【実施例1】
【0016】
<構成>以下、構成について説明する。
上記した車両用照明装置11は、
図3〜
図5(主に、
図4の分解斜視図参照)に示すように、光源12と、この光源12からの光によって線状に発光する線状導光体13と、この線状導光体13を収容可能な導光体収容部14を有する照明装置本体15と、上記導光体収容部14内に収容された上記線状導光体13を覆うように上記照明装置本体15の表面に被着される透光性または半透光性のカバー部材16と、を有するものとされる。
【0017】
また、上記照明装置本体15における上記導光体収容部14の少なくとも一方(この場合には、両端位置)に設置されて、内部に上記光源12を収容設置可能とされると共に、上記線状導光体13の端部を挿入可能な導光体挿入口部22を有する(一対の)ホルダ部材21を有するものとされる。
【0018】
ここで、上記した「車両用照明装置11」は、文字通り、車両の照明を行うための装置である。この場合には、特に、車室内に設けられるものとされている。車室内に設けられる車両用照明装置11には、室内灯や計器照明装置などの機能的なものが存在しているが、この場合には、上記した線状導光体13によって、車内の各部を縁取るように光らせる演出照明を行う意匠的なものなどとされている。そして、シフトレバー5(やトレー4)の周囲を縁取るように光らせるものとされているが、上記以外に、例えば、車室の天井部を光らせたり、インストルメントパネル1の表面などを光らせたりするようにしても良い。
【0019】
上記した「光源12」は、文字通り、車両用照明装置11に照明を行わせるための光を発生するものである。この光源12には、例えば、発光ダイオードなどの点光源が用いられる。
【0020】
上記した「線状導光体13」は、文字通り、内部に光を通すことによって、延設方向へ光を導くと共に、その側面から光の一部を出射するように構成された、透明または半透明な線形状の導光材料である。この線状導光体13は、必要な長さに切って使うことができるので、様々な使い方ができる利便性の良い照明用素材である。
【0021】
この線状導光体13には、例えば、3M社製のライトストリング(レイミルキーフレックス35)などを使用することができる。この線状導光体13は、透明な特殊アクリル樹脂製の芯部の外周を、乳白色のフッ素系樹脂の皮膜で覆った二重構造を有する単芯光ファイバーなどとされている。
【0022】
上記した「導光体収容部14」は、例えば、
図5の断面図に示すように、その手前側部分(線状導光体13の入口側部分(図中上側部分))に、線状導光体13を収容可能な開放部14aを有すると共に、その奥側部分(図中下側部分)に、線状導光体13とほぼ同じ断面形状の底部14bを有する凹溝などとすることができる。この導光体収容部14は、照明装置本体15に対し、線状導光体13の配索方向に沿うように延設形成される。
【0023】
図4に戻って、上記した「照明装置本体15」は、車両用照明装置11の中核となる部品または部材であり、線状導光体13を収容する樹脂製のケースとして構成される。照明装置本体15には、上記した導光体収容部14が一体に形成される。また、照明装置本体15の表面側には、上記した導光体収容部14を覆うように、上記したカバー部材16を取付けるためのカバー取付部15a(
図5参照)が形成される。
【0024】
この場合、照明装置本体15は、上記したセンターコンソール2の前側に設置されたシフトレバー5やトレー4などの周囲を覆うように、上記したフィニッシャ部材9の内周部分に沿って照明を行うものとして設けられている。この照明装置本体15は、枠状部材などとして構成されている。これにより、上記した導光体収容部14やカバー部材16は、シフトレバー5やトレー4の周囲の少なくとも、一部を取り囲むような屈曲形状(この場合には、平面視ほぼU字形状)を有するものなどとされる。特に、この例の場合には、照明装置本体15は、前部にトレー4を一体に有するものとされている。
【0025】
また、照明装置本体15には、上記したセンターコンソール2などに取付けるための車体取付部25が設けられる。この車体取付部25は、ネジ止め部などとされると共に、所定の間隔を有して複数箇所設けられる。
【0026】
照明装置本体15には、上記導光体収容部14の端部の位置またはその近傍に、各ホルダ部材21を取付けるためのホルダ取付部23が設けられる。このホルダ取付部23は、
図4に示すように、照明装置本体15に対してホルダ部材21を保持するためのホルダ保持部23aや、照明装置本体15に対してホルダ部材21をネジなどの締結部材によって固定するためのホルダ固定部23bなどを有するものとされる。
【0027】
なお、上記した光源12は、両方のホルダ部材21に対して設けることもできるが、どちらか一方のホルダ部材21に対して設けるようにすれば充分である。
【0028】
上記した「カバー部材16」は、アクリルなどの樹脂製の無色透明または有色透明な透光部材または半透光部材(の発光部)とされる。この場合には、カバー部材16は、(乳白色の)線状導光体13が、表面側から直接見えないようなものとされる。そのために、カバー部材16は、所要の色彩や色の濃さを有する有色透明のものとしたり、表面にシボ模様や曇模様(スモーク調模様)などの微細凹凸形状部を有する半透光性のものとしたり、これらを組み合わせたものとしたりすることができる。例えば、カバー部材16は、薄い青や、薄いグレーや、薄いブラウンなどの色彩や色の濃さを有する暗色系のものなどとすることができる。
【0029】
このカバー部材16は、
図5に示すように、照明装置本体15の表面側に形成されたカバー取付部15aに(この場合には、上方から)被着される。カバー部材16と照明装置本体15との間には、固定部として、係止爪や、爪受け部や、位置決めピンや、ピン穴などが、適宜設けられる。
【0030】
また、カバー取付部15aに被着されたカバー部材16は、その一部(例えば、外側縁部など)を、上記したフィニッシャ部材9によって(この場合には、上方から)覆うことができる。
【0031】
そして、カバー部材16の車室用内装パネルによって覆われていない部分の外面には、発光部の発光面となる光の出射部16aが設けられる。また、カバー部材16の内面側には、出射部16aと対向させて光の入射部16bが設けられる。これらの出射部16aと入射部16bとは、内部を通過する光の光路長さが全域に対してほぼ等しくなるように(即ち、輝度にバラ付きが生じ難いように)、ほぼ平行でほぼ長さの等しいものなどとされている。
【0032】
また、照明装置本体15のカバー取付部15aと、上記したカバー部材16との間には、導光体収容部14内への水(例えば、雨水など)や飲み物などの液体の侵入を防止するための防水部26を設けるようにしても良い。
【0033】
この防水部26は、例えば、照明装置本体15のカバー取付部15aの少なくとも一方の縁部に沿って設けられたシール用突出縁部27を有するものなどとすることができる。そして、このシール用突出縁部27とカバー部材16との間で、後述するクロームメッキのバリを潰すことによって、潰されたバリがシール材として機能されるようにする。更に、照明装置本体15のカバー取付部15aにおける、シール用突出縁部27の近傍に、シール溜め用の小凹部28などを設けるようにしても良い。
【0034】
上記した「ホルダ部材21」は、
図6に示すような、光源12や線状導光体13を保持するためのものである。ホルダ部材21は、光源12を収容可能な中空の箱状のものとされる。
【0035】
上記した「導光体挿入口部22」は、箱状のホルダ部材21の導光体収容部14側の面から、導光体収容部14へ向けて突設された筒状のものとされる。導光体挿入口部22は、線状導光体13の外径とほぼ等しい内径(即ち、線状導光体13の端部が挿入可能な内径)を有するものとされる。導光体挿入口部22は、ホルダ部材21の内部に収容された光源12からの光を最大に通すことができるようにするために、光源12と対向する位置に設けられる。
【0036】
そして、以上のような基本構成に対し、この実施例のものでは、以下のような構成を備えるようにしている。
【0037】
(構成1)
上記照明装置本体15と上記線状導光体13との間に、上記ホルダ部材21の導光体挿入口部22へ上記線状導光体13の端部を挿入する操作のみによって上記線状導光体13の延設方向の位置規制が可能な導光体位置規定部24を設けるようにする。
【0038】
(構成2)
上記導光体位置規定部24が、上記線状導光体13の端部近傍に外嵌された位置規制用外嵌部材51と、上記照明装置本体15における上記導光体収容部14の一端側近傍に設置された少なくとも1つの位置規制用張出部52とを備えるようにする。
そして、上記位置規制用外嵌部材51が、上記ホルダ部材21と上記位置規制用張出部52との間(
図6)、または、一対の位置規制用張出部52の間(
図8)に挟着状態で当接配置されることで、上記線状導光体13が、延設方向の両側に対して位置規制されるようにする。
【0039】
(補足説明2)
ここで、上記した「位置規制用外嵌部材51」は、文字通り、位置規制のために線状導光体13に外嵌される環状の部材のことである。位置規制用外嵌部材51には、例えば、ラバー製のブッシュなどを使用することができる。この位置規制用外嵌部材51は、線状導光体13に対して位置がズレることのないように、その内径を、線状導光体13の外径と同じにするか、それよりも、若干小径にして無理嵌めし得るようなものにする。
また、位置規制用外嵌部材51のホルダ部材21側の端面は、平面形状に形成し、ホルダ部材21側への位置規制が確実に行い得るようにし、他面側は、照明装置本体15への組付性を考慮して湾曲面に形成されている。なお、線状導光体13に対する位置規制用外嵌部材51の取付けについては、後述する。
【0040】
上記した「位置規制用張出部52」は、照明装置本体15から一体的に突設された位置決めリブなどとすることができる。この位置規制用張出部52には、
図7に示すような、線状導光体13を収容するための切欠凹部52aが形成される。
【0041】
(構成3)
上記位置規制用張出部52の上記位置規制用外嵌部材51が当接される面に、位置規制用張出部52の基部側から先端側へ進むに従い上記ホルダ部材21から遠ざかるガイド斜面53が形成されるようにする。
【0042】
(補足説明3)
ここで、上記した「ガイド斜面53」は、
図6のように、位置規制用張出部52が1つの場合には、対向するホルダ部材21側の面の少なくとも一部に設けられる。または、
図8のように、位置規制用張出部52が複数ある場合には、ガイド斜面53は、例えば、上記したホルダ部材21から遠い側の位置規制用張出部52における、ホルダ部材21側の面の少なくとも一部に設けるようにする。
【0043】
そして、線状導光体13に対する位置規制用外嵌部材51の取付けは、手作業によって行うことができる。この場合、
図9(a)に示すような、外嵌部材取付用治具55を用いることができる。
【0044】
この外嵌部材取付用治具55は、例えば、予め所要の長さに切断されている線状導光体13を、導光体挿入口部22へ挿入する作業を行う際に、線状導光体13の端部が、光源12に突き当たらないようにするために必要な長さl(
図6参照)と等しい高さl(
図9(a)参照)を有する箱体によって主に構成される。そして、この箱体の上面には、線状導光体13を挿入可能な孔部55aが形成され、更に、この孔部55aの入口部の周りには、位置規制用外嵌部材51をセットするための突条部55bが設けられる。
【0045】
そして、
図9(b)に示すように、位置規制用外嵌部材51がセットされた外嵌部材取付用治具55の孔部55aへ、線状導光体13を挿入することにより、
図9(c)に示すように、端部から長さlの位置に、常に位置規制用外嵌部材51が外嵌されるように、線状導光体13に対して位置規制用外嵌部材51を簡単に取付けることが可能となる。
【0046】
なお、位置規制用外嵌部材51に対して線状導光体13を挿入するための補助具として、上記した突条部55bに対して、
図10に示すような、導入テーパ部56aを有する筒状の導入補助部品56を取付可能にしても良い。
【0047】
以下に、上記した以外の構成について説明する。
【0048】
(構成4)
上記照明装置本体15の、少なくとも上記導光体収容部14の部分に、上記線状導光体13から出た光を、上記カバー部材16へ向けて乱反射させることにより、上記カバー部材16が面発光しているかのように見せる面発光用反射層31を設けるようにする。
一方、上記線状導光体13を上記照明装置本体15に対して固定するための導光体固定部32を、上記照明装置本体15とは別体に設けるようにする。
【0049】
(補足説明4)
ここで、上記した「乱反射」は、この場合、線状導光体13の側面などから外部へ出射された光を、ランダムな方向へ反射させつつ、最終的にカバー部材16の出射部16aから出射させるようにすることである。
【0050】
上記した「面発光」は、文字通り、カバー部材16の面(この場合には出射部16a)全体が、あたかも(自ら)発光しているかのように見えることである。
【0051】
上記した「面発光用反射層31」は、カバー部材16に、上記した面発光を生じさせるために設けられる特別な反射部のことである。カバー部材16を面発光しているように見せるには、面発光用反射層31が、樹脂部材の表面よりも格段に高い反射率を有することが必要になる。面発光用反射層31については、後述する。
【0052】
上記した「導光体固定部32」は、文字通り、照明装置本体15に対して線状導光体13を固定する部分のことである。例えば、上記した導光体収容部14が、単純に水平面または同一の平坦面上に形成されているような場合には、照明装置本体15に対して線状導光体13を特別に固定する必要性は少ないものと考えられるが、車両に設置される様々な部品は、一般に、複雑且つ微妙な曲線を駆使して構成される意匠性の高いものが多いので、このような意匠性が高く複雑な形状を有する部分に沿って線状導光体13をうまく設置するためには、何らかの導光体固定部32によって複雑な形状に適合させるようにすることが必要になる。なお、導光体固定部32については、後述する。
【0053】
上記した「別体」は、文字通り、導光体固定部32が、照明装置本体15とは別の物(即ち、別部品)として、構成されることである。
【0054】
(構成5)
上記において、上記導光体固定部32が、透光性または半透光性の部材によって構成された爪部材33とされる。
【0055】
(補足説明5)
ここで、上記した「透光性または半透光性の部材」は、無色透明のものとしたり、上記したカバー部材16と同様に、有色透明のものとしたり、表面にシボ模様や曇模様(スモーク調模様)などを有する半透光性のものとしたり、これらを組み合わせたものとしたりすることができる。特に、導光体固定部32を有色透明や半透光性のものとした場合には、光を調節する機能を持たせることができる。
【0056】
上記した「爪部材33」は、
図5に示すように、線状導光体13を係止可能な爪形状部分33aと、照明装置本体15に対して取付け可能なケース取付部33bとを有する樹脂製のものとされている。この場合、爪形状部分33aと、ケース取付部33bとは、側面視ほぼL字状のものなどとされている。ケース取付部33bは、ネジなどの締結部材34によって照明装置本体15に取付けられる。
【0057】
更に、爪形状部分33aとケース取付部33bとの間の部分には、必要に応じて、照明装置本体15に対して、爪部材33を、線状導光体13の押さえ付け方向に位置決め可能な凹凸嵌合形状をした押さえ方向位置規定部33cなどが形成される。この押さえ方向位置規定部33cには、爪部材33を押さえ付け方向へ向けて案内可能なガイドテーパ部33dなどを形成することができる。これに対し、照明装置本体15には、押さえ方向位置規定部33cやガイドテーパ部33dと対応する凹凸嵌合形状やテーパ形状をした部分が設けられる。
【0058】
このような爪部材33は、照明装置本体15の外周部分に対して複数個取付けられる。
【0059】
(構成6)
上記において、
図4に示すように、上記線状導光体13に、屈曲部35が設けられる。
そして、上記導光体固定部32が、少なくとも、上記屈曲部35の位置に対して設けられるようにする。
【0060】
(補足説明6)
ここで、上記した「屈曲部35」は、車両用照明装置11の意匠的な形状に応じて線状導光体13の各部に与えられるものである。特に、上記した屈曲部35は、角形状の部分(コーナー部)や、曲率半径の小さい曲線部(アール部)などのように、線状導光体13内部での光の屈折状態が急激に変わることによって、線状導光体13の側面から出射される光の量に人間が感知できる程度の変化が生じる(例えば、光量が他の部分よりも多くなる)ような部分のことである。
【0061】
この場合、上記した線状導光体13は、平面視、ほぼ多角型のU字状となるように配設されており、上記した屈曲部35は、例えば、多角型のU字を構成する複数の直線部のつなぎ目部分などに形成されている。
【0062】
上記した「屈曲部35の位置」は、屈曲部35、または、屈曲部35の近傍を指すものとされる。
【0063】
なお、導光体固定部32は、屈曲部35以外の位置(例えば、直線部)に対しても設けることができるのは勿論である。
【0064】
ここで、上記した直線部は、線状導光体13における、側面から出射される光の量に人間が感知できる程度の変化が生じない部分であり、この直線部には、線状導光体13の側面から出射される光の量に変化がほとんど生じない程度の、曲率半径の大きい曲線部分が含まれるものとする。
【0065】
そして、好ましくは、上記した直線部には、比較的幅の狭い導光体固定部32(通常導光体固定部)を用いるようにし、上記した屈曲部35には、直線部のものよりも幅の広い導光体固定部32(幅広導光体固定部32a)を用いるようにする。
【0066】
(構成7)
上記において、上記面発光用反射層31が、クロームメッキなどのメッキによる金属光沢部37とされる。
【0067】
(補足説明7)
ここで、上記した「クロームメッキ」は、クロムを使ったメッキのことである。クロームメッキは、反射率が高いため光沢が大変美しく且つ重厚で、しかも、物理的特性に優れていると共に、耐久性が高いという優れた特徴を有するものである。このようなクロームメッキは、図示しないメッキ槽に照明装置本体15の全体または少なくとも導光体収容部14の周辺部分を浸漬することよって、照明装置本体15の全体または浸漬部分にほぼ均一の厚さに形成されるものとなる。よって、上記した導光体固定部32を、照明装置本体15に対して一体に形成してしまうと、導光体固定部32に対してもクロームメッキが施されてしまうことになるので、クロームメッキの影響によって導光体固定部32がもろくなり、折れ易いものとなってしまう。
【0068】
上記した「金属光沢部37」は、面発光用反射層31として照明装置本体15に施したクロームメッキによって形成される、反射率の極めて高い鏡面反射部である。そのために、少なくとも導光体収容部14の表面は、滑らかな形状を有するものとされる。
【0069】
なお、構造的には、例えば、上記した面発光用反射層31は、強い光沢を有する(別体の)部品(例えば、金属部材やメッキ処理部材)などを、導光体収容部14へ嵌め込むようにして形成することも可能である。但し、このようにした場合には、導光体収容部14に対する上記した金属部材やメッキ処理部材の取付けに高い精度が必要となる。
【0070】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
車両用照明装置11を組み立てる場合、まず、照明装置本体15における導光体収容部14の両端部に対し、それぞれホルダ部材21を取付けるようにする。
【0071】
この際、一方のホルダ部材21には、光源12が収容されるようにし、他方のホルダ部材21には、光源12が収容されないようにする。そして、光源12が収容された一方のホルダ部材21を、導光体位置規定部24の位置規制用張出部52が設けられた側の端部に対して取付けるようにする。
【0072】
そして、
図9または
図10の外嵌部材取付用治具55によって位置規制用外嵌部材51が外嵌された線状導光体13の端部を、
図11に示すように、導光体挿入口部22のホルダ部材21へ挿入し、反対側の端部を、
図12に示すように、反対側のホルダ部材21へ挿入する。
【0073】
この際、位置規制用外嵌部材51を、位置規制用張出部52のガイド斜面53によって案内させるようにする。
【0074】
最後に、線状導光体13がセットされた照明装置本体15のカバー取付部15aに、カバー部材16を取付ける。
【0075】
このようにして組み立てられた車両用照明装置11は、手作業車両の車室内の適宜位置に設置される。
【0076】
そして、光源12を発光させると、光源12からの光は、線状導光体13の内部を通るように導かれると共に、線状導光体13の側面から一部が出射される。線状導光体13の側面から出射された光は、直接カバー部材16を透過したり、面発光用反射層31で反射された後にカバー部材16を透過したりすることによって、カバー部材16を光らせる。
【0077】
この際、少なくとも、導光体収容部14に面発光用反射層31を設けることにより、線状導光体13からの直接光に対する、導光体収容部14での反射光の割合を多くすることができるので、即ち、直接光と反射光との光量差を少なくすることができるので、線状導光体13を外部から目立ないようにすることができる。
【0078】
また、カバー部材16を、有色透明のものとしたり、表面にシボ模様や曇模様(スモーク調模様)などを有する半透光性のものとしたり、これらを組み合わせたものとしたりすることによって、線状導光体13を更に外部から目立ないようにすることができる。
【0079】
以上により、カバー部材16を、あたかも面発光しているかのように照明させることができる。
【0080】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
(効果1)
照明装置本体15と線状導光体13との間に設けた導光体位置規定部24によって、ホルダ部材21の導光体挿入口部22へ線状導光体13の端部を挿入する操作のみにて、線状導光体13の延設方向の位置規制を容易に行わせることが可能となる。
【0081】
(効果2)
線状導光体13の端部近傍に位置規制用外嵌部材51を外嵌し、線状導光体13の端部をホルダ部材21へ挿入すると共に、位置規制用外嵌部材51をホルダ部材21と位置規制用張出部52との間、または、一対の位置規制用張出部52の間に挟着状態で当接配置することにより、線状導光体13を、延設方向の両側に対して位置規制させることができるようになる。
これにより、線状導光体13の一端側を位置規制することによって、線状導光体13の両端を位置規制する効果を得ることができる。このように線状導光体13の位置規制を行わせることにより、ホルダ部材21へ線状導光体13を挿入する際に、線状導光体13が不用意にホルダ部材21の内部に収容された光源12に突き当たって、光源12に損傷を与えるようなことを防止することができる。
そして、位置規制用外嵌部材51は、線状導光体13の外周に外嵌されるものであるため、外嵌位置を正確に設定することが容易であり、しかも、線状導光体13の内部に導光される光の光量を低減させることがないため、必要な光量を確保することができる。
更に、位置規制用外嵌部材51がホルダ部材21と位置規制用張出部52との間、または、一対の位置規制用張出部52の間に挟着状態で当接配置されることにより、位置規制用外嵌部材51がホルダ部材21の線状導光体13を挿入する部分をシールするので、ホルダ部材21を防水することができる。
【0082】
(効果3)
位置規制用張出部52の位置規制用外嵌部材51が当接される面に、位置規制用張出部52の基部側から先端側へ進むに従いホルダ部材21から遠ざかるように傾斜するガイド斜面53が形成されたことにより、ガイド斜面53を利用して、位置規制用外嵌部材51の、ホルダ部材21と位置規制用張出部52との間、または、一対の位置規制用張出部52の間への装着作業を、効率良く行わせることができるので、線状導光体13をホルダ部材21に挿入して位置決めする作業を、短時間のうちに効率的に行わせることができる。
【0083】
(効果4)
すでに上記したように、導光体収容部14に、面発光用反射層31を設けることにより、面発光用反射層31が線状導光体13から出た光を効率的に乱反射させるように機能するので、カバー部材16をあたかも面発光しているかのように見せることができる。
そして、照明装置本体15に対して線状導光体13を固定するための導光体固定部32を、照明装置本体15とは別体に設けることにより、導光体固定部32を照明装置本体15とは異なる材質によって形成することができるようになるため、導光体固定部32が、照明に影響を与えないようにしたり、或いは、導光体固定部32によって、照明の効果を調節したりすることができるようになり、また、導光体固定部32の配置も自由となる。
また、照明装置本体15とは別体に導光体固定部32を設けることにより、照明装置本体15に面発光用反射層31を設けることによる影響を導光体固定部32が受け難くなるので、例えば、照明装置本体15と共に導光体固定部32に面発光用反射層31(後述するようなクロームメッキなど)が形成されてしまうようなことがなくなり、(面発光用反射層31によって導光体固定部32の表面硬度が高くなり、)導光体固定部32がもろくなって折れ易くなってしまうような不具合を防止することができる。
しかも、導光体固定部32を照明装置本体15と一体に設ける場合には、導光体固定部32を成形する際に型抜き穴が必然的に形成されてしまうので、型抜き穴からの光漏れに対する面倒な対策が必要になるが、導光体固定部32を照明装置本体15と別体に設けるようにすれば、型抜き穴が発生しなくなるので、面倒な光漏れ対策をなくすことができる。
【0084】
(効果5)
導光体固定部32を、透光性または半透光性の部材によって構成された爪部材33とすることにより、カバー部材16に、導光体固定部32による陰などが生じるのを防止したり、光源12などからの光を導光体固定部32が反射して目立ったりするようなことが防止されるので、カバー部材16全体をムラなく面発光させることができるようになる。
また、導光体固定部32を有色透明のものとしたり、表面にシボ模様や曇模様などを有する半透光性のものとしたり、これらを組み合わせたものとしたりすることにより、光源12などからの光を部分的に調整して、発光状態の均一化を図ることができる。
【0085】
(効果6)
導光体固定部32が、少なくとも、線状導光体13の屈曲部35の位置に対して設けられることにより、導光体固定部32を用いて線状導光体13を安定して保持することができる。これにより、カバー部材16をより安定して面発光させることができる。
また、屈曲部35に導光体固定部32を設置することにより、導光体固定部32を用いて、屈曲部35で変化された出射光の光量を調整し、カバー部材16の面発光の均一化を図るようなこともできるようになる。
なお、特に、屈曲部35に他の部分よりも幅の広い導光体固定部32を用いるようにすることにより、屈曲部35で、線状導光体13をより効果的に固定することができるようになると共に、幅の広い導光体固定部32によって、屈曲部35で変化された出射光の光量をより有効に調整することができるようになり、カバー部材16の面発光を均一化する機能をより向上させることが可能となる。
【0086】
(効果7)
面発光用反射層31を、クロームメッキなどのメッキによる金属光沢部37とすることによって、クロームメッキによる金属光沢部37は、線状導光体13から出射した光を強く乱反射させることができるので、カバー部材16の面発光をより均一なものとすることができる。また、クロームメッキは、自動車用のメッキとして、実績があり、設備も整っているので、面発光用反射層31に利用するのには最適である。
【0087】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。