(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042318
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】物品収納ケースの取付け具
(51)【国際特許分類】
B65D 25/20 20060101AFI20161206BHJP
A47K 10/20 20060101ALI20161206BHJP
B65D 83/08 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
B65D25/20 V
A47K10/20 C
B65D83/08 A
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-253133(P2013-253133)
(22)【出願日】2013年12月6日
(65)【公開番号】特開2015-110436(P2015-110436A)
(43)【公開日】2015年6月18日
【審査請求日】2015年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110893
【氏名又は名称】ニチレイマグネット株式会社
(72)【発明者】
【氏名】前橋 清
(72)【発明者】
【氏名】北口 季伸
【審査官】
長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭60−145894(JP,U)
【文献】
特開2004−097353(JP,A)
【文献】
米国特許第6641100(US,B2)
【文献】
特開2003−026180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/20
A47K 10/20
B65D 83/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品収納ケースに略板状の長手方向の両端部に設けた差込み係止部が係止され、物品収納ケースの被取付け面への取り付けに使用される物品収納ケースの取付け具であって、 前記差込み係止部が、基端部側から先端部側に細くなるように、かつ、徐々に薄くなるように形成され、当該取付け具を装着するための係止孔が所望の位置に予め設けられていない物品収納ケースに当該取付け具を湾曲形態としてから装着するに際し、物品収納ケースの前記差込み係止部が差し込まれる部位に、前記差込み係止部の先端部が差し入れられる係止孔を形成するための係止孔形成機構を前記差込み係止部の基端部に設けたことを特徴とする物品収納ケースの取付け具。
【請求項2】
前記係止孔形成機構が孔形状である請求項1記載の物品収納ケースの取付け具。
【請求項3】
前記係止孔形成機構が凸形状である請求項1記載の物品収納ケースの取付け具。
【請求項4】
前記差込み係止部の両側に、前記差込み係止部が前記物品収納ケースに差し込み係止された際に、前記物品収納ケースの外面に当接する当接部を備える請求項1記載の物品収納ケースの取付け具。
【請求項5】
前記物品収納ケースに当接し前記係止孔形成機構を使用する際に、その当接面に前記物品収納ケースからの位置ずれを防止する位置ずれ防止凸部を設けてなることを特徴とする請求項1記載の物品収納ケースの取付け具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ティッシュケース等の物品収納ケースの取付け具に関する。
【背景技術】
【0002】
ティシュケース等はティッシュの使用場所に近い壁面等に取り付けられることで便利に使用される。その取り付けは、例えば、ティシュケースの底面部に取付け具が装着され、その取付け具が壁面等に適宜の取り付け構造により取り付けられることで行われる。上記取付け具として、両端に差込み係止部を備え、その差込み係止部がティッシュケース等の底面部に設けられた係止孔それぞれに係止されて用いられるものが提供されている。(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−369767号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の取付け具は、ティッシュケース等の底面部に予め形成された係止孔に差込み係止部を係止して用いている。したがって、係止孔が無いティッシュケースでは取付け具の使用が行えず、使用する場合には寸法を測り所定位置に係止孔を設けるという手間がかかる。また、ティッシュケース等の底面部に係止孔があっても、側面部において壁面等に取り付けたい場合もあり、その際にも取付け具が使用できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記の事情に鑑みて行ったもので、ティッシュケース等の物品収納ケースの壁面等への取付け具を介しての取り付けを、物品収納ケース側に取付け具の係止孔が無い場合においても、係止孔を容易に形成することで行えるようにすることを目的とする。
【0006】
この発明は、物品収納ケースに略板状の長手方向の両端部に設けた差込み係止部が係止され、物品収納ケースの被取付け面への取り付けに使用される物品収納ケースの取付け具であって、
前記差込み係止部が、基端部側から先端部側に細くなるように、かつ、徐々に薄くなるように形成され、当該取付け具を装着するための係止孔が所望の位置に予め設けられていない物品収納ケースに当該取付け具を
湾曲形態としてから装着するに際し、物品収納ケースの前記差込み係止部が差し込まれる部位
に、前記差込み係止部の先端部が差し入れられる係止孔を形成するための係止孔形成機構を
前記差込み係止部の基端部に設けたことを特徴とする物品収納ケースの取付け具を提供する。以下、「物品収納ケースの取付け具」を「取付け具」と略称する。この発明の取り付け具は、ティッシュケース、キッチンペーパーケース、コットンケース等として、さらに、内部にラップフィルム、クッキングシート、アルミホイル等の各種ロール体を収納する収納ケース等として用いられる。
【0007】
上記構成によれば、取付け具を物品収納ケースの取付け具が装着される位置に配置して、係止孔形成機構により係止孔を形成し、その係止孔に差込み係止部を係止することで物品収納ケースに取付け具が装着される。これにより、物品収納ケースに係止孔が無い場合、また有っても所望の位置に無い場合、係止孔を設けることで取付け具を使用して物品収納ケースを取り付けることができるようになる。
【0008】
物品収納ケースの係止孔が、実際に装着使用される取付け具の差込み係止部が差し込まれる部位に相対する位置に設けられた係止孔形成機構において形成されるので、係止孔が寸法等を図ることなく容易に差込み係止部に対して精度良く位置して設けられ、これにより、取付け具の差込み係止部を係止しての物品収納ケースへの装着がスムーズになされる。
【0009】
係止孔形成機構は孔形状、凸形状等とされ、孔形状の場合は孔内に筆記具やカッター等を差し入れて切り開くことにより係止孔を形成し、また、孔をガイドとして線を引き、取付け具を外した状態でカッター等により切り開き係止孔を形成する。凸形状の場合はその凸を押し付けることで係止孔位置に凹み形状の印を付し、取付け具を外した状態でカッター等により切り開き係止孔を形成する。
【0010】
取付け具の差込み係止部の両側に、差込み係止部が物品収納ケースに差し込み係止された際に、物品収納ケースの外面に当接する当接部を備える構成とすることで、取付け具が装着された状態においては、押さえ部それぞれが物品収納ケースの外面を押さえ、その間位置において差込み係止部が物品収納ケースの内面を押さえ、外内両側から物品収納ケースを押さえ状態とすることで物品収納ケースの取付け具は安定して装着される。また、係止孔が所定形状より長く形成された場合にも、差込み係止部は両側の押さえ部のそれぞれに位置決めされる状態で係止孔に係止されるので、その際にも物品収納ケースの取付け具は安定して装着される。
【0011】
取付け具を物品収納ケースに当接し係止孔形成機構を使用する際に、その当接面に物品収納ケースからの位置ずれを防止する位置ずれ防止凸部を設けた構成とすることで、物品収納ケースに取付け具を当接しての係止孔を形成する作業が、取付け具の位置ずれが起こりにくい安定した状態で行える。また、係止孔の形成時に取付け具が外れた場合には、位置ずれ防止凸部を物品収納ケースに形成された食い込み凹部に合わせることで、取付け具を元の位置に復帰させて作業が行える。
【0012】
取付け具は塩化ビニール樹脂やABS樹脂、さらに、金属材等の適宜の材料によって形成され、その形状も差込み係止部と係止孔形成機構とを所定位置に備えるものであれば適宜であってよい。また、取付け具の壁面等への取り付け構造は、マグネットや粘着層等の適宜の構造が採用される。
【発明の効果】
【0013】
この発明の取付け具を用いることで、ティッシュケースやラップケース等の物品収納ケースの壁面等への取付け具を介しての取り付けを、物品収納ケース側に係止孔が無い場合においても、係止孔を容易に形成することで行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明の取付け具の実施形態の表面側斜視図を示す。
【
図2】この発明の取付け具の実施形態の裏面側斜視図を示す。
【
図3】この発明の取付け具の異なる実施形態の表面側斜視図を示す。
【
図4】この発明の取付け具の異なる実施形態の裏面側斜視図を示す。
【
図5】この発明の取付け具の異なる実施形態の使用説明図を示す。
【
図6】この発明の取付け具の異なる実施形態の使用説明図を示す。
【
図7】この発明の取付け具の異なる実施形態の使用説明図を示す。
【
図8】この発明の取付け具の異なる実施形態の使用説明図を示す。
【
図9】この発明の取付け具の異なる実施形態の使用説明図を示す。
【
図10】この発明の取付け具の異なる実施形態の使用説明図を示す。
【
図11】この発明の取付け具の異なる実施形態の使用説明図を示す。
【
図12】この発明の取付け具の異なる実施形態の使用説明図を示す。
【
図13】この発明の取付け具のさらに異なる実施形態の表面側斜視図を示す。
【
図14】この発明の取付け具のさらに異なる実施形態の裏面側斜視図を示す。
【
図15】この発明の取付け具のさらに異なる実施形態の使用説明図を示す。
【
図16】この発明の取付け具のさらに異なる実施形態の平面図を示す。
【
図17】この発明の取付け具のさらに異なる実施形態の平面図を示す。
【
図18】この発明の取付け具のさらに異なる実施形態の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1はこの発明の取付け具の実施形態の表面側斜視図、
図2は同裏面側斜視図である。取付け具1は、樹脂製の取付け具本体3の表面側にマグネットシート5が取り付けられて構成されている。取付け具本体3は全体が扁平な帯状形態で、表面側の略全体にわたって帯状形態のマグネットシート5が埋設されて取り付けられている。取付け具本体3の裏面の端部7それぞれに近い部位には、幅方向における中央位置に扁平円錐形状の微小な突起(位置づれ防止凸部)9のそれぞれが突出形成されている。
【0016】
端部7のそれぞれは中央位置に差込み係止部10を備えている。差込み係止部10はその先端部11側が細くなるように両側に傾斜縁12を備え、かつ、その厚みは先端部11側が徐々に小さくされている。差込み係止部10の傾斜縁12の起点それぞれの近傍位置間にはスリット形態の係止孔形成用ガイド孔(係止孔形成機構)15が形成されている。
【0017】
図3は他の実施形態の表面側斜視図、
図4は同裏面側斜視図である。この実施形態のものは、上記の実施形態のものにおいて、端部7のそれぞれの両側位置に一対の押さえ部(当接部)8を備える構成となっている。
【0018】
以下、上記
図3、
図4に示す取付け具1のティッシュケース(物品収納ケース)100における使用方法を説明する。始めに、
図5に示すように、取付け具1をティッシュケース100面に当接配置する。その当接するティッシュケース100面は壁面等への取付け面とされる面、例えば、ティッシュケース100の底面部101の外面が選択され、その当接される位置は取付け具1が実際に装着される位置とされる。
【0019】
その当接した状態において、
図6に示すように、取付け具1の係止孔形成用ガイド孔15内にボールペンや鉛筆の筆記具17の筆記端18を差し入れて、係止孔形成用ガイド孔15に沿って線を引くように何度も力を入れて筆記端18を動かすことで、底面部101に係止孔30(
図7、
図8参照)を形成する。係止孔30は、係止孔形成用ガイド孔15にカッターを差し入れることで切り開いて形成してもよく、また、係止孔形成用ガイド孔15に沿って線を引いて取付け具1を外し、その線を案内としてカッターにより切り開き形成してもよい。上記の係止孔30の形成は、取付け具1をそのままの位置として、両方の係止孔形成用ガイド孔15それぞれにおいて同様に行う。
【0020】
上記の取付け具1を当接しての作業は、取付け具本体3の裏面の突起9のそれぞれが2点で底面部101の外面に食い込んだ状態で行われるので、取付け具1の位置ずれが起こりにくく安定してその作業が行える。また、取付け具1が外れた場合には、突起9それぞれを底面部101の外面に形成された食い込み凹みそれぞれに合わせることで、取付け具1を元の位置に復帰させて作業が行える。
【0021】
次に、
図7に示すように、形成された係止孔30に取付け具1の差込み係止部10を上方から差し入れ上下することで、孔形状を整形する。その際の差し込みは、押さえ部8それぞれの先端が底面部101の外面に当たる位置まで差込み係止部10が差し込まれて行われる。
【0022】
次に、
図8、
図9に示すように、斜め方向から一方の差込み係止部10が一方の係止孔30に差し入れられ、さらに、取付け具1が湾曲形態とされて他方の差込み係止部10が他方の係止孔30に差し入れられ、取付け具1が直線形態に復帰することで、
図10、
図11、
図12に示すように、取付け具1はティッシュケース100に装着される。上記の差込み係止部10の係止孔30への差し込みは、差込み係止部10の先端部11側が細く、かつ、その厚みが小さくされていることでスムーズになされる。
【0023】
取付け具1の装着状態においては、差込み係止部10は係止孔形成用ガイド孔15の位置まで係止孔30を拡開しながら差し込まれる。これにより、両側において押さえ部8のそれぞれがティッシュケース100の底面部101の外面を押さえ、その間位置において差込み係止部10がティッシュケース100の底面部101の内面を押さえ、上下両側からティッシュケース100の底面部101を押さえ状態とすることで取付け具1は安定して装着される。また、カッターにより誤って係止孔30が所定形状より長く形成された場合にも、差込み係止部10は両側の押さえ部8のそれぞれに位置決めされる状態で係止孔30に係止されるので、取付け具1は差込み係止部10が位置ずれすることなく安定して装着される。上記のように取付け具1が装着されたティッシュケース100は、そのマグネットシート5が吸着されることで金属製の壁面や扉面、また、冷蔵庫ドア面等に取り付けられて使用される。
図1、
図2に示す実施形態のものも、押さえ部8以外の部分においては、同様に使用される。
【0024】
図13はさらに異なる他の実施形態の表面側斜視図、
図14は同裏面側斜視図である。この実施形態では、上記実施例それぞれの係止孔形成用ガイド孔15に代えて、差込み係止部10の裏面に断面を三角とする凸条20が突出形成されている。この取付け具1がティッシュケース100の底面部101の外面の取付け具1が実際に取り付けられる位置に当接配置されて押し付けられることで、
図15に示すように、その突条20が底面部101の外面に食い込む状態となる。取付け具1を外しその食い込みによって形成される凹線に沿ってカッターにより切り開くことで係止孔30が形成される。図面において上記実施形態と同じ要素には、同じ番号を付している。
【0025】
図16、
図17、
図18はさらに異なる他の実施形態を示す。これら図面において上記実施形態と同じ要素には、同じ番号を付している。
図16に示す取付け具1では、端部7それぞれに2個の差込み係止部10が形成され、その間に押さえ部8が設けられており、
図17に示す取付け具1では、端部7それぞれの差込み係止部10が取付け具1の長手方向と直交し、かつ、互いが異なる方向となるように設けられ、押さえ部8はその両側に位置している。
図18に示す取付け具1では、両側の端部7それぞれに開口40が設けられ、差込み係止部10は裏面側において開口40に臨むように、取付け具1の長手方向と直交し、かつ、互いが同じ方向となるように設けられていて、開口40の側部が押さえ部8となる。係止孔形成用ガイド孔15は端部7の差込み係止部10の基部近傍に設けられている。これら実施形態のものも上記実施形態のものと同様に係止孔形成用ガイド孔15において係止孔30が形成され、その係止孔30に差込み係止部10が係止されてティッシュケース100等に装着使用される。
【符号の説明】
【0026】
1 取付け具
10 差込み係止部
15 係止孔形成用ガイド孔(差し込み孔形成機能部)
100 ティッシュケース(物品収納ケース)