(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基材の金属表面上にはんだ粉末層を形成し、前記電極部と前記はんだ粉末層が対向するように、前記ワークと前記基材を重ね合わせて、前記中間構造を作成する請求項1〜4のいずれか1項に記載のはんだバンプの製造方法。
前記ワークの電極部を覆うようにはんだ粉末層を形成し、前記金属表面が前記はんだ粉末層に対向するように、前記ワーク上に前記基材を重ね合わせて、前記中間構造を作成する請求項1〜4のいずれか1項に記載のはんだバンプの製造方法。
前記仮止め成分は常温で粘度が100Pa・S以上の液状の材料をはんだ粉末100重量部に対して3重量部から15重量部の範囲で混合する請求項7に記載の転写シート。
前記はんだ粉末に対して親和性を有する金属表面が、電解エッチングしたアルミニウム箔表面、またはキレート処理した銅層表面である、請求項12に記載の剥離シート。
【背景技術】
【0002】
エレクトロニクス部品の小型化と高機能化への追求は絶えることなく続けられている。最先端の基板では電極部が当然微細化するため、電極部へ高精度なはんだバンプを予め形成するプリコートが多々実施されている。
【0003】
はんだバンプを形成する方法として、例えば開口パターンを有するスクリーンから対象物(ワーク)上にソルダペーストを押し出して印刷するスクリーン印刷法、はんだボールをワークの電極上に機械的に搬送、搭載し、溶融するボール搭載法、ワークの所定領域にメッキ下地層を配置し、その上に電解メッキ等によりはんだ層をめっきするめっき法等がある。
【0004】
他の方法として、ワークの電極部に、はんだ粉末層を有する転写シートからはんだ粉末層を転写する転写法がある。例えば、支持体の上にアクリル系樹脂等の粘着層を配置し、はんだ粉末層を粘着層に粘着させて支持した転写シートが知られている(例えば、特許文献1)。転写シートから対向した電極部にのみはんだ粉末層を転写できれば、転写シートと電極部との間には特に位置合わせを必要とせずに、電極部上にはんだ粉末層を配置できる。
【0005】
粘着層に高い粘着力を有するアクリル系樹脂を用いると、ワークと転写シートとを加圧下で加熱後、転写シートを剥がす際の剥離抵抗が大きく、電極破壊が起こりやすい。また、高い粘着力を有する粘着層の一部がワークに残る「糊残り」現象が発生する可能性がある。
【0006】
粘着力が低い粘着層を用いると、剥離抵抗が低いために電極破壊が起こり難く、糊残りの発生も抑制することができる。しかし、はんだ粉末層の保持力が弱くなり、転写時に非電極部にもはんだ粉末層を転写してしまう可能性が高い。リフロー後にワークの高さバラツキや電極部間のブリッジ発生を招き易い。粘着力が弱い転写シートでは高さバラツキやブリッジの発生を抑制することが難しい。これらはバンプにとって致命的な欠陥となる。このため、粘着層は、粘着力の高い粘着剤で形成していた。
【0007】
粘着力が高い粘着剤を用いると、電極破壊の他に糊残りの発生が避け難い。糊残りを洗浄除去することは極めて困難である。一般的に粘着剤は凝集力を高めるために製造過程で分子間が架橋される。架橋した粘着剤は溶剤に溶け難い。このため糊残りを洗浄により除去することは容易ではない。以下、糊残りを含め、ワーク上に残るはんだ粉末以外の異物を残渣と呼ぶ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明者らは、粘着剤を用いないではんだ粉末を基材上に適切に保持でき、対象物上にはんだ粉末層を転写できる転写シートを研究してきた。
【0019】
何も処理を行っていない平坦な表面を有するアルミニウム層の上に、はんだ粉末を溶媒中に分散させた分散液をスクリーン印刷し、乾燥させると、一応はんだ粉末層を形成できる。但し、形状維持能力が乏しく、動かそうとすると崩れてしまう。ポリエチレンテレフタレート(PET)層上にはんだ粉末層を形成する場合も同様である。
【0020】
基材上にはんだ粉末層を支持し、対象物にはんだ粉末層を転写できる転写シートを実現するためには、はんだ粉末層を支持できる基材と共に、はんだ粉末間を結合支持できる何らかの仮止め成分が必要であろうと判断した。仮止め成分は、転写シート製造工程から転写工程までの間はんだ粉末層を結合支持(仮止め)できる機能を有する成分と規定できる。
【0021】
アクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ナイロン系、ゴム系などの樹脂類を溶媒と共に使用すると、加熱・加圧によって溶融し、はんだ粉末表面に回りこむ。樹脂類と一緒にはんだ粉末が非電極部にも転写し、ブリッジ発生及び高さバラツキを生じる。樹脂類はワークへの転写時の加熱とその後のリフローで熱分解するものが多く、その後の洗浄でも除去しきれない残渣となり易い。
【0022】
仮止め成分は、はんだ粉末表面に塗布でき、はんだ粉末間を結合する粘性を有する液相材料で、転写シートにおいては、はんだ粉末間を結合支持する機能を有するが、転写後は、残渣を残すことなく除去できるものとする。洗浄によって除去できる材料も含めるが、より好ましくは加熱により除去できる材料である。はんだ粉末層の形成方法に応じて、はんだ粉末分散液の好ましい粘度は異なる。仮止め成分は高い粘度を有し、溶媒に溶融することで、適度な粘度まで粘度を調整できることが好ましい。
【0023】
種々の粘性液を調べた結果、テルペン系アルコール溶剤、商品名「テルソルブMTPH」(日本テルペン化学株式会社製)が極めて好適な特性を有することが判明した。はんだ粉末と、溶媒と、仮止め成分とを混合し、はんだ粉末分散液として用いる。
【0024】
溶媒ないし溶剤は、仮止め成分と相溶性のあるものを選ぶ。例えばスクリーン印刷分野で使用されるケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤など一般的なものから選択できる。ケトン系溶剤の例はメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、アセトン等である。エーテル系溶剤の例はブチルセロソルブ等である。エステル系溶剤の例はブチルセロソルブアセテート、酢酸エチル等である。炭化水素系溶剤の例はミネラルスピリット等である。分散液中の溶剤割合は分散液の塗布手段により適宜変化できる。メッシュスクリーンから印刷する場合では1重量%から10重量%の範囲で使用されるのが好ましいが、この範囲には限定されない。
【0025】
はんだ粉末間を仮止め、結合できても、下地基材表面との間に結合力がないとはんだ粉末層を維持することは困難である。はんだ粉末層と結合力を発揮できる下地表面が望ましい。
【0026】
電解コンデンサ用にアルミニウム層表面を電解エッチングし、溝を形成して表面積を増大したアルミニウム箔が知られている。例えば、アルミニウム箔の両面から厚さの約1/3の深さの溝が形成され、中央にエッチングされていない厚さ約1/3のコアが残るアルミニウム箔が入手可能である。
【0027】
このような立体的表面構造を有する金属層の上に、はんだ分散液を塗布してはんだ粉末層を形成し、乾燥加熱して液相成分を適度に減少させ、はんだ粉末を圧接、加熱することにより、金属表面構造とはんだ粉末層とを密着させることが可能であろう。
【0028】
実施例1
図1(A)に示すように、以下の3成分を秤量した。
(A) Sn−3Ag−0.5Cu組成、平均粒径約4μmのはんだ粉末100重量部、
(B) はんだ分散液を作成するための溶剤として、メチルイソブチルケトン3部、
(C) 仮止め成分として常温での粘度1000Pa・Sであるイソボニルシクロヘキサノール縮合物を主成分としたテルペン系アルコール溶剤、商品名「テルソルブMTPH」日本テルペン化学株式会社製8部。
【0029】
図1(B)に示すように、3成分A,B,Cを混合し、はんだ粉末分散液Dを作成した。以下の実施例、比較例において、このはんだ粉末分散液を使用する。
【0030】
図1Cは、電解エッチングしたアルミニウム箔の構造を示す断面図である。アルミニウム箔13の両面から多数のエッチングホールが形成され、一部のエッチングホールはアルミニウム箔を貫通している。さらにアルミニウム箔の両面は凹凸を有する。本実施例においては、厚さ15μmの電解エッチングしたアルミニウム箔を用いた。
【0031】
図2Aに示すように、ポリエステルフィルム等の基材シート11の上に粘着層12を介して、電解エッチングしたアルミニウム箔13を支持する。アルミニウム箔13の上に、230メッシュのスクリーンを用い、はんだ粉末分散液Dを塗布した。
【0032】
図2Bに示すように、塗布後120℃で、10分間加熱処理し、溶媒を蒸発させ、分散液Dを乾燥した。アルミニウム箔13上に膜厚約40μmのはんだ粉末層14を得た。平均粒径4μmのはんだ粉末を用いた、厚さ40μmのはんだ粉末層は、当然多層のはんだ粉末を含み、多層の形状を維持するために、上述の仮止め成分が機能していると考えられる。このような、基材シート11上方にはんだ粉末層14を有する構造体を転写シート10と呼ぶ。
【0033】
図2Cに示すように、転写シート10を50mm四方にカットし、はんだ粉末層14塗布面を上にして10mm厚さのシリコーンゴム7上に置き、はんだ粉末層14上に同サイズで38μm厚さのポリエステルフィルム8を置いて加圧、加熱した。はんだ粉末の融点以下の温度200℃、加圧力10MPaで1分間加圧、加熱処理を行なった。ポリエステルフィルムを剥し、得られたはんだ粉末層14の厚みは約30μmであった。はんだ粉末層の厚さが40μmから30μmに減少したことは、はんだ粉末が若干変形し、相互の接触面積を増加させたことを示唆するとも考えられる。
【0034】
図2Dは、ワーク20の構造を示す概略断面図である。電極などの下地金属表面上にはんだバンプを形成する対象部材をワークと呼ぶ。下地21は、印刷回路基板の場合は多層配線を含むエポキシ基板等であるが、以下に述べる実験においては、厚さ1mmのエポキシ基板を用い、簡略化した電極構成とした。下地21上に配列した電極25は、厚さ3μmのNi(ニッケル)層26の上に厚さ0.05μmのAu(金)層27を積層した構成を有する。
【0035】
各電極25は、径約80μmの平面形状を有する。電極25は、150μmピッチで、51列、51行の格子状に(約7.5mm平方の電極配置領域に)配列した。電極25が配置されない、下地21の表面にはソルダレジスト層28を塗布した。ソルダレジスト層28表面は、電極25表面から上方に約15μm突出している。電極配置領域を中心に、約15mm四方にワーク20を切り出した。ワーク20の電極配置に合わせて、転写シート10も15mm四方にカットした。
【0036】
図2Eに示すように、転写シート10を裏返して、ワーク20の電極25上に転写シート10のはんだ粉末面14を対向させ、加圧、加熱する転写工程を行った。転写条件は転写シート側の温度を210℃(はんだ粉末の融点以下の温度)とし、加圧力10MPaで、1分間行った。冷却後、転写シート10を剥がした。
【0037】
図2Fに示すように、電極25にはんだ粉末層14が転写された。転写の生じた領域では、アルミニウム箔13上の全はんだ粉末が転写されたと考えられる。レジスト層28上には転写が起こらず、対応する領域ではアルミニウム箔13上に全はんだ粉末層14が残った。良好な転写性能が得られたと考えられる。
【0038】
その後、千住金属工業株式会社製水溶性フラックス(商品番号WF-2050)を筆により全面に塗布し、リフロー炉を通し、酸素濃度1000ppmの窒素雰囲気中でリフローを行なった。その後、40℃の洗浄液(商品名「パインアルファ」)中で28KHzの超音波洗浄を1分間行なった。良好なはんだバンプを形成できた。
【0039】
実施例1の結果によれば、はんだ粉末層に対して親和性を有する金属表面として用いた、電解エッチングして表面に立体構造を形成したアルミニウム箔と、仮止め成分として用いたイソボニルシクロヘキサノール縮合物を主成分としたテルペン系アルコール溶剤とは、きわめて優れた性能を示すことが判明した。
【0040】
実施例1において、
図2Eの工程においては、ワーク20の電極25及びソルダレジスト層28と転写シート10のアルミニウム箔13との間に、はんだ粉末層14が挟まれた構成が形成されている。この状態からアルミニウム箔13を剥離すると、ソルダレジスト層28上のはんだ粉末層14はアルミニウム箔13と共に剥離され、ワーク20の電極25上にはんだバンプが形成される。
図2Eの構成が実現できれば、はんだバンプを作成できると考えられる。
図2Eに示す中間構成を異なる工程で作成することが考えられる。
【0041】
実施例2
図3Aに示すように、基材シート11の上に粘着層12を介して、電解エッチングしたアルミニウム箔13を支持して剥離シート30を作成する。ここまでは、転写シート10の作成工程と同様である。但し、アルミニウム箔13上にはんだ粉末層14は塗布しない。
【0042】
図3Bに示すように、下地21上に、厚さ3μmのNi(ニッケル)層26と厚さ0.05μmのAu(金)層27を積層した電極25と電極25以外の表面を覆うソルダレジスト層28を有するワーク40を作成する。このワーク40上にはんだ粉末層14を例えばへら等を用いて塗布する。ソルダペーストを塗布できる他の用具を用いることもできる。
【0043】
図3Cに示すように、剥離シート30を裏返して、アルミニウム箔13をはんだ粉末層14と対向させ、圧着する。加熱、加圧することにより、
図2E同様の構成が実現される。その後剥離シート30をワーク40から剥離する。
【0044】
図3Dが剥離工程を示す。
図2Fと同様の工程となる。この実施例によっても、ワークの電極上にはんだ粉末層を形成することができた。
【0045】
上述の実施例においては、電解エッチングしたアルミニウム表面をはんだ粉末層を支持する基材表面とした。他の表面構造を有する金属表面を基材表面とすることもできるであろう。例えば、電解エッチングの代わりに、研磨を用いることも可能であろう。砂かけ(サンドブラスト)した鉄表面を基材表面とする可能性も考えられる。これらは、物理的な凹凸を有する金属表面が、はんだ粉末を保持する機能を有する場合と考えられる。
【0046】
銅、錫、ニッケル、金などの金属、およびこれ等の金属を含有した合金類は、はんだ粉末の主成分である錫と金属間化合物を形成する。上述の実施例において、ワークの電極表面はAuで形成されていた。はんだ粉末がワークの電極上に付着したことははんだ粉末と電極とが金属間化合物を形成したと考えられる。
【0047】
実施例3
転写シートの金属表面形成用部材13としてCu(銅)を用いる。Cuは、はんだ主成分となるSn(錫)と金属間化合物を形成できる性質を有する。
【0048】
図4Aに示すように、転写シート10において、基材シート11上に粘着層12を介して、銅箔13aを配置する。例として厚さ18μmの平坦表面を有する銅箔を使用する。実施例1と同じはんだ粉末分散液を用いて、同様のスクリーン印刷、乾燥、加圧、加熱を行い、銅箔上に約30μmのはんだ粉末層14を形成した転写シート10を形成した。ワーク20としては、
図2Dに示す、実施例1と同じもの、を用いた。転写条件も実施例1と同じとした。転写後、転写シート10をワーク20から剥がした。その後、実施例1と同様にフラックス塗布、リフロー、洗浄を行った。
【0049】
図4Bに示すように、転写シート10をワーク20から剥がすと、ワーク20の電極25(金表面)上にはんだ粉末層14が転写された。はんだ粉末層14の転写は行われている。
【0050】
実施例1で用いた電解エッチングしたアルミニウム表面のような、はんだ粉末を保持する立体的表面構造を有する金属表面と、実施例3で用いた(実施例1にも含まれる)はんだ粉末と金属間化合物を形成できる金属表面を、合わせて「はんだ粉末に対して親和性を有する」と定義する。
【0051】
実施例3においては、転写シート10の銅箔13上にも、はんだ粉末14が残っていた。転写シートとして利用可能であるが、はんだ粉末の利用効率が悪い。転写したはんだ粉末層の厚さが減少するので、リフロー後に得られるはんだバンプの高さも低くなる。転写領域においては、はんだ粉末層の全厚さを転写できることがさらに望まれる。
【0052】
はんだ粉末層が、転写シートの金属(銅)表面上と、ワークの電極(金)表面上とに分かれるのは、はんだ粉末間の結合力より、はんだ粉末と(転写シートの金属表面及びワークの電極の金属表面を含む)金属表面との間の金属間化合物の結合力の方が強いからであろう。[電極の金属表面とはんだ粉末との間の結合力]≒[転写シートの金属表面とはんだ粉末との間の結合力]>「はんだ粉末間の結合力]と考えられる。転写シートの金属表面とはんだ粉末層との間の結合力を、はんだ粉末間の結合力よりも弱くできれば、即ち[電極の金属表面とはんだ粉末との間の結合力]>「はんだ粉末間の結合力]>[転写シートの金属表面とはんだ粉末との間の結合力]とできれば、転写シート上にはんだ粉末が残らないようにできる可能性があろう。
【0053】
実施例1においては、はんだ粉末層はその全厚さがワークの電極表面に転写された。即ち、[電極の金属表面とはんだ粉末との間の結合力]>「はんだ粉末間の結合力]>[転写シートの金属表面とはんだ粉末との間の結合力]の関係が成立していると考えられる。ワーク20の電極表面は金であるので、金属間化合物を形成すると考えられる。すると、電界エッチングしたアルミニウム表面とはんだ粉末との結合力は、金属間化合物とはんだ粉末の結合力より弱いはんだ粉末間の結合力よりもさらに弱いことになろう。
【0054】
転写シートの金属表面のはんだ粉末に対する結合力を弱めることができれば、はんだ粉末層の全厚さを転写できよう。金属間化合物の結合力を弱める手段として、金属表面のキレート化がある。銅表面をキレート化することが考えられる。銅とキレート反応によって皮膜を形成する材料で銅を表面処理した後に、はんだ粉末分散液を塗布乾燥し、必要があれば加熱、加圧を経て得られた転写シートを用いることができる。
【0055】
実施例4
転写シート10の金属表面形成部材として、実施例3と同様な厚さ18μmの銅箔を用い、銅表面をアルキルイミダゾール系銅表面処理剤(四国化成工業株式会社製、商品名「グリコートT」)溶液中に40℃で5分浸漬し、銅表面にアルキルイミダゾール系キレート膜を厚さ約0.5μm形成した。この処理をキレート処理と呼ぶ。
【0056】
図4Aを参照すると、キレート処理した銅箔13a表面上にはんだ粉末層14を形成する。第1の実施例同様、はんだ粉末塗布液を塗布し、乾燥、加圧、加熱処理を行い、厚さ約30μmのはんだ粉末層を有する転写シート10を作成した。実施例1、3と同条件で、ワーク20上に転写シート10を重ね、加圧下で加熱する転写処理を行い、その後転写シートを剥がした。半田層の全厚さを転写することができた。その後、フラックス塗布、リフロー、洗浄を行った。
【0057】
図2F同様、ワーク20の電極25上において、はんだ粉末層14は全厚さが転写シート10からワーク20上に転写された。キレート膜ははんだ粉末に付着し電極側に転写されることも多いがその後のリフロー、洗浄工程で除去できる。はんだレジスト層28上では半田粉末層14のワーク上への転写は生じなかった。
【0058】
ワークの電極表面と転写シートのはんだ粉末支持金属表面とをはんだ粉末と金属間化合物を形成できる金属で形成し、さらに転写シートのはんだ粉末支持金属表面をキレート処理することにより、転写シートのはんだ粉末層を効率よくワークの電極上に転写できることが判明した。
【0059】
はんだ粉末と金属間化合物を形成できる金属表面をキレート処理した表面も、「はんだ粉末に対して親和性を有する」金属表面である。
【0060】
比較例
特許文献1に準じたプロセスを行った。金属表面は有さず、厚さ25μmの粘着力の高いアクリル系粘着剤層が、厚さ75μmのポリエステルフィルム基材の片面に形成された粘着フィルム(株式会社ウノン技研製アクリル系粘着フィルム 粘着力19.6N/25mm)を用いて、転写シートを作成した。アクリル系粘着材層の粘着面にはんだ粉末を単層付着して転写シートを形成した。はんだ粉末、ワークは実施例1と同じである。15mm四方のワークと転写シートを対向し、ポリエステルフィルム基材側から温度220℃、加圧力10MPaの処理を、1分間行った。冷却後、転写シートを剥がし、フラックスを筆で塗布し、超音波洗浄を1分間行なった。単層のはんだ粉末は転写できた。
【0061】
以上の実施例1,3,4、比較例に従って製作した各サンプルの電極配列領域(約7.5mm平方)、2601電極に対して、ブリッジ発生、バンプ高さ、電極破壊程度、糊残りの観察を行なった。その結果を表1にまとめて示す。
【0063】
バンプ高さはソルダレジスト面からの高さである。負の数値はソルダレジスト面より低いことを示す。光学顕微鏡により測定した。ブリッジ、電極破壊と糊残りは500倍の実体顕微鏡による目視検査による。
【0064】
比較例によれば、電極破壊と糊残りが生じている。共に致命的な欠陥となりうる。実施例1、2、3、4においては、電極破壊、糊残りは発生しなかった。
【0065】
以上、限られた実施例に沿って、本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変形、置換、組み合わせ、改良などが可能である。例示された材料、数値等は、制限的なものではない。
【0066】
金属表面に微小な凹凸を形成することにより親和性を有する代表的な金属は、アルミニウム、鉄である。特に電解によりエッチングしたアルミニウムは大変有効である。凹凸を形成するその他の有効な方法として、化学的エッチング、研磨などがある。なお、これ等には限定されない。
【0067】
分散液を塗布する際、塗布手段に適した粘性に調整することが望ましい。スクリーン印刷を行なう場合には仮止め成分の常温での粘度が10Pa・S以上、好ましくは100Pa・S以上が有効である。高粘度の場合、溶剤割合の選択によって、粘性を高粘度から低粘度まで幅広く調整できる。蒸発する性質があると、塗布後に乾燥すると溶剤が揮散すると同時に仮止め成分の一部が揮散し、体積減少が生じるので液状成分含有量が少ないシートが得られる。はんだ粉末同士が均一に結合し易くなる。ワークと加圧下で加熱するときに液状分がはんだ皮膜から出にくくなる。
【0068】
好適な仮止め成分の例は、イソボニルシクロヘキサノール縮合物を主成分としたテルペン系アルコール溶剤、商品名テロソルブMTPH(常温粘度1000Pa・S)である。これ以外で有効な仮止め成分は、蒸発する性質は備わっていないが常温で高粘度となる高分子量ポリエチレングリコール類、高分子量ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコール共重合類である。分散液が低粘度でも塗布可能なロールコーティングのような場合には使用可能な仮止め成分は上記例の低分子量の材料を含み、選択肢は広がる。
【0069】
溶剤は仮止め成分と相溶性のあるものを選ぶ。例えばスクリーン印刷分野で使用されるケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤など一般的なものから選択できる。ケトン系溶剤の例はメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、アセトン等である。エーテル系溶剤の例はブチルセロソルブ等である。エステル系溶剤の例はブチルセロソルブアセテート、酢酸エチル等である。炭化水素系溶剤の例はミネラルスピリット等である。分散液中の溶剤割合は分散液の塗布手段により適宜変化できる。メッシュスクリーンから印刷する場合では1重量%から10重量%の範囲で使用されるのが好ましいが、この範囲には限定されない。
【0070】
仮止め成分を含む分散液を金属表面に塗布した後、溶媒は蒸発、乾燥させて安定化する。仮止め成分の一部が揮散しても実質的には仮止め成分を含有したはんだ粉末層となる。このままの状態で転写工程を行うことも出来るが、加圧、加熱して、はんだ粉末同士の結合と金属表面との密着力を向上させることが好ましい。
【0071】
仮止め成分の選択と塗布乾燥後の加熱、加圧条件とによってはんだ粉末同士の結合力を転写シートの金属面とはんだ粉末との密着力より大きくするように適切に調整することが好ましい。ソルダレジストの面は、はんだ粉末に対する密着力は小さい。この関係に調整した転写シートをワークと加圧下で加熱すると、電極へのはんだ粉末層の転写が実現でき、非電極部への転写は起こらない。リフローを経て得られるバンプ高さは高くでき、高さバラツキも許容できる範囲にできる。その後に洗浄を行なうと仮止め成分をきれいに除去できる。糊残りは発生せず、電極破壊も生じない。
【0072】
仮止め成分は、通常はんだ粉末に対して5重量%から15重量%の範囲で使用する
転写シートへのはんだ粉末層の塗布乾燥後の加熱、加圧は、はんだ粉末層が溶融しない範囲で行なう。はんだ粉末の組成がSn−3Ag−0.5Cu(Ag:3質量%、Cu:0.5%、残部Sn 融点は約217℃)の場合は、加熱温度は100℃から210℃、加圧力は1MPa以上が好ましい。
【0073】
加熱、加圧後のはんだ粉末層の厚さに特に制約はないが、5μmから50μmの範囲で都合よく使用できる。金属表面を形成する金属層の厚さは、例えば10μmから100μmの範囲で選択されるがこの範囲に限定されない。
【0074】
はんだバンプ形成用転写シートは、はんだ粉末と親和性のある金属表面を有する基材の該金属面上にはんだ粉末、溶剤、仮止め成分を含む分散液を塗布し、乾燥した後、該転写シートを好ましくは加熱、加圧して得られる。基材としては金属単体及びセラミック、プラスチック、ゴム、ガラスエポキシ複合材、紙からなる群から選択した少なくとも1種からなる基材上に金属のめっき、蒸着、スパッタリング、金属箔貼り合せ、焼成などで得られる。金属単体の場合、厚さは15μm以上が扱いやすい。他の基材上に金属層が配置される場合の金属層厚さは0.1μm以上が好ましい。
【0075】
はんだ粉末は、環境問題を考慮すれば鉛フリーのはんだ組成を使用する。はんだ組成としてはSn粉末やSn−3Ag−0.5Cu(Ag:3質量%、Cu:0.5%、残部Sn)粉末などが挙げられる。Sn系はんだ粉末は、アトマイズ法、回転円板法、油中攪拌法等で得られたものを適宜分級したものでよい。電極部に転写するはんだ粉末の数が多いほど転写量のバラツキが少なくなる。はんだ粉末の粒径は電極部の大きさにもよるが、3μmから20μmの範囲が好ましい。錫系はんだ以外のはんだ組成では低溶融温度はんだとしてインジウム系も使用できる