特許第6042330号(P6042330)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6042330レモグリフロジンを含めた半減期が短い医薬品のための組合せ即時/遅延放出送達システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042330
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】レモグリフロジンを含めた半減期が短い医薬品のための組合せ即時/遅延放出送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7056 20060101AFI20161206BHJP
   A61K 9/26 20060101ALI20161206BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20161206BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20161206BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20161206BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20161206BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20161206BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   A61K31/7056
   A61K9/26
   A61K47/36
   A61K47/32
   A61K47/38
   A61K47/14
   A61K45/00
   A61P3/10
【請求項の数】10
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2013-519711(P2013-519711)
(86)(22)【出願日】2011年7月7日
(65)【公表番号】特表2013-531036(P2013-531036A)
(43)【公表日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】US2011043143
(87)【国際公開番号】WO2012006398
(87)【国際公開日】20120112
【審査請求日】2014年6月10日
(31)【優先権主張番号】61/362,946
(32)【優先日】2010年7月9日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513007343
【氏名又は名称】ビーエイチヴィ ファーマ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グリーン、ジェイムズ、トリンカ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルキソン、ウィリアム、オーウェン
【審査官】 平林 由利子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−510241(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/045656(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/128086(WO,A1)
【文献】 国際公開第2001/047557(WO,A1)
【文献】 特表2009−511441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−33/44
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/48
A61K 45/00−45/08
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)(a)エタボン酸レモグリフロジン又はその塩、及び(b)即時放出物質を含む即時放出固相と、並びに
(2)(a)エタボン酸レモグリフロジン又はその塩、及び遅延放出物質を含む遅延放出固相
を含む医薬製剤であって、
前記遅延放出固相が、前記即時放出固相中に分散している
上記医薬製剤。
【請求項2】
1日1回の投与計画を提供し、前記遅延放出固相及び前記即時放出固相中に含有されるエタボン酸レモグリフロジン又はその塩の組み合わせた量が5mgから200mgである、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記即時放出固相及び前記遅延放出固相が、それぞれ個別の個々の粒子又は顆粒の形態であ、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記遅延放出固相中に存在する前記遅延放出物質が、1種若しくは複数の親水性ポリマー又は1種若しくは複数の疎水性ポリマー又は1種若しくは複数の他の疎水性物質或いはそれらの任意の組合せを含み、前記即時放出固相中の前記即時放出物質が、1種若しくは複数の親水性ポリマー又は1種若しくは複数の疎水性ポリマー又は1種若しくは複数の他の疎水性物質或いはそれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記遅延放出固相中に存在する前記遅延放出物質が、1種又は複数のイオン性ポリマーを含み、前記即時放出固相中に存在する前記即時放出物質が、1種又は複数の非イオン性ポリマーを含む、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記イオン性ポリマーが、アルギン酸ナトリウム、カルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウム又はカルボキシメチルセルロースナトリウムを含み、前記非イオン性ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208USP若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロース又はそれらの任意の組合せを含む、請求項5に記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記遅延放出固相が、30μm〜800μmの範囲内の平均粒径を有する、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記遅延放出固相が、エチルセルロース若しくはカルボキシメチルセルロースナトリウム若しくはモノステアリン酸グリセリル又はそれらの任意の組合せを含み、前記即時放出固相が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208USP若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロース2910USP若しくは微晶質セルロース又はそれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項9】
他の抗高血糖症薬若しくは抗肥満薬若しくは高脂血症治療薬又はそれらの任意の組合せをさらに含む、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項10】
請求項1に記載の医薬製剤の剤形を調製する方法であって、
エタボン酸レモグリフロジン又はその医薬上許容される塩及び遅延放出物質を含む個々の粒子を含む遅延放出固相を形成するステップ、
エタボン酸レモグリフロジン又はその医薬上許容される塩及び即時放出物質を含む即時放出固相を含む即時放出固相を形成するステップ、並びに
前記遅延放出固相を前記即時放出固相と混合し、それによって、前記遅延放出固相を形成する前記個々の粒子を前記即時放出固相中に分散させるステップ
を含む、上記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
糖尿病の有病率は、世界人口にとってますます大きな懸念となってきた。2007年には、およそ2億4千6百万人がこの疾患に冒されており、毎年、さらに7百万人がこの疾患を発症する。2025年までに、3億8千万人が糖尿病になると推測される。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、高血糖を特徴とするメタボリックシンドロームであり、これは、インスリン分泌の絶対的な欠乏に起因する(1型糖尿病)か、又はインスリン分泌の不適切な代償性増大と組み合わさったインスリン作用に対する抵抗性に起因する(2型糖尿病)。慢性高血糖は、網膜症、腎障害及び神経障害などの微小血管合併症の主要な危険因子である。より健康的なライフスタイルを身につけて、標的血糖レベルを達成し、維持することができない場合には、さらなる治療が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、抗糖尿病薬エタボン酸レモグリフロジンなどの半減期が短い医薬の新規剤形に関し、これは、薬物の即時放出を提供し、また、薬物の第2のボーラスの遅延放出も提供し、その結果、血漿グルコースの有効な管理を提供しながら、少なくとも250mgのエタボン酸レモグリフロジンの1日1回の投与計画が達成され得、本発明は、このような剤形を用いて糖尿病を治療する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本明細書に記載された医薬組成物の錠剤の断面図である。
図2】本明細書に記載された医薬組成物の錠剤の第2の実施形態の断面図である。
図3】本明細書に記載された医薬組成物の錠剤の第3の実施形態の断面図である。
図4】本明細書に記載された医薬組成物のカプセル剤の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
略語
SGLT(ナトリウムグルコース共輸送体)
A1C(ヘモグロビンA1C)
UKPDS(英国前向き糖尿病研究(United Kingdom Prospective Diabetes Study))
HDL(高比重リポタンパク質)
ADA(米国糖尿病学会(American Diabetes Association))
QD(1日1回)
BIO(1日2回)
T2DM(2型糖尿病)
GI(胃腸)
GLP−1(グルカゴン様ペプチド−1)
DPP−IV(ジペプチジルプロテアーゼIV)
HMG CoA(3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリル補酵素A)
ACAT(アシル−CoA:コレステロールO−アシルトランスフェラーゼ)
LHRH(黄体形成(Lutenizing)ホルモン放出ホルモン)
AUC(曲線下面積)
IR(即時放出)
MR(調節/持続性放出)
MTP(ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質)
FPG(空腹時血漿グルコース)
【0006】
糖尿病
糖尿病の治療のための新規薬物標的としてのナトリウムグルコース共輸送体2(SGLT2)の可能性に、最近、注目が集まっている(1)。SGLTファミリーは、腸及び腎臓の膜を越えてグルコース及びガラクトースを能動的に輸送する(ナトリウムイオン輸送と共役しているプロセス)いくつかのアイソフォームからなる(2)。SGLT2は、腎臓の近位尿細管のS1セグメント中に主に位置する、低親和性で高い能力のナトリウム−グルコース共輸送体である(3)。健常者では、腎臓において濾過された血漿グルコースの99%超が再吸収される。SGLT2は、この再吸収のおよそ90%を促進する。残りの10%は、SGLT1、腸及び腎臓の近位尿細管中に位置する高親和性共輸送体によって媒介される可能性が高い。不活性化SGLT2突然変異を有するヒトは、持続性の腎性糖尿を示すが、それ以外は健常である(4,5)。したがって、SGLT2の阻害は、グルコースホメオスタシスを改善する魅力的な方法であると思われる。SGLT2阻害は、尿中へのグルコース排泄を増大させることによって血流からグルコースを取り除く(わずかに機能している膵臓β細胞からのインスリン分泌を必要としない機序)と期待される。
【0007】
理想的には、このグルコース輸送体の阻害は、グルコースが食後に血中に入る、食後グルコース移動相の間に起こるべきである。健常な非糖尿病性対象では、食後2時間の血中グルコースレベルは、普通、<120であり、>140mg/dlは稀である。グルコースレベルは、食事開始後約1時間でピークに達し、次いで、2〜3時間内に食前レベルに戻る(6,7)。食後グルコースレベルのこの上昇及び下降は、栄養素の取り込みに応じて、普通10分以内に多量の内因性インスリンが放出される、第1相インスリン反応によって媒介される。2型糖尿病を有する個体では、第1相インスリン反応は、大幅に減少しているか、又は存在せず、その結果、1日のほとんどを通して持続的に上昇した食後グルコースとなる(8)。
【0008】
食後高血糖を標的とすることが、全般的な血糖管理を改善するかという問題に答えるために、スルホニル尿素治療の二次無効がみられる2型糖尿病を有する患者の研究において、Feinglosら(9)は、スルホニル尿素と組み合わせて、食事時にインスリンリスプロ(Humalog)を使用する食後高血糖の改善が、食後2時間のグルコース移動を低減するだけでなく、空腹時グルコース及びA1Cレベルの両方を9.0%から7.1%に低減する(P<0.0001)ことを示した。リスプロ群の対象はまた、大幅に低下した総コレステロールレベル及び改善されたHDLコレステロール濃度からも恩恵を受けた。
【0009】
A1Cレベルの改善はまた、Bastyrらによる研究(10)においても報告され、それによって、空腹時グルコースに対して食後グルコースを低下させることに重点をおいた治療は、糖化ヘモグロビンレベルを低下させるのに、より良好なものであり得ることが示された。さらに、妊娠糖尿病を有する患者の研究では、De Vecianaら(11)は、空腹時グルコースよりも食後1時間のグルコースレベルを標的とする治療が、糖化ヘモグロビンレベルを低減し、新生児予後を改善することを実証した。
【0010】
食後グルコースが微小血管及び大血管合併症の発生の一因となるかどうか、及びどの程度までかについては、議論が続いている。食後グルコースに関するADAコンセンサス会議からの報告は、正常血糖を達成することに向けられた治療が、長期微小血管合併症の発生を低減し、進行を遅延することを実証した、糖尿病コントロール及び合併症に関する臨床試験(Diabetes Control and Complications Trial)、Kumamoto研究及びUKPDSから得られた知見を繰り返した(12)。さらに、先に記載したように、UKPDSデータの疫学的解析によって、血糖レベルを低下させることによって大血管予後も改善されることが示された(13)。したがって、食後グルコースが、全般的な血糖の寄与因子である場合には、食後グルコース管理が糖尿病合併症の発生の寄与因子であるにちがいない。
【0011】
多数の疫学的研究が、食後/負荷試験後グルコースの上昇は、独立したものであり、大血管合併症及び死亡リスクの増大の重大な危険因子であることを示してきた。ホノルル心臓研究(Honolulu Heart Study)(14)は、負荷試験後グルコースレベルと心血管死亡率の発生頻度との間に強い相関を見出した。2型糖尿病を有する新規に診断された患者を追跡した糖尿病介入研究(Diabetes Intervention Study)(15)は、中程度の食後高血糖は、空腹時グルコースよりもアテローム性動脈硬化症をより示すことを見出し、また、空腹時グルコースではなく食後グルコースが、心血管死亡率の独立した危険因子であることを見出した。25,000人を超える対象を平均7.3年の期間追跡したDECODE研究(16)は、死亡リスクの増大は、空腹時血漿グルコースよりもグルコース負荷後2時間の血漿レベルと、より密接に関連していることを示した。これらの知見と同様に、de Vegtら(17)は、食後2時間のグルコース濃度によってもたらされるリスクの程度は、A1Cレベルによってもたらされるもののほぼ2倍であると見出した。
【0012】
食後グルコース管理の安全性は、使用される治療に応じて変わり、低血糖症が起こる場合には、それを認識し、治療する各患者の能力に対して特異的でもある。2型糖尿病を有する患者では、重度な低血糖症は稀ではあるが、低血糖症の懸念は(患者及び提供者の間で)、依然として、食後グルコース管理、恐らくは、より厳重な全般的な血糖管理の達成に対する大きな障害である。提案されるレモグリフロジンの製剤は、1日に1回服用され得、したがって、患者のコンプライアンスを確実にするのに役立つ、sglt2阻害剤の安全で効果的な投薬を提供する。
【0013】
2型糖尿病を有する患者では、より厳重な食後グルコース管理を達成することは困難であり得るが、今日の新規インスリン調製物及び経口治療は、この課題に対して解決策の一部を提供し得る。インスリンアスパルト(Novolog)及びインスリンリスプロなどの即効性インスリン類似体は、より高い血清インスリンレベルをより早くもたらし、通常のヒトインスリンよりも短い作用持続期間を有し、その結果、より短い持続期間の食後高血糖を有する、より低い食後グルコース移動、並びに2型糖尿病を有する患者では、重度な低血糖症の発生頻度の低減をもたらす(18,19)。この点において、製剤されたエタボン酸レモグリフロジン及び上記のインスリン製剤の組合せは、食後グルコースの優れた管理機序を提供し得る。
【0014】
UKPDSにおいて報告された低血糖症の発生頻度及び重症度は、患者が、家庭用グルコースモニタリング技術(研究が始まった時点では広く利用可能ではなかった)と組み合わせて、新規インスリン類似体及び経口薬剤を使用した場合には低いものであり得たと主張されることもあるが、2型糖尿病における低血糖症のリスクは無視することはできない。すべての血糖降下治療(分泌促進物質及びインスリン)は、重度な低血糖症を引き起こす可能性を有する。したがって、ヘルスケア提供者が、利用された各治療と関連しているリスクのレベルを理解すること及び各治療が、低血糖症が起こる場合に、それを認識し、反応する各患者の能力に適宜対応していることが重要である。レモグリフロジンは、恐らくは、作用機序による血糖降下現象を引き起こすというエビデンスを極めてわずかなしか示さなかった。
【0015】
大規模無作為化介入研究によって、厳重な血糖管理(<6.5%A1C)を達成し、持続させることが、糖尿病性微小血管及び大血管合併症のリスクを大幅に低減するという決定的なエビデンスが提供された。残念ながら、大規模疫学的研究は、2型糖尿病の管理が不十分であることが多いだけでなく、米国では糖尿病が現在流行していることも示した。2型糖尿病の有病率の最大の増加は、成人30〜39歳の間であるので、より多くの人が、2型糖尿病を患いながらより長く生きるであろう。したがって、長年に及ぶ衰弱性合併症及びヘルスケアシステムに対する膨大な経済的負担を避けるには、ヘルスケア提供者が、糖尿病の治療におけるその有効性を改善する方法を見出すことが不可避である。
【0016】
新規血糖目標は、それらが安全でない、又は困難すぎて達成できないため不適切であると主張することは、正当な臨床的判断に反するものである。A1Cのいかなる低減も、糖尿病合併症のリスクを大幅に低減するので、焦点は、各患者のできる限り最良の血糖管理を達成することにあるべきである。患者が血糖管理のそのできる限り最良のレベルを達成することを手助けするには、適当な治療、適当なモニタリング及び糖尿病自己管理における総合的指導を利用することが必要となる。
【0017】
引用
1 Marsenic,O.腎臓によるグルコース管理:糖尿病における新興標的。(Glucose control by the kidney: an emerging target in diabetes.)Am.J.Kidney Dis.2009年、第53巻、875〜883頁。
2 Nishimura,M.;Naito,S.ヒトATP結合カセット及び溶質輸送体トランスポータースーパーファミリーの組織特異的mRNA発現プロフィール。(Tissue−specific mRNA expression profiles of human ATP−binding cassette and solute carrier transporter superfamilies.)Drug Metab.Pharmacokinet.2005年、第20巻、452〜477頁。
3 Kanai,Y.;Lee,W.S.;You,G.;Brown,D.;Hediger,M.A.ヒト腎臓低親和性Na/グルコース共輸送体SGLT2:D−グルコースの主要な腎臓再吸収性機序の描写。(The human kidney low affinity Na/glucose cotransporter SGLT2:delineation of the major renal reabsorptive mechanism for D−glucose.)J.Clin.Invest.1994年、第93巻、397〜404頁。
4 Van den Heuvel,L.P.;Assink,K.;Willemsen,M.;Monnens,L.ナトリウムグルコース共輸送体(SGLT2)における突然変異に起因し得る常染色体の劣性腎性糖尿。(Autosomal recessive renal glucosuria attributable to a mutation in the sodium glucose cotransporter(SGLT2).)Hum.Genet.2002年、第111巻、544〜547頁。
5 Calado,J.;Soto,K.;Clemente,C;Correia,P.;Rueff,J. SLC5A2における新規化合物ヘテロ接合体変異は、常染色体の劣性腎性糖尿の原因である。(Novel compound heterozygous mutations in SLC5A2 are responsible for autosomal recessive renal glucosuria.)Hum.Genet.2004年、第114巻、314〜316頁。
6 American Diabetes Association:食後血中グルコース(コンセンサスステートメント)。(Postprandial blood glucose(Consensus Statement).)Diabetes Care第24巻:775〜778頁、2001年。
7 Polonsky KS、Given BD、Hirsch LJ、Tillil H、Shapiro ET、Beebe C、Frank BH、Galloway JA、Van Cauter E:非インスリン依存性真性糖尿病における異常パターンのインスリン分泌。(Abnormal patterns of insulin secretion in non−insulin−dependent diabetes mellitus.)N Engl J Med第318巻:1231〜1239頁、1988年。
8 Pfeifer MA、Halter JB、Porte D Jr:真性糖尿病におけるインスリン分泌。(Insulin secretion in diabetes mellitus.)Am J Med第70巻:579〜88頁、1981年。
9 Feinglos MN、Thacker CH、English J、Bethel MA、Lane JD:インスリンリスプロを用いる食後高血糖の改変は、2型糖尿病を有する患者においてグルコース管理を改善する。(Modification of postprandial hyperglycemia with insulin lispro improves glucose control in patients with type 2 diabetes.)Diabetes Care第20巻:1539〜1542頁、1997年。
10 Bastyr EJ、Stuart CA、Brodows RG、Schwartz S、Graf CJ、Zagar A、Robertson KE(IOEZ Study Group):空腹時グルコースではなく食後グルコースを低下させることに重点をおいた治療は、HbA1cを低下させるのに優れたものであり得る。(Therapy focused on lowering postprandial glucose,not fasting glucose, may be superior for lowering HbA1c.)Diabetes Care第23巻:1236〜1241頁、2000年。
11 De Veciana M、Major CA、Morgan MA、Asrat T、Toohey JS、Lien JM、Evans AT:インスリン治療を必要とする妊娠糖尿病を有する女性における食後対食前血中グルコースモニタリング。(Postprandial versus preprandial blood glucose monitoring in women with gestational diabetes mellitus requiring insulin therapy.)N Engl J Med第333巻:1239〜1241頁、1995年。
12 American Diabetes Association:食後血中グルコース(コンセンサスステートメント)。(Postprandial blood glucose(Consensus Statement).)Diabetes Care第24巻:775〜778頁、2001年。
13 (Stratton IM、Adler AI、Neil HA、Matthews DR、Manley SE、Cull CA、Hadden D、Turner RC、Holman RR:糖血症と2型糖尿病の大血管及び微小血管合併症との関連:前向き観察研究。(Association of glycaemia with macrovascular and microvascular complications of type 2 diabetes(UKPDS 35):prospective observational study.)BMJ 321:405〜412頁、2000年)。
14 (Donahue RP、Abbott RD、Reed DM、Yano K:日系人の男性における負荷試験後グルコース濃度及び冠動脈心疾患(ホノルル心臓プログラム)。(Postchallenge glucose concentration and coronary heart disease in men of Japanese ancestry)(Honolulu Heart Program).)Diabetes第36巻:689〜692頁、1987年)
15, (Ziegelasch HJ、Lindner J(The DIS Group):新規に検出されたNIDDMにおける心筋梗塞及び死亡の危険因子:糖尿病介入研究、11年追跡。(Risk factors for myocardial infaction and death in newly detected NIDDM: the Diabetes Intervention Study, 11−year follow−up.)Diabetologia第39巻:1577〜1583頁、1996年)
16, (DECODE研究グループ:糖耐性及び死亡率:WHO及び米国糖尿病学会診断基準の比較。(DECODE Study Group:Glucose tolerance and mortality:comparison of WHO and American Diabetic Association diagnostic criteria.)Lancet第354巻:617〜621頁、1999年)
17. (de Vegt F、Dekker JM、Ruhe HG、Stehouwer CD、Nijpels G、Bouter LM、Heine RJ:ホールンの住民では、高血糖症は、総死亡率及び心血管死亡率と関連している:ホールン研究。(Hyperglycaemia is associated with all−cause and cardiovascular mortality in the Hoorn population: the Hoorn Study.)Diabetologia第42巻:926〜931頁、1999年)
18 Rosenfalck AM、Thorsby P、Kjems L、Birkeland K、Dejgaard A、Hanssen KF、Madsbad S:インスリンで治療された2型糖尿病患者においてインスリンアスパルトを用いる改善された食後血糖管理。(Improved postprandial glycaemic control with insulin aspart in type 2 diabetic patients treated with insulin.)Acta Diabetol第37巻:41〜46頁、2000年
19 Anderson JH Jr、Brunelle RL、Keohane P、Koivisto VA、Trautmann ME、Vignati L、DiMarchi R:インスリン類似体を用いた食事時間の治療は、非インスリン依存性真性糖尿病を有する患者において食後高血糖及び低血糖を改善する。(Mealtime treatment with insulin analog improves postprandial hyperglycemia and hypoglycemia in patients with non−insulin−dependent diabetes mellitus.)多施設インスリンリスプロ研究グループ。(Multicenter Insulin Lispro Study Group.)Arch Intern Med第157号:1249〜1255頁、1997年)。
20. Moller, DE、新規薬物は、2型糖尿病及びメタボリックシンドロームを標的とする(New drug targets for type 2 diabetes and the metabolic syndrome)、Nature第414号、821〜827頁、2001年。
21. Leth, A、ヒドロクロロチアジドを用いる長期治療の間の本態性高血圧症を有する患者における血漿及び細胞外液容積の変化(Changes in Plasma and Extracellular Fluid Volumes in Patients with Essential Hypertension During Long−Term Treatment with Hydrochlorothiazide)、Circulation第42号、479〜485頁、1970年
22 Rohifing JJ、Brunzell JD:血漿脂質に対する利尿薬及びアドレナリン作動性遮断薬の効果。(The effects of diuretics and adrenergic−blocking agents on plasma lipids.)West J Med.第145号:210〜218頁、1986年。
23. Fisher,M.C.、Morella,A.M.(1994年)、欧州特許第609961号。
24. Hansraj,B.R.、Bashir,R.H.(1992年)、欧州特許第502642号。
25. Rollet,M.(1987年)、仏国特許第2594693号。
26. Howard,S.A.、Kotwal,P.M.(1997年)米国特許第5,645,858号。
27. Macrae,R.J.、Smith J.S.(1997年)、世界特許WO9718814。
28. Belenduik,G.W.、McCarty,J.A.、Rudnic,E.M.(1996年)、米国特許第5,484,608号。
29. Bhatti,G.K.、Edgren,D.E.、Hatamkhani,Z.、Wong,P.S.、Wong,P.S.L.(1994年)、世界特許WO9427589。
30. Palepu,N.R.、Venkatesh,G.M.、(1997年)欧州特許第701436号。
【0018】
エタボン酸レモグリフロジン
次式(I):
【化1】

で示される5−メチル−4−[4−(1−メチルエトキシ)ベンジル]−1−(1−メチルエチル)−1H−ピラゾール−3−イル6−O−(エトキシカルボニル)−β−D−グルコピラノシドとしても知られるエタボン酸レモグリフロジン
別の命名慣習は、この分子を3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−4−[(4−イソプロポキシフェニル)メチル]−1−イソプロピル−5−メチルピラゾールとして提供する。エタボン酸レモグリフロジンは、GSK 189075又はKGT−1681としても知られる。式(i)の化合物の塩は、本発明の医薬品プレゼンテーション中の有効成分として有用である。このような塩は、参照により本明細書に組み込まれている2006年8月1日に発行された米国特許第7,084,123号に記載されているようなものである。このような塩の例として、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などといった無機酸を有する酸付加塩、ギ酸、酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、プロピオン酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、炭酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、アジピン酸、オレイン酸、ステアリン酸などといった有機酸を有する酸付加塩及びナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などといった無機塩基を有する塩が挙げられる。
【0019】
上記の式(I)によって表される化合物は、エタノール及び水などの医薬上許容される溶媒を有するその溶媒和物を含む。
【0020】
エタボン酸レモグリフロジンは、各々が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第7,084,123号及び第7,375,087号、特に、米国特許第7,084,123号の例1に記載されているように調製され得る。
【0021】
エタボン酸レモグリフロジンは、レモグリフロジン(GSK189074又はKGT−1650としても知られる)のプロドラッグである。
【0022】
エタボン酸レモグリフロジンは、T2DMの治療のための単剤療法として使用される可能性を有する。今日までに、研究によって12週間までの効力、安全性及び耐容性が評価されており、さまざまな効力を有するので、いくつかの選択された製剤された用量のプロフィールを12週間にわたって特性決定する必要がある。
【0023】
研究は、薬物のプロフィールがさらに特性決定されることを可能にするために、また最大血糖効果が達成されるためにプラセボ治療アームを用いて設計されている。しかし、対象が最適以下の血糖管理を有し得る時間を最小にするために、二重盲検試験投薬は、12週間の持続期間に制限された。さらに、高FPを有する対象のために6週間後に救援治療の導入を可能にするための判定基準が含められた。
【0024】
血糖管理の改善は、1日1回(250、500及び1000mg QD)及び1日2回(50mgから1000mg BID)の投薬の両方を用いる12週間の研究で達成された。さらに、これらの用量で、臨床的に関連のある体重減少、新規T2DM治療にとって重要な必要条件もあり得るというエビデンスがある(20)。250mg BIDを超える用量は、糖血症及び体重減少に対して比較的小さい増分利益しか伴わない可能性があり、より低い用量で、より良好な耐容性の傾向があるので、今後の研究は、1日あたり500mg未満の総1日用量を有することができる。分析によって、睡眠期間にSGLT2輸送体を大幅に阻害するレモグリフロジン曝露は、LDL−cのわずかな上昇と相関していることが示される。特に、250mg及び500mgのbid用量は、LDL−cの相当な増大を示す。LDL−cのこの単離した増大の主な機序は、1)利尿薬を用いた場合に見られるものと同様の利尿(diurectic)効果の結果としての血液濃縮(21,22)及び2)SGLT2一晩阻害の組合せによると考えられる。これはまた、ヘマトクリット(血液濃縮の代替マーカー)の増大を示すが、LDL−cの対応する増大がないより高いQD用量によっても支持されている。さらに、朝にQDで与えられる組合せIR/SR用量も、糖血症及び体重減少に対して意味のある利益を提供し得る。安全の点から、脂質プロフィール及びヘマトクリットに対して観察された小さな効果以外に、投与の頻度に基づいた安全性プロフィールにおいてほとんど相違はなかった。
【0025】
上部胃腸管に制限された吸収を有する薬物は、遠位小腸、大腸及び結腸における吸収の乏しさと相まって、普通、経口の制御された送達システムへの製剤にとっては不適当な候補とみなされる。吸収に関するこの制限(例えば、上部胃腸管における)は、「吸収ウィンドウ」と呼ばれる。
【0026】
胃腸管は、胃(ここで消化が行われる)から小腸(ここで吸収が主に起こる)へ、さらに大腸(ここで体液調節プロセスの一部として、水が吸収/分泌される)へと摂取された物質を進ませるよう機能する。胃の中で消化できない物質の滞留時間は、食物を与えられた対象を扱っているか、又は空腹時の対象を扱っているかに応じて変わる。粒状物質(直径数ミリメートル超)の通常の胃排出時間は、絶食状態での数十分から食物を与えられた状態での数時間で変わる。小腸を通る通過時間は、一貫して、3〜4時間程度である。
【0027】
経口の制御放出送達システムは、投与後長期間にわたって薬物のペイロードを放出することによって機能する。したがって、制御放出剤形は、特定の薬物の良好な吸収が起こり得る胃腸管の領域では、比較的短期間しか過ごさない場合がある。剤形は、特定の薬物の吸収が乏しいか、又は存在しない腸の領域に移り、その含有された薬物を依然として放出するが、そのペイロードの相当なパーセンテージは送達されていない。薬物は、剤形から放出されると、記載された状況では、吸収されない。したがって、従来の制御放出送達システムにおける吸収のウィンドウにさらされる薬物の投与は、治療量以下の血液レベル及び薬物が対象とした病状の無効な治療につながり得る。
【0028】
制御放出剤形では、処方者は、例えば、薬物をポリマーマトリックス中に包理すること又は薬物がそれを通って吸収のために放出されるように拡散しなくてはならないポリマーバリア膜でそれを囲むことによって溶解速度を低減しようとする。剤形からの薬物の放出の速度を、極めて高い水溶性を有する薬物にとって望ましい血液レベルプロフィールと一致する適当なレベルに低減するには、マトリックス又はバリア膜のために極めて多量のポリマーが必要であろう。送達されるべき薬物の合計1日量が、ほんの数ミリグラム程度である場合は、これは実現可能であり得るが、記載された溶解特性を有する多数の薬物は、何百ミリグラム程度の合計1日量を必要とする。多量のポリマーを使用することによって、このような製品の経口制御放出剤形を作製することは可能であるが、許容されない大きな剤形となり得る。
【0029】
エタボン酸レモグリフロジンを用いる治療計画の改善は、投薬頻度の低減、すなわち、1日2回に対して1日1回を可能にして、患者の利便性を提供することにより、恐らくは、コンプライアンスが改善される剤形によって達成され得る。従来の調節放出製剤は、この分子に固有の半減期が短いを代償しないことが実証されており、したがって、エタボン酸レモグリフロジンを送達する唯一の方法は、1日2回の投薬によることを示す。投薬頻度を低減するために、剤形からの放出の種類は、有効血漿レベルを延長するようなものであるべきであるが、この速度での有効送達の可能性は、近位小腸から結腸まで降りて通り過ぎる際の薬物透過性の相当な低下及び薬物が十分に吸収される胃腸管の領域における制限された滞留時間という組み合わされた影響によって損なわれている。胃腸管の「有用な」領域まで降りるその通過時間は、数時間程度のものでしかない可能性が高い。組合せ様式での、エタボン酸レモグリフロジンを放出する剤形からの維持された又はさらに改善されたバイオアベイラビリティは、通常、患者の覚醒時間である所望の期間の間、所望の薬物の血漿レベルを提供する。
【0030】
製剤
制御放出経口投与剤形を作製するための通常の先行技術の技術は、マトリックスシステム又は多粒子システムのいずれかを含む。マトリックスシステムは、薬物をヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキシド、カルボマー、特定のメタクリル酸由来ポリマー、アルギン酸ナトリウム又はこれらから選択される構成成分の混合物などの親水性ポリマーとともに均質に混合すること及び得られた混合物を圧縮して錠剤にすることによって(必要に応じていくつかの他の賦形剤を用いて)によって製剤され得る。放出のさらなる制御を与えるために、エチルセルロース、特定の重合体メタクリル酸エステル、酢酸酪酸セルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの疎水性ポリマーが、上記の物質とともに均一に組み込まれる場合もある。さらなる代替法は、薬物をカルナバワックス、微晶質ワックス又は市販の精製脂肪酸エステルなどのワックスとともに造粒すること又は簡単に混合することによって、薬物をワックスベースの錠剤内に包理することを含む。上記のように、これらのアプローチを極めて高度に水溶性の薬物とともに使用することは可能でない場合がある。
【0031】
多粒子システムは、コア、普通、約0.8mmの直径の糖−デンプン混合物の球に上に、十分なレベルが達せられるまで、薬物を層状にすること、次いで、薬物が負荷された球の周りに薬物放出バリアを提供することによって調製された、複数の薬物が負荷された球をベースとする剤形からなる。薬物が負荷された球はまた、薬物及び賦形剤の混合物を湿式造粒(wet massing)すること、湿潤塊を穴のあいた篩に通して、短い鎖を形成し、これを球形化装置で丸めること、その後、乾燥させること及び薬物放出バリアが適用されることによって作られ得る。薬物放出バリアは、カルナバワックス若しくはグリセリル脂肪酸エステルなどのワックス又はエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合物などのポリマーバリアであり得る。これらは、1日あたり数ミリグラムから数百ミリグラム未満の単位で用量を用いる中程度に可溶性の薬物にはうまく働く。
【0032】
いくつかの例では、システムは、多粒子システムアプローチを改善することによって、極めて水溶性の薬物の制御放出製剤を提供すると思われる。Fisherは、高度に酸性のpHで部分的に可溶性であるという特性を有する薬物放出制御バリアによって囲まれた、薬物を含有するコアをベースとする、高度に可溶性の薬物、特に、オピエートアゴニスト(23)のための多粒子システムを開示している。
【0033】
Hansraj(24)は、少なくとも1種の陰イオン性界面活性剤を含むことによってその特性が改変されているメタクリル酸又はアクリル酸由来ポリマーで、薬物が負荷されたコアをコーティングしている。このようなシステムでは、高度に水溶性の薬物の薬物放出が、放出速度制御層に厚いコーティングを使用することに頼らなくとも制御される。
【0034】
Rollet(25)は、親水性及び疎水性シリカ又はケイ酸塩の粒子をベースとする多粒子製剤からの薬物の長期放出を達成している。恐らくは、このシステムは、高度に水溶性の薬物のために機能する。
【0035】
多粒子システムは、このような粒子を圧縮して錠剤にしようとする際にそれらに引き起こされる損傷のため、普通、単位剤形を提供するためにカプセル剤中に充填される。単一単位中に含有される総用量は、容易に飲み込める大きさのハードゼラチンカプセル剤中であり得る負荷量によって制約され、普通、数百ミリグラム以下である。
【0036】
高度に水溶性の薬物に適用できる単一単位制御放出システムは、Howard(26)によって記載されているような剤形の周りの複数層の適用を含む。コーティングが用いられない場合には、特別なポリマーの混合物又は薬物との複合体の形成が使用されてきた。Macrae(27)は、高度に水溶性の薬物の一定放出速度をもたらすためにポリエチレンオキシド及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの最適な腸溶性ポリマーとの混合物を使用している。Belenduik(28)は、高度に水溶性の薬物を、アクリル酸をベースとする親水性ポリマーと組み合わせ、これを疎水性マトリックス中に分散させている。塩酸ベンラファクシンなどの高度に水溶性の薬物に適したALZA浸透圧システムの変法が記載されている(29)。これらのシステムは、水透過性/薬物不透過性膜によってすべて囲まれ薬物のためにこの膜中に出口通路を有する、2層、薬物層及び浸透圧によって駆動される置換層を必要とする。
【0037】
高度に水溶性のクラブラネートの顆粒が調製されたが、カプセル剤又は圧縮錠中に制御放出アモキシシリン三水和物顆粒とともに同時製剤された場合には、疎水性ワックス様物質のバリア層を用いてこの物質の制御放出を提供しなくてはならなかった(30)。
【0038】
本発明は、上部胃腸管における吸収のウィンドウを有するエタボン酸レモグリフロジン又はその塩などの比較的短い半減期及び制限された吸収のウィンドウを有する薬物を製剤して、患者の覚醒時間の間に有効な曝露を提供し得る剤形を提供することを含む。本発明の製剤は、(a)通常、朝食前又は朝食時に薬物の即時放出を提供し、(b)その日のうちの遅くのグルコース移動に対して十分な適用範囲を提供するように遅延放出を適切に提供する。本発明の製剤は、薬物の即時/遅延放出製剤を提供する。
【0039】
エタボン酸レモグリフロジンの場合には、本発明の製剤は、錠剤又は1個のカプセル剤などの1個の固体剤形の形態で、患者に少なくとも250mgのエタボン酸レモグリフロジンの1日1回から500mgエタボン酸レモグリフロジンの1日1回の投与計画を可能にしながら、血漿グルコースの有効な管理を提供する。本発明のエタボン酸レモグリフロジン製剤は、糖尿病を有効に治療するために上記の投与量で1日1回投与され得、一方で、エタボン酸レモグリフロジンの1日2回の投薬で遭遇し得るような高い夜間血漿エタボン酸レモグリフロジンレベルに伴うことがある問題を避けながら、最適な治療管理及び最適な安全性プロフィールを提供する。
【0040】
本発明は、糖尿病の治療において短い半減期及び制限された吸収のウィンドウを有するすべての薬物に、特に、作用機序が食事のグルコース移動を減衰又は鈍化させることを含む場合に、適用可能である。
【0041】
本発明の組合せ即時放出送達システムは、(1)(a)短い半減期、制限された吸収のウィンドウ(例えば、上部胃腸管における)を有する薬物、好ましくは、エタボン酸レモグリフロジン又はその塩、及び(b)1種若しくは複数の親水性ポリマー及び/又は1種若しくは複数の疎水性ポリマー及び/又は1種若しくは複数の他の種類の疎水性物質(1種又は複数のワックス、脂肪アルコール及び/又は脂肪酸エステルなど)から形成された遅延放出物質を含有する個々の顆粒又は粒子の形態の固体粒子相と、(2)遅延放出固体粒子相の顆粒又は粒子が分散し包埋されており、1種若しくは複数の親水性ポリマー及び/又は1種若しくは複数の疎水性ポリマー及び/又は1種若しくは複数の他の種類の疎水性物質(1種又は複数のワックス、脂肪アルコール及び/又は脂肪酸エステルなど)から形成された即時放出物質から主に形成されている固相とを含む不均一な二相システムである。
【0042】
本発明は、薬物の相当な初期バーストと、上部GI管における吸収ウィンドウに関連するある時点でのその後の薬物の遅延放出(固体粒子相を形成する個々の分散した粒子から遊離される)を含む制御された様式での、エタボン酸レモグリフロジン及びその医薬上許容される塩などの短い半減期の薬物の送達に特に適している。薬物は、遅延放出製剤の粒子から放出されると、実際に、上部胃腸管中に入って、吸収に利用可能となる。
【0043】
固相即時放出製剤は、特に、固相即時放出製剤の全体に分散しその中に包埋された薬物(遅延放出固相を形成する)を含む粒子又は顆粒を有する相又はマトリックスである。
【0044】
さらに、本発明によれば、インスリン抵抗性を低下させる又は糖尿病を治療する方法が提供され、ここで、抗糖尿病医薬品を含有する本発明の組合せ即時/遅延放出製剤が、治療を必要とする患者に投与される。
【0045】
本明細書において用いられる用語「糖尿病」は、2型糖尿病及び1型糖尿病、普通、2型糖尿病を指す。
【0046】
用いられる抗糖尿病医薬品は、特に、エタボン酸レモグリフロジンなどのSGLT2阻害剤又は塩酸塩などのその医薬上許容される塩であり、それらのすべては、まとめてエタボン酸レモグリフロジンと呼ばれる。エタボン酸レモグリフロジン塩酸塩は、本発明のための特定の有効成分である。
【0047】
本発明の別の態様では、インスリン抵抗性を低下させる又は糖尿病を治療する方法が提供され、ここで、本発明の組合せ即時/遅延放出製剤は、エタボン酸レモグリフロジンを含有し、少なくとも約250mgのエタボン酸レモグリフロジンの1日1回、特に、約250mgから500mgの1日1回の投与計画で、治療を必要とする患者に投与される。
【0048】
固体粒子相遅延放出製剤及び固相即時放出製剤中に存在するような用語「放出物質」とは、1種若しくは複数の親水性ポリマー及び/又は1種若しくは複数の疎水性ポリマー及び/又は1種若しくは複数の他の種類の疎水性物質、例えば、1種又は複数のワックス、脂肪アルコール及び/又は脂肪酸エステルなどを指す。種々のグレード又は分子量の同一化学的ポリマーが使用され得るが、遅延放出粒子相中に存在する「放出物質」は、即時放出固相中に存在する「放出物質」と同一であっても、異なってもよい。しかし、遅延放出粒子相中に存在する「放出物質」は、即時放出製剤中の「放出物質」とは異なり得ることが通常である。
【0049】
用語「制限された吸収のウィンドウ」又は同様の用語は、本発明の製剤において使用するための薬物、医薬又は医薬品を特性決定する場合には、約75%未満、普通、約60%未満の経口バイオアベイラビリティを指し、普通、用量を増大させるにつれて、減少し、透過性/通過時間によって制限された吸収をほとんど常に有する。
【0050】
本発明の組合せ即時/遅延放出システムは、約0.5:1〜約4:1、例えば、約0.8:1〜約2:1の範囲内の即時放出固相に対する重量比で遅延放出固体粒子相を含み得る。
【0051】
遅延放出固体粒子相は、薬物を約10〜約98重量%、例えば、約15〜約95重量%の範囲内の量で、親水性ポリマー及び/又は疎水性ポリマー及び/又は他の疎水性物質の形態の持続放出物質を、約5〜約95重量%、特に、約7〜約85重量%内の量で含有し、上記の%は、遅延放出固体粒子相の重量に基づいている。混合物が用いられる場合には、親水性ポリマーは、約0.05:1〜約19:1、特に、約0.1:1〜約10:1の範囲内の、疎水性ポリマー及び/又は他の疎水性物質に対する重量比で用いられる。
【0052】
遅延放出固体粒子相の粒子又は顆粒は、約30μm〜約0.8mm、特に、約50μm〜約0.5mmの範囲内の平均粒径を有する。
【0053】
即時放出固相は、1種若しくは複数の親水性ポリマー及び/又は疎水性ポリマー及び/又は他の疎水性物質の形態の即時放出物質(普通、遅延放出固体粒子相中に用いられるものとは異なる)を、約40〜約100%、特に、約60〜約100%(即時放出固相の重量に基づいて)の範囲内の量で含有する。
【0054】
本発明の医薬製剤は、医薬製剤の総重量に基づいて、約25〜約75重量%、特に、約30〜約65%、より特には、約35〜約60重量%の範囲内の、総ポリマー持続放出物質含量(遅延放出固体粒子相中に存在する親水性ポリマー及び/又は疎水性ポリマー及び/又は他の疎水性物質並びに即時放出固相中に存在する親水性ポリマー及び/又は疎水性ポリマー及び/又は他の疎水性物質を含む)を有する。
【0055】
遅延放出固体粒子相及び/又は即時放出固相中に用いられ得る親水性ポリマーとして、それらだけには限らないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸、ポリビニルアルコール、ポビドン、カルボマー、ペクチン酸カリウム、ペクチニン酸カリウムなどが挙げられる。
【0056】
遅延放出固体粒子相及び/又は即時放出固相中に用いられ得る疎水性ポリマーとして、それらだけには限らないが、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アンモニオメタクリレートコポリマー(Eudragit RL(商標))又はEudragit RS(商標))、メタクリル酸コポリマー(Eudragit L(商標)又はEudragit S(商標))、メタクリル酸−アクリル酸エチルエステルコポリマー(Eudragit L 100−5(商標))、メタクリル酸エステル中性コポリマー(Eudragit NE 30D(商標))、ジメチルアミノエチルメタクリレート−メタクリル酸エステルコポリマー(Eudragit E 100(商標))、ビニルメチルエーテル/マレイン酸無水物コポリマー、それらの塩及びエステル(Gantrez(商標))が挙げられる。
【0057】
遅延放出固体粒子相及び/又は即時放出固相中に用いられ得る他の疎水性物質として、それらだけには限らないが、蜜蝋、カルナバワックス、微晶質ワックス及びオゾケライトなどのワックス;セトステアリルアルコール、ステアリルアルコールなどの脂肪アルコール;セチルアルコール及びミリスチルアルコール;並びにモノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセロール、アセチル化モノグリセリド、トリステアリン、トリパルミチン、セチルエステルワックス、パルミトステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル及び硬化ヒマシ油などの脂肪酸エステルが挙げられる。
【0058】
遅延放出固体粒子相及び/又は即時放出固相中に、親水性ポリマー及び/又は疎水性ポリマーが使用される場合には、このようなポリマーは、イオン性又は非イオン性、特に、遅延放出固体粒子相に対してイオン性であり、特に、即時放出固相に対して非イオン性であり得る。
【0059】
遅延放出固体粒子相中に使用するための特定のイオン性ポリマーとして、アルギン酸ナトリウム、カルボマー(Carbopol(商標))、カルボキシメチルセルロースカルシウム又はカルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、メタクリル酸−アクリル酸エチルエステルコポリマー、ジメチルアミノエチルメタクリレート−メタクリル酸エステルコポリマー、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルローストリメリテート及びヒドロキシプロピルメチルセルロースマレエートが挙げられ、特に、カルボキシメチルセルロースナトリウムである。本発明に従う特定の二相性即時/遅延放出送達システムが実施例に示されている。
【0060】
特定の有効成分は、エタボン酸レモグリフロジン塩酸塩である。
【0061】
組合せ
必要な場合には、エタボン酸レモグリフロジン又はその塩は、本発明に従う同一剤形で、別個の経口投与剤形で経口投与され得る、又は注射によって投与され得る、他の抗高血糖症薬及び/又は高脂血症治療薬及び/又は抗肥満薬と組み合わせて使用され得る。エタボン酸レモグリフロジン又はその塩は、約0.01:1〜約300:1、特に、約0.05:1〜約250:1の範囲内の、他の抗高血糖症薬及び/又は高脂血症治療薬及び/又は抗肥満薬に対する重量比で用いられる。
【0062】
他の抗高血糖症薬と組み合わせたエタボン酸レモグリフロジン又はその塩の使用は、これらの医薬各々の単独と比較して、抗高血糖結果の達成において特に役に立ち、これらの医薬によってもたらされる組み合わされた付加的抗高血糖効果よりも大きいものであり得る。
【0063】
さらに、本発明によれば、インスリン抵抗性を低下させる又は2型糖尿病(NIDDM)及び/若しくは1型糖尿病(IDDM)を含めた高血糖症を治療する方法が提供され、ここで、場合により、他の抗高血糖症薬及び/又は高脂血症治療薬及び/又は抗肥満薬と組み合わせた、エタボン酸レモグリフロジン又はその塩を含有する本発明の組合せ製剤の治療上有効な量が、治療を必要とする患者に投与される。
【0064】
他の抗高血糖症薬は、経口抗高血糖症薬、特に、メトホルミン(Glucophageとして一般に販売されている)又は主に肝臓のグルコース生成の抑制によって高血糖症を改善する他の既知ビグアナイドなどのビグアナイドであり得る。
【0065】
他の抗高血糖症薬は、経口抗高血糖症薬、特に、グリブリド(グリベンクラミドとしても知られる)、グリメピリド(米国特許第4,379,785号において開示された)、グリピジド、グリクラジド又はクロルプロパミド、他の既知スルホニル尿素などのスルホニル尿素又はβ細胞のATP依存性チャネルに作用する他の抗高血糖症薬であり得る。
【0066】
エタボン酸レモグリフロジン又はその塩は、約300:1〜約50:1、特に、約250:1〜約75:1の範囲中のスルホニル尿素に対する重量比で用いられる。
【0067】
経口抗高血糖症薬はまた、別個の経口投与剤形で投与され得る、アカルボース(米国特許第4,904,769号において開示された)又はミグリトール(米国特許第4,639,436号において開示された)などのグルコシダーゼ阻害剤であり得る。
【0068】
エタボン酸レモグリフロジンその塩は、約300:1〜約2:1、例えば、約200:1〜約25:1の範囲内のグルコシダーゼ阻害剤に対する重量比で用いられる。
【0069】
エタボン酸レモグリフロジン又はその塩は、トログリタゾン(Warner−LambertのRezulin(登録商標)、米国特許第4,572,912号において開示された)、ロシグリタゾン(SKB)、ピオグリタゾン(Takeda)、MitsubishiのMCC−555(米国特許第5,594,016号において開示された)Glaxo−WelcomeのGL−262570、エングリタゾン(CP−68722、Pfizer)又はダルグリタゾン(CP−86325、Pfizer)などのチアゾリジンジオン経口抗糖尿病薬(これはNIDDM患者においてインスリン感受性効果を有する)と組み合わせて用いられ得る。
【0070】
エタボン酸レモグリフロジン又はその塩は、約75:1〜約0.1:1、例えば、約5:1〜約0.5:1の範囲内の量でチアゾリジンジオンに対する重量比で用いられる。
【0071】
約150mg未満の量のスルホニル尿素及びチアゾリジンジオン、経口抗糖尿病薬は、別個の急速に溶解する層として、本発明の製剤とともに単一の錠剤中に組み込まれ得る。
【0072】
エタボン酸レモグリフロジン又はその塩はまた、注射によって、又は経皮若しくは頬側装置によって投与され得る、インスリンなどの非経口抗高血糖症薬と、又はGLP−1(1−36)アミド、GLP−1(7−36)アミド、GLP−1(7−37)(その開示内容が参照により本明細書に組み込まれている、Habenerの米国特許第5,614,492号において開示されたような)などのグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)と組み合わせて用いられ得る。
【0073】
経口抗高血糖症薬はまた、シチグリプチン(sitigliptin)、ビルダグリプチン、サキサグリプチン、リナグリプチン(Boehringer Ingelheimによって開発されている)又はアログリプチンなどのジペプチジルプロテアーゼIV(DPP−IV)阻害剤であり得る。
【0074】
存在する場合には、グリブリド、グリメピリド、グリピリド(glipyride)、グリピジド、グリピジド、クロルプロパミド及びグリクラジドなどのスルホニル尿素並びにグルコシダーゼ阻害剤アカルボース又はミグリトールは、上記の製剤中に、「Physician’s Desk Reference」中に示される量及び投薬で用いられ得る。
【0075】
存在する場合には、チアゾリジンジオン抗糖尿病薬は、単回用量又は分割用量で1日あたり1〜4回投与され得る、約0.01〜約2000mg/日の範囲内の量で用いられ得る。
【0076】
存在する場合には、インスリンは、「Physician’s Desk Reference」によって示されるような、製剤中に、量及び投薬で用いられ得る。
【0077】
存在する場合には、GLP−1ペプチドは、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,346,701号(TheraTech)、米国特許第5,614,492号及び第5,631,224号に記載されているように、鼻腔投与によって、又は非経口的に経口頬側製剤で投与され得る。
【0078】
他の特定の抗高血糖症薬と組み合わせたエタボン酸レモグリフロジン又はその塩の使用は、これらの医薬各々の単独からあり得るものよりも大きな、またこれらの医薬によってもたらされる組み合わされた付加的抗高血糖効果よりも大きな抗高血糖結果をもたらし得る。
【0079】
さらに、本発明によれば、インスリン抵抗性を低下させる又は2型糖尿病(NIDDM)及び/若しくは1型糖尿病(IDDM)を含めた高血糖症を治療する方法が提供され、ここで、場合により、抗肥満薬と組み合わせた、エタボン酸レモグリフロジン又はその塩を含有する本発明の製剤の治療上有効な量が、治療を必要とする患者に投与される。
【0080】
さらに、本発明によれば、体重減少を達成する方法が提供され、ここで、場合により、抗肥満薬と組み合わせた、エタボン酸レモグリフロジン又はその塩を含有する本発明の製剤の治療上有効な量が、治療を必要とする患者に投与される。
【0081】
抗肥満薬は、経口抗肥満薬、特に、膵臓リパーゼ阻害剤、食欲低下薬、カンナビノイド受容体(CB−1)アンタゴニスト、5HTCアゴニスト又はドーパミン受容体アンタゴニストであり得、例として、ゼニカル、シブトラミン、フェンテルミン、フェンフルラミン、リモナバン、ロルカセリン又はブプロピオンがある。
【0082】
抗肥満薬は、経口抗肥満薬、特に、ゼニカル(オルリスタッット/Alli)などの膵臓リパーゼ阻害剤であり得る。
【0083】
エタボン酸レモグリフロジン又はその塩は、約300:1〜約50:1、例えば、約250:1〜約75:1の範囲の肥満症薬に対する重量比で用いられる。
【0084】
経口抗肥満薬はまた、フェンテルミン、フェンフルラミン又はロルカセリンなどの食欲低下薬であり得る。
【0085】
エタボン酸レモグリフロジンその塩は、約300:1〜約2:1、例えば、約200:1〜約25:1の範囲内の食欲低下薬に対する重量比で用いられる。
【0086】
エタボン酸レモグリフロジン又はその塩は、カンナビノイド−1受容体アンタゴニストなどの経口抗肥満薬と組み合わせて用いられ得る。
【0087】
エタボン酸レモグリフロジン又はその塩は、約75:1〜約0.1:1、例えば、約5:1〜約0.5:1の範囲内の量でカンナビノイド−1受容体アンタゴニストに対する重量比で用いられる。
【0088】
エタボン酸レモグリフロジン又はその塩はまた、注射によって、又は経皮若しくは頬側装置によって投与され得る、レプチンなどの非経口抗肥満薬と組み合わせて用いられ得る。
【0089】
エタボン酸レモグリフロジン又はその塩と組み合わせて場合により用いられ得る高脂血症治療薬として、MTP阻害剤、HMG CoAレダクターゼ阻害剤、スクアレンシンセターゼ阻害剤、フィブリン酸誘導体、ACAT阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、回腸Na/胆汁酸共輸送体阻害剤、胆汁酸金属イオン封鎖剤並びに/又はニコチン酸及びその誘導体を挙げることができる。
【0090】
本明細書において用いられるMTP阻害剤として、米国特許第5,595,872号、米国特許第5,739,135号、米国特許第5,712,279号、米国特許第5,760,246号、米国特許第5,827,875号、米国特許第5,885,983号及び1998年10月20日に出願された米国特許出願第09/175,180号、現在は米国特許第5,563,440号に開示されたMTP阻害剤が挙げられる。
【0091】
本発明に従って用いられるべき特定のMTP阻害剤として、米国特許第5,739,135号及び第5,712,279号及び米国特許第5,760,246号に示されるようなMTP阻害剤が挙げられる。
【0092】
高脂血症治療薬は、HMG CoAレダクターゼ阻害剤であり得、これとして、それらだけには限らないが、メバスタチン及び米国特許第3,983,140号に開示されたような関連化合物、ロバスタチン(メビノリン)及び米国特許第4,231,938号に開示されたような関連化合物、プラバスタチン及び米国特許第4,346,227号に開示されたものなどの関連化合物、シンバスタチン及び米国特許第4,448,784号及び第4,450,171号に開示されたような関連化合物が挙げられる。本明細書において用いられ得る他のHMG CoAレダクターゼ阻害剤として、それらだけには限らないが、米国特許第5,354,772号に開示されたフルバスタチン、米国特許第5,006,530号及び第5,177,080号に開示されたセリバスタチン、米国特許第4,681,893号、第5,273,995号、第5,385,929号及び第5,686,104号に開示されたアトルバスタチン、米国特許第4,613,610号に開示されたようなメバロノラクトン誘導体のピラゾール類似体、PCT出願WO86/03488に開示されたようなメバロノラクトン誘導体のインデン類似体、米国特許第4,647,576号に開示されたような6−[2−(置換−ピロール−1−イル)−アルキル)ピラン−2−オン及びその誘導体、SearleのSC−45355(3−置換ペンタン二酸誘導体)ジクロロアセテート、PCT出願WO86/07054に開示されたようなメバロノラクトンのイミダゾール類似体、仏国特許第2,596,393号に開示されたような3−カルボキシ−2−ヒドロキシ−プロパン−ホスホン酸誘導体、欧州特許出願第0221025号に開示されたような2,3−二置換ピロール、フラン及びチオフェン誘導体、米国特許第4,686,237号に開示されたようなメバロノラクトンのナフチル類似体、米国特許第4,499,289号に開示されたものなどのオクタヒドロナフタレン、欧州特許出願第142,146A2号に開示されたようなメビノリン(ロバスタチン)のケト類似体並びに他の既知HMG CoAレダクターゼ阻害剤が挙げられる。
【0093】
さらに、本明細書において使用するのに適したHMG CoAレダクターゼを阻害するのに有用なホスフィン酸化合物が、GB2205837に開示されている。
【0094】
本明細書において使用するのに適したスクアレンシンセターゼ阻害剤として、それらだけには限らないが、米国特許第5,712,396号に開示されたα−ホスホノ−スルホネート、イソプレノイド(ホスフィニルメチル)ホスホネートを含むBillerら、J.Med.Chem.、1988年、第31巻、第10号、1869〜1871頁によって開示されたもの並びに米国特許第4,871,721号及び第4,924,024号及びBiller,S.A.、Neuenschwander,K.、Ponpipom,M.M.及びPoulter,C.D.、Current Pharmaceutical Design、第2巻、1〜40頁(1996年)に開示されたような他のスクアレンシンセターゼ阻害剤が挙げられる。
【0095】
さらに、本明細書において使用するのに適した他のスクアレンシンセターゼ阻害剤として、P.Ortiz de Montellanoら、J.Med.Chem.、1977年、第20巻、243〜249頁によって開示されたピロリン酸テルペノイド、Corey及びVolante、J.Am.Chem.Soc.、1976年、第98巻、1291〜1293頁によって開示されたようなファルネシル二リン酸類似体A及びピロリン酸プレスクアレン(PSQ−PP)類似体、McClard,R.W.ら、J.A.C.S.、1987年、第109巻、5544頁によって報告されホスフィニルホスホネート並びにCapson,T.L、PhD学位論文、1987年6月、Dept.Med.Chem.U of Utah、要約、内容の表、16、17、40〜43、48〜51頁、要旨によって報告されたシクロプロパンが挙げられる。
【0096】
本明細書において使用するのに適した他の高脂血症治療薬として、それらだけには限らないが、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラートなどといったフィブリン酸誘導体、米国特許第3,674,836号に開示されたようなプロブコール及び関連化合物(プロブコール及びゲムフィブロジルが例である)、コレスチラミン、コレスチポール及びDEAE−Sephadex(Secholex(登録商標)、Policexide(登録商標))などの胆汁酸捕捉剤並びにリポスタビル(Rhone−Poulenc)、Eisai E−5050(N−置換エタノールアミン誘導体)、イマニキシル(HOE−402)、テトラヒドロリプスタチン(THL)、イスチグマスタニルホスホリルコリン(istigmastanylphosphorylcholine)(SPC、Roche)、アミノシクロデキストリン(Tanabe Seiyoku)、Ajinomoto AJ−814(アズレン誘導体)、メリナミド(Sumitomo)、Sandoz 58−035、American Cyanamid CL−277,082及びCL−283,546(二置換尿素誘導体)、ニコチン酸、アシピモックス、アシフラン、ネオマイシン、p−アミノサリチル酸、アスピリン、米国特許第4,759,923号に開示されたものなどのポリ(ジアリルメチルアミン)誘導体、第4級アミンポリ(ジアリルジメチル塩化アンモニウム)及び米国特許第4,027,009号に開示されたものなどのイオネン及び他の既知血清コレステロール低下剤が挙げられる。
【0097】
高脂血症治療薬は、「ACAT阻害剤、CI−1011は、ハムスターにおける大動脈脂肪線条領域の予防及び退縮において有効である(The ACAT inhibitor, CI−1011 is effective in the prevention and regression of aortic fatty streak area in hamsters)」、Nicolosiら、Atherosclerosis(Shannon、Irel).(1998年)、第137巻(1)、77〜85頁;「FCE 27677の薬理学的プロフィール:ApoB100含有リポタンパク質の肝臓分泌の選択的抑制によって媒介される強力な脂質低下活性を有する新規ACAT阻害剤(The pharmacological profile of FCE 27677: a novel ACAT inhibitor with potent hypolipidemic activity mediated by selective suppression of the hepatic secretion of ApoB100−containing lipoprotein)」、Ghiselli、Giancarlo、Cardiovasc. Drug Rev.(1998年)、第16巻(1)、16〜30頁;「RP 73163:生物が利用可能なアルキルスルフィニルジフェニルイミダゾールACAT阻害剤(RP 73163: a bioavailable alkylsulfinyl−diphenylimidazole ACAT inhibitor)」、Smith,Cら、Bioorg.Med.Chem.Lett.(1996年)、第6巻(1)、47〜50頁;「ACAT阻害剤:実験動物における脂質低下活性及び抗アテローム硬化性活性の生理学的機序(ACAT inhibitors: physiologic mechanisms for hypolipidemic and anti−atherosclerotic activities in experimental animals)」、Krauseら、編集者:Ruffolo,Robert R.,Jr.; Hollinger,Mannfred A.、Inflammation:Mediators Pathways(1995年)、173〜98頁、出版社:CRC、Boca Raton、Fla.;「ACAT阻害剤:潜在的抗アテローム硬化性薬剤(ACAT inhibitors: potential anti−atherosclerotic agents)」、Sliskovicら、Curr.Med.Chem.(1994年)、第1巻(3)、204〜25頁;「アシル−CoAの阻害剤:抗コレステロール血症剤としてのコレステロールO−アシルトランスフェラーゼ(ACAT)。6.脂質調節活性を有する第1の水溶性ACAT阻害剤。アシル−CoAコレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)の阻害剤。7.増強された低コレステロール血症活性を有する一連の置換N−フェニル−N’−[(1−フェニルシクロペンチル)メチル]尿素の開発(Inhibitors of acyl−CoA:cholesterol O−acyl transferase(ACAT) as hypocholesterolemic agents. 6.The first water−soluble ACAT inhibitor with lipid−regulating activity. Inhibitors of acyl−CoA:cholesterol acyltransferase(ACAT). 7.Development of a series of substituted N−phenyl−N’−[(1−phynylcyclopentyl)methyl]ureas with enhanced hypocholesterolemic actibity)」、Stoutら、Chemtracts:Org.Chem.(1995年)、第8巻(6)、359〜62頁に開示されたものなどのACAT阻害剤であり得る。
【0098】
コレステロール吸収阻害剤は、Schering−PloughのSCH 48461又はAtherosclerosis第115巻、45〜63頁(1995年)若しくはJ.Med.Chem.第41巻、973頁(1998年)に開示されたようなものであり得る。
【0099】
回腸Na/胆汁酸共輸送体阻害剤は、Drugs of the Future、第24巻、425〜430頁(1999年)に開示されたようなものであり得る。特定の高脂血症治療薬として、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン及びセリバスタチンがある。
【0100】
上記の米国特許は、参照により本明細書に組み込まれている。用いられる量及び投与量は、「Physician’s Desk Reference」及び/又は上記で示された特許に示されたようなものとなる。
【0101】
本発明の式(I)の化合物は、約500:1〜約1:500、特に、約100:1〜約1:100の範囲内の高脂血症治療薬(存在する場合には)に対する重量比で用いられる。
【0102】
投与される用量は、患者の年齢、体重及び状態並びに投与経路、剤形及び投与計画及び所望の結果に従って注意深く調整されなくてはならない。
【0103】
高脂血症治療薬の投与量及び製剤は、上記で論じられた種々の特許、論文及び出願に開示されたようなものとなる。
【0104】
用いられるべき他の高脂血症治療薬の投与量及び製剤は、必要に応じて、「Physician’s Desk Reference」の最新版に示されたようなものとなる。
【0105】
経口投与には、約0.01mg/kg〜約100mg/kg、例えば、約0.1mg/kg〜約75mg/kg、1日1〜4回の範囲内の量でMTP阻害剤を用いて満足のいく結果が得られ得る。
【0106】
錠剤又はカプセル剤などの特定の経口投与剤形は、MTP阻害剤を、約1〜約500mg、特に、約2〜約400mg、例えば、約5〜約250mg、1日1〜4回の量で含有する。
【0107】
非経口投与には、MTP阻害剤は、約0.005mg/体重1kg〜約10mg/kg、特に、約0.005mg/kg〜約8mg/kg、1日1〜4回の範囲内の量で用いられる。
【0108】
経口投与には、HMG CoAレダクターゼ阻害剤、例えば、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン又はセリバスタチンを、「Physician’s Desk Reference」に示されたように用いられる投与量で、例えば、約1〜2000mg、特に、約4〜約200mgの範囲内の量で用いて満足のいく結果が得られ得る。
【0109】
スクアレンシンセターゼ阻害剤は、約10mg〜約2000mg、特に、約25mg〜約200mgの範囲内の量での投与量で用いられ得る。
【0110】
錠剤又はカプセル剤などの特定の経口投与剤形は、HMG CoAレダクターゼ阻害剤を、約0.1〜約100mg、例えば、約5〜約80mg、より特には、約10〜約40mgの量で含有する。
【0111】
錠剤又はカプセル剤などの特定の経口投与剤形は、スクアレンシンセターゼ阻害剤を、約10〜約500mg、特に、約25〜約200mgの量で含有する。
【0112】
エタボン酸レモグリフロジン又はその塩及び高脂血症治療薬は、同一経口投与剤形で、又は同時に服用される別個の経口投与剤形で一緒に用いられ得る。
【0113】
上記の組成物は、単回用量又は分割用量、1日1回及び1日4回までで、上記の剤形で投与され得る。患者は、低用量の組合せで開始し、高用量の組合せに徐々に上げることが賢明であり得る。
【0114】
特定の高脂血症治療薬として、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン又はセリバスタチンがある。
【0115】
以下のさらなる種類の高度に水溶性の薬物は、本発明の送達システム中に用いられ得る:プラバスタチン;グアネチジンと関連する(米国特許第2,928,829号に開示されたような)及びグアノキシフェン(guanoxyfen)と関連する(BE612362に開示されたような)降圧剤及び抗うつ剤;アミジノマイシンと関連するものなどの抗生物質及び殺ウイルス剤(JP21,418に開示されたような);スタリマイシン(stallimycin)(DE1,039,198に開示されたような);アルファメニンB(欧州特許出願公開第85/133550A2号に開示されたような);キチノボリンA(欧州特許出願公開第85/150,378A2号及び米国特許第4,723,004号に開示されたような);ストレプトマイシン(米国特許第2,868,779号に開示されたような);SB−59(Justus Liebigs、Ann.Chem.(1973年)第7巻、1112〜1140頁に開示されたような);TAN−1057−A(米国特許第4,971,965号に開示されたような);ストレプトニアジド(J.Am.Chem.Soc.(1953年)第75号、2261頁に開示されたような);ST−789と関連する免疫賦活薬(欧州特許出願公開第88/260588号に開示されたような);ナファマスタット(nafamastat)と関連するペプチドヒドロラーゼ阻害剤(米国特許第4,454,338号に開示されたような);ガベキサート(米国特許第3,751,447号に開示されたような);セピモスタット(米国特許第4,777,182号及び第4,820,730号に開示されたような);DX−9065aと関連する第Xa因子阻害剤(欧州特許出願公開第92/0540051号に開示されたような);米国特許第2,877,269号に開示されたようなパラニリンと関連する抗炎症薬;ペプチジルアルデヒド(W094/13693に開示されたような);GMCHA−TBPと関連する抗アナフィラキシー薬(antianaphylactics)(Batebulast)(米国特許第4,465,851号に開示されたような);ベネキサートと関連する抗潰瘍剤(米国特許第4,348,410号に開示されたような);デオキシスパガリン(米国特許第4,518,532号、第4,658,058号及び第4,983,328号に開示されたような);及びアルギニン。
【0116】
本明細書において使用するのに適した他の水溶性薬物として、約100〜10,000、より特に、約100〜約6,000の分子量を有し、2〜35個のアミノ酸部分を有するペプチドが挙げられる。より高い分子量ペプチド、10,000を超える、約50,000までの分子量を有するものでさえ、本発明の製剤において適応され得る。
【0117】
適した小ペプチドは、約2〜約10個、より特に、約2〜約6個のアミノ酸部分を有する。小ペプチドは、約600の平均分子量を有するテトラペプチドであるフィブリノーゲン受容体アンタゴニスト(RGD含有ペプチド)を含む。これらのペプチドアンタゴニストは、1pmol/mL程度の低い血漿レベルで高度に強力な血小板凝集阻害剤である。特定のフィブリノーゲンアンタゴニストとして、ペプチドシクロ(S,S)−N−アセチル−Cys−(N−メチル)Arg−Gly−Asp−Pen−NH(Aliら、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれているEP0341915)及びペプチドシクロ(S,S)−(2−メルカプト)ベンゾイル−(N−メチル)Arg−Gly−Asp−(2−メルカプト)−フェニルアミド(その開示内容が参照により本明細書に組み込まれているEP0423212)が挙げられる。本発明において有用な他のフィブリノーゲンアンタゴニストとして、Pierschbacherら、WO89/05150(米国特許第8,804,403号);Marguerie、EP0275748;Adamsら、米国特許第4,857,508号;Zimmermanら、米国特許第4,683,291号;Nuttら、EP0410537、EP0410539、EP0410540、EP0410541、EP0410767、EP0410833、EP0422937及びEP0422938;Aliら、EP0372486;Ohbaら、WO90/02751(PCT/JP89/00926);Kleinら、米国特許第4,952,562号;Scarboroughら、WO90/15620(PCT/US90/03417);Aliら、PCT7US90/06514及びPCT7US92/00999によって開示されたペプチド;Aliら、EP0381033及びEP0384362によって開示されたペプチド様化合物;並びにRGDペプチドシクロ−N−アセチル−Cys−Asn−Dtc−Amf−Gly−Asp−Cys−OH(式中、Dtcは、4,4’−ジメチルチア−ゾリジン−5−カルボン酸であり、Amfは、4−アミノメチルフェニル−アラニンである)がある。
【0118】
RGDペプチドは、約600mg/親水性相1gまでの又は0.1〜60mg/製剤1gの量で本発明の製剤中に有用に含まれ得る。
【0119】
本発明において有用な他のペプチドとして、それらだけには限らないが、他のRGD含有ペプチド、例えば、Momany、米国特許第4,411,890号及び米国特許第4,410,513号;Bowersら、米国特許第4,880,778号、米国特許第4,880,777号、米国特許第4,839,344号;及びWO89/10933(PCT/US89/01829)によって開示されるもの;ペプチドAla−His−D−Nal−Ala−Trp−D−Phe−Lys−NH(式中、Nalは、b−ナフチル−アラニンを表す)及びMomany、米国特許第4,228,158号、米国特許第4,228,157号、米国特許第4,228,156号、米国特許第4,228,155号、米国特許第4,226,857号、米国特許第4,224,316号、米国特許第4,223,021号、米国特許第4,223,020号、米国特許第4,223,019号及び米国特許第4,410,512号によって開示されたペプチドが挙げられる。
【0120】
他の適したペプチドとして、成長ホルモン放出ペプチド(GHRP)His−D−Trp−Ala−Trp−D−Phe−Lys−NH(Momany、その開示内容の全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,411,890号)などのヘキサペプチドが挙げられる。これは、約250mg/親水性相1gまでの又は0.1〜25mg/製剤1kgの量で有用に含まれ得る。
【0121】
本発明の制御放出製剤中に使用するのに適したより大きなポリペプチド及びタンパク質として、インスリン、カルシトニン、エルカトニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド及びブタソマトスタチン並びにそれらの類似体及び相同体が挙げられる。他の適したより大きなポリペプチドとして、Pierschbacherら、米国特許第4,589,881号(>30個の残基);Bittleら、米国特許第4,544,500号(20〜30個の残基);及びDimarchiら、EP0204480(>34個の残基)によって開示されたものが挙げられる。
【0122】
本発明において有用な他の種類の化合物として、強力なLH放出活性を示すか、又はLHRHの活性を阻害するLHRHの類似体又は相同体;造血(hematopoetic)活性を有するHP5の類似体又は相同体;降圧活性を有するエンドセリンの類似体又は相同体;抗侵害受容性活性を有するエンケファリンの類似体又は相同体;コレシストキニン(chlorecystokinin)の類似体又は相同体;免疫抑制活性を有するシクロスポリンAの類似体又は相同体;心房性ナトリウム利尿因子の類似体又は相同体;ペプチド作動性抗悪性腫瘍薬;ガストリン放出ペプチドの類似体又は相同体;ソマトスタチンの類似体又は相同体;ガストリンアンタゴニスト;ブラジキニンアンタゴニスト;ニューロテンシンアンタゴニスト;ボンベシンアンタゴニスト;オキシトシンアゴニスト及びアンタゴニスト;バソプレシンアゴニスト及びアンタゴニスト;ヒルジン類似体及び相同体;細胞保護的ペプチドシクロリノペプチドの類似体及び相同体;αMSH類似体;MSH放出因子(Pro−Leu−Gly−NH)の類似体及び相同体;コラゲナーゼを阻害するペプチド;エラスターゼを阻害するペプチド、レニンを阻害するペプチド;HIVプロテアーゼを阻害するペプチド;アンジオテンシン変換酵素を阻害するペプチド;キマーゼ及びトリプターゼを阻害するペプチド及び血液凝固酵素を阻害するペプチドが挙げられる。
【0123】
他の適した薬物として、抗生物質、抗菌薬、抗悪性腫瘍薬、カプトプリルなどの心血管及び腎臓薬剤、抗炎症性、免疫抑制及び免疫賦活性薬剤並びにCNS薬剤などの非ペプチド治療薬が挙げられる。
【0124】
製剤
本発明の組合せ即時/遅延放出製剤は、このような治療を必要とするイヌ、ネコ、ヒトなどといった種々の哺乳動物種に投与され得る。
【0125】
本発明のシステムは、錠剤又はカプセル剤などの従来の全身剤形中に組み込まれ得る。上記の剤形はまた、必要な生理学的に許容される担体物質、賦形剤、滑沢剤、バッファー、抗菌薬、充填剤(マンニトールなど)、抗酸化物質(アスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウム)などを含み得る。
【0126】
投与される用量は、患者の年齢、体重及び状態並びに投与経路、剤形及び投与計画及び所望の結果に従って注意深く調整され得る。一般に、上記のエタボン酸レモグリフロジン又はその塩を含有する製剤の剤形(それ自体であろうと、他の抗高血糖症薬及び/又は高脂血症治療薬及び/又は抗肥満薬とともにであろうと)は、これまでに塩酸エタボン酸レモグリフロジンについて記載されたような量で投与され得る。
【0127】
エタボン酸レモグリフロジン又はその塩及び他の抗高血糖症剤及び/又は高脂血症治療薬及び/又は抗肥満薬の組合せは、従来の製剤手順を用いて、別個に、又は可能な場合には、単一製剤中に製剤され得る。
【0128】
本発明の種々の製剤は、ラクトース、糖、コーンスターチ、修飾コーンスターチ、マンニトール、ソルビトール、炭酸カルシウムなどの無機塩及び/又は木材セルロース及び微晶質セルロースなどのセルロース誘導体(圧縮助剤(compression aid)とも呼ばれる)などの1種又は複数の増量剤又は賦形剤を、約90重量%まで、特に、約1〜約80重量%の範囲内の量で含み得る。
【0129】
1種又は複数の結合剤は、増量剤に加えて、又はその代わりに、組成物の約0〜約35重量%、特に、約0.5〜約30重量%の範囲内の量で存在し得る。本明細書において使用するのに適したこのような結合剤の例として、ポリビニルピロリドン(約5000〜約80,000、特に、約40,000の範囲の分子量)、ラクトース、コーンスターチ、修飾コーンスターチ、糖、アラビアガムなどといったデンプン並びにカルナバワックス、パラフィン、鯨蝋、ポリエチレン又は微晶質ワックスなどの微粒子形態(500ミクロン未満)のワックス結合剤が挙げられる。
【0130】
組成物が錠剤の形態である場合には、それはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルナバワックスなどといった1種又は複数の錠剤化滑沢剤を、組成物の約0.2〜約8重量%、例えば、約0.5〜約2重量%の範囲内の量で含み得る。場合により存在してもよい他の従来の成分として、防腐剤、安定化剤、付着防止剤(anti−adherent)又はシリカ流動調整剤又は流動促進剤、例えば、Syloidブランドの二酸化ケイ素並びにFD&Cカラーが挙げられる。
【0131】
本発明の錠剤はまた、場合により、約15重量%までの錠剤組成物を含み得る任意選択のコーティング層を含み得る。中に包埋された遅延放出固相の粒子を含有する即時放出固相上に適用され得るコーティング層(これは即時放出活性物質を実際に含有し得る)は、任意の従来のコーティング製剤を含んでもよく、1種又は複数のフィルム形成剤又は結合剤、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのような親水性ポリマー及び/又はメタクリル酸エステル中性ポリマー、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール−マレイン酸無水物コポリマー、β−ピネンポリマー、木材樹脂のグリセリルエステルなどのような疎水性ポリマー並びに1種又は複数の可塑剤、例えば、クエン酸トリエチル、フタル酸ジエチル、プロピレングリコール、グリセリン、フタル酸ブチル、ヒマシ油などを含む。コア錠剤並びにコーティング製剤の両方とも、色を提供するためにアルミニウムレーキを含有し得る。
【0132】
フィルム形成剤は、水、メチルアルコール、エチルアルコール又はイソプロピルアルコールのようなアルコール、アセトン又はエチルメチルケトンのようなケトン、塩化メチレン、ジクロロエタン及び1,1,1−トリクロロエタンのような塩素化炭化水素を含む1種又は複数の溶媒を含有する溶媒システムから適用される。
【0133】
色が用いられる場合には、色は、フィルム形成剤、可塑剤及び溶媒組成物と一緒に適用されても、又は全く別個の最上層であってもよい。
【0134】
図4中に表されるものなどの本発明のカプセル剤は、その内部に即時及び遅延放出粒子が懸濁されている賦形剤又は医薬上許容される担体を含み得る。本明細書において、語句「医薬上許容される担体」とは、液体若しくは固体フィルター、希釈剤、賦形剤、溶媒若しくはカプセル化剤などの医薬上許容される物質、組成物又は媒体を意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合しており、患者にとって有害でないという点で「許容され」なくてはならない。医薬上許容される担体として役立ち得る物質のいくつかの例として、(1)ラクトース、グルコース及びスクロースなどの糖;(2)コーンスターチ及びジャガイモデンプンなどのデンプン;(3)カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)ココアバター及び坐剤ワックスなどの賦形剤;(9)ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及び大豆油などの油;(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールなどのポリオール;(12)オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱物質不含水;(17)等張食塩水;(18)リンガー溶液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸バッファー溶液;及び(21)医薬製剤中に用いられる他の非毒性適合物質が挙げられる。
【0135】
カプセル剤製剤は、カプセル剤に添加される通常の賦形剤を含んでよく、これとして、それだけには限らないが、微晶質セルロース、大豆多糖、リン酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム、ラクトース、スクロース、ソルビトール又は任意の他の不活性増量剤などの増量剤が挙げられる。さらに、ヒュームド二酸化ケイ素、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム又は良好な流動特性を付与する任意の他の物質などの流動助剤があり得る。必要に応じて、ポリエチレングリコール、ロイシン、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸カルシウムなどの滑沢剤もまた、添加され得る。
【0136】
製剤は、好都合には、単位剤形で提示され得、薬学の技術分野で周知の方法のいずれかによって調製され得る。すべての方法は、薬物を、1種又は複数の補助的成分を構成する担体又は希釈剤と結びつけることを含む。一般に、製剤は、薬剤を、担体と均一及び密接に結びつけること、次いで、必要に応じて、生成物をその単位投与量に分割することによって調製される。当業者ならば、従来用いられる、活性薬剤に関して不活性である、好ましくは、生物学的接着コーティングを用いる実施形態において生物学的接着を干渉しない任意の媒体又は担体が、本発明の医薬組成物を調製及び投与するために利用され得るということは理解されよう。このような媒体及び担体の例示として、例えば、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれている、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版(1990年)に記載されているものがある。
【0137】
担体及び希釈剤の特定の例として、アルギン酸などの医薬上許容されるヒドロゲル、キトサン、メタクリル酸メチル、セルロース及びその誘導体(微晶質セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース)、アガロース及びPOVIDONE(商標)、カオリン、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、ラクトース、スクロース、硫酸バリウム及び油などの密度制御剤、アスパラギン酸、クエン酸、グルタミン酸、タルタルティックアシッド(tartartic acid)、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、グリシン、トリシン、トロメタミン及びトリスなどの溶解促進物質が挙げられる。
【0138】
当業者ならば、投与での治療効果に必要な薬物の量は、当然、選択された薬剤、状態の性質及び重症度並びに治療を受けている動物に応じて変わり、最終的には、医師の判断となるということは認識されよう。さらに、薬物の最適な量及び個々の投与量の間隔は、治療されている状態の性質及び程度、投与の形態、経路及び部位、治療されている特定の患者によって決定され、このような最適条件は、従来の技術によって決定され得る。また、最適な治療過程、すなわち、与えられる用量の数は、治療決定試験の従来の過程を使用して当業者によって確認され得るということも理解されよう。
【0139】
エタボン酸レモグリフロジンは、錠剤又は1個のカプセル剤などの1個の固体形態で、少なくとも約200mg、特に、約250mg〜500mgの量で1日1回投与され得る。
【0140】
さらに、本発明によれば、本発明の即時/遅延放出エタボン酸レモグリフロジン製剤は、少なくとも1時間までに血漿エタボン酸レモグリフロジン濃度(Cmax)を実現し、最大エタボン酸レモグリフロジン血漿濃度(Tmax)に到達する時間を少なくとも約3時間(しかし、2〜4時間の範囲)増大するが、血漿エタボン酸レモグリフロジン濃度時間曲線下面積(AUC)に対しては適度の影響しか与えない。したがって、本発明の即時/遅延放出エタボン酸レモグリフロジン製剤は、糖尿病の治療におけるエタボン酸レモグリフロジンの1日1回の投薬のために用いられ得る。
【0141】
図面
図1は、3つの別個の特定の実施形態を特徴とし得る、本発明の錠剤18を提供する。錠剤18は、即時放出される第1の医薬上有効な成分の均質層22と、遅延放出される第1の医薬上有効な成分の個別の粒子23と、遅延放出される結合剤20と、この場合には、結合剤20中に含まれている点で遅延放出される、第2の医薬上有効な成分の個別の粒子24とを備え得る。
【0142】
或いは、第2に、錠剤18は、第2の活性物質の即時放出層22と、遅延放出される第1の医薬上有効な成分の個別の遅延放出粒子23と、即時放出結合剤20と、第1の活性物質の個別の粒子24とを備え得る。
【0143】
第3に、錠剤18は、カラー層22と、遅延放出される第1の活性物質の個別の遅延放出粒子23と、即時放出結合剤20と、第1の活性物質の即時放出粒子24とを備え得る。
【0144】
図2は、2つの実施形態を特徴とし得る。第1に、錠剤26は、第1の活性物質の即時放出均質層28と、遅延放出される第1の活性物質の個別の粒子31と、遅延放出される結合剤30と、第2の活性物質の個別の粒子32とを備え得る。
【0145】
或いは、第2に、錠剤26は、第1の活性物質の即時放出均質層28並びに第1の活性物質の即時放出粒子32を備え得る。遅延放出される第1の活性物質は、即時放出結合剤30中の遅延放出される個別の粒子31として提供される。
【0146】
図3は、2つの実施形態を特徴とし得る。第1に、錠剤10は、固体コア12を完全に覆うコーティング層16を含み得、ここで、層16は、第1の活性物質の均質即時放出製剤である。コア12内に、遅延放出される第1の活性物質の粒子13及び遅延放出される第2の活性粒子14が配置されている。
【0147】
或いは、第2に、錠剤10は、摂取の際に急速に溶解するコーティング層16を含み得る。層16内に、即時放出結合剤12及び即時放出される第1の活性物質の個別の粒子13及び第1の活性物質の遅延放出製剤の個別の粒子14が配置されている。
【0148】
図4は、2つの実施形態を特徴とし得る。第1に、ゼラチンカプセル剤又はカプレット9は、即時放出ビーズ/ペレット/粒子6及び制御/遅延/持続性放出ビーズ/ペレット/粒子7を含む内部8を含有し得る。このようなビーズ6及び7の各々は、第1の又は第1及び第2の医薬成分を有する個別の実体である。カプセル9の残りの内部8は、ビーズ6及び7を保持するための固体又は流動固体であり得る賦形剤又は担体を含む。
【0149】
或いは、第2に、カプセル又はカプレット9は、摂取の際に即時放出するための第1の医薬上有効な成分の均質混合物を含む内部8を含有し得る。また、8のマトリックス内に、互いに異なる時点で放出する有効成分の2つの別個のビーズ/ペレット/粒子6及び7が含有される。例えば、ビーズ6は、摂取後Tmax約2〜3時間で放出し得、ペレット7は、摂取後約4〜5時間で放出し得る。したがって、カプセル9は、エタボン酸レモグリフロジンの3つの別個の違った製剤を有し、それによって、少なくとも約50ナノグラム/mlのレモグリフロジンの血液濃度を、少なくとも約5時間の期間にわたって達成し得る。
【0150】
図1、2、3及び4の上記の説明のすべてにおいて、第1の医薬上有効な成分は、エタボン酸レモグリフロジン又はその塩である。第2の活性物質は、存在する場合には、本明細書に記載されたように選択される。さらに、第2の活性物質の説明は、第2の活性物質を完全に排除することによって容易に改変され得る。
【0151】
参照例1
エタボン酸レモグリフロジンは、レモグリフロジン(GSK189074としても知られる)、ナトリウム依存性グルコース輸送体2(SGLT2)を阻害する活性実体のプロドラッグである。しかし、レモグリフロジンの短い半減期(およそ1.5〜2時間)は、有効であるために1日2回の投薬を余儀なくさせる可能性が高い。いくつかの調節/持続性(MR)放出製剤のうちの1種が、投薬間隔にわたって薬力学的(PD)効果を延長し、ひいては、IR製剤を用いた場合に必要な用量よりも少ない合計1日量を、1日2回の投与を用いて可能にするかどうかを判定するために、臨床研究が実施された。MR製剤のいずれかが、1日1回の投薬という有利な状況を提供するであろうとはほとんど期待されなかった(表1)。
【表1】
【0152】
参照例2
すでに実施された臨床研究によって、エタボン酸レモグリフロジンは、上部GI管においてのみ吸収されることが示唆されている(表2)。即時放出IR製剤中のエタボン酸レモグリフロジンの経口投与後に、親薬物が急速に吸収され、レモグリフロジン、活性実体に変換された。同様に、エタボン酸レモグリフロジンの生体内強化(bioenhanced)溶液又は懸濁液製剤のいずれかが、小腸中央部へ直接的に投与された場合には、エタボン酸レモグリフロジンは急速に吸収され、レモグリフロジンに変換された。しかし、生体内強化溶液又は懸濁液製剤のいずれかが、盲腸/結腸へ直接的に投与された場合には、制限されたエタボン酸レモグリフロジンの吸収及び/又はレモグリフロジンへの変換が観察された。
【0153】
盲腸/結腸へ懸濁液が投与された場合に、2個体の対象においてレモグリフロジンのtmaxのわずかな遅延が観察されたものの、tmax値に基づいて、全身循環におけるエタボン酸レモグリフロジン及びレモグリフロジンの出現速度は、すべての治療間で同等であった。参照治療としてエタボン酸レモグリフロジンのIR経口錠剤を使用すると、活性化合物、レモグリフロジンのバイオアベイラビリティの程度は、生体内強化溶液又は懸濁液製剤が小腸中央部へ直接的に投与された場合には、それぞれ約4%又は12%低く、溶液又は懸濁液が盲腸/結腸へ直接的に投与された場合には、それぞれ約83%又は96%低いとAUC(0〜無限大)又はAUC(0〜最後)によって決定された。生体内強化された溶液と比較して懸濁液が小腸中央部へ投与された場合には、レモグリフロジンのバイオアベイラビリティの程度はわずかに低かった(8%)が、生体内強化された溶液と比較して懸濁液が盲腸/結腸へ投与された場合には大幅に低かった(80%)。すべての治療の中で、経口的に投与されたIR錠剤は、最高度のレモグリフロジンのバイオアベイラビリティ(bioavailablity)を有し、盲腸/結腸(colan)へ投与された懸濁液は、最低度のレモグリフロジンのバイオアベイラビリティを有した。
【0154】
これらのデータは、経口投与されたエタボン酸レモグリフロジンは、小腸中央部から大規模に、主に吸収され、及び/又は小腸中央部においてレモグリフロジンに変換され、盲腸/結腸では、レモグリフロジンの吸収及び/又はレモグリフロジンへの代謝性変換はほとんどないことを示す。エタボン酸レモグリフロジン製剤が、盲腸/結腸へ直接的に送達された場合には、親に対する代謝生成物のAUC比は、経口IR錠剤又は小腸中央部への薬物送達と比較してかなり小さかった。参照としてIR錠剤を使用すると、エタボン酸レモグリフロジンcmaxは、生体内強化溶液又は懸濁液製剤が小腸中央部へ直接的に投与された場合は、それぞれ約22%又は40%低く、溶液又は懸濁液が、盲腸/結腸へ直接的に投与された場合は、それぞれ、約82%又は96%低かった。
【0155】
エタボン酸レモグリフロジンは、胃腸管の下部では本質的に乏しい透過性しか有さず、これによりほとんど胃腸管の上部のみでの吸収につながる。それはまた、短い半減期(t1/2=1.5時間)も有する。これが、3回の主要な食事及びその後のグルコース血漿変動の間に化合物の必要な量の放出を提供することの困難さにつながり得る。
【表2】
【0156】
(例1)
エタボン酸レモグリフロジンカプセル剤(即時放出/遅延放出)
種々の濃度のエタボン酸レモグリフロジンを、以下の表3に従って製剤し、その結果、カプセル剤1個あたり250〜500mgの有効成分を含有するカプセル剤が得られる:
【表3】
【0157】
レモグリフロジンは、下部胃腸管では乏しい透過性しか有さないので、ほとんど上部胃腸管のみでの吸収が見られるであろう。この吸収のウィンドウは、摂食、個体差などに応じて3〜6時間の範囲である。レモグリフロジンはまた、短い半減期(t=1.5時間)も有する。これらの問題に対処するための、3回の主要なグルコース移動(朝食、昼食及び夕食)の間にSGLT2を最大に阻害するが、睡眠期間の間の化合物曝露を最小にする曝露プロフィールを達成するための、IR低用量及びDR高用量の薬物の例1aから1j放出に従って製造された錠剤。したがって、例1cは、摂取1時間後に160ng/mLの最大レモグリフロジン血漿濃度を可能にするIR製剤を含む約350mgの圧縮錠である。このCmaxは、3時間後の40ng/mLにまで血漿から除去される。その時点で、摂取からのTmaxを4〜5時間に増大させるDR製剤は、250mgの活性物質を放出して、450ng/mLのCmaxとし、次いで、10PM頃の約10ng/mLの血漿レベルまで除去される。
【0158】
エタボン酸レモグリフロジン、微晶質セルロース及びクロスカルメロースナトリウムを、水/ポビドン溶液を用いて造粒する。顆粒を乾燥させ、粉砕し、次いで、マンニトール、微晶質セルロース及びクロスカルメロースとブレンドする。ブレンドを、ステアリン酸マグネシウムを用いて潤滑にし、圧縮する。
【0159】
腸溶性コーティングされた薬物が層状にされたペレットを、微晶質セルロース球を、微粒子化エタボン酸レモグリフロジン、ポビドン及び精製水を含有する水性懸濁液、続いて、水性Opadry懸濁液、続いて、メタクリル酸コポリマー、モノステアリン酸グリセロール、ポリソルベート80、クエン酸トリエチル及び精製水の水性腸溶性懸濁液でコーティングすることによって製作する。製剤は、標準手順によって製作され、従来の賦形剤を使用する。
【0160】
50及び100mgのIR製剤ペレットを各々、200、250、300及び400mgの腸溶性コーティングされたペレット(DR製剤)の量と混合し、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はHPMC)カプセル殻中に充填する。或いは、IR及びDR製剤ペレットは、例2に示されるようにプレス加工されて錠剤にされ得る。
【0161】
(例2)
エタボン酸レモグリフロジン錠剤(即時放出/遅延放出)
種々の濃度のエタボン酸レモグリフロジンを、以下の表4に従って製剤し、プレス加工して錠剤にし、その結果、各々、有効成分を含めた350〜700mgの成分を含有する即時放出/遅延放出錠剤が得られる:
【表4】
【0162】
こうして本発明の新規製剤は、糖尿病の治療におけるヒトへのエタボン酸レモグリフロジンの1日に1回の投与における大幅な進歩に相当する。
【0163】
上記の実施例に記載されたエタボン酸レモグリフロジン製剤は、最適な治療管理を提供するために、1個、2個又はそれ以上の錠剤及び/又はカプセル剤で、上記のように、1日1回投与され得る。
【0164】
本発明は、本明細書を通じて本明細書に記載されているように、態様及び実施形態の組合せ並びに特定の実施形態を含む。
【0165】
特に断りのない限り、特定の用語又は語句は、具体的に定義されないという事実は、不定性又は明確さがないことと関連付けられるべきでなく、むしろ、本明細書において用語は、その通常の意味内で使用される。本明細書において商標が使用される場合には、出願人は、商標製品及び商標製品の活性医薬成分(単数又は複数)を含むことを独立に意図している。
【0166】
観察される特定の薬理学的反応は、選択された特定の活性化合物又は医薬担体があるかどうか、並びに製剤の種類及び用いられる投与様式に従って、また、それに応じて変わることがあり、結果におけるこのような予想される変化又は相違は、本発明の実施に従って考えられる。
【0167】
本発明の特定の実施形態が、本明細書において例示され、詳細に説明されているが、本発明は、それに限定されない。上記の詳細な説明は、本発明の例示として提供されるものであり、本発明の何らかの限定を構成すると解釈されべきでない。改変は当業者には明らかであり、本発明の精神から逸脱しないすべての改変は、添付の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4