(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成分(B)が、さらに炭酸カルシウム、高炉スラグ、水酸化マグネシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ゼオライト、石膏及びリン酸一水素カルシウム2水塩からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる粉末を含有する請求項1に記載の土工資材組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の土工資材組成物は、次の成分(A)及び(B):
(A)2CaO・SiO
2100質量部に対して、2CaO・Al
2O
3・SiO
2を10〜100質量部含有し、かつ3CaO・Al
2O
3の含有量が20質量部以下である焼成物であって、焼成物100質量%中に、フッ素を0.03〜0.2質量%含有する焼成物A、及び
(B)炭酸マグネシウムを主成分とする鉱物を650〜1,000℃で焼成して得た酸化マグネシウムと炭酸マグネシウムとを含む焼成物Bを、焼成物Bの一部が水酸化マグネシウムになるように水和したものであり、かつ1,000℃における強熱減量率が6〜30質量%であるマグネシウム系材料からなる粉末を含有するマグネシウム含有不溶化材
を含む。
なお、成分(A)の焼成物を「焼成物A」、成分(B)に含有される粉末を得る際に用いられる焼成物を「焼成物B」と称する。
【0014】
本発明に用いられる成分(A)の焼成物Aは、C
2S100質量部に対して、C
2ASを10〜100質量部含有し、かつC
3Aの含有量が20質量部以下である焼成物であって、焼成物100質量%中に、フッ素を0.03〜0.2質量%含有する。
【0015】
上記C
2Sは、水硬性を有しており、コンクリートや路盤等の土工資材中で緩和に反応を進行させ、これらコンクリートや路盤等を緻密化して強度を高めることができる。また、上記C
2ASは、水硬性を有しないものの、炭酸化によって緻密化するため、コンクリートの中性化を抑制したり、路盤等の強度を高めたりする効果を発揮することができる。
【0016】
成分(A)の焼成物A中におけるC
2ASの含有量は、C
2S100質量部に対して、10〜100質量部であって、好ましくは20〜90質量部であり、より好ましくは25〜80質量部である。C
2S100質量部に対し、C
2ASの含有量が10質量部未満であると、焼成物Aの吸水率が増大するおそれがあるとともに、冷却の際に焼成物が粉状化する現象(ダスティング)が生じるおそれがある。また、100質量部を超えると、高温において融液が増加するおそれがあるので、焼成可能温度の幅が狭まる傾向にある。
【0017】
上記C
3Aは、焼成物Aの吸水率を低下させる観点、及び土工資材において膨張破壊が発生するのを防止して、耐久性が低下するのを抑制する観点から、その含有量を減じるのがよい。具体的には、成分(A)の焼成物A中におけるC
3Aの含有量は、C
2S100質量部に対して、20質量部以下であって、好ましくは0〜10質量部である。
【0018】
成分(A)の焼成物Aは、フッ素を含有する。これにより、十分に容重を増大させながら粉砕耐性を増強させることができ、土工資材の圧壊強度を十分に高めることが可能となる。焼成物A中におけるフッ素の含有量は、焼成物A100質量%中に、0.03〜0.2質量%であって、好ましくは0.035〜0.15質量%であり、より好ましくは0.04〜0.1質量%である。焼成物A100質量%中におけるフッ素の含有量が0.03質量%未満であると、容重が小さくなるおそれがあるとともに、粉砕耐性が低下するおそれがある。また、焼成物A100質量%中におけるフッ素の含有量が0.2質量%を超えると、水に浸漬した際、環境基準値を超える量のフッ素が焼成物A或いは土工資材組成物から溶出するおそれがある。
【0019】
成分(A)の焼成物Aにおける亜鉛の含有量は、優れた粉砕耐性を実現する等の観点から、焼成物A100質量%中に、好ましくは0.03〜0.5質量%であり、より好ましくは0.04〜0.4質量%であり、さらに好ましくは0.05〜0.2質量%である。焼成物A100質量%中における亜鉛の含有量が0.03質量%未満であると、粉砕耐性が低下するおそれがある。また、焼成物A100質量%中における亜鉛の含有量が0.5質量%を超えると、コンクリートを製造した際、焼成物から水中に亜鉛が溶出して凝結を遅延させる等の要因となるおそれがある。
【0020】
成分(A)の焼成物AにおけるSO
3の含有量は、焼成処理を容易にする観点、焼成物Aにおける高い圧壊強度や耐摩耗性を保持する観点、及び吸水率を低減して安定性を高める観点から、焼成物A100質量%中に、好ましくは1.5質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下である。
【0021】
このような組成の焼成物Aを製造するための原料としては、一般のポルトランドセメントクリンカー原料、すなわち、石灰石、生石灰、消石灰等のCaO原料、珪石、粘土等のSiO
2原料、粘土等のAl
2O
3原料、鉄滓、鉄ケーキ等のFe
2O
3原料を使用することができる。
フッ素原料としては、蛍石、フッ素汚泥、浚渫土、水底土砂、フッ素汚染土壌、震災がれき等を使用することができる。
亜鉛原料としては、工業用酸化亜鉛のほか、廃タイヤ、廃油、金属スラグ等を使用することができる。
SO
3原料としては、廃石膏ボード、廃硫酸等の廃棄物原料を使用することができる。また、石膏も使用することができる。さらに、ペトコークス等の高硫黄含有燃料を使用することもできる。
【0022】
さらに、成分(A)の焼成物AにおけるP
2O
5の含有量は、ダスティングを防止する観点から、好ましくは0.3質量%以上であり、より好ましくは0.4質量%以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上である。焼成物A100質量%中におけるP
2O
5含有量が0.3質量%未満であると、ダスティングが発生して粉状物が多くなる場合がある。また、焼成物A100質量%中におけるP
2O
5の含有量は、焼成物のコスト等の観点から、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。
なお、焼成物A中のP
2O
5の含有量は、下水汚泥等のリン含有廃棄物を原料として使用したり、リン酸水素カルシウム等の工業材料を使用したりすることによって調整することができる。
【0023】
上記のように、焼成物A100質量%中におけるP
2O
5の含有量が0.3質量%未満であると、ダスティングが発生する場合があるが、これを効果的に防止するには、焼成物A中のK
2O及び/又はNa
2Oの合計含有量を調整するのがよい。すなわち、成分(A)の焼成物AにおけるP
2O
5の含有量が0.3質量%未満であるとき、ダスティング防止や焼成のし易さ向上の観点から、K
2O及び/又はNa
2Oの合計含有量は、好ましくは1.0〜5.0質量%であり、より好ましくは1.5〜4.5質量%であり、さらに好ましくは2.0〜4.0質量%である。
なお、焼成物A中のK
2O及び/又はNa
2Oの合計含有量は、廃ガラス等の廃棄物を原料として使用したり、炭酸ナトリウム等の工業材料を使用したりすることによって調整することができる。
【0024】
また、本発明においては、成分(A)の焼成物Aの原料として、産業廃棄物、一般廃棄物、汚染物及び建設発生土から選ばれる1種以上を用いることもでき、廃棄物の有効利用を促進させることができるので、天然資源や環境保護の面からも好ましい。ここで、産業廃棄物としては、例えば石炭灰;生コンスラッジ;下水汚泥、浄水汚泥、建設汚泥、製鉄汚泥等の各種汚泥;ボーリング廃土、各種焼却灰、鋳物砂、ロックウール、廃ガラス、高炉2次灰、建設廃材、コンクリート廃材などが挙げられる。一般廃棄物としては、例えば下水汚泥乾粉、都市ごみ焼却灰、貝殻等が挙げられる。汚染物としては、重金属汚染土壌、有機物汚染土壌、フッ素汚染土壌等が挙げられる。建設発生土としては、建設現場や工事現場等から発生する土壌や残土、さらには廃土壌等が挙げられる。
【0025】
なお、焼成物Aの原料組成によっては、特に、上記産業廃棄物、一般廃棄物、汚染物及び建設発生土から選ばれる1種以上(以下、廃棄物原料と称する)を原料として用いた場合、4CaO・Al
2O
3・Fe
2O
3(以下、C
4AFと称する)が生成することがあるが、成分(A)の焼成物Aにおいては、好ましくはC
2ASの一部、より好ましくはC
2AS中の70質量%以下がC
4AFで置換されてもよい。C
4AFがこの範囲を超えて置換されると、焼成の温度範囲が狭くなって製造の管理が困難となるおそれがある。
【0026】
成分(A)の焼成物Aの鉱物組成(C
4AF、C
3A、C
2AS、C
2S)は、使用原料や焼成物A中のCaO、SiO
2、Al
2O
3、Fe
2O
3の各含有量(重量%)から、次式により求めることができる。
C
4AF=3.04×Fe
2O
3
C
3A=1.61×CaO−3.00×SiO
2−2.26×Fe
2O
3
C
2AS=−1.63×CaO+3.04×SiO
2+2.69×Al
2O
3+0.57×Fe
2O
3
C
2S=1.02×CaO+0.95×SiO
2−1.69×Al
2O
3−0.36×Fe
2O
3
【0027】
なお、成分(A)の焼成物Aにおけるフッ素、亜鉛及びSO
3の含有量は、得られた焼成物Aの組成から求められる値である。したがって、例えば、使用原料中にフッ素が不足する場合、その不足分を調整するために、上記フッ素原料を混合して用いればよい。混合割合は、使用原料の組成に応じて、得られる焼成物A中の含有量が本発明の範囲内になるよう、適宜決定すればよい。
【0028】
成分(A)の焼成物Aは、上記のような原料を適宜混合し、焼成することにより製造することができる。各原料を混合する方法は特に限定されず、慣用の装置等を用いて行えばよい。また、焼成する際の焼成温度は、1000〜1350℃が好ましく、1150〜1350℃であるのがより好ましい。焼成温度が1000℃未満であると、フリーライム量を低減させることが困難となるおそれがあり、1350℃を超えると、原料混合物が溶融してしまうおそれがある。
【0029】
焼成に用いる装置は特に限定されず、例えばロータリーキルン等を用いることができる。また、ロータリーキルンを用いて焼成する際には、燃料代替廃棄物、例えば廃油、廃タイヤ、廃プラスチック等を使用することもできる。
【0030】
なお、焼成物A中にフリーライム(遊離石灰)が多く存在すると、コンクリート用骨材として使用した場合に、膨張破壊する可能性がある。したがって、焼成物A100質量%中におけるフリーライム量は、好ましくは0.4質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以下である。
【0031】
成分(A)の焼成物Aの容重は、高い圧壊強度を実現する観点から、好ましくは1250〜1450g/Lであり、より好ましくは1280〜1400g/Lである。なお、容重とは、
図1に示す測定容器(内容積250mL)及び漏斗を用い、漏斗を介して焼成物を測定容器に充填したときの質量と測定容器自体の質量とから、次式(X)により求められる値を意味する。
容重(g/L)=(焼成物が充填された測定容器質量(g)−測定容器自体の質量(g))×4.0・・・(X)
【0032】
より具体的には、測定容器及び漏斗は、
図1に示す形状及び寸法で、材質及び厚さは特に制限されない。
JIS Z 8801に規定された標準網ふるい9.5mm及び4.75mm、又はこれらに準ずる板ふるいを用い、焼成物2kgをふるい分け、9.5mmふるいを通過し、4.75mmふるい残分の粒径の焼成物を試料とする。
図2に示すように、測定容器中に挿入された漏斗上に焼成物試料を、すりきりいっぱいまで静かに注ぎ入れる。次に、注意して、静かに漏斗を引き上げる。なお、焼成物Aが漏斗脚部に詰まり、円滑に流れ落ちない場合は、試料を容器に充填する操作からやり直す。
【0033】
漏斗を引き上げた後、容器内の試料の表面は、その突出した部分と窪んだ部分が同じ程度になるよう、指先でならす。試料の充填が終了したら、容器とともにその質量を1g単位まで正確にはかりとり、上記式によって容重の値を算出する。なお、容重の測定は、原則として2回実施し、その平均値を用いるが、2回の測定値の差は20g/L以内としなければならない。
【0034】
成分(A)の焼成物Aの吸水率は、焼成物Aにおける高い圧壊強度や耐摩耗性を保持しつつ安定性を高める観点から、好ましくは5%以下であり、より好ましくは3.5%以下である。なお、吸水率とは、「JIS A 1110(粗骨材の密度及び吸水率試験方法)」に準じて測定される値を意味する。
【0035】
成分(A)の焼成物Aのすりへり減量は、焼成物Aにおける高い圧壊強度を保持しつつ良好な耐摩耗性を付与する観点から、好ましくは30%以下であり、より好ましくは25%以下であり、さらに好ましくは20%以下である。
【0036】
成分(A)の焼成物Aの粒度は、上記土工資材として好適である観点から、好ましくは0.1〜100mmであり、特に粗骨材として使用する場合には、ふるい分け等により、例えば粒度を5mm以上に調整して用いるのがよい。
【0037】
本発明に用いられる成分(B)のマグネシウム含有不溶化材は、特定の(b−1)マグネシウム系材料からなる粉末(粉末(b−1))を含有する。かかる粉末(b−1)は、次の条件(i)〜(ii):
(i)炭酸マグネシウムを主成分とする鉱物を650〜1,000℃で焼成して得た酸化マグネシウムと炭酸マグネシウムとを含む焼成物Bを、焼成物Bの一部が水酸化マグネシウムになるように水和したものであり、かつ
(ii)1,000℃における強熱減量率が6〜30質量%
を満たすマグネシウム系材料からなる。
マグネシウム系材料が条件(i)を満たすことは、すなわち、成分(B)で用いるマグネシウム系材料が、炭酸マグネシウムを主成分とする鉱物を650〜1,000℃で焼成して得た酸化マグネシウムと炭酸マグネシウムとを含む焼成物Bを、該焼成物Bの一部が水酸化マグネシウムになるように水和したものであることを意味する。
【0038】
なお、上記マグネシウム系材料は、酸化マグネシウムと炭酸マグネシウムとを含む焼成物の一部を水和したものであるから、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、
及び水酸化マグネシウムの3種のマグネシウム化合物を含むものである。
【0039】
このようにして得られたマグネシウム系材料を用いることによって、成分(A)と混合した場合に、フッ素の溶出に対して高い抑制効果を得ることができる。例えば、個別に入手した酸化マグネシウム粉末、炭酸マグネシウム粉末、及び水酸化マグネシウム粉末を単に混合したものでは、本発明のような優れた効果を得ることができない。
【0040】
炭酸マグネシウムを主成分とする鉱物の例としては、マグネサイト、ドロマイト等が挙げられる。この場合、鉱物中の炭酸マグネシウムの含有率は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
【0041】
焼成物Bを得る際の焼成は、炭酸マグネシウムを主成分とする鉱物の一部が酸化マグネシウムとなり、残部が炭酸マグネシウムのままで残存するように行われる。焼成する際の温度は、650〜1,000℃であり、好ましくは750〜900℃であり、より好ましくは800〜900℃である。該温度が650℃未満であると、酸化マグネシウムが生成し難くなる。該温度が1,000℃を超えると、フッ素の溶出抑制効果が低下する。
なお、焼成においては、その時間や温度によって、焼成物Bに含まれる酸化マグネシウムと炭酸マグネシウムの割合を適宜調整することができる。
【0042】
焼成物Bを得る際の焼成時間は、キルン等の焼成手段を用いる場合、本発明の効果が十分に得られるマグネシウム系材料を得る観点から、好ましくは30〜240分間であり、より好ましくは60〜210分間であり、さらに好ましくは90〜180分間である。なお、後述の実施例で用いるような実験用電気炉を用いる場合、均一に加熱することができるため、好ましい焼成時間は、キルンを用いる場合よりも短くてよく、例えば、30〜90分間である。
【0043】
得られた焼成物Bを水和する方法としては、特に限定されないが、例えば、下記(i-1)又は(i-2)の方法が挙げられる。
(i-1)焼成物Bに水を添加して混合する方法
(i-2)焼成物Bを相対湿度80%以上の環境下に、1週間以上保持する方法
なお、詳しくは後述するが、成分(B)のマグネシウム含有不溶化材が粉末(b−2)を含む場合には、焼成物Bと粉末(b−2)とを混合してから、上記水和反応を行ってもよい。また、水和反応の前に、焼成物B(又は焼成物Bと粉末(b−2)との混合物)を粉砕することが好ましい。
【0044】
本発明で用いるマグネシウム系材料は、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、及び水酸化マグネシウムの3種のマグネシウム化合物を含むものである。
酸化マグネシウムの含有量は、マグネシウム系材料の全量を100質量%として、好ましくは35〜91.5質量%であり、より好ましくは45〜87質量%であり、さらに好ましくは55〜85質量%である。
炭酸マグネシウムの含有量は、マグネシウム系材料の全量を100質量%として、好ましくは5〜55質量%であり、より好ましくは7〜50質量%であり、さらに好ましくは8〜30質量%である。
水酸化マグネシウムの含有率は、マグネシウム系材料の全量を100質量%として、好ましくは3.5〜30質量%であり、より好ましくは5〜20質量%であり、さらに好ましくは7〜15質量%である。
酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、及び水酸化マグネシウムの含有率を上記範囲内とすることにより、フッ素の溶出に対して高い抑制効果を得ることができ、また、成分(B)のマグネシウム含有不溶化材の固結を防止することができるため、優れた作業性を得ることができる。
【0045】
マグネシウム系材料が条件(i)を満たすことは、すなわち、マグネシウム系材料の1,000℃における強熱減量率が6〜30質量%のものであることを意味する。
かかる強熱減量率は、6〜30質量%であって、好ましくは6〜24質量%であり、より好ましくは6〜18質量%である。該強熱減量率が6質量%未満、または30質量%を超えると、フッ素の溶出抑制効果が低下し、特に、汚染濃度の高い焼成物Aにおいてフッ素の溶出を十分に抑制することができないおそれがある。
【0046】
成分(B)のマグネシウム含有不溶化材は、粉末(b−1)のほか、必要に応じて、(b−2)炭酸カルシウム、高炉スラグ、水酸化マグネシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ゼオライト、石膏及びリン酸一水素カルシウム2水塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料からなる粉末(粉末(b−2))を含むことができる。粉末(b−2)を適量だけ配合することによって、フッ素の溶出抑制効果をさらに向上させることができ、また不溶化材の固結の防止効果を高めて、作業性をさらに向上させることができる。
【0047】
粉末(b−2)の材料である炭酸カルシウムとしては、特に限定されないが、例えば、工業用炭酸カルシウム、試薬の炭酸カルシウム、石灰石粉末、炭酸カルシウムを主成分とする貝殻の粉砕物、サンゴの粉砕物等を使用することができる。なかでも、コストの観点から、石灰石粉末が好ましい。
【0048】
粉末(b−2)の材料である石膏としては、無水石膏、2水石膏および半水石膏等であり、天然石膏、各種副産石膏、石膏ボード廃材等を利用することができる。酸化マグネシウムに石膏を加えて使用する場合、予め混合しておくと作業性が向上し、望ましい。石膏を用いると、圧縮強度が著しく増加し、実用上十分な固化強度を発現することができ、フッ素溶出量をより低減することが可能となる。石膏の添加量は、成分(B)のマグネシウム含有不溶化材中における酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムの合計100質量部に対し、好ましくは1〜50質量部である。
【0049】
粉末(b−2)の材料であるリン酸一水素カルシウム2水塩としては、例えば、工業用リン酸一水素カルシウム2水塩粉末、飼料用リン酸一水素カルシウム2水塩粉末、食品添加剤用リン酸一水素カルシウム2水塩粉末や試薬のリン酸一水素カルシウム2水塩粉末等を使用することができる。リン酸一水素カルシウム2水塩を用いることにより、フッ素溶出量をより低減することが可能となる。リン酸一水素カルシウム2水塩の添加量は、コストの観点から、成分(B)のマグネシウム含有不溶化材中における酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムの合計100質量部に対し、好ましくは0.1〜20質量部であり、より好ましくは0.2〜10質量部であり、さらに好ましくは0.5〜6質量部である。
【0050】
粉末(b−2)は、成分(B)のマグネシウム含有不溶化材の製造過程において、(iii)平均粒径1〜20mm(好ましくは2〜10mm)、又は(iv)ブレーン比表面積3,000〜12,000cm
2/g(好ましくは4,000〜10,000cm
2/g)となるように粒度を調整して用いることが好ましい。(iii)の場合には、水和前の粉末(b−1)と混合して、これら2種の材料を同時に粉砕した後に、水和に供することが好ましく、また、(iv)の場合には、粒度を調整済みの水和前の粉末(b−1)と混合した後に、水和に供することが好ましい。
【0051】
粉末(b−2)の配合量は、成分(B)のマグネシウム含有不溶化材の全量100質量%中、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下である。該配合量が40質量%を超えると、それに伴って粉末(b−1)の含有量が少なくなり、フッ素の溶出抑制効果が低下する場合もあるため、好ましくない。また、粉末(b−2)の配合量は、粉末(b−2)による効果を十分に得る観点から、成分(B)のマグネシウム含有不溶化材の全量100質量%中、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上であり、さらに好ましくは5質量%以上である。
【0052】
成分(B)のマグネシウム含有不溶化材中における粉末(b−1)と粉末(b−2)とを含む粉末(ただし、粉末(b−2)を含まない場合は、粉末(b−1)のみからなる粉末)は、ブレーン比表面積が好ましくは4,500〜7,000cm
2/gであり、より好ましくは5,000〜6,500cm
2/gである。成分(B)の粒度構成を上記のように調整することにより、フッ素の溶出抑制効果を高めることができ、成分(A)の焼成物Aにおけるフッ素の溶出量が必要以上に大きくなるおそれがある場合にも、成分(B)の含有量が少量でありながらフッ素の溶出を効果的に抑制することができる。
【0053】
また、成分(B)のマグネシウム含有不溶化材中における粉末(b−1)と粉末(b−2)とを含む粉末(ただし、粉末(b−2)を含まない場合は、粉末(b−1)のみからなる粉末)は、平均粒径が20〜40μmであることが好ましく、25〜40μmであることがより好ましい。該平均粒径が上記範囲内であることにより、フッ素の溶出抑制効果を高めることができ、成分(A)の焼成物Aにおけるフッ素の溶出量が必要以上に大きくなるおそれがある場合にも、成分(B)の含有量が少量でありながらフッ素の溶出を効果的に抑制することができる。
【0054】
なお、平均粒径は、例えば、日機装社製9320−X10(粒度分布測定装置)を用いて測定することができる。測定に際しては、100mlビーカー内に収容した分散媒エタノール20mlに対して試料0.05gを加えるものとし、アズワン社製の超音波洗浄機(VS−100・周波数50kHz)を用いて1分間超音波分散後に測定を行う。測定は、試料の屈折率が1.72の条件で行うものとする。
また、本明細書において、「平均粒径」の語は、50%質量累積粒径を意味する。
【0055】
さらに、成分(B)のマグネシウム含有不溶化材中における粉末(b−1)と粉末(b−2)とを含む粉末(ただし、粉末(b−2)を含まない場合は、粉末(b−1)のみからなる粉末)は、上記と同様の方法で測定して得た粒度の頻度分布曲線において、2つのピークがあることが好ましい。ここで、第1ピークは1〜5μmの範囲内に、第2ピークは20〜50μmの範囲内にあることが好ましい。
【0056】
成分(B)のマグネシウム含有不溶化材は、必要に応じて(b−3)水溶性硫酸塩及び水溶性塩化物から選ばれた1種以上の添加物(成分(b−3))を含むことができる。成分(b−3)を適量だけ配合することによって、フッ素の溶出抑制効果をより向上させることができることに加え、ヒ素や六価クロムの溶出も低減することができる。
【0057】
水溶性硫酸塩としては、硫酸第一鉄(硫酸鉄(II))、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムナトリウム、硫酸錫等が挙げられる。水溶性塩化物としては、塩化第一鉄(塩化鉄(II))、塩化第二鉄(塩化鉄(III))等が挙げられる。これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。さらに、これらは、粉末の形態で用いてもよいし、水溶液の形態で用いてもよい。
【0058】
成分(b−3)の配合量(ただし、水溶液として用いる場合は固形分換算の量である。また、水和物である場合は水和水を除く質量を基準とする。)は、配合量が多過ぎてもフッ素の溶出抑制効果が向上しないことを考慮する観点、及びコストの観点から、成分(B)のマグネシウム含有不溶化材の全量100質量%中、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。また、成分(b−3)の配合量(ただし、水溶液として用いる場合は固形分換算の量である。また、水和物である場合は水和水を除く質量を基準とする。)は、フッ素の溶出抑制効果の向上の効果を十分に得る観点から、成分(B)のマグネシウム含有不溶化材の全量100質量%中、好ましくは1質量%以上である。
【0059】
なお、成分(b−3)を粉末の形態で用いる場合、該粉末の粒径は、特に限定されないが、作業性等の観点から、1mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましい。
【0060】
成分(B)のマグネシウム含有不溶化材が粉末(b−1)のみからなる場合には、上述の条件・方法に従って、炭酸マグネシウムを主成分とする鉱物を焼成し、必要に応じて粉砕し、焼成物B(又は焼成物Bの粉砕物)を部分的に水和することにより、成分(B)を得ることができる。粉砕は、得られる焼成物Bの粉砕物のブレーン比表面積が、好ましくは4,500〜7,000cm
2/g、より好ましくは5,000〜6,500cm
2/gとなるように行われる。
成分(B)のマグネシウム含有不溶化材が粉末(b−2)を含む場合には、例えば、下記(v)〜(vii)の方法により、不溶化材を得ることができる。
(v)焼成物Bと粉末(b−2)の材料とを混合して混合物を得る工程と、前記混合物を粉砕して所定の粒度を有する混合物の粉砕物を得る工程と、前記混合物の粉砕物を水和させて、粉末(b−1)及び(b−2)とを含む不溶化材を得る工程と、を含む方法。
(vi)焼成物Bを粉砕して、所定の粒度を有する焼成物Bの粉砕物を得る工程と、粉末(b−2)の材料を粉砕して、所定の粒度を有する粉末(b−2)を得る工程と、前記焼成物Bの粉砕物と粉末(b−2)とを混合して混合物を得る工程と、前記混合物を水和させて、粉末(b−1)及び(b−2)とを含む不溶化材を得る工程と、を含む方法。
(vii)焼成物Bを粉砕して、所定の粒度を有する焼成物Bの粉砕物を得る工程と、前記焼成物Bの粉砕物を水和させて、粉末(b−1)を得る工程と、粉末(b−2)の材料を粉砕して、所定の粒度を有する粉末(b−2)を得る工程と、粉末(b−1)及び(b−2)とを混合して不溶化材を得る工程と、を含む方法。
これらの方法のうち、フッ素の溶出抑制効果及び作業性の観点から、好ましくは(v)又は(vi)の方法であり、より好ましくは(v)の方法である。
【0061】
上記(v)の方法では、粉砕前の焼成物Bは、粒径が1μm〜50mmであることが好ましい。また、粉砕前の粉末(b−2)の材料は、粒径が1μm〜50mmであることが好ましく、2μm〜20mmであることがより好ましい。このような粒径を有する粉砕前の焼成物B、及び粉末(b−2)の材料を用いることにより、混合物の粉砕物、ひいては不溶化材の粒度構成を容易に調整することができる。
【0062】
粒径が1μm〜50mmである焼成物Bと、粒径が1μm〜50mmである粉末((b−2)の材料とを同時に粉砕して、これら2種の材料の混合物からなる粉砕物のブレーン比表面積を4,500〜7,000cm
2/g(好ましくは5,000〜6,500cm
2/g)の範囲内に調整すると、1〜5μmの範囲内の第1ピークと、20〜50μmの範囲内の第2ピークとの2つのピークを有する、粒度の頻度分布曲線を形成する粉末を得ることができる。この場合、第2ピーク(頻度%)/第1ピーク(頻度%)の比は、好ましくは2〜4である。
また、上記(v)の方法では、焼成物Bと粉末(b−2)の材料を同時に粉砕するため、これらを個別に粉砕する上記(vi)又は(vii)の方法に比して、作業が簡易であるという利点を有する。
【0063】
上記(vi)又は(vii)の方法においては、焼成物Bは、ブレーン比表面積が好ましくは4,500〜7,000cm
2/g、より好ましくは5,000〜6,500cm
2/gとなるように粉砕される。また、粉末(b−2)の材料は、ブレーン比表面積が好ましくは3,000〜7,000cm
2/g、より好ましくは4,000〜6,000cm
2/gとなるように粉砕される。このような比表面積を有する焼成物Bの粉砕物(あるいは、その部分水和物)と粉末(b−2)とを混合することにより、上述の好ましい粒度構成を有する不溶化材を得ることができる。
なお、焼成物B及び粉末(b−2)の材料が上記ブレーン比表面積をすでに有する場合は、粉砕を行わず、そのまま用いることができる。
【0064】
成分(B)のマグネシウム含有不溶化材の添加量は、成分(A)の焼成物Aの性状や施工条件、フッ素の溶出量や土工資材の要求性能等にもよるが、通常、成分(A)の焼成物A100質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましく、1〜15質量部がより好ましい。
【0065】
成分(B)のマグネシウム含有不溶化材の添加方法としては、成分(A)の焼成物Aに成分(B)を粉体のまま添加して混合するドライ添加(焼成物が湿潤状態、又は雨水による水供給)、水以外の材料を混合した後に水を投入して混合、或いは水を加えてスラリーとして添加して混合するスラリー添加を採用することができる。水を添加する場合、その添加量(もともとの付着水含む)は、焼成物A100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、2〜15質量部がより好ましい。該水の添加量が20質量部を超えると、固化材を含んだスラリー水が分離し、十分な不溶化効果が得られない場合がある。
なお、成分(b−3)のみを水溶液で用いる場合、粉末(b−1)もしくは粉末(b−1)と粉末(b−2)の混合物と、成分(b−3)とを別々に焼成物Aに添加することもできる。
【0066】
成分(A)の焼成物Aと成分(B)のマグネシウム含有不溶化材との混合は、深層用スラリー系機械攪拌混合、深層用粉体系機械攪拌混合、深層用粉体系機械攪拌混合、深層用高圧噴射攪拌混合、バックホウ混合、スタビライザー混合、特殊バックホウ混合、処理ヤード混合、各種ミキサによるプラント混合等通常の地盤改良と同様に行うことができる。また、混合に用いる装置は特に限定されるものではなく、バッチ式のパン型ミキサー、リボンミキサー;或いは連続式のパドルミキサー、リボンミキサー又はロータリーミキサー等を用いてもよい。さらに、混合時間も特に限定されるものではなく、使用する装置により最適な混合時間でよい。混合時間は、通常10秒以上であり、好ましくは30秒以上であり、より好ましくは60秒以上である。
【0067】
本発明の土工資材組成物は、フッ素溶出量を効果的に低減して、環境基準を十分に満たし得る高い安全性を有しつつ、優れた圧壊強度をも発現する。かかる組成物におけるフッ素溶出量の低減効果は、具体的には、例えば次式(Y)により求められるフッ素溶出抑制率(%)を指標とすることができる。
【0068】
フッ素溶出抑制率(%)=[{成分(B)のマグネシウム含有不溶化材を含有させる前の成分(A)の焼成物Aにおけるフッ素溶出量}−{一定期間保管した後での、成分(A)の焼成物Aと成分(B)のマグネシウム含有不溶化材を含有する土工資材組成物におけるフッ素溶出量}]/{成分(B)のマグネシウム含有不溶化材を含有させる前の成分(A)の焼成物Aにおけるフッ素溶出量}×100(%)・・・(Y)
なお、フッ素溶出量は、平成15年環境省告示第18号(土壌汚染対策法に基づく溶出試験)に準拠して測定される値を意味し、保管とは、温度20℃、相対湿度60%の恒温恒湿条件下で静置することを意味する。
【0069】
例えば、本発明の土工資材組成物は、成分(A)の焼成物Aと成分(B)のマグネシウム含有不溶化材を混合して土工資材組成物を得て1日間保管した後における、上記フッ素溶出抑制率(%)が、好ましくは30%以上であり、より好ましくは50%以上である。すなわち、少なくとも1日間保管するのみで、十分な効果を発揮することができる。
【実施例】
【0070】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0071】
[製造例1:成分(A)の焼成物Aの製造]
石灰石、粘土、下水汚泥、土及び蛍石の原料を使用して、表1に示す鉱物組成(C
2S100質量部に対するC
2AS、C
4AF及びC
3Aの質量部)、並びにフッ素、亜鉛、SO
3及びフリーライムの含有量(焼成物100質量%中における質量%)である焼成物を製造した。焼成は、小型ロータリーキルンを用いて、1300℃で行った。この際、燃料として、一般的な重油のほか、廃油や廃プラスチックを使用した。
なお、表1に示す焼成物No.7及びNo.10は、フッ素原料を用いることなく製造した。
得られた焼成物について、容重、吸水率、すりへり減量及び粉砕耐性を下記の方法により評価した。結果を表1に示す。
【0072】
《容重(g/L)》
JIS Z 8801に規定された標準網を用い、上記の測定方法にしたがって、上記式(X)により求めた。
【0073】
《吸水率(%)》
JIS A 1110(粗骨材の密度及び吸水率試験方法)に準じて測定した。
【0074】
《すりへり減量(%)》
JIS A 1121(ロサンゼルス試験機による粗骨材のすりへり試験方法)に準じて測定した。
【0075】
《粉砕耐性(ダスティングの防止):0.6mm通過分・100μm通過分(質量%)》
得られた焼成物約5kgを、下部間隔約10mmに調整した大型ジョークラッシャで粉砕した。次いで、粉砕した焼成物を、目開き9.52mmのふるいにかけ、ふるい上の試料に対し、さらに下部間隔約3mmに調整した小型ジョークラッシャで粉砕した。得られたふるい通過分と小型ジョークラッシャで粉砕した試料を混ぜ合わせ、4.0kg秤量した。秤量した試料を、粉砕助剤のジエチレングリコール1.8mLとともにボールミルに加え、70rpmで500回転した後、50回転で払出をした。得られた粉砕物の0.6mm通過分(質量%)及び100μm通過分(質量%、ただし0.6mm通過分を100質量%とする)を測定し、粉砕耐性やダスティングの防止効果を評価する上での指標とした。かかる通過分の値が小さいほど、粉砕耐性が高い焼成物であり、特に100μm通過分の値が小さいほど、ダスティングを有効に防止して良好な焼成物が得られていると判断できる。
結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
表1の結果より、C
2S100質量部に対し、10〜100質量部のC
2AS、20質量部以下のC
3Aを含有し、かつフッ素を0.03〜0.2質量%含有する焼成物1〜5は、高い容重を有しつつ優れた粉砕耐性を示し、良好な物性を兼ね備えることがわかる。
【0078】
[製造例2:成分(B)のマグネシウム含有不溶化材の製造]
マグネサイト(炭酸マグネシウムの含有率:95質量%)を850℃で30分間、実験用電気炉を用いて焼成して、酸化マグネシウム及び炭酸マグネシウムを含む焼成物を得た。次いで、得られた焼成物を粉砕し、ブレーン比表面積5,500cm2/gの焼成物の粉砕物を得た。
【0079】
得られた焼成物の粉砕物を相対湿度100%の保管室にて10日間保管することによりその一部を水和させ、成分(B)のマグネシウム含有不溶化材(1)を得た。得られた不溶化材(1)について、成分組成、ブレーン比表面積、平均粒径、強熱減量率を下記の方法により求めた。結果を表2に示す。
【0080】
《成分組成》
X線回折、熱重量分析および化学分析値から算出した。
【0081】
《ブレーン比表面積》
「JIS R 5201」に準じて測定した。
【0082】
《平均粒径》
100mlビーカー中に、エタノール(分散媒)20ml、不溶化材0.05gを添加し、アズワン社製の超音波洗浄機(VS−100・周波数50kHz)を用いて1分間超音波分散した。その後、日機装社製9320−X10(粒度分布測定装置)を用いて、平均粒径(50%質量累積粒径)を求めた。なお、試料の屈折率は1.72の条件で行うものとする。
【0083】
《強熱減量率》
「JIS R 5202 ポルトランドセメントの化学分析方法 8.強熱減量の定量方法」に準じて、強熱温度を1,000℃として測定した。
【0084】
【表2】
【0085】
[実施例1−1〜1−6及び実施例2−1〜2−6]
製造例1で得られた焼成物1及び焼成物2(50kg)を用い、フッ素の溶出量を環境省告示18号法に準拠して測定した。次いで各々の焼成物に対し、製造例2で得られた不溶化材(1)及び水を表3に示す量で添加し、これらを一括してバッチ式の2軸パドルミキサー(60L)に投入し、30秒混合した。
得られた混合物は、温度20℃、相対湿度60%の条件下で保管した。保管1〜7日後のフッ素の溶出量を環境省告示18号法に準拠して測定した。なお、フッ素の環境基準値は0.8mg/リットルである。
上記式(Y)に基づき、不溶化材(1)を添加する前のフッ素の溶出量と、保管後に測定したフッ素の溶出量から、フッ素溶出抑制率(%)を求めた。
結果を表3に示す。
【0086】
【表3】
【0087】
表3の結果より、いずれの土工資材組成物も環境基準を十分に満たし得るフッ素溶出抑制効果を発揮できることがわかる。