【発明の効果】
【0011】
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 圧力リングの合口隙間の幅を狭めることなくガスシール性を高めることができる。
図1(C)(D)または
図4(A)(B)に例示するように、圧力リング(4)の合口隙間(5)に臨む圧力リング端部(6)にガス案内凹部(7)が形成され、このガス案内凹部(7)は、圧力リング端部(6)のピストン上死点側に凹設され、その内底に合口隙間(5)に近づくにつれてピストン上死点側に近づくガス案内面(8)を備え、このガス案内面(8)の合口隙間(5)側のガス案内終端縁(9)に角部(10)が形成されているので、圧力リング(4)の合口隙間(5)の幅(L)を狭めることなくガスシール性を高めることができる。
その理由は、次のようなものと推定される。
燃焼室(25)の燃焼ガス(26)がガス案内凹部(7)のガス案内面(8)で案内され、ガス案内終端縁(9)の角部(10)でガス案内面(8)から剥離する際、角部(10)の下流側で乱流(27)が発生し、この乱流(27)が燃焼室(25)から合口隙間(5)に流入するブローバイガス(28)の流入抵抗となり、圧力リング(4)の合口隙間(5)の幅(L)を狭めることなくガスシール性を高めることができる。
【0012】
《効果》 ブローバイガスの発生量を減少させることができる。
図1(C)(D)または
図4(A)(B)に例示するように、ガスシール性を高めることができるため、ブローバイガス(28)の発生量を減少させることができる。
このため、ブローバイガス(28)によるエンジンオイルの劣化が抑制され、オイル交換のインターバルが長くなる、ブローバイガス(28)に起因する錆の発生が抑制される、寒冷時のブローバイガス通路の凍結が抑制される等の具体的な効果が得られる。
【0013】
《効果》 合口隙間の寸法管理を厳格にする必要がない。
図1(C)(D)または
図4(A)(B)に例示するように、合口隙間(5)の幅(L)を狭める必要がないため、合口隙間(5)の寸法管理を厳格にする必要がない。
【0014】
《効果》 ガス案内凹部の形成で圧力リングの製造が繁雑になるおそれはない。
図1(C)(D)または
図4(A)(B)に例示するように、ガス案内凹部(7)は、圧力リング端部(6)のピストン上死点側に凹設されているものであるため、プレス加工等により簡単に形成することができ、ガス案内凹部(7)の形成で圧力リング(4)の製造が繁雑になるおそれはない。
【0015】
(請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 ガスシール性を高める機能が高い。
図1(C)(D)または
図4(A)(B)に例示するように、トップリング(11)にガス案内凹部(7)が形成されているので、ガスシール性を高める機能が高い。
その理由は、次のようなものと推定される。
トップリング(11)のガス案内凹部(7)ではガス案内面(8)で案内される燃焼ガス(26)の流速が速く、角部(10)の下流側で強い乱流(27)が発生し、この強い乱流(27)が燃焼室(25)から合口隙間(5)に流入するブローバイガス(28)の強い流入抵抗となるため、ガスシール性を高める機能が高い。
【0016】
(請求項3に係る発明)
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 ガスシール性を高める機能が高い。
図1(C)(D)または
図4(A)(B)に例示するように、ガス案内凹部(7)が、合口隙間(5)を挟んで対向する一対の圧力リング端部(6)(6)にそれぞれ形成されているので、ガスシール性を高める機能が高い。
その理由は、次のようなものと推定される。
燃焼室(25)から合口隙間(5)に流入するブローバイガス(28)の両脇で乱流(27)が発生し、この乱流(27)でブローバイガス(28)が両脇から挟み込まれ、この乱流(27)が燃焼室(25)から合口隙間(5)に流入するブローバイガス(28)の強い流入抵抗となるため、ガスシール性を高める機能が高い。
【0017】
(請求項4に係る発明)
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 圧力リングの製造が容易になる。
図1(C)または
図4(A)(B)に例示するように、合口隙間(5)がシリンダ中心軸線(12)に沿う向きに形成されているので、合口隙間(5)の寸法管理が容易で、圧力リング(4)の製造が容易になる。
【0018】
(請求項5に係る発明)
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 角部の形成で圧力リングの製造が煩雑になるおそれはない。
図1(C)(D)または
図4(A)(B)に例示するように、圧力リング端部(6)のピストン上死点側面(13)とガス案内面(8)との綾線で、ガス案内終端縁(9)に角部(10)が形成されているので、プレス加工等により圧力リング端部(6)のピストン上死点側にガス案内凹部(7)を形成するだけで、自然に角部(10)が形成され、角部(10)の形成で圧力リング(4)の製造が煩雑になるおそれはない。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
(請求項6に係る発明)
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5のいずれかの発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 圧力リングの合口隙間の幅を狭めることなくガスシール性を高めることができる。
図4(A)(B)に例示するように、圧力リング(4)の合口隙間(5)に臨む圧力リング端部(6)に後退部(14)が形成され、この後退部(14)は、圧力リング端面(15)のピストン下死点側部分が合口隙間(5)から圧力リング(4)の周方向に後退した後退面(17)を備え、圧力リング端面(15)のピストン上死点側部分(18)と後退面(17)との境界に角部(19)が形成されているので、圧力リング(4)の合口隙間(5)の幅(L)を狭めることなくガスシール性を高めることができる。
その理由は、次のようなものと推定される。
ブローバイガス(28)が圧力リング端面(15)のピストン上死点側部分(18)で案内され、角部(19)でピストン上死点側部分(18)から剥離する際、角部(19)の下流側で乱流(27)が発生し、この乱流(27)が合口隙間(5)からクランク室に流出しようとするブローバイガス(28)の流出抵抗となるため、圧力リング(4)の合口隙間(5)の幅(L)を狭めることなくガスシール性を高めることができる。
【0029】
《効果》 後退部の形成で圧力リングの製造が繁雑になるおそれはない。
図4(A)(B)に例示するように、後退部(14)が圧力リング端部(6)のピストン下死点側部分を後退させたものであるため、プレス加工等により簡単に形成することができ、後退部(14)の形成で圧力リング(4)の製造が繁雑になるおそれはない。
(請求項7に係る発明)
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 後退面の形成で圧力リングの製造が煩雑になるおそれはない。
図4(A)に例示するように、後退面(17)がピストン下死点側に近づくにつれて後退する斜面(20)で形成されているので、プレス加工等により簡単に形成することができ、後退面(17)の形成で圧力リング(4)の製造が煩雑になるおそれはない。
(請求項8に係る発明)
請求項8に係る発明は、請求項6に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 後退面の形成で圧力リングの製造が煩雑になるおそれはない。
図4(B)に例示するように、後退面(17)がピストン下死点側に近づくにつれて後退する凹入屈曲面(21)で形成されているので、プレス加工等により簡単に形成することができ、後退面(17)の形成で圧力リング(4)の製造が煩雑になるおそれはない。