【実施例1】
【0019】
以下本発明の一実施例としての液体燃料燃焼装置を図面により説明する。なお以下の説明においては、図中に示したX、Y,Zを用いて部品の位置関係における方向を「幅方向X」、「高さ方向Y」、「奥行き方向Z」として説明を行う。
【0020】
図1は本発明の燃焼装置における気化器1とバーナ2の配置を示す側面図、
図2はバーナ2の分解図である。気化器1は液体燃料を気化して気化ガスとする気化室10と、気化室10を加熱するヒータ11と、気化室10で発生した気化ガスをバーナ2に噴出するノズル部12と、ノズル部12を開閉させるプランジャー部13と、バーナ2で形成される火炎から燃焼熱を回収する熱回収部14を備えている。
【0021】
バーナ2は、一端がノズル部12に対向して開口した混合管20と、混合管20の上部に配置されたバーナトップ21と、混合管20とバーナトップ21の間に介挿されてバーナ2内部を上下に仕切る仕切板22から構成されていて、仕切板22には混合管20の開口とは反対側に仕切板開口220が形成されている。
【0022】
また、バーナトップ21には火炎が形成される炎孔部23と、逆火防止及び混合ガスの流れの均一化を図るための火口網24が設けられている。炎孔部23は図のように網材により形成してもよいし、セラミックス基材に多数の小孔を設けたものであってもよい。
【0023】
炎孔部23の近傍には、炎孔部23から噴出する混合ガスに着火する着火手段3と、燃焼状態を検知する炎検知手段4が設けられている。
【0024】
図3は気化器1とバーナ2の配置を示す平面図である。炎孔部23は、熱回収部14と対向する位置に設けられた熱回収用炎孔部231と、一端がこの熱回収用炎孔部231と連通する火炎形成用炎孔部230とから構成されており、熱回収用炎孔部231の長手方向と火炎形成用炎孔部230の長手方向が略直交するように一体成形されている。本燃焼装置において、メインで燃焼を行う炎孔が火炎形成用炎孔部230であり、熱回収用炎孔部231は熱回収部14を加熱することを主な目的とした炎孔である。
【0025】
また、炎孔部23を上述のような形状とすることで、炎孔部23の面積に対する外周の長さの割合が大きくなるため、炎孔部23では表面積の大きな火炎が形成される。つまり、火炎と二次空気との接触面積が大きくなるため、火炎は完全燃焼することとなり火炎長を短くすることができる。
【0026】
着火手段3と炎検知手段4は、火炎形成用炎孔部230周辺の適宜位置に先端が火炎に晒されるようにして配置される。さらに言えば、着火手段3と炎検知手段4が配置されるのは火炎形成用炎孔部230の長手方向沿いであるため、配置することのできる距離が長くなり配置の自由度が大きくなる。よって、燃焼装置の他の部品との兼ね合いにより着火手段3と炎検知手段4を配置することのできる場所に制限があったとしても柔軟に対応することができる。
【0027】
なお炎孔部23は、熱回収用炎孔部231と火炎形成用炎孔部230とが連通し、かつそれぞれの長手方向が略直交するように配置されていればよく、
図3で示すようなT字形状のほか
図4で示すようにL字形状であってもよい。
【0028】
次に、上述の構成における液体燃料燃焼装置の動作について説明する。
【0029】
燃焼開始が指示されると、まず気化器1のヒータ11へ通電が行われ、ヒータ11の発する熱が気化室10の温度を上昇させる。気化室10の温度は図示しないサーミスタにより検知されており、気化室10が液体燃料を気化することのできる温度まで上昇したことを検知すると図示しない電磁ポンプが始動して液体燃料が気化室10内に供給される。気化室10に供給された液体燃料は、加熱気化されて気化ガスとなる。
【0030】
そして、電磁ポンプの始動に相前後してプランジャー部13に通電が行われノズル部12が開放される。すると気化室10で発生した気化ガスはノズル部12よりバーナ2の混合管20に向けて噴出される。
【0031】
混合管20に向けて噴出された気化ガスは、噴出された際のエジェクタ効果により周囲の空気を一次空気として取り込み、混合管20から仕切板開口220を通過してバーナトップ21内部に流入する。そしてこの間に気化ガスと一次空気が混合されて混合ガスとなり、この混合ガスは火口網24を通り炎孔部23のうちまず上流に位置する火炎形成用炎孔部230から噴出して、着火手段3により着火されて火炎が形成される。
【0032】
さらに混合ガスは炎孔部23の上流から順次噴出して火炎形成用炎孔部230の端部まで到達すると、次に熱回収用炎孔部231から噴出し、熱回収用炎孔部231でも火炎が形成される。このようにして燃焼が開始されると、熱回収部14は熱回収用炎孔部231で形成される火炎に晒されて燃焼熱を回収するようになる。
【0033】
なお、燃焼中は炎検知手段4によって燃焼状態が監視されるため、燃焼状態を良好に保つためには火炎の状態を正確に検知することが必要となる。
【0034】
熱回収用炎孔部231の上方には熱回収部14が配置されているため、熱回収用炎孔部231付近では火炎が熱回収部14に触れることにより火炎の温度が低下したり形状が変形してしまう。したがって、熱回収部14の近傍では燃焼状態を正確に検知することは難しく、できるだけ熱回収部14から離れた位置で燃焼状態を検知することが望ましい。本実施例の形状によれば、炎検知手段4を火炎形成用炎孔部230の長手方向に配置するようになっているので、炎検知手段4の配置を火炎形成用炎孔部230の上流側にするほど熱回収部14から離れた位置で燃焼状態を検知することができるようになる。
【0035】
そして、熱回収部14が火炎から回収した燃焼熱は気化室10へ伝熱し、気化室10を加熱するようになる。サーミスタは常時気化室10の温度を検知しており、気化室10の温度が液体燃料の気化に適した温度となるようヒータ11への通電が制御され、熱回収部14が回収した熱により気化室10が十分に加熱される状態であれば、ヒータ11への通電を停止する。これにより、燃焼中の消費電力を低減させることができる。
【0036】
本実施例の気化器1の熱回収部14は、押出加工により成形され、幅方向Xに長い形状となっている。そして熱回収部14の幅方向と熱回収用炎孔部231の長手方向とが一致するように気化器1とバーナ2を配置することで、熱回収部14の全域が火炎に晒されることとなり、火炎からの熱を効果的に回収することが可能となる。
【0037】
なお、気化器1の熱回収能力は、熱回収部14の幅方向の長さを変えることによって増減可能である。押出加工を用いれば押出長により熱回収能力を調整することができるため、1つの押出金型で気化能力の異なる気化器1に対応することができるので気化器1の生産能力にすぐれた効果を発揮するのである。
【0038】
さらに、熱回収部14は幅方向Xに長い形状であって奥行き方向Zの長さが短いため、バーナ2の奥行き方向Zの長さを短くすることができ、燃焼装置全体の奥行きをコンパクトに構成することが可能となる。