【実施例1】
【0029】
<構成>以下、構成について説明する。
図1に示すように、この実施例のタッチパネル11は、静電容量の変化によって入力操作が可能な矩形状のタッチセンサーパネル12(タッチセンサーガラス)の表面や裏面などに対し、外光の反射を低減できる構造とするために、光の反射量を減衰可能な矩形状の光学フィルム13,14と、表面保護が可能な加飾シート15とを、それぞれ粘着剤(または接着剤)で貼付けたものとされる。
【0030】
ここで、上記した「タッチパネル11」は、少なくとも、タッチセンサーパネル12と、表面側の光学フィルム13と、加飾シート15とを一体に貼付けた入力装置とされる。
なお、タッチパネル11には、タッチセンサーパネル12のみのものや、タッチセンサーパネル12に直接加飾シート15を貼付けたものなども存在しているが、車両に搭載できるようにするためには、反射率を1%程度以下の極めて低い値に低減する必要があるので、この場合には、光学フィルム13,14(少なくとも表面側の光学フィルム13)を備えていないものは除外する。
【0031】
上記した「タッチセンサーパネル12」は、例えば、硬質の表面を有する透明なガラス基材などによって主に構成されている。このタッチセンサーパネル12は、4つのコーナー部16を有する矩形状のものとされる。タッチセンサーパネル12は、通常、例えば、縦横比が16対9などの横長の長方形状のものとされるが、タッチセンサーパネル12の縦横比は、これに限るものではない。このタッチセンサーパネル12の線膨張係数は、例えば、8.5ppmなどとなっている。
【0032】
なお、上記したタッチセンサーパネル12の一辺部(図中上辺部となっている)からは、フレキシブルプリントケーブルなどの配線部17が、面方向の外方(この場合には、図中上方)へ向けて延設されている。フレキシブルプリントケーブルは、柔軟な樹脂フィルムの表面に、配線パターンを印刷などによって形成したものである。この配線部17は、フレキシブルプリントケーブルに限らず、フレキシブルプリント基板としたり、フラットケーブルとしたり、通常の配線としたりすることができる。
【0033】
上記した「光学フィルム13,14」は、タッチセンサーパネル12とほぼ同じ大きさを有する透明な矩形状のものとされている。この光学フィルム13,14には、偏光板や1/4波長板などを適宜組合わせて用いることができる。この光学フィルム13,14は、タッチセンサーパネル12の片面または両面に対して貼付けられる。この光学フィルム13,14は、例えば、透明なTAC材(トリアセチルセルロース)などによって主に構成されている。
この光学フィルム13,14は、図では特に示さないが、加飾シート15と比べて比較的薄手のものとされている。この光学フィルム13,14は、タッチセンサーパネル12に対して貼付け易くするなどのために、タッチセンサーパネル12よりも若干小さな矩形状のものにすることが好ましいとされている。この光学フィルム13,14の線膨張係数は、例えば、54ppmなどとなっている。
【0034】
上記した「加飾シート15」は、タッチセンサーパネル12および光学フィルム13,14よりも十分に大きい透明な矩形状のものとされている。なお、加飾シート15については、矩形状に限るものではない。この加飾シート15は、表面側の光学フィルム13の更に表面側に貼付けられる。この加飾シート15は、例えば、透明なPC材(ポリカーボネート)などによって主に構成されている。この加飾シート15は、光学フィルム13,14と比べて比較的厚手のものとされている。この加飾シート15の線膨張係数は、例えば、65ppmなどとなっている。
【0035】
そして、上記したように、タッチセンサーパネル12の線膨張係数は、光学フィルム13,14および加飾シート15の線膨張係数よりも1桁程度小さくなっている。
【0036】
そして、上記した「粘着剤」には、光学フィルム用特殊粘着剤が用いられる(例えば、日栄化工株式会社 MHM−GA50など)。この光学フィルム用特殊粘着剤は、アクリル酸エステル共重合体を主成分とするもので、タッチパネル11などの用途のものとしては、現在、最も強力なものの1つであり、これ以上強力なものを望むのは難しいと言えるほどの優れたものである。よって、粘着剤の改善にて上記した剥がれを解消するのは困難な状況にある。
【0037】
次に、
図2の分解斜視図(および
図3の断面図)を用いて、タッチディスプレイの構成を説明する。
【0038】
上記したタッチディスプレイは、筐体21(ケーシング)に設けられたディスプレイ収容凹部22に対して収容設置可能な表示用ディスプレイ装置23と、この表示用ディスプレイ装置23の画面に重ねて配置される上記したタッチパネル11とによって主に構成される。
【0039】
そして、表示用ディスプレイ装置23の画面の周縁部と、タッチパネル11(のタッチセンサーパネル12または裏面側の光学フィルム14)の裏面の対向する部分との間の枠状の部分には、両者を固定可能な両面テープや接着剤などの固定手段24が用いられる。
【0040】
更に、筐体21の表面側に設けられた保護プレート貼付代部25に対して、タッチパネル11の表面側に設けられる加飾シート15の周縁部である、タッチセンサーパネル12および表面側の光学フィルム13の周縁部よりも外側に張出された張出部分15aの裏面を、枠状に貼付固定可能な両面テープや接着剤などの図示しない固定手段が用いられる。
【0041】
なお、
図2では、部品の説明の都合上、タッチパネル11を構成するタッチセンサーパネル12と加飾シート15とは、分離した状態で描かれており、裏面側の光学フィルム14については、特に図示されていないが、筐体21に表示用ディスプレイ装置23やタッチパネル11を組付ける前の段階で、タッチパネル11のタッチセンサーパネル12に光学フィルム13,14や加飾シート15を貼付けておくようにする。
【0042】
上記した保護プレート貼付代部25は、筐体21の表面に対して上記したディスプレイ収容凹部22の外周を取囲むように設けられているため、タッチパネル11のタッチセンサーパネル12および表示用ディスプレイ装置23は、加飾シート15によって全面が覆われた状態となる。
なお、保護プレート貼付代部25は、加飾シート15を面一状態で取付けられるようにするために、加飾シート15の厚み分の段差量を有するものなどとされる。
【0043】
そして、上記した表示用ディスプレイ装置23の画面にタッチパネル11を重ねて設置する際には、
図3に示すように、タッチセンサーパネル12の一辺部から面方向の外方へ向けて延設された配線部17を裏面側へ曲げて、筐体21に設けられた配線挿通穴部27へ挿通し、筐体21の裏面側へ導き出すようにする。筐体21の裏面側へ導出された配線部17は、筐体21の裏面側に設置された回路基板28などに取付けられて、回路基板28に設置された図示しない画像制御装置などに接続される。
なお、筐体21の裏面側には、背面カバー29が取付けられる。
【0044】
そして、以上のような構成に対し、この実施例のものでは、以下のような構成を備えるようにしている。
【0045】
(構成1)
図1〜
図12のいずれかに示すように(主に、
図1参照)、上記したタッチセンサーパネル12と、上記した表面側の光学フィルム13および上記した加飾シート15との熱膨張の差によって、上記した表面側の光学フィルム13のコーナー部16と上記した加飾シート15との間に剥がれが生じるのを防止可能な剥離防止部31を設けるようにする。
【0046】
(補足説明1)
ここで、上記した「剥離防止部31」は、上記した剥離を防止できるものであれば、どのようなものであっても良いが、例えば、剥離防止部31として、光学フィルム13に、僅かでもタッチセンサーパネル12からフリーとなる部分が生じるようにしたものなどとされる。
なお、剥離防止部31のより具体的な構成については、後述する。
【0047】
上記した「光学フィルム13」は、タッチセンサーパネル12と加飾シート15との間に設置された、表面側のものを特に対象としている。裏面側の光学フィルム14については、上記したような剥離は生じていないので、これまで通り、タッチセンサーパネル12よりも一回り小さなものとすれば良い。
【0048】
(構成2)
そして、
図4〜
図7に示すように(主に、
図4参照)、上記した剥離防止部31は、上記した表面側の光学フィルム13と上記したタッチセンサーパネル12とのコーナー部16の周辺に設けられた、表面側の光学フィルム13を上記したタッチセンサーパネル12よりも外方へハミ出させるハミ出形状部32とすることができる。
【0049】
(補足説明2)
ここで、上記した「ハミ出形状部32」は、文字通り、上記した剥離を防止するために必要な僅かなハミ出しを持たせた形状という意味である。このハミ出形状部32は、光学フィルム13の側に設けて光学フィルム13をハミ出させるようにしたり、タッチセンサーパネル12の側に設けて光学フィルム13をハミ出させるようにしたり、光学フィルム13とタッチセンサーパネル12との両方に設けて光学フィルム13をハミ出させるようにしたりすることができる。
【0050】
より具体的には、
図4に示すように、ハミ出形状部32を、タッチセンサーパネル12よりも一回り小さく形成された光学フィルム13のコーナー部16に形成された、部分的に面外へ膨らむ膨張部33(フィルム膨張部)とすることができる。この膨張部33は、直線とアール部とを組み合わせた頂点のない形状にするのが好ましい(無頂点形状)。
【0051】
この膨張部33は、タッチセンサーパネル12のコーナー部16を構成する二辺と頂点とから僅かにハミ出す程度の極く小さなものであれば良い。
【0052】
或いは、上記した膨張部33は、
図5に示すように、実験や不具合品などによって確認された剥がれ34の全範囲を包含するような大きさにまで拡大しても良い(拡大膨張部)。
【0053】
または、
図6に示すように、ハミ出形状部32を、タッチセンサーパネル12のコーナー部16を、タッチセンサーパネル12よりも一回り小さく形成された矩形状の光学フィルム13のコーナー部16が一部ハミ出されるように切欠いて成る切欠部35(パネル切欠部)などとしても良い。この切欠部35もアール部によって頂点をなくした無頂点形状などとするのが好ましい。
【0054】
そして、
図7に示すように、
図4、
図5の膨張部33と、
図6の切欠部35とを組合せて設けるようにしても良い。
【0055】
(構成3)
または、
図8、
図9に示すように、上記した剥離防止部31は、上記した光学フィルム13の対向する2辺に設けた、上記したタッチセンサーパネル12の対応する各辺よりも外方へハミ出すハミ出辺部36とすることができる。
【0056】
(補足説明3)
ここで、上記した「ハミ出辺部36」は、
図8に示すように、タッチセンサーパネル12よりも一回り小さく形成された光学フィルム13が、タッチセンサーパネル12の図中左右の辺に対して横方向(左右方向)へハミ出す横ハミ出辺部37としても良い。この横ハミ出辺部37は、タッチセンサーパネル12の図中左右の辺に沿って、図中上下方向へ延びるものとされる。
【0057】
或いは、ハミ出辺部36は、
図9に示すように、タッチセンサーパネル12よりも一回り小さく形成された光学フィルム13が、タッチセンサーパネル12の図中上下の辺に対して縦方向(上下方向)へハミ出す縦ハミ出辺部38としても良い。この縦ハミ出辺部38は、タッチセンサーパネル12の図中上下の辺に沿って、図中左右方向へ延びるものとされる。
【0058】
この場合、ハミ出辺部36(横ハミ出辺部37または縦ハミ出辺部38)は、その両端部がタッチセンサーパネル12のコーナー部16に対して僅かに達しない長さとされている。
【0059】
これらのハミ出辺部36は、タッチセンサーパネル12の対応する辺に沿って、一定のハミ出量39を有して延びるものとされる。このハミ出辺部36のハミ出量39は、上記した筐体21のタッチセンサーパネル12に対する取付部分と、タッチセンサーパネル12の側面との間に形成される僅少な隙間内に収まる量が上限となる。上記した僅少な隙間は、通常、組付誤差を吸収するために形成されるものであり、一般に、1mm〜2mm程度以下などに設定される。よって、ハミ出辺部36のハミ出量39も、1mm〜2mm程度以下となる。
【0060】
また、上記したハミ出量39は、タッチセンサーパネル12の縁部よりもハミ出る量で、且つ、熱膨張によって、光学フィルム13と加飾シート15とのコーナー部16間に発生する応力が、粘着剤の粘着力を下回るようになる量が下限となる。
【0061】
より具体的には、この実施例では、例えば、7インチの表示用ディスプレイ装置23に取付けられるタッチパネル11の場合、横寸法(約162.86cm)の約0.3%程度の長さのハミ出量39(0.5mm)を有するようにしている。但し、この数値は、状況によって異なるものである。
【0062】
なお、上記した
図4〜
図7の膨張部33も、
図8、
図9のハミ出辺部36と同様のハミ出量39に設定するのが好ましい。但し、膨張部33のハミ出量39と、ハミ出辺部36のハミ出量39とは、同じ大きさにする必要はない。例えば、上記した範囲内で、膨張部33のハミ出量39を、ハミ出辺部36のハミ出量39よりも大きくするようにしても良い。
【0063】
また、
図10に示すように、
図4、
図5の膨張部33と、
図8の横ハミ出辺部37とを、組合せて設けるようにしても良い。
【0064】
同様に、
図11に示すように、
図4、
図5の膨張部33と、
図9の縦ハミ出辺部38とを、組合せて設けるようにしても良い。
【0065】
更に、特に図示しないが、
図10、
図11のハミ出辺部36と、
図6の切欠部35とを組合せて設けるようにしても良い。
【0066】
加えて、
図10、
図11のハミ出辺部36と、
図4、
図5の膨張部33と、
図6の切欠部35とを全て組合せて設けるようにしても良い。
【0067】
なお、これらの組合せについては、可能なものは全て含まれる。
但し、裏面側の光学フィルム14については、上記したように、4辺ともタッチセンサーパネル12からハミ出さないようにする。
【0068】
(構成4)
或いは、
図12に示すように、上記した剥離防止部31は、上記した光学フィルム13の少なくとも3辺に設けた、上記したタッチセンサーパネル12の対応する各辺よりも外方へハミ出すハミ出辺部36とすることができる。
【0069】
(補足説明4)
ここで、上記した「ハミ出辺部36」は、矩形状を構成する4辺のうちの任意の1辺を除く3辺とすることができる。
例えば、配線部17を設けた辺以外の3辺などとすることができる。
【0070】
なお、ハミ出辺部36を設けなかった残りの辺部分の両端のコーナー部16に対して、
図10、
図11などと同様に、ハミ出形状部32(
図4、
図5の膨張部33や、
図6の切欠部35)を設けるようにしても良い。
なお、構造的には、ハミ出辺部36は、上記した光学フィルム13の4辺全部に対して設けるようにすることもできる。
【0071】
なお、ハミ出辺部36の詳細については、上記した「構成3」のものと同様なため、構成3および補足説明3の記載を以て、この欄での記載を省略する。
【0072】
また、
図12のハミ出辺部36と、
図4、
図5の膨張部33や、
図6の切欠部35を適宜組合せるようにしても良い。
なお、これらの組合せについては、可能なものは全て含まれる。
但し、裏面側の光学フィルム14については、上記したように、4辺ともタッチセンサーパネル12からハミ出さないようにする。
【0073】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
まず、
図1に示すように、この実施例のタッチパネル11は、以下のようにして構成される。
【0074】
即ち、静電容量の変化によって入力操作が可能な矩形状のタッチセンサーパネル12の表面に対し、外光の反射を低減できる構造とするために、光の反射量を減衰可能な矩形状の光学フィルム13を粘着剤で貼付ける。
次に、この光学フィルム13の表面に対し、表面保護が可能な加飾シート15を、粘着剤で貼付ける。
更に、必要に応じて、タッチセンサーパネル12の裏面に対し、外光の反射を低減できる構造とするために、光の反射量を減衰可能な光学フィルム14を粘着剤で貼付ける。
なお、加飾シート15と裏面側の光学フィルム14とを貼付ける順番については、これに限るものではない。
【0075】
この際、タッチパネル11に、上記したような剥離防止部31を設けるようにして、後述するような作用効果が得られるようにする。
【0076】
こうして、タッチパネル11が形成されたら、
図2、
図3に示すように、筐体21(ケーシング)に設けられたディスプレイ収容凹部22に表示用ディスプレイ装置23を収容設置する。
そして、表示用ディスプレイ装置23の画面に重ねて上記したタッチパネル11を配置すると共に、
表示用ディスプレイ装置23の画面の周縁部とタッチパネル11(のタッチセンサーパネル12または裏面側の光学フィルム14)の裏面の対向する部分との間の枠状の部分を両面テープや接着剤などの固定手段24を用いて固定する。
更に、筐体21の表面側に設けられた保護プレート貼付代部25に対して、タッチパネル11の加飾シート15における、タッチセンサーパネル12および表面側の光学フィルム13の周縁部よりも外側に張出された張出部分15aの裏面を、両面テープや接着剤などの固定手段24を用いて枠状に貼付固定する。
以上により、タッチディスプレイが組立てられる。
【0077】
このようなタッチディスプレイは、画面を見ながら、映像を手で触れることによって直感的な入力操作を行うことができる、使い勝手の良い操作パネルとなる。
【0078】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
(作用効果1)
矩形状のタッチセンサーパネル12と、矩形状の光学フィルム13および加飾シート15との熱膨張の差によって、光学フィルム13のコーナー部16と加飾シート15との間に剥がれが生じるのを防止可能な剥離防止部31を設けたことにより、剥離防止部31が、光学フィルム13のコーナー部16と加飾シート15との間の剥がれを防止するか、或いは、剥がれを生じ難くする。
これにより、剥がれの発生起点となっているコーナー部16での剥がれの発生を抑えて、剥がれ現象の発生と進展とを防止することができるので、剥がれが生じ難い高信頼性のタッチパネル11を得ることができる。
【0079】
なお、光学フィルム13のコーナー部16と加飾シート15との間に剥がれが生じるのは、以下のような理由による。
【0080】
即ち、上記した
図16に示すように、タッチセンサーパネル12は主にガラスで構成されているため線膨張係数が小さく熱膨張し難いのに対し、光学フィルム13および加飾シート15は樹脂で構成されているため線膨張係数が大きく熱膨張し易いことから、タッチセンサーパネル12と加飾シート15との間に位置する光学フィルム13は、タッチセンサーパネル12によって加飾シート15の伸びなどと反対方向へ引っ張られることになる。
【0081】
そして、光学フィルム13は、全体がタッチセンサーパネル12よりも一回り小さくなっていると、全体をタッチセンサーパネル12によって拘束されてしまうので、ほとんど伸びることができず、よって、最も伸び差が大きくなる光学フィルム13と加飾シート15との境界部分aに応力が集中し、この部分が剥がれることになるものと考えられる。
【0082】
そして、この光学フィルム13と加飾シート15との剥がれは、縦方向の伸びと横方向の伸びとが重なるコーナー部16の位置で最も生じ易くなる。
【0083】
なお、
図13は、上記したコーナー部16周辺に生じる応力を、解析した結果を示す図である。この図により、コーナー部16に応力が集中していることが実際に確認された。
【0084】
そこで、
図14に示すように、剥離防止部31として、光学フィルム13に対し、タッチセンサーパネル12から僅かでもフリーとなる部分を形成して、この部分を加飾シート15の熱膨張や収縮に追従して変形させるようにすることにより、光学フィルム13と加飾シート15との境界部分における応力集中を緩和・低減することができるようになるので、光学フィルム13と加飾シート15との間の剥がれを防止することが可能となる。
特に、剥離防止部31をコーナー部16周辺に設けることにより、最も剥がれが生じ易い部分の剥がれを、集中的且つ効率的に抑制することができる。
【0085】
そして、実際にコーナー部16の周辺に剥離防止部31を設けて、解析を行ったところ、応力が11.3%ほど低減することが確認された。
この11.3%の応力低減値は、粘着剤の粘着力よりも応力を下回らせるのには十分有効な値であった。
【0086】
そして、剥離防止部31の効果を検証するため、タッチパネル11を85℃の高温環境下に放置する高温放置試験を行ったところ、剥離防止部31のないものでは、8時間で剥離が発生したのに対し、剥離防止部31を設けたものは、500時間以上経過しても剥離が発生しないことが確認された。
【0087】
また、タッチパネル11に、−40℃から90℃の温度変化を繰り返し作用させる熱サイクル試験を行ったところ、剥離防止部31のないものでは、2サイクルで剥離が発生したのに対し、剥離防止部31を設けたものは、15サイクル以上繰り返しても剥離が発生しないことが確認された。
【0088】
これらの実験により、剥離防止部31の効果を実際に確認することができた。
【0089】
(作用効果2)
剥離防止部31が、光学フィルム13とタッチセンサーパネル12とのコーナー部16の周辺に設けられた、光学フィルム13をタッチセンサーパネル12よりも外方へハミ出させるハミ出形状部32であることにより、ハミ出形状部32が、光学フィルム13のコーナー部16の周辺をタッチセンサーパネル12のコーナー部16の周辺よりも外方へハミ出させるので、光学フィルム13のタッチセンサーパネル12よりも外方へハミ出た部分が僅かに熱膨張して、上記した熱膨張の差の影響を吸収することで、光学フィルム13のコーナー部16と加飾シート15との間の剥がれを防止することができる。
【0090】
(作用効果3)
剥離防止部31が、光学フィルム13の対向する2辺に設けた、タッチセンサーパネル12の対応する各辺よりも外方へハミ出すハミ出辺部36であることにより、光学フィルム13の対向する2辺に設けたハミ出辺部36が、その両端部でそれぞれ近接する2つのコーナー部16における、上記した熱膨張の差の影響を吸収し、また、その中間部でそれぞれ対応する辺における熱膨張の差の影響を吸収することで、光学フィルム13と加飾シート15との4つ全てのコーナー部16間の剥がれや、上記した対向する2辺での剥がれなどを防止することができる。
【0091】
なお、2辺に設けたハミ出辺部36は、コーナー部16に対して僅かに達しない長さである場合であっても、コーナー部16の近傍にまで延びているので、コーナー部16における剥がれを防止する効果を得ることができる。
【0092】
(作用効果4)
剥離防止部31が、光学フィルム13の少なくとも3辺に設けた、タッチセンサーパネル12の対応する各辺よりも外方へハミ出すハミ出辺部36であることにより、光学フィルム13の少なくとも3辺に設けたハミ出辺部36が、その両端部でそれぞれ2つのコーナー部16における、上記した熱膨張の差の影響を吸収し、また、少なくとも3辺における熱膨張の差の影響を吸収することで、光学フィルム13と加飾シート15との4つ全てのコーナー部16間の剥がれや、上記した少なくとも3辺での剥がれなどを防止することができる。
【0093】
このように、光学フィルム13の3辺または4辺にハミ出辺部36を設けた場合には、光学フィルム13の対向する2辺にハミ出辺部36を設ける場合と比べて、より大きな剥離防止効果を得ることができる。
【0094】
なお、光学フィルム13の3辺にハミ出辺部36を設ける場合には、タッチセンサーパネル12の1辺部から突設された配線部17を避けてハミ出辺部36を設けるようにすることなどができる。
【0095】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。