【文献】
Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,1999年,Vol.9(21),p.3075-3080
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
本発明の実施形態には、下記の列挙文節により記載されるものが含まれる:
1A. 式Iの化合物、
A−L−Q (I)
または薬学的に許容可能なその塩、
式中:
Aは、水素結合形成基;
Lは、任意に置換してもよいメチレン、O、S、任意に置換してもよいNH、スルホニル、ビニレン、からなる群より選択される1つまたは複数のユニットならびに二価の単環式および二環式炭素環および芳香環、ならびに単環式および二環式ヘテロ環およびヘテロ芳香環からなる群より選択される環状ユニットを含む二価の結合基であり、単環式および二環式ヘテロ環およびヘテロ芳香環が、酸素、硫黄および窒素からそれぞれ独立に選択される1〜4ヘテロ原子を含み、環状ユニットが、任意に置換してもよい5〜10環原子を含み;但し、Lは、−O−O−または−O−S−を含まず;
Qは、
【化2】
(Q)
であり、ここで、Lは、Qの11−Nに結合し;
R2は、HまたはFであり;
R5は、アミノ糖類残基であり;さらに
R6は、Hまたは(1〜6C)アルキルであり;さらに
(a)Aは、A752のO4′への水素結合供与、G748のO6への水素結合供与、およびG748のN1からの水素結合受容からなる群より選択される細菌リボソーム中の水素結合相互作用を形成でき;または
(b)Qの3−ケト基は、U2609との水素結合相互作用を形成でき;または
(c)Qのアミノ糖類は、A2059との水素結合相互作用を形成でき;または
(d)Qのアミノ糖類は、G2505との水素結合相互作用を形成でき;または
(a)、(b)、(c)、および(d)のいずれかの組み合わせであり;さらに
A−L−は、4−[4−(3−アミノフェニル)[1、2、3]トリアゾール−1−イル]ブチルまたは4−[4−(6−アミノピリジン−2−イル)[1、2、3]トリアゾール−1−イル]ブチル、以外である。
【0016】
1B. 式I、
A−L−Q (I)
の化合物、または薬学的に許容可能なその塩であり、
式中、
A. 化合物が、大腸菌23Sリボソーム部位中でモデル化される場合、または
B. 化合物が、大腸菌23Sリボソーム部位中で共結晶化される場合、
Aは、A752のO4′への水素結合供与、G748のO6への水素結合供与、およびG748のN1からの水素受容からなる群の内の1つまたは複数の水素結合相互作用の形成ができる成分であり;または
C. 黄色ブドウ球菌N315リボソームのRNAフットプリント法において、化合物が、テリスロマイシンよりも大きな程度でCMCTによる修飾からU2609を保護する、または
D. 黄色ブドウ球菌N315リボソームのRNAフットプリント法において、化合物が、テリスロマイシンよりも大きな程度でDMSを使ったA2059のメチル化を遮断する、または
E. 黄色ブドウ球菌N315リボソームのRNAフットプリント法において、化合物が、テリスロマイシンよりも大きな程度でケトキサールを使った修飾からG2505を保護する、または
A、B、C、DおよびEのいずれかの組み合わせであり;
Lは、任意に置換してもよいメチレン、O、S、任意に置換してもよいNH、ビニレンからなる群より選択される1つまたは複数のユニット、および二価の単環式もしくは二環式炭素環もしくは芳香環またはO、SおよびNから選択される1〜4ヘテロ原子を含む単環式もしくは二環式ヘテロ環もしくはヘテロ芳香環を含む連結鎖であり、環は、5〜10環原子を含み、1つまたは複数の置換基を含んでもよく、但し、Lは、−O−O−または−O−S−成分を含まず;
Qは、
【化3】
(Q)
であり、ここで、Lは、Qの11−Nに結合し;
R2は、HまたはFであり;
R5は、アミノ糖類残基であり;さらに
R6は、Hまたは(1〜6C)アルキルであり;さらに
A−L−は、Qの11−Nに結合した4−[4−(3−アミノフェニル)[1、2、3]トリアゾール−1−イル]ブチルまたは4−[4−(6−アミノピリジン−2−イル)[1、2、3]トリアゾール−1−イル]ブチル、以外である。
【0017】
2. 文節1Aまたは1Bの化合物であって、Aが、A752のO4′への水素結合供与、G748のO6への水素結合供与、およびG748のN1からの水素結合受容からなる群より選択される水素結合相互作用を形成できる化合物。
3. 文節1Aまたは1Bの化合物であって、Aが、A752のO4′への水素結合供与、およびG748のO6への水素結合供与からなる群より選択される水素結合相互作用を形成できる化合物。
4. 文節1Aまたは1Bの化合物であって、(a)Aが、A752のO4′への水素結合供与、G748のO6への水素結合供与、およびG748のN1からの水素結合受容からなる群より選択される水素結合相互作用を形成でき;および
(b)Qの3−ケト基が、U2609との水素結合相互作用を形成でき;および
(c)Qのアミノ糖類が、A2059との水素結合相互作用を形成でき;および
(d)Qのアミノ糖類が、G2505との水素結合相互作用を形成できる化合物。
5. 文節1Aまたは1Bの化合物であって、水素結合供与または受容に関与するAの原子が、少なくとも約9原子の鎖によりQの11−Nに連結され、その鎖は、任意選択で、1つまたは複数の環状基中に含まれていてもよい化合物。
6. 文節1Aまたは1Bの化合物であって、水素結合供与または受容に関与するAの原子が、少なくとも約10原子の鎖によりQの11−Nに連結され、その鎖は、任意選択で、1つまたは複数の環状基中に含まれていてもよい化合物。
7. 文節1Aまたは1Bの化合物であって、水素結合供与または受容に関与するAの原子が、約10原子または約11原子の鎖によりQの11−Nに連結され、その鎖は、任意選択で、1つまたは複数の環状基中に含まれていてもよい化合物。
8. 文節1Aまたは1Bの化合物であって、水素結合供与または受容に関与するAの原子が、約10原子の鎖によりQの11−Nに連結され、その鎖は、任意選択で、1つまたは複数の環状基中に含まれていてもよい化合物。
9. 前出の文節のいずれかの化合物または塩であって、水素結合供与または受容に関与するAの原子が、窒素または酸素である化合物または塩。
10. 文節9の化合物または塩であって、Aがヘテロ環を含み、水素結合供与または受容に関与するAの原子が、ヘテロ環の原子である化合物または塩。
11. 文節10の化合物または塩であって、O、SおよびNから選択される1〜4ヘテロ原子を含むヘテロ環が単環式または二環式ヘテロ芳香環であり、その環が1つまたは複数の置換基を有してもよい化合物または塩。
12. 文節9の化合物または塩であって、水素結合供与または受容に関与するAの原子が、アミノまたはヒドロキシ基の一部である化合物または塩。
13. 前出の文節のいずれかの化合物または塩であって、水素結合供与または受容に関与するAの原子が、モデルのA752のO4′、G748のO6、およびG748のN1の内の少なくとも1つの原子の5〜0.5Å以内にある化合物または塩。
14. 前出の文節のいずれかの化合物または塩であって、R2が Fである化合物または塩。
15. 文節14の化合物または塩であって、2−フルオロ基が、モデルのC2611のグリコシド結合(原子N1)の5〜0.5Åにある化合物または塩。
16. 前出の文節のいずれかの化合物または塩であって、R5がデソサミニルである化合物または塩。
17. 前出の文節のいずれかの化合物または塩であって、R6がメチルである化合物または塩。
18. 前出の文節のいずれかの化合物または塩であって、R11がHである化合物または塩。
19. 前出の文節のいずれかの化合物または塩であって、Lが、−Xa−Yb−Zc−であり、式中X、YおよびZが二価の成分であり;
それぞれ、a、bおよびcは、独立に、0または1であり、但し、a、bおよびcの少なくとも1つが1であり;
Xが、CH2RaRb、O、SまたはNRcであり;
Yが、O、SおよびNから選択される1〜4ヘテロ原子を含む単環式もしくは二環式芳香環または単環式もしくは二環式ヘテロ芳香環であり、その環が1つまたは複数の置換基を有してもよく;
Zが、−(CH2)m−であり、式中、mが1、2、3または4であり、1つまたは複数のメチレンユニットが1つまたは2つのメチル基を有してもよく、さらにメチレンユニットがO、SまたはNRdで置換されてもよく;さらに
それぞれRa、Rb、RcおよびRdが、独立にHまたはCH3である化合物または塩。
20. 前出の文節のいずれかの化合物または塩であって、Aが、1−インドリル以外のインドリルである化合物または塩。
21. 文節20の化合物または塩であって、Aが3−インドリルである化合物または塩。
22. 前出の文節1A〜19のいずれかの化合物または塩であって、Aが3−アミノフェニルである化合物または塩。
23. 前出の文節1A〜19のいずれかの化合物または塩であって、前出の文節1A−19のいずれかの化合物または塩であって、Aが6−アミノピリジン−2−イルである化合物または塩。
24. 前出の文節1A〜19のいずれかの化合物または塩であって、Aが3−ヒドロキシフェニルである化合物または塩。
25. 前出の文節のいずれかの化合物または塩であって、aが0である化合物または塩。
26. 前出の文節のいずれかの化合物または塩であって、aが1である化合物または塩。
27. 前出の文節のいずれかの化合物または塩であって、XがCH2である化合物または塩。
28. 前出の文節のいずれかの化合物または塩であって、XがOである化合物または塩。
29. 前出の文節のいずれかの化合物または塩であって、bが1である化合物または塩。
30. 前出の文節のいずれかの化合物または塩であって、Yがメタフェニレンである化合物または塩。
31. 前出の文節のいずれかの化合物または塩であって、Yが二価の5員ヘテロ芳香環残基であり、そこでの結合が1、3−(または等価位置)関係にある化合物または塩。
32. 文節31の化合物または塩であって、Yが、どちらかの向きの[1、2、3]トリアゾール−1、4−ジイルである化合物または塩。
33. 文節32の化合物または塩であって、Yが[1、2、3]トリアゾール−1、4−ジイルであり、Zがそれの1−位置に結合している化合物または塩。
34. 前出の文節のいずれかの化合物または塩であって、cが1である化合物または塩。
35. 文節34の化合物または塩であって、Zが、−(CH2)4−、−(CH2)3−O−、−(CH2)4−(CH2)3−NH−、−(CH2)3−、−(CH2)2−O−、−(CH2)2−NH−、または−(CH2)2−である化合物または塩。
36. 文節35の化合物または塩であって、Zが、−(CH2)4−または−(CH2)3−である化合物または塩。
37. 前出の文節のいずれかの化合物または塩であって、それぞれbおよびcが1である化合物または塩。
38. 文節37の化合物または塩であってaが0である化合物または塩。
39. 前出の文節のいずれかの化合物または塩であって、それぞれa、bおよびcが1である化合物または塩。
40. 前出の文節のいずれかの化合物または塩であって、A−X−Y−が、4−(インドール−3−イル−メチル)[1、2、3]トリアゾール−1−イルである化合物または塩。
41. 前出の文節のいずれかの化合物または塩であって、A−L−が、4−[4−(インドール−3−イル−メチル)[1、2、3]トリアゾール−1−イル]ブチルである化合物または塩。
42. 前出の文節のいずれかの化合物または塩であって、大腸菌23Sリボソーム部位が、大腸菌23Sリボソームを有するCEM−101複合体のX線座標により決定される化合物または塩。
43. 文節1Aまたは1Bの化合物であって、
【化4】
2−フルオロ−5−O−デソサミニル−11−N−[4−[4−(インドール−3−イルメチル)[1、2、3]トリアゾール−1−イル]ブチル]−6−O−メチル−3−オキソ−エリスロノリド A11、12−環状カルバマート、または薬学的に許容可能なその塩である化合物。
44. 前出の文節1A〜43のいずれかに記載の式(I)の薬剤を含み、少なくとも1つの薬学的に許容可能なキャリアーまたは賦形剤をさらに含む医薬組成物。
45. 細菌性感染症、原虫感染症、または細菌性感染症もしくは原虫感染症に関連する傷害の治療方法であって、治療有効量の前出の文節1A〜43のいずれかに記載の式(I)の薬剤を、それを必要としている対象に投与するステップを含む方法。
46. 細菌性感染症、原虫感染症、または細菌性感染症もしくは原虫感染症に関連する傷害の治療のための前出の文節1A〜43のいずれかに記載の式(I)の薬剤の使用。
47. 細菌性感染症、原虫感染症、または細菌性感染症もしくは原虫感染症に関連する傷害の治療用薬物の製造のための、前出の文節1A〜43のいずれかに記載の式(I)の薬剤の使用。
48. 対象が、哺乳動物、魚類、鳥類または爬虫類である文節45〜47のいずれかの方法または使用。
49. 対象が、哺乳動物である文節48の方法または使用。
50. 対象が、ヒトである文節49の方法または使用。
【0018】
別の実施形態では、式(I)の化合物、ならびに薬学的に許容可能なその塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグが本明細書で記載され、Qは大環状ラクトンであり、ラクトン環は、トンネル壁と正の疎水性相互作用を形成する。
【0019】
別の実施形態では、式(I)の化合物、ならびに薬学的に許容可能なその塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグが本明細書で記載され、Qは、デソサミンで置換された大環状ラクトンであり、デソサミン糖は、ペプチジルトランスフェラーゼの中心の方向に突き出ており、A2058/A2509間隙と相互作用する。
【0020】
別の実施形態では、式(I)の化合物、ならびに薬学的に許容可能なその塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグが本明細書で記載され、A−L−は、アリールアルキルであり、アリールアルキルアームは、トンネルから下の方を向き、23S rRNAのA752およびU2609により形成される塩基対と接触する。
【0021】
別の実施形態では、式(I)の化合物、ならびに薬学的に許容可能なその塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグが本明細書で記載され、A−L−は、小さい原子変位パラメータ(ADP)を有する。
【0022】
別の実施形態では、式(I)の化合物、ならびに薬学的に許容可能なその塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグが本明細書で記載され、Qは、C2611のグリコシド結合(原子N1)と正の相互作用ができるフルオロ基を含む大環状ラクトンである。別の実施形態では、式(I)の化合物、ならびに薬学的に許容可能なその塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグが本明細書で記載され、Qは、耐性細菌中に存在するリボソーム、例えば、A2058および/またはA2059でモノメチル化またはジメチル化されたリボソームのC2611のグリコシド結合(原子N1)と正の相互作用ができるフルオロ基を含む大環状ラクトンである。
【0023】
別の実施形態では、前出の正の相互作用は、耐性細菌中に存在するリボソーム、例えば、A2058および/またはA2059でモノメチル化またはジメチル化されたリボソームと正の相互作用である。
【0024】
別の実施形態では、式(I)の化合物、ならびに薬学的に許容可能なその塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグが本明細書で記載され、Qは、デソサミンで置換された大環状ラクトン置換であり、デソサミンは、23S rRNAのドメインV中のA2058およびA2059のDMSを使った修飾から保護する。別の実施形態では、式(I)の化合物、ならびに薬学的に許容可能なその塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグが本明細書で記載され、Qは、デソサミンで置換された大環状ラクトン置換であり、デソサミンは、DMS修飾からA752を保護する。
【0025】
別の実施形態では、式(I)の化合物、ならびに薬学的に許容可能なその塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグが本明細書で記載され、Qは、デソサミンで置換された大環状ラクトン置換であり、デソサミンは、erm耐性細菌、および/またはerm改変細菌中の23S rRNAのドメインV中のA2059をDMSによる修飾から保護する。別の実施形態では、式(I)の化合物、ならびに薬学的に許容可能なその塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグが本明細書で記載され、Qは、デソサミンで置換された大環状ラクトン置換であり、デソサミンは、erm耐性細菌、および/またはerm改変細菌中の23S rRNAのドメインV中のA2059を実質的にDMSによる修飾から保護する。
【0026】
別の実施形態では、式(I)の化合物、ならびに薬学的に許容可能なその塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグが本明細書で記載され、Qは、デソサミンで置換された大環状ラクトン置換であり、デソサミンは、ケトキサール修飾からG2505を保護する。別の実施形態では、式(I)の化合物、ならびに薬学的に許容可能なその塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグが本明細書で記載され、Qは、デソサミンで置換された大環状ラクトン置換であり、デソサミンは、ケトキサール修飾からG2505を実質的に保護する。別の実施形態では、式(I)の化合物、ならびに薬学的に許容可能なその塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグが本明細書で記載され、Qは、デソサミンで置換された大環状ラクトン置換であり、デソサミンは、CMCTによる修飾からU2609を保護する。別の実施形態では、式(I)の化合物、ならびに薬学的に許容可能なその塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグが本明細書で記載され、Qは、デソサミンで置換された大環状ラクトン置換であり、デソサミンは、CMCTによる修飾からU2609を実質的に保護する。
【0027】
本明細書記載の化合物は、1つまたは複数の正の相互作用および/または前出の実施形態で記載の保護を有してもよく、また、前出の正の相互作用のいずれかの、および全ての組み合わせを有する対応する実施形態が本明細書中で明示的に記載されていることは理解されよう。
【0028】
リボソーム官能基との正の相互作用および/またはリボソーム官能基の保護に関する前出の各実施形態において、対応する、および/または類似の他の細菌リボソーム官能基との正の相互作用および/または他の細菌リボソーム官能基の保護を有する化合物も、また、本明細書で記載されていることは理解されよう。他の細菌リボソーム官能基には、例えば、限定されないが、黄色ブドウ球菌、化膿性連鎖球菌、肺炎レンサ球菌、等、ならびに、限定されないが、テリスロマイシン耐性黄色ブドウ球菌、MRSA、等を含む耐性病原菌株、等の病原菌中の対応する官能基が含まれる。理論に拘泥する意図はないが、計算法、コンピュータモデリング、コンピュータによるドッキング、エネルギー最小化、X線結晶学、原子変位パラメータ(ADP)精密化、RNAフットプリント法、RNA結合評価、等を含む本明細書記載の大腸菌のリボソーム官能基に対する正の相互作用および/または保護を有する本明細書記載の化合物の能力を判定する方法により、同じ、類似の、等価の相互作用、および/または、限定されないが、黄色ブドウ球菌、化膿性連鎖球菌、肺炎レンサ球菌、等、ならびに、限定されないが、テリスロマイシン耐性黄色ブドウ球菌、MRSA、等の耐性病原菌株、等の病原菌との対応する相互作用の予測ができると考えられている。
【0029】
本明細書で使用される正の相互作用は、化合物および/またはリボソームに対し、より低いエネルギー状態の相互作用である。例えば、正の相互作用は、立体的に込み入っていない、例えば、少なくとも約0.5Åまたは少なくとも約1Å空間的に離れている相互作用である。例えば、正の相互作用は、エネルギー的な利益を得るのに充分に接近している、例えば、約5Å以下、約4.5Å以下、約4Å以下、約3.5Å以下、約3Å以下、約2.5Å以下、約1.5Å以下、または約1Å以下であり、同時に、少なくとも約0.5Å空間的に離れている相互作用である。
【0030】
別の実施形態では、式(I)の化合物、ならびに薬学的に許容可能なその塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグが本明細書で記載され、競合結合実験では、化合物は、リボソームに結合しているエリスロマイシンを置換することができる。式(I)の化合物、ならびに薬学的に許容可能なその塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグが本明細書で記載され、競合結合実験では、化合物は、リボソームに結合しているテリスロマイシンを置換することができる。例えば、このような置換のIC50は、約1μM以下、約500nM以下、約250nM以下、約200nM以下、約150nM以下、または約100nM以下である。
【0031】
CEM−101が本明細書記載の発明には含まれないことは理解されよう。また、テリスロマイシンが本明細書記載の発明には含まれないことは理解されよう。理由は、それが、A752、G748、またはG748のいずれとも水素結合を形成しないからである。
【0032】
別の実施形態では、治療有効量の1つまたは複数の本明細書記載の化合物を含む組成物が記載される。組成物は、任意選択で、1つまたは複数の希釈剤、賦形剤、またはキャリアー、およびこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0033】
別の実施形態では、細菌性感染症の患者を治療するための方法が本明細書で記載される。この方法は、治療有効量の1つまたは複数の本明細書記載の化合物および/または1つまたは複数の組成物を患者に投与するステップを含む。
【0034】
別の実施形態では、細菌性感染症の患者の治療のための薬物の製造における1つまたは複数の本明細書記載の化合物および/または1つまたは複数の組成物の使用が、本明細書で記載される。
【0035】
本明細書で使用されるように、化合物が大腸菌23Sリボソーム部位でモデル化される場合は、化合物は、大腸菌23S細菌リボソームの計算構造/高次構造、またはX線結晶測定からの細菌性リボソームの構造へのドッキングを特徴とすることを意味する。X線結晶測定の例には、テリスロマイシンの結合の調査由来のものが含まれ(Berisio、R.、J.Harms、F.Schluenzen、R.Zarivach、H.A.Hansen、P.Fucini、and A.Yonath.2003.耐性変異体に対するテリスロマイシンの抗生物質作用の構造からの洞察(Structural insight into the antibiotic action of telithromycin against resistant mutants).J. Bacteriol.185:4276−4279;Tu、 D.、G.Blaha、P.B.Moore、and T.A.Steitz.2005.変異リボソーム大サブユニットに結合したMLSBK抗生物質の構造が耐性に対する構造からの説明を提供する(Structures of MLSBK antibiotics bound to mutated large ribosomal subunits provide a structural explanation for resistance).Cell 121:257−270)、また、特に、大腸菌23Sリボソーム部位が、CEM−101の本明細書記載の大腸菌23Sリボソームとの複合体のX線座標により決定される測定が含まれる。
【0036】
本明細書で使われるドッキングは、23Sリボソームの位置/中に化合物を配置することを意味し、任意選択で、配置されるとすぐに、ドッキングを妨げる負の相互作用の無いような極小化計算を含んでもよい。ラクトン環および5−O糖の配置と立体構造に加えて、側鎖は、A753/U2609塩基対とのスタッキング相互作用が可能であり、2−フルオロ基(存在する場合は)は、C2610またはC2611と相互作用できる。本発明の化合物に対しては、分子が23Sリボソームに結合した場合は、成分Aは、A752のO4′への水素結合供与、G748のO6への水素結合供与、およびG748のN1からの水素受容、からなる群の内の1つまたは複数の水素結合相互作用の形成ができる。
【0037】
化合物中のAが1つまたは複数のA752、G748、およびG748と1つまたは複数の水素結合相互作用を形成でき、Qが、デソサミンで置換された大環状ラクトンであり、デソサミン糖がペプチジルトランスフェラーゼの中心の方向に突き出ており、A2058/A2509間隙と相互作用する本明細書記載の実施形態では、化合物は、Aおよびデソサミンの両方が正の相互作用のためにそれぞれ配置される高次構造に対応する計算エネルギー最小値を特徴としてもよい。
【0038】
化合物中のAが1つまたは複数のA752、G748、およびG748と1つまたは複数の水素結合相互作用を形成でき、Qが、C2611のグリコシド結合(原子N1)との正の相互作用ができるフルオロ基を含む大環状ラクトンである本明細書記載の実施形態では、化合物は、Aおよびフルオロ基の両方がそれぞれの正の相互作用のためにそれぞれ配置される高次構造に対応する計算エネルギー最小値を特徴としてもよい。
【0039】
化合物中のAが1つまたは複数のA752、G748、およびG748と1つまたは複数の水素結合相互作用を形成でき、Qが、C2611のグリコシド結合(原子N1)との正の相互作用をできるフルオロ基を含む大環状ラクトンであり、Qが、デソサミンで置換された大環状ラクトンであり、デソサミン糖がペプチジルトランスフェラーゼの中心の方向に突き出ており、A2058/A2509間隙と相互作用する本明細書記載の実施形態では、化合物は、A、フルオロ基およびデソサミンがそれぞれの正の相互作用のためにそれぞれ配置される高次構造に対応する計算エネルギー最小値を特徴としてもよい。
【0040】
前出の実施形態の変形として、基A−L−は、アリールアルキルであり、アリールアルキルアームは、トンネルの下方に向いており、23S rRNAのA752およびU2609により形成された塩基対と接触し、化合物は、A−L−が、また、正の相互作用のために配置される高次構造に対応する計算エネルギー最小値を特徴としてもよい。
【0041】
計算高次構造は、いずれかの従来のソフトウェアプログラムから得ることができることは理解されよう。初期の高次構造が、特定の水素結合基またはフルオロ基およびそれぞれの必要な約5〜0.5Åの結合部位の間の距離を含まない場合は、化合物に対し追加の高次構造を計算できることも、さらに理解されよう。従って、追加の高次構造を有する化合物は、本明細書記載の発明に含まれると理解されるべきである。例えば、計算は、気相、アブイニシオ、偽解球体(quasi solution sphere)、等であってもよい。このような計算が、平均または加重平均に基づいてもよいことは理解されよう。
【0042】
別の実施形態では、化合物は、病原性細胞、例えば、細菌に対する高い効力を特徴とする。別の実施形態では、化合物は、1つまたは複数の他の化合物に耐性のある細菌に対し高い効力を特徴とする。例えば、耐性細菌には、限定されないが、mefA耐性肺炎球菌、ermB耐性肺炎球菌、等がある。
【0043】
Aの一実施形態では、Aは、フェニル、インデニル、ナフチル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1、2、4−オキサジアゾリル、1、2、4−チアジアゾリル、1、3、4−オキサジアゾリル;1、3、4−チアジアゾリル、1、2、3−トリアゾリル、1、2、4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、テトラゾリルベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンズイミダゾリル;ベンゾオキサゾリル;ベンゾイソチアゾリル、キノリニル、イソキノリニルまたはキナゾリニルであり、これらのいずれかは、1つまたは複数のヒドロキシ、アミノ、ヒドロキシメチル、アミノメチル、フルオロ、クロロまたはメチル置換基を有していてもよい。
【0044】
Lの一実施形態では、任意に置換してもよいメチレンは、1つまたは2つのメチル基を有してもよく;任意に置換してもよいNHは、メチル基を有してもよく;二価の単環式もしくは二環式炭素環もしくは芳香環または単環式もしくは二環式ヘテロ環もしくはヘテロ芳香環は、シクロプロパンジイル、シクロペンタンジイル、シクロヘキサンジイル、シクロヘプタンジイル、フェニレン、インダンジイル、インデンジイル、ナフタレンジイル、テトラヒドロナフタレンジイル、テトラヒドロフランジイル、ピロリジンジイル、ピペリジンジイル、フランジイル、チオフェンジイル、ピロールジイル、オキサゾールジイル、チアゾールジイル、イミダゾールジイル、ピラゾールジイル、1、2、4−オキサジアゾールジイル、1、2、4−チアジアゾールジイル、1、3、4−オキサジアゾールジイル;1、3、4−チアジアゾールジイル、1、2、3−トリアゾールジイル、1、2、4−トリアゾールジイル、テトラゾールジイル、ピリジンジイル、ピリダジンジイル、ピリミジンジイル、ピラジンジイル、ベンゾフランジイル、ベンゾチオフェンジイル、インドールジイル、インダゾールジイル、ベンゾイソオキサゾールジイル、ベンゾイソチアゾールジイル、ベンゾイミダゾールジイル;ベンゾオキサゾールジイル;ベンゾイソチアゾールジイル、キノリンジイル、イソキノリンジイルまたはキナゾリンジイルであってもよく;さらに、環は、1つまたは複数のヒドロキシ、フルオロ、クロロまたはメチル置換基を有してもよい。
【0045】
Yの一実施形態では、二価の単環式もしくは二環式芳香環または単環式もしくは二環式ヘテロ芳香環は、フェニレン、インダンジイル、インデンジイル、ナフタレンジイル、テトラヒドロナフタレンジイル、フランジイル、チオフェンジイル、ピロールジイル、オキサゾールジイル、チアゾールジイル、イミダゾールジイル、ピラゾールジイル、1、2、4−オキサジアゾールジイル、1、2、4−チアジアゾールジイル、1、3、4−オキサジアゾールジイル、1、3、4−チアジアゾールジイル、1、2、3−トリアゾールジイル、1、2、4−トリアゾールジイル、テトラゾールジイル、ピリジネジル、ピリダジンジイル、ピリミジンジイル、ピラジンジイル、ベンゾフランジイル、ベンゾチオフェンジイル、インドールジイル、インダゾールジイル、ベンゾイソオキサゾールジイル、ベンゾイソチアゾールジイル、ベンゾイミダゾールジイル;ベンゾオキサゾールジイル;ベンゾイソチアゾールジイル、キノリンジイル、イソキノリンジイルまたはキナゾリンジイルであってもよく;さらに、環は、1つまたは複数のヒドロキシ、フルオロ、クロロまたはメチル置換基を有してもよい。
【0046】
一実施形態では、A−X−Y−は、下記のラジカルの群から選択され、ここで、Zは、(*)の位置で共有結合により連結される:
【化5】
【0047】
一実施形態では、(1〜6C)アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルであり、これらのいずれかは、分岐であってもよい。別の実施形態では、(1〜6C)アルキルはメチルである。
【0048】
本発明の別の実施形態として、本明細書のいずれかの説明に記載されている式(I)の薬剤を含み、少なくとも1つの薬学的に許容可能なキャリアーまたは賦形剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0049】
例えば、組成物は、1つまたは複数のキャリアー、希釈剤、および/または賦形剤を含んでもよい。本明細書記載の化合物、またはそれらを含む組成物は、本明細書記載の方法用に適したいずれかの従来の剤形で処方し、そのために1つまたは複数のキャリアー、希釈剤、および/または賦形剤を含んでもよい。このような製剤組成物は、本明細書記載の方法のための各種の従来の経路により、種々の投薬形式で、既知の方法を使って投与してもよい。カプセル剤および錠剤は、抗生物質の経口投与によく使われる実施形態である。一般的には、Remington:薬学の科学、および実務(The Science and Practice of Pharmacy)、(21st ed.、2005)を参照されたい。
【0050】
本発明の別の実施形態として、細菌性感染症、原虫感染症、または細菌性感染症もしくは原虫感染症に関連する傷害の治療方法を提供し、治療有効量の本明細書記載の式(I)の薬剤を、それを必要としている対象に投与するステップを含む。投薬計画の例には、1日目に800mgの負荷用量、続けて、2〜5日目に毎日400mg/日の用量の投与、または、代わりに、1日目に400mgの負荷用量、続けて、2〜5日目に毎日200mg/日の用量の投与が含まれる。
【0051】
本発明の別の実施形態として、細菌性感染症、原虫感染症、または細菌性感染症もしくは原虫感染症に関連する傷害の治療のための本明細書記載の式(I)の薬剤の使用が提供される。
【0052】
本発明の別の実施形態として、細菌性感染症、原虫感染症、または細菌性感染症もしくは原虫感染症に関連する傷害の治療用の薬物の製造のための本明細書記載の式(I)の薬剤の使用が提供される。
【0053】
さらなる実施形態として、上述の方法または使用は、対象が哺乳動物、魚類、鳥類または爬虫類であるものである。別の実施形態として、対象が哺乳動物である方法または使用が提供される。別の実施形態として、対象がヒトである方法または使用が提供される。
【0054】
本明細書で使われる用語の「治療有効量」は、研究者、獣医、医師もしくは他の臨床医により調査されている組織系、動物もしくはヒトにおける生物学的または医薬的反応(治療される疾患または傷害の症状の軽減を含む)を誘発する活性化合物または医薬品の量を意味する。一態様では、治療有効量は、いずれの治療にも適用可能な合理的なベネフィットリスク比で疾患または疾患の症状を治療または軽減できる量である。しかし、本明細書記載の化合物および組成物の毎日使用の合計は、健全な医学判断の範囲内で主治医により決定されうることは理解されよう。いずれかの特定の患者のための特定の治療有効量レベルは、種々の因子に依存し、これには、治療される傷害および傷害の重症度;採用された特定の化合物の活性;採用された特定の組成;年齢、体重、総体的な健康、性別および患者の食事:投与時間、投与経路、および採用された特定の化合物の排出速度;治療持続期間;使用された特定の化合物と組み合わせて、または同時に使用された薬剤;ならびに通常の技量の研究者、獣医、医師または他の臨床医によく知られた類似の因子、が含まれる。
【0055】
各実施形態中の本明細書記載の化合物は、A−L−が下記以外の化合物であることは理解されよう:4−[4−(3−アミノフェニル)−[1、2、3]トリアゾール−1−イル]ブチル、4−[4−(4−ペンチルフェニル)−[1、2、3]トリアゾール−1−イル]ブチル、4−[4−(2−ピリジニル)−[1、2、3]トリアゾール−1−イル]ブチル、4−[4−(6−アミノピリジン−2−イル)−[1、2、3]トリアゾール−1−イル]ブチル、4−[4−(3−アミノフェニルメチル)−[1、2、3]トリアゾール−1−イル]ブチル、4−[4−(2−ピリジニルメチル)−[1、2、3]トリアゾール−1−イル]ブチル、4−[4−(6−アミノピリジン−2−イルメチル)−[1、2、3]トリアゾール−1−イル]ブチル、4−[4−(2−ピリジニルメチル)−[1、2、3]トリアゾール−1−イル]ブチル、4−[4−(ベンゾイミダゾール−1−イルメチル)−[1、2、3]トリアゾール−1−イル]ブチル、4−[4−(7−アザベンゾイミダゾール−1−イルメチル)−[1、2、3]トリアゾール−1−イル]ブチル、4−[4−(2、6−ジクロロフェノキシメチル)−[1、2、3]トリアゾール−1−イル]ブチル、4−[3−(2−ピリジニルメチル)−ピラゾール−1−イル]ブチル、4−[3−(3−ピリジニルメチル)−ピラゾール−1−イル]ブチル、4−[4−(3−アミノフェニル)−イミダゾール−1−イル]ブチル、4−[4−(3−ピリジニル)−イミダゾール−1−イル]ブチル、4−[4−(3−インドリル)−イミダゾール−1−イル]ブチル、4−[4−(2−アミノピリミジン−5−イル)−イミダゾール−1−イル]ブチル、4−[4−(2−フラニルカルボニルアミノ)−イミダゾール−1−イル]ブチル、4−(7−アザベンゾイミダゾール−1−イル)ブチル、4−アジドブチル、3−(2−フェニルイミダゾール−1−イル)プロピル−アミノ、3−[4−アリルイミダゾール−1−イル]プロピルアミノ、3−[4−(4、5−ジアセトキシ)イミダゾール−1−イル]プロピルアミノ、3−[4−[2−(アセチルアミノ)エチル]−イミダゾール−1−イル]プロピルアミノ、3−(5−フェニルテトラゾール−2−イル)プロピルアミノ、3−[5−(2−コロフェニル)テトラゾール−2−イル]プロピルアミノ、3−[5−(4−コロフェニル)テトラゾール−2−イル]プロピルアミノ、3−(4−キノリニル)プロピルアミノ、3−(6−アミノプリン−9−イル)プロピルアミノ、(R)−1−(2−ベンゾイミダゾール−カルボニル)−ピロリジン−2−イルメチル、(R)−1−(2−ピロロ[2、3−a]ピリジンカルボニル)ピロリジン−2−イルメチル、(R)−1−(1−イソキノリンカルボニル)ピロリジン−2−イルメチル、(R)−1−[1−(8−アザイソキノリン)カルボニル]−ピロリジン−2−イルメチル、1−(8−アザキノリン−4−イルメチル)アゼチジン−4−イル、1−(3−ヒドロキシ−5−アザキノリン−4−イルメチル)アゼチジン−4−イル、(R)−1−[1−(8−アザキノリン−4−イル)エチル]アゼチジン−4−イル、1−(3−シアノ−4−エトキシフェニルスルホニル)アゼチジン−4−イル、1−(8−キノキソリンスルホニル)アゼチジン−4−イル、(R)−2−アミノ−1−(ヒドロキシメチル)エチル、(R)−2−ベンジルアミノ−1−(ヒドロキシメチル)エチル、キノキソリン−6−イルメチル−アミノカルボニルアミノメチル、およびキノキソリン−6−イルメチルオキシカルボニルアミノメチル。従って、前出の化合物は、本明細書記載の発明の一部を形成しない。
【0056】
作用モードおよびCEM−101の結合部位のキャラクタリゼーションを以下のように行った:
材料および方法
実施例:抗生物質、リボソーム、および試薬。CEM−101、CEM−103、テリスロマイシン、および[14C]CEM−101(53mCi/mmol)を、Moravek Biochemicals、Inc.で合成した。エリスロマイシンおよびアジスロマイシンをSigmaから入手した。[14C]エリスロマイシン(48.8mCi/mmol)をPerkinElmerから入手した。
【0057】
抗生物質を10mMの濃度で100%エタノール中に溶解し、水で系列希釈を作り、競合結合試験および無細胞転写−翻訳アッセイに必要な濃度を得た。リボソームプロービング実験用に抗生物質をエタノール中に希釈した。
【0058】
標準的プロトコルにより、大腸菌、株MRE600、黄色ブドウ球菌株ATCC29212、または黄色ブドウ球菌株N315からリボソームを調製した(G.Spedding(ed.)、リボソームおよびタンパク質合成、実用手法(Ribosomes and protein synthesis、a practical approach).Oxford University Press、Oxford、United Kingdom、中の、Spedding、G.1990.原核生物、真核生物、およびオルガネラからのリボソームの単離と分析(Isolation and analysis of ribosomes from prokaryotes、eukaryotes、and organelles)、p.1−29;Adams、P.D.、P.V.Afonine、G.Bunkoczi、V.B.Chen、I.W.Davis、N.Echols、J.J.Headd、L.W.Hung、G.J.Kapral、R.W.Grosse−Kunstleve、A.J.McCoy、N.W.Moriarty、R.Oeffner、R.J.Read、D.C.Richardson、J.S.Richardson、T.C.Terwilliger、and P.H.Zwart.2010.PHENIX:高分子構造解のための統合型パイソンベースシステム(acomprehensive Python−based system for macromolecular structure solution).Acta Crystallogr.D.Biol.Crystallogr.66:213−221)。
大抵の化学薬品は、Fisher ScientificまたはSigmaから入手した。
【0059】
実施例:競合結合試験。エリスロマイシンの大腸菌および黄色ブドウ球菌リボソームへの結合ならびに競合実験を、Xiong、L.、Y.Korkhin、and A.S.Mankin.2005.大腸菌リボソーム中の架橋マクロライドの結合部位(Binding site of the bridged macrolides in the Escherichia coli ribosome).Antimicrob.Agents Chemother.49:281−288、に記載のように、Bio−Gel P30スピンカラムを使って、サイズ排除クロマトグラフィーにより行った。
【0060】
直接抗生物質結合実験を、全容積160μLの緩衝液A(20mMトリス塩酸[pH7.5]、10mM MgCl2、150mM NH4Cl、6mM2−メルカプトエタノール)中で種々濃度の放射標識薬剤を用い、100nM濃度のリボソームを37℃で15分、その後、20℃で10分間インキュベートすることにより行った。反応物をスピンカラムに入れ、スインギングバケット微量遠心機ローターを使い、1,000g、室温で1分間遠心分離した。フロースルー溶液を集めた;130μLを5mLのシンチレーション反応混液を混合した。放射能をシンチレーションカウンターで測定し、リボソームに結合した放射標識薬剤の量の計算に使用した。
【0061】
競合結合実験のために、リボソーム(100nM)を、160μLの緩衝液A中の100nMの[14C]エリスロマイシン(48.8mCi/mmol;PerkinElmer)と共に37℃で15分、その後、20℃で10分間プレインキュベートした。競合抗生物質を種々の濃度で添加し、結合混合物を20℃で100分間インキュベートした。反応物をスピンカラムに入れ、リボソーム連結放射能の量を上述のように測定した。結合データをプリズムソフトウェア(GraphPad)を使って解析した。
【0062】
無細胞転写−翻訳アッセイ。
環状DNA用大腸菌転写−翻訳(TnT)S30抽出物システム(Promega、Cat.No.L1020)を使って、抗生物質の細菌タンパク質合成に与える影響を評価した。96ウエル円錐底プレートを使って、10μLの最終容量で実験を行った。S30抽出物(3μL)を1μLの水または抗生物質溶液を合わせて、プレートのウエルに分注し、25 ℃で5分間プレインキュベートした。1μLのpBESTluc(登録商標)DNA(0.7μg)、1μLの1mMアミノ酸混合物、および4μLのS30プレミックスを含む翻訳混合物(6μL)を加えることにより反応を開始した。反応物を20℃で40分間インキュベートし、その後、氷上に置いた。別の96ウエルプレートに、150μLのBright−Glo希釈試薬(Promega、Cat.No.E266A)を分注し、1.5μLの翻訳反応液と混合し;30μLの得られた溶液を、30μLのBright−Gloルシフェラーゼアッセイ試薬(Promega、Cat.No.E2610)と96ウエルwhite−wallプレート(PerkinElmer、Cat.No.6005290)中で混合した。発光をTopCount Scintillation and Luminescence Counter(PerkinElmer)で測定した。
【0063】
ウサギ網状赤血球無細胞翻訳システム(Promega、Cat.No.L4540)を使って、真核生物リボソームの活性に与える薬剤の効果を試験した。96ウエル円錐底プレートを使って、10μLの最終容量で実験を行った。ウサギ網状赤血球ライセート(7μL)を1μLの水または抗生物質と混合し、25℃で5分間プレインキュベートした。使用前に、ポリアデニル化ルシフェラーゼmRNA(Promega、Cat.No.L4561)を、RNAを65℃で3分間インキュベートすることにより変性し、その後、氷上に置いた。翻訳混合物(2μL)をウサギ網状赤血球ライセートと混合し、反応を開始させた。翻訳混合物は、0.3μLの変性ルシフェラーゼmRNA(0.3μg)、0.2μLの1mMアミノ酸混合物、0.2μLのリボヌクレアーゼ阻害剤(8U、Roche、Cat.No.03335399001)、0.4μLの2.5M塩化カリウム、および0.9μLの水を含んでいた。反応混合物を30℃で30分間インキュベートし、その後、氷上に置いた。別の96ウエルプレートに、150μLのBright−Glo希釈試薬(Promega、Cat.No.E266A)を分注して、1.5μLの翻訳反応液と混合し;30μLの得られた溶液を30μLのBright−Gloルシフェラーゼアッセイ試薬(Promega、Cat.No.E2610)と96ウエルwhite−wallプレート中で混合した。発光をTopCount Scintillation and Luminescence Counter(PerkinElmer)で測定した。
【0064】
実施例:リボソーム化学プロービング。標準的プロトコル(C.W.J.Smith(ed.)、RNA:タンパク質相互作用、実用手法(RNA:Protein Interactions、A Practical Approach).Oxford University Press、Oxford、中の、Merryman、C.、and H.F.Noller.1998.RNA上の結合部位のフットプリント法および修飾干渉分析(Footprinting and modification−interference analysis of binding sites on RNA)、p. 237−253.)に従い、わずかに修正を加えて、rRNAプロービングを行った。簡単に説明すると、50μLの緩衝液B(80mM HEPES−KOH[pH7.8]、20mM MgCl2、100 mM NH4Cl、1.5 mMジチオトレイトール)中の100μM抗生物質と共に200nMのリボソームを37℃で10分間、続けて、20℃で10分間インキュベートした。修飾試薬(ジメチル硫酸塩[DMS]、ケトキサール、または1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミドメトp−トルエンスルホナート[CMCT])を加え、修飾反応を37℃で10分間行った。反応の停止およびエタノール沈殿後、rRNAを抽出し、修飾されたヌクレオチドの分布をプライマー伸長法により評価した。
【0065】
実施例:大腸菌リボソームに複合化したCEM−101の結晶学的調査。リボソームを、以前記載したように、MRE600大腸菌細胞から精製した(Schuwirth、B.S.、M.A.Borovinskaya、C.W.Han、W.Zhang、A.Vila−Sanjurjo、J.M.Holton、and J.H.Cate.2005.3.5Å分解能の細菌リボソームの構造(Structures of the bacterial ribosome at 3.5Å resolution).Science 310:827−834)。リボソーム結晶を成長させ、凍結保護緩衝液を50μMのCEM−101で補充した以外は、文献記載のように取り扱った(Zhang、W.、J.A.Dunkle、and J.H.Cate.2009.ラチェッティングの中間体状態でのリボソームの構造(Structures of the ribosome in intermediate states of ratcheting).Science 325:1014−1017)。結晶を12〜24時間、凍結保護緩衝液+CEM−101中に浸漬し、次に、液体窒素でフラッシュ凍結した。Advanced Light Source、Lawrence Berkeley National Laboratoryのビームライン12.3.1を使い、100Kで0.1°−0.3°オシレーションにより、X線回折データを集め、ADSC Q315検出器で記録した。HKL2000を使って、X線回折データを整理し、スケーリングした(C.W.J.Carter and S.R.M.(ed.)、Methods Enzymol.、vol.276.Academic Press、New York、中の、Otwinowski、Z.、and M.W.1997.オシレーションモードで集めたX線回折データの処理(Processing of X−ray Diffraction Data Collected in Oscillation Mode)、p.307−326.)。3I1M、3I1N、3I1O、および3I1Pで報告された座標を、反射データに対して、PHENIX software suiteを使って精密化した(Adams、P.D.、P.V.Afonine、G.Bunkoczi、V.B.Chen、I.W.Davis、N.Echols、J.J.Headd、L.W.Hung、G.J.Kapral、R.W.Grosse−Kunstleve、A.J.McCoy、N.W.Moriarty、R.Oeffner、R.J.Read、D.C.Richardson、J.S.Richardson、T.C.Terwilliger、and P.H.Zwart.2010.PHENIX:高分子の構造解用統合パイソンベースシステム(PHENIX:acomprehensive Python−based system for macromolecular structure solution).Acta Crystallogr.D.Biol.Crystallogr.66:213−221)。Fo−FcマップをPHENIXを使って計算し、ソフトウェアCoot(Emsley、P.、and K.Cowtan.2004.Coot:分子構造計算用モデル構築ツール(Coot:model−building tools for molecular graphics).Acta Crystallogr.D.Biol.Crystallogr.60:2126−2132)を使って、この不偏差分密度中に、CEM−101の座標を配置した。PHENIXを使って、CEM−101とテリスロマイシンの間の比較のための個別原子変位パラメータ値を計算した。PyMolを使って作図した。
【0066】
実施例:大腸菌および黄色ブドウ球菌由来野性型リボソームに対するCEM−101の親和性。最初に、グラム陰性およびグラム陽性細菌由来野性型リボソームに対するCEM−101の結合を、[14C]エリスロマイシンとの競合により解析した。そのために、大腸菌および黄色ブドウ球菌70Sリボソームに調製物に対する放射標識エリスロマイシンの結合を最初に解析した。飽和結合実験では、[14C]エリスロマイシンは、両細菌由来リボソームに容易に結合し、大腸菌および黄色ブドウ球菌リボソームに対し、それぞれ、66±11nMおよび11±1nMのKdを示した(データは示さず)。これらの値は、以前発表された値(10−8〜10−7 M)と同程度であった(Douthwaite、S.、and C.Aagaard.1993.23S rRNAペプチジルトランスフェラーゼループ中の立体構造の変化を有するリボソーム中のエリスロマイシン結合のリデュース(Erythromycin binding is reduced in ribosomes with conformational alterations in the 23S rRNA peptidyl transferase loop).J.Mol.Biol.232:725−731;Karahalios、P.、D.L.Kalpaxis、H.Fu、L.Katz、D. N.Wilson、and G.P.Dinos.2006.6−O−ミカミノシルチロノリドの9−O−アリールアルキルオキシム誘導体、新型16員マクロライド抗生物質、の作用機序について(On the mechanism of action of 9−O−arylalkyloxime derivatives of 6−O−mycaminosyltylonolide、a new class of 16−membered macrolide antibiotics).Mol.Pharmacol.70:1271−1280)。エリスロマイシンの結合は、大腸菌または黄色ブドウ球菌リボソームの1pmol当たり、ほぼ1pmolの薬剤で飽和し、調製物中のほとんどのリボソームが、結合能力があることを示した。
【0067】
競合結合実験では、CEM−101は、両タイプのリボソーム由来のエリスロマイシンを容易に置換し、そのIC50は、それぞれ、大腸菌リボソームでは155±8nM、黄色ブドウ球菌リボソームでは117±3nMであり、CEM−101のKdは、62±3nM(大腸菌)および12±1nM(黄色ブドウ球菌)であった(表1)。放射標識[14C]CEM−101の黄色ブドウ球菌野性型リボソームに対する親和性を、飽和結合実験により測定した。この手法で得た50±13nMのKdは、エリスロマイシンとの競合から得た結果と類似であった。全体として、薬剤結合試験から、CEM−101は、エリスロマイシンの場合と一致するか、または重なり合うリボソーム部位と相互作用し、また、薬剤は、他のマクロライドに類似の親和性で、グラム陽性およびグラム陰性細菌のリボソームと結合することが示された。
【0068】
実施例:CEM−101による細菌性タンパク質合成の抑制。細菌性タンパク質合成に与えるCEM−101の効果を、大腸菌無細胞転写−翻訳系でアッセイした。CEM−101は、1.1μMのIC50で、ホタルルシフェラーゼ(Lux)の合成を抑制し、これは、アジスロマイシン(IC50 0.3μM)およびテリスロマイシン(IC50 0.5μM)で得られた抑制と同程度であった。無細胞系で、転写ではなく翻訳に与えるCEM−101の特異的効果を、DNAの代わりにlux mRNAをテンプレートとして使用して、別に検証した(データは示さず)。細菌無細胞翻訳系(600nM)でのリボソームの濃度は、マクロライド抗生物質のKd値を大きく超えていること注意されたい。従って、IC50値は、細菌翻訳の抑制に対する試験マクロライド抗生物質の相対的効率を正確に表現していないが、それよりは、細菌性タンパク質合成を迅速に妨害するそれらの能力の定性的指標を与える。細菌翻訳に与えるその効果とは対照的に、CEM−101は、50μMまでの濃度の真核生物の(ウサギ)無細胞の翻訳系では、ルシフェラーゼの合成に対しては効果を示さなかった。従って、CEM−101は、選択的かつ効率的細菌翻訳の抑制を示す。
【0069】
実施例:結晶状態でのCEM−101の大腸菌リボソームとの相互作用。結合CEM−101を有する大腸菌リボソームの高分解能X線結晶学的構造を得た(表2)。
【表1】
【0070】
テリスロマイシンの結合を、以前、X線結晶学を使って調査した(Berisio、R.、J.Harms、F.Schluenzen、R.Zarivach、H.A.Hansen、P.Fucini、and A.Yonath.2003.耐性変異体に対するテリスロマイシンの抗生物質作用への構造的洞察(Structural insight into the antibiotic action of telithromycin against resistant mutants).J. Bacteriol.185:4276−4279;Tu、D.、G.Blaha、P.B.Moore、and T.A.Steitz.2005.変異リボソーム大サブユニットに結合したMLSBK抗生物質の構造は、耐性に対する構造的見地からの説明を提供する(Structures of MLSBK antibiotics bound to mutated large ribosomal subunits provide a structural explanation for resistance).Cell 121:257−270)。
【0071】
11−N側鎖が4−[4−(3−アミノフェニル)[1、2、3]トリアゾール−1−イル]ブチル基であるフルオロケトライドCEM−101の結合を、11−N側鎖が4−[4−(3 ピリジニル)−イミダゾール−1−イル]ブチル基である(非フルオロ)ケトライドテリスロマイシンの結合と比較した。リボソーム内でのCEM−101の一般的な配置は、大腸菌のリボソームに結合したテリスロマイシンで見られるものと類似である。2つの薬剤のラクトン環およびデソサミン糖の配置と立体構造は、基本的には区別がつかない。CEM−101の側鎖のアミノフェニルトリアゾール頭部は、A752〜U2609塩基対に対し、テリスロマイシンのピリジニルイミダゾール成分と類似のスタッキング相互作用を行い;それは、A752およびU2609塩基から3.5Åの距離に位置し、それらに平行方向を向いている。重要なことであるが、大腸菌リボソームで観察されたCEM−101(およびテリスロマイシン)11−N側鎖の相互作用は、ケトライドのD.ラジオデゥランスまたはH.マリスモルツイのリボソームとの結晶複合体で以前認められたものとは大部分が異なっている(Berisio、R.、J.Harms、F.Schluenzen、R.Zarivach、H.A.Hansen、P.Fucini、and A.Yonath.2003.耐性変異体に対するテリスロマイシンの抗生物質作用への構造的洞察(Structural insight into the antibiotic action of telithromycin against resistant mutants).J.Bacteriol.185:4276−4279;Schlunzen、F.、J.M.Harms、F.Franceschi、H.A.Hansen、H.Bartels、R.Zarivach、and A.Yonath.2003.ケトライドおよびアザリドの抗生物質活性に対する構造的原則(Structural basis for the antibiotic activity of ketolides and azalides).Structure 11:329−338;Tu、D.、G. Blaha、P.B.Moore、andT.A.Steitz.2005.変異リボソーム大サブユニットに結合したMLSBK抗生物質の構造は、耐性に対する構造的見地からの説明を提供する(Structures of MLSBK antibiotics bound to mutated large ribosomal subunits provide a structural explanation for resistance).Cell 121:257−270)。大腸菌および多くの病原菌のリボソーム中のA752〜U2609塩基対の存在により、ケトライドの側鎖の相互作用のこの特異的モードを説明できる。23S rRNA配列差異のために、このような塩基対の形成は、D.ラジオデゥランスまたはH.マリスモルツイでは、不可能である。従って、大腸菌リボソームと複合化したケトライドの構造は、病原菌のリボソームと薬剤との相互作用をより正確に反映していると思われる。
【0072】
CEM−101およびテリスロマイシンの側鎖の一般的に類似した向きにもかかわらず、それらの化学の構造の差異が、結合モードの重要な差異をもたらす。CEM−101原子に対する原子変位パラメータ(ADP)精密化では、CEM−101の伸長アームは、テリスロマイシンの側鎖と比較して有意に低いADP値を示し、一方、両ケースで、他の全ての抗生物質原子に対する平均ADP値が非常に似ている事を示している。リボソーム中の結合部位でのより良好なCEM−101の繋留を反映しているこの差異は、CEM−101の側鎖中のアミノフェニルの環外のアミノ基の追加の水素結合相互作用から生じている可能性がある。特に、アミノ基は、A752のO4′およびG748のO6に対するH−結合ドナーとして作用し、一方、それは、G748のN1からのH−結合受容体であるように思われる。これらの相互作用のいずれも、テリスロマイシンでは不可能である。
【0073】
テリスロマイシンおよびいくつかの他のケトライドに比べたCEM−101の明らかな特徴は、ラクトン環のC2位置のフッ素原子の存在である。大腸菌リボソームに結合したCEM−101の構造で、フッ素原子は、C2611のグリコシド結合(原子N1)から2.7 Åの距離に位置しており、従って、薬剤結合に寄与することが潜在的に可能である。いくつかの報告が、ケトライドの活性に対する2−Fの重要性を疑問視したが(Keyes、R.F.、J.J.Carter、E.E.Englund、M.M.Daly、G.G.Stone、A.M.Nilius、and Z.Ma.2003.いくつかの主要エリスロマイシン耐性の病原体に対する改善された活性を有する6−O−アリールブチニルケトライドの合成と抗菌活性(Synthesis and antibacterial activity of 6−O−arylbutynyl ketolides with improved activity against some key erythromycin−resistant pathogens).J.Med.Chem.46:1795−1798)、CEM−101のMIC値とフッ素原子の無いその類似体の値との比較では、CEM−101が、ermメチルトランスフェラーゼ遺伝子を有する連鎖球菌の増殖をより容易に抑制することを示した(表3)。従って、C2炭素原子のフッ素化は、A2058部位でジメチル化されたリボソームへの薬剤のより強い結合に特異的に寄与できる。大腸菌リボソームに複合化したCEM−101の構造で、フッ素原子は、C2611のN1から2.7 Åに位置にある。
【表2】
【0074】
実施例:CEM−101の野性型大腸菌および黄色ブドウ球菌リボソームとの溶液中の相互作用。結晶状態では、リボソームへの薬剤の結合は、溶液中の結合とは異なる可能性があり、また、生化学的、遺伝子的、および結晶学的証拠が、同じ化合物が異なる種のリボソームとの異なる相互作用を呈する可能性があることを示しているために(Bottger、E.C.2006.薬剤標的としてのリボソーム(The ribosome as a drug target).Trends Biotechnol.24:145−147)、RNAフットプリント法を使って大腸菌および黄色ブドウ球菌リボソームとの相互作用をプロービングして、CEM−101結合の構造的調査を拡張することにより、大腸菌リボソームに結合したCEM−101の結晶構造がグラム陽性病原体のリボソームとの薬剤の相互作用を正確に反映しているかどうかの疑問について、調査を行った(Moazed、D.、andH.F.Noller.1987.クロラムフェニコール、エリスロマイシン、カルボマイシンおよびベルナマイシンBは、23SリボソームRNAのペプチジルトランスフェラーゼ領域中の重畳部位を保護する(Chloramphenicol、erythromycin、carbomycin and vernamycinB protect overlapping sites in the peptidyl transferase region of 23S ribosomal RNA).Biochimie 69:879−884)。この調査には、また、CEM−101のC3−クラジノース同族であり、C2連結フッ素原子が無いCEM−103も含めた。
【0075】
他の調査マクロライドおよびケトライドと同様に、CEM−101およびCEM−103は、23S rRNAのドメイン V中のA2058およびA2059を、DMSによる修飾から保護する。結晶構造から推測できるように、これらの保護は、C5デソサミン糖により与えられ、これは、A2058およびA2059残基により形成される間隙に極めて接近している。さらに、大腸菌リボソームと複合化したCEM−101(およびテリスロマイシン)の結晶構造に極めて良く合致して、CEM−101、ならびにテリスロマイシンおよびCEM−103は、大腸菌および黄色ブドウ球菌リボソームの両方中でA752をDMS修飾から強力に保護する。対照的に、伸長側鎖を欠くエリスロマイシンは、DMS修飾からA752を保護できない。従って、結晶状態で認められるCEM−101側鎖とA752−U2609塩基対の相互作用は、リボソームへの薬剤の溶液中の結合を正確に反映していると思われる。C2フッ素の欠如またはCEM−103中のC3クラジノースの存在は、フットプリント形式では、何らの差異ももたらさず、これらの薬剤成分が、DMS修飾のために接近できるrRNA残基と接触しないことが確認できる。
【0076】
重要なことであるが、大腸菌のリボソーム中でのCEM−101のフットプリント形式は、黄色ブドウ球菌のリボソームの場合の形式と区別がつかず、このことは、本明細書記載の大腸菌リボソームと複合化したCEM−101の高分解能構造は、グラム陽性病原体のリボソームへの薬剤の結合を正確に反映している可能性があることを示している。
【0077】
実施例:A2058でErmメチルトランスフェラーゼによりジメチル化された黄色ブドウ球菌リボソームとCEM−101の相互作用。Ermメチルトランスフェラーゼは、アデニン塩基の環外アミノ基に2つのメチル基を連続して付加することにより、23S rRNA中のA2058を修飾する。このような修飾は、エリスロマイシンおよび類似のマクロライドの結合を完全に遮断するが、一方、ケトライドの結合への効果は、あまり明らかではない(Douthwaite、S.、L.H.Hansen、and P.Mauvais.2000.MLS耐性リボソームのマクロライド−ケトライド抑制は、 23S rRNAのドメインRとの代替薬剤相互作用により改善される(Macrolide−ketolide inhibition of MLS−resistant ribosomes is improved by alternative drug interaction with domain R of 23S rRNA).Mol.Microbiol.36:183−193;Liu、M.、and S.Douthwaite.2002.ケトライドテリスロマイシンの活性は、細菌rRNAのErmモノメチル化に無関係である(Activity of the ketolide telithromycin is refractory to Erm monomethylation of bacterial rRNA).Antimicrob.Agents Chemother.46:1629−1633)。従って、Tn554トランスポゾン中に存在する構成的発現ermA遺伝子の5つの染色体コピーを保有する臨床黄色ブドウ球菌株N315から単離されたリボソームとCEM−101の相互作用(Kuroda、M.、T.Ohta、I.Uchiyama、T.Baba、H.Yuzawa、I.Kobayashi、L.Cui、A.Oguchi、K.Aoki、Y.Nagai、J.Lian、T.Ito、M.Kanamori、H.Matsumaru、A.Maruyama、H.Murakami、A.Hosoyama、Y.Mizutani−Ui、N.K.Takahashi、T.Sawano、R.Inoue、C.Kaito、K.Sekimizu、H.Hirakawa、S.Kuhara、S.Goto、J.Yabuzaki、M.Kanehisa、A.Yamashita、K.Oshima、K.Furuya、C.Yoshino、T.Shiba、M.Hattori、N.Ogasawara、H.Hayashi、and K.Hiramatsu.2001.メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の全ゲノムシーケンシング(Whole genome sequencing of meticillin−resistant Staphylococcus aureacs).Lancet 357:1225−1240)を、調査した。黄色ブドウ球菌N315株から単離したリボソームをA2058残基位置で完璧にジメチル化したが、これは、この株から調製したリボソームへの[14C]エリスロマイシンの結合の欠如と良く一致する(データは示さず)。
【0078】
フットプリント法分析を使って、ケトライド(CEM−101およびテリスロマイシン)およびクラジノース含有マクロライド(CEM−103およびエリスロマイシン)と黄色ブドウ球菌N315株から単離した2058−ジメチル化リボソームとの相互作用を試験した。リボソームを薬剤(100μM濃度)と共にインキュベートし、DMS修飾によりプロービングした。ジメチル化A2058が、RNAテンプレートに沿った逆転写酵素の進行を遮断するために、顕著な逆転写酵素停止が、プライマー伸長法ゲル上のA2058で観察される(Vester、B.、and S.Douthwaite.1994.23S rRNAのドメインVは、ErmEメチルトランスフェラーゼによる認識に必要な全ての構造上の要素を含む(Domain V of 23S rRNA contains all the structural elements necessary for recognition by the ErmE methyltransferase).J.Bacteriol.176:6999−7004;Zhong、P.、Z.Cao、R.Hammond、Y.Chen、J.Beyer、V.D.Shortridge、L.Y.Phan、S.Pratt、J.Capobianco、K.A.Reich、R.K.Flamm、Y.S.Or、and L.Katz.1999.マクロライドおよびケトライドによるMLS耐性肺炎連鎖球菌のリボソームメチル化の誘導(Induction of ribosome methylation in MLS−resistant Streptococcus pneumoniae by macrolides and ketolides).Microb.DrugResist.5:183−188)。従って、フットプリント法を使って、マクロライドと黄色ブドウ球菌N315リボソーム中のこの位置との相互作用を評価することは、不可能である。しかし、A2059バンドの強度の調査は、CEM−101とCEM−103の両方がErm修飾リボソームに結合し(エリスロマイシンはそうではないが)、DMS修飾からA2059の保護をもたらす可能性があることを明確に示した。テリスロマイシンも、また、A2059を保護したが、その程度はCEM−101またはCEM−103より小さかった。さらに広範なケトライドおよびCEM−103の黄色ブドウ球菌リボソームに対する結合分析のために、さらに2つの修飾試薬:グアノシンを修飾するケトキサール、およびウリジンを修飾する1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)−カルボジイミドメト−p−トルエンスルホナート(CMCT)、を含めることにより、フットプリント法調査を拡張した(C.W.J.Smith(ed.)、RNA:タンパク質相互作用、実用手法(RNA:Protein Interactions、A Practical Approach).Oxford University Press、Oxford、中の、Merryman、C.、and H.F.Noller.1998.RNA上の結合部位のフットプリント法および修飾干渉分析(Footprinting and modification−interference analysis of binding sites on RNA)、p.237−253.)。ケトキサールプロービングでは、CEM−101およびCEM−103は、ケトキサール修飾からG2505を部分的に保護し、CMCTを使った修飾からU2609を完全に保護することを示した。テリスロマイシンは、両位置で顕著に弱い保護をもたらした。エリスロマイシンは、両位置のどちらも保護しなかったが、A2058のジメチル化は、エリスロマイシン結合を妨害することが知られているという事実と一致した(Weisblum、B.1995.リボソーム修飾によるエリスロマイシン耐性(Erythromycin resistance by ribosome modification).Antimicrob.Agents Chemother.39:577−585)。
【0079】
フットプリント法調査の結果から導き出すことができる総括的結論は、(ヘテロ)アリール基を有する伸長アルキル側鎖を持つマクロライドは、充分に高い濃度で存在する場合には、Ermメチルトランスフェラーゼの作用によりA2058部位でジメチル化されたリボソームに結合することができるということである。また、CEM−101およびCEM−103の側鎖は、トリアゾール成分、ならびにアミノフェニル成分およびA752〜U2609塩基対との明らかな追加の相互作用を特徴とし、テリスロマイシンに比べてより効率的結合を示すことも、明らかである。
【0080】
実施例:表中に示した新規マクロライド薬剤を使った従来の選別法による選別結果を下表に示す。
【表3】
【0081】
実施例:新規マクロライド薬剤の調製。新規マクロライド薬剤は、大環状分子およびその置換基の調製用の当技術分野で既知の方法に類似の方法を使って、または本明細書記載の方法によって、調製可能である。以下の実施例は、本発明の具体的実施形態をさらに説明するが;しかし、下記の例示的実施例は、決して本発明を限定すると解釈されるべきではない。実施例で使用される省略には、下記が含まれる:DCM、ジクロロメタン;DMAP、4−ジメチルアミノピリジン;DMSO、ジメチルスルホキシド;EA、酢酸エチル;1H−NMR、水素イオン核磁気共鳴分光測定法;MeOH、メタノール;Mw、分子量;RT、室温(環境温度);THF、テトラヒドロフラン;TLC、薄層クロマトグラフィー。
【0082】
実施例:調製1.クラリスロマイシンジベンゾアート。
a.エリスロマイシンA9−オキシム(1)の合成。エリスロマイシン A(15g、20.4mmol)、NH2OH.HCl(7.3g、105mmol)およびトリエチルアミン(7g、69mmol)のMeOH(23mL)中混合物を、一晩加熱還流した。反応の間に白色固体が生成した。反応混合物を小容量に濃縮した。得られた残渣に、混合物のpHが約10〜11になるまで、0℃で希釈NH4OH水溶液を添加した。この処理の間に、混合物から追加の固形物が析出した。混合物を濾過し、集めた固形物を水で洗浄し、減圧下乾燥して、14.2gの(1)を93%収率で粒状固体として得た。得られた(1)のTLC分析(DCM:MeOH:NH4OH=90:10:1)は、低い位置のスポットの極わずかな混入物を示し、これはZ−異性体に帰属された。得られた(1)の質量分析は、主要ピークとして、目的の生成物の分子量(Mw:749)のピークを示した。生成物の1H−NMR分析は、目的の(1)と目的の(1)のHCl塩の混合物であることを示した。粗生成物を精製しないで、次のステップの反応用として使用した。
【0083】
b.O−(2−メトキシ−2−プロピル)エリスロマイシン A9−オキシム(2)の合成。(1)(3g、4mmol)の無水ジクロロメタン(DCM、21mL)中溶液に、2−メトキシプロペン(1.5g、20.8mmol)、続けて、ピリジン塩酸塩(0.72g、6.2mmol)を0 ℃で添加した。添加後、反応混合物を0 ℃で30分攪拌した。反応混合物(DCM:MeOH:NH4OH=90:10:1)のTLC分析は、少量のみの生成物と大量の未反応で残存の(1)を示した。反応混合物を冷却して0 ℃に戻した。この混合物に、別の0.5gの2−メトキシプロペン(6.9mmol)を添加した。混合物を0℃でさらに0.5時間攪拌した。反応混合物のTLC分析は、まだ、不完全な反応を示した。従って、さらなる0.5gの2−メトキシプロペン(6.9mmol)と、それに続いて、別の0.1gのピリジン塩酸塩(0.86mmol)を、0 ℃で反応混合物に添加した。反応混合物を0℃でさらに15分間攪拌した。反応混合物のTLC分析は、出発材料が残存しないことを示した。反応混合物を、NaHCO3飽和水溶液で希釈した。DCM層を分離させ、水性層をDCMで抽出した。合わせたDCM層をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥後、濃縮乾固し、3.3gの粗生成物を白色発泡体として定量的収率で得た。粗製(2)の質量分析は、目的の生成物ピークを主要ピーク(Mw:821)として、過剰反応副産物に帰属された分子量861の極少量のピークと共に示した。粗製(2)の1H−NMRは、2−メトキシプロパン−2−オールおよびピリジンと思われるの混入物と共に、目的の(2)の構造を示した。この粗生成物をさらに精製しないで次のステップの反応に使用した。
【0084】
c.2′、4′′−ジベンゾイル−O−(2−メトキシ−2−プロピル)エリスロマイシン A9−オキシム(3)の合成。(2)(4.1g、5mmol)の酢酸エチル(65mL)中溶液に、安息香酸無水物(4.5g、20mmol)、続けて、トリエチルアミン(1.26g、12.5mmol)およびDMAP(0.9 g、7.4mmol)をRTで添加した。得られた混合物をRTで36時間攪拌した。反応混合物をNaHCO3飽和水溶液で希釈した。EA層を分離させ、水性層をEAで抽出した。合わせたEA層をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥後、濾過して乾燥剤を除去し、濃縮乾固した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH:NH4OH=97:3:0.3)に供し、4.2gの(3)を80%の収率で白色固体として得た。得られた(3)の質量分析は、目的生成物の分子量(Mw:1029)のピークを主要成分ピークとして示した。得られた(3)の1H−NMR分析は、標記生成物の構造を示した。
【0085】
d.2′、4′′−ジベンゾイル−O−(2−メトキシ−2−プロピル)−6−O−メチルエリスロマイシン A9−オキシム(4)の合成。(3)(3.8g、3.7mmol)の無水THF(15mL)および無水DMSO(15mL)中溶液を0℃に冷却した。この溶液に、粉末状KOH(0.46g、8.2mmol)、続けて、ヨウ化メチル(1.06g、7.5mmol)を0℃で添加した。得られた反応混合物を0℃で5分間攪拌した。それは、粘稠なペーストに変化し、攪拌を停止させた。この混合物を5分間かけてRTまで暖めたが、混合物は粘稠なペーストのままであった。従って、さらなる15mLのTHFおよび15mLのDMSOを反応混合物に加えた。添加後、反応混合物は、易流動性懸濁液に変わった。混合物をRTでさらに0.5時間攪拌し、NaHCO3飽和水溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥後、濃縮乾固した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH:NH4OH=97:3:0.3)に供し、2.83gの(4)を73%の収率で白色固体として得た。単離(4)の質量分析は、目的生成物のピーク(Mw:1043)を主要成分として、過剰メチル化副産物の質量を有するMw1057の小さいピークと共に示した。単離(4)の1H−NMR分析は、標記生成物の構造と一致する。
【0086】
e.クラリスロマイシンジベンゾアート[2′、4′′−ジベンゾイル−6−O−メチル−エリスロマイシンA]の合成。(4)(800mg、0.78mmol)のエタノール(8mL)および水(8mL)中溶液に、メタ重亜硫酸ナトリウム(740mg、3.89mmol)をRTで加えた。ギ酸(1.5mL)を添加して、得られた混合物のpHを2〜3に調節した。混合物を60℃で1時間加熱した。反応混合物の質量分析は、少量の生成物と、大量の脱保護されたオキシム中間体(Mw:971)を示した。この反応混合物に、さらなる2gのメタ重亜硫酸ナトリウム(10.5mmol)を添加した。混合物を60℃でさらに7時間攪拌し、RTに冷却した。反応が進行するにつれ、反応混合物から白色固体が析出沈殿した。反応混合物を希釈NaHCO3水溶液を用いて、8〜9のpHまで中和し、得られた混合物を濾過した。集めた白色固体を減圧乾燥して、760mgのクラリスロマイシンジベンゾアートを得た。この粗生成物を200mgの11スケールでのパイロットランから得た粗生成物と合わせて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、730mgのクラリスロマイシンジベンゾアートを79%収率で得た。精製された生成物の質量分析は、目的の生成物のピーク(Mw:956)を主要成分として、前のステップから持ち込まれたC−11ヒドロキシメチル化不純物に帰属された970のMwの小さいピークと共に示した。精製された生成物の1H−NMR分析は、クラリスロマイシンジベンゾアートの目的の構造を示した。
【0087】
実施例:調製2.11−N−(4−アジドブチル)−5−O−(2′−ベンゾイルデソサミニル)−6−O−メチル−3−オキソ−エリスロノリド A11、12−環状カルバマート。アジ化物は、国際公開第2009/055557 A1号(米国特許公開第2010−0216731 A1号)の実施例5または実施例5A、および前出の実施例に記載の方法を使って、クラリスロマイシンジベンゾアートから得ることができる。
【0088】
実施例:調製3.11−N−(4−アジドブチル)−5−O−(2′−ベンゾイルデソサミニル)−2−フルオロ−6−O−メチル−3−オキソ−エリスロノリド A11、12−環状カルバマート。アジ化物は、国際公開第2009/055557 A1号(米国特許公開第2010−0216731 A1号)の実施例6または実施例6B、および前出の実施例に記載の方法を使って、クラリスロマイシンジベンゾアートから得ることができる。
【0089】
実施例:比較例 1.11−N−[4−[4−(3−アミノフェニル)[1、2、3]トリアゾール−1−イル]−ブチル]−6−O−メチルエリスロマイシン A11、12−環状カルバマート(CEM−103)の合成。この化合物は、2′、4′′−ジ−O−ベンゾイル−11−N−(4−アジドブチル)−6−O−メチルエリスロマイシン A11、12−環状カルバマート、国際公開第2009/055557号の実施例3から、CEM−101の調製用に記載されたものに類似の方法を使って、調製できる。
【0090】
実施例:比較例 2.11−N−[4−[4−(3−アミノフェニル)[1、2、3]トリアゾール−1−イル]−ブチル]−5−O−デソサミニル−6−O−メチル−3−オキソ−エリスロノリド A11、12−環状カルバマート(デスフルオロCEM−101、CEM−Des−F)の合成。この化合物は、上記調製2のアジ化物から、CEM−101の調製用に記載されたものに類似の方法を使って、調製できる。
【0091】
実施例:比較例 3.5−O−デソサミニル−11−N−[4−[4−(インドール−3イルメチル)−[1、2、3]トリアゾール−1−イル]ブチル]−6−O−メチル−3−オキソ−エリスロノリド A11、12−環状カルバマート(CEM−199)の合成。分子式:C46H68N6O10;正確な質量:864.50;分子量:865.07。
【化6】
この化合物は、上記調製2のアジ化物から、CEM−101の調製用に記載されたものと類似の方法を使って調製できる。
【0092】
実施例:2−フルオロ−5−O−デソサミニル−11−N−[4−[4−(インドール−3−イルメチル)−[1、2、3]トリアゾール−1−イル]ブチル]−6−O−メチル−3−オキソ−エリスロノリド A11、12−環状カルバマート(CEM−219)の合成。分子式:C46H67FN6O10;正確な質量:882.49;分子量:883.06。
【化7】
この化合物は、上記調製3のアジ化物から、CEM−101の調製用に記載されたものと類似の方法を使って調製できる。