル保持部9が前方へ移動して回転保持されるため、該レフィル保持部9前方に嵌着される筆記具レフィル1のペン先3が先端開口部84から突出した状態で保持される。使用後には、操作部101を前方に押圧して後方にスライドさせることで、弾発部材11によりレフィル保持部9が後方に付勢され、該レフィル保持部9前方に嵌着されるレフィル1のペン先3が先端開口部84から没入される。
【0025】
前記構造の筆記具7に対して、外径が太い通常の筆記具レフィル(アダプタ4を有さないレフィル1)に交換した状態を図5に示す。
前記筆記具レフィル1は、剪断減粘性を有する水性インキ6とインキ追従体を内蔵するボールペンレフィルであり、外径が前述のアダプタ4の外径と略等しく、全長が前述のアダプタ付レフィルと等しいものである。この場合、挿嵌孔91の大きさがレフィルパイプ(円筒状収容部2)の外径に合わせて設定されているため、レフィルパイプ後方外周を直接保持することが可能である。
【0026】
更に、異なる細径の円筒状収容部2を用いた筆記具レフィル1に対して、前記アダプタ4の内径を細径円筒状収容部に合わせて設定することで、三種類以上の筆記具レフィル1に対応した筆記具とすることもできる。
従って、インキの種類等に応じて異なる外径に設計された筆記具レフィル1であっても、同一の筆記具7に収容することが可能となり、所望の筆記具レフィルを同一の筆記具本体に適用できるカスタマイズ性の高い筆記具を構成できる。
【0027】
尚、前記実施形態では、一本の筆記具レフィルを収容する回転カム機構を用いた出没式筆記具について説明したが、この限りではなく、レフィルを複数本収容するものであってもよい。更に、回転繰出式筆記具、スライドレバー式筆記具等の出没機構も適用できる。また、キャップ式であってもよく、レフィル保持部を有する汎用の筆記具に広く適用できる。
【符号の説明】
【0028】
1 筆記具レフィル
2 円筒状収容部
3 ペン先
4 アダプタ
41 リブA
5 ホルダー
6 インキ
7 筆記具
8 軸筒
81 前軸
82 後軸
83 窓孔
84 先端開口部
85 係止部材
9 レフィル保持部
91 嵌挿孔
92 リブB
10 摺動体
101 操作部
11 弾発部材(コイルスプリング)
図1
図2
図3
図4
図5